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審決分類 審判 審判種別コード:65 2項進歩性  F01N
審判 審判種別コード:65 1項3号刊行物記載  F01N
管理番号 1023791
異議申立番号 異議1998-75279  
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1996-11-19 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-10-28 
確定日 2000-03-11 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2746193号「触媒支持金具及びそれを用いたシール兼支持金具並びに触媒支持金具の製造方法」の請求項1ないし3に係る特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。  
結論 訂正を認める。 特許第2746193号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 
理由 I、手続の経緯
本件特許第2746193号に係る出願は、平成7年5月10日に特許出願されたものであって、その特許請求の範囲の請求項1〜4に記載された発明は、同10年2月13日に設定登録された。その後、その特許請求の範囲の請求項1〜3に係る特許について特許異議の申立て、及び取消理由の通知がなされ、取消理由通知の指定期間内である同11年4月5日に願書に添付した明細書について訂正請求がなされたものである。

II、訂正の要旨
上記訂正請求は、本件特許明細書を訂正請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを求めたものであるが、その要旨は次の(1)〜(11)のとおりである。
(1)、特許請求の範囲の請求項1及び2の記載を、特許請求の範囲の減縮を目的として訂正しようとするものであり、特許請求の範囲の記載を、
「【請求項1】モノリス坦体とそれに外被されるケーシング間に装着され、モノリス坦体をケーシングに対して弾性保持するとともに、モノリス坦体とケーシング間の隙間をシールするシール材を保持する、金属細線をメリヤス編みした編物体を成形してなる筒状の触媒支持金具であって、
モノリス坦体の外周面とケーシングの内周面間に突っ張った状態で装着される波形状の周壁からなり、軸方向に一定間隔をあけて少なくとも1対設けられ、金属細線を編成して作製した保持部と、
相対向する保持部の端部を保持部の内周端付近まで段落ちさせる、金属細線を編成して作製した保持部に連なる段部と、
隣接する段部の内周端部を、段部に連なる複数の曲線状の金属細線であって、前記編物体を編成するときに、メリヤス編込みを中断して目をとばすことにより形成される複数本の曲線状の金属細線で連結する連結部と、
を備え、隣接する段部と連結部とでシール材装着用の環状溝を形成した触媒支持金具。
【請求項2】連結部の両端部に金属細線を編成して作製した、段部に連なる環状の変形吸収部を形成した請求項1記載の触媒支持金具。
【請求項3】請求項1又は2記載の触媒支持金具と、
前記触媒支持金具の環状溝に装着されたセラミックス繊維材料を主体としてなるシール材であって、外周面がケーシングの内周面に、また内周面が連結部を構成する金属細線間の隙間を通ってモノリス担体の外周面に夫々密着した状態に装着されるシール材と、
を備えたシール兼支持金具。
【請求項4】金属細線をメリヤス編みにて筒状に編成するときに、周方向の相対向する一定範囲の編込みを中断して目をとばして編成し、軸方向に延びる編物からなる編込部と複数の曲線状の金属細線からなる細線部とを周方向に交互に形成した筒状の編物体を作製する編成工程と、
筒状の編物体を編込部の周方向の中央部を境にして平板状に折り畳み、帯状の編物体を作製する折り畳み工程と、
帯状の編物体に形成される複数条の編込部に対して順次波付け加工を施す波付け工程と、
波付け加工を施した帯状の編物体を一定長さ毎にカッティングして、その長手方向の両端部を重ね合わせて接合する接合工程と、
を備えた触媒支持金具の製造方法。」
と訂正する。
(2)、段落番号【0008】の第4行目〜第5行目の「シール材を保持する金属細線からなる筒状の触媒支持金具であって、」の記載を、明瞭でない記載の釈明を目的として、
「シール材を保持する、金属細線をメリヤス編みした編物体を成形してなる筒状の触媒支持金具であって、」と訂正する。
(3)、段落番号【0008】の第7行目の「金属細線を編成又は製織して」の記載を、明瞭でない記載の釈明を目的として、
「金属細線を編成して」と訂正する。
(4)、段落番号【0008】の第8行目〜第9行目の「金属細線を編成又は製織して」の記載を、明瞭でない記載の釈明を目的として、
「金属細線を編成して」と訂正する。
(5)、段落番号【0008】の第10行目の「曲線状の金属細線で連結する連結部とを備え、」の記載を、明瞭でない記載の釈明を目的として、
「曲線状の金属細線であって、前記編物体を編成するときに、メリヤス編込みを中断して目をとばすことにより形成される複数本の曲線状の金属細線で連結する連結部とを備え、」と訂正する。
(6)、段落番号【0009】の第1行目〜第2行目の「金属細線を編成又は製織して作製した、」の記載を、明瞭でない記載の釈明を目的として、
「金属細線を編成して作製した、」と訂正する。
(7)、段落番号【0012】の第9行目の「線を編成又は製織して作製したものであり、」の記載を、明瞭でない記載の釈明を目的として、
「線を編成して作製したものであり、」と訂正する。
(8)、段落番号【0014】の第1行目の「更にまた、段部を編成又は製織により作製してあるので、」の記載を、明瞭でない記載の釈明を目的として、
「更にまた、段部を編成により作製してあるので、」と訂正する。
(9)、段落番号【0015】の第1行目〜第2行目の「金属細線を編成又は製織して作製した、」の記載を、明瞭でない記載の釈明を目的として、
「金属細線を編成して作製した、」と訂正する。
(10)、段落番号【0029】の第8行目〜第10行目の「また、本実施例では、金属細線をメリヤス編みして保持部11,段部12、変形吸収部14を作製したが、メリヤス編み以外の編み方で作製してもよいし、金属細線を製織してもよい。」の記載を、明瞭でない記載の釈明を目的として、削除する。
(11)、段落番号【0031】の第1行目の「また、段部を編成又は製織により作製するという簡単な構成で、」の記載を、明瞭でない記載の釈明を目的として、
「また、段部を編成により作製するという簡単な構成で、」と訂正する。

III、訂正の適否についての判断
(あ)、訂正の目的、新規事項及び拡張・変更の存否
(1)、上記(1)の訂正について
上記(1)の訂正は、特許請求の範囲の請求項1において、(a)「シール材を保持する金属細線からなる筒状の触媒支持金具であって、」を、「シール材を保持する、金属細線をメリヤス編みした編物体を成形してなる筒状の触媒支持金具であって、」と訂正し、(b)「金属細線を編成又は製織して作製した保持部と」を、「金属細線を編成して作製した保持部と」と訂正し、(c)「金属細線を編成又は製織して作製した、保持部に連なる段部と、」を「金属細線を編成して作製した保持部に連なる段部と、」と訂正し、(d)「段部に連なる複数の曲線状の金属細線で連結する連結部と、」を「段部に連なる複数の曲線状の金属細線であって、前記編物体を編成するときに、メリヤス編込みを中断して目をとばすことにより形成される複数本の曲線状の金属細線で連結する連結部と、」と訂正し、特許請求の範囲の請求項2において、(e)「金属細線を編成又は製織して作製した、」を「金属細線を編成して作製した、」と訂正することによって、構成要件の附加等によって構成を限定するものであり、特許請求の範囲の請求項1及び2を減縮するものと認められる。
そして、この(1)の訂正に関連する記載として、
(ア)特許明細書の請求項4には、「金属細線をメリヤス編みにて筒状に編成するときに、周方向の相対向する一定範囲の編込みを中断して目をとばして編成し、軸方向に延びる編物からなる編込部と複数の曲線状の金属細線からなる細線部とを周方向に交互に形成した筒状の編物体を作製する編成工程と、」、
(イ)特許明細書の段落番号【0016】中には、「請求項4に係る触媒支持金具の製造方法においては、編成工程と折り畳み工程と波付け工程と接合工程とを経て、金属細線を編成した請求項1記載の触媒支持金具が製作されることになる。つまり、編成工程におてい、周方向の相対向する一定範囲の編込みを中断して目をとばして編成することで、触媒支持金具の連結部に対応する部分が形成され、帯状の編物体に形成される複数条の編込部に対して順次施す波付け加工を施すことで、触媒支持金具の保持部及び段部が形成されることになる。」の記載があり、
上記(ア)及び(イ)の記載から、上記のように、(a)「シール材を保持する、金属細線をメリヤス編みした編物体を成形してなる筒状の触媒支持金具であって、」、(b)「金属細線を編成して作製した保持部と」、(c)「金属細線を編成して作製した保持部に連なる段部と、」、(d)「段部に連なる複数の曲線状の金属細線であって、前記編物体を編成するときに、メリヤス編込みを中断して目をとばすことにより形成される複数本の曲線状の金属細線で連結する連結部と、」、(e)「金属細線を編成して作製した、」と訂正したものといえるから、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明に該当し、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
(2)、上記(2)〜(11)の訂正について
上記(2)〜(11)の訂正は、上記(1)の訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と整合させるために発明の詳細な説明を訂正及び削除するものであり、明瞭でない記載の釈明に相当する。そして、この訂正は、特許明細書に記載した事項の範囲内であり、又、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
(い)、独立特許要件について
(1)、上記平成11年4月5日付け訂正請求書に添付された訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜3に係る発明(以下「訂正請求項1〜3に係る発明」という。)は、同訂正明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜3に記載されたとおりのものと認められる。
(2)、これに対して、当審で通知した取消理由で引用した刊行物1(実公平3-4739号公報)には、以下の事項が記載されている。
第2頁左欄第1〜27行中に「本実施例のシール付きクッション1は、第1、2図に示すように、ステンレス鋼線等の耐熱金属細線をメリヤス編みしたワイヤネット10の中央に平滑部2を残して波付部3形成し、その平滑部2の一面に、バーミキュライト等の加熱により発泡して体積が著しく増大する性質を有する粒子をセラミックファイバ等の耐熱性繊維に混入し、有機バインダーを加えて圧縮成型した帯状のシール4を樹脂フィルム5で真空パックしたものを重ねてステンレス鋼等の耐熱性金属からなる針状金具6で長さ方向に間隔を空けて一体的に固着したものである。
第3図は、上記実施例のシール付きクッション1を使用した触媒コンバーターの一例を示し、多数の通気孔8を透設したハニカム構造の触媒担体7の外周にこのクッション1を巻き付けて両端解放のケース9内に挿入し、筒形のキャップ12を被着してボルト11で固定したものであり、触媒担体7は、ワイヤネット10の波付部3により半径方向に弾力的に保持されるとともに、エンジンの排気管に接続して高温度の排気ガスを流すと、シール4の樹脂フィルム5は熱により消失し、バーミキュライト等の粒子が加熱されて発泡し、著しく膨張することによりシール4の厚さが増大し、触媒担体7の外周面とケース9の内周面に密着し、その間の隙間を密閉して未浄化の排気ガスの流通が阻止される。」と記載されている。
そして、上記記載、及び第1,2図の記載を併せて見ると、刊行物1には、「触媒担体7とそれに外被されるケース9間に装着され、触媒担体7をケース9に対して弾性保持するとともに、触媒担体7とケース9間の隙間をシールするシール4を保持する、耐熱金属細線をメリヤス編みしたワイヤネット10を成形してなるシール付きクッション1であって、
触媒担体7の外周面とケース9の内周面間に突っ張った状態で装着される波形状の周壁からなり、軸方向に一定間隔をあけて少なくとも1対設けられ、耐熱金属細線を編成して作製した波付部3と、
相対向する波付部3の端部を波付部3の内周端付近まで段落ちさせる、耐熱金属細線を編成して作製した波付部3に連なる段部と、
隣接する段部の内周端部を、段部に連なって連結する平滑部2と、
を備え、隣接する段部と平滑部2とでシール4装着用の溝を形成したシール付きクッション1。」が記載されているものと認められる。
(3)、対比・判断
(3-1)、本件訂正請求項1に係る発明と、刊行物1に記載された発明とを対比する。
上記刊行物1に記載された発明の「触媒担体7」、「ケース9」、「シール4」、「耐熱金属細線」、「ワイヤネット10」、「シール付きクッション1」、「波付部3」、「平滑部2」は、それぞれ本件訂正請求項1〜3に係る発明の「モノリス坦体」、「ケーシング」、「シール材」、「金属細線」、「編物体」、「触媒支持金具」、「保持部」、「連結部」に相当する。
したがって、両者は、
「モノリス坦体とそれに外被されるケーシング間に装着され、モノリス坦体をケーシングに対して弾性保持するとともに、モノリス坦体とケーシング間の隙間をシールするシール材を保持する、金属細線をメリヤス編みした編物体を成形してなる触媒支持金具であって、
モノリス坦体の外周面とケーシングの内周面間に突っ張った状態で装着される波形状の周壁からなり、軸方向に一定間隔をあけて少なくとも1対設けられ、金属細線を編成して作製した保持部と、
相対向する保持部の端部を保持部の内周端付近まで段落ちさせる、金属細線を編成して作製した保持部に連なる段部と、
隣接する段部の内周端部を、段部に連なって連結する連結部と、
を備え、隣接する段部と連結部とでシール材装着用の溝を形成した触媒支持金具。」
の点で一致するものの、
(a)、触媒支持金具の形状について、本件訂正請求項1に係る発明が「筒状」であるのに対して、刊行物1に記載の発明は、この構成が明らかにされていない点、(b)、連結部について、本件訂正請求項1に係る発明が「隣接する段部の内周端部を、段部に連なる複数の曲線状の金属細線であって、前記編物体を編成するときに、メリヤス編込みを中断して目をとばすことにより形成される複数本の曲線状の金属細線で連結する」構成を有しているのに対して、刊行物1に記載の発明はこの構成を有していない点、(c)溝の形状について、本件訂正請求項1〜3に係る発明が「環状」であるのに対して、刊行物1に記載の発明はこの構成が明らかにされていない点で相違する。
そして、本件訂正請求項1に係る発明は、上記相違点(a)(b)の構成により、「このシール材5は複数の曲線状の金属細線からなる細線部15を溝底面とする環状溝16に装着されるので、シール材5の外周面はケーシング4の内面に直接的に密着することになり、またシール材5の内周面は、図4に示すように、連結部13の金属細線間の隙間を通ってモノリス担体3の外周面に十分に密着することになる。このため、ケーシング4とモノリス担体3間の隙間6のシール性が高くなり、未浄化ガスの流出が効果的に防止される。」(段落番号【0026】)等の明細書に記載された作用効果を期待できるものである。
したがって、本件訂正請求項1に係る発明は、刊行物1に記載された発明と同一であるとすることも、また刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることもできない。
(3-2)、本件訂正請求項2及び3に係る発明と、刊行物1に記載された発明とを対比すると、本件訂正請求項2〜3に係る発明は、いづれも本件訂正請求項1に係る発明に従属したものであり、訂正請求項1に係る発明に構成要件を附加して技術的に限定するものであるから、詳細に検討するまでもなく、刊行物1に記載された発明と同一であるとすることも、また刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることもできない。
(う)、訂正の適否についての判断結果
上記(あ)〜(い)に示すとおりであるから、本件訂正請求は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2項乃至第4項の規定に適合するものであり、当該訂正を認める。

IV、特許異議の申立ての判断
(あ)、本件発明
本件特許第2746193号の請求項1〜3に係る発明(以下「本件請求項1〜3に係る発明」という。)は、前記訂正請求書に添付された訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜3に記載されたとおりのものと認める。
(い)、申立ての理由の概要・判断
特許異議申立人は、上記刊行物1を甲第1号証として提出し、本件請求項1〜3に係る発明は、刊行物1に記載された発明と同一、又は刊行物1に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件請求項1〜3に係る発明は、特許法第29条第1項第3号、又は同法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであり、その特許は取り消されるべきものである旨、主張している。
これに対して、本件請求項1〜3に係る発明は、前記「3.訂正の適否についての判断」の「(い)、独立特許要件の判断」において検討したとおり、特許異議申立人が提出した上記刊行物1に記載された発明と同一とすることもできないし、上記刊行物1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることもできない。

V、むすび
以上のとおりであるから、本件訂正請求は合法になされたものであり、特許異議申立人が主張する理由及び提出した証拠によっては、本件請求項1〜3に係る発明についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1〜3に係る発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
触媒支持金具及びそれを用いたシール兼支持金具並びに触媒支持金具の製造方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 モノリス担体とそれに外被されるケーシング間に装着され、モノリス担体をケーシングに対して弾性保持するとともに、モノリス担体とケーシング間の隙間をシールするシール材を保持する、金属細線をメリヤス編みした編物体を成形してなる筒状の触媒支持金具であって、
モノリス担体の外周面とケーシングの内周面間に突っ張った状態で装着される波形状の周壁からなり、軸方向に一定間隔あけて少なくとも1対設けられ、金属細線を編成して作製した保持部と、
相対向する保持部の端部を保持部の内周端付近まで段落ちさせる、金属細線を編成して作製した保持部に連なる段部と、
隣接する段部の内周端部を、段部に連なる複数の曲線状の金属細線であって、前記編物体を編成するときに、メリヤス編込みを中断して目をとばすことにより形成される複数本の曲線状の金属細線で連結する連結部と、
を備え、隣接する段部と連結部とでシール材装着用の環状溝を形成した触媒支持金具。
【請求項2】 連結部の両端部に金属細線を編成して作製した、段部に連なる環状の変形吸収部を形成した請求項1記載の触媒支持金具。
【請求項3】 請求項1又は2記載の触媒支持金具と、
前記触媒支持金具の環状溝に装着されたセラミックス繊維材料を主体としてなるシール材であって、外周面がケーシングの内周面に、また内周面が連結部を構成する金属細線間の隙間を通ってモノリス担体の外周面に夫々密着した状態に装着されるシール材と、
を備えたシール兼支持金具。
【請求項4】 金属細線をメリヤス編みにて筒状に編成するときに、周方向の相対向する一定範囲の編込みを中断して目をとばして編成し、軸方向に延びる編物からなる編込部と複数の曲線状の金属細線からなる細線部とを周方向に交互に形成した筒状の編物体を作製する編成工程と、
筒状の編物体を編込部の周方向の中央部を境にして平板状に折り畳み、帯状の編物体を作製する折り畳み工程と、
帯状の編物体に形成される複数条の編込部に対して順次波付け加工を施す波付け工程と、
波付け加工を施した帯状の編物体を一定長さ毎にカッティングして、その長手方向の両端部を重ね合わせて接合する接合工程と、
を備えた触媒支持金具の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、モノリス型触媒コンバータにおける触媒支持金具及びその用いたシール兼支持金具に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車用エンジンの排気通路の途中部には触媒コンバータが介設され、排気ガス中に含まれるHC、CO、NOx等の有害成分を浄化するように構成されている。
触媒コンバータは、触媒物質を担持させる担体の形状により、ペレット形とモノリス形の2種類に大別されるが、最近では、排気ガスの流通抵抗の少ないモノリス担体を備えたモノリス型触媒コンバータが広く採用されている。
【0003】
モノリス型触媒コンバータは、基本的には、軸方向に複数の連通孔が形成された略円柱状のモノリス担体と、それを外被するケーシングと、ケーシングとモノリス担体間に装着されるシール兼支持金具とから構成されている。シール兼支持金具は、ケーシング内にモノリス担体を弾性保持する機能と、ケーシングとモノリス担体間の隙間からの未浄化ガスの流出防止する機能を有している。
【0004】
シール兼支持金具として、特公昭59-26771号公報には、金属細線を用いて編成した筒状の編物体に、棒状のシール材を装着した状態で、編物体を略平板状に折り畳むとともにシール部以外の部分に波付加工を施し、更にシール材が環状になるように編成体の両端を連結して作製したものが記載されている。
また、実公平3-30575号公報には、シール兼支持金具を、ケーシングに対してモノリス担体を弾性保持する金属細線からなる触媒支持金具と、ケーシングとモノリス担体間の隙間をシールするシール材とで構成したものが記載されている。この公報に記載の触媒支持金具では、触媒支持金具の軸方向の途中部に環状溝を形成し、この環状溝の溝底面を平行配列した複数の金属細線で構成し、その他の部分を金属細線からなる筒状の編物で構成してある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前者のシール兼支持金具では、シール材と編物体とを一体化させてあるので、触媒コンバータの組立時におけるシール兼支持金具の組付性は向上するが、シール材が編物体で取り囲まれるので、ケーシングの内面及びモノリス担体の外面に対するシール材の接触面積が夫々小さくなってシール性能が低下し、未浄化ガスの排出量が増大するという問題がある。
【0006】
一方、後者のシール兼支持金具では、シール材の外周面がケーシングの内面に密着し、シール材の内周面も、平行配列した金属細線間の隙間を通ってモノリス担体の外周面に密着するのでシール性能は十分に確保される。しかしながら、環状溝の溝底面において金属細線を平行配列、つまり金属細線が直線状に配列されることから、触媒支持金具の軸方向への延びが少なくなり、シール材のホールド性が低下するという問題がある。また、公報に開示されているように、環状溝の側壁も平行配列した金属細線で形成すると、環状溝を成形するときにおける、環状溝の深さ分の距離を金属細線自体の延びで吸収することになるので、環状溝の深さを深くすると、金属細線が破断したり損傷するという問題が発生する。しかも、シール材としてセラミックス繊維等を主体とした無機質繊維材料からなるものを用いると、金属細線間を通ってシール材が流失することも考えられる。
【0007】
本発明の目的は、触媒支持金具の軸方向伸縮特性を高めてシール材のホールド性を高め、金属細線の破断や損傷を防止し、シール材の流失を防止し得る触媒支持金具及びそれを用いたシール兼支持金具、並びに連続的に且つ容易に触媒支持金具を製作し得る触媒支持金具の製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る触媒支持金具は、モノリス担体とそれに外被されるケーシング間に装着され、モノリス担体をケーシングに対して弾性保持するとともに、モノリス担体とケーシング間の隙間をシールするシール材を保持する、金属細線をメリヤス編みした編物体を成形してなる筒状の触媒支持金具であって、モノリス担体の外周面とケーシングの内周面間に突っ張った状態で装着される波形状の周壁からなり、軸方向に一定間隔あけて少なくとも1対設けられ、金属細線を編成して作製した保持部と、相対向する保持部の端部を保持部の内周端付近まで段落ちさせる、金属細線を編成して作製した保持部に連なる段部と、隣接する段部の内周端部を、段部に連なる複数の曲線状の金属細線であって、前記編物体を編成するときに、メリヤス編込みを中断して目をとばすことにより形成される複数本の曲線状の金属細線で連結する連結部とを備え、隣接する段部と連結部とでシール材装着用の環状溝を形成したものである。
【0009】
ここで、請求項2記載のように、連結部の両端部に金属細線を編成して作製した、段部に連なる環状の変形吸収部を形成してもよい。
【0010】
請求項3に係るシール兼支持金具は、請求項1又は2記載の触媒支持金具と、前記触媒支持金具の環状溝に装着されたセラミックス繊維材料を主体としてなるシール材であって、外周面がケーシングの内周面に、また内周面が連結部を構成する金属細線間の隙間を通ってモノリス担体の外周面に夫々密着した状態に装着されるシール材とを備えたものである。
【0011】
請求項4に係る触媒支持金具の製造方法は、金属細線をメリヤス編みにて筒状に編成するときに、周方向の相対向する一定範囲の編込みを中断して目をとばして編成し、軸方向に延びる編物からなる編込部と複数の曲線状の金属細線からなる細線部とを周方向に交互に形成した筒状の編物体を作製する編成工程と、筒状の編物体を編込部の周方向の中央部を境にして平板状に折り畳み、帯状の編物体を作製する折り畳み工程と、帯状の編物体に形成される複数条の編込部に対して順次波付け加工を施す波付け工程と、波付け加工を施した帯状の編物体を一定長さ毎にカッティングして、その長手方向の両端部を重ね合わせて接合する接合工程とを備えたものである。
【0012】
【作用】
請求項1に係る触媒支持金具においては、モノリス担体の外周部に触媒支持金具を装着するとともに、触媒支持金具の環状溝にシール材を装着した状態で、これらをケーシングに組付けて、触媒支持金具を介してモノリス担体をケーシングに保持するとともに、シール材をモノリス担体とケーシング間の隙間に保持することになる。
ケーシングに対するモノリス担体の保持は、基本的には、軸方向に一定間隔あけて少なくとも1対設けられた保持部によりなされるが、この保持部は、金属細線を編成して作製したのであり、しかもその周壁が波形状に形成されているので、半径方向に対して弾力性を有するものとなり、モノリス担体の外周面とケーシングの内周面間に保持部が突っ張った状態で装着されることで、モノリス担体はケーシングに対して弾性保持されることになる。
【0013】
また、ケーシングとモノリス担体間の隙間は、基本的には、シール材でシールすることになるが、このシール材は隣接する段部の内周端部を連結する複数の曲線状の金属細線からなる連結部を溝底面とする環状溝に装着されるので、シール材の外周面はケーシングの内面に直接的に密着することになり、またシール材の内周面は連結部の金属細線間の隙間を通ってモノリス担体の外周面に十分に密着することになる。
更に、連結部を複数の曲線状の金属細線で構成してあるので、隣接する保持部の軸方向への伸縮が可能となり、環状溝に装着した状態でシール材は、隣接する段部間に保持されて軸方向へ移動規制される。
【0014】
更にまた、段部を編成により作製してあるので、保持部に対して波付け加工を施すときにおける段部に作用する荷重は、段部が伸縮することで効果的に吸収されることになる。しかも、シール材として、例えばセラミックス繊維を主体とした無機質繊維材からなるシール材を用いた場合でも、段部によりシール材の流失が防止される。
【0015】
請求項2記載のように、連結部の両端部に金属細線を編成して作製した、段部に連なる環状の変形吸収部を形成すると、保持部に対して波付け加工を施すときにおける段部に作用する荷重は、変形吸収部でも吸収されることになる。
請求項3に係るシール兼支持金具においては、請求項1又は2記載の触媒支持金具の環状溝に、セラミックス繊維材料を主体としてなるシール材を装着した状態で、これらをモノリス型触媒コンバータのケーシングに装着することになるので、請求項1又は2と同様の作用が得られる。
【0016】
請求項4に係る触媒支持金具の製造方法においては、編成工程と折り畳み工程と波付け工程と接合工程とを経て、金属細線を編成した請求項1記載の触媒支持金具が製作されることになる。つまり、編成工程におてい、周方向の相対向する一定範囲の編込みを中断して目をとばして編成することで、触媒支持金具の連結部に対応する部分が形成され、帯状の編物体に形成される複数条の編込部に対して順次施す波付け加工を施すことで、触媒支持金具の保持部及び段部が形成されることになる。
【0017】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、モノリス型触媒コンバータ1は、軸方向に複数の連通孔(図4参照)2を有する略円柱状のモノリス担体3と、モノリス担体3を外被するケーシング4と、ケーシング4に対してモノリス担体3を保持する触媒支持金具10と、ケーシング4とモノリス担体3間の隙間6をシールするシール材5とを備えており、排気ガス中に含まれるHC、CO、NOx等の有害成分は、連通孔2を流通する過程で、モノリス担体3に担持させた触媒物質により浄化されるように構成されている。但し、図例のモノリス担体3は、格子形のものであるが渦巻形や層状形のものを用いることも可能である。また、断面円形のモノリス担体3を用いたが、楕円形や長楕円形や小判形等のものを用いることも可能である。
【0018】
触媒支持金具10は、ステンレス製などの耐熱性に優れた金属細線を後述のように編成して作製され、図1〜図5に示すように、その両端部には略円筒状の保持部11が形成されている。保持部11の周壁は軸方向に対して傾斜状に波付けされており、両保持部11の波付け方向は相互に逆方向の傾斜状となるように形成されている。保持部11の内径R1はモノリス担体3の外径よりもやや小さく設定され、保持部11の外径R2はケーシング4の内径よりもやや大きく設定されている。
【0019】
相対向する保持部11の端部を保持部11の内周端付近まで段落ちさせる段部12が保持部11に連なって設けられ、触媒支持金具10の途中部には隣接する段部12の内周端部を連結する連結部13が形成されている。
連結部13の両端部には段部12に連なる変形吸収部14が形成され、連結部13の途中部には両変形吸収部14を連結する複数の湾曲状の金属細線からなる細線部15が形成され、1対の段部12と連結部13とでシール材装着用の環状溝16が形成されている。つまり、保持部11と段部12と変形吸収部14とは金属細線を編成した編物で構成され、細線部15は複数の湾曲状の金属細線で構成されている。但し、変形吸収部14を省略して、細線部15を直接的に段部12の内周端に連結してもよい。また、細線部15として、図例では、同じ曲率の金属細線を整然と配列したが、曲率の異なるものなどをランダムに配列することも可能である。
【0020】
シール材5は、例えばセラミックス繊維材料を主体としてなる無機質繊維材にバーミキュライトやハイドロバイオタイト等の蛭石を混入させたもので、排気ガスによりシール材5が加熱されると、蛭石が膨張してシール材5がケーシング4とモノリス担体3に密着するように構成されている。但し、シール材5として、金属細線などからなる芯材に対して無機材料を被着させたものを用いることも可能である。尚、シール兼支持金具は、触媒支持金具10とシール材5とで構成される。
【0021】
次に、触媒支持金具19の製造方法について説明する。
先ず、図示外の編成機により、図6に示すように、金属細線をメリヤス編みに編成して筒状の編物体20を作製するが、このとき、周方向の相対向する一定範囲において編込みを中断して目をとばし、軸方向に延びる編物からなる編込部21と複数の曲線状の金属細線からなる細線部22とを周方向に交互に夫々1対形成した編物体20を作製する。尚、編成機からの編物体20の送り操作は、次に述べる1対のローラ23で行われる。
【0022】
次に、作製された筒状の編物体20を1対のローラ23間に挟持して送りながら、編込部21の周方向の中央部を境にして平板状に折り畳み、帯状の編物体20Aを作製する。尚、筒状の編物体20を折り畳んで帯状の編物体20Aを作製することから、編物体20Aの編込部21A及び細線部22Aは2重に重ね合わされたものとなる。
【0023】
次に、帯状の編物体20Aに形成される2条の編込部21Aの外半部に対してプレス加工により順次波付けを施した後、編物体20Aを一定長さ毎にカッティングして、長手方向の両端部を重ね合わせて接合し、筒状の触媒支持金具10を製作する。
尚、輸送コストを低減するため、平板状の編物体20Aを製作するまでを、ネット製造ラインで行って、このネット製造ラインの下流端で編物体20Aをロールに巻装し、編物体20Aに対する波付け、カッティング、接合の作業は、モノリス型触媒コンバータ1の組立ラインにおいて行ってもよい。
【0024】
次に、触媒支持金具10の作用、効果について説明する。
モノリス型触媒コンバータ1は、図3に示すように、モノリス担体3の外周部に触媒支持金具10を装着するとともに、触媒支持金具10の環状溝16にシール材5を装着した状態で、これらをケーシング4に組付けて組立られる。組立てた状態でモノリス担体3は、触媒支持金具10を介してケーシング4に保持され、シール材5は、モノリス担体3とケーシング4間の隙間6に保持されることになる。
【0025】
モノリス担体3は、基本的には、1対の保持部11によりケーシング4に対する保持されるが、この保持部11は、金属細線からなる編込部21Aで構成され、しかもその周壁が波形状に形成されているので、半径方向及び厚さ方向に対して弾力性を有するものとなり、モノリス担体3の外周面とケーシング4の内周面間に突っ張った状態で装着されて、モノリス担体3を弾性保持することになる。このため、保持部11により、エンジン運転時における振動等が吸収されて、モノリス担体3の破損等が防止されることになる。
【0026】
また、ケーシング4とモノリス担体3間の隙間6は、基本的には、シール材5でシールすることになるが、このシール材5は複数の曲線状の金属細線からなる細線部15を溝底面とする環状溝16に装着されるので、シール材5の外周面はケーシング4の内面に直接的に密着することになり、またシール材5の内周面は、図4に示すように、連結部13の金属細線間の隙間を通ってモノリス担体3の外周面に十分に密着することになる。このため、ケーシング4とモノリス担体3間の隙間6のシール性が高くなり、未浄化ガスの流出が効果的に防止される。
【0027】
更に、シール材5は、環状溝16の側壁を構成する1対の段部12間に装着されるが、段部12を連結する連結部13が、軸方向への伸縮をある程度許容する曲線状の複数の金属細線で構成されているので、段部12によるシール材5のホールド性は高くなる。
【0028】
更にまた、段部12及び変形吸収部14を編込部21Aで構成してあるので、保持部11に対して波付け加工を施すときにおける段部12に作用する荷重は、段部12及び変形吸収部14が伸縮することで効果的に吸収されることになり、段部12における金属細線の破断や損傷が防止される。しかも、変形吸収部14を設けることにより、保持部11に対する波付け加工時に、加工位置が軸方向に多少ずれても、段部12における金属細線の破断や損傷は防止される。また、シール材5として、セラミックス繊維を主体とした無機質繊維材からなるシール材5を用いているが、編込部21Aからなる段部12によりシール材5の流失が防止されるので、経年変化によるシール性の低下は効果的に防止される。
また、両保持部11に形成する波の傾斜方向を逆方向に設定してあるので、排気ガス圧がモノリス担体3に作用しても、触媒支持金具10が軸方向へずれることはない。
【0029】
尚、図7に示す触媒支持金具10Aのように、3つの保持部11Aと2つの環状溝16Aとを軸方向に交互に配置してもよい。この場合には、4つの細線部と4つの編込部とを交互に形成した筒状の編物体を作製し、この編物体の相対向する1対の編込部の幅方向の中央部を境に編物体を二つ折りにして帯状の編物体を作製し、この帯状の編物体に対して、波付け、カッティング、接合等の加工を施して、触媒支持金具10Aを製作することになる。但し、環状溝を3つ以上形成することも可能である。
【0030】
【発明の効果】
請求項1に係る触媒支持金具によれば保持部を介してモノリス担体をケーシングに対して弾性保持してあるので、エンジンの振動や走行時の振動等によるモノリス担体の損傷を効果的に防止することが可能となる。また、シール材は、外周面がケーシングの内面に直接的に密着し、内周面が金属細線問の隙間を通ってモノリス担体の外周面に十分に密着するので、ケーシングとモノリス担体間の隙間のシール性を向上して、未浄化の排気ガスの流出を効果的に防止出来る。更に、連結部を構成する複数の金属細線を曲線状に形成してあるので、隣接する保持部及び段部の軸方向への伸縮がある程度許容され、隣接する段部によるシール材の軸方向への移動が効果的に規制される。
【0031】
また、段部を編成により作製するという簡単な構成で、保持部に対して波付け加工を施すときにおける、段部に作用する荷重を段部の伸縮で吸収して、段部における金属細線の破断や損傷を防止出来る。しかも、シール材として、例えばセラミックス繊維を主体とした無機質繊維材からなるシール材を用いた場合でも、段部によりシール材の流失が防止されるので、経年変化によるシール性の低下を効果的に防止出来る。
【0032】
請求項2記載の触媒支持金具によれば、保持部を波付け加工するときにおける金属細線の破断や損傷を一層効果的に防止することが可能となる。
請求項3に係るシール兼支持金具によれば、請求項1又は2記載の触媒支持金具の環状溝に、セラミックス繊維材料を主体としてなるシール材を装着したので、請求項1又は2と同様の効果が得られる。
【0033】
請求項4に係る触媒支持金具の製造方法によれば連続的に編成される筒状の編物体に対して、折り畳み、波付け、カッティング、接合の加工を順次施すことで、請求項1記載の触媒支持金具を連続的に且つ容易に製作することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 モノリス型触媒コンバータの縦断面図
【図2】 触媒支持金具の斜視図
【図3】 触媒支持金具とシール材とモノリス担体の縦断面図
【図4】 図3のIV-IV線断面図
【図5】 触媒支持金具の展開図
【図6】触媒支持金具の製造方法の説明図
【図7】別構成の触媒支持金具の斜視図
【符号の説明】
1 モノリス型触媒コンバータ 2 連通孔
3 モノリス担体 4 ケーシング
5 シール材 6 隙間
10 触媒支持金具 11 保持部
12 段部 13 連結部
14 変形吸収部 15 細線部
16 環状溝 20 編物体
21 編込部 22 細線部
23 ローラ 20A 編物体
21A 編込部 22A 細線部
10A 触媒支持金具 11A 保持部
16A 環状溝
 
訂正の要旨 訂正の要旨
本件特許第2746193号発明の明細書を次のとおり訂正する。
(1)、特許請求の範囲の請求項1及び2の記載を、特許請求の範囲の減縮を目的として訂正しようとするものであり、特許請求の範囲の記載を、
「【請求項1】モノリス坦体とそれに外被されるケーシング間に装着され、モノリス坦体をケーシングに対して弾性保持するとともに、モノリス坦体とケーシング間の隙間をシールするシール材を保持する、金属細線をメリヤス編みした編物体を成形してなる筒状の触媒支持金具であって、
モノリス坦体の外周面とケーシングの内周面間に突っ張った状態で装着される波形状の周壁からなり、軸方向に一定間隔をあけて少なくとも1対設けられ、金属細線を編成して作製した保持部と、
相対向する保持部の端部を保持部の内周端付近まで段落ちさせる、金属細線を編成して作製した保持部に連なる段部と、
隣接する段部の内周端部を、段部に連なる複数の曲線状の金属細線であって、前記編物体を編成するときに、メリヤス編込みを中断して目をとばすことにより形成される複数本の曲線状の金属細線で連結する連結部と、
を備え、隣接する段部と連結部とでシール材装着用の環状溝を形成した触媒支持金具。
【請求項2】連結部の両端部に金属細線を編成して作製した、段部に連なる環状の変形吸収部を形成した請求項1記載の触媒支持金具。
【請求項3】請求項1又は2記載の触媒支持金具と、
前記触媒支持金具の環状溝に装着されたセラミックス繊維材料を主体としてなるシール材であって、外周面がケーシングの内周面に、また内周面が連結部を構成する金属細線間の隙間を通ってモノリス担体の外周面に夫々密着した状態に装着されるシール材と、
を備えたシール兼支持金具。
【請求項4】金属細線をメリヤス編みにて筒状に編成するときに、周方向の相対向する一定範囲の編込みを中断して目をとばして編成し、軸方向に延びる編物からなる編込部と複数の曲線状の金属細線からなる細線部とを周方向に交互に形成した筒状の編物体を作製する編成工程と、
筒状の編物体を編込部の周方向の中央部を境にして平板状に折り畳み、帯状の編物体を作製する折り畳み工程と、
帯状の編物体に形成される複数条の編込部に対して順次波付け加工を施す波付け工程と、
波付け加工を施した帯状の編物体を一定長さ毎にカッティングして、その長手方向の両端部を重ね合わせて接合する接合工程と、
を備えた触媒支持金具の製造方法。」
と訂正する。
(2)、段落番号【0008】の第4行目〜第5行目の「シール材を保持する金属細線からなる筒状の触媒支持金具であって、」の記載を、明瞭でない記載の釈明を目的として、
「シール材を保持する、金属細線をメリヤス編みした編物体を成形してなる筒状の触媒支持金具であって、」と訂正する。
(3)、段落番号【0008】の第7行目の「金属細線を編成又は製織して」の記載を、明瞭でない記載の釈明を目的として、
「金属細線を編成して」と訂正する。
(4)、段落番号【0008】の第8行目〜第9行目の「金属細線を編成又は製織して」の記載を、明瞭でない記載の釈明を目的として、
「金属細線を編成して」と訂正する。
(5)、段落番号【0008】の第10行目の「曲線状の金属細線で連結する連結部とを備え、」の記載を、明瞭でない記載の釈明を目的として、
「曲線状の金属細線であって、前記編物体を編成するときに、メリヤス編込みを中断して目をとばすことにより形成される複数本の曲線状の金属細線で連結する連結部とを備え、」と訂正する。
(6)、段落番号【0009】の第1行目〜第2行目の「金属細線を編成又は製織して作製した、」の記載を、明瞭でない記載の釈明を目的として、
「金属細線を編成して作製した、」と訂正する。
(7)、段落番号【0012】の第9行目の「線を編成又は製織して作製したものであり、」の記載を、明瞭でない記載の釈明を目的として、
「線を編成して作製したものであり、」と訂正する。
(8)、段落番号【0014】の第1行目の「更にまた、段部を編成又は製織により作製してあるので、」の記載を、明瞭でない記載の釈明を目的として、
「更にまた、段部を編成により作製してあるので、」と訂正する。
(9)、段落番号【0015】の第1行目〜第2行目の「金属細線を編成又は製織して作製した、」の記載を、明瞭でない記載の釈明を目的として、
「金属細線を編成して作製した、」と訂正する。
(10)、段落番号【0029】の第8行目〜第10行目の「また、本実施例では、金属細線をメリヤス編みして保持部11,段部12、変形吸収部14を作製したが、メリヤス編み以外の編み方で作製してもよいし、金属細線を製織してもよい。」の記載を、明瞭でない記載の釈明を目的として、削除する。
(11)、段落番号【0031】の第1行目の「また、段部を編成又は製織により作製するという簡単な構成で、」の記載を、明瞭でない記載の釈明を目的として、
「また、段部を編成により作製するという簡単な構成で、」と訂正する。
異議決定日 2000-02-03 
出願番号 特願平7-111781
審決分類 P 1 65・ 113- YA (F01N)
P 1 65・ 121- YA (F01N)
最終処分 維持  
前審関与審査官 藤村 泰智  
特許庁審判長 蓑輪 安夫
特許庁審判官 清水 信行
清田 栄章
登録日 1998-02-13 
登録番号 特許第2746193号(P2746193)
権利者 国産部品工業株式会社
発明の名称 触媒支持金具及びそれを用いたシール兼支持金具並びに触媒支持金具の製造方法  
代理人 柳野 隆生  
代理人 野口 宏  
代理人 柳野 隆生  

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