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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H01M
管理番号 1013677
審判番号 審判1999-369  
総通号数 11 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1988-12-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-01-07 
確定日 2000-03-10 
事件の表示 昭和62年特許願第153669号「鉛蓄電池用極板の製造法」拒絶査定に対する審判事件(平成8年2月14日出願公告、特公平8-15081)について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 本願は、昭和62年6月19日に出願した特許出願であって、平成8年2月14日に出願公告され、同年5月10日に日本電池株式会社から、同年6月14日に新神戸電気株式会社から特許異議の申立を受けたところ、原審では日本電池株式会社のなした特許異議の申立を理由があるものと決定し、特許異議の決定に記載した理由によって本願を拒絶したものであって、本願発明の要旨は、出願公告後、特許法第64条の規定による平成9年2月6日付手続補正書によって補正された明細書と図面の記載からみて、特許請求の範囲に記載された次のとおりのものと認める。
「鉛丹化率90%以下の鉛酸化物と他の鉛酸化物からなる鉛粉、水および硫酸を主成分として練合したペーストを、グリッドに塗着した後、乾燥することを特徴とする鉛蓄電池用陽極板の製造法。」
これに対して、特許異議の決定に記載した理由で引用した甲第1号証(「STORAGE BATTERIES」、第4版、p.26-41、以下引用例という。)には、以下の(1)、(2)、(3)、(4)、(5)の記述があり、また、引用例が本願の出願前に頒布された刊行物であることは、発行者であるGeorge Wood Vinalが、第4版は、1955年(本願の出願日より30年以上も前である昭和30年)にカナダで著作権を得たとしている(特許異議申立人日本電池株式会社が平成9年8月8日付弁駁書に添付した参考資料1の甲第1号証の2頁のCopyrightに関する記載を参照。)ことから疑うまでもないことである。
(1)鉛丹、Pb3O4は、リサージよりもこれらの溶液とはるかに反応しにくいが、電池用鉛丹は、普通約25%のリサージを含んでいる。硫酸と混合されると、二酸化鉛と水が硫酸鉛とともに形成されるにつれてペーストは黒化する。今日では、ある種の極板は鉛丹のみによって作られるが、最も広く知られている種類の蓄電池、すなわち自動車用蓄電池では、鉛丹は約20%までの未か焼の酸化物とブレンドされる。(第31頁25〜32行)
(2)「成分の混合」入念に秤量され、混合機で混合された乾燥材料は、普通は希硫酸である溶液とともにペーストにされる。・・・しかし、より一般的な手順は、幾分強めの酸溶液(特殊グレードで比重1.200から1.400)を添加するに先立って酸化物にかなりの量の水を加えることである。(第32頁10〜17行)
(3)「ペーストの塗布」ペーストは、多くの比較的小さな製造工場では多くは手作業で、また、ほとんどの大工場では機械的ぺーステイング設備により、グリッドに塗布される。(第33頁4〜6行)
(4)陰極板は膨張剤を添加してこれらの材料から直接作ることができる。より過酷な陽極板の製造についても、一般的には実施手順はほとんど同様であるが、ペーストの体積重量がやや大きい。(第35頁20〜23行)
(5)か焼リサージ、および、それと鉛丹との混合物はペーストを作るのに以前ほど使用されなくなったが、それでも今なお重要である。・・・ペーストが適用されたばかりの極板の養生は以下の種々の異なる方法に従って行われる。おそらく、現在の比較的一般的な実施手段は上記極板をトンネル乾燥機内で入念に調整された温度、時間および湿度の条件のもとに養生を行うことである。・・・」(第35頁24〜33行)
そして、上記(1)の「電池用鉛丹は、普通約25%のリサージを含んでいる」という記述の「含んでいる(contains)」という表現からして、引用例には、鉛丹化が十分でなく不純物としてリサージ(PbO)を25%を含んでいる鉛丹を蓄電池用に使用すること、すなわち、その結果として鉛丹(Pb3O4)化率が75%程度の鉛丹を蓄電池用に使用することが記載されていると認められるし、そして、この解釈が不自然でないことは、特許異議申立人日本電池株式会社が上記弁駁書に添付した参考資料1の第21頁(甲第1号証の21頁)の28〜34行に、「「鉛丹、通称ミニアム、Pb3O4」この鉛の高級酸化物は上述の調質されたリサージと混同されてはならない。化学式に相当する真の鉛丹は400〜500℃の温度でリサージのさらなる酸化によって作られる。しかしながら、酸化が完全であることはめったになく、比較的粗大な粒子は低級酸化物の核を残している。いわゆる電池用鉛丹は普通約25%のリサージを含有している。」と記載されていることからみても明らかである。
また、上記(1)の「最も広く知られている種類の蓄電池、すなわち自動車用蓄電池では、鉛丹は約20%までの未か焼の酸化物とブレンドされる」という記述から、普通の鉛蓄電池では、鉛丹(Pb3O4)に、未か焼で鉛丹化していない鉛酸化物(リサージ=PbO)を混合して鉛蓄電池用極板を製造することが記載されており、上記(2)の「混合機で混合された乾燥材料は、普通は希硫酸である溶液とともにペーストにされる」および「より一般的な手順は、幾分強めの酸溶液を添加するに先立って酸化物にかなりの量の水を加えることである」という記述から、鉛丹などの鉛粉を水および硫酸を主成分として混練しペーストとすることが記載されており、上記(3)の「ペーストは・・・グリッドに塗布される」という記述および上記(5)の「極板をトンネル乾燥機内で入念に調整された温度、時間および湿度の条件のもとに養生を行う」という記述から、ペーストを、グリッドに塗着した後、乾燥することが記載されており、上記(4)の「陰極板は膨張剤を添加してこれらの材料から直接作ることができる・・・陽極板の製造についても、一般的には実施手順はほとんど同様である」という記述から、引用例には、陰極板と同様に陽極板の製造についてが記載されていると認められる。
そうすると、引用例1には、鉛丹化率が75%程度の鉛酸化物と他の鉛酸化物からなる鉛粉、水および硫酸を主成分として練合したペーストを、グリッドに塗着した後、乾燥する鉛蓄電池用陽極板の製造法が記載されていると認められるから、本願発明と引用例に記載された発明との間には相違するところが認められない。
してみると、本願発明は、本願の出願前に頒布された刊行物である引用例に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 1999-12-06 
結審通知日 1999-12-21 
審決日 1999-12-27 
出願番号 特願昭62-153669
審決分類 P 1 8・ 113- Z (H01M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 城所 宏鈴木 正紀  
特許庁審判長 荻島 俊治
特許庁審判官 能美 知康
影山 秀一
発明の名称 鉛畜電池用極板の製造法  
代理人 坂口 智康  
代理人 内藤 浩樹  
代理人 岩橋 文雄  
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