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審決分類 審判 一部申し立て 特39条先願  C04B
審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  C04B
審判 一部申し立て 2項進歩性  C04B
管理番号 1020293
異議申立番号 異議1998-73658  
総通号数 14 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1995-01-13 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-07-24 
確定日 1999-09-16 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2704929号「成形材料、その製造方法及びその成形品」の請求項1、7ないし8、10ないし13、19に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2704929号の請求項6ないし7、9ないし12に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第2704929号は、平成5年6月28日に特許出願され、平成9年10月9日にその特許の設定登録がなされ、その後、吉葉芳彦より請求項1、7,8,10〜13,19に係る発明の特許について特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年7月26日に訂正請求がなされたものである。
2.訂正の適否についての判断
ア.訂正事項
a.【特許請求の範囲】の【請求項1】〜【請求項24】において、もとの【請求項1】及び【請求項19】を削除し、以下、項数を繰上げ【請求項1】〜【請求項22】と訂正する。
b.【請求項1】「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメント、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、粉体の状態で混合して成る成形材料」を、「実質的に水を含まなしいが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、粉体の状態で混合して成る成形材料」と訂正する。
c.【請求項2】「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメント、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、熱により該前駆体が溶融した状態で混合して成る成形材料」を、「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、熱により該前駆体が溶融した状態で混合して成る成形材料」と訂正する。
d.【請求項3】「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメント、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、熱により該前駆体が溶融した状態で混合し、次いで得られたものを粉砕、分級して成る成形材料」を、「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、熱により該前駆体が溶融した状態で混合し、次いで得られたものを粉砕、分級して成る成形材料」と訂正する。
e.【請求項4】「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメント、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、該前駆体がアルコール溶液の状態で混合して成る成形材料」を、「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、該前駆体がアルコール溶液の状態で混合して成る成形材料」と訂正する。
f.【請求項5】「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメント、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、該前駆体がアルコール溶液の状態で混合し、次いでアルコールを蒸発させて得られたものを粉砕、分級して成る成形材料」を、「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、該前駆体がアルコール溶液の状態で混合し、次いでアルコールを蒸発させて得られたものを粉砕、分級して成る成形材料」と訂正する。
g.【請求項6】「該ホルムアルデヒド系樹脂前駆体がフェノール樹脂前駆体である請求項1乃至6記載の成形材料」を、「該ホルムアルデヒド系樹脂前駆体がフェノール樹脂前駆体である請求項1乃至5記載の成形材料」と訂正する。
h.【請求項7】「該ホルムアルデヒド系樹脂前駆体がメラミン樹脂前駆体である請求項1乃至6記載の成形材料」を、「該ホルムアルデヒド系樹脂前駆体がメラミン樹脂前駆体である請求項1乃至5記載の成形材料」と訂正する。
i.【請求項8】「該ホルムアルデヒド系樹脂前駆体がユリア樹脂前駆体である請求項1乃至6記載の成形材料」を、「該ホルムアルデヒド系樹脂前駆体がユリア樹脂前駆体である請求項1乃至5記載の成形材料」と訂正する。
j.【請求項9】「該添加剤が酸アミド結合を有するポリマーである請求項1乃至6記載の成形材料」を、「該添加剤が酸アミド結合を有するポリマーである請求項1乃至5記載の成形材料」と訂正する。
k.【請求項10】「該添加剤がポリアミドである請求項1乃至6記載の成形材料」を、「該添加剤がポリアミドである請求項1乃至5記載の成形材料」と訂正する。
l.【請求項11】「該添加剤が脂肪族系アルコール溶性ポリアミドである請求項1乃至6記載の成形材料」を、「該添加剤が脂肪族系アルコール溶性ポリアミドである請求項1乃至5記載の成形材料」と訂正する。
m.【請求項12】「該添加剤がポリアクリルアミドである請求項1乃至6記載の成形材料」を、「該添加剤がポリアクリルアミドである請求項1乃至5記載の成形材料」と訂正する。
n.【請求項13】「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメント、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、粉体の状態で混合して得る成形材料の製造方法」を、「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、粉体の状態で混合して得る成形材料の製造方法」と訂正する。
o.【請求項14】「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメント、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、熱により該前駆体が溶融した状態で混合して得る成形材料の製造方法」を、「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、熱により該前駆体が溶融した状態で混合して得る成形材料の製造方法」と訂正する。
p.【請求項15】「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメント、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、熱により該前駆体が溶融した状態で混合し、次いで得られたものを粉砕、分級して得る成形材料の製造方法」を、「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、熱により該前駆体が溶融した状態で混合し、次いで得られたものを粉砕、分級して得る成形材料の製造方法」と訂正する。
q.【請求項16】「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメント、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、該前駆体がアルコール溶液の状態で混合して得る成形材料の製造方法」を、「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、該前駆体がアルコール溶液の状態で混合して得る成形材料の製造方法」と訂正する。
r.【請求項17】「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメント、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、該前駆体がアルコール溶液の状態で混合し、次いでアルコールを蒸発させて得られたものを粉砕、分級して得る成形材料の製造方法」を、「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、該前駆体がアルコール溶液の状態で混合し、次いでアルコールを蒸発させて得られたものを粉砕、分級して得る成形材料の製造方法」と訂正する。
s.【請求項18】「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメント、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を粉体の状態で混合して成る形成材料を、成形、加熱処理して硬化せしめて得た成形品」を、「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を粉体の状態で混合して成る形成材料を、成形、加熱処理して硬化せしめて得た成形品」と訂正する。
t.【請求項19】「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメント、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、熱により該先駆体が溶融した状態で混合して成る成形材料を、成形、加熱処理して硬化せしめて得た成形品」を、「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、熱により該先駆体が溶融した状態で混合して成る成形材料を、成形、加熱処理して硬化せしめて得た成形品」と訂正する。
u.【請求項20】「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメント、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、熱により該前駆体が溶融した状態で混合し、次いで得られたものを粉砕、分級して成る成形材料を、成形、加熱処理して硬化せしめて得た成形品」を、「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、熱により該前駆体が溶融した状態で混合し、次いで得られたものを粉砕、分級して成る成形材料を、成形、加熱処理して硬化せしめて得た成形品」と訂正する。
V.【請求項21】「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメント、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、該前駆体がアルコール溶液の状態で混合して成る成形材料を、成形、加熱処理して硬化せしめて得た成形品」を、「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、該前駆体がアルコール溶液の状態で混合して成る成形材料を、成形、加熱処理して硬化せしめて得た成形品」と訂正する。
w.【請求項22】「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメント、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、該前駆体がアルコール溶液の状態で混合し、次いでアルコールを蒸発させて得られたものを粉砕、分級して成る成形材料を、成形、加熱処理して硬化せしめて得た成形品」を、「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、該前駆体がアルコール溶液の状態で混合し、次いでアルコールを蒸発させて得られたものを粉砕、分級して成る成形材料を、成形、加熱処理して硬化せしめて得た成形品」と訂正する。
x.明細書第5頁段落【0007】の第4行目(特許公報第3頁第5欄段落【0007】の第5行目)における「水硬性セメント、」を、「水硬性セメントからなり、」と訂正する。
イ.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項a〜wは、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。
上記訂正事項xの訂正は、特許請求の範囲の記載内容と発明の詳細な説明の欄の記載内容との整合性を図るため、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正である。
そして、上記の各訂正は、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
ウ.訂正明細書の請求項6,7、9〜12に係る発明
訂正明細書の請求項6,7、9〜12に係る発明(以下「本件発明6,7,9〜12」という)は、その特許請求の範囲の請求項6,7,9〜12に記載された次のとおりのものである。
(なお、請求項6,7、9〜12は請求項1〜5を引用しているので、請求項1〜5についても記載する。)
【請求項1】実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、粉体の状態で混合して成る成形材料。
【請求項2】実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、熱により該前駆体が溶融した状態で混合して成る成形材料。
【請求項3】実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、熱により該前駆体が溶融した状態で混合し、次いで得られたものを粉砕、分級して成る成形材料。
【請求項4】実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、該前駆体がアルコール溶液の状態で混合して成る成形材料。
【請求項5】実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、該前駆体がアルコール溶液の状態で混合し、次いでアルコールを蒸発させて得られたものを粉砕、分級して成る成形材料。
【請求項6】該ホルムアルデヒド系樹脂前駆体がフェノール樹脂前駆体である請求項1乃至5記載の成形材料。
【請求項7】該ホルムアルデヒド系樹脂前駆体がメラミン樹脂前駆体である請求項1乃至5記載の成形材料。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【請求項9】該添加剤が酸アミド結合を有するポリマーである請求項1乃至5記載の成形材料。
【請求項10】該添加剤がポリアミドである請求項1乃至5記載の成形材料。
【請求項11】該添加剤が脂肪族系アルコール溶性ポリアミドである請求項1乃至5記載の成形材料。
【請求項12】該添加剤がポリアクリルアミドである請求項1乃至5記載の成形材料。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
エ.独立特許要件の判断
(先願発明、及び引用刊行物)
本件発明6,9〜12に対して、当審が通知した取消理由で引用した、本件出願の先願に係る特願平4-301514号の、平成11年7月29日付け訂正請求書により訂正された明細書の請求項1〜6に記載された発明(以下「先願発明1」という)は、次のとおりのものである。
「【請求項1】少なくとも1種の水硬性セメント及び実質的に水を含まないが重合により水を生成するアルコール溶性フェノール樹脂前駆体からなることを特徴とするセメント質組成物。
【請求項2】少なくとも1種の水硬性セメント及び実質的に水を含まないが重合により水を生成するアルコール溶性フェノール樹脂前駆体、並びに添加剤及び/又は充填材からなることを特徴とするセメント質組成物。
【請求項3】添加剤がポリアミド樹脂であることを特徴とする請求項2記載のセメント質組成物。
【請求項4】ポリアミド樹脂が脂肪族系アルコール溶性ポリアミド樹脂であることを特徴とする請求項3記載のセメント質組成物。
【請求項5】少なくとも1種の水硬性セメント及び実質的に水を含まないが重合により水を生成するアルコール溶性フェノール樹脂前駆体からなるセメント質組成物を、混練、成形後、加熱処理して硬化せしめて得たことを特徴とするセメント質製品。
【請求項6】少なくとも1種の水硬性セメント及び実質的に水を含まないが重合により水を生成するアルコール溶性フェノール樹脂前駆体、並びに添加剤及び/又は充填材からなるセメント質組成物を、混練、成形後、加熱処理して硬化せしめて得たことを特徴とするセメント質製品。」
同じく本件発明6,9〜12に対して、当審が通知した取消理由で引用した、本件出願の先願に係る特願平4-361899号の、平成11年7月29日付け訂正請求書により訂正された明細書の請求項1〜18に記載された発明(以下「先願発明2」という)は、次のとおりのものである。
「【請求項1】水硬性セメント及び実質的に水を含まないが硬化反応により生成するポリマー前駆体からなり、該ポリマー前駆体の割合が前記水硬性セメント100重量部に対して10〜60重量部であることを特徴とするセメント質組成物。
【請求項2】該ポリマー前駆体がホルムアルデヒド系樹脂前駆体である請求項1記載のセメント質組成物。
【請求項3】該ホルムアルデヒド系樹脂前駆体がフェノール樹脂前駆体である請求項2記載のセメント質組成 物。
【請求項4】該ホルムアルデヒド系樹脂前駆体がメラミン樹脂前駆体である請求項2記載のセメント質組成物。
【請求項5】該ホルムアルデヒド系樹脂前駆体が尿素樹脂前駆体である請求項2記載のセメント質組成物。
【請求項6】該ポリマー前駆体がポリイミド前駆体である請求項1記載のセメント質組成物。
【請求項7】水硬性セメント及び実質的に水を含まないが硬化反応により水を生成するポリマー前駆体、並びに添加剤及び/又は充填材からなり、前記ポリマー前駆体の割合が前記水硬性セメント100重量部に対して10〜60重量部であることを特徴とするセメント質組成物。
【請求項8】該ポリマー前駆体がホルムアルデヒド系樹脂前駆体である請求項7記載のセメント質組成物。
【請求項9】該ホルムアルデヒド系樹脂前駆体がフェノール樹脂前駆体である請求項8記載のセメント質組成物。
【請求項10】該ホルムアルデヒド系樹脂前駆体がメラミン樹脂前駆体である請求項8記載のセメント質組成物。
【請求項11】該ホルムアルデヒド系樹脂前駆体が尿素樹脂前駆体である請求項8記載のセメント質組成物。
【請求項12】該ポリマー前駆体がポリイミド前駆体である請求項7記載のセメント質組成物。
【請求項13】該添加剤がポリアミドである請求項7記載のセメント質組成物。
【請求項14】該ポリアミドが脂肪族系アルコール溶性ポリアミドである請求項13記載のセメント質組成物。
【請求項15】該添加剤がポリアクリルアミドである請求項7記載のセメント質組成物。
【請求項16】該添加剤がポリビニルアルコールである請求項7記載のセメント質組成物。
【請求項17】水硬性セメント及び実質的に水を含まないが硬化反応により水を生成するポリマー前駆体からなり、該ポリマー前駆体の割合が前記水硬性セメント100重量部に対して10〜60重量部含有するセメント質組成物を、硬化せしめて得たセメント質製品。
【請求項18】水硬性セメント及び実質的に水を含まないが硬化反応により水を生成するポリマー前駆体、並びに添加剤及び/又は充填材からなり、前記ポリマー前駆体の割合が前記水硬性セメント100重量部に対して10〜60重量部であるセメント質組成物を、硬化せしめて得たセメント質製品。」
また、本件発明6,7,9,12に対して、当審が通知した取消理由で引用した刊行物1(特開平2-275741号公報)及び刊行物2(特開昭62-182144号公報)には、次の発明が記載されている。
刊行物1;
水硬性セメントに反応性フェノール樹脂を含有させるセメント組成物及びセメント成形体の製造方法に係る次の発明が開示されている。
(1)2頁左上欄1〜5行には、「本発明のセメント組成物は、pH9以下の水硬性セメントと反応性フェノール樹脂と水とを含有するか、或いはこれに無機軽量骨材を含有するか、或いはこれに更に針状珪酸カルシウム結晶を含有する。」と記載される。
(2)2頁右上欄11〜15行には、「上記水硬性セメントと反応性フェノール樹脂には、水が含有される。この水は、水硬性セメント100重量部に対し、一般に、10〜80重量部の範囲で成形と硬化に適した量が含有される。」と記載される。
(3)2頁右下欄9行〜3頁左上欄3行には、「本発明のセメント組成物は、例えば、受型枠に入れられ、押型に圧力をかけて加圧成形され、所望の形状に成形される。そして、この成形体は、所定の条件下(例えば10〜60℃、相対湿度80%以上で5時間以上)で放置(養生)され、それにより水硬性セメントが硬化する。その後、例えば100〜200℃に加熱され、それにより反応性フェノール樹脂が硬化する。かくして、本発明のセメント成形体が得られる。
反応性フェノール樹脂を水硬性セメントよりも先に硬化させると、反応性フェノール樹脂の硬化温度が一般に100〜200℃と高いため組成物中の水が蒸発し、そのため水硬性セメントは充分な水と反応することができず、大きな曲げ強度は得られない。」と記載される。
刊行物2;
水硬性無機質部材の製造方法に関するもので、次に記載の発明が記載されている。
(1)2頁右上欄6〜10行に、「ポルトランドセメントその他の水硬性無機質粉末又は該水硬性無機質粉末に骨材その他の配合材を添加し混練するに当り、熱架橋型メラミン樹脂を添加混入せしめて成形してから加熱処理することを特徴とする水硬性無機質部材の製造方法」と記載される。
(2)製造例1〜10には、水セメント比(W/C)が12〜60である例が記載されている。
(対比・判断)
[許法第39条第1項違反について]
先ず、本件発明6,9〜12と上記本件出願の先願に係る特願平4-301514号の、平成11年7月29日付け訂正請求書により訂正された明細書の請求項1〜6に記載された発明(先願発明1)とを比較検討する。
先願発明1は、基本的には、水硬性セメント及び実質的に水を含まないが重合により水を生成するアルコール溶性フェノール樹脂前駆体からなるセメント質組成物、該セメント質組成物を硬化せしめて得たセメント質製品に関するものであるが、先願発明1は、本件発明6,9〜12の必須の構成要件である「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなる組成物を、(1)粉体の状態で混合して成る成形材料とするか、(2)熱により該前駆体が溶融した状態で混合して成る成形材料とするか、(3)熱により該前駆体が溶融した状態で混合し、次いで得られたものを粉砕、分級して成る成形材料とするか、(4)該前駆体がアルコール溶液の状態で混合して成る成形材料とするか、或いは(5)該前駆体がアルコール溶液の状態で混合し、次いでアルコールを蒸発させて得られたものを粉砕、分級して成る成形材料とする」ことを必須の構成要件とするものではない。 よって、本件発明6,9〜12は、先願発明1と同一であるとは認められない。
次に、本件発明6,9〜12と上記本件出願の先願に係る特願平4-361899号の、平成11年7月29日付け訂正請求書により訂正された明細書の請求項1〜18に記載された発明(先願発明2)とを比較検討する。
先願発明2は、基本的には、水硬性セメント及び実質的に水を含まないが硬化反応により水を生成するポリマー前駆体からなるセメント質組成物、該セメント質組成物を硬化せしめて得たセメント質製品に関するものであるが、先願発明2も、先願発明1と同様、本件発明6,9〜12の上記の必須の構成要件を、構成要件とするものではない。
よって、本件発明6,9〜12は、先願発明2と同一であるとも認められない。
[特許法第29条第1項第3号違反について]
(1)本件発明6について
本件発明6と刊行物1或いは刊行物2記載の各発明とを比較検討する。
先ず、本件発明6と刊行物1に記載の発明とを比較検討する。
本件発明6におけるセメント質組成物は、「水硬性セメント及び実質的に水を含まないが硬化反応により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体からなる」ものである。即ち、本件発明6におけるセメント質組成物は、水を必須要件としないものである。
これに対して、刊行物1のセメント組成物は、水が必須要件である。また、刊行物1のものは、2頁右下欄9行〜3頁左上欄3行の記載からして、水硬性セメントを硬化させた後、反応性フェノール樹脂を硬化させている。
しかも、本件発明6は、上記セメント質組成物を、(1)粉体の状態で混合して成る成形材料か、(2)熱により該前駆体が溶融した状態で混合して成る成形材料か、(3)熱により該前駆体が溶融した状態で混合し、次いで得られたものを粉砕、分級して成る成形材料か、(4)該前駆体がアルコール溶液の状態で混合して成る成形材料か、或いは(5)該前駆体がアルコール溶液の状態で混合し、次いでアルコールを蒸発させて得られたものを粉砕、分級して成る成形材料、に関するものであるのに対して、刊行物1には上記(1)〜(5)の成形材料とする記載がない点についても、刊行物1記載の発明は本件発明6と相違する。
したがって、本件発明6は、刊行物1に記載の発明であるとはいえない。
つぎに、本件発明6と刊行物2に記載の発明とを比較検討する。
刊行物2の水硬性無機質部材を製造する方法の発明では、各製造例をみる限り、水セメント比(W/C)が12〜60と云うように、必ず水を含有することを前提としている。
したがって、水を必須要件としない本件発明1は、必ず水を含有する刊行物2に記載の発明と相違する。
しかも、本件発明6は、上記セメント質組成物を、(1)粉体の状態で混合して成る成形材料か、(2)熱により該前駆体が溶融した状態で混合して成る成形材料か、(3)熱により該前駆体が溶融した状態で混合し、次いで得られたものを粉砕、分級して成る成形材料か、(4)該前駆体がアルコール溶液の状態で混合して成る成形材料か、或いは(5)該前駆体がアルコール溶液の状態で混合し、次いでアルコールを蒸発させて得られたものを粉砕、分級して成る成形材料、に関するものであるのに対して、刊行物2には上記(1)〜(5)の成形材料とする記載がない点についても、刊行物2記載の発明は本件発明6と相違する。
したがって、本件発明6は、刊行物2に記載の発明であるとはいえない。
(2)本件発明7,9,12について
本件発明7,9,12については、本件発明6についての判断と同様の理由により、刊行物1或いは刊行物2に記載の発明であるとはいえない。
また、他に本件発明6,7,9〜12が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。
オ.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正請求は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2項ないし第4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
3.特許異議の申立てについての判断
ア.申立ての理由の概要
申立人は、証拠として甲第1号証(特開平4-301514号の平成10年3月23日付け手続補正書)、甲第2号証(特願平4-361899号(特許第2704925号公報))、甲第3号証(特開平2-275741号公報、上記刊行物1)、甲第4号証(特開昭62-182144号公報、上記刊行物2)及び甲第5号証(国際公開公報WO91/04291、参考資料2:特表平5-500676号公報参照)を提出して、本件発明6,9〜12の特許は特許法第39条第1項の規定に違反してなされたものであり、さらに本件発明6,7,9,12の特許は、特許法第29条第1項第3号或いは同法第29条第2項の規定に違反してなされたものである旨主張する。
イ.甲各号証の記載、及び対比・判断
[特許法第39条第1項違反について]
上記2.項エにて述べた理由により、本件発明6,9〜12は、先願発明1,2と同一であるとはいえない。
[特許法第29条第1項第3号或いは同法第29条第2項違反について]
(甲第3〜5号証記載の発明)
甲第3〜5号証には、次に記載される発明が記載されている。
甲第3号証;
上記2.項エにて記載のとおり。
甲第4号証;
上記2.項エにて記載のとおり。
甲第5号証(参考資料2:特表平5-500676号公報参照);
フェノール樹脂とセメントとを含有する組成物に関する次の発明が記載されている。
即ち、参考資料2の特許請求の範囲請求項1には、「非酸性フェノール樹脂と、前記フェノール樹脂のエステル触媒と、セメントと、必要に応じて水とを含有してなる組成物」が記載される。
(対比・判断)
(1)本件発明6について
上記2.項エにて述べた理由により、本件発明
6は、甲第3号証(刊行物1)或いは甲第4号証
(刊行物2)に記載の発明であるとはいえない。
また、甲第3,4号証記載の発明は水の使用を必須として硬化させるものであり、本件発明6とは硬化機能が異なるから、本件発明6が、甲第3、4号証記載の各発明に基づいて当業者が容易になし得たものともいえない。
つぎに、本件発明1と甲第5号証(参考資料2参照)に記載の発明とを比較検討する。
甲第5号証のセメント組成物は、「非酸性フェノール樹脂と、前記フェノール樹脂のエステル触媒と、セメントと、必要に応じて水とを含有してなる」ものであり、フェノール樹脂のエステル触媒を必須要件とするものである。
したがって、本件発明6は、甲第5号証に記載の発明であるとはいえない。
また、本件発明6は、甲第5号証に記載の発明に基づいて当業者が容易になし得たものであるともいえない。
更に、本件発明6は、甲第3〜5号証に記載の各発明を組み合わせて当業者が容易になし得たものであるともいえない。
(2)本件発明7,9,12について
本件発明7,9,12は、本件発明6についての判断と同様の理由により、甲第3号証、甲第4号証或いは甲第5号証に記載の発明であるとはいえないし、甲第3〜5号証に記載の各発明を組み合わせて当業者が容易になし得たものであるともいえない。
ウ.むすび
以上のとおり、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件発明6,7,9〜12の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明6,7,9〜12の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
成形材料、その製造方法及びその成形品
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、粉体の状態で混合して成る成形材料。
【請求項2】 実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、熱により該前駆体が溶融した状態で混合して成る成形材料。
【請求項3】 実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、熱により該前駆体が溶融した状態で混合し、次いで得られたものを粉砕、分級して成る成形材料。
【請求項4】 実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、該前駆体がアルコール溶液の状態で混合して成る成形材料。
【請求項5】 実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、該前駆体がアルコール溶液の状態で混合し、次いでアルコールを蒸発させて得られたものを粉砕、分級して成る成形材料。
【請求項6】 該ホルムアルデヒド系樹脂前駆体がフェノール樹脂前駆体である請求項1乃至5記載の成形材料。
【請求項7】 該ホルムアルデヒド系樹脂前駆体がメラミン樹脂前駆体である請求項1乃至6記載の成形材料。
【請求項8】 該ホルムアルデヒド系樹脂前駆体がユリア樹脂前駆体である請求項1乃至5記載の成形材料。
【請求項9】 該添加剤が酸アミド結合を有するポリマーである請求項1乃至5記載の成形材料。
【請求項10】 該添加剤がポリアミドである請求項1乃至5記載の成形材料。
【請求項11】 該添加剤が脂肪族系アルコール溶性ポリアミドである請求項1乃至5記載の成形材料。
【請求項12】 該添加剤がポリアクリルアミドである請求項1乃至5記載の成形材料。
【請求項13】 実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、粉体の状態で混合して得る成形材料の製造方法。
【請求項14】 実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、熱により該前駆体が溶融した状態で混合して得る成形材料の製造方法。
【請求項15】 実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、熱により該前駆体が溶融した状態で混合し、次いで得られたものを粉砕、分級して得る成形材料の製造方法。
【請求項16】 実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、該前駆体がアルコール溶液の状態で混合して得る成形材料の製造方法。
【請求項17】 実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、該前駆体がアルコール溶液の状態で混合し、次いでアルコールを蒸発させて得られたものを粉砕、分級して得る成形材料の製造方法。
【請求項18】 実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を粉体の状態で混合して成る形成材料を、成形、加熱処理して硬化せしめて得た成形品。
【請求項19】 実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、熱により該前駆体が溶融した状態で混合して成る成形材料を、成形、加熱処理して硬化せしめて得た成形品。
【請求項20】 実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、熱により該前駆体が溶融した状態で混合し、次いで得られたものを粉砕、分級して成る成形材料を、成形、加熱処理して硬化せしめて得た成形品。
【請求項21】 実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、該前駆体がアルコール溶液の状態で混合して成る成形材料を、成形、加熱処理して硬化せしめて得た成形品。
【請求項22】 実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、該前駆体がアルコール溶液の状態で混合し、次いでアルコールを蒸発させて得られたものを粉砕、分級して成る成形材料を、成形、加熱処理して硬化せしめて得た成形品。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、高い強度及び弾性係数を有し、かつ耐水性、耐熱性に優れた成形材料、その製造方法及びその成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
ホルムアルデヒド系樹脂は、成形材料、接着剤、積層品などに広く使用されている。このうち成形材料は、ホルムアルデヒド系樹脂前駆体に木粉、パルプ、けいそう土などの充てん材、硬化剤、滑剤、着色剤などを混合し、粉砕、分級して得られ、もろさや曲げ強度を向上させるためには、木綿、麻、ガラス繊維などを充てん材として製造される。このような成形材料は、圧縮成形、トランスファー成形、射出成形などを行って成形品を製造するが、ガラス繊維や麻などの繊維材料を充てん材として使用しない場合の曲げ強度は、50〜100N/mm2程度である。
【0003】
一方、水硬性セメントは、通常、その重量の25%以上の水と混合して使用され、これに骨材を加えたものがモルタルやコンクリートとして土木・建築分野に幅広く応用されている。この水硬性セメントを用いた硬化体は、圧縮強度は高いが、曲げ強度は低く5〜10N/mm2程度であるので、一般に鉄筋や繊維で補強して用いられる。
【0004】
水硬性セメントを用いた硬化体は、混合するときの水の量が少ない程、又硬化体に含まれる気孔が少ない程その強度は高くなる。その例として繊維や高圧縮力成形を必要とせずに、極めて高い曲げ強度を有するセメント硬化体が知られている(特公昭59-43431号公報等)。この硬化体は水硬性セメント、水及び水性有機重合体を2本ロールミルなどの高せん断力で混合し、加える水の量を減少させ、又硬化体中の気孔の寸法や割合を制限することによって高強度を得るものである。
【0005】
【発明が解決しようとする問題点】
しかし、前記のホルムアルデヒド系樹脂を使用した成形材料の曲げ強度は、繊維材料を充てん材としないときは、100N/mm2を越えるような高強度は期待できない。そこで、繊維を混合させると成形材料製造時に繊維が破断してしまうことや、成形時に繊維が配向し、強度のばらつきや方向性が現われてしまう。更に繊維を混合させると流動性が低下することから、金型の細部に材料が行き渡らなかったり、表面の平滑性が失われたりするといった問題点もある。
【0006】
前記特公昭59-43431号公報等で発明されたセメント硬化体は、混合するときの水量が水硬性セメントの7〜30%程度と少なく、極めて高い曲げ強度を得るが、水性有機重合体を含んでいるので、水に浸せきすると強度が著しく低下したり、膨潤するなどの耐水性に劣るという問題がある。この耐水性を改善するために、イソシアナート化合物を親水性基と反応させた例があるが(特開昭63-206342号公報)、イソシアナート化合物は強い刺激臭を有し、又毒性を有するものもあることがら混合や成形の作業上の問題、あるいは主たる反応生成物であるウレタン誘導体は耐熱性が低いといった問題がある。
【0007】
【問題点を解決するための手段】
そこで、本発明では、高い強度及び弾性係数を有し、耐水性、耐熱性に優れた成形材料及びその成形品を提供することを目的としたもので、その要旨は、ホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充てん材を含有する組成物を、実質的に水を加えることなく混合して成るものであり、その成形品が、繊維材料を使用しなくても50N/mm2、場合によっては100N/mm2を越える曲げ強度を発現することを見いだしたことにある。
【0008】
以下、本発明を詳細に説明すると、使用するホルムアルデヒド系樹脂前駆体は、実質的に水を含有せず、かつ水の存在しない状態で使用するが、後の加熱硬化により水を生成する(潜在的に水を有する)ものであり、たとえばフェノール樹脂前駆体、メラミン樹脂前駆体、ユリア樹脂前駆体などがある。
【0009】
本発明でいう実質的に水を含有しないということは、該前駆体の水分量が、水硬性セメントの重量に対して5%以下、より好ましくは4%以下、最も好ましくは2%以下である。その水分量は、たとえばカールフィッシャー法(分析化学便覧、日本分析化学会編、1971年、31及び32ページによる)で測定できる。水分量が5%を越えると、成形材料製造時又は貯蔵時において、水硬性セメントが硬化あるいは風化したり、成形品の強度が低下するので好ましくない。
【0010】
水硬性セメントには、慣用のセメントを用いることができる。その例としてはポルトランドセメント(例えば普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメントなど)、混合セメント(例えば高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメントなど)、特殊セメント(例えばアルミナセメント、油井セメントなど)、各種石膏類などである。水硬性セメントは、1種で用いることもできるが、上記セメントを2種以上混合して用いることもできる。これら水硬性セメントは、市販品をそのままで使用できるが、水硬性セメントの粒子の粒度分布を多重モードに調整することや、粒子形状を丸くすることは、成形材料の強度や流動性を向上させるために有効である。
【0011】
本発明におけるホルムアルデヒド系樹脂前駆体の配合割合は、成形性や成形品の性能に応じて決めれば良く、一般には、水硬性セメント100重量部に対して該前駆体5〜100重量部の範囲、より好ましくは、7〜60重量部(このとき、アルコール類は含まない)が良い。該前駆体が5重量部より少ないときには、各成分の混合状態や成形材料の流動性が悪く、又成形品に欠陥ができやすくなる。逆に100重量部より多くなると、成形品にひびわれが発生したり、強度も頭打ちか低下する傾向にあるので経済的に好ましくない。
【0012】
本発明の成形材料には、酸アミド結合を有するポリマー、たとえばポリアミド、ポリアクリルアミドなどが、その成形品の性能を改質するための添加剤として好適に使用される。その配合割合は、ホルムアルデヒド系樹脂前駆体100重量部に対して、一般には0.5〜30重量部、更に2〜20重量部が好ましい。0.5重量部未満ではその効果が無く、30重量部を越えても改質効果は大きくならず不経済である。
【0013】
そして、これらの添加剤は、混合前にあらかじめ微粉砕することが好ましい。更に、アルコール類を使用して混合する場合には、該ポリアミドはアルコール溶性であることがより好ましい。このアルコール溶性ポリアミドには、アミド結合-CONH-の水素の少なくとも一部がメトキシメチル基で置換されたもの、あるいは第2級アミンから生成するアミド結合-CON(R)-を有するものなどがある。
【0014】
上記の添加剤の他に、本発明の成形材料には、公知の滑剤、シランカップリング剤、着色剤なども添加剤として使用できる。たとえば、滑剤としては、グリセロール、グリセロールトリアセテート、無水フタル酸、フルフラール、アルキルフェノール、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ロジンなど、シランカップリング剤としては、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどがある。着色剤としては、アニリンブラック、カーボンブラック、酸化チタンなどの有機及び無機顔料がある。
【0015】
本発明に係る充てん材としては、木粉、パルプ、コットンフロック、石粉、重質炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、砂、軽量骨材、ガラス繊維、炭素繊維など、慣用のものを使用することができる。これらの充てん材を使用する場合には、その使用量に応じ該前駆体の混合割合を多くすることが好ましい。
【0016】
次に、本発明に係る成形材料の製造方法について説明する。上記のホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメント、並びに必要に応じて含有する添加剤からなる組成物は各成分が均質に分散されるように混合し、成形材料を得る。混合にはモルタルミキサ、ニーダー、ブレンダー、ロールなどの慣用の混合機を用いて行うことができるが、各成分の配合割合や、以下に示す混合方式などによって適切な混合機を選ぶことが望ましい。
【0017】
第1に、粉体状態での混合では、ニーダー、モルタルミキサ、ブレンダーなどの慣用の混合機を用いて、常温で各成分が粉体同士で混合される。この場合、各成分を微粉砕して使用することや、メタノールやエタノールのような溶剤を少量添加して各成分の飛散を防止することが効果的である。粉体状に混合されたものは、必要に応じて乾燥して、成形材料を得る。
【0018】
第2に、熱によりホルムアルデヒド系樹脂前駆体を溶融した状態での混合では、蒸気や電気ヒーターで加熱されたバンバリミキサ、ニーダー、熱ロールなどの混合機を用いて、各成分が熱混合される。この熱混合温度は、該前駆体が充分に溶融するが、メチレン化反応が著しく進行しない温度範囲であることが必要であり、一般には80〜150℃の範囲である。熱混合時の温度が150℃を越えると、充分混合されないうちに該前駆体の硬化反応が進み過ぎるので、熱混合の温度は高すぎても好ましくない。
【0019】
そして、この熱混合後の混合物は、必要に応じて乾燥した後、粉砕、分級して成形材料を得る。又、その後の成形品製造における成形方法や製品形状によっては、熱混合して得られたものを、粉砕、分級工程を経ずに、成形材料として使用することもできる。
【0020】
第3に、ホルムアルデヒド系樹脂前駆体をアルコール溶液とした状態での混合には、ニーダー、バンバリミキサ、モルタルミキサ、2本ロールなどの混合機を用いて、各成分が混合される。一般には、この混合は常温で行うが、各成分が充分に分散できる場合には、アルコール類の蒸発を促進するために、アルコール類の沸点前後まで加熱して混合してもよい。
【0021】
この混合に用いるホルムアルデヒド系樹脂前駆体は、アルコール溶性であり、あらかじめアルコール類に溶解した状態で使用する。アルコール類の量は各成分の分散効果やその後の成形性を考慮して決めるが、一般には、不揮発分20〜80%のアルコール溶液が良い。本発明におけるアルコール類としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール、フェノール、クレゾール、エチレングリコール、トリメチレングリコールなどの広範囲のアルコールが使用できる。
【0022】
そして、この混合後の混合物は、必要に応じてアルコールを蒸発させるために乾燥した後、粉砕、分級して成形材料を得る。又、その後の成形品製造における成形方法や製品形状によっては、混合後、乾燥、粉砕、分級工程を経ずに、ぺースト状あるいはドウ状の混合物を成形材料として使用することもできる。
【0023】
以上のようにして得た成形材料は、圧縮成形、トランスファー成形、射出成形、押出し成形、流し込み成形などを行って、成形時及び/又は成形後に加熱処理され、成形品を得る。その加熱温度は100〜300℃の範囲、好ましくは150〜250℃の範囲が良い。この加熱によってホルムアルデヒド系樹脂前駆体を硬化せしめると共に、硬化によって生成した水によって水硬性セメントが水和反応し、高強度がもたらされると解釈される。又、高強度化の理由として、微量生成した水分の存在によって、アルミニウムイオンが樹脂とイオン架橋したことも考えられる。
【0024】
本発明に係る成形品は、そのままでも各種用途に使用できるが、より一層美観を持たせるために、合成樹脂塗料、うるしなどで塗装して使用することもできる。本発明に係る成形品の用途としては、ボディー、船舶部品、パレットなどの自動車・輸送機器関連分野、機械ハウジング、絶縁部品、IC封止材、パラボラアンテナなどの電子・電気関連分野、コンクリート用補強材、コンクリート用型枠、水槽、屋根材、内壁材などの土木・建築関連分野、タンク、パイプなどの化学工業関連分野、歯車、ギヤなどの一般機械関連分野等、幅広く応用できる。
【0025】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明し、本発明の成形材料が高い強度及び弾性係数を有し、耐水性、耐熱性にも優れていることを明らかにする。
【0026】
〔実施例1〜2〕
表1に示すように、アルミナセメント(電気化学工業(株)製、商品名デンカアルミナセメント1号)、フェノール樹脂前駆体(昭和高分子(株)製、商品名ショウノールBRG-558)、ヘキサメチレンテトラミン、ステアリン酸亜鉛、フルフラール及び着色剤(バイエルジャパン(株)製、商品名バイエルチタン)を配合し、蒸気によって110℃に加熱したゴム用ロール機を用いて混合した。この時のロール回転比は、1:1.3に設定した。なお、カールフィッシャー法によって測定したフェノール樹脂前駆体の水分量は0.1%であった。この混合でロールに巻きついたドウ状の混合物を引きはがした後、混合物をステンレス製乳鉢で粉砕して成形材料を作製した。この成形材料を温度120℃に保った金型に詰め、10N/mm2で圧縮成形し、その後、金型の温度を180℃に上昇させ、6時間保持して厚さ約3mmのシート状の成形品を製造した。
【0027】
その成形品を幅15mm、長さ80mmに切り出して10個の試験体を作った。そのうち5個は直ちに曲げ試験に供し、残りの5個は20℃の水中に7日間浸せき後曲げ試験に供した。なお、曲げ試験は、支点間距離を60mmとして、2等分点載荷により行った。同時に試験体中央部のたわみを測定して、曲げ弾性係数を算出した。得られた結果を表1に示す。
【0028】
【表1】

【0029】
〔実施例3〕
アルミナセメント(電気化学工業(株)製、商品名デンカアルミナセメント1号)、フェノール樹脂前駆体(昭和高分子(株)製、商品名ショウノールBKM-2620)をステンレス乳鉢で粉砕したもの及びステアリン酸亜鉛を、モルタルミキサで4分間粉体の状態で混合して成形材料を作製した。なお、カールフィッシャー法によって測定したフェノール樹脂先駆体の水分量は4.5%であった。この成形材料を、実施例1〜2と同様に、成形して試験体を作り、曲げ試験を行った。得られた結果を表1に示す。
【0030】
〔実施例4〜7〕
表2に示すように、普通ポルトランドセメント、アルミナセメント(電気化学工業(株)製、商品名デンカアルミナセメント1号)、フェノール樹脂前駆体のアルコール溶液(昭和高分子(株)製、商品名ショウノールBRS-330、不揮発分60.6%、水分量1.3%)、アミド結合の水素をメトキシメチル基で30%置換したN-メトキシメチル化ポリアミド(帝国化学産業(株)製、商品名トレジン)、グリセロール及びシランカップリング剤(信越化学工業(株)製、商品名KBE-903)を配合し、モルタルミキサで2分間予備混合した後、一対のロール回転比を1:1.2に設定したゴム用ロール機で4分間混合した。この混合でロールに巻きついたドウ状の混合物を約2mmのシート状に取り出して成形材料を作製した。この成形材料を、温度80℃の金型を用いて、圧縮応力6N/mm2で圧縮成形した後、200℃で15時間加熱処理してシート状の成形品を製造した。
【0031】
その成形品を幅25mm、長さ100mmに切り出して10個の試験体作り、実施例1〜2と同様に試験を行った。得られた結果を表2に示す。又、試験後の成形品を微粉末にして、X線回折したが、X線回折で判明できるようなセメント水和物のピークは認められなかった。
【0032】
【表2】

【0033】
〔実施例8〜11〕
実施例5の材料の他に、ホルムアルデヒド系樹脂前駆体としてメラミン樹脂前駆体のアルコール溶液(三井東圧化学(株)製、不揮発分74.6%、水分量4.3%)、添加剤としてポリアクリルアミドを使用し、表3に示す配合で試験を行った。材料を卓上型二ーダーで2分間予備混合した後一対のロール回転比を1:1.2に設定したゴム用ロール機で4分間混合した。この混合でロールに巻きついたドウ状の混合物を約3mmのシート状に取り出して成形材料を作製した。この成形材料を、回転比1:1にしたロール間を数回通過させ、約1.5mmに圧延成形した後、200℃で15時間加熱処理してシート状の成形品を製造した。
【0034】
その成形品を幅25mm、長さ100mmに切り出して10個の試験体作り、実施例1〜2と同様に試験を行った。得られた結果を表3に示す。
【0035】
【表3】

【0036】
〔実施例12及び比較例〕
成形品の耐熱性を評価するために、実施例9と同様の操作で得た成形品を300℃で6時間加熱した後、曲げ強度を測定した。比較のため、高い曲げ強度を有する厚さ4mmのA社市販品を、幅25mm、長さ75mmに切り出し、同温度で加熱した後、曲げ強度を測定した。それらの加熱前及び加熱後の強度を表4に示す。
【0037】
【表4】

 
訂正の要旨 a.【特許請求の範囲】の【請求項1】〜【請求項24】において、もとの【請求項1】
及び【請求項19】を削除し、以下、項数を繰上げ【請求項1】〜【請求項22】と訂正する。
b.【請求項1】「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメント、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、粉体の状態で混合して成る成形材料」を、「実質的に水を含まなしいが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、粉体の状態で混合して成る成形材料」と訂正する。
c.【請求項2】「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメント、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、熱により該前駆体が溶融した状態で混合して成る成形材料」を、「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、熱により該前駆体が溶融した状態で混合して成る成形材料」と訂正する。
d.【請求項3】「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメント、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、熱により該前駆体が溶融した状態で混合し、次いで得られたものを粉砕、分級して成る成形材料」を、「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、熱により該前駆体が溶融した状態で混合し、次いで得られたものを粉砕、分級して成る成形材料」と訂正する。
e.【請求項4】「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメント、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、該前駆体がアルコール溶液の状態で混合して成る成形材料」を、「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、該前駆体がアルコール溶液の状態で混合して成る成形材料」と訂正する。
f.【請求項5】「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメント、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、該前駆体がアルコール溶液の状態で混合し、次いでアルコールを蒸発させて得られたものを粉砕、分級して成る成形材料」を、「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、該前駆体がアルコール溶液の状態で混合し、次いでアルコールを蒸発させて得られたものを粉砕、分級して成る成形材料」と訂正する。
g.【請求項6】「該ホルムアルデヒド系樹脂前駆体がフェノール樹脂前駆体である請求項1乃至6記載の成形材料」を、「該ホルムアルデヒド系樹脂前駆体がフェノール樹脂前駆体である請求項1乃至5記載の成形材料」と訂正する。
h.【請求項7】「該ホルムアルデヒド系樹脂前駆体がメラミン樹脂前駆体である請求項1乃至6記載の成形材料」を、「該ホルムアルデヒド系樹脂前駆体がメラミン樹脂前駆体である請求項1乃至5記載の成形材料」と訂正する。
i.【請求項8】「該ホルムアルデヒド系樹脂前駆体がユリア樹脂前駆体である請求項1乃至6記載の成形材料」を、「該ホルムアルデヒド系樹脂前駆体がユリア樹脂前駆体である請求項1乃至5記載の成形材料」と訂正する。
j.【請求項9】「該添加剤が酸アミド結合を有するポリマーである請求項1乃至6記載の成形材料」を、「該添加剤が酸アミド結合を有するポリマーである請求項1乃至5記載の成形材料」と訂正する。
k.【請求項10】「該添加剤がポリアミドである請求項1乃至6記載の成形材料」を、「該添加剤がポリアミドである請求項1乃至5記載の成形材料」と訂正する。
1.【請求項11】「該添加剤が脂肪族系アルコール溶性ポリアミドである請求項1乃至6記載の成形材料」を、「該添加剤が脂肪族系アルコール溶性ポリアミドである請求項1乃至5記載の成形材料」と訂正する。
m.【請求項12】「該添加剤がポリアクリルアミドである請求項1乃至6記載の成形材料」を、「該添加剤がポリアクリルアミドである請求項1乃至5記載の成形材料」と訂正する。
n.【請求項13】「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメント、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、粉体の状態で混合して得る成形材料の製造方法」を、「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、粉体の状態で混合して得る成形材料の製造方法」と訂正する。
o.【請求項14】「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメント、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、熱により該前駆体が溶融した状態で混合して得る成形材料の製造方法」を、「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、熱により該前駆体が溶融した状態で混合して得る成形材料の製造方法]と訂正する。
p.【請求項15】「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメント、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、熱により該前駆体が溶融した状態で混合し、次いで得られたものを粉砕、分級して得る成形材料の製造方法」を、「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、熱により該前駆体が溶融した状態で混合し、次いで得られたものを粉砕、分級して得る成形材料の製造方法」と訂正する。
q.【請求項16】「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメント、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、該前駆体がアルコール溶液の状態で混合して得る成形材料の製造方法」を、「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、該前駆体がアルコ-ル溶液の状態で混合して得る成形材料の製造方法」と訂正する。
r.【請求項17】「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメント、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、該前駆体がアルコール溶液の状態で混合し、次いでアルコールを蒸発させて得られたものを粉砕、分級して得る成形材料の製造方法」を、「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、該前駆体がアルコール溶液の状態で混合し、次いでアルコールを蒸発させて得られたものを粉砕、分級して得る成形材料の製造方法」と訂正する。
s.【請求項18】「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド
系樹脂前駆体及び水硬性セメント、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を粉体の状態で混合して成る形成材料を、成形、加熱処理して硬化せしめて得た成形品」を、「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を粉体の状態で混合して成る形成材料を、成形、加熱処理して硬化せしめて得た成形品」と訂正する。
t.【請求項19】「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメント、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、熱により該先駆体が溶融した状態で混合して成る成形材料を、成形、加熱処理して硬化せしめて得た成形品」を、「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、熱により該先駆体が溶融した状態で混合して成る成形材料を、成形、加熱処理して硬化せしめて得た成形品」と訂正する。
u.【請求項20】「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメント、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、熱により該前駆体が溶融した状態で混合し、次いで得られたものを粉砕、分級して成る成形材料を、成形、加熱処理して硬化せしめて得た成形品」を、「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、熱により該前駆体が溶融した状態で混合し、次いで得られたものを粉砕、分級して成る成形材料を、成形、加熱処理して硬化せしめて得た成形品」と訂正する。
v.【請求項21】「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメント、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、該前駆体がアルコール溶液の状態で混合して成る成形材料を、成形、加熱処理して硬化せしめて得た成形品」を、「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前1駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、該前駆体がアルコール溶液の状態で混合して成る成形材料を、成形、加熱処理して硬化せしめて得た成形品」と訂正する。
w.【請求項22】「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメント、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、該前駆体がアルコール溶液の状態で混合し、次いでアルコールを蒸発させて得られたものを粉砕、分級して成る成形材料を、成形、加熱処理して硬化せしめて得た成形品」を、「実質的に水を含まないが硬化により水を生成するホルムアルデヒド系樹脂前駆体及び水硬性セメントからなり、並びに必要に応じて添加剤及び/又は充填材を含有する組成物を、該前駆体がアルコール溶液の状態で混合し、次いでアルコールを蒸発させて得られたものを粉砕、分級して成る成形材料を、成形、加熱処理して硬化せしめて得た成形品」と訂正する。、
x.明細書第5頁段落【0007】の第4行目(特許公報第3頁第5欄段落【0007】の第5行目)における「水硬性セメント、」を、「水硬性セメントからなり、」と訂正する。
上記訂正事項a〜wは、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。
上記訂正事項xの訂正は、特許請求の範囲の記載内容と発明の詳細な説明の欄の記載内容との整合性を図るため、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正である。
異議決定日 1999-08-25 
出願番号 特願平5-210816
審決分類 P 1 652・ 4- YA (C04B)
P 1 652・ 113- YA (C04B)
P 1 652・ 121- YA (C04B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 徳永 英男  
特許庁審判長 石井 勝徳
特許庁審判官 森竹 義昭
能美 知康
登録日 1997-10-09 
登録番号 特許第2704929号(P2704929)
権利者 前田製管株式会社
発明の名称 成形材料、その製造方法及びその成形品  
代理人 米屋 武志  
代理人 米屋 武志  

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