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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G11B
管理番号 1009697
審判番号 審判1997-15632  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1992-08-10 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1997-09-18 
確定日 2000-01-26 
事件の表示 平成3年特許願第77527号「光学ヘッド及びその製造方法」拒絶査定に対する審判事件(平成4年8月10日出願公開、特開平4-219640)について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 (手続の経緯、本願発明)
本願は、平成3年4月10日(優先権主張平成2年7月16日)の出願であって、その請求項1に係る発明は、原審及び当審において補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「ジグザグ状に光が伝搬する光伝搬路を設けた基板と、光集光手段と、光源と、光検出器と、位置信号検出光学手段から構成され、上記光伝搬路の厚さ及び幅は伝搬光波長の10倍以上であって、上記光源からの光を上記光伝搬路に導き、上記伝搬光を上記光集光手段で集光して光ディスクに出力し、上記光ディスクからの反射光を、上記光集光手段、あるいは第2の光集光手段に入力し、上記位置信号検出光学手段に導き、上記位置信号検出光学手段からの出力光を上記光検出器に導く光学ヘッドであって、上記光集光手段は、上記光伝搬路上もしくは上記光伝搬路中に設けた導波型でない回折光学素子であり、上記回折光学素子のパターン形状は楕円曲線の一部であり、上記楕円曲線の中心位置は上記楕円曲線の一方の長軸方向に徐々にずれていることを特徴とする光学ヘッド。」(以下、「本願発明」という。)
(引用例)
これに対して、当審の拒絶の理由に引用した特開昭62-146444号公報(以下、「引用例」という。)には、優れた光学映像の質、小さい寸法、小さい重量、低いコスト、及び幅広い適用性を持たせることを目的とした「光学的読取・書込ヘッド」に関する発明が記載されている。
この「光学的読取・書込ヘッド」において、レーザ(10)から光ディスク(2)上の出口までのビームの光路全体は基体(6)内にあり、多数の内部反射によって斜めにビームを案内しており(3頁左上欄1〜4行)、また前記基体(6)は長方形平板状のものであり(第1A及び1B図)、その代表的なものの寸法は11×3×1.5mmである(3頁右下欄9〜10行)から、前記基体(6)は光伝搬路であり、この光伝搬路の厚さ及び幅は伝搬光波長の10倍以上であることが明らかである。
してみれば、この引用例には以下の発明が記載されていることになる。
「ジグザグ状に光が伝搬する光伝搬路を設けた基体(6)と、ゾーン・プレート(又はホログラム・レンズ)(16)と、レーザ(10)と、光検出器(11)と、シリンダ・レンズとして作用するゾーン・プレート(13)から構成され、上記光伝搬路の厚さ及び幅は伝搬光波長の10倍以上であって、上記レーザからの光を上記光伝搬路に導き、上記伝搬光を上記ゾーン・プレート(16)で集光して光ディスク(2)に出力し、上記光ディスクからの反射光を、上記ゾーン・プレート(16)に入力し、上記シリンダ・レンズとして作用するゾーン・プレート(13)に導き、上記シリンダ・レンズとして作用するゾーン・プレート(13)からの出力光を上記光検出器に導く光学的読取・書込ヘッドであって、上記ゾーン・プレート(16)は、上記光伝搬路上に設けた導波型でない回折光学素子である光学的読取・書込ヘッド。」
(対比)
そこで、本願発明(前者)と引用例に記載された発明(後者)とを比較すると、後者における「基体」、「ゾーン・プレート(又はホログラム・レンズ)」、「レーザ」、「シリンダ・レンズとして作用するゾーン・プレート」及び「光学的読取・書込ヘッド」は、それぞれ前者における「基板」、「光集光手段」、「光源」、「位置信号検出光学手段」及び「光学ヘッド」に相当するものであるから、両者は、
「ジグザグ状に光が伝搬する光伝搬路を設けた基板と、光集光手段と、光源と、光検出器と、位置信号検出光学手段から構成され、上記光伝搬路の厚さ及び幅は伝搬光波長の10倍以上であって、上記光源からの光を上記光伝搬路に導き、上記伝搬光を上記光集光手段で集光して光ディスクに出力し、上記光ディスクからの反射光を、上記光集光手段に入力し、上記位置信号検出光学手段に導き、上記位置信号検出光学手段からの出力光を上記光検出器に導く光学ヘッドであって、上記光集光手段は、上記光伝搬路上に設けた導波型でない回折光学素子である光学ヘッド。」
である点において実質的に一致しており、次の点において相違する。
相違点
回折光学素子が、前者においては、楕円曲線の一部であり、その楕円曲線の中心位置が該楕円曲線の一方の長軸方向に徐々にずれているパターン形状を有するのに対して、後者ではどのようなパターン形状を有するのか明らかでない点。
(当審の判断)
以下、上記相違点について検討する。
光学ヘッドの光集光手段である回折光学素子として、楕円曲線の一部であって、その楕円曲線の中心位置が該楕円曲線の一方の長軸方向に徐々にずれるパターン形状を用いることは、従来から周知の技術事項であり〔例えば、特開昭62-50703号公報(第2〜3図の集光グレーティングカプラ4)、及び電子通信学会技術研究報告Vo1.84,No.259(1985年1月21日)(社)電子通信学会P.97-104(OQE84-109)〕、この周知の技術事項を上記引用例の光学ヘッドの光集光手段に適用する点に何ら困難性は見当たらない。
そして、本願発明を全体的にみても、上記引用例に記載された発明及び周知の技術事項から当業者が当然予測できる範囲を超える格別の作用・効果を見出すことができない。
なお、審判請求人は、当審の拒絶の理由に対する意見書において、次のように主張している。
周知例1及び2に示された曲線グレーティングは導波型の素子であるために、パターン形状は全く異なり、幾何学的にジグザグ状に伝搬する伝搬光を良好に集光させることはできないので、前記周知例1及び2に示された曲線グレーティングを引用例に記載の光学ヘッドにおける集光手段として用いても、光学ヘッドとして機能しない。したがって、本願発明は、引用例及び周知例に記載の事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
しかしながら、容易性については、上記「(当審の判断)」の項において述べたように、「周知例に示された曲線グレーティングに用いられているパターン形状を、引用例に記載の光学ヘッドの光集光手段におけるパターン形状として用いることが容易である」と判断しているのであって、前記周知例に示された曲線グレーティングそれ自体を引用例に記載の光学ヘッドの光集光手段として用いることについて判断しているのではないから、上記請求人の主張は採用することができない。
(むすび)
以上のとおりであって、本願発明は、引用例に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 1999-11-10 
結審通知日 1999-11-26 
審決日 1999-12-07 
出願番号 特願平3-77527
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G11B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 川嵜 健  
特許庁審判長 麻野 耕一
特許庁審判官 犬飼 宏
田良島 潔
発明の名称 光学ヘッド及びその製造方法  
代理人 坂口 智康  
代理人 岩橋 文雄  
代理人 内藤 浩樹  

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