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審判番号(事件番号) データベース 権利
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審決分類 審判 査定不服 (訂正、訂正請求) 特許、登録しない。 A61K
管理番号 1016167
審判番号 審判1996-7530  
総通号数 12 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1996-05-13 
確定日 1999-09-30 
事件の表示 平成6年特許権存続期間延長登録願第700035号「分子内キレート錯体の製造方法」拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 I、本願に係る特許発明
本件特許権存続期間延長登録願(以下、本願という。)は、平成6年8月31日の出願であって、特許第1603715号の特許権の存続期間の延長登録を求めるものであり、該特許は、昭和55年12月18日(パリ条約による優先権主張1979年12月19日、アイルランド)に出願され、平成2年6月6日に出願公告されて平成3年4月22日に設定登録されたものであって、その特許発明の要旨は、出願公告された明細書の記載からみて、その特許請求の範囲第1項に記載の次のとおりのものである。
「1.可溶媒和性セルロース重合体と、炭素数8〜18の固体線状脂肪族アルコールまたは少なくとも炭素数8の固体分岐脂肪族アルコールとの分子内キレート錯体であって、室温で実質上一定の比導電率を示す錯体を製造する方法であって、まず、セルロース重合体を揮発性極性溶媒で溶媒和して溶媒和セルロース重合体を形成し、その際揮発性極性溶媒は水、式ROH(式中Rは炭素数1〜4のアルキル基である)のアルコールまたは式RCOR(各Rは独立に上記の意義を有する)のケトンまたはそれら溶媒のいずれかの混合物であり、次いで、この溶媒和セルロース重合体を固体脂肪族アルコールと直接反応させ、更に生成物から残留揮発性極性溶媒を除いて上記錯体を得る方法。」
II、本願に記載の「政令で定める処分」
そして、本願において特許法第67条第2項の政令で定める処分であるとする内容は、願書の記載及び延長の理由の記載からみて、以下に示すものである。
▲1▼延長登録の理由となる処分
薬事法第14条第1項に規定する医薬品に係る同法第23条において準用する第14条第1項の承認
▲2▼処分を特定する番号
承認番号(06AM輸)第0180号
▲3▼処分を受けた日:平成6年6月1日
▲4▼処分の対象となった物
医薬品輸入承認書「承認番号(06AM輸)第0180号」の別紙(1)の「成分及び分量又は本質」に記載の一定の組成によりなる物
▲5▼処分の対象になった物について特定された用途
気管支喘息、慢性気管支炎、肺気腫
また、添付された資料(承認書)には、次の記載があり、

その別紙(1)には、以下の記載がある。
[成分及び分量又は本質]

[製造方法]
輸入先による製造方法は下記のとおり
テオフィリン、ヒドロキシエチルセルロースをとり、混合し、これにポリビニルピロリドンK30の水溶液を加え、必要ならば更に水を加えて均一な軟塊としたものを顆粒状とした後、乾燥し、整粒する。
セトステアリルアルコールを加温して溶かし、顆粒にコーティングした後、ステアリン酸マグネシウム及びタルクを加え、錠剤を製する。
なお、日本医薬品工業株式会社において小分けする。
容器包装についてはPTP包装(塩化ビニル樹脂、アルミニウム箔)し、外箱に入れる。又はポリエチレン瓶に詰め、製品とする。
なお、上記「--」は黒く塗られているため判読できない部分を示す。
III、検討・判断
本願が、原審における拒絶の理由の根拠条文である特許法第67条の3第1項第1号の規定に該当するか否かについて以下に検討する。
平成10年6月2日付けの審尋書で述べたように、本願において、延長登録の理由とする処分[承認番号(06AM輸)第0180号]に係る医薬品において、有効成分は「テオフィリン」であり、その効能・効果は「気管支喘息、慢性気管支炎、肺気腫」であると認められるところ、審尋書で示した刊行物[「第12改正 日本薬局方解説書」、(1991)、廣川書店発行、C1477〜C-1481]に記載されているように、テオフィリンは「気管支喘息、慢性気管支炎、肺気腫」に適用する医薬品として第12改正日本薬局方に収められて、既に周知となっていたものである。
してみると、有効成分がテオフィリンであり、効能・効果が「気管支喘息、慢性気管支炎、肺気腫」である医薬品は、上記刊行物の発行(平成3年)以前に、つまりは本願で特定する当該処分を受けた日である平成6年6月1日より前に、特許法第67条第2項の政令で定める処分を受けていたものである。
また、特許法第68条の2の規定からみて、延長後の特許権の効力が及ぶ「特許発明の実施」は、物と用途との組合せを単位として把握されるものであり、医薬品の場合には、有効成分と効能・効果との組合せを単位とすべきものであるから、本願においては、テオフィリンを有効成分として「気管支喘息、慢性気管支炎、肺気腫」を効能効果とする医薬が該単位である。そして、特許法第67条第2項の規定からみて、当該処分を受けることが必要であるために実施をすることができなかった「特許発明の実施」は、特許権の存続期間が延長されたときに及ぶとされる上記「特許発明の実施」と同じものであるというべきである。
してみると、本願に係る「特許発明の実施」であるところの「有効成分がテオフィリンであり、効能・効果が気管支喘息、慢性気管支炎、肺気腫」である医薬は、本願に係る平成6年6月1日に受けた上記処分より以前に実施可能になっていたのであるから、「その特許発明の実施」に当該処分を受けることが必要であったとは認められないものである。
ところで、請求人は、審判請求理由補充書(第4頁21行〜第5頁7行)において、[具体的には、「新剤型医薬品」の承認前に、有効成分または有効成分と効能効果との組合せによって特定される医薬品の承認を受け延長登録がなされているかどうかを基準に定められてよい。まず、ある特許権について、「新剤型医薬品」の承認の前に、有効成分、または有効成分と効能効果との組合せによって特定される医薬品の承認によって延長登録を受けている場合には、その特許権について、有効成分または有効成分と効能効果との組合せによって特定される医薬品を「処分の対象となった物」と捉える。そして、この特許権について、さらに「新剤型医薬品」を処分の対象となった物と捉え延長登録の対象とすることは認められなくともよい。一方、ある特許権について、「新剤型医薬品」の承認の前に、有効成分、または有効成分と効能効果との組合せによって特定される医薬品の承認によって延長登録を受けていない場合には、その特許権について、「新剤型医薬品」を「処分の対象となった物」と捉える。そして、この承認によって延長登録される特許権の及ぶ範囲は、「新剤型医薬品」の承認にあたり特定された要件の内、「成分及び分量又は本質」により定まる物には、「新剤型医薬品」の承認に基づいて延長された特許権の効力は及ぶものとされてよい。]と主張する。
この請求人の主張では、既に延長登録を受けているか否かを判別して、既に延長登録を受けていない特許権は延長できるとするようであるが、本願の拒絶の理由の根拠条文である特許法第67条の3第1項第1号には、その根拠となる事項は規定されていない。
また、特許権の存続期間の例外を規定する特許法第67条第2項では、政令で定める処分を受けた時までに一定期間以上実施が禁止されていたことと、延長登録の出願をしたことを要件として「延長することができる。」と規定しており、このことを考慮すれば、有効成分及び効能・効果によって特定された医薬品として最初の処分を受けたときに、延長登録の出願をしなかった、又は延長登録の出願をしても実施禁止期間の要件を満たさなかったことが原因で、延長登録を受けることができなかった特許権が、その後に受けた処分、即ち、有効成分及び効能・効果で特定される医薬としては同一であるが剤型等を変更したために新たに受けた処分、によって当然に延長され得るとすることはできない。
結局、上記請求人の主張は、合理的根拠に基づくものではなく、妥当でないというべきである。
なお、平成10年6月2日付けの審尋書において、上述した本願に対する拒絶の理由を説明し、期間を指定して意見を述べる機会を与えたが、請求人からは何らの応答もない。
そして、上記の拒絶の理由は妥当なものと認められる。
IV、むすび
したがって、本願に係る特許発明の実施に特許法第67条第2項の政令で定める処分を受けることが必要であったとは認められないから、本願は特許法第67条の3第1項第1号の規定に該当し、拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
審理終結日 1999-03-30 
結審通知日 1999-04-09 
審決日 1999-04-06 
出願番号 特願平6-700035
審決分類 P 1 8・ 71- Z (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉住 和之池田 正人  
特許庁審判長 加藤 孔一
特許庁審判官 深津 弘
宮本 和子
発明の名称 分子内キレート錯体の製造方法  
代理人 紺野 昭男  
代理人 佐藤 一雄  
代理人 小野寺 捷洋  
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