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審決分類 |
審判 審判種別コード:80 2項進歩性 B05C |
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管理番号 | 1022127 |
審判番号 | 審判1998-4961 |
総通号数 | 15 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1989-06-09 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1998-04-03 |
確定日 | 2000-04-12 |
事件の表示 | 昭和62年特許願第303975号「塗装用マスキング材」拒絶査定に対する審判事件[ 平成 1年 6月 9日出願公開、特開平 1-148366 ]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本件発明の要旨 本件出願は、昭和62年12月1日の特許出願であり、その出願に係る発明の要旨は、平成10年4月24日付け手続補正書により補正された明細書及び平成8年12月2日付け手続補正書により補正された図面の記載からみて、その特許請求の範囲に記載された次のとおりのものと認める。 「ポリアミドフィルムまたはポリアミド発泡体シートを被マスキング個所の形状に対応した所定形状に成形したことを特徴とする塗装用マスキング材」 2.引用例 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用した実願昭61-34872号(実開昭62-148375号)のマイクロフィルム(以下「引用例1」という。)及び特開昭60-251954号公報(以下「引用例2」という。)には、それぞれ以下の事項が記載されているものと認める。 (1)引用例1 イ.「本考案の目的は、成形品に部分的な塗装をする場合に使用し、作業能率を高めるのに寄与する塗装用マスクを提供することにある。」(明細書第2頁第18〜20行参照) ロ.「塗装用マスクの材料としては、耐溶剤性を有するポリプロピレン、ポリエチレンなどで代表されるプラスチックの、厚さ20μ〜1.0mm好ましくは200μ〜400μ程度のシートを使用する。塗装用マスクの成形は、真空成形、圧空成形、真空圧空成形およびプラグアシスト成形から選んだ成形方法により実施すればよい。」(明細書第3頁第14〜20行参照) ハ.「厚さ300μのポリプロピレンシートを、第3図に示すような成形品の非塗装部の形状に応じた形状を有するように真空成形およびトリミング加工し、塗装用マスク1を形成した。」(明細書第4頁第16〜19行参照) 等の記載があり、これらの記載、図面等を参照すると、引用例1には、 “ポリプロピレン、ポリエチレンなどで代表されるプラスチックシートを非塗装部の形状に対応した所定形状に成形した塗装用マスク”、 が記載されているものと認める。 (2)引用例2 イ.「非塗装部と被塗装部とを有する被塗物のうち前記被塗装部を塗装する際に、前記非塗装部を被覆する塗装用マスキング治具において、前記被塗物に取付けられ前記被塗装部の表面に塗布される塗料の見切り線を形成する紐部と、当該紐部に固着され前記非塗装部を覆う膜部とを有し、前記膜部と紐部のうち、少なくとも膜部を延伸結晶性材料により形成してなる塗装用マスキング治具。」(第1頁下左欄第5〜12行参照) ロ.「膜部3と紐部2は延伸結晶性材料により形成されている。延伸結晶性とは成形後の製品に延伸方向の張力を加えると、材料の組織が結晶化し、たとえ熱を加えても伸ばされた状態を維持する性質であって、ネッキング性とも指称される。このような性質を有する膜部3及び紐部2の材料としては、・・・ナイロン-6、ナイロン-6;6、ナイロン-12等の合成樹脂混和物がある。」(第3頁上左欄第1〜12行参照) 等の記載があり、これらの記載、図面等を参照すると、引用例2には、 “塗装用マスキング治具の材料として、ナイロン-6、ナイロン-6;6、ナイロン-12を用いる点” が記載されているものと認める。 3.対比・判断 本件出願に係る発明と上記引用例1に記載されたものとを対比すると、引用例1に記載されたものの“塗装用マスク”が本件出願に係る発明の「塗装用マスキング材」に対応し、引用例1に記載されたものの“ポリプロピレン、ポリエチレンなどで代表されるプラスチックシート”も本件出願に係る発明の「ポリアミドフィルム又はポリアミド発泡体シート」も、共にプラスチックシートといえること、また、引用例1に記載されたものにおいて“非塗装部”が“塗装用マスク”によりマスキングされるものであることから、 両者は、 プラスチックシートを被マスキング個所の形状に対応した所定形状に成形した塗装用マスキング材である点、において一致し、 上記プラスチックシートが、本件出願に係る発明は、ポリアミドフィルムまたはポリアミド発泡体シートであるのに対して、引用例1に記載されたものは、“ポリプロピレン、ポリエチレンなどで代表されるプラスチックシート”である点、で相違する。 そこで、上記相違点について検討する。 上記引用例2には、前述のように、塗装用マスキング治具の材料として、ナイロン-6、ナイロン-6;6、ナイロン-12を用いる点が記載され、引用例2に記載されている“塗装用マスキング治具”は、非塗装部を被覆するものであるから、塗装用マスキング材であり、ナイロン-6、ナイロン-6;6、ナイロン-12はポリアミドであるから、上記引用例2には、塗装用マスキング材の材質をポリアミドとすることが記載されているものと認められるので、上記プラスチックシートの材質をポリアミドとすることは、当業者が容易に想到し得ることと認められ、また、ポリアミドフィルムは、ポリアミドシートの1つの形態として当業者にとって本件出願前より周知のものであって、ポリアミドフィルムを所定形状に成形することも本件出願前に周知(例えば、特開昭61-294995号公報、特開昭53-16067号公報)のことと認められるので、上記プラスチックシートをポリアミドフィルムとすること、すなわち、上記相違点における本件出願に係る発明の構成は、引用例2に記載されたものに基づいて、当業者が容易に想到し得たものである。 そして、本件出願に係る発明の作用効果は、上記引用例1,2に記載されたもの及びポリアミドが有する性質から当業者が予測し得る程度のものと認められる。 4.むすび 以上のとおりであるから、本件出願に係る発明は、上記引用例1及び2に記載されたものに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 1999-10-07 |
結審通知日 | 1999-10-26 |
審決日 | 2000-02-21 |
出願番号 | 特願昭62-303975 |
審決分類 |
P
1
80・
121-
Z
(B05C)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 井出 隆一、綿谷 晶廣 |
特許庁審判長 |
蓑輪 安夫 |
特許庁審判官 |
清田 栄章 関谷 一夫 |
発明の名称 | 塗装用マスキング材 |
代理人 | 宇佐見 忠男 |