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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1011958
審判番号 審判1998-1498  
総通号数 10 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1990-04-19 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-02-04 
確定日 2000-01-26 
事件の表示 昭和63年特許願第261035号「半導体集積回路装置及びその形成方法」拒絶査定に対する審判事件(平成2年4月19日出願公開、特開平2-106968)について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 (出願の経緯・発明の要旨)
本願は、昭和63年10月17日の出願であって、その発明の要旨は、平成7年9月5日付、平成9年10月20日付及び平成10年3月6日付手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載よりみて、その特許請求の範囲請求項1〜3に記載されたとおりの「半導体集積回路装置」及び「半導体集積回路装置の形成方法」にあるものと認められるところ、請求項1記載の発明(以下、第1発明という。)は以下のとおりである。
「半導体基板主面上に、X方向に延在させた配線層と、Y方向に延在させた配線層とが交互に積層されてなる多層配線構造を有し、前記多層配線構造の夫々の間には層間絶縁膜が設けられ、上下に隣接する各層の配線間は前記層間絶縁膜に形成された接続孔を通して接続されている半導体集積回路装置において、
前記層間絶縁膜は平坦化処理が施され、かつ、この平坦化された層間絶縁膜上に形成された配線層の配線ピッチをこの層より下層であって同一方向に延在する配線層の配線ピッチと実質的に同一又はそれよりも小さく構成したことを特徴とする半導体集積回路装置。」
(引用例)
原審における拒絶の理由において引用された特開昭60-22337号公報(以下、「引用例」という。)には、「この発明は複数の素子からなる基本セルの集合であるセル列を複数個配列形成してなる半導体集積回路の構造に関する。」(第1頁左欄第20行〜右欄第2行)及び「この発明をマスタスライス方式のゲートアレイに適用した一実施例を第1図に対応させて第2図に示す。(a)が模式的平面図、(b)は(a)のA-A’断面図であり、2個のセル列211,212とその間の配線領域22を示している。図においてA1,A2,A3は第1図の場合と同様の配線チャネルであって、ここに第1層配線23(231,232,・・・)を設けている。B1,B2,B3,B4はA1,A2,A3とは1/2ピッチずらせた配線チャネルであってここに第3層配線25を設けている。第2層配線24(241,242,・・・)がセル列211,212の端子をその両側に導出するものであることは第1図と同じである。そして、第2層配線24を形成する際に必要な個所でこれを第1層配線23にコンタクトさせ、また第3層配線25を形成する際に必要な個所でこれを第2層配線24にコンタクトさせている。第2図(a)の黒丸がコンタクト位置を示している。また同図(b)の破線は241〜248の第2層配線で使用されない他の配線位置を示している。即ち、241〜248で示されない他の第2層配線との結線で使用される第1層及び第3層配線である。」(第2頁右下欄第2行〜第3頁左上欄第6行)が記載されている。第1層配線チャネルA1,A2,A3と第3層配線チャネルB1,B2,B3,B4とは互いに1/2ピッチずらせているのであるから、第1層配線チャネルA1,A2,A3と第3層配線チャネルB1,B2,B3,B4とは実質的に同一配線ピッチであることは明らかであり、また図から第1,3層配線チャネルと第2層配線チャネルとは互いに直交していることが理解できるから、第1,3層配線チャネルと第2層配線チャネルの一方をX方向に延在させた場合、他方はY方向に延在することとなる。そして、図示はされていないが、各層配線チャネル間には層間絶縁膜が存在すること、及び第1層配線と第2層配線間のコンタクト、第2層配線と第3層配線間のコンタクトは層間絶縁膜に形成された接続孔を通して行われていることは明らかである。してみると、上記引用例には、半導体基板主表面にX方向に延在させた配線チャネル(例えば第1,3層配線チャネル)と、Y方向に延在させた配線チャネル(例えば第2層配線チャネル)とが交互に積層されてなる多層配線チャネル構造を有し、前記多層配線チャネル構造の夫々の間には層間絶縁膜が設けられ、上下に隣接する各配線チャネルの配線間は前記層間絶縁膜に形成された接続孔を通して接続されている半導体集積回路において、前記層間絶縁膜上に形成された配線チャネル(例えば第3層配線チャネル)の配線ピッチをこの層より下層であって同一方向に延在する配線チャネル(例えば第1層配線チャネル)の配線ピッチと実質的に同一に構成したことを特徴とする半導体集積回路が記載されているものと認められる。
(対比)
次に、本願第1発明と上記引用例記載の発明とを対比すると、上記引用例記載の発明の「配線チャネル」は本願第1発明の「配線層」に相当するから、本願第1発明と上記引用例記載の発明とは「半導体基板主面上に、X方向に延在させた配線層と、Y方向に延在させた配線層とが交互に積層されてなる多層配線構造を有し、前記多層配線構造の夫々の間には層間絶縁膜が設けられ、上下に隣接する各層の配線間は前記層間絶縁膜に形成された接続孔を通して接続されている半導体集積回路装置において、前記層間絶縁膜上に形成された配線層の配線ピッチをこの層より下層であって同一方向に延在する配線層の配線ピッチと実質的に同一に構成したことを特徴とする半導体集積回路装置」の点で一致するが、層間絶縁膜が、本願第1発明においては平坦化されているのに対して、上記引用例記載の発明においては平坦化されているか否か不明である点で相違するものと認められる。
(検討)
そこで、上記相違点につき以下検討する。
本願第1発明において層間絶縁膜を平坦化した理由は、本願明細書における「多層配線構造は、下層配線例えば第1層目配線の段差形状がその上部に形成される層間絶縁膜の表面に伝達され、この層間絶縁膜の表面に段差形状が形成される。この層間絶縁膜の表面の段差形状は上層の層間絶縁膜になるにつれて大きく成長する。このような現象に対処するには、半導体ウェーハ製造プロセスにおいて、上層になるにつれて配線幅寸法、配線間スペース等を増大し、加工マージンを大きく確保する必要がある。つまり、第1層目配線に比べて第2層目配線、第2層目配線に比べて第3層目配線は配線ピッチを大きく構成している。このため、特に最上層の信号配線である第3層目配線の本数が少なく、X方向に延在する信号配線の本数が不足するので、配線の自由度が低下し、論理回路の実装率(実装可能な回路数に対する実装した回路数の割合)が低下する。・・・本発明の目的は、自動配線配置システムで形成される多層配線構造を有する半導体集積回路装置において、回路の実装率を向上することが可能な技術を提供することにある。」(第6頁第17行〜第8頁第4行)なる記載から見て、層間絶縁膜の表面の段差が上層に行くにしたがって大きくなり、配線の加工マージンを大きくする必要が生じて回路の実装率が低下することを防止するために、層間絶縁膜の表面の段差をなくすことにあるものと認められる。ところで、上層の配線の形成精度を上げて、即ち配線の加工マージンを少なくして半導体集積回路の集積度を上げるために層間絶縁膜を平坦化することは特開昭62-13052号公報に示すように(上記公報の「配線間隔dでは段差をなくして基板を平坦化した方が、つぎの層構造の形成精度を上げることができ、高集積化に有利である。」(第2頁左上欄第20行〜右上欄第2行)なる記載参照)周知である。すなわち、本願発明におけると同様の目的で層間絶縁膜を平坦化する技術は周知である。そして、この技術を上記引用例記載の発明において採用することに格別の創意工夫を必要としない。よって、上記相違点は当業者が容易に想到し得たものと認められる。
(むすび)
本願第1発明は、上記引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることできたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。そうである以上、他の発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 1999-10-18 
結審通知日 1999-11-05 
審決日 1999-12-02 
出願番号 特願昭63-261035
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 池渕 立  
特許庁審判長 今野 朗
特許庁審判官 岡 和久
橋本 武
発明の名称 半導体集積回路装置及びその形成方法  
代理人 秋田 収喜  

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