• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02M
管理番号 1022270
審判番号 審判1997-4221  
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1994-05-13 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1997-03-21 
確定日 2000-07-05 
事件の表示 平成4年特許願第273248号「電源装置」拒絶査定に対する審判事件[平成6年5月13日出願公開、特開平6-133550]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【1】本願発明
本願は、平成4年10月12日の出願であって、その発明を特定するために必要な事項は、当審における平成11年10月12日付の拒絶理由通知に基づき平成11年12月22日付手続補正書により補正された全文補正明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1乃至3に記載された「電源装置」にあるものと認められるところ、当該請求項1乃至3に記載された発明(以下、請求項1に係る発明について「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「【請求項1】電源装置を構成する主要な各部を各装置毎に分割して独立にパッケージ化し、その各々に外部との電気的接続を可能とする端子を備えた複数のモジュールを組み合わせて構成され、前記各装置は、入力端子に印加される交流入力電圧ラインからのノイズを抑制して、出力端子に出力するノイズフィルタ装置と、このノイズフィルタ装置の出力端子からの前記交流入力電圧を入力端子に印加して、該交流入力電圧の電流波形と電圧波形を近付けることにより、この交流入力電圧からの高調波電流を抑制して、出力端子より直流入力電圧を出力する力率改善装置と、この力率改善装置の出力端子からの直流入力電圧を入力端子に供給し、これを所定の直流出力電圧に変換して、出力端子より負荷に供給する電力変換装置とからなり、少なくとも前記力率改善装置および前記電力変換装置は異なるタイプのものが複数種用意され、電源装置の仕様に応じて前記力率改善装置を単独または複数並列接続して使用するとともに、前記電力変換装置を単独または複数接続して使用するものであることを特徴とする電源装置。
【請求項2】電源装置を構成する主要な各部を各装置毎に分割して独立にパッケージ化し、その各々に外部との電気的接続を可能とする端子を備えた複数のモジュールを組み合わせて構成され、前記各装置は、入力端子に印加される交流入力電圧ラインからのノイズを抑制して、出力端子に出力するノイズフィルタ装置と、このノイズフィルタ装置の出力端子からの前記交流入力電圧を入力端子に印加して、該交流入力電圧の電流波形と電圧波形を近付けることにより、この交流入力電圧からの高調波電流を抑制して、出力端子より直流入力電圧を出力する力率改善装置と、この力率改善装置の出力端子からの直流入力電圧を入力端子に供給し、これを所定の直流出力電圧に変換して、出力端子より負荷に供給する電力変換装置と、前記力率改善回路の出力端子から前記電力変換装置の入力端子への直流入力電圧の異常停止時に、前記電力変換装置の入力端子に直流入力電圧をその出力端子から供給するバックアップ電源供給装置とからなり、少なくとも前記力率改善装置および前記電力変換装置は異なるタイプのものが複数種用意され、電源装置の仕様に応じて前記力率改善装置を単独または複数並列接続して使用するとともに、前記電力変換装置を単独または複数接続して使用するものであることを特徴とする電源装置。
【請求項3】電源装置を構成する主要な各部を各装置毎に分割して独立にパッケージ化し、その各々に外部との電気的接続を可能とする端子を備えた複数のモジュールを組み合わせて構成され、前記各装置は、入力端子に印加される交流入力電圧ラインからのノイズを抑制して、出力端子に出力するノイズフィルタ装置と、このノイズフィルタ装置の出力端子からの前記交流入力電圧を入力端子に印加して、該交流入力電圧を整流平滑する整流平滑装置と、この整流平滑装置の出力端子からの整流平滑された直流入力電圧を入力端子に供給し、これを所定の直流出力電圧に変換して、出力端子より負荷に供給する電力変換装置とからなり、少なくとも前記電力変換装置は異なるタイプのものが複数種用意され、電源装置の仕様に応じて前記電力変換装置を単独または複数接続して使用するものであることを特徴とする電源装置。」
【2】引用刊行物
(1) これに対して、当審における前記拒絶の理由に引用された特開平3-195355号公報(以下、「引用例1」という。)には、「スイッチング形電源装置」に係る発明が開示され、その実施例と共に図面の第1図乃至第3図及び第5図を参酌すると、以下の記載が認められる。
「1 交流電源よりの交流電圧を整流回路によって直流電圧に変換して、直流電力を直流負荷回路に供給する電力供給回路と、前記交流電源と整流回路との間に、直列接続されたインダクタと、このインダクタに前記交流電源から電源周波数よりも高い周波数の短絡電流を流すスイッチング素子と前記スイッチング素子のオンオフ比を制御する制御回路とを備えた電源装置において、交流負荷電流を検出し、一定の基準電圧と比較して、1サイクル中の前記スイッチング素子のオンオフ動作期間を交流負荷電流の大きさに応じて制御する手段と、スイッチング素子のオン電流を直流負荷電流の大きさに応じて制御する手段を備えたことを特徴としたスイッチング形電源装置。
…(中略)…。
6 請求項5記載のスイッチング電源装置に於いて、回路部品をモジュール化した事を特徴とするとするスイッチング形電源装置。」(第1頁下欄「特許請求の範囲」)
「本発明は商用交流電源を整流して直流電力を得るスイッチング形電源装置に於いて力率を改善し、且つ該電源装置をモジュール化するに好適な回路を提供するものである。」(第2頁左上欄第3〜6行)
「第5図において交流電源1は交流電源電圧Vsを発生し、この電圧はノイズフィルター2、インダクタ3を介して整流回路4で整流され、ダイオード6を介して平滑コンデンサ7で平滑され、負荷8に供給される。この回路で、整流回路4の直流出力をスイッチング素子5でオンオフする。そして交流電源の周波数より高い周波数のオンオフ信号Chと期間制御信号Vspに基づきスイッチング素子5の駆動用信号Vdrを作成して、スイッチング素子5をオンオフすることによって交流電源電流Isを正弦波状に近似して、力率改善を図っている。」(第2頁左上欄第13行〜同頁右上欄第4行)
「第1図に破線で示した枠22内がモジュール化した部分である。又第10図に示す第2実施例回路については枠23でモジュール化部分を示す様に第1実施例回路より更にモジュール化の効果が高くなる。
本発明に依る力率改善形モジュール化スイッチング電源装置を空調機に適用する場合は負荷として電動機を駆動するためのトランジスタ6ヶより成る3相ブリッジを接続するので、この3相ブリッジもモジュール化し、前記スイッチング電源モジュールに1体化する事が可能となる。」(第4頁右下欄第1〜11行)
「本発明による力率改善回路は負荷電流検出とスイッチング素子の短絡電流の検出との2点の情報により制御されるので従来型より力率が改善され実験によれば3%の向上が見られた。
又本発明による力率改善回路は情報源が多くなったにも拘らず、モジュール化が容易に達成し得る設計であり、然もスイッチング周波数を20kHz以上としたため従来型の様に可聴電磁音を発生せず、モジュール化と相挨ち高周波ノイズによる隣接機器への障害も極めて少なくなる。
又本発明回路を家庭用空調機に適用した場合には低騒音のみならず力率アップによる高出力化、室外ユニットの小型、軽量化が計れるので工業上の効果は甚大である。」(第4頁右下欄第12行〜第5頁左上欄6行)
(2) また、同じく当審における前記拒絶の理由に引用された特開平4-217869号公報(以下「引用例2」という。)には、「電源装置」が開示され、その実施例及び第1図、第5図の記載を参酌すると、以下の記載が認められる。
「図1に示すようにインダクタンス4とダイオ―ド5と第1のスイッチング素子3からなり図9と同一の構成を有する第1の力率改善回路6に対し、インダクタンス4Aとダイオ―ド5Aと第3のスイッチング素子3Aからなる第2の力率改善回路6Aが並列に接続されており、第1、第2の力率改善回路6、6Aの第1、第3のスイッチング素子3、3Aには制御用IC10Aに内蔵する発振回路19から360 °/2の位相差を有する駆動信号が供給されるようになっている。」(【0010】欄、第2頁右欄第42行〜第3頁左欄第1行)
「本発明は上記実施例に限定されるものではなく本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば力率改善回路は昇圧チョッパ回路を用いたが昇降圧チョッパ回路等を用いることもでき、またスイッチング素子はFETに代えてトランジスタ等を用いることもできる。さらに、インバ―タは各種タイプのものに適用できる。また三相交流電源に代えて単相交流電源を用いてもよい。」(【0017】欄、第4頁左欄第18〜25行)
(3) さらに、同じく当審における前記拒絶の理由に引用された特開昭64-19964号公報(以下「引用例3」という。)には、「スイッチング電源回路」が開示され、その第2図の記載を参酌すると、次の記載が認められる。
「+5V電源より±12V直流電源を得る電源回路がインタフェースIC用電源として用いられている。
第2図はこの種のスイッチング電源回路の一例を示す回路図である。
図において、反転形回路1と昇圧形回路2に共通して入力電源4が接続されている。反転形回路1にはパルス発生器8が、昇圧形回路2にはパルス発生器21がそれぞれ接続され、各トランジスタ5および18がオンオフさせられる。この結果、反転形回路1の出力に接続された負荷12には、マイナスのVoutが、昇圧形回路2の出力に接続された負荷21には負荷12に印可される電圧と同レベルのプラスのVoutが出力される。」(第1頁右下欄第7行〜第2頁左上欄第1行)
【3】対比・判断
<本願発明と引用例1に記載された発明との対比・判断>
(対比)
本願発明と前記引用例1に記載された発明とを対比すると、両者は何れも電源装置であって、引用例1に記載された発明における「スイッチング素子(5)、ドライブ回路(11)等からなる電力供給回路」は、本願発明における「電力変換装置」に相当するものと認められる。
そして、引用例1に記載された発明における「整流回路(4)」は交流入力電圧を直流入力電圧として出力するものであり、本願発明における「力率改善装置」にはこのような交流入力電圧を直流入力電圧として出力する機能をも持たせるものであることから、引用例1に記載された発明における「整流回路(4)」は本願発明における「力率改善装置」に対応させることができる装置である。
したがって、両者は、
「電源装置を構成する主要な各部のモジュールを組み合わせて構成され、入力端子に印加される交流入力電圧ラインからのノイズを抑制して、出力端子に出力するノイズフィルタ装置と、このノイズフィルタ装置の出力端子からの前記交流入力電圧を入力端子に印加して、出力端子より直流入力電圧を出力する装置と、この装置の出力端子からの直流入力電圧を入力端子に供給し、これを所定の直流出力電圧に変換して、出力端子より負荷に供給する電力変換装置とからなる電源装置。」
である点で一致し、以下の点で相違するものと認められる。
(1)モジュール化が、本願発明にあっては、主要な各部を各装置毎に分割して独立にパッケージ化し、その各々に外部との電気的接続を可能とする端子を備えた複数のモジュールを組み合わせて構成されるものであるのに対し、引用例1に記載された発明にあっては、この点が明確ではない点。
(2)整流に係る装置が、本願発明にあっては、交流入力電圧の電流波形と電圧波形を近付けることにより、この交流入力電圧からの高調波電流を抑制して、出力端子より直流入力電圧を出力する力率改善装置であるのに対し、引用例1に記載された発明にあっては、単に出力端子より直流入力電圧を出力する整流回路(4)である点。
(3)本願発明にあっては、力率改善装置および前記電力変換装置は異なるタイプのものが複数種用意され、電源装置の仕様に応じて前記力率改善装置を単独または複数並列接続して使用するとともに、前記電力変換装置を単独または複数接続して使用するものであるのに対し、引用例1に記載された発明にあっては、それぞれ1種を接続して使用するものである点。
(判断)
以下、相違点について検討する。
相違点(1)について、
引用例1においても、モジュール化する際には使用部品やその回路設計を考慮してモジュール化する旨記載されており(第4頁等参照)、またパッケージ化しモジュール化する際にその分割区画をどのようになすかは、当業者が適用する装置の機能や規模、汎用性の度合いなどの技術的事項を考慮して適宜に区画し、パッケージ化してモジュール化するものであって、当該技術分野における技術常識に基づいて当業者が適宜に定め得る設計上の事項である。そして、本願発明のように主要な各部を各装置毎に分割して独立にパッケージ化し、外部との電気的接続を可能とする端子を備えたものとして構成することは従来より周知の技術的事項(必要で有れば、実願昭58-46446号(実開昭59-151496号)のマイクロフィルム、特開平2-72571号公報参照)であるから、電源装置において主要な各部を各装置毎に分割して独立にパッケージ化し、その各々に外部との電気的接続を可能とする端子を備えた複数のモジュールを組み合わせて構成することは、当業者が容易に成しうることと認められる。
相違点(2)について、
引用例1に記載された電源装置においても、力率の改善を目的・作用効果としており、また電源装置に力率改善装置を付加することは前記引用例2に見られるように従来より周知の技術的事項であるから、引用例1に係る整流回路(4)を本願発明のように整流と共に力率を改善する力率改善装置として構成することは当業者が容易になし得ることと認められる。
相違点(3)について、
力率改善装置を複数並列接続して使用することは前記引用例2に記載されており、また異なるタイプの複数種の電力変換装置を複数接続して使用することも前記引用例3に記載されているように従来より周知の技術的事項である。そして、これら装置を用いる際に、複数種として各装置を単独又は複数接続した構成とすることは、負荷の種別や電源容量などを考慮して当業者が適宜に定める設計的事項と認められるから、本願発明のように構成することは当業者が容易になし得ることと認められる。
また、本願発明における作用効果も、引用例1乃至3に記載のものから当業者が容易に予測し得るものであって格別のものとは認められない。
<請求項2に係る発明と引用例1に記載された発明との対比・判断>
(対比)
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明にさらに「バックアップ電源供給装置」に係わる構成が付加されたものである。
そして、請求項2に係る発明と前記引用例1に記載された発明とを対比すると、前記請求項1に係る発明における相違点(1)乃至(3)と共にこの付加された構成に係わる点がさらに相違点となるものと認められる。
(判断)
以下、相違点について検討する。
相違点(1)乃至(3)についての判断は、前記請求項1に係る発明においてした理由と同一であるから、これを援用する。
また、前記付加された「バックアップ電源供給装置」に係わる構成の相違点について、このようなバックアップ電源供給装置を電源装置に付加して供給電圧が異常停止時のバックアップを行うことは、例えば非常用電源装置、或いは無停電電源装置などに見られるように従来から周知・慣用される技術的事項であり、このような周知・慣用される技術的事項を採用して請求項2に係る発明のように構成することは、当業者が容易になし得ることと認められる。
そして、請求項2に係る発明における作用効果も、引用例1乃至3に記載のものから当業者が容易に予測し得る程度のものであって格別のものとは認められない。
<請求項3に係る発明と引用例1に記載された発明との対比・判断>
(対比)
請求項3に係る発明と前記引用例1に記載された発明とを対比すると、両者は、以下の点で相違し、その余は一致するものと認められる。
(1)モジュール化が、請求項3に係る発明にあっては、主要な各部を各装置毎に分割して独立にパッケージ化し、その各々に外部との電気的接続を可能とする端子を備えた複数のモジュールを組み合わせて構成されるものであるのに対し、引用例1に記載された発明にあっては、この点が明確ではない点。
(2)請求項3に係る発明にあっては、前記電力変換装置は異なるタイプのものが複数種用意され、電源装置の仕様に応じて前記電力変換装置を単独または複数接続して使用するものであるのに対し、引用例1に記載された発明にあっては、それぞれ1種を接続して使用するものである点。
(判断)
以下、相違点について検討する。
相違点(1)については、前記請求項1に係る発明における相違点(1)と同一であって、その判断においても同様であるから、前記請求項1に係る発明における相違点(1)についてした理由を援用する。
相違点(2)については、前記請求項1に係る発明における相違点(3)に含まれるものであって、その判断においても同様であるから、前記請求項1に係る発明における相違点(3)についてした理由を援用する。
そして、請求項3に係る発明における作用効果も、引用例1乃至3に記載のものから当業者が容易に予測し得る程度のものであって格別のものとは認められない。
【4】審判請求人の主張について
審判請求人は、意見書において、概要「本願発明では『電源装置を構成する主要な各部を各装置毎に分割し』てこれを独立にパッケージ化した複数のモジュールとするもの」であって、モジュールに係る構成及び有意な作用効果を奏するものである旨主張している。
しかしながら、前記したように、通常、機器や装置の設計にあたって必要に応じてパッケージ化し、モジュール化を考えることは技術常識であり、またパッケージ化しモジュール化するにあたりどのような回路構成毎乃至は装置毎にパッケージ化しモジュール化するかなど、その範囲を画定する際には、対象となる機器や装置の機能や規模、汎用性或いは故障時の保守などに応じて、当業者が適宜に定める設計上の事項であることは前述したとおりである。そして、これによる作用効果、例えば装置構成の変更容易性や装置設計の自由度の改善、さらには小型コンパクト化も、当業者が予測し得る範囲のものであって格別のものとは認められないので、審判請求人の当該主張は採用することができない。
また、その余の主張によっても前記当審における拒絶の理由を撤回すべき事由は見当たらない。
【5】まとめ
以上のとおりであるから、本件特許請求の範囲の請求項1乃至3に記載された発明は、いずれも引用例1乃至3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものと認められるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2000-04-13 
結審通知日 2000-04-25 
審決日 2000-05-11 
出願番号 特願平4-273248
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H02M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小川 謙小池 正彦  
特許庁審判長 吉村 宅衛
特許庁審判官 川端 修
大森 蔵人
発明の名称 電源装置  
代理人 牛木 護  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ