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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H01L
管理番号 1006183
異議申立番号 異議1999-71926  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1994-01-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-05-17 
確定日 1999-09-30 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2826419号「半導体製造装置」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2826419号の特許を維持する。 
理由 (1)手続の経緯
特許第2826419号の請求項1に係る発明は、平成4年7月2日に特許出願され、平成10年9月11日にその特許の設定登録がなされ、その後、宮川 清三郎 より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年8月24日に訂正請求がなされたものである。
(2)訂正の適否についての判断
ア.訂正明細書の請求項1に係る発明
訂正明細書の請求項1に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「減圧気相成長あるいは拡散処理を行うための縦型の処理室にウエハを搭載する石英ボートを出し入れする入炉手段と、前記入炉手段とは別動作で前記石英ボートに隣接した位置で上下して前記石英ボートに搭載されるウエハの状態をモニタするセンサーとを有することを特徴とする半導体製造装置。」
イ.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正は、【請求項1】、【0004】の「縦型の処理室」、「石英ボード」、及び【0006】の「モニタる」を、それぞれ「減圧気相成長あるいは拡散処理を行うための縦型の処理室」、「石英ボート」、及び「モニタする」に訂正するものであって、特許請求の範囲の減縮、及び明りようでない記載の釈明に該当し、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
ウ.独立特許要件の判断
(刊行物に記載された発明)
刊行物1(特開平4-65855号公報(申立人 宮川 清三郎 の提出した甲第1号証))には、
「ウェーハを水平姿勢で多段に保持するボートを有する半導体製造装置に於いて、設置されたボートに対し反射型超音波センサを相対移動可能に取付け、ボートをウェーハ平面に対して垂直方向に相対移動させた場合のボートと超音波センサとの距離を計測しボート設置姿勢を検出する様構成したことを特徴とする半導体製造装置に於けるボート設置姿勢検出装置。」(特許請求の範囲)、
「このCVD拡散装置としてウェーハを水平姿勢で多段に保持し処理を行う、縦型CVD拡散装置がある。処理中、円板形状のウェーハ1は第4図に示すボート2によって支持される。該ボート2は石英製であり、上下の保持板3によって3又は4本の柱4が垂直に支持され、該柱4には所要ピッチで溝32が刻設され、該溝32にウェーハ1が装填され保持される様になっている。第5図に於いて縦型CVD拡散装置について略述する。12は拡散炉、17はロード・アンロードエレベータ、18は移載用エレベータ、19はカセットストッカ、20は操作パネル、21は縦型CVD装置本体を示す。前記ロード・アンロードエレベータ17はボート2を載置し、該ボート2はロード・アンロードエレベータ17の昇降によって、拡散炉12へ装入、取出しされる様になっている。移載用エレベータ18はハンドリングユニット22を具備しており、送リモータ23の駆動により、該ハンドリングユニット22を昇降させる様になっている。」([従来の技術]第1頁右下欄第5行〜第2頁左上欄第8行)、
「上記した様に、カセット内のウェーハを取出し、正確にボート2に移載するには、ボート2が装置に対して正しい姿勢で設置されていなければならない。」([従来の技術]第2頁右上欄第8〜11行)、
「ところが、ボート2の設置作業は、ウェーハ処理プロセスを何バッチか行った後にボート2を交換した後、或いはボート2は反応生成物が付着するので適宜時洗浄、又は新しいものと交換した後、その都度行われるものである。」([発明が解決しようとする課題]第2頁左下欄第2〜6行)、
「而して、ボート2の設置姿勢が適性でない場合、ボート2とハンドリングユニット22との相互関係が正確に移載動作の制御に反映されなければ、ウェーハとボートとが接触、衝突してウェーハ或いはボートの破損を招来し、ウェーハの移載を行えないと共にランニングコストの高騰にもつながる。本発明は斯かる実情に鑑みてなしたものであり、ボートの設置姿勢を正確に検出できるボート設置姿勢検出装置を提供しようとするものである。」([発明が解決しようとする課題]第2頁左下欄第14行〜右下欄第4行)、
「ボートを超音波センサに対して相対移動させてボートと超音波センサとの距離を計測すると、距離の変動によって、ボートの傾き等ボートの設置姿勢が検出される。」([作用]第2頁右下欄第15〜18行)、
「又、上記実施例ではロード・アンロードエレベータ17を利用したが、移載用エレベータ18を利用することも可能である。即ち、ボート2を固定しておき移載用エレベータ18の昇降部に超音波センサ10,11を取付け、移載用エレベータ8を動作させ、超音波センサ10,11をボート2に対して昇降させてもよい。」([実施例]第4頁左上欄第3〜9行)が、第4図、第5図と共に記載されている。
したがって、刊行物1には、
「縦型CVD拡散装置の拡散炉にウェーハを保持する石英製のボートを装入、取出しするロード・アンロードエレベータと、前記ロード・アンロードエレベータとは別動作で前記石英製のボートに隣接した位置で上下して前記石英製のボートと超音波センサとの距離を計測しボート設置姿勢を検出するための超音波センサとを有することを特徴とする半導体製造装置」が記載されていると認められる。
また、刊行物2(特開昭60-85511号公報(申立人 宮川 清三郎 の提出した甲第2号証))には、
「(1)複数個の半導体ウエーハを保持するボートが内部に挿入されて上記半導体ウエーハの不純物熱拡散処理を行うチューブと、このチューブの一方の端部の外側に設けられ上面上に上記ボートを載置して上記ボートの上記チューブ内への出し入れを容易にするボート受けと、上記ボートの上記チューブ内への出し入れを行うボート駆動具と、上記ボート受けをはさんで互いに対向するように設けられ内部に保持された半導体ウエーハを上記ボートへ移し替える第1の移し替え装置および上記ボートに保持された半導体ウエハーを上記第1の移し替え部の内部に送り込んで保持させる第2の移し替え装置とを備えたものにおいて、不純物熱拡散処理時に上記ボートに保持された半導体ウエーハが割れてこの割れた半導体ウエーハの上記ボート上に上記第1の移し替え装置または第2の移し替え装置側に傾いて残つている部分をそれぞれ上記ボート受けの上記チューブ側の端部と上記ボート受けの上記第1および第2の移し替え装置による半導体ウエーハの移し替え位置との間において検知してこの部分の上記移し替え位置への移動を停止する第1および第2の検知手段を設けたことを特徴とする半導体ウエーハの処理装置。
(2)第1および第2の検知手段がそれぞれ不純物熱拡散処理時に割れた半導体ウエーハのボート上に第1の移し替え装置または第2の移し替え装置側に傾いて残つている部分と先端部が接触して作動する第1および第2のマイクロスイツチであることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の半導体ウエーハ処理装置。」(特許請求の範囲)、
「なお、この実施例では、割れたウエーハ(50)のボート(1)上に第1の移し替え装置(5)または第2の移し替え装置(6)側に傾いて残つている部分を検知するのにこの部分と接触するマイクロスイツチ(7)、(8)を用いたが、必ずしもこれはマイクロスイツチである必要はなく、光学的センサーなどのその他の検知手段を用いてもよい。」(〔発明の実施例〕第3頁右下欄第6〜12行)が図面と共に開示されている。
したがって、刊行物2には、
「不純物熱拡散処理を行うチューブに、半導体ウエーハを保持したボートを上面上に載置したボート受けを出し入れするボート駆動具と、不純物熱拡散処理時に上記ボートに保持された半導体ウエーハが割れてこの割れた半導体ウエーハの上記ボート上に第1の移し替え装置または第2の移し替え装置側に傾いて残っている部分を検知してこの部分の移し替え位置への移動を停止する検知手段とを有することを特徴とする半導体ウエーハ処理装置。」が記載されていると認められる。
また、刊行物3(特開平4-44246号公報(申立人 宮川 清三郎 の提出した甲第3号証))には、
「第6図は、従来の半導体ウェハー搬送装置の斜視図である。図において、エレベータ37はZ軸方向に上下動作する機構になっている。カセット38は、エレベータ37の上に置かれ、カセット38のスロット溝39にウェーハ40が収納されている。光センサ発光素子41および反射ミラー42、光センサ受光素子43は、それぞれセンサ固定台45に取付けられており、センサ固定台45は、上下用エアーシリンダー44により上下動作する機構になっている。また、光センサ発光素子41からでた光は、反射ミラー42により反射され光センサ受光素子43に導かれる様にそれぞれ配置されている。搬送アーム46は、Y軸方向に前後動作する機構となっており、先端にはウェハーを真空吸着するためのバキュームホール47が設けられている。次にウェハー搬送の動作説明を行う。それぞれの機構部は、制御部の信号によりシーケンス動作する。第7図(a)、(b)は、、第6図の左側面図である。第7図(a)に示すようにウェハー検出前の動作ではまずエアーシリンダ44によりセンサ固定台が矢印▲1▼の方向に上昇する。この時、光センサ発光素子41から出た光は、センサ光路48を通り、反射ミラー42により、光センサ受光素子43へ入射している。(センサ光路48上にウェハーがないため)。次にカセット38が乗ったエレベータ37が矢印▲2▼の方向へ下降するが、カセット38の一番下段に収納されているウェハー40がセンサ光路48に通っている光を遮断した時点(位置)で下降動作を停止する(ウェハー検出動作)。ウェハー検出動作後、第7図(b)に示すようにエアーシリンダ44によりセンサ固定台45は、矢印▲3▼の方向に下降する。この後、搬送アーム46が矢印▲4▼の方向に、斜線で示したウェハー40の底部まで移動しウェハー40を真空吸着後矢印▲5▼の方向へ移動する。以上の様にしてカセット38に収納されているウェハー40をカセット38の外部へ取り出すようになっていた。」(〔従来の技術〕第2頁左上欄第8行〜左下欄第8行)が、第6、7図と共に記載されている。
したがって、刊行物3には、
「ウェハーを収納するカセットを上下動作する機構と、前記カセットを上下動作する機構とは別動作で上下動するセンサ固定台に取り付けられた光センサ発光素子および反射ミラー、光センサ受光素子とを有することを特徴とする半導体ウェハー搬送装置」が、記載されていると認められる。
(対比・判断)
訂正明細書の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)と上記刊行物1に記載された発明とを対比すると、本件発明の、「減圧気相成長あるいは拡散処理を行うための縦型の処理室」、「入炉手段」は、それぞれ刊行物1に記載された発明の「縦型CVD拡散装置の拡散炉」、「ロード・アンロードエレベータ」に相当するから、両者は「減圧気相成長あるいは拡散処理を行うための縦型の処理室にウエハを搭載する石英ボートを出し入れする入炉手段と、センサーとを有することを特徴とする半導体製造装置」である点で一致する。
一方、本件発明のセンサが「前記入炉手段とは別動作で前記石英ボートに隣接した位置で上下して前記石英ボートに搭載されるウエハの状態をモニタするセンサー」であるのに対して、刊行物1に記載された発明のセンサは「前記入炉手段とは別動作で前記石英ボートに隣接した位置で上下して石英製のボートと超音波センサとの距離を計測しボート設置姿勢を検出するための超音波センサ」である点で相違する。
そこで、上記相違点について検討する。
本件発明は、「前記入炉手段とは別動作で前記石英ボートに隣接した位置で上下して前記石英ボートに搭載されるウエハの状態をモニタするセンサー」を有する為に、入炉とは別動作でのモニタが可能である。
そして、本件発明は、入炉とは別動作でのモニタが可能であるウエハの状態をモニタするセンサーを、「減圧気相成長あるいは拡散処理を行うための縦型の処理室にウエハを搭載する石英ボートを出し入れする入炉手段」と組み合わせたことにより、本願明細書に記載された所定の効果、すなわち、ウェハチャックをボード内に挿入する前にボート内のウェハの異常が無いことを確認することで、ウェハ異常に起因するウェハチャック破損、ボート破損を防止し、且つ、ボート内のウェハ設置状態をモニタする際の、自然酸化膜付着に対する効果を有するものと認められる。
一方、刊行物1に記載された発明は、「前記入炉手段とは別動作で前記石英ボートに隣接した位置で上下して石英製のボートと超音波センサとの距離を計測しボート設置姿勢を検出するための超音波センサ」を有しているが、前記超音波センサは、ボートと超音波センサとの距離を計測しボート設置姿勢を検出するためのセンサであって、ウエハの状態をモニタするものではない。したがって、該超音波センサと「減圧気相成長あるいは拡散処理を行うための縦型の処理室にウエハを搭載する石英ボートを出し入れする入炉手段」との組み合わせを有する刊行物1に記載された発明は、本件発明とは異なり、ウェハチャックをボード内に挿入する前にボート内のウェハの異常が無いことを確認することで、ウェハ異常に起因するウェハチャック破損、ボート破損を防止し、且つ、ボート内のウェハ設置状態をモニタする際の、自然酸化膜付着に対する効果を有するとは認められない。
そして、刊行物1には、入炉とは別動作でのモニタが可能であるウエハの状態をモニタするセンサについては記載も示唆もされていない。
したがって、本件発明が刊行物1に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。
一方、刊行物2には、「不純物熱拡散処理時に上記ボートに保持された半導体ウエーハが割れてこの割れた半導体ウエーハの上記ボート上に第1の移し替え装置または第2の移し替え装置側に傾いて残っている部分を検知してこの部分の移し換え位置への移動を停止する検知手段」が、また、刊行物3には「前記カセットを上下動作する機構とは別動作で上下動するセンサ固定台に取り付けられた光センサ発光素子および反射ミラー、光センサ受光素子」が、記載されている。
ここで、刊行物2の「検知手段」、刊行物3の「センサ固定台に取り付けられた光センサ発光素子および反射ミラー、光センサ受光素子」は、それぞれ、「割れたウエーハがボート上に傾いて残っていること」の検出、「カセットに収納されているウェハー」の検出をするものである。
したがって、前記「検知手段」及び「センサ固定台に取り付けられた光センサ発光素子および反射ミラー、光センサ受光素子」は、それぞれ本件発明の「ウエハの状態をモニタするセンサー」の一種であると認められる。
しかしながら、刊行物1,2,3のいずれにも、該「ウエハの状態をモニタするセンサー」を入炉とは別動作でモニタ可能に「減圧気相成長あるいは拡散処理を行うための縦型の処理室にウエハを搭載する石英ボートを出し入れする入炉手段」と組み合わせる点については、記載も示唆も認められない。
したがって、刊行物1と、刊行物2,3を組み合わせても、当業者が本件発明を容易に想到することができたとは認められない。
そして、本件発明は、上記組み合わせを有することにより、本願明細書に記載された所定の効果、すなわち、ウェハチャックをボード内に挿入する前にボート内のウェハの異常が無いことを確認することで、ウェハ異常に起因するウェハチャック破損、ボート破損を防止し、且つ、ボート内のウェハ設置状態をモニタする際の、自然酸化膜付着に対する効果を有するものと認められる。
(まとめ)
したがって、本件発明が上記刊行物1〜3に記載のものから当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、本件発明は特許出願の際独立して特許を受けることができない発明であるとすることはできない。
エ.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2-4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
(3)特許異議申立てについての判断
ア.申立ての理由の概要
申立人 は、本件発明は、甲第1号証(特開平4-65855号公報)、甲第2号証(特開昭60-85511号公報)、甲第3号証(特開平4一44246号公報)をもとに当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるから、特許を取り消すべきと主張している。
イ.本件発明
本願の請求項1に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「減圧気相成長あるいは拡散処理を行うための縦型の処理室にウエハを搭載する石英ボートを出し入れする入炉手段と、前記入炉手段とは別動作で前記石英ボートに隣接した位置で上下して前記石英ボートに搭載されるウエハの状態をモニタするセンサーとを有することを特徴とする半導体製造装置。」
ウ.当審の判断
申立人 宮川 清三郎 の提出した甲第1〜3号証には、上記「ウ、独立特許要件の判断(刊行物)」の欄で示した事項が記載されている。
しかしながら、申立人の上記主張は、上記「ウ、独立特許要件の判断(対比・判断)」で検討したとおりであって、理由がない。
エ.以上のとおりであるから、特許異議申立の理由及び証拠によっては本件請求項1に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
半導体製造装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 減圧気相成長あるいは拡散処理を行うための縦型の処理室にウエハを搭載する石英ボートを出し入れする入炉手段と、前記入炉手段とは別動作で前記石英ボートに隣接した位置で上下して前記石英ボートに搭載されるウエハの状態をモニタするセンサーとを有することを特徴とする半導体製造装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体製造装置に関し、特に縦型減圧式気相成長装置あるいは縦型拡散装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の縦型半導体製造装置では、気相成長あるいは拡散処理を行うために処理室に半導体基板(以後ウェハと称す)を出し入れする際、石英製のボートに移載されたウェハのボート内での設置状態(ボート内でウェハの割れはないか、または溝やリングからのウェハの脱落は無いか等)を検出するための手段は設けられていなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この従来の半導体製造装置では、ボート上のウェハ設置状況を確認する手段を備えていなかったために、特にボートからキャリアへのウェハ立替時に、ボート溝からのウェハ脱落やボート内でのウェハ割れがあるにもかかわらず、ウェハチャックを破損させたり、ボート本体を破損させ、ボートに移載されていたウェハ全部を割ってしまう等の問題点があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】 本発明の半導体製造装置は、減圧気相成長あるいは拡散処理を行うための縦型の処理室にウエハを搭載する石英ボートを出し入れする入炉手段と、入炉手段とは別動作で石英ボートに隣接した位置で上下して石英ボートに搭載されるウエハの状態をモニタするセンサーとを有する。
【0005】
【実施例】次に本発明について図面を参照して説明する。図1は本発明の参考例を示す構成図である。ウェハ1は、保温塔2上に置かれた石英ボート3にキャリアから立替えられる。これらは全てハッチ4上に置かれ、ハッチ4はモータ5により駆動されるボールねじ6,ベアリング7を介して上下に動き、装置上部のヒータ8で加熱された処理室9に導入される。また、処理室9の出入口近傍には、ウェハセンサ10を付設する。
【0006】ここで、モータ5によりウェハ1を処理室9内に人出炉する際に、ウェハセンサ10にてボート3内のウェハ1の設置状態をモニタする。このウェハセンサ10からの出力信号を図2に示す。ウェハ1が正しくボート3に乗っている時は図2(a)の様な規則正しい出力となる。しかし、ウェハ1の割れや脱落等があった時には、ウェハセンサ10からの出力信号は図2(b)の様な不規則なものとなってしまう。この信号によりウェハ1の異常を検出し、装置異常をアラームを出して作業者に知らせ、修正処置を要求する。
【0007】図3の構成図に本発明の実施例を示す。本実施例では、モータ12で駆動されるボールねじ11に支持され、上下運動を行なうウェハセンサ10によって、ボート3内のウェハ状態のモニタを行なう。本例では、入炉とは別動作でのモニタが可能であるために、自然酸化膜付着に対して効果がある。
【0008】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、ボート内のウェハ設置状態をモニタするセンサを取り付けることにより、ボート内のウェハの異常が無いことを確認した後にウェハチャックをボート内に挿入するので、ウェハ異常に起因するウェハチャック破損、ボート破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の参考例の構成図である。
【図2】参考例におけるセンサ出力を示す図で、同図(a)は正常時、同図(b)は異常時のそれぞれ出力図である。
【図3】本発明の実施例の構成図である。
【符号の説明】
1 ウェハ
2 保温塔
3 ボート
4 ハッチ
5 モータ
6 ボールねじ
7 ベアリング
8 ヒータ
9 処理室
10 ウェハセンサ
11 ボールねじ
12 モータ
 
訂正の要旨 訂正の要旨
▲1▼訂正事項a
特許請求の範囲の記載「縦型の処理室にウエハを搭載する石英ボードを出し入れする入炉手段と、前記入炉手段とは別動作で前記石英ボードに隣接した位置で上下して前記石英ボードに搭載されるウエハの状態をモニタするセンサーとを有することを特徴とする半導体製造装置。」を、特許請求の範囲の減縮及び不明瞭な記載の釈明を目的として、「減圧気相成長あるいは拡散処理を行うための縦型の処理室にウエハを搭載する石英ボートを出し入れする入炉手段と、前記入炉手段とは別動作で前記石英ボートに隣接した位置で上下して前記石英ボートに搭載されるウエハの状態をモニタするセンサーとを有することを特徴とする半導体製造装置。」と訂正する。
▲2▼訂正事項b
特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、明瞭でない記載の釈明を目的として特許公報【0004】の欄の全文を「【課題を解決するための手段】 本発明の半導体製造装置は、減圧気相成長あるいは拡散処理を行うための縦型の処理室にウエハを搭載する石英ボートを出し入れする入炉手段と、入炉手段とは別動作で石英ボートに隣接した位置で上下して石英ボートに搭載されるウエハの状態をモニタするセンサーとを有する。
」と訂正する。
▲3▼訂正事項c
特許公報【0006】の欄「ウェハ1の設置状態をモニタる。」を、明瞭でない記載の釈明を目的として、「ウェハ1の設置状況をモニタする。」と訂正する。
異議決定日 1999-09-17 
出願番号 特願平4-175140
審決分類 P 1 651・ 121- YA (H01L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 中西 一友長谷山 健  
特許庁審判長 今野 朗
特許庁審判官 加藤 浩一
橋本 武
登録日 1998-09-11 
登録番号 特許第2826419号(P2826419)
権利者 九州日本電気株式会社
発明の名称 半導体製造装置  

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