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審決分類 審判 査定不服 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 B21D
管理番号 1018014
審判番号 審判1999-3128  
総通号数 13 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1994-03-08 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-03-01 
確定日 2000-07-08 
事件の表示 平成 5年特許願第 30780号「歯車の冷間成形方法」拒絶査定に対する審判事件〔平成 6年 3月 8日出願公開、特開平 6- 63670、平成 8年 2月28日出願公告、特公平 8- 18091、請求項の数(11)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成5年2月19日(パリ条約による優先権主張1992年2月19日、米国)の出願であって、その請求項1乃至11に係る発明は、出願公告の後の平成9年7月7日及び平成12年5月10日に補正された明細書並びに出願公告された図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1乃至11に記載された次のとおりのものと認められる。
「【請求項1】 予め定められた厚みの薄板金の中央壁と、該中央壁の周囲上に冷間成形された一体型の一連の歯であって、前記中央壁の軸線と同心の円筒形の谷面まで前記歯の間において半径方向内方へ延びる谷部により規定された歯とを有し、該冷間成形された一体型の一連の歯がこれら歯の側面を規定する間隔を隔てた歯側面規定平面により規定された幅を有する、モノブロックの薄板金の歯車の成形方法であって、(1)回転式保持用ユニットと、(2)回転軸線及び該回転軸線の周りに環状に延びる歯成形外周部を有する回転式歯成形工具ユニットとを使用し、前記回転式保持用ユニットが前記中央壁を保持するときに該回転式保持用ユニットが前記谷面に等しいサイズの外部円筒面に対し内方へ間隔を隔てた内部円筒面まで略半径方向外方へ延びる相対する一対の内方中央壁係合面と、前記内部円筒面における前記相対する一対の内方中央壁係合面から前記外部円筒面まで延びる一対の外方バックアップ面とを提供し、該一対の外方バックアップ面が前記内部円筒面と前記外部円筒面との間の環状部内にバックアップ空間を構成するように前記一対の内方中央壁係合面の間の間隔よりも大きい予め定められた距離だけ互いに離隔された成形方法において、
略均等な横断面形状の外部環状部分と、該外部環状部分からプリフォーム軸線に向かって略半径方向内方へ延びる前記予め定められた厚みの一体型の薄板金の中央壁とを有するプリフォームの形に薄板金の円形部品を冷間成形する工程であって、前記プリフォームの外部環状部分が、(1)前記中央壁の予め定められた厚みよりも大きいものの前記バックアップ面間の予め定められた距離ほど大きくない幅と、(2)前記歯成形工具ユニットの歯成形外周部と噛合するように前記谷面を超えて延びる外部周囲とを有するようにする工程と、
(1)前記プリフォームの外部環状部分の内方部分が前記バックアップ空間内にあり且つ前記プリフォームの外部環状部分の外方部分が前記バックアップ空間から半径方向外方へ延びた状態で前記プリフォームが固定された前記回転式保持用ユニットを前記プリフォーム軸線を中心として回転させ、また、(2)前記プリフォーム軸線と前記回転軸線とが互いに平行であり且つ回転速度が同期化された予め定められた回転関係で前記歯成形工具ユニットを前記回転軸線を中心として回転させる工程と、
前記プリフォームが固定された前記回転式保持用ユニットと前記歯成形工具ユニットとが前記予め定められた回転関係にあるときに前記ユニットおよびこれらの軸線を互いに向かって相対移動させ、金属を変形する関係で前記歯成形工具ユニットの歯成形外周部を前記プリフォームの外部環状部分の外部周囲から内方へと該外部環状部分の外方部分に係合し、前記プリフォームの外部環状部分の外方部分の薄板金を前記一連の歯の形に冷間成形すると共にこれら歯の間の谷部から移動させる工程であって、前記一連の歯の周囲が前記歯成形工具ユニットの歯成形外周部との転がり接触により冷間成形され、前記一連の歯が冷間成形された後において、前記歯車の一連の歯が、前記バックアップ空間を画定する前記一対の外方バックアップ面に隅々まで一致した表面を有するバックアップ部分を有し、さらに前記歯車の一連の歯は、前記プリフォームの外部環状部分の外方部分を形成する金属が面接触することなく軸方向外方に移動することにより自由に成形され、それにより前記間隔を隔てた歯側面規定平面を超えて外側に位置する部分を含む側面を有するようにする工程とを有する、薄板金の歯車の成形方法。
【請求項2】 前記回転式保持用ユニットがさらに前記外部円筒面内の前記一対の外方バックアップ面から軸方向へ互いに反対方向へ延びる円筒形の一対の外周面を提供し、前記ユニットを互いに向かって相対移動せしめて互いに連動した関係で前記歯成形工具ユニットの歯成形外周部を前記プリフォームの外部環状部分の外方部分に係合する最終段階において前記歯成形外周部が前記谷面まで延びる外部先端部を有する谷部形成歯状突出部分を有し、前記外部先端部が前記回転式保持用ユニットの外周面に実質的に係合する請求項1に記載の成形方法。
【請求項3】 前記間隔を隔てた歯側面規定平面が前記外部円筒面内において間隔を隔てた前記一対の外方バックアップ面を概ね通過し、前記一連の歯の側面の自由に成形された部分が共通の1つの側面に少なくとも沿って機械加工され、前記共通の1つの側面上の歯の前記機械加工された側面が前記間隔を隔てた歯側面規定平面のうちの1つを構成する共通の1つの平面内に位置する請求項2に記載の成形方法。
【請求項4】 前記一連の歯の両側面の自由に成形された部分が前記間隔を隔てた両歯側面規定平面をそれぞれ構成する共通の平面内で機械加工される請求項3に記載の成形方法。
【請求項5】 薄板金の円形部品の中央部分と一体である第2の環状壁部分に対して並列関係にある第1の環状壁部分を冷間成形することにより前記プリフォ一ムが形成され、これら並列関係にある2つの環状壁部分がこれらの外周で一体的に相互連結されて肥厚していないプリフォームが形成される請求項2に記載の成形方法。
【請求項6】 前記第1の環状壁部分が前記バックアップ空間に横たわった状態で前記回転式保持用ユニットに固定されているときに、前記並列関係にある2つの環状壁部分の一体的に相互連結された外周を半径方向内方へ冷間圧延し、前記環状壁部分の外方部分とこれら外方部分の間の相互連結部とを肥厚することにより前記肥厚していないプリフォームを冷間成形して肥厚した最終的なプリフォームとする請求項5に記載の成形方法。
【請求項7】 薄板金の円形部品の外部環状部分を冷間成形して前記円形部品の中央部分から軸方向に延びる周囲フランジとし、該周囲フランジの一部分を冷間成形して該周囲フランジの残りの部分から一体として外方へ延びる前記並列関係にある2つの環状壁部分とすることにより前記肥厚していないプリフォームが形成され、前記中央部分が前記中央壁を提供し、前記並列関係にある一体として相互連結された一対の環状壁部分が前記環状部分を提供し、前記周囲フランジの残りの部分がパルスリングを提供する請求項6に記載の成形方法。
【請求項8】 前記予め定められた回転関係には方向の逆転を含む数多くの回転運動を通した互いに反対方向のかみ合い係合状態における前記ユニットの同時同期回転が含まれる請求項7に記載の成形方法。
【請求項9】 前記円形部品の外部環状部を肥厚して前記外部環状部分とするのに充分な程度まで半径方向内方に前記薄板金の円形部品の外部環状部を冷間圧延することにより、前記円形品が前記回転式保持用ユニットに固定されている間に前記薄板金の円形部品を冷間成形して前記プリフォームとする請求項2に記載の成形方法。
【請求項10】 略半径方向内側に開放する弧状横断面形状を提供するように、前記薄板金の円形部品の外部環状部を冷間成形して周囲フランジとすることにより前記プリフォームが形成され、前記周囲フランジが前記プリフォームの湾曲した中央部分から外方へ延びて次に下向きに延び、前記中央部分が前記中央壁を提供し、前記弧状横断面形状の周囲フランジが前記外部環状部分を提供する請求項2に記載の成形方法。
【請求項11】 前記円形部品の環状部が前記内部円筒面の外側に延びるように前記薄板金の円形部品を回転式保持用ユニットに固定し、冷間圧延により前記環状部を肥厚して初期中実環状部分とし、次に該初期中実環状部分を冷間圧延して軸方向フランジ部分が延出した最終中実環状部分とすることにより前記プリフォームが形成される請求項1に記載の成形方法。」
なお、平成11年3月31日にされた手続補正は、平成11年12月14日付けの補正の却下の決定により却下され、この決定は確定している。

2.原査定の理由
原査定の拒絶の理由である特許異議の決定の理由の概要は、次のとおりである。
「本願は、請求項1の記載が下記の点で不備であるので、特許法第36条第5項第2号に規定する要件を満たしていない。

a.請求項1に記載された「略均等な横断面形状の外部環状部分」が不明瞭である。
b.請求項1に、「プリフォームの外部環状部分が、・・・幅と、・・・外部周囲とを有する工程」と記載されているが、この記載は、加工段階に係る構成を何ら表現するものではなく、工程に関する構成が不明瞭である。」

3.当審の判断
出願公告の後の平成12年5月10日に補正された明細書の段落番号【0005】に「また『略均等な横断面形状の外部環状部分』のうちの『外部環状部分』とは「プリフォームの中央壁から径方向外方に延びる環状の部分」を意味し、『横断面形状』とは「径方向における外部環状部分の断面形状」を意味し、『略均等な』とは「外部環状部分の横断面形状がプリフォームの周方向において略一定の形状をしていること」を意味する。」と記載されており、上記aの不備は解消している。
また、同じく出願公告後の平成12年5月10日に補正された明細書の請求項1には、「プリフォームの外部環状部分が、・・・幅と、・・・外部周囲とを有するようにする工程」と記載されており、加工段階に係る構成を表現するものとなっているので、上記bの不備は解消している。

4.むすび
したがって、本願については、原査定の拒絶の理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2000-06-16 
出願番号 特願平5-30780
審決分類 P 1 8・ 534- WY (B21D)
最終処分 成立  
前審関与審査官 鈴木 由紀夫加藤 友也  
特許庁審判長 小林 武
特許庁審判官 宮崎 侑久
小関 峰夫
発明の名称 歯車の冷間成形方法  
代理人 西山 雅也  
代理人 石田 敬  
代理人 戸田 利雄  
代理人 樋口 外治  

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