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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G11B
管理番号 1009711
審判番号 審判1998-4784  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-09-05 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-03-26 
確定日 2000-02-07 
事件の表示 平成9年特許願第12784号「光学式記録装置」拒絶査定に対する審判事件(平成9年9月5日出願公開、特開平9-231609)について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 (手続の経緯、本件発明)
本願は、平成9年1月27日の出願であって、その請求項1に係る発明(以下「本件発明」という)は、補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「レーザ光源から出射されたレーザー光を集光レンズによって記録媒体上に集光して、所望の信号を前記記録媒体に記録する光学式記録装置において、前記レーザー光源と前記集光レンズまでのレーザー光路中に配置され、前記レーザー光源から出射されたレーザー光の透過ビーム径を自在に規定する液晶素子と、前記記録媒体上に集光されたレーザー光の透過ビーム径を検知する形状検知手段と、前記形状検知手段が検知したレーザー光の透過ビーム径に基づいて、前記記録媒体上に集光されたレーザー光の透過ビーム径が所望の大きさになるように前記液晶素子を制御する制御手段とを具備し、前記集光レンズは、前記液晶素子が透過ビーム径を小さく絞ったレーザ光を前記集光レンズに入射させた場合、透過ビーム径を絞らない状態で集光される光スポットよりも大きな形状の光スポットを前記記録媒体上に集光すること、を特徴とする光学式記録装置。」
(引用例)
これに対して、当審が通知した平成11年8月13日付け拒絶理由通知書において引用した、特開平2-252137号公報(以下、引用例1という)には、
「半導体レーザと、前記半導体レーザからの出射光を平行光とするコリメートレンズと、前記コリメートレンズからの平行光を光記録媒体に集光する対物レンズと、を備える光学ヘッドにおいて、前記コリメートレンズとして高い開口数を有するものを用いるとともに、前記コリメートレンズと前記対物レンズ間に、前記コリメートレンズからの平行光径を規制する開口部材を配置してなる光学ヘッド。」が記載されており、この光学ヘッドは光カード記録再生装置等において用いられるものであること(第1頁左下欄第17〜18行)、開口部材20を有する光学ヘッドの構成図(第1図)、「対物レンズ10へ入射される平行光の径を開口部材20を透過させてある程度小さくすることにより、大きな光スポットを得るようにしている」こと、及び、本願明細書に示された関係式d=2fλ/πωと実質的に同一の関係式(第3頁左上欄第6〜15行)、「製造に際し、開口部材20としてその開口21の径が種々異なるものを複数用意しておけば、それぞれを適宜選択して用いることにより他の構成を変えることなく所望の径の光スポットを形成する光学ヘッドが得られる。」こと(第3頁右上欄第3〜7行)も記載されている。
同じく、特開昭55-130026号公報、特開昭55-50219号公報、特開昭59-105613号公報、特開昭60-120063号公報(以下、引用例2〜5という)には、透過ビーム径を可変的に制御できる液晶素子、及び機械的絞り手段に替えて該液晶素子からなる可変絞りを用いた各種装置が記載されている。
(対比・判断)
そこで、本件発明と引用例1の光学ヘッドを記録装置に用いたもの(以下、引用発明という。)とを対比すると、引用発明の「半導体レーザ」「対物レンズ」は、本件発明における「レーザー光源」「集光レンズ」に相当し、本件発明の液晶素子は、開口部材としての機能を果たすものであるから、結局、両者は、
「レーザ光源から出射されたレーザー光を集光レンズによって記録媒体上に集光して、所望の信号を前記記録媒体に記録する光学式記録装置において、前記レーザー光源と前記集光レンズまでのレーザー光路中に配置され、前記レーザー光源から出射されたレーザー光の透過ビーム径を自在に規定する開口部材とを具備し、前記集光レンズは、前記開口部材が透過ビーム径を小さく絞ったレーザ光を前記集光レンズに入射させた場合、透過ビーム径を絞らない状態で集光される光スポットよりも大きな形状の光スポットを前記記録媒体上に集光すること、を特徴とする光学式記録装置。」に係るものである点において一致し、次の点で相違する。
相違点:本件発明が、開口部材としてレーザ光の透過ビーム径を自在に変えることができる液晶素子を用い、これに伴い、記録媒体上に集光されたレーザー光の透過ビーム径を検知する形状検知手段と、該形状検知手段が検知したレーザー光の透過ビーム径に基づいて、記録媒体上に集光されたレーザー光の透過ビーム径が所望の大きさになるように液晶素子を制御する制御手段とを具備したのに対し、引用発明を光学式記録装置に用いたものでは、透過ビーム径を変えることができない開口部材を用いた点。
しかしながら、上記のように、引用発明においても所望の径の光スポットを形成するために、すなわち実質的に開口径を可変とするために、開口径の異なる開口部材を複数用意しておいて適宜選択して用いるということは考慮の中に入っており、一方、透過ビーム径を可変的に制御する手段として、開口径を変えるための機械的絞り手段に替えて液晶素子を用いた可変絞りを用いることは、上記引用例2〜5にみられるように本出願前周知の技術手段であり、可変的な液晶素子を用いる以上、制御手段を用意し、望みのビーム径になるまでフィードバック制御を行うことも常套手段にすぎないから、引用発明における固定開口径の開口部材を適宜選択して取り替えて用いるという機械的絞り手段に替えて、上記周知の液晶素子を用いた可変絞り手段を転用して本件発明のような構成とするという程度のことは光学技術の当業者にとって格別創意を要することではない。
しかも、本件発明の奏する効果は当業者の予測の範囲内のものである。
してみると、本件発明は、上記引用例1及び本出願前周知の事項(上記引用例2〜5参照)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(むすび)
したがって、本件発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 1999-11-18 
結審通知日 1999-11-30 
審決日 1999-12-08 
出願番号 特願平9-12784
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G11B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 川嵜 健山田 洋一  
特許庁審判長 麻野 耕一
特許庁審判官 岡本 利郎
内藤 二郎
発明の名称 光学式記録装置  
代理人 須藤 克彦  
代理人 安富 耕二  

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