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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H01L
管理番号 1007574
異議申立番号 異議1999-70634  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1995-08-04 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-12-18 
確定日 2000-01-17 
異議申立件数
事件の表示 特許第2791286号「半導体装置」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第2791286号の特許を維持する。 
理由 (一)本件発明
本件特許第2791286号の特許請求の範囲第1及び2項に係る発明(昭和62年6月10日に出願した特願昭62-143131号の一部を平成6年12月5日に新たに出願し、平成10年6月12日に設定登録したものである。)は、特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲第1及び2項に記載された下記のとおりのものである。
「1.歪温度が約640℃であるガラス基板と、前記ガラス基板上に形成され、ドレイン領域、チャネル領域及びソース領域を有し、これらの領域が{111}を主体とした配向を持つ多結晶シリコンである半導体層と、
前記ドレイン領域、チャネル領域及びソース領域に対応して形成された複数の電極とを有する薄膜半導体装置。
2.請求項1において、前記チャネル領域に対応して形成される前記電極はゲート電極であり、このゲート電極は絶縁層を介して形成されている薄膜半導体装置。」
(二)申立の理由の概要
申立人佐藤勝明は、甲第1号証(特開昭61-127118号公報)、甲第2号証(特開昭60-154548号公報)及び甲第3号証(特開昭57-10224号公報)を提出し、特許請求の範囲第1及び2項に係る発明は、甲第1〜3号証記載の発明に基づき当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定によって特許を取り消すべきであると主張する。
(三)甲各号証記載の発明
甲第1号証には、石英基板等の基板上の600℃のアニール温度で形成された主配向が{111}の多結晶シリコンと、1000℃程度の熱処理でPSG膜より燐を拡散させて形成されたソース領域及びドレイン領域とを有する多結晶薄膜トランジスタが記載されており、甲第2号証には、多結晶シリコン層をレーザ照射により再結晶化または単結晶化した{111}面を有する半導体層に砒素イオンを注入して形成したソース、ドレインを有する半導体装置が記載されており、甲第3号証には、膜に垂直な方向がほぼ{111}の石英ガラス基板上に形成されたシリコン単結晶膜が記載されている。
(四)本件特許請求の範囲第1及び2項に係る発明と甲各号証記載の発明との対比・判断
第1項に係る発明と甲第1号証記載のものとを対比すると、基板として、第1項に係る発明が歪温度が約640℃であるガラス基板を有するのに対して、甲第1号証記載のものが石英基板等の基板を有する点で両者は相違する。確かに甲第1号証には基板として石英基板の他に必要に応じて種々の基板を用いることができると記載されているが、甲第1号証記載の多結晶薄膜トランジスタはソース領域及びドレイン領域形成に際して1000℃程度の熱処理でPSG膜より燐を拡散させるのであるから、歪温度が約640℃であるガラス基板を用いることは不可能であり、甲第2号証にはソース領域及びドレイン領域の形成方法として不純物の注入法が記載されているが、注入後の不純物の活性化については何ら記載されておらず、歪温度が約640℃であるガラス基板を用いることのできる方法で不純物の活性化を行い得るとの記載も示唆もない。なお、甲第3号証にはソース領域及びドレイン領域の形成については何ら記載されていない。よって、上記相違点は当業者が容易に想到し得たものとはいえない。したがって、第1項に係る発明が甲第1〜3号証記載のものから容易に発明し得たとはいえない。
また、第2項に係る発明についても上記と同様の理由により上記甲第1〜3号証記載の発明に基づき当業者が容易に発明できたとはいえない。
(五)むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては本件特許請求の範囲第1及び2項に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許請求の範囲第1及び2項に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 1999-12-22 
出願番号 特願平6-300519
審決分類 P 1 651・ 121- Y (H01L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 河本 充雄  
特許庁審判長 今野 朗
特許庁審判官 橋本 武
岡 和久
登録日 1998-06-12 
登録番号 特許第2791286号(P2791286)
権利者 株式会社日立製作所
発明の名称 薄膜半導体装置  
代理人 作田 康夫  

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