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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1023275 |
審判番号 | 審判1998-18473 |
総通号数 | 15 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1998-05-15 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1998-11-19 |
確定日 | 2000-09-18 |
事件の表示 | 平成 8年特許願第272553号「電源供給制御装置」拒絶査定に対する審判事件[平成10年5月15日出願公開、特開平10-124192]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯、本願発明 本願は、平成8年10月15日の出願であって、本願は、その請求項1〜4に係る発明は、平成10年8月17日付け手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、本願の特許請求の範囲の請求項1〜4に記載された次のとおりのものと認める。 (なお、平成10年11月26日付け手続補正による補正は、本審決と同日付けで却下された。) 「【請求項1】 情報処理装置からの動作制御信号によって電源供給回路から電源供給を受ける複数の被電源供給制御部品を備え、 これら被電源供給制御部品に対する電源の供給・供給停止を制御する電源供給制御回路を前記電源供給回路に接続し、 この電源供給制御回路に、前記各被電源供給制御部品に対する電源の供給・供給停止を前記情報処理装置からの動作制御信号の検出によって判定する判定回路を接続し、 この判定回路に対して前記情報処理装置からの動作開始信号と動作終了信号を出力するインタフェース制御回路を有し、 このインタフェース制御回路が、動作開始時に、前記電源供給回路から電源供給を受けて前記情報処理装置に対する前記被電源供給制御部品からの信号送出を開始し、動作終了時には、前記電源供給回路からの電源供給が停止する前に前記情報処理装置に対する前記被電源供給制御部品からの信号送出を終了する ことを特徴とする電源供給制御装置。 【請求項2】 前記被電源供給制御部品にCCDカメラが含まれていることを特徴とする請求項1記載の電源供給制御装置。 【請求項3】 前記インタフェース制御回路が、前記情報処理装置に対しデータ信号を並列して送受する回路であることを特徴とする請求項1または2記載の電源供給制御装置。 【請求項4】 前記インタフェース制御回路が、前記情報処理装置に対しデータ信号を直列して送受する回路であることを特徴とする請求項1または2記載の電源供給制御装置。」 2.引用された刊行物の発明 原査定の拒絶の理由に引用された「実願昭62-195799号(実開平1-102956号公報)のマイクロフィルム」(以下、「引用例」という)には、以下のようなことが記載されている。 「バーコードリーダにおいて、第1図に機能ブロックで示すように、ホストコンピュータのスキヤナ制御手段Aから送信されるスキヤナON/OFFコマンドを受信してスキヤナ部への電源供給の制御を指示するスキヤナ電源制御指示手段Bをデコーダ部に設けると共に、このスキヤナ電源制御指示手段Bからの指示によりスキヤナ部への電源を制御するスキヤナ電源手段Cを備えたものである。」(第3頁第6〜14行目)、 「この情報処理システムは、バーコードを読み取るスキヤナ部1とその読み取った信号をデコードするデコーダ部からなるバーコードリーダ3と、そのデータを入力して処理するホストとしてのハンドヘルドコンピュータ(HHC)20とによって構成されている。」(第3頁第20行目〜第4頁第5行目)、 「このバーコードリーダ3は、スキヤナ部1と、デコーダ部2と、電源コントロール部11とによって構成され、デコーダ部2は、スキヤナ部1からの読取信号を入力するI/Oポート4と、それをデコードしたデータをハンドヘルドコンピュータ20に転送するI/Oポート9と、CPU、タイマ6、RAM7、ROM8、I/Oポート10を備えている。 また、電源はハンドヘルドコンピュータ20からデコーダ部2に直接供給されると共に、スキヤナ電源コントロール部11を介してスキヤナ部1にも供給される。」(第4頁第8〜19行目)、 「デコーダ部2におけるCPU5は、このデコーダ部2の各部を制御する。」(第5頁第3〜4行目)、 「I/Oポート9は、バーコードデータをホスト(HHC)へ出力すると共に、ホスト(HHC)からのコマンドを受信する。 I/Oポート10は、第1図のスキヤナ電源制御指示手段Bの機能も果たすCPU5からの指示手段をスキヤナ電源コントロール部11へ出力する。」(第5頁第8〜13行目)、 「第4図のフローチャートによりホストのハンドヘルドコンピュータ(HHC)20側の処理について説明する。 まず、スキヤナONコマンドをバーコードリーダ3に送信する。次に、バーコードリーダ3からバーコードデータを受信する。 そして、バーコードの受信が終わると、スキヤナOFFコマンドをバーコードリーダ3に送信する。そして受信したバーコードリーダの処理(ファイルのリード/ライト等)を行いながらスタートに戻る。 次に、第5図のフローチャートによりバーコードリーダ3側の処理について説明する。 まず、HHC20から送信されるスキヤナON/OFFコマンドを受信したか否かの判断をする。スキヤナONコマンドを受信していれば、スキヤナ部への電源供給をONする。そしてスタートに戻る。 また、スキヤナOFFのコマンドの受信であれば、スキヤナ部への電源供給をOFFにする。そしてスタートに戻る。 スキヤナON/OFFコマンドを受信していなければ、バーコードデータデコードをHHC20に送信する。そしてスタートに戻り、HHC20からのスキヤナON/OFFコマンドを待つ。」(第6頁第1行目〜第7頁第5行目)。 そうすると引用例には以下の発明が記載されている。 「ホストからのスキヤナON/OFFコマンドによって電源から電源供給を受けるスキヤナ部と、 スキヤナ部に対する電源の供給・供給停止を制御するスキヤナ電源コントロール部を電源に接続し、 この電源にスキヤナ部に対する電源の供給・供給停止をホストからのスキヤナON/OFFの信号を検出によって判定するデコーダ部のCPUを接続し、 このデコーダ部のCPUに対してホストからのスキヤナON/OFFの信号を出力するデコーダ部のI/Oポートを有し、 このI/Oポートが、スキヤナONコマンド受けての動作開始時に、電源から電源供給を受けてホストに対するスキヤナ部からの信号送出を開始させてデコーダ部でこの信号をデコードしてホストに転送し、デコーダされた信号の受信が終わるとスキヤナOFFコマンド受けての動作終了時には、電源からの電源供給が停止する前にホストに対するスキヤナ部からの信号の転送を終了する ことを特徴としたバーコードリーダの電源供給制御回路。」 3.対比 ここで平成10年8月17日付手続補正の請求項1の発明(以下、「本願発明」という)と引用例の発明とを対比する。 引用例の発明の「ホスト」、「電源」、「スキヤナ部」、「スキヤナ電源コントロール部」、「スキヤナON/OFFコマンド」、「デコーダ部のCPU」、「動作開始信号」、「動作終了信号」、「I/Oポート」は、それぞれ、本願発明の「情報処理装置」、「電源供給回路」、「被電源供給制御部品」、「電源供給制御回路」、「動作制御信号」、「判定回路」、「スキヤナONコマンド」、「スキヤナコマンドOFFコマンド」、「インターフェース制御回路」に相当し、両者とも情報処理装置に、データを取り込む装置の電源供給・供給停止に関する電源供給制御装置である点で一致している。また引用例の発明では、デコードされた信号を受信してからスキヤナOFFコマンドを送信しており、動作終了時には、電源供給回路からの電源供給が停止する前に情報処理装置に対する被電源供給制御部品からの信号の転送を終了しているものである。 そうすると、本願発明と引用例の発明とは、 「情報処理装置からの動作制御信号によって電源供給回路から電源供給を受ける被電源供給制御部品を備え、 被電源供給制御部品に対する電源の供給・供給停止を制御する電源供給制御回路を前記電源供給回路に接続し、 この電源供給制御回路に、前記各被電源供給制御部品に対する電源の供給・供給停止を前記情報処理装置からの動作制御信号の検出によって判定する判定回路を接続し、 この判定回路に対して前記情報処理装置からの動作開始信号と動作終了信号を出力するインタフェース制御回路を有し、 このインタフェース制御回路が、動作開始時に、前記電源供給回路から電源供給を受けて前記情報処理装置に対する前記被電源供給制御部品からの信号送出を開始させてこの信号を前記情報処理装置に転送し、動作終了時には、前記電源供給回路からの電源供給が停止する前に前記情報処理装置に対する前記被電源供給制御部品からの信号の転送を終了する ことを特徴とする電源供給制御装置。」 で一致し、以下の点で相違している。 相違点:電源供給を受ける対象が、本願発明が「複数の被電源供給制御部品」であるのに対し、引用例の発明が「スキヤナ部」のみである点。 4.判断 一つの装置、本願発明の場合データを取り込む装置、は複数の部品から構成されるのはふつうのことであり、一つの装置が駆動されるためには、一つの装置を構成する部品にも電源が供給されて駆動されなくてはならないことは自明である。 仮に、「被電源供給制御部品」が、複数の装置であったとしても、情報処理装置が信号を入力させるために該複数の装置の駆動を必要としているのであれば、それらの装置に電源供給の制御を行わせるようにすることは、当業者が適宜なし得ることと認められる。 5.むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2000-06-13 |
結審通知日 | 2000-06-23 |
審決日 | 2000-07-06 |
出願番号 | 特願平8-272553 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 朽名 一夫、圓道 浩史 |
特許庁審判長 |
吉村 宅衛 |
特許庁審判官 |
今井 義男 新川 圭二 |
発明の名称 | 電源供給制御装置 |
代理人 | 河合 信明 |
代理人 | 福田 修一 |
代理人 | 京本 直樹 |