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審決分類 審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備  H01M
審判 全部申し立て 2項進歩性  H01M
審判 全部申し立て 4項(5項) 請求の範囲の記載不備  H01M
管理番号 1016585
異議申立番号 異議1998-73490  
総通号数 12 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1990-02-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-07-16 
確定日 1999-12-27 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2701347号「非水電解液二次電池」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2701347号の特許を維持する。 
理由 I.手続の経緯
特許出願 昭和63年8月23日
設定登録 平成9年10月3日(特許第2701347号)
特許公報発行 平成10年1月21日
特許異議の申立て1 平成10年7月16日(申立人1:株式会社ユアサコーポレーション)
特許異議の申立て2 平成10年7月21日(申立人2:新神戸電機株式会社)
特許異議の申立て3 平成10年7月21日(申立人3:千葉茂雄)
取消理由通知 平成11年2月8日
意見書,訂正請求書 平成11年4月26日
II.訂正の要旨
平成11年4月26日付けの訂正請求における訂正の要旨は次のとおりである。
1.訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1に「前記正極活物質層の膜厚和Aの前記負極活物質層の膜厚和Bに対する比A/Bが0.4〜2.2の範囲にあることを特徴とする非水電解液二次電池。」(特許公報第2欄第4〜6行)とあるのを、「前記正極活物質層の膜厚和Aの前記負極活物質層の膜厚和Bに対する比A/Bが0.6〜1.5の範囲にあり、前記正極活物質層の膜厚和Aと前記負極活物質層の膜厚和Bとの膜厚総和(A+B)が250〜500μmの範囲にあることを特徴とする非水電解液二次電池。」に訂正する。
2.訂正事項b
特許明細書第3頁第8行(同公報第3欄第8行)に「0.4〜2.2の範囲」とあるのを「0.6〜1.5の範囲にあり、前記正極活物質層の膜厚和Aと前記負極活物質層の膜厚和Bとの膜厚総和(A+B)が250〜500μmの範囲」に訂正する。
3.訂正事項c
特許明細書第6頁第8〜15行(同公報第4欄第8〜14行)に「0.4〜2.2・・・(中略)・・・好ましい。」とあるのを「0.6〜1.5の範囲にあり、前記正極活物質層の膜厚和Aと前記負極活物質層の膜厚和Bとの膜厚総和(A+B)が250〜500μmの範囲にあることを特徴とする非水電解液二次電池に係るものである。」に訂正する。
4.訂正事項d
特許明細書第9頁第1行(同公報第5欄第3行)に「負極1」とあるのを「負極2」に訂正する。
5.訂正事項e
特許明細書第13頁(同公報第6欄)の表1中「電池No.」の項に「9*」、「10*」、「11*」、「15*」、「18*」、「21*」及び「28*」とあるのを、それぞれ「9」、「10」、「11」、「15」、「18」、「21」及び「28」に訂正する。
6.訂正事項f
特許明細書第14頁第1〜6行(同公報第6欄第49行〜第7欄第3行)に「No.9〜11・・・(中略)・・・(計8個)」とあるのを「No.16〜17,No.22〜24およびNo.29〜30の電池(計7個)は本発明の実施例であり、*が付されていないNo.1〜15,NO.18〜21,No.25〜28およびNo.31〜32の電池(計25個)」に訂正する。
7.訂正事項g
特許明細書第16頁(同公報第7〜8欄)の表2中「電池No.」の項に「9*」、「10*」、「11*」、「15*」、「18*」、「21*」及び「28*」とあるのを、それぞれ「9」、「10」、「11」、「15」、「18」、「21」及び「28」に訂正する。
8.訂正事項h
特許明細書第18頁第6行(同公報第8欄第33行)に「満たされば、」とあるのを「満たされれば、」に訂正する。
9.訂正事項i
特許明細書第18頁第11〜15行(同公報第18欄第37〜44行)に「0.4〜2.2・・・(中略)・・・できる。」とあるのを、「0.6〜1.5、正極活物質層と負極活物質層との膜厚総和(A+B)が250〜500μmの条件が満たされれば、最新のニッケルカドミニウム二次電池のエネルギー密度140WH/Lを有する非水電解液二次電池を得ることができる。」に訂正する。
10.訂正事項j
特許明細書第19頁第1行(同公報第8欄第46行)に「満たさると、」とあるのを「満たされると、」に訂正する。
III.訂正の適否に対する判断
1.訂正の目的、新規事項、拡張・変更
1.1 訂正事項aについて
上記訂正事項aは、特許明細書の請求項1には正極活物質層の膜厚和Aの負極活物質層の膜厚和Bに対する比A/Bの数値範囲が「0.4〜2.2」と記載されていたものをより狭い範囲である「0.6〜1.5」に訂正するとともに、同じく請求項1には正極活物質層の膜厚和Aの前記負極活物質層の膜厚和Bとの総和(A+B)については何も限定されていなかったものを「250〜500μm」の範囲に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮に相当する。
そして、願書に添付した明細書の第6頁第6〜15行(特許公報第4欄第7〜14行)には、「前記正極活物質層の膜厚和Aの前記負極活物質層の膜厚和Bに対する比A/Bが0.4〜2.2、さらに好ましくは0.6〜1.5の範囲にあることを特徴とする非水電解液二次電池に係るものである。本発明によれば、前記正極活物質層の膜厚和Aと前記負極活物質層の膜厚和Bとの膜厚総和(A+B)が200〜500μmの範囲にあることが好ましく、250〜500μmの範囲にあるのがさらに好ましい。」と記載されていたから、上記訂正事項aは、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、かつ実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
1.2 訂正事項b、c及びiについて
上記訂正事項b、c及びiは、特許請求の範囲の請求項1が訂正されたことにともない、発明の詳細な説明の記載をこれに整合するように訂正するものであるから、明りょうでない記載の釈明に相当し、また、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、かつ実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
1.3 訂正事項d、h及びjについて
上記訂正事項dは、特許明細書の他の記載部分及び図面ともに記号「1」の部分については「正極」と記載され、記号「2」の部分が「負極」と記載されているから、「負極1」は「負極2」の誤記であることは明確である。
また、上記訂正事項h及びjはともにかな使いに関する誤記の訂正であることは自明である。
したがって、上記訂正事項d、h及びjは、誤記の訂正に相当し、また、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、かつ実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
1.4 訂正事項e、f及びgについて
上記訂正事項e、f及びgは、特許請求の範囲の請求項1が訂正されたことにともない、実施例に該当しなくなった「電池No.」を実施例でないことがわかる表現に訂正するとともに、それに合わせてどれが実施例でどれが参考例であるかを説明する記載を訂正するものであるから、明りょうでない記載の釈明に相当し、また、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、かつ実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
2.独立特許要件
2.1 訂正明細書に記載された発明
訂正明細書に記載された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
【請求項1】リチウム複合酸化物を正極活物質として用いた正極活物質層を帯状正極集電体の両面にそれぞれ形成することにより構成した帯状正極と、炭素質材料を負極活物質として用いた負極活物質層を帯状負極集電体の両面にそれぞれ形成することにより構成した帯状負極とをそれぞれ具備し、前記帯状正極と前記帯状負極とを帯状セパレータを介して積層した状態で多数回巻回することにより前記帯状正極と前記帯状負極との間にセパレータが介在している渦巻型の巻同体を構成するようにした非水電解液二次電池において、前記帯状正極において前記正極集電体の両面にそれぞれ形成されている一対の正極活物質層の膜厚和Aが80〜250μmの範囲にあり、前記帯状負極において前記負極集電体の両面にそれぞれ形成されている一対の負極活物質層の膜厚和Bが80〜250μmの範囲にあり、前記正極活物質層の膜厚和Aの前記負極活物質層の膜厚和Bに対する比A/Bが0.6〜1.5の範囲にあり、前記正極活物質層の膜厚和Aと前記負極活物質層の膜厚和Bとの膜厚総和(A+B)が250〜500μmの範囲にあることを特徴とする非水電解液二次電池。」(以下、「本件訂正発明」という。)
2.2取消理由の概要
平成11年2月8日付けの取消理由の概要は、次のとおりである。
(1)本件特許の請求項1に係る発明は、下記参考例1及び2の記載を参照すると、下記引用例1及び2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、該発明の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。
(2)本件特許明細書には記載不備があるから、本件請求項1に係る発明の特許は、明細書の記載が特許法第36条第3項及び第4項の規定に違反しているものに対してなされたものである。

引用例1:米国特許第4565753号明細書(申立人1の甲第1号証に該当)
引用例2:″Journal of Applied Electrochemistry″,Vol.6(1971),p.51-58(申立人1の甲第2号証に該当)
参考例1:特開昭63-121264号公報(申立人2の甲第1号証に該当)
参考例2:特開昭62-90863号公報(申立人3の甲第2号証に該当)
2.3取消理由の(2)について
そこでまず、上記取消理由の(2)について検討する。
取消理由(2)は、
(i)本件特許発明では正極活物質層の膜厚和A及び負極活物質層の膜厚和Bについて数値限定を加えているが、この数値限定は各活物質層の密度が実施例に示されているような特定の数値であるときにのみ技術的意義を有するのに、請求項1にはかかる点が限定されていないので、本件特許請求の範囲に記載された要件だけでは所期の効果を奏する「非水電解液二次電池」を実現することができないため、特許請求の範囲の記載に不備がある、
(ii)帯状正極と帯状負極とを帯状セパレータを介して巻回することにより渦巻型の巻回体を構成するようにした非水電解液二次電池においても、電池の単位体積あたりの正極活物質及び負極活物質の量が適度に多く、かつ両活物質の化学両論比が1に近い程エネルギー密度が高いものになることが一般的にいえるが、本件請求項1に係る発明において特定されている正極活物質層及び負極活物質層の膜厚和の値及び両膜厚和の比の値が、この一般的にいえること以上のどのような技術的意味を有するのかが本願明細書中に明りょうに記載されていない、
というものである。
しかしながら、上記(i)の点については、本件特許明細書の表1及び2には、「リチウム複合酸化物を正極活物質として用いた正極活物質層を帯状正極集電体の両面にそれぞれ形成することにより構成した帯状正極」及び「炭素質材料を負極活物質として用いた負極活物質層を帯状負極集電体の両面にそれぞれ形成することにより構成した帯状負極」とを有する非水電解液二次電池において、帯状集電体の幅(43mm)、電池の内径(13.3mm)、セパレータの膜厚(0.025mm)及び電池の大きさ(直径13.8mm、高さ50mm)を一定にして、正極活物質層の膜厚和A、負極活物質層の膜厚和Bを種々変化させた(これにより電極全長及びA/Bの値も変化する)32種類の実験データが記載されており、これら32種類の各活物質の密度も、製造原料及び製造方法ともに共通していると認められるから、一般的な変動部分を含むにしても、ほぼ一定の条件に保たれているものと解される。
したがって、本件訂正発明における「正極活物質層の膜厚和A」、「負極活物質層の膜厚和B」、「正極活物質層の膜厚和Aの負極活物質層の膜厚和Bに対する比A/B」及び「正極活物質層の膜厚和Aと負極活物質層の膜厚和Bとの膜厚総和(A+B)」についての数値限定は、他の体積エネルギー密度に影響を与える因子を一定の条件に保って、すなわち、エネルギー密度が上記本件訂正発明におけるA及びB(さらにはA/B及びA+Bも含む)のみに依存する状態となして、定めたものであるから、特許請求の範囲に各活物質の密度の限定がないからといって、特許請求の範囲が記載不備であるとも、特許請求の範囲に発明の構成に欠くことのできない事項の全てが記載されていないともすることはできない。
また、上記(ii)の点については、以下の「2.4」に具体的に示すように、電池の単位体積当たりの正極活物質および負極活物質量が適度に多く、かつ両活物質の化学量論比が1に近い程エネルギー密度が高ものになるようにしているのは引用例2の電極形式決定方法であって、引用例2の電池の場合には、仮定または推論に基いて理論上最大限可能な正極および負極の膜厚AおよびBの値を算出している。
これに対し、本件訂正発明の場合には、本件特許公報の第1表、第2表、第5図及び第6図に示された32種類の具体的データに基いて、「正極活物質層の膜厚和A」、「負極活物質層の膜厚和B」、「正極活物質層の膜厚和Aの負極活物質層の膜厚和Bに対する比A/B」及び「正極活物質層の膜厚和Aと負極活物質層の膜厚和Bとの膜厚総和(A+B)」についての数値限定を行ったものであり、このような数値限定により本件訂正発明はサイクル寿命が優れているだけでなく、エネルギー密度が非常に大きく、また、電極全長を比較的短くすることができて製造が容易であり、しかも、不良品が出にくいという特許明細書記載の効果を奏することができるものである。
したがって、「帯状正極と帯状負極とを帯状セパレータを介して巻回することにより渦巻型の巻回体を構成するようにした非水電解液二次電池においても、電池の単位体積あたりの正極活物質及び負極活物質の量が適度に多く、かつ両活物質の化学両論比が1に近い程エネルギー密度が高いものになることが一般的にいえる」とはいえないから、上記(ii)の点は理由がない。
2.4 取消理由の(1)について
2.4.1 各引用例の記載
(引用例1)
上記引用例1には、「巻回状電極構造を有する電気化学的セル」の発明に関し、
(1-1)「図4は正極集電電極構造体20を示す断面図であって、基材23の両側が電気化学的システムの還元性液体正極物質用に好適な触媒物質の多孔層40(25の誤記)で覆われているのが示されている。いろいろな触媒物質が知られており、例えば0.010〜0.020インチ(254〜508μmに相当)厚のカーボンブラックがある。」(第3欄第45〜51行)、
(1-2)「図5において、長尺金属基材29を含む負極電極構造体21が示されており、基材29は固体の0.002インチ厚のニッケルあるいはステンレス鋼とされる。基材29の両側は、好ましくは酸化可能な活性負極物質、例えばリチウム金属のより幅の広い層80によって被覆されている。各リチウム層30は0.005〜0.010インチ(127〜254μmに相当)厚がよい。」(第3欄第58〜64行)、
(1-3)「図6と図2の両図にて理解できるように、最終的なコイル17(バッテリ・スタック)は多孔性絶縁材22のシートによって分離された負極集電電極構造体と正極集電電極構造体とが交互に重なる層を含んでいる。多孔性絶縁材集電基材23の幅は負極基材29の幅より大きい。コイル,17は、正極基材の露出端がコイルの外側になるように巻かれる。」(第3欄第65行〜第4欄第5行)、
(1-4)「上述された電気化学電池に採用されるリチウム以外の酸化可能物質には他のアルカリ金属およびアルカリ土類金属を含む。電解質溶液は還元性液体正極物質の溶媒から成る。有益な正極物質としては液体オキシハロゲン化物、液体非金属酸化物、液体非金属ハロゲン化物、およびそれらの混合物が見いだされた。電解質溶質がその電気電導度を高めるため溶媒内に溶かされている。特に、溶媒は塩化チオニル(SOCl2)および溶質はテトラクロロアルミン酸リチウムであってもよい。」(第4欄第42〜52行)、
との記載がある。
(引用例2)
上記引用例2には「一次電池における物質収支II.高放電率でのリチウム無機電池」と題する報文であって、
(2-1)これの第52頁のFig.2には、渦巻型の電極巻回体を構成するカソード(陽極)の膜厚をt1、第1セパレータの膜厚をt2、アノード(陰極)の膜厚をt3、第2セパレータの膜厚をt4とする図が示され、同頁右欄下から第13〜7行にはこれに基いて陽極の長さL1、第1セパレータの長さL2、陰極の長さL3、第2セパレータの長さL4を計算する式(3)〜(6)が開示されており、また、
(2-2)同第53頁左欄第8〜17行には、リチウム電池は陽極材料の最大容量によってその容量が制御でき、まず、陽極の寸法をカーボン混合物などの陽極材料の最大容量を仮定することによって実験的に定めなければならないことが、
(2-3)同第53頁左欄第22〜29行には、電池の容量Qからカーボン構造の全体積Vcを式(9)で計算し、最大放電電流密度から陽極の表面積を求めることが、
(2-4)同第53頁左欄第32〜39行には、陽極の長さと膜厚は体積、表面積及び幅から容易に計算できることが、
(2-5)同第53頁第39〜43行には、陽極の膜厚はカーボン構造の膜厚と集電体の膜厚の和であることが、
(2-6)同第53頁右欄第28〜43行には、陰極は体積と幅がわかっても膜厚はすぐには計算できないが、陽極の集電体と表面積が同じであるとして体積を決めることができ、陰極全体の長さと膜厚は電極の形状を決める式の一つに未知数として入れられることが、
(2-7)同第53頁右欄第44行〜第54頁右欄第16行には、上記式(3)〜(6)を式(12)〜(17)を経て式(18)〜(23)のように変形し、最初に式(22),(23)を変形した式(24)〜(27)から電極の巻回数nを求め、次に、求めたnを式(18)〜(22)に代入して全体の寸法が求められることが、さらに、
(2-8)同第54頁右欄第32〜36行には、試験容器として標準サイズのAA電池を選択したこと、巻回状電極構造は、膜厚0.030インチ(762μmに相当)、大きさ1×2インチの薄膜状の陽極を、膜厚0.015インチ(381μmに相当)、大きさ1.5×3インチの薄膜状リチウム陰極と組合わせて作成されたことが、
それぞれ示されている。
(参考例1)
上記参考例1には、「二次電解質電池」の発明に関し、
(3-1)「本発明で用いられる電極活物質は特に限定されるものではないが、一例を示せば、・・・(中略)・・・Li(1-x)CoO2、Li(1-x)NiO2、・・・(中略)・・・等の無機化合物、フッ化カーボン、グラファイト、・・・(中略)・・・等の炭素材料、ポリアセチレン、ポリ-p-フェニレン等の導電性高分子等が挙げられる。」(第2頁右下欄第5〜14行)、
(3-2)「電池の構造としては、特に限定されるものではないが、・・・(中略)・・・正極、負極、更に要すればセパレーターをロール状に巻いた円筒電池等の形態が一例として挙げられる。」(第3頁右上欄第11〜16行)、
(3-3)「実施例1 平均粒径2μmのLi1.03Co0.95Sn0.042O2粉末1重量部に対し、平均粒径5μmのグラファイト・・・(中略)・・・塗工液とした。実験例2で得られた導電性被覆アルミ箔19μmを基材としてこの塗工液を片面に塗布乾燥し、100μmの膜厚を有する電極を得た。この電極製膜体から1cm×5cmを切り出し正極とした。市販の石油系ニードルコークス・・・(中略)・・・塗工液とした。実験例1で得られた導電性被覆銅箔14μmを基材としてこの塗工液を塗布乾燥し、60μmの膜厚を有する電極を得た。この電極製膜体から1cm×5cmを切り出し負極とした。電解液として0.6MLiClO4プロピレンカーボネートを用い第1図に示す電池を組立てた。」(第3頁左下欄第18行〜同頁右下欄第19行)、
との記載がある。
(参考例2)
上記参考例2には、「二次電池」の発明に関し、
(4-1)「本発明の二次電池用活物質を用い、電極を製造するに際し、該活物質は種々の形状で用いることができる。即ち、フィルム状、繊維状、粉末状等任意の形状で目的に応じ用いられるが、特に粉末状で用いる場合には、該活物質をシート状等任意の形状に成形して用いることができる。」(第7頁右上欄第5〜11行)、
(4-2)「実施例1 アントラセン油をAr雰囲気下で室温より5℃,1分で昇温し、1200℃で1時間焼成炭化した。その炭素質材料の・・・(中略)・・・であった。この資料をボールミル粉砕した平均直径2μmの粉末1重量部をニトリルゴム(比誘電率17.3)メチルエチルケトン溶液(2wt%)2.5重量部と混合し塗工液とし、10μmの銅箔1cm×5cmの表面に75μmの厚みに製膜した。これをSUSネットにはさみ、第1図に示す電池の負極とした。一方、炭酸リチウム・・・(中略)・・・Li1.03Co0.95Sn0.42O2の組成を有する複合酸化物を得た。この複合酸化物をボールミルで平均3μmに粉砕した後、複合酸化物1重量部に対し、アセチレンブラック0.1重量部、ポリアクリロニトリル(比誘電率5.59)のジメチルホルムアミド溶液(濃度2wt%)1重量部と混合した後、15μmアルミ箔1cm×5cmの片面に100μmの膜厚に塗布した。これをSUSネットではさんだものを正極とし、0.6モル濃度のLiCl4プロピレンカーボネート溶液を電解液として電池評価を行った。セパレータとして、ポリエチレン微多孔質膜35μmを用いた。」(第9頁右上欄第10行〜同頁左下欄第17行)、
(4-3)「実施例11 ・・・(中略)・・・この気相成長炭素繊維5mgを1cm×5cmのシート状にした後、SUSネットにはさみ、第1図に示す電池の負極とした。一方、1cm×5cm×0.1cmのシート状に成形したLiCoO2をSUSネットではさんだものを正極とし、LiClO4の0.6Mプロピレンカーボネート溶液を電解液として電池評価を行った。尚、セパレータとしてポリプロピレン不織布を用いた。」(第11頁右上欄下から第12行〜同頁右下欄第6行)、
との記載がある。
2.4.2 対比・検討
上記(1-1)における「還元性液体正極物質」には、上記(1-4)の記載によれば、「塩化チオニル(SOCl2)」が包含されるから、上記引用例1には、
『塩化チオニル(SOCl2)等の還元性液体正極物質用の触媒物質である炭素質材料25を帯状正極集電体23の両面にそれぞれ形成することにより構成した帯状正極20と、リチウム金属を負極活物質として用いた負極活物質層80を帯状負極集電体29の両面にそれぞれ形成することにより構成した帯状負極21とをそれぞれ具備し、前記帯状正極20と前記帯状負極21とを帯状セパレータ22を介して積層した状態で多数回巻回することにより前記帯状正極20と前記帯状負極21との間にセパレータ22が介在している渦巻型の巻同体を構成するようにした非水電解液電池。』
の発明が記載されているといえる。
そこで、本件訂正発明1と上記引用例1に記載の発明とを対比すると、両者は、共に、「帯状正極と、帯状負極とをそれぞれ具備し、前記帯状正極と前記帯状負極とを帯状セパレータを介して積層した状態で多数回巻回することにより前記帯状正極と前記帯状負極との間にセパレータが介在している渦巻型の巻同体を構成するようにした非水電解液電池。」である点では共通するが、少なくとも
(1)正極活物質が、本件訂正発明では「リチウム複合酸化物」であるのに対し、引用例1に記載のものでは「塩化チオニル(SOCl2)等の還元性液体正極物質」である点、
(2)負極活物質が、本件訂正発明では「炭素質材料」であるのに対し、引用例1に記載のものでは「リチウム金属」である点、
(3)本件訂正発明は「非水電解液二次電池」の発明であるのに対し、引用例1に記載の発明は「非水電解液電池」の発明ではあるにしても、「二次電池」すなわち充電可能な電池であるか否かについての明示の記載はない点、
で両者は相違している。
一方、上記引用例2に記載されている電池は、その報文の題名からして明らかなように、「一次電池」すなわち充電不可能な電池であり、その正極活物質及び負極活物質は、上記(2-2)及び(2-8)の記載によれば、それぞれ炭素質材料及びリチウム金属からなるものである。
したがって、引用例2には、「炭素質材料を正極活物質とした帯状正極と、リチウム金属を負極活物質とした帯状負極とをそれぞれ具備し、前記帯状正極と前記帯状負極とを帯状セパレータを介して積層した状態で多数回巻回することにより前記帯状正極と前記帯状負極との間にセパレータが介在している渦巻型の巻回体を構成するようにした非水電解液一次電池」における最適な活物質層の膜厚を決定する方法が記載されているとは認められるが、その方法を正極活物質として「リチウム複合酸化物」、負極活物質として「炭素質材料」からなる「二次電池」に適用し得ることを示唆する記載はない。
さらに、上記参考例1及び2の記載からして、正極活物質として「リチウム複合酸化物」、負極活物質として「炭素質材料」を有する「二次電池」は本件特許に係る出願の出願前に周知であるとしても、これら周知の電池の各電極活物質と引用例2に記載の電池における各電極の活物質とは物性が全く相違しており、しかもそれぞれの電池で生起している電極反応も当然に異なっていることを考慮すれば、引用例2記載されている電極活物質層の最適膜厚の決定方法を上記周知の「二次電池」の場合に直ちに適用し得るとは到底認めることはできない。
加えて、参考例1に記載のものでは、正極活物質層の膜厚は「100μm」、負極活物質層の膜厚は「60μm」であり、さらに、参考例2に記載のものでは、正極活物質層の膜厚は「100μm」(実施例1)及び「0.1cm(1000μm)」(実施例11)で負極活物質層の膜厚は「75μm」(実施例1。実施例11での具体的膜厚は不明。)であるから、少なくとも正極活物質層の膜厚については本件訂正発明で限定している数値範囲と重複一致するものが示されているとは認められるものの、負極活物質の膜厚は本件訂正発明で限定している数値範囲とは異なっており、しかも、参考例1及び2には「正極活物質層の膜厚」のみでなく、「負極活物質層の膜厚」、「正極活物質層の膜厚の負極活物質の膜厚に対する比」及び「正極活物質層の膜厚と負極活物質の膜厚の総和」まで本件訂正発明で限定している数値範囲をとり得ることを示唆する記載はない。
そして、本件訂正発明は、上記相違点とする構成を備えることにより、「正極活物質層の膜厚和A」、「負極活物質層の膜厚和B」、「正極活物質層の膜厚和Aの負極活物質層の膜厚和Bに対する比A/B」及び「正極活物質層の膜厚和Aと負極活物質層の膜厚和Bとの膜厚総和(A+B)」を所定の数値範囲に限定することと相まって、サイクル寿命が優れているだけでなく、エネルギー密度が非常に大きく、また、電極全長を比較的短くすることができて製造が容易であり、しかも、不良品が出にくいという特許明細書記載の効果を奏することができることは、本件特許明細書の表1、表2、第5図及び第6図の記載からして確認できる。
したがって、本件訂正発明は、引用例1、引用例2,参考例1及び参考例2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
2.5 独立特許要件に対する結論
したがって、上記「III.2.3」及び「III.2.4」で述べたように、本件訂正発明は独立特許要件を備えているものと認める。
3.訂正の認否
したがって、上記「III.1.」及び「III.2.5」に述べたように、上記訂正は特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する同法第126条第2項から第4項までの規定にそれぞれ適合するものであるから、当該訂正を認める。
IV.特許異議の申立についての判断
1.申立理由の概要
1.1 申立人1の申立て理由の概要
申立人1は、証拠として甲第1号証(米国特許第4565753号明細書、上記引用例1に該当)及び甲第2号証(″Journal of Applied Electrochemistry″,Vol.6(1971),p.51-58、上記引用例2に該当)を提出し、本件特許の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、甲第1及び2号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、該発明の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、特許を取り消すべきものである旨を主張している。
1.2 申立人2の申立て理由の概要
申立人2は、証拠として甲第1号証(特開昭63-121264号公報、上記参考例1に該当)、甲第2号証(特開昭61-296652号公報)及び甲第3号証(特開昭63-121248号公報)を提出し、
(1)本件特許の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、甲第1〜3号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、該発明の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである、
(2)本件特許明細書には記載不備があるから、本件特許の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、明細書の記載が特許法第36条第3項及び第4項の規定を満たしていないものに対してなされたものである、
ので、特許を取り消すべきものである旨を主張している。
1.3 申立人3の申立て理由の概要
申立人3は、証拠として甲第1号証(特開昭61-296652号公報)及び甲第2号証(特開昭62-90853号公報、上記参考例2に該当)を提出し、本件特許の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、甲第1及び2号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、該発明の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、特許を取り消すべきものである旨を主張している。
2.当審の判断
2.1 本件発明
上記「III.3.」で述べたように、上記訂正を認めるので、本件特許の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、上記「III.2.1」に摘記した訂正後の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのもの(以下、「本件発明」という。)である。
2.2 申立人1の申立て理由について
申立人1の申立理由及びその申立理由で引用された甲第1及び2号証は、それぞれ当審における取消理由通知で通知した理由(1)及び証拠として引用した引用例1及び2と同じであるから、上記「III.2.4」で述べたのと同様の理由により、本件発明は、申立人1が提出した甲第1及び2号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
なお、申立人1は、甲第1号証の「anode」を「正極」と、「cathode」を「負極」と、また「lithium metal」を「リチウム複合酸化物」と訳しているが、電池の技術分野では「anode」は「負極」及び「cathode」は「正極」であることは周知(この点につき必要であれば、「化学大辞典1」、共立出版株式会社、1963年7月1日縮刷版発行、第212頁の「アノード」の項の記載を参照されたい。)であるし、また、「lithium metal」は「リチウム金属」であることは明らかであるので、当然自明の誤訳である。
2.3 申立人2の申立て理由について
申立人2の申立て理由の(2)は、当審における取消理由通知で通知した理由(2)と同じであるから、上記「III.2.3」で述べたのと同様の理由により理由あるものとすることはできない。
そこで、以下において申立人2の申立て理由(1)について検討する。
2.3.1 甲各号証
(甲第1号証)
甲第1号証は、当審における取消理由で引用された参考例1と同じであり、上記(3-1)〜(3-3)に摘記したとおりのことが記載されている。
(甲第2号証)
甲第2号証には、「非水二次電池」の発明に関し、
(5-1)「実施例1 厚みが10μm、縦4cm、横125cmの銅箔(重量4.5g)の両面にポリアセチレンスラリーを塗布し、含浸しているトルエンを減圧下で除去して、膜厚100μに製膜したものを負極とした。一方、厚みが10μm、縦4cm、横125cmのアルミ箔(重量1.4g)の両面に参考例で得られたポリアセチレンスラリーに粉末グラファイトを混合したスラリー(ポリアセチレン2wt%、粉末グラファイト0.2wt%)を塗布し、減圧乾燥して125μmに製膜したものを正極とした。電解液として0.6M-LiClO4-プロピレンカーボネート溶液を用い、セパレータとして厚さ40μmのポリエチレン微多孔質膜(・・・(中略)・・・)を用い、第1図に示す構造のうず巻き型電池を作成した。」(第3頁第2〜17行)、
との記載がある。
(甲第3号証)
甲第3号証には、「炭素質材料二次電池」の発明に関し、
(6-1)「実施例1ベンゼンに・・・(中略)・・・炭素繊維が得られた。この炭素繊維を・・・(中略)・・・粉砕し、0.1μm〜50μmの範囲に粒度分布の92容量%を有する粉粒体を得た。・・・(中略)・・・該粉粒体1重量部をニトリルゴム(比誘電率17.3)のメチルエチルケトン溶液(2wt%濃度)2.5重量部と混合し塗工液とし、10μmの銅箔1cm×5cmの表面に75μmの厚みに製膜した。この製膜体をSUSネットにはさみ、第1図に示す電池の負極とした。・・・(中略)・・・一方、1cm×5cm×0.1cmのシート状に成形したLiCoO2をSUSネットではさんだものを正極とし、LiClO4の0.6Mプロピレンカーボネート溶液を電解液として電池評価を行った。尚、セパレータとしてポリプロピレン不織布を用いた。」(第8頁右下欄第7行〜第9頁第14行)、
との記載がある。
2.3.2 対比・検討
甲第1号証には、「リチウム複合酸化物を正極活物質として用いた正極活物質層を帯状正極集電体に形成することにより構成した帯状正極と、炭素質材料を負極活物質として用いた負極活物質層を帯状負極集電体に形成することにより構成した帯状負極とをそれぞれ具備し、前記帯状正極と前記帯状負極とを帯状セパレータを介して積層した状態で多数回巻回することにより前記帯状正極と前記帯状負極との間にセパレータが介在している渦巻型の巻同体を構成するようにした非水電解液二次電池」が記載されているとは認められるが、本件発明では「正極活物質層の膜厚和A」、「負極活物質層の膜厚和B」、「正極活物質層の膜厚和Aの負極活物質層の膜厚和Bに対する比A/B」及び「正極活物質層の膜厚和Aと負極活物質層の膜厚和Bとの膜厚総和(A+B)」につき特定の数値範囲に限定しているのに対し、甲第1号証には、「正極活物質層の膜厚」のみ本件発明と重複一致するものが示されてはいるが、他のものは全て本件発明で限定している数値範囲からはずれているので、両者はかかるる点で相違している。
一方、甲第2号証には、正極活物質層を帯状正極集電体に形成することにより構成した帯状正極と、負極活物質層を帯状負極集電体に形成することにより構成した帯状負極とをそれぞれ具備し、前記帯状正極と前記帯状負極とを帯状セパレータを介して積層した状態で多数回巻回することにより前記帯状正極と前記帯状負極との間にセパレータが介在している渦巻型の巻回体を構成するようにした非水電解液二次電池において、正極活物質としてポリアセチレン-炭素系物質、負極活物質としてポリアセチレンを用いたものが記載されており、少なくとも「正極活物質層の膜厚」、「負極活物質層の膜厚」、「正極活物質層の膜厚の負極活物質の膜厚に対する比」が本件発明で限定している数値範囲と重複一致しているものが示されてはいるが、甲第2号証に記載の電池における正極活物質及び負極活物質は本件発明のものとは全く物性が相違しているし、しかも、甲第2号証に記載の電池で生起している反応と本件発明における反応とは明確に異なっていることを考慮すれば、甲第2号証に記載されている各電極活物質層の膜厚が直ちに本件発明における各電極活物質層の膜厚として好適なものとして採用し得るとすることはできない。
このことは、甲第1号証に記載のものと同じく、リチウム複合酸化物を正極活物質として、また、炭素質材料を負極活物質として用いている甲第3号証に記載されている非水電解液二次電池では、正極活物質の厚みは「0.1cm(1000μm)」で負極活物質の厚みは「75μm」とされているように、少なくとも正極活物質層の膜厚が甲第1及び2号用に記載されている数値範囲とは大幅に異なっていることからも裏付けることができる。
そして、本件発明は、上記相違点とする構成を備えることにより、サイクル寿命が優れているだけでなく、エネルギー密度が非常に大きく、また、電極全長を比較的短くすることができて製造が容易であり、しかも、不良品が出にくいという特許明細書記載の効果を奏することができることは、本件特許明細書の表1、表2、第5図及び第6図の記載からして確認できる。
したがって、本件発明は、申立人2が提出した甲第1〜3号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
2.4 申立人3の申立て理由について
2.4.1 甲各号証の記載
(甲第1号証)
甲第1号証は、申立人2の提出した甲第2号証と同じであり、これには上記(5-1)に摘記したとおりのことが記載されている。
(甲第2号証)
甲第2号証は、上記参考例2と同じであり、これには上記(4-1)及び(4-2)に摘記したとおりのことが記載されている。
2.4.1 対比・検討
甲第1号証には、正極活物質層を帯状正極集電体に形成することにより構成した帯状正極と、負極活物質層を帯状負極集電体に形成することにより構成した帯状負極とをそれぞれ具備し、前記帯状正極と前記帯状負極とを帯状セパレータを介して積層した状態で多数回巻回することにより前記帯状正極と前記帯状負極との間にセパレータが介在している渦巻型の巻回体を構成するようにした非水電解液二次電池において、正極活物質としてポリアセチレン-炭素系物質、負極活物質としてポリアセチレンを用いたものが記載されており、少なくとも「正極活物質層の膜厚」、「負極活物質層の膜厚」、「正極活物質層の膜厚の負極活物質の膜厚に対する比」が本件発明で限定している数値範囲と重複一致しているものが示されているとは認められるが、甲第1号証に記載の電池における正極活物質及び負極活物質である「ポリアセチレン-炭素系物質」及び「ポリアセチレン」は、それぞれ本件発明の正極活物質及び負極活物質である「リチウム複合酸化物」及び「炭素質材料」とは全く物性が相違しているし、しかも、甲第1号証に記載の電池で生起している反応と本件発明における反応とは明確に異なっていることを考慮すれば、甲第1号証に記載されている各活物質層の膜厚が直ちに本件発明における電池の活物質層の膜厚として好適なものとして採用し得るとすることはできない。
一方、甲第2号証には、正極活物質として「リチウム複合酸化物」、負極活物質として「炭素質材料」を有する「非水電解質二次電池」が記載されているが、正極活物質の膜厚は「100μm」(実施例1)及び「0.1cm(1000μm)」(実施例11)で負極活物質の膜厚は「75μm」(実施例1。実施例11での具体的膜厚は不明。)であるから、少なくとも正極活物質の膜厚については本件発明で限定している数値範囲と重複一致するものが示されてはいるとしても、負極活物質の膜厚は本件発明で限定している数値範囲とは異なっており、しかも、甲第2号証には「正極活物質層の膜厚」のみでなく、「負極活物質層の膜厚」、「正極活物質層の膜厚の負極活物質の膜厚に対する比」及び「正極活物質層の膜厚と負極活物質の膜厚の総和」まで本件発明で限定している数値範囲をとり得ることを示唆する記載はない。
そして、本件発明は、正極活物質として「リチウム複合酸化物」、負極活物質として「炭素質材料」を有する「非水電解質二次電池」において、「正極活物質層の膜厚和A」のみでなく、「負極活物質層の膜厚和B」、「正極活物質層の膜厚和Aの負極活物質層の膜厚和Bに対する比A/B」及び「正極活物質層の膜厚和Aと負極活物質層の膜厚和Bとの膜厚総和(A+B)」まで本件発明で限定している数値範囲となすことにより、サイクル寿命が優れているだけでなく、エネルギー密度が非常に大きく、また、電極全長を比較的短くすることができて製造が容易であり、しかも、不良品が出にくいという特許明細書記載の効果を奏することができることは、本件特許明細書の表1、表2、第5図及び第6図の記載からして確認できる。
したがって、本件発明は、申立人3が提出した甲第1及び2号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
V.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件発明に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
非水電解液二次電池
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 リチウム複合酸化物を正極活物質として用いた正極活物質層を帯状正極集電体の両面にそれぞれ形成することにより構成した帯状正極と、炭素質材料を負極活物質として用いた負極活物質層を帯状負極集電体の両面にそれぞれ形成することにより構成した帯状負極とをそれぞれ具備し、
前記帯状正極と前記帯状負極とを帯状セパレータを介して積層した状態で多数回巻回することにより前記帯状正極と前記帯状負極との間にセパレータが介在している渦巻型の巻同体を構成するようにした非水電解液二次電池において、
前記帯状正極において前記正極集電体の両面にそれぞれ形成されている一対の正極活物質層の膜厚和Aが80〜250μmの範囲にあり、
前記帯状負極において前記負極集電体の両面にそれぞれ形成されている一対の負極活物質層の膜厚和Bが80〜250μmの範囲にあり、
前記正極活物質層の膜厚和Aの前記負極活物質層の膜厚和Bに対する比A/Bが0.6〜1.5の範囲にあり、
前記正極活物質層の膜厚和Aと前記負極活物質層の膜厚和Bとの膜厚総和(A+B)が250〜500μmの範囲にあることを特徴とする非水電解液二次電池。
【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本発明は、リチウム複合酸化物を正極活物質として、また炭素質材料を負極活物質層としてそれぞれ用い、帯状正極と帯状負極とを帯状セパレ一夕を介して巻回することにより渦巻型の巻同体を構成するようにした非水電解液二次電池に関するものである。
〔発明の概要〕
本発明は、リチウム複合酸化物を正極活物質として、また炭素質材料を負極活物質としてそれぞれ用い、帯状正極と帯状負極とを帯状セパレータを介して巻回することにより渦巻型の巻回体を構成するようにした非水電解液二次電池において、前記帯状正極に形成されている一対の正極活物質層の膜厚和Aが80〜250μmの範囲にあり、前記帯状負極に形成されている一対の負極活物質層の膜厚和Bが80〜250μmの範囲にあり、前記膜厚和Aの前記膜厚和Bに対する比A/Bが0.6〜1.5の範囲にあり、前記正極活物質層の膜厚和Aと前記負極活物質層の膜厚和Bとの膜厚総和(A+B)が250〜500μmの範囲にあるように構成することによって、優れたサイクル寿命特性と高いエネルギー密度とを備えた非水電解液二次電池を提供し得るようにしたものである。
〔従来の技術〕
近年、ビデオカメラやヘッドホン式ステレオ等の電子機器の高性能化、小型化には目覚ましいものがあり、これらの電子機器の電源となる二次電池の高容量化の要求も強まってきている。二次電池としては、鉛二次電池やニッケルカドミウム二次電池が従来から用いられている。更に、最近はリチウム金属またはリチウム合金を負極活物質として用いたエネルギー密度の大きい非水電解液二次電池の開発が活発に行われている。
リチウム金属またはリチウム合金を負極活物質として用いる非水電解液二次電池は、高エネルギー密度を有する二次電池となり得るものであるが、リチウムのデンドライト成長による性能劣化やリチウムの粉末化によるサイクル寿命の低下等の欠点がある。
これに対し、負極活物質として炭素質材料を用いると共に正極活物質としてリチウムコバルト酸化物(LiCoO2)を用いた非水電解液二次電池は、リチウムイオンのドーピングおよびアンドーピングを利用することによりデンドライト成長やリチウムの粉末化を制御し得るため、優れたサイクル寿命性能を備えている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、負極に炭素質材料を用いたかかる非水電解液二次電池は、負極にリチウム金属を用いた非水電解液二次電池やニッケルカドミウム二次電池に比較して、エネルギー密度が小さいという欠点を持っていた。
本発明の課題は、負極活物質として炭素質材料を用いても、エネルギー密度の高い非水電解液二次電池を得ることにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、リチウムコバルト酸化物、リチウムコバルトニッケル酸化物などのリチウム複合酸化物を正極活物質として用いた正極活物質層を帯状正極集電体の両面にそれぞれ形成することにより構成した帯状正極と、炭素質材料を負極活物質として用いた負極活物質層を帯状負極集電体の両面にそれぞれ形成することにより構成した帯状負極とをそれぞれ具備し、前記帯状正極と戦記帯状負極とを帯状セパレータを介して積層した状態で多数回巻回することにより前記帯状正極と前記帯状負極との間にセパレ一夕が介在している渦巻型の巻同体を構成するようにした非水電解液二次電池において、前記帯状正極において前記正極集電体の両面にそれぞれ形成されている一対の正極活物質層の膜厚和Aが80〜250μmの範囲にあり、前記帯状負極において前記負極集電体の両面にそれぞれ形成されている一対の負極活物質層の膜厚和Bが80〜250μmの範囲にあり、前記正極活物質層の膜厚和Aの前記負極活物質層の膜厚和Bに対する比A/Bが0.6〜1.5の範囲にあり、前記正極活物質層の膜厚和Aと前記負極活物質層の膜厚和Bとの膜厚総和(A+B)が250〜500μmの範囲にあることを特徴とする非水電解液二次電池に係るものである。
上記正極活物質として用いるリチウム複合酸化物は、リチウムコバルト酸化物(LiCoO2)、この酸化物にニッケルが少量含有しているリチウムコバルトニッケル酸化物(一般式LixCo(1-y)NiyO2(x、y<1)で表した場合、例えばx≒1、y≒0.2)などであってよい。
上記負極活物質として用いる炭素質材料は、熱分解炭素類、コークス類(石油系コークス、ピッチコークス、石油系コークスなど)、アセチレンブラックなどのカーボンブラック類、グラファイト、ガラス状炭素、活性炭、炭素繊維、有機高分子焼成物(有機高分子を適当な温度、望ましくは500℃以上で焼成したもの)などであってよい。
〔実施例〕
本発明による非水電解液二次電池の一実施例を第1図〜第4図を参照しながら説明する。
第3図は非水電解液二次電池の一半部分の縦断面図であって、この電池は次のようにして作製された。
最初に、帯状正極1を次のように作った。
市販の炭酸リチウム(Li2CO3)と炭酸コバルト(CoCO3)とをリチウム原子とコバルト原子とが1:1の組成比となるように混合し、空気中で900℃で5時間焼成して、リチウムコバルト酸化物LiCoO2を得、これを正極活物質とした。次いで、この正極活物質LiCoO291重量部、導電剤としてのロンザ社製の平均粒径が7μmのKS-15グラファイト6重量部および結着剤としてのポリフッ化ビニリデン3重量部を混合して、正極合剤とした。この正極合剤を溶媒N-メチル-2-ピロリドンに分散させてペースト状にした。この正極合剤ペーストを、正極集電体10としての厚さ0.02mm、幅43mmの帯状のアルミニウム箔の両面に均一に塗布して、乾燥した。乾燥後に、ローラープレス機により圧縮成形して、第1図に示す帯状正極1を作った。このときの正極活物質層11a、11bの密度は3.6g/cm3であった。この帯状正極1において、正極活物質層11a、11bは正極集電体10の両側に互いにほぼ同じ膜厚で形成した。各々の膜厚をA1、A2とし、これらの和(即ち集電体10の両面における正極活物質層の膜厚和)を(A1+A2=)Aとしたとき、第1図に示す帯状正極1の膜厚和Aは130μmであった。
次に、負極2を次のようにして作った。
粉砕したピッチコークスを負極活物質として用いた。このツピッチコークス90重量部および結着剤としてのポリフッ化ビニリデン10重量部を混合して、負極合剤とした。この負極合剤を溶媒N-メチル-2-ピロリドンに分散させてペースト状にした。この負極合剤のペーストを負極集電体12としての厚さ0.01mm、幅43mmの帯状の銅箔を両面に均一に塗布して、乾燥した。乾燥後に、ローラープレス機により圧縮成形して、第2図に示す帯状負極2を作った。このときの負極活物質層13a、13bの密度は1.4g/cm3であった。この帯状正極2において、負極活物質層13a、13bは負極集電体の両面に互いにほぼ同じ膜厚で形成した。各々の膜厚をB1、B2とし、これらの和(即ち集電体12の両面における負極活物質層の膜厚和)を(B1+B2=)Bとしたとき、第2図に示す帯状負極2の膜厚Bは140μmであった。
次に、上記帯状正極1及び上記帯状負極2を用い、更にセパレータを一対用いて、これらを互いに積層させてから多数回巻回して、第3図及び第4図に示す渦巻型の巻同体14をつくった。
即ち、第4図は第3図に示す電池に用いられている巻同体14の一部分の詳細な横断面を示すものであって、第1図に示す1つの帯状正極1、第2図に示す1つの帯状負極2、厚さ0.025mmの微孔性ポリプロピレンフィルムから成る一対のセパレータ3a、3bを、負極2、セパレータ3a、正極1、セパレータ3bの順序で積層してから、この積層体を渦巻型に多数回巻回することによって、巻同体14を作った。この場合の正極1及び負極2のそれぞれの全長(以下、「電極全長」という)は34cmであった。
上記のようにして作った1つの巻回体14を、第3図に示すように、ニッケルめっきを施した内径13.3mmの鉄製電池缶5に収納した。また正極1および負極2の集電を行うために、アルミニウム製の正極リード6を予め正極1に取付け、これを正極1から導出して、電池蓋8に溶接し、またニッケル製の負極リード7を同様に予め負極2に取付け、これを負極2から導出して、電池缶5に溶接した。この電池缶5の中に、六フッ化リン酸リチウムを1モル/l溶解した炭酸プロピレンと1,2-ジメトキシエタンとを混合して得た電解液を注入して含浸させた。この際、巻回体14の上下面に対向するように、電池缶5内に絶縁板4a、4bを配設した。またこの電池缶5と電池蓋8とを絶縁封口ガスケット9を介してかしめて、電池缶5を封口した。
以上のようにして、直径13.8mm、高さ50mmの円筒型非水電解液二次電池を作製した。
次に、図示の実施例において、正極1における一対の正極活物質層11a、11bの膜厚和Aの値を130μmから30、40、80、180、230、280μmの6通りに変えて、活物質層の膜厚和Aが異なる合計6種類の帯状正極1を得た。また図示の実施例において、負極2における一対の負極活物質層13a、13bの膜厚和Bの値を140μmから40、90、190、240、280μmの5通りに変えて、活物質層の膜厚和Bの値が異なる合計6種類の帯状負極2を得た。
これら7種類の帯状正極1と6種類の帯状負極2とを組合わせて、図示の実施例と全く同様の方法で、図示の実施例(電池No.16のもの)を含め、次の第1表に示す32種類の非水電解液二次電池を作製した。


この第1表において、電池No.に*印が付されているNo.16〜17、No.22〜24およびNo.29〜30の電池(計7個)は本発明の実施例であり、*が付されていないNo.1〜15、No.18〜21、No.25〜28およびNo.31〜32の電池(計25個)は本発明の参考例である。また第1表に示す電極全長は、正極1および負極2のそれぞれの全長を意味している。なお、活物質層の膜厚和AまたはBが280μmである正極または負極を用いた場合には、上記巻回体14を作る巻回の工程中において、これらの電極の活物質層が集電体から剥離したりクラックを生じたりして、良好な渦巻型巻同体を得ることができなかったが、第1表では、このb、な場合を正極クラックまたは負極クラックと記載してある。
第1表に示す32種の電池のうちで正極または負極クラックなどを生じたNo.7、No.13、No.19、No.25およびNo.31〜32のものを除いた26種類の電池について、次のような充放電試験を実施した。即ち、充電電流密度1mA/cm2、終止電圧4.0Vの定電流充電を行った後、14Ωの定抵抗により2.9Vまでの放電を行ってエネルギー密度を調べた。この結果を、上記26個の非水電解液二次電池について示したのが、次の第2表である。


この第2表における電池No.は第1表の電池No.と一対一に対応している。なお、第2表には、正極活物質層の膜厚和Aの負極活物質層の膜厚和Bに対する比を示す膜厚比A/Bおよびこれらの膜厚総和(A+B)も示している。
第2表における上記膜厚比A/Bとエネルギー密度(WH/L)との関係を、第1表に示す負極活物質層の5種類の膜厚和B(即ちBがそれぞれ40、90、140、190および240μm)について、5つの曲線によって示したのが、第5図である。また、第5図における各々の曲線の最大エネルギー密度とその各々の場合の活物質層の膜厚総和(A+B)との関係を示したのが、第6図である。
第5図から、総ての曲線について、膜厚比A/Bが1となる近傍において、エネルギー密度が最大になることがわかり、また負極活物質層の膜厚和Bが大きくなるに従ってその最大エネルギー密度も大きくなることがわかる。しかし、この最大エネルギー密度も、第6図からわかるように、前記膜厚総和(A+B)が大きくなると、もはやそれ程大きくならなくなる。
以上の第1表、第2表、第5図および第6図から、本発明における非水電解液二次電池を構成する正極および負極活物質の膜厚和AおよびBに関して、以下に述べるような条件が満たされれば、エネルギー密度の大きい二次電池が得られることがわかる。即ち、正極活物質層の膜厚和Aと負極活物質層の膜厚和Bとがそれぞれ80〜250μm、正極活物質層の負極活物質層に対する膜厚比A/Bが0.6〜1.5、正極活物質層と負極活物質層との膜厚総和(A+B)が250〜500μmの条件が満たされれば、最新のニッケルカドミウム二次電池のエネルギー密度140WH/Lよりも充分大きいエネルギー密度を有する非水電解液二次電池を得ることができる。
なお、正および負極活物質層の膜厚和AおよびBに関して上述のような条件が満たされると、AおよびB共に250μmを超えることがないので、渦巻型巻回体14をつくる工程中に、活物質が集電体から剥離したりクラックを生じたりする不具合もなくなる。
また、正極および負極を作る際に、集電体の片面だけに所定の活物質層を設けることも考えられるが、この場合には、集電体の一方のみに活物質を塗布して乾燥させ、次いでローラープレス機にかけて圧縮成形することにより帯状電極を作る際に、この帯状電極がそってしまうから、後に続く工程に問題を残してしまう。従って、集電体の片面のみに活物質層を設けた電極を用いるのは実用的でない。
〔発明の効果〕
本発明は、リチウム複合酸化物を正極活物質として、また炭素質材料を負極活物質としてそれぞれ用いると共に、帯状正極および帯状負極の両面にそれぞれ形成されている一対の正極および負極活物質層の膜厚和AおよびBに所定の条件を満足させるようにしたものである。従って、本発明によれば、最新のニッケルカドミニウム二次電池のエネルギー密度140WH/Lよりも大きいエネルギー密度を有する非水電解液二次電池を提供することができる。また正極および負極をセパレータと共に渦巻状に巻回して巻同体を作る際に、活性物質の割れや集電体からの剥離を防止することができる。このため、此種の非水電解液二次電池について従来から知られている優れたサイクル寿命特性に加えて、大きなエネルギー密度を有する非水電解液二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第4図は本発明による非水電解液二次電池の一実施例を示すものであって、第1図は帯状正極の一部分の縦断面図、第2図は帯状負極の一部分の縦断面図、第3図は非水電解液二次電池の一半部分の概略的な縦断面図、第4図は第3図に示す巻同体の一部分の詳細な横断面図である。
第5図は本発明の実施例および参考例の非水電解液二次電池について膜厚比(A/B)とエネルギー密度との関係を示すグラフ、第6図は膜厚総和(A+B)と最大エネルギー密度との関係を示すグラフである。
なお図面に用いた符号において、
1……………帯状正極
2……………帯状負極
3a,3b……………セパレータ
10……………正極集電体
11a,11b…………正極活物質層
12……………負極集電体
13a,13b……………負極活物質層
14……………巻回体である。
 
訂正の要旨 平成11年4月26日付けの訂正請求における訂正の要旨は次のとおりである。
1.訂正事項a
特許請求の範囲の減縮を目的として、特許請求の範囲の請求項1に「前記正極活物質層の膜厚和Aの前記負極活物質層の膜厚和Bに対する比A/Bが0.4〜2.2の範囲にあることを特徴とする非水電解液二次電池。」(特許公報第2欄第4〜6行)とあるのを、「前記正極活物質層の膜厚和Aの前記負極活物質層の膜厚和Bに対する比A/Bが0.6〜1.5の範囲にあり、前記正極活物質層の膜厚和Aと前記負極活物質層の膜厚和Bとの膜厚総和(A+B)が250〜500μmの範囲にあることを特徴とする非水電解液二次電池。」に訂正する。
2.訂正事項b
明りょうでない記載の釈明を目的として、特許明細書第3頁第8行(同公報第3欄第8行)に「0.4〜2.2の範囲」とあるのを「0.6〜1.5の範囲にあり、前記正極活物質層の膜厚和Aと前記負極活物質層の膜厚和Bとの膜厚総和(A+B)が250〜500μmの範囲」に訂正する。
3.訂正事項c
明りょうでない記載の釈明を目的として、特許明細書第6頁第8〜15行(同公報第4欄第8〜14行)に「0.4〜2.2・・・(中略)・・・好ましい。」とあるのを「0.6〜1.5の範囲にあり、前記正極活物質層の膜厚和Aと前記負極活物質層の膜厚和Bとの膜厚総和(A+B)が250〜500μmの範囲にあることを特徴とする非水電解液二次電池に係るものである。」に訂正する。
4.訂正事項d
誤記の訂正を目的として、特許明細書第9頁第1行(同公報第5欄第3行)に「負極1」とあるのを「負極2」に訂正する。
5.訂正事項e
明りょうでない記載の釈明を目的として、特許明細書第13頁(同公報第6欄)の表1中「電池No.」の項に「9*」、「10*」、「11*」、「15*」、「18*」、「21*」及び「28*」とあるのを、それぞれ「9」、「10」、「11」、「15」、「18」、「21」及び「28」に訂正する。
6.訂正事項f
明りょうでない記載の釈明を目的として、特許明細書第14頁第1〜6行(同公報第6欄第49行〜第7欄第3行)に「No.9〜11・・・(中略)・・・(計8個)」とあるのを「No.16〜17,No.22〜24およびNo.29〜30の電池(計7個)は本発明の実施例であり、*が付されていないNo.1〜15,NO.18〜21,No.25〜28およびNo.31〜32の電池(計25個)」に訂正する。
7.訂正事項g
明りょうでない記載の釈明を目的として、特許明細書第16頁(同公報第7〜8欄)の表2中「電池No.」の項に「9*」、「10*」、「11*」、「15*」、「18*」、「21*」及び「28*」とあるのを、それぞれ「9」、「10」、「11」、「15」、「18」、「21」及び「28」に訂正する。
8.訂正事項h
誤記の訂正を目的として、特許明細書第18頁第6行(同公報第8欄第33行)に「満たされば、」とあるのを「満たされれば、」に訂正する。
9.訂正事項i
明りょうでない記載の釈明を目的として、特許明細書第18頁第11〜15行(同公報第8欄第37〜44行)に「0.4〜2.2・・・(中略)・・・できる。」とあるのを、「0.6〜1.5、正極活物質層と負極活物質層との膜厚総和(A+B)が250〜500μmの条件が満たされれば、最新のニッケルカドミニウム二次電池のエネルギー密度140WH/Lを有する非水電解液二次電池を得ることができる。」に訂正する。
10.訂正事項j
誤記の訂正を目的として、特許明細書第19頁第1行(同公報第8欄第46行)に「満たさると、」とあるのを「満たされると、」に訂正する。
異議決定日 1999-12-14 
出願番号 特願昭63-209288
審決分類 P 1 651・ 531- YA (H01M)
P 1 651・ 121- YA (H01M)
P 1 651・ 532- YA (H01M)
最終処分 維持  
前審関与審査官 吉水 純子  
特許庁審判長 影山 秀一
特許庁審判官 能美 知康
内野 春喜
登録日 1997-10-03 
登録番号 特許第2701347号(P2701347)
権利者 ソニー株式会社
発明の名称 非水電解液二次電池  
代理人 土屋 勝  
代理人 土屋 勝  
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