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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  E05F
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  E05F
管理番号 1016650
異議申立番号 異議1998-75863  
総通号数 12 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1991-09-04 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-12-03 
確定日 2000-01-05 
異議申立件数
事件の表示 特許第2766359号「トイレブースの自動ドア」の請求項1ないし2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第2766359号の請求項1に係る特許を取り消す。 同請求項2に係る特許を維持する。 
理由 I.本件発明
特許第2766359号に係る出願は、平成1年12月28日の出願であって、平成10年4月3日に特許の設定の登録がなされ、請求項1及び2に係る発明(以下、「本件発明1」及び「本件発明2」という。)は、特許明細書及び図面の記載から見て、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された次の事項により構成されるとおりのものである。
「【請求項1】トイレブースに開閉自在に取付けられた自動ドアの内側、外側にセンサーを設けるとともにこの自動ドアにロック装置を取付け、自動ドアの外側に人が立った際に自動ドアを開とし、自動ドアの内側に人が入った際に自動ドアを閉とするとともにロックし、自動ドアの内側に人が入っている状態で自動ドアの外側に人が立った際には前記ロック状態を維持するようにしたことを特徴とするトイレブースの自動ドア。
【請求項2】前記自動ドアは外側からの鍵操作で前記ロックが解除されるようにしたことを特徴とする前記請求項(1)に記載のトイレブースの自動ドア。」
II.本件発明1について
これに対し、当審が通知した取消理由において引用した刊行物1(「ナショップ・オートドア」カタログNo.照S-209’86・10月現在仕様 p.46 松下電工株式会社ナショップ事業部電機本部企画室発行)(異議申立人松下電工株式会社の提出した甲第1号証)には、身障者用トイレシステムの完全自動型として、トイレに開閉自在に取付けられた自動ドアの外側に外部センサーを、トイレ内に内部センサーを設けるとともに自動ドアに電気錠を取付け、自動ドアの外側に人が立った際に自動ドアを開とし、自動ドアの内側に人が入った際に自動ドアを閉とするとともにロックし、自動ドアの内側に人が入っている状態では外部からは入れなくなるようにしたトイレの自動ドアが記載されているものと認められる。
本件発明1と刊行物1記載の発明とを比較すると、刊行物1記載の発明における「電気錠」は本件発明1の「ロック装置」に相当し、刊行物1記載の発明における「自動ドアの内側に人が入っている状態では外部からは入れなくなるようにした」ということは、本件発明1における「自動ドアの内側に人が入っている状態で自動ドアの外側に人が立った際にはロック状態を維持する」ということと実質上同じことであるから、本件発明1では、自動ドアの内側にセンサーを設けているのに対し、刊行物1記載の発明では、トイレ内に内部センサーを設けている点で相違し、その余の点では一致している。
ここで、本件発明1の自動ドアの内側のセンサーも刊行物1記載の発明のトイレ内の内部センサーも、トイレ内に人がいることを検知するセンサーであることに変わりなく、どこに設けるかは適宜決定しうる事項にすぎない。
なお、刊行物1の発行日が不明であるが、刊行

ric Works.Ltd.1987」及び「このカタログの記載内容は昭和61年10月現在のものです。」と記載されており、本件発明1の出願日と著作権表示として表示された発行年とが接近していないことをも勘案して、刊行物1は、本件発明1の出願前に発行された刊行物と認めた。
III.本件発明2について
(1)申立ての理由の概要
申立人ワイケイケイ株式会社は、本件発明2は、甲第1号証(工機営業部、電装技術部、(工機・商品企画)編集 「YKKハイオート ハイオート特殊仕様説明書第3版」 1989年11月 p.4〜8 吉田工業株式会社・工機営業部発行)、及び甲第2号証(特公昭53-228号公報)に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないと主張している。
(2)甲各号証記載の発明
上記、甲第1号証には、銀行等のキャッシングコーナーへの入室管理システムとして、自動ドアが記載されているが、本件発明2に掛かるトイレブースの自動ドアに関するものではなく、さらに、甲第1号証刊行物が、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物であるか否かが必ずしも明確ではない。
また、同甲第2号証には、第1頁第2欄第10〜15行の記載からみて、トイレブースの自動ドアは記載されているが、トイレブース内で人が失神する等、異常事態が起きた場合にも対処することができるように、本件発明2において欠くことのできない事項である、自動ドアは外側からの鍵操作でロックが解除されるようにした点は、記載されておらず、その示唆すらもない。
(3)本件発明2についてのむすび
したがって、特許異議申立人が提出し、採用できる証拠のいずれにも、トイレブース内で人が失神する等異常事態が起きた場合にも対処することができるように、本件発明2において欠くことのできない事項である、自動ドアは外側からの鍵操作でロックが解除されるようにした点は、記載されておらず、その示唆すらもないことから、本件発明2が、当該証拠のいずれかに記載されているとも、これらの証拠に記載された発明から容易に発明をすることができたものとも認められない。
したがって、特許異議申立人の主張する理由及び提出した証拠方法によっては、本件発明2についての特許を取り消すことができない。
また、他に本件発明2についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
IV.むすび
以上のとおりであるから、本件発明1については、上記刊行物1に記載された発明から、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件発明1についての特許は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第1項及び第2項の規定により、取り消されるべきものである。
また、本件発明2についての特許は、取消理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 1999-11-17 
出願番号 特願平1-342268
審決分類 P 1 651・ 113- ZC (E05F)
P 1 651・ 121- ZC (E05F)
最終処分 一部取消  
前審関与審査官 南澤 弘明  
特許庁審判長 幸長 保次郎
特許庁審判官 鈴木 公子
鈴木 憲子
登録日 1998-04-03 
登録番号 特許第2766359号(P2766359)
権利者 東陶機器株式会社
発明の名称 トイレブースの自動ドア  
代理人 井澤 眞樹子  
代理人 高橋 邦彦  
代理人 川瀬 幹夫  
代理人 佐藤 嘉明  
代理人 佐藤 成示  
代理人 浜本 忠  
代理人 安藤 淳二  

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