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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G11B |
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管理番号 | 1009731 |
審判番号 | 審判1998-14548 |
総通号数 | 9 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1991-12-03 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1998-09-22 |
確定日 | 2000-02-04 |
事件の表示 | 平成2年特許願第69642号「情報記録媒体」拒絶査定に対する審判事件(平成3年12月3日出願公開、特開平3-272032)について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
(手続の経緯、本願発明) 本願は、平成2年3月22日の出願であって、その請求項1に係る発明(以下、本願発明という。)は、補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。 「記録用ビームの照射を受けて変化を生ずる情報記録用薄膜と、金属層とを有する情報記録媒体において、上記情報記録用薄膜と上記金属層との間に設けられた中間層をさらに有し、上記金属層は第一金属層と上記情報記録用薄膜に対して該第一金属層よりも遠い側に設けられ、かつ、該第一金属層よりも熱伝導率の高い第二金属層とを具備することを特徴とする情報記録媒体。」 (引用例) これに対し、原査定の拒絶の理由に引用された特開昭63-9040号公報(以下、引用例1という。)には、 「光を吸収して物理的又は化学的変化を生ずる記録層と、前記記録層への光吸収効率を高めるための光反射層、及び光の行路長を調節し、記録前後の反射光の変化量を大ききするための透明体層とを基板上に備え、前記反射層が、Ni-Cr合金を主成分とする薄膜で形成することを特徴とする光学情報記録媒体。」に係る発明(以下、引用発明という。)が記載されており、「本発明は、…反射層の材料に注目し、高い反射係数に主眼をおいた従来のAu、Al等の薄膜を、光反射係数はAu、Alに比べてやや低いが熱伝達率がはるかに小さいNi-Cr合金を主成分とする薄膜に置きかえ、その組成、膜厚を適当に選定したものである。」こと(第2頁右上欄第15〜20行)、「反射層を熱伝達率の小さいNi-Cr合金にすることにより、光照射の際、照射部での周囲への熱拡散が小さくなって記録層を効率よく昇温させることが可能となる。このため記録層においてアモリファス相を結晶化させるのに必要な光パワー密度が小さくてすみ、高感度の光学情報記録媒体が得られる。」こと(第2頁左下欄第2〜8行)も記載されている。 同じく特開昭59-92449号公報(以下、引用例2という。)には、 「反射膜と光吸収性記録膜とを基盤に被覆した光情報記録媒体において、上記反射膜が反射率90%以上の第1反射膜と、該第1反射膜よりも熱伝導率の小なる第2反射膜とからなる複合反射膜とし、上記第2反射膜上に上記光吸収性記録膜を形成したことを特徴とする光情報記録媒体。」に係る発明が記載されており、「本発明は…反射率が高くかつ熱伝導率の低い反射膜を有する光情報記録盤を提供することを目的としてなされたもの」であること(第1頁右下欄第9〜11行)も記載されている。 (対比・判断) 本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「透明体層」「Ni-Cr合金を主成分とする薄膜からなる反射層」は、それぞれ、本願発明における「中間層」「第一金属層」に相当するから、両者は、「記録用ビームの照射を受けて変化を生ずる情報記録用薄膜と、金属層とを有する情報記録媒体において、上記情報記録用薄膜と上記金属層との間に設けられた中間層をさらに有し、上記金属層として(熱伝導率の小さい)第一金属層を有する情報記録媒体。」に係るものである点で一致し、次の点で相違する。 相違点:本願発明では、情報記録用薄膜に対して第一金属層よりも遠い側に、第一金属層よりも熱伝導率の高い第二金属層を設けたのに対して、引用発明ではこのような第二金属層を有しない点。 そこで、この相違点について検討すると、引用例2には、熱伝導率が低く反射率も低い金属層と反射率の高い(熱伝導率も高い)金属層をこの順に積層した複合反射層を記録膜上に設けることにより、反射層全体として高い反射率を保持した光情報記録媒体が記載されている。 してみると、引用発明において、反射率が低く熱伝達率の小さい反射層を採用したことにより当然内在する反射率低下と熱拡散の問題を解決するために、引用例2に記載の複合反射層を転用して本願発明のような構成とすることは当業者にとって格別創意を要することではない。 また、本願発明の奏する効果も当業者の予測の範囲内のものである。 (むすび) したがって、本願発明は、上記引用例1、2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 1999-11-17 |
結審通知日 | 1999-12-07 |
審決日 | 1999-12-08 |
出願番号 | 特願平2-69642 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G11B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 蔵野 雅昭 |
特許庁審判長 |
麻野 耕一 |
特許庁審判官 |
内藤 二郎 岡本 利郎 |
発明の名称 | 情報記録用部材 |
代理人 | 井沢 博 |
代理人 | 作田 康夫 |