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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 G06F |
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管理番号 | 1003706 |
異議申立番号 | 異議1998-72943 |
総通号数 | 4 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1993-12-24 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1998-06-10 |
確定日 | 1999-06-16 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第2689821号「電子機器」の請求項1ないし8に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第2689821号の請求項1ないし8に係る特許を取り消す。 |
理由 |
I 手続きの経緯 本件特許第2689821号は、その発明について、平成4年6月11日に特許出願され、平成9年8月29日に特許権の設定の登録がされたものであって、その後、その特許ついて、平成10年6月10日に特許異議の申立てがされ、これにより、当審における合議の結果、平成10年8月13日付けで取消理由が通知され、その明細書及び図面について、その指定期間内である平成10年11月2日に訂正の請求がされ、これに対して、更に、当審における合議の結果、平成10年11月20日付けで訂正拒絶理由が通知され、その指定期間内である平成11年2月9日に手続補正書(訂正請求書)が提出されたものである。 II 訂正の適否 1 訂正発明 訂正明細書の請求項1に係る発明(以下、「訂正発明1」という。)は、前記手続補正書により補正された訂正明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により構成されるものである。 「キーボードと、そのキーボードから入力された文字等を表示するディスプレイとを有する電子機器において、 前記ディスプレイに、フォーマット設定画面を表示するフォーマット設定画面表示手段と、 そのフォーマット設定画面表示手段により前記ディスプレイに表示されたフォーマットについての複数のパラメータの中から任意のパラメータを選択するパラメータ選択手段と、 前記複数のパラメータの中の予め決めた1つのパラメータを記憶する記憶手段と、 前記ディスプレイにフォーマット設定画面を表示している状態において、前記パラメータを前記予め決めたパラメータに設定する初期設定手段と、 前記選択されたパラメータにもとづいてフォーマット設定を変更する登録キーと、 フォーマット設定を変更しないでそのまま処理を終了するキャンセルキーとを有し、 前記初期設定手段は、前記登録キーが操作された ときにパラメータに何らかの変更がなされているか否かを判断して、変更がある場合には、フォーマット設定の書換えを行うことを特徴とする電子機器」 2 刊行物記載の発明 (1)刊行物1 当審における合議の結果通知した訂正拒絶理由に引用した刊行物1である特開昭63-98766号公報(昭和63年4月30日,特許庁発行)には、本件発明の表現を借りれば、次の事項により構成される発明(以下、「刊行物1記載の発明」という。)が記載されている。 キーボード(キーボード5)と、そのキーボードから入力された文字及び複数の設定項目(第3図「1.Top/Bottom margins」,[2.Left/Right margins」,「3.Line spasing」及び「4.Character pitch」etc)とその各設定項目についてパラメータ(前記設定項目の右の数値)を表示するディスプレイ(ディスプレイ7)とを有する電子機器(文書作成処理装置)において、 前記ディスプレイに、複数の設定項目を持つフオーマツト設定画面(書式データ変更画面)について前記設定項目を複数個同時に表示する(第3図)フオーマット設定画面表示手段と、 そのフオーマツト設定画面表示手段により前記ディスプレイに表示された複数の設定項目の中から任意の1つの設定項目を選択する項目選択手段([カーソル]キー54及び[リターン]キー55)と、 その項目選択手段により選択された設定項目について指定可能な複数のパラメータ(例えば、文字ピッチについては、10文字/インチ,12文字/インチ,15文字/インチ)の中の任意のパラメータを数値入力するパラメータ指定手段([数字]キー)と、 前記各設定項目についてそれぞれ複数のパラメータの中の予め決めた1つのパラメータを記憶する記憶手段(初期値領域33)と、 前記ディスプレイにフオーマット設定画面を表示している状態(第3図。なお、この図から明らかなように、この状態は、“ディスプレイにパラメータを表示している状態”でもある。)において、前記ディスプレイ上で前記項目選択手段により選択した設定項目ごとに前記パラメータを前記予め決めたパラメータに設定する初期設定手段 (CPU1)と、 前記指定されたパラメータにもとづいてフォーマット設定を変更する登録キー([リターン]キー55)と、 フォーマット設定処理を終了する復帰キー([コントロール]キー52)とを有し、 前記初期設定手段は、前記登録キーが操作されたときに、フオーマット設定の書換えを行うことを特徴とする電子機器 なお、前記において、()括弧内は、刊行物1における表現である。 (2)刊行物2 同じく引用した刊行物2である「EPSONインクジェット漢字プリンタ HG-2500 ESC/Pマニュアル」1986(昭和61)年10月,セイコーエプソン株式会社発行,pp.10-13には、本件発明の表現を借りれば、次の▲1▼〜▲2▼の技術事項が記載されている。 ▲1▼ パラメータ(機能内容)選択手段([OPTION]スイッチ)の操作により各設定項目(機能項目)についての複数のパラメータをディスプレイ(表示部)に一部分づつ順次表示すること ▲2▼ ディスプレイに表示されたフォーマット(書式)についての複数のパラメータの中から任意のパラメータを選択することによりパラメータの入力を行うこと なお、前記において、()括弧内は、刊行物2における表現である。 3 訂正発明1と刊行物1記載の発明との対比 訂正発明1の「パラメータ選択手段」と刊行物1記載の発明の「パラメータ指定手段」及び訂正発明1の「キャンセルキー」と刊行物1記載の発明の「復帰キー」とは、それぞれ、“指定可能な複数のパラメータの中の任意のパラメータを入力するパラメータ入力手段”である点及び“フォーマット設定処理を終了する終了キー”である点で等価であるから、両者は、 キーボードと、そのキーボードから入力された文字等を表示するディスプレイとを有する電子機器において、 前記ディスプレイに、フォーマット設定画面を表示するフォーマット設定画面表示手段と、 指定可能な複数のパラメータの中の任意のパラメータを入力するパラメータ入力手段と、前記複数のパラメータの中の予め決めた1つのパラメータを記憶する記憶手段と、 前記ディスプレイにフォーマット設定画面を表示している状態において、前記パラメータを前記予め決めたパラメータに設定する初期設定手段と、前記入力されたパラメータにもとづいてフォーマット設定を変更する登録キーと、 フォーマット設定処理を終了する終了キーとを有し、 前記初期設定手段は、前記登録キーが操作されたときにフォーマット設定の書換えを行うことを特徴とする電子機器 である点で一致し、次の3点で相違する。 〈相違点〉 (1)相違点1 パラメータ入力手段が、訂正発明1では、ディスプレイに表示されたフオーマットについての複数のパラメータの中から任意のパラメータを選択するものであるのに対し、刊行物1記載の発明では、指定可能な複数のパラメータの中の任意のパラメータを数値入力するものである点 (2)相違点2 終了キーが、訂正発明1では、フォーマット設定を変更しないでそのまま処理を終了するものであるのに対し、刊行物1記載の発明では、単に、フォーマット設定処理を終了するものである点 (3)相違点3 初期設定手段が、訂正発明1では、登録キーが操作されたときにパラメータに何らかの変更がなされているか否かを判断して、変更がある場合には、フオーマット設定の書換えを行うものであるのに対し、刊行物1記載の発明では、登録キーが操作されたときにフオーマット設定の書換えを行うものではあるが、その書換えが、パラメータについての変更の有無の判断を受けて変更がある場合になされるものではない点 4 相違点についての検討 (1)相違点1について ディスプレイに表示されたフオーマットについての複数のパラメータの中から任意のパラメータを選択することによりパラメータの入力を行うようにすることは、刊行物2に記載されている(前記II2(2)▲2▼参照。)から、刊行物1記載の発明において、パラメータ入力手段を、ディスプレイに表示されたフォーマットについての複数のパラメータの中から任意のパラメータを選択するものとすることは、当業者が容易に想到実施し得たことである。 よって、この相違点は、格別のものではない。 (2)相違点2について (フォーマット設定画面表示手段によりディスプレイに表示されたフォーマットについての複数のパラメータの中から任意のパラメータを選択した後であっても)フォーマット設定を変更しないでそのまま処理を終了するようにすることは、本件出願前に当業者に周知である(これについて必要ならば、「一太郎Ver.4J-3100[解説編]」1990(平成2)年6月23日,株式会社ジャストシステム発行,pp.178-179,“【操作ポイント】項目の設定について”の項参照。)から、刊行物1記載の発明において、終了キーを、フォーマット設定を変更しないでそのまま処理を終了するものとすることは、当業者が必要に応じて適宜に為し得たことである。 よって、この相違点も、格別のものではない。 (3)相違点3について フォーマット設定について、その設定内容に変更を加えて後登録する際に、その内容に変更があるか否かを判断し、変更がある場合には、フォーマット設定の書換えを行う手法、及び、そのような変更の有無をチェックすることなく(無条件に)書換えを行う手法のいずれも、本件出願前に当業者に周知である(前者について必要ならば、特開平2-135517号公報(平成2年5月24日,特許庁発行),3頁左下欄4行〜7行参照。)から、刊行物1記載の発明において、初期設定手段を、登録キーが操作されたときにパラメータになんらかの変更がなされているか否かを判断して、変更がある場合には、フォーマット設定の書換えを行うものとすることは、当業者が任意に為し得たことである。 よって、この相違点も、格別のものではない。 5 独立特許要件 したがって、訂正発明1は、当業者が刊行物1記載の発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 6 訂正の認否 以上のとおり、本件訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例とされる、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第4項の規定に適合しないものであるから、当該訂正は認めない。 III 特許異議の申立てについての判断 1 本件発明 本件の請求項1ないし8に係る発明(以下、「本件発明1」ないし「本件発明8」という。)は、特許明細書及び図面の記載からみて、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された次の事項により構成されるものである。 「【請求項1】 複数のパラメータを表示可能なデ ィスプレイと、 そのディスプレイに表示された前記複数のパラメータの中から任意のパラメータを選択するパラメータ選択手段と、 前記複数のパラメータの中の予め決めた1つのパラメータを記憶する記憶手段と、 前記ディスプレイに任意のパラメータを表示している状態において、前記パラメータを前記予め決めたパラメータに選択する初期設定手段とを有することを特徴とする電子機器 【請求項2】 複数の設定項目とその各設定項目について複数のパラメータを表示可能なディスプレイと、 そのディスプレイに表示された前記設定項目の中から任意の項目を選択する項目選択手段と、 その項目選択手段における複数のパラメータの中から任意のパラメータを選択するパラメータ選択手段と、 前記各設定項目について複数のパラメータの中の予め決めた1つのパラメータを記憶する記憶手段と、 前記ディスプレイに任意のパラメータを表示している状態において、前記パラメータを前記予め決めたパラメータに選択する初期設定手段とを有することを特徴とする電子機器 【請求項3】 キーボードと、そのキーボードから入力された文字等を表示するディスプレイとを有する電子機器において、 前記ディスプレイに、フォーマット設定画面を表示するフォーマット設定画面表示手段と、 そのフォーマット設定画面表示手段により前記ディスプレイに表示されたフォーマットについての複数のパラメータの中から任意のパラメータを選択するパラメータ選択手段と、 前記複数のパラメータの中の予め決めた1つのパラメータを記憶する記憶手段と、 前記ディスプレイにフォーマット設定画面を表示している状態において、前記パラメータを前記予め決めたパラメータに設定する初期設定手段 とを有することを特徴とする電子機器 【請求項4】 キーボードと、そのキーボードから入力された文字等を表示するディスプレイとを有する電子機器において、 前記ディスプレイに、複数の設定項目を持つフォーマット設定画面を表示するフォーマット設定画面表示手段と、 そのフォーマット設定画面表示手段により前記ディスプレイに表示された複数の設定項目の中から1つの設定項目を選択する項目選択手段と、 その項目選択手段により選択された設定項目について複数のパラメータの中から任意のパラメータを選択するパラメータ選択手段と、 前記各設定項目についてそれぞれ複数のパラメータの中の予め決めた1つのパラメータを記憶する記憶手段と、 前記ディスプレイにフォーマット設定画面を表示している状態において、前記パラメータを前記予め決めたパラメータに選択する初期設定手段 とを有することを特徴とする電子機器 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の電子機器において、 前記ディスプレイは、前記パラメータ選択手段の操作により複数のパラメータを一部分づつ順次表示することを特徴とする電子機器 【請求項6】 請求項2または4に記載の電子機器において、 前記ディスプレイは、前記設定項目を複数個同時に表示することを特徴とする電子機器 【請求項7】 請求項2または4に記載の電子機器において、 前記初期設定手段は、前記ディスプレイ上で前記項目選択手段により選択した項目ごとにパラメータを前記予め決めたパラメータに選択することを特徴とする電子機器 【請求項8】 請求項3または請求項4に記載の電子機器において、さらに前記選択されたパラメータにもとづいてフォーマット設定を変更する登録キーを有することを特徴とする電子機器」 なお、特許明細書及び図面の記載からみて、請求項2及び4における「選択項目」は、「設定項目」の明白な誤記と認められるので、本件発明2及び4については、前掲のとおり認定した。 また、特許明細書及び図面の記載からみて、請求項2における「その項目選択手段における]は、「その項目選択手段により選択された設定項目について」と解するのが相当である。 2 刊行物記載の発明 当審における合議の結果通知した取消理由に引用した刊行物1及び2については、それぞれ、前記II2(1)及び(2)に認定のとおりである。 3 本件発明の特許性 (1)本件発明1について 本件発明1と刊行物1記載の発明とを対比すると、本件発明1の「パラメータ選択手段」と刊行物1記載の発明の「パラメータ指定手段」とは、“指定可能な複数のパラメータの中の任意のパラメータを入力するパラメータ入力手段”である点で等価であるから、両者は、 パラメータを表示可能なディスプレイと、指定可能な複数のパラメータの中の任意のパラメータを入力するパラメータ入力手段と、 前記複数のパラメータの中の予め決めた1つのパラメータを記憶する記憶手段と、 前記ディスプレイにパラメータを表示している状態において、前記パラメータを前記予め決めたパラメータに選択する初期設定手段 とを有することを特徴とする電子機器 である点で一致し、次の点で相違するものの、その他の構成には実質的な相違はない。 〈相違点〉 パラメータ入力手段が、訂正発明1では、ディスプレイに表示されたフオーマットについての複数のパラメータの中から任意のパラメータを選択するものであるのに対し、刊行物1記載の発明では、指定可能な複数のパラメータの中の任意のパラメータを数値入力するものである点 よって、前記相違点について検討すると、前記II4(1)に記したとおり、この相違点は、格別のものではない。 したがって、本件発明1は、当業者が刊行物1記載の発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 (2)本件発明2について 本件発明2と刊行物1記載の発明とを対比すると、本件発明2の「パラメータ選択手段」と刊行物1記載の発明の「パラメータ指定手段」とは、“指定可能な複数のパラメータの中の任意のパラメータを入力するパラメータ入力手段”である点で等価であるから、両者は、 複数の設定項目とその各設定項目についてのパラメータを表示可能なディスプレイと、 そのディスプレイに表示された前記設定項目の中から任意の項目を選択する項目選択手段と、 その項目選択手段により選択された設定項目について指定可能な複数のパラメータの中の任意のパラメータを入力するパラメータ入力手段と、 前記各項目について複数のパラメータの中の予め決めた1つのパラメータを記憶する記憶手段と、 前記ディスプレイにパラメータを表示している状態において、前記パラメータを前記予め決めたパラメータに選択する初期設定手段とを有することを特徴とする電子機器である点で一致し、次の点で相違するものの、その他の構成には実質的な相違はない。 〈相違点〉 パラメータ入力手段が、本件発明2では、ディスプレイに表示されたフオーマットについての複数のパラメータの中から任意のパラメータを選択するものであるのに対し、刊行物1記載の発明では、指定可能な複数のパラメータの中の任意のパラメータを数値入力するものである点 よって、前記相違点について検討すると、前記II4(1)に記したとおり、この相違点は、格別のものではない。 したがって、本件発明2は、当業者が刊行物1記載の発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 (3)本件発明3について 本件発明3と刊行物1記載の発明とを対比すると、本件発明3の「パラメータ選択手段」と刊行物1記載の発明の「パラメータ指定手段」とは、“指定可能な複数のパラメータの中の任意のパラメータを入力するパラメータ入力手段”である点で等価であるから、両者は、 キーボードと、そのキーボードから入力された文字等を表示するディスプレイとを有する電子機器において、 前記ディスプレイに、フォーマット設定画面を表示するフォーマット設定画面表示手段と、 指定可能な複数のパラメータの中の任意のパラメータを入力するパラメータ入力手段と、 前記複数のパラメータの中の予め決めた1つのパラメータを記憶する記憶手段と、 前記ディスプレイにフォーマット設定画面を表示している状態において、前記パラメータを前記予め決めたパラメータに選択する初期設定手段 とを有することを特徴とする電子機器 である点で一致し、次の点で相違する。 〈相違点〉 パラメータ入力手段が、本件発明3では、ディスプレイに表示されたフオーマットについての複数のパラメータの中から任意のパラメータを選択するものであるのに対し、刊行物1記載の発明では、指定可能な複数のパラメータの中の任意のパラメータを数値入力するものである点 よって、前記相違点について検討すると、前記II4(1)に記したとおり、この相違点は、格別のものではない。 したがって、本件発明3は、当業者が刊行物1記載の発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 (4)本件発明4について 本件発明4と刊行物1記載の発明とを対比すると、本件発明4の「パラメータ選択手段」と刊行物1記載の発明の「パラメータ指定手段」とは、“指定可能な複数のパラメータの中の任意のパラメータを入力するパラメータ入力手段”である点で等価であるから、両者は、 キーボードと、そのキーボードから入力された文字等を表示するディスプレイとを有する電子機器において、 前記ディスプレイに、複数の設定項目を持つフォーマット設定画面を表示するフォーマット設定画面表示手段と、 そのフォーマット設定画面表示手段により前記ディスプレイに表示された複数の設定項目の中か ら1つの設定項目を選択する項目選択手段と、 その項目選択手段におり選択された設定項目について指定可能な複数のパラメータの中の任意のパラメータを入力するパラメータ入力手段と、 前記各設定項目についてそれぞれ複数のパラメータの中の予め決めた1つのパラメータを記憶する記憶手段と、 前記ディスプレイにフォーマット設定画面を表示している状態において、前記パラメータを前記予め決めたパラメータに選択する初期設定手段 とを有することを特徴とする電子機器 である点で一致し、次の点で相違する。 〈相違点〉 パラメータ入力手段が、本件発明4では、ディスプレイに表示されたフオーマットについての複数のパラメータの中から任意のパラメータを選択するものであるのに対し、刊行物1記載の発明では、指定可能な複数のパラメータの中の任意のパラメータを数値入力するものである点 よって、前記相違点について検討すると、前記II4(1)に記したとおり、この相違点は、格別のものではない。 したがって、本件発明4は、当業者が刊行物1記載の発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 (5)本件発明5について パラメータ選択手段の操作により複数のパラメータをディスプレイに一部分づつ順次表示することは、刊行物2に記載されている(前記II2(2)▲1▼参照。)。 また、請求項1〜4については、前記(1)〜(4)に記したとおりである。 したがって、本件発明5は、当業者が刊行物1記載の発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定によ り特許を受けることができないものである。 (6)本件発明6について 刊行物1記載の発明において、ディスプレイが、設定項目を複数個同時に表示するものであることは、前記II2(1)に認定のとおりである。 また、請求項2または4については、前記(2)及び(4)に記したとおりである。 したがって、本件発明6は、当業者が刊行物1記載の発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 (7)本件発明7について 刊行物1記載の発明において、初期設定手段が、ディスプレイ上で項目選択手段により選択した項目ごとにパラメータを予め決めたパラメータに選択するものであることは、前記II2(1)に認定のとおりである。 また、請求項2または4については、前記(2)及び(4)に記したとおりである。 したがって、本件発明7は、当業者が刊行物1記載の発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 (8)本件発明8について 刊行物1記載の発明が、選択されたパラメータにもとづいてフォーマット設定を変更する登録キーを有するものであることは、前記II2(1)に認定のとおりである。 また、請求項3または4については、前記(3)及び(4)に記したとおりである。 したがって、本件発明8は、当業者が刊行物1記載の発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 IV 結び 以上のとおりであって、本件の請求項1ないし8に係る特許は、いずれも、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第1項第2号に該当する。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 1999-04-09 |
出願番号 | 特願平4-179488 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
ZB
(G06F)
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最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 植松 伸二 |
特許庁審判長 |
麻野 耕一 |
特許庁審判官 |
大橋 隆夫 仁木 浩 |
登録日 | 1997-08-11 |
登録番号 | 特許第2689821号(P2689821) |
権利者 | ブラザー工業株式会社 |
発明の名称 | 電子機器 |
代理人 | 中嶋 恭久 |
代理人 | 山本 尚 |