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審決分類 審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない。 C04B
管理番号 1013682
審判番号 審判1999-4664  
総通号数 11 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1994-03-08 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-04-01 
確定日 2000-03-22 
事件の表示 平成4年特許願第220466号「高強度コンクリートの製造方法」拒絶査定に対する審判事件(平成6年3月8日出願公開、特開平6-64952)について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 I.手続の経緯・本願発明
本願は、平成4年8月19日の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成10年12月7日付け及び平成11年5月6日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである(以下、「本願発明」という。)。「高性能減水剤を加えることにより水結合材比を低減して強度を増加する高強度コンクリートの製造方法において、細骨材の一部と置換して、水によって水和反応を生じない不活性な岩石微粉末を配合することによりセメント粒子を分散させることを特徴とする高強度コンクリートの製造方法。」
II.引用例
これに対して、原審の拒絶の理由で引用された本出願の出願の日前の他の出願であって、その出願後に出願公開された特願平4-158430号(特開平5-310459号公報参照)の願書に最初に添付した明細書及び図面(以下、「先願明細書」という。)には、次の事項についての記載がある。
▲1▼「【請求項1】粒径0.5〜100μmのセメント粒子A40〜65wt%に粒径0.01〜0.5μmの粒子Bと粒径0.1〜15μmの粒子Cからなる添加強化剤を35〜60wt%添加し、前記粒子BとCの割合は粒子Bが20〜50wt%、粒子Cが50〜80wt%であることを特徴とする水硬性複合材料。
【請求項2】請求項1記載のものに更に適量の粉体高性能減水剤を添加したことを特徴とする水硬性複合材料。
【請求項3】請求項1又は2記載のものを用い、水粉体比25%以下で混練したことを特徴とする高強度コンクリートの製造方法。」(第1頁弟1欄特許請求の範囲)
▲2▼「物理的な加工を特に加えないでも緻密化を達成する方法として、一般には単位量当たり、多量のポルトランドセメントを使用し、これに高性能減水剤を多量添加して緻密化を図っており、また一部にはこれにシリカフュームを更に添加し、一層の緻密化を図ったコンクリートとしている。…粒径0.5〜100μmのセメント粒子Aとそれより少なくとも1オーダ小さい無機固体粒子B(例えばシリカフューム)と水及び表面活性分散剤(例えば周知のマイテイ(登録商標))を含み、セメント粒子Aの空隙に粒子Bの非常に水和活性の高いシリカフュームを均一に分布して緻密化を意図しており、…ところが、セメントと高性能減水剤だけでは確かに緻密化において限度があり、またシリカフュームを用いる場合には周知のように非常に高価であって、通常の用途にはなかなか使い切れる材料ではなく、しかも微粉であることから大量に使用しようとするとハンドリングに問題がある。さらに大きな問題は、両者ともに水和発熱量が大きく、一般にコンクリートで高強度を発現しようとすると、単位量当たりのセメントあるいはセメントシリカフュームの使用量も多くする必要があり、コンクリートの部材が大きくなると水和発熱の為に部材の温度が急激に上昇し、熱応力によるひびわれが発生することであり、特にシリカフュームを用いた場合には、非常に活性度が高く、またセメントの水和反応を促進する効果があり、発熱量はセメント単独の場合と同等以上となる。」(第2頁第1欄第34行〜第2欄第10行)
▲3▼「本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、次の2つの原理に基づくものである。
すなわち、従来法よりも物理的に更に高密度化を図り強度発現性を確保することと、中間粒子Cの選択とこれを多量に有効利用することで低発熱化を図るものである。…低発熱を確保する為に、粒子Bは鉱物性微粉末、例えばシリカフューム、シリカフラリー等が適するが、中間粒子Cは適切に選択し、多量に用いる必要がある。そのため粒子Cは吸水性が大きくない粒子であり、白土、フライアッシュ、石灰石、けい石などの、セメントやシリカフュームより水和反応性が大きくない微粉末が適している。これは、非常に活性度の高い粒子を用いると、セメントと積極的に反応し、水和組織が緻密化して高強度を得ることはできるが、結果的に水和発熱を抑えることができないことによるためであり、本発明は水和反応性の比較的低い粒子を多量に混入して、物理的に充填性を確保し、セメントとシリカフュームの水和組織と粒子Cが密着して緻密化すればよく、粒子C自体が十分に水和反応する必要はない。」(第2頁第2欄第20行〜第3頁第3欄第7行)
▲4▼「第1の発明又は第2の発明の水硬性複合材料を用いてコンクリートを製造すると高強度、低発熱のコンクリートを製造することができ、また第2の発明によると、充分なる強度発現性を期待することができ高強度コンクリートが得られる。」(第3頁第3欄第37〜41行)
▲5▼「実施例1(使用材料)
粒子A:普通ポルトランドセメント
粒子B:シリカフューム 平均粒径0.2μm
粒子C:▲1▼寄居白土 平均粒径2μm
▲2▼けい石 平均粒径1.5μm
▲3▼石灰石 平均粒径2μm
骨材:粗骨材-両神山産硬質砂岩Gmax20mm、F.M=6.59
細骨材-皆野金沢産硬質砂岩F.M=2.72
表面活性剤:花王マイテイ-150
(配合)B+C/(A+B+C)=50wt%一定、単位粉体量(A+B+C)550kg/m3一定、スランプ=25cm、スランプフロー630±20mm,細骨材率43%とし、表面活性剤は粉体に対して6wt%一定量となるように添加した。
(混練)20℃恒温室にて100リットル強制練りミキサーを用い、180秒練り混ぜを行った。(成型、養成)20℃にて10φ×20cmに成型し、20℃水中養成を行った。」(第3頁第3欄第44行〜第4欄第15行)
▲6▼「実施例2(使用材科)
粒子A:普通ポルトランドセメント
粒子B:シリカフューム 平均粒径0.2μm
粒子C:けい石 平均粒径1・5μm
骨剤:粗骨材-両神山産硬質砂岩Gmax20mm、F.M=6.59
細骨材-皆野金沢産硬質砂岩F.M.=2.72
表面活性剤:花王マイテイ150
(配合)B:C=1:2とし、単位粉体量(A+B+C)550kg/m3一定、スランプ=25cm,スランプフロー630±20mm、細骨材率43%とし、表面活性剤は粉体に対して5wt%一定量となるように添加した。
(混練)20℃恒温室にて100リットル強制練りミキサーを用い、120秒間練り混ぜを行った。
(成型、養成)20℃にて10φ×20cmに成型し、20℃水中養生を行った。」(第3頁第4欄第40行〜第4頁第5欄第9行)
▲7▼「本発明にかゝる水硬性複合材料をコンクリート又はモルタルの製造に用いた場合、セメント粒子Aが密に充填されたときに形成される空隙を粒径0.01〜0.5μmの粒子Cと粒径が0.1〜15μmの粒子Bとの実質的に連続粒度分布をもつ微粉末で充填されるため、空隙の総体積が従来法より減少して高密度化する一方で、粒子Bは活性度の低いものを選択して多量に用いることにより、粉体の水和発熱量を抑制し、コンクリート又はモルタルの物理特性、化学抵抗性および硬度を効果した高強度でしかも低発熱のコンクリート及びモルタルを実現することができる。」(第4頁第6欄第3〜13行)
III.対比・判断
先願明細書の請求項3に記載された択一的事項、即ち、「請求項1又は2」のうちから、「請求項2」を選択した場合の発明「請求項2記載のものを用い、水粉体比25%以下で混練したことを特徴とする高強度コンクリートの製造方法。」(以下、「先願発明」という。)と本願発明とを対比する。
先願発明でいう「請求項2記載のもの」とは、高性能減水剤を添加した水硬性複合材料のことであるから、両者はいずれも「高性能減水剤を加える高強度コンクリートの製造方法。」である。
また、先願発明は、上記「II.▲3▼,▲5▼,▲6▼」で摘記した事項よりみて、「粒子C」として石灰石,けい石等を使用するものであるが、本願明細書の段落【0011】をみると、本願発明で使用する「水によって水和反応を生じない不活性な岩石微粉末材料」とは、「天然の岩石を砕いて生成した、水によって水和反応を生じない不活性な微粉末材料をいい、例えば、石灰石、けい石…等の岩石を粉砕して生成したものを使用することができる」ものであるから、先願発明の「粒子C」は本願発明の「水によって水和反応を生じない不活性な岩石微粉末材料」に相当する粒子を使用する場合を含むものといえる。
また、先願発明の実施例1,2においても、けい石,石灰石のほかに細骨材が添加されているから(「II.▲5▼,▲6▼」参照)、本願発明の「水によって水和反応を生じない不活性な岩石微粉末」を「細骨材の一部」として添加する点も相違点とはいえない。
更に、高性能減水剤を添加することによって、水の使用量を少なくし、コンクリートの強度を増加することができることは周知のことであり、セメントを岩石微粉末等と混合すれば、セメント粒子が岩石微粉末等の間隙に分散されることは明らかであるから、本願発明の「水結合材比を低減して強度を増加する」及び「セメント粒子を分散させる」構成は、「高性能減水剤」,「岩石微粉末材料」を添加することによって、奏される当然の作用を単に記載したに過ぎないものである。
してみれば、本願発明と先願発明はいずれも「高性能減水剤を加えることにより水結合材比を低減して強度を増加する高強度コンクリートの製造方法において、細骨材の一部と置換して、水によって水和反応を生じない不活性な岩石微粉末を配合することによりセメント粒子を分散させることを特徴とする高強度コンクリートの製造方法。」であり、両者の間に実質的な相違点はないから、同一の発明といえる。
IV.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条の2第1項の規定により特許を受けることができないものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 1999-12-20 
結審通知日 2000-01-04 
審決日 2000-01-11 
出願番号 特願平4-220466
審決分類 P 1 8・ 161- Z (C04B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 五十棲 毅  
特許庁審判長 石井 勝徳
特許庁審判官 能美 知康
新居田 知生
発明の名称 高強度コンクリートの製造方法  
代理人 一色 健輔  
代理人 鈴木 知  
代理人 原島 典孝  
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