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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C02F
管理番号 1007454
異議申立番号 異議1998-71976  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1993-03-02 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-04-20 
確定日 1999-09-24 
異議申立件数
事件の表示 特許第2668467号「汚水処理方法」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第2668467号の特許を取り消す。 
理由 (1)手続の経緯
特許第2668467号に係る発明についての出願は、平成3年8月16日に特許出願され、平成9年7月4日にその発明について特許の設定登録がなされ、その後、その特許について、異議申立人近見勇生およびユニチカ株式会社より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成10年11月20日に訂正請求がなされた後、訂正拒絶理由が通知され、訂正拒絶理由通知に対して手続補正書が提出されたものである。
(2)訂正の適否についての判断
ア.訂正請求に対する補正の適否について
特許権者は、訂正請求書の特許請求の範囲の「単一の反応槽内において、汚水を連続的に撹拌しながら間欠的に曝気し、該槽内を嫌気状態と好気状態とに交互に切換えることにより汚水を処理する方法であって、槽内のDO値を検知することにより、間欠曝気1サイクルにおいて、空気を供給する時間のうち槽内のDOが0.5mg/1を上回る時間と、空気の供給を停止した時から槽内DOが0.5mg/1を下回る時間とよりなる、高DOレベル時間Bに対して、空気の供給を停止している時間のうち、槽内DOが0.2mg/1を下回る時間Aの割合であるA/B比が0.6〜1.0の範囲になるように、該槽内に設置した混合撹拌と酸素溶解を行う水中エアレー夕、酸素供給を行うブロワ、DOセンサーおよびタイマーを連動させDO制御運転をすることを特徴とする、汚水処理方法。」を「単一の反応槽内において、該槽内に混合撹拌と酸素溶解を行う水中エアレー夕、酸素供給を行うブロワ、DOセンサ-およびタイマ-を設置・連動させ、汚水を連続的に撹拌しながら間欠的にばつ気し、該内を嫌気状態と好気状態とに交互に切り替えることにより汚水を処理する方法であって、ブロワと水中エアレ-タにより空気の供給開始後,槽内DOが0.5mg/1に達した時点でタイマーをス夕-トさせ、それから槽内DOが上昇を続け、その後しばらくしてブロワを停止するとDOが下降し、再び槽内DOが0.5mg/1になるまでの、間欠曝気1サイクルにおける好気状態下の高DOレベル時間Bを計測し、
次いでさらに槽内DOが0.2mg/1まで下降した時に別のタイマ-をスタートさせ、槽内DOが0.2mg/1を下回る嫌気状態下の時間Aを計測して、A/B比が0.6〜1.0の範囲内になるように、嫌気状態下の時間Aを増減、制御し、所定の時間Aに達したときに再びブロワが稼動して間欠曝気サイクルを繰り返すようにしてDO制御運転をすることを特徴とする、汚水処理方法。」とする補正をするものであり、当該訂正請求に対する補正は、訂正請求書の要旨を変更するものではなく、特許法第120条の4第3項において準用する同法第131条第2項の規定に適合する。
イ.訂正明細書の請求項1に係る発明
平成10年11月20日付けで提出され、その後補正された訂正明細書の請求項1に係る発明は、その請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「単一の反応槽内において、該槽内に混合撹拌と酸素溶解を行う水中エアレ-夕、酸素供給を行うブロワ、DOセンサ-およびタイマ-を設置・連動させ、汚水を連続的に撹拌しながら間欠的にばつ気し、該槽内を嫌気状態と好気状態とに交互に切り替えることにより汚水を処理する方法であって、ブロワと水中エアレ-タにより空気の供給開始後,槽内DOが0.5mg/1に達した時点でタイマーをス夕-トさせ、それから槽内DOが上昇を続け、その後しばらくしてブロワを停止するとDOが下降し、再び槽内DOが0.5mg/1になるまでの、間欠曝気1サイクルにおける好気状態下の高DOレベル時間Bを計測し、次いでさらに槽内DOが0.2mg/1まで下降した時に別のタイマ-をス夕-トさせ、槽内DOが0.2mg/1を下回る嫌気状態下の時間Aを計測して、A/B比が0.6〜1.0の範囲内になるように、嫌気状態下の時間Aを増減、制御し、所定の時間Aに達したときに再びブロワが稼動して間欠曝気サイクルを繰り返すようにしてDO制御運転をすることを特徴とする、汚水処理方法。」
ウ.引用刊行物記載の発明
訂正明細書の請求項1に係る発明に対し、当審が訂正拒絶理由通知において示した刊行物1(京都大学環境衛生工学研究会、第12回シンポジウム講演論文集、第23頁ないし30頁、1990年6月29日、京都大学環境衛生工学研究会発行)には、「間欠ばっ気プロセスにおいて、効率的な窒素除去を促す必要条件として、ばっ気サイクルがあり、無酸素状態と好気状態での反応時間を適正に保持し、それを繰り返す必要がある。・・・
A 嫌気レベル時間:混合液のDOが0.2mg/1以下の時
B 好気レベル時間:混合液のDOが0.5mg/1以上の時
・・・・A/B比は0.6〜1.0の範囲が適当であり、」、「したがって、流入水の負荷変動が生じる実施設の設計においては、ばっ気サイクルのタイマー制御とともに、ブロアの回転数、水中エアレーターの回転数変換によるDO制御の組み合わせが必要である。」と記載されている。
エ.対比・判断
補正後の訂正明細書の特許請求の範囲に記載された発明と、刊行物1に記載の発明とを対比すると、刊行物1には、上記したように「ばっ気サイクルのタイマー制御とともに、ブロアの回転数、水中エアレーターの回転数変換によるDO制御が必要である」と記載されているように、引用例1に記載の発明も当然水中エアレータ、ブロワ、DOセンサーおよびタイマーを設置・連動させていると考えられるから、両者は、B/A比が0.6〜1.0の範囲内になるように、間欠曝気サイクルを繰り返すようにしてDO制御運転する汚水処理法で一致し、本願発明では、嫌気状態下の時間Aを増減、制御するのに対し、刊行物1に記載の発明では、なにを増減、制御するかは記載がない点で相違する。しかしながら、B/A比を一定の値にする際に、どちらの因子を増減、制御するかは二者択一的なことであり、当業者であれば適宜選択し得ることである。
したがって、補正後の訂正明細書の請求項1に係る発明は、刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
オ.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項で準用する同第126条第4項の規定に適合しないので、当該訂正は認められない。
3)特許異議申立てについて
ア.本件発明
特許第2668467号の請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「単一の反応槽内において、汚水を連続的に撹拌しながら間欠的に曝気し、該槽内を嫌気状態と好気状態とに交互に切換えることにより汚水を処理する方法であって、間欠曝気1サイクルにおいて、空気を供給する時間のうち槽内のDOが0.5mg/1を上回る時間と、空気の供給を停止した時から槽内DOが0.5mg/1を下回る時間とよりなる、高DOレベル時間Bに対して、空気の供給を停止している時間のうち、槽内DOが0.2mg/1を下回る時間Aとの割合であるA/B比が0.6〜1.0の範囲になるように運転をすることを特徴とする、汚水処理方法。」
イ.特許法第29条第1項違反について
当審が平成10年9月21日に通知した取消理由において引用した刊行物4(訂正拒絶理由に引用した刊行物1に同じ)上記(2)ウ.に記載のとおりの発明が記載されている。
本件発明と刊行物4に記載された発明とを対比すると、両者はA/B比を0.6〜1.0の範囲になるように運転をする汚水処理方法である点で一致し、表現上の微差があるものの、このような表現上の微差に格別の差異困難性があるとすることはできない。
したがって、本件発明は、刊行物4に記載された発明であるから、本件発明についての特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものである。
ウ.むすび
以上のとおりであるから、本件発明についての特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 1999-08-09 
出願番号 特願平3-229546
審決分類 P 1 651・ 121- ZB (C02F)
最終処分 取消  
前審関与審査官 鈴木 由紀夫  
特許庁審判長 沼澤 幸雄
特許庁審判官 山田 充
野田 直人
登録日 1997-07-04 
登録番号 特許第2668467号(P2668467)
権利者 株式会社クボタ
発明の名称 汚水処理方法  
代理人 植松 茂  

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