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審決分類 審判 補正却下不服 (159条1項、163条1項、174条1項で準用)  G03B
管理番号 1008535
審判番号 補正審判1999-50123  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1994-05-20 
種別 補正却下不服の審決 
審判請求日 1999-10-20 
確定日 2000-01-05 
事件の表示 平成5年特許願第173607号「バッテリーチェック装置及び太陽電池により充電される電源を使用するカメラ」において、平成11年7月12日付けでした手続補正に対してされた補正の却下の決定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原決定を取り消す。 
理由 1.手続の経緯
本願は平成5年6月22日(先の出願に基づく優先日:平成4年9月10日)の出願であって、平成11年7月12日付けで手続補正がなされたところ、原審においてこの手続補正について平成11年9月8日に補正の却下の決定をしたものである。
2.原決定の理由
上記補正却下の決定(以下、「原決定」という。)の理由は次のとおりのものである。
「補正後の請求項1〜4の「〜バッテリーチェック装置」は、カメラ以外の装置に用いられるバッテリーチェック装置をも含むと解されるが、このカメラ以外の装置に用いられるバッテリーチェック装置は、出願当初の明細書または図面に記載されておらず、かつ、同明細書または図面からみて自明とも認められないから、この補正は明細書の要旨を変更するものと認める。
したがって、この補正は特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
なお、出願当初の明細書の【0007】に「本発明のカメラまたはバッテリーチェック装置」という記載があるが、出願当初の請求項1、2には、「バッテリーチェック装置」なる記載はなく、この「本発明の〜バッテリーチェック装置」という記載が何を示すのかが不明であるから、この記載により、カメラ以外の装置に用いられるバッテリーチェック装置が、出願当初の明細書に記載されていると認めることはできない。また、出願当初の明細書の【0008】に「以上の構成のカメラまたはバッテリーチェック装置」という記載があるが、この記載は出願当初の明細書の【0007】の「本発明のカメラまたはバッテリーチェック装置」を指すと認められ、前述と同様に、この記載により、カメラ以外の装置に用いられるバッテリーチェック装置が、出願当初の明細書に記載されていると認めることはできない。」
3.補正の内容
まず、補正の内容を検討するに、上記日付でした手続補正は、特許請求の範囲の請求項1〜4の記載を以下のように補正する内容を含むものである。
「【請求項1】太陽電池により充電される電源のバッテリーチェック装置において、該電源の充電状態を判定する判定手段と、該判定手段を所定の時間間隔で作用させるための制御手段とを有し、該制御手段は該判定手段を作用させる所定の時間間隔を変化させることを特徴とするバッテリーチェック装置。
【請求項2】該制御手段は時刻を出力する時計回路を有し、該時計回路の出力に基づいて該判定手段を作用させる所定の時間間隔を変化させることを特徴とする請求項1記載のバッテーリチェック装置。
【請求項3】該制御手段は該時計回路の出力から日中/夜間を判別し、日中と判別される場合には、夜間と判別される場合に比べて該所定の時間間隔を短くすることを特徴とする請求項2記載のバッテリーチェック装置。
【請求項4】該制御手段は該判定手段を作用させる際に、該太陽電池が所定の充電を行っていない場合は、該判定手段の作用を規制することを特徴とする請求項1ないし3記載のバッテリーチェック装置。」
4.判断
4-1.次に、願書に最初に添付された明細書の記載を検討する。同明細書の発明の詳細な説明中、「発明が解決しようとする課題」の説明において、「【0005】ところが、太陽電池と2次電池を組み合わせたシステムでは、太陽電池から2次電池への充電動作はカメラ携帯中や放置中のカメラ不動作時にも行われる。それゆえ、その充電中にもバッテリーチェックを行い残量表示の更新を行わなければ表示が信頼できなくなるといった問題があった。。更に、バッテリーチェック動作を行うためには、マイコンや周辺のアナログ回路に電力を供給する必要があるため、その回路である程度の電力消費は覚悟しなければならない。そして、カメラとしてはいつ充電動作が行われるか予測できないので、表示の精度を上げるために頻繁にバッテリーチェック動作を行うと、バッテリーチェック動作自体での無駄な電力消費を増大させてしまうことになり好ましくないといった問題がある。」と記載され、この記載から、本願発明が解決しようとする課題として、カメラの電源システムの構成から生じる問題点はもとより、太陽電池と2次電池を組み合わせたシステムにおける問題点をも含んでいることが読みとれる。なお、当該記載において、「カメラ」とあるのは、太陽電池と2次電池を組み合わせたシステムの例示と解することができ、カメラ以外の、太陽電池と2次電池を組み合わせたシステム自体は同明細書の記載から当業者に自明の事項である。
さらに、同明細書中、「問題を解決するための手段」の説明において、「【0007】【課題を解決するための手段】前述の目的を達成するために、本発明のカメラまたはバッテリーチェック装置は、太陽電池と、該太陽電池により充電される2次電池と、該2次電池の充電状態をチェックするためのバッテリーチェック手段と、該バッテリーチェック手段によりチェックされた前記2次電池の充電状態を報知するための報知手段と、該バッテリーチェック手段を所定の間隔で作用させるための時計手段とを備えるものである。さらに、該時計手段は、該バッテリーチェック手段を作用させる前記所定の間隔を充電動作の度合いが高いと予想される期間と充電動作の度合いが低いと予想される期間とで変化させるための手段を有するものである。」と記載され、「作用」の説明において、「【0008】【作用】以上の構成のカメラまたはバッテリーチェック装置は、バッテリーチェック手段を時計手段で制御して、バッテリーチェック動作を行い、報知手段により太陽電池により充電される2次電池の充電状態を適切に知ることができる。また、、例えば太陽電池による充電の頻度の高い日中は頻繁にバッテリーチェック動作を行い、逆にその頻度の低い夜間はチェック動作の頻度を下げるか、または全く行わないようにして、太陽電池により充電される2次電池の充電状態の報知の信頼性を落とすことなく、バッテリーチェック動作自体による無駄な電力消費を押えることができる。」と記載されている。従って、同明細書には、前記課題を解決するための「太陽電池と、該太陽電池により充電される2次電池と、該2次電池の充電状態をチェックするためのバッテリーチェック手段と、該バッテリーチェック手段によりチェックされた前記2次電池の充電状態を報知するための報知手段と、該バッテリーチェック手段を所定の間隔で作用させるための時計手段とを備えるものである。さらに、該時計手段は、該バッテリーチェック手段を作用させる前記所定の間隔を充電動作の度合いが高いと予想される期間と充電動作の度合いが低いと予想される期間とで変化させるための手段を有する」という構成(以下、「課題解決手段」という。)を「カメラ」及び「バッテリーチェック装置」に適用することが記載されている。
4-2.してみると、本願の願書に最初に添付した明細書の「問題を解決するための手段」、「作用」の説明には、課題解決手段を「カメラ」及び「バッテリーチェック装置」に適用することが記載され、「発明が解決しようとする課題」の説明を参酌すると、該課題解決手段が従来の「太陽電池と2次電池を組み合わせたシステム」の問題点を解決するものでもあることが読みとれる。さらに、該課題解決手段は、カメラに特有の構成を必須の構成としていないのである。よって、同明細書には「バッテリーチェック装置」自体が実質的に記載されていたのであるから、原決定における、「カメラ以外の装置に用いられるバッテリーチェック装置は、出願当初の明細書または図面に記載されておらず、かつ、同明細書または図面からみて自明とも認められない」とした原審の判断は失当であり、この点をもって明細書の要旨を変更するものとすることはできない。
5.むすび
以上のとおり、これを却下すべきものとした原決定は失当である。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 1999-12-08 
出願番号 特願平5-173607
審決分類 P 1 7・ 56- W (G03B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 伊藤 昌哉  
特許庁審判長 森 正幸
特許庁審判官 辻 徹二
綿貫 章
発明の名称 バッテリーチェック装置及び太陽電池により充電される電源を使用するカメラ  
代理人 田村 光治  

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