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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L |
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管理番号 | 1008559 |
審判番号 | 審判1998-6739 |
総通号数 | 8 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1997-12-12 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1998-04-23 |
確定日 | 2000-01-14 |
事件の表示 | 平成8年特許願第153298号「半導体装置の製造方法」拒絶査定に対する審判事件(平成9年12月12日出願公開、特開平9-321047)について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.本願の経緯および本願発明の要旨 本願は、平成8年5月24日の出願であって、その請求項1に係る発明(以下、「本願第1発明」という。)は、平成10年1月9日付けの手続補正書で補正された明細書及び図面からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。 「配線が形成された半導体基板上に、バイアスCVD酸化膜を形成した後、プラズマ酸化膜を形成し、化学機械研磨法を用いて配線上の前記酸化膜を研磨し、平坦化する半導体装置の製造方法。」 2.引用刊行物記載の発明 これに対して、原審の拒絶の理由に引用された、本願出願日前に頒布された刊行物である特開平2-89346号公報(以下、「引用例1」という)には、 「近年、半導体装置の高集積化に伴い多層配線構造には絶縁膜による平坦化技術が必須となってきた。この技術としては、現在、薄膜の形成時に基板側にも直流又は交流バイアスを加え、基板表面のスパッタリングを行いつつ薄膜を堆積する方法、すなわちバイアス・スパッタ法、バイアス・プラズマCVD法、バイアス・ECRプラズマCVD法などが知られている(以下、これらを総称して「基板バイアスを印加する方法」という。)。なお、これらの方法を利用する際においては、薄膜のリーク電流(通常のプラズマCVD法によるSiO2膜と比較した場合、リーク電流は100倍以上になる(測定温度約200℃)。)を低減させること及び生産性を良くすることを考慮に入れて、絶縁膜は、一般に生産性が良い通常のプラズマCVD法等によるSiO2膜又はSiON膜と基板バイアスを印加する方法による膜との積層膜構造にしている。従来、多層配線構造の一例としては第4図(a)、(b)に示す、半導体基板41上に熱酸化膜42を介して形成された第1層金属配線43上に、基板バイアスを印加する方法による第1の絶縁膜44及び通常のプラズマCVD法による第2の絶縁膜45が形成され(同図(a)参照)、この第2の絶縁膜45上に第2層金属配線46が形成されたもの(同図(b)参照)がある。」((従来の技術)第1頁左下欄第19行〜第2頁左上欄第4行)が記載されており、また、第4図(a)、(b)には、凹凸の表面を有する第2の絶縁膜45と、その上に形成された第2層金属配線46が記載されている。 したがって、上記各記載から、引用例1には、「第1層金属配線が形成された半導体基板上に、バイアス・ECRプラズマCVD法などが知られている「基板バイアスを印加する方法」により第1のSiO2膜を形成した後、プラズマCVD法による第2のSiO2膜を形成する半導体装置の製造方法」という、絶縁膜による平坦化技術に係る発明が記載されているものと認められる。 同じく原審の拒絶の理由に引用された、本願出願日前に頒布された刊行物である特開平8-45882号公報(以下、「引用例2」という)には、「近年における半導体装置の高集積化に伴って配線構造が複雑化され、多層配線構造の必要性が求められている。この多層配線構造では、配線層と絶縁層とを積層するために、絶縁膜の表面の平坦性が悪いと上層の配線層に断切れ等が生じ易く、このために絶縁膜の表面の平坦化が求められている。このような要求に基づき、本発明者は種々の平坦化技術を開発しており、例えば、図4に示す方法について現在実用化の検討を行っている。即ち、この方法は、先ず図4(a)のように、半導体基板401にゲート電極やゲート配線402を含む素子が形成されており、その表面に絶縁膜403及び所要パターンの配線層404が形成されている半導体装置に対し、全面にプラズマCVDシリコン酸化膜(SiO2)405を成膜し、続いて微細パターンの埋込性に優れるO3TEOSNSG膜406を成膜し、更にその上にプラズマCVDSiO2膜407を成膜する。続いて図4(b)のように、CMP法により最上層のプラズマCVDSiO2膜407の表面を研磨し平坦化する。」(【従来の技術】【0002】〜【0004】)が、図4(a)、(b)と共に記載されている。 したがって、上記各記載から、引用例2には、「配線層404が形成された半導体基板に、プラズマCVDシリコン酸化膜405を成膜し、続いてO3TEOSNSG膜406を成膜し、更にその上にプラズマCVDSiO2膜407を成膜し、続いてCMP法により最上層のプラズマCVDSiO2膜407の表面を研磨して平坦化する方法。」が記載されているものと認められる。 3.対比 本願第1発明と引用例1に記載された発明とを対比すると、本願第1発明の「配線」、「バイアスCVD酸化膜」、「プラズマ酸化膜」は、それぞれ、引用例1に記載された発明の「第1層金属配線」、「バイアス・ECRプラズマCVD法などが知られている「基板バイアスを印加する方法」により形成された第1のSiO2膜」、「プラズマCVD法による第2のSiO2膜」に相当する。 従って、本願第1発明と引用例1に記載された発明は、「配線が形成された半導体基板上に、バイアスCVD酸化膜を形成した後、プラズマ酸化膜を形成する半導体装置の製造方法。」である点で一致し、本願第1発明は、プラズマ酸化膜を形成する工程の後に「化学機械研磨法を用いて配線上の前記酸化膜を研磨し、平坦化する」工程を有するのに対して、引用例1に記載された発明はこのような工程を有していない点で相違する。 一方、本願第1発明と引用例2に記載された発明とを対比すると、本願第1発明の「配線」、「プラズマ酸化膜」、「化学機械研磨法」は、それぞれ、引用例2に記載された発明の「配線層」、「プラズマCVDSiO2膜」、「CMP法」に相当するから、引用例2には、「配線が形成された半導体基板上に、プラズマ酸化膜を形成し、化学機械研磨法を用いて配線上の前記酸化膜を研磨し、平坦化する半導体装置の製造方法。」という発明が記載されていると認められる。 4.当審の判断 上記相違点について検討する。 引用例1の「近年、半導体装置の高集積化に伴い多層配線構造には絶縁膜による平坦化技術が必須となってきた。」との記載、引用例2の「近年における半導体装置の高集積化に伴って配線構造が複雑化され、多層配線構造の必要性が求められている。この多層配線構造では、配線層と絶縁層とを積層するために、絶縁膜の表面の平坦性が悪いと上層の配線層に断切れ等が生じ易く、このために絶縁膜の表面の平坦化が求められている。」との記載からも明らかなように、両刊行物に記載された発明は、共に高集積化された多層配線構造を有する半導体装置における、配線が形成される絶縁膜の表面の平坦性の向上を目的としたものであると認められる。 ところで、一般に、同様の効果を奏する複数の手段が存在する場合において、一の手段では十分な効果が得られない場合に、他の手段を併用してより良い効果を求めることは、通常おこなわれていることである。 一方、引用例1の第4図(b)によれば、第2層金属配線46が形成される第2の絶縁膜45の表面は凹凸形状を呈しており、引用例1に記載された発明によっては、絶縁膜を完全には平坦化し得ないことが窺われる。 したがって、引用例1に記載された発明で得られる絶縁膜の平坦性よりも、より高度な平坦性が必要とされる場合に、引用例1に記載された発明の後に、更に「化学機械研磨法を用いて配線上の酸化膜を研磨し、平坦化する」という引用例2記載された発明に係る工程を追加することは当業者が容易になし得たことであり、また、このような組み合わせを阻害する要因も認められない。 したがって、上記相違点は当業者が容易に想到し得たことと認められる。 そして、本願第1発明は、前記各引用例に記載されたものから予測し得ない効果を奏するということもできない。 5.むすび 以上のとおりであるから、本願の請求項1に係る発明は、上記引用例1及び引用例2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 1999-09-03 |
結審通知日 | 1999-09-24 |
審決日 | 1999-10-08 |
出願番号 | 特願平8-153298 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H01L)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 瀧内 健夫 |
特許庁審判長 |
今野 朗 |
特許庁審判官 |
左村 義弘 加藤 浩一 |
発明の名称 | 半導体装置の製造方法 |
代理人 | 京本 直樹 |
代理人 | 河合 信明 |
代理人 | 福田 修一 |