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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G03B
管理番号 1023918
異議申立番号 異議1999-72388  
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1991-08-08 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-06-16 
確定日 2000-05-15 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2840646号「自動焦点カメラ」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2840646号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 
理由 (1)手続きの経緯
本件特許第2840646号発明は、平成1年12月12日に出願され、平成10年10月23日にその発明の特許がなされ、その後、旭光学工業 株式会社より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年11月2日に訂正請求がなされ、訂正拒絶理由通知がなされ、これに対して、手続補正書が提出されたものである。
(2)訂正の適否についての判断
ア.訂正請求に対する補正の適否について
特許権者は、平成12年4月4日付け手続補正書を提出し、特許請求の範囲の減縮を目的として、平成11年11月2日付け訂正請求書に添付された明細書における特許請求の範囲の請求項1「(1)被写体までの距離を測定する測距手段と、焦点距離を変更可能なズーム機能を有する撮影レンズと、該測距手段の測距結果に基づいて撮影レンズを合焦位置に駆動するレンズ駆動手段とを有する自動焦点カメラにおいて、前記撮影レンズの焦点距離を予め定めた値に設定するとともに、該撮影レンズの合焦位置を、前記予め定めた値の前記撮影レンズの焦点距離においてパンフォーカス状態となる予め設定された距離に設定するスナップモードを有することを特徴とする自動焦点カメラ。」を
「(1)被写体までの距離を測定する測距手段と、焦点距離を変更可能なズーム機能を有する撮影レンズと、該測距手段の測距結果に基づいて撮影レンズを合焦位置に駆動するレンズ駆動手段とを有する自動焦点カメラにおいて、前記撮影レンズの焦点距離を予め定めた値に設定するとともに、該撮影レンズの合焦位置を、前記測距手段によらず、前記予め定めた値の前記撮影レンズの焦点距離においてパンフォーカス状態となる予め設定された距離に設定するスナップモードを有することを特徴とする自動焦点カメラ。」とする補正を求めているので、まず、この補正の適否について検討すると、上記補正は、訂正明細書の記載事項の範囲内において、訂正明細書に記載された特許請求の範囲の減縮をするものであり、この補正により、訂正明細書に記載の特許請求の範囲を実質的に拡張又は変更するものとは認められないので、上記補正は認められる。
イ.訂正の内容
そうすると、当該訂正請求に係る訂正の要旨は、平成12年4月4日付けの手続補正書により補正された次のaのとおりのものと認められる。
a、明細書の特許請求の範囲第1項に係る発明を
「(1)被写体までの距離を測定する測距手段と、焦点距離を変更可能なズーム機能を有する撮影レンズと、該測距手段の測距結果に基づいて撮影レンズを合焦位置に駆動するレンズ駆動手段とを有する自動焦点カメラにおいて、前記撮影レンズの焦点距離を予め定めた値に設定するとともに、該撮影レンズの合焦位置を、前記測距手段によらず、前記予め定めた値の前記撮影レンズの焦点距離においてパンフォーカス状態となる予め設定された距離に設定するスナップモードを有することを特徴とする自動焦点カメラ。」と訂正する。
ウ.訂正の目的の適否及び拡張・変更の存否等
上記訂正a、は、特許請求の範囲の減縮に該当し、願書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内のものであり、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではなく、新規事項の追加もない。
エ.独立特許要件の判断
そこで、上記訂正に係る請求項1の発明が本件出願の際独立して特許を受けることができるかどうか検討する。
〈引用例について〉
当審が平成12年1月18日付け訂正拒絶理由通知において引用した刊行物1(特開昭58-125005号公報、以下「引用例1」という。)には、「予め設定したフォーカス位置にフォーカス用レンズを移動させるフォーカス部駆動手段と、予め設定したズーム位置にズーム用レンズを移動させるズーム部駆動手段とを備え、外部からの指示により前記フォーカス部駆動手段と前記ズーム部駆動手段の少なくとも1つを駆動させる事を特徴とするズームレンズ。」(特許請求の範囲第1項)、「そして現在の被写体距離信号を記録しておく。一方外部からボタン操作等による目的の被写体距離を予め設定する被写体距離設定手段ODMにより信号を記憶手段M1に記憶させておく。そして外部からのスイッチ操作等により予め設定した被写体距離の信号OS2と現在の被写体距離の信号OS1を比較手段OCMに入力する。そして現在の被写体距離信号と設定した被写体距離信号を比較手段OCMで比較しそして演算手段SMで演算することによりフォーカスモーター等のフォーカシング駆動手段FMMの駆動量を決定し、設定した被写体距離までフォーカシング手段FMを駆動する。これで1サイクルが終了する。」(第2頁右上欄第10行乃至左下欄第3行)、「すなわち現在の焦点距離であるズーミング位置をズーミング部位置検知手段ZDMで検知し、その焦点距離信号FS2と予め設定した記録手段M2からのズーム位置である焦点距離信号FS2と比較手段FCMで比較し、演算手段SMで演算してズーミング手段ZMを駆動させて、予め設定したズーミング位置にズーミング用レンズを設定するものである。」(第2頁左下欄第11行乃至第18行)、「更にオートフォーカス機能を有するズームレンズに本発明の機能を用いれば、予め焦点距離のみを設定しておくだけで所定の目的に合った撮影が迅速に出来る。」(第2頁右下欄第9行乃至第12行)及び「以上のように本発明に係るズームレンズによれば予め被写体距離及び焦点距離を設定しておけば、外部からの簡単な操作で所定の被写体距離及び焦点距離のズーム位置で目的とした撮影が迅速かつスムーズに撮影することができる。」(第2頁右下欄第15行乃至第19行)との記載があり、結局、オートフォーカス機能を有するズームレンズにおいて、焦点距離のみを外部からボタン操作等により予め定めた値に設定しておくだけで所定の目的に合った撮影が迅速にできるズームレンズが記載されている。
同じく引用した刊行物2(特開昭63-186219号公報、以下「引用例2」という。)には、「一般に、自動焦点調節カメラとして、光束を被写体に向けて投射し、その反射光を受光素子で受光することにより被写体までの距離を測定する三角測距方式による光投射式測距装置を有する自動焦点調節カメラが知られている。」(第1頁右欄第2行乃至第6行)、「本発明に係る自動焦点調節カメラは、撮影レンズが測距出力に応動して少なくとも3以上のフォーカシングゾーンの所定の撮影位置に設定される自動焦点調節カメラであって、」(第2頁右上欄第20行乃至左下欄第3行)、及び「スナップ撮影か非スナップ撮影かを選択する切換手段によってスナップ撮影にすると、無限遠位置を除くフォーカシングゾーンの何れかに撮影レンズが設定され、いわゆるフォーカス操作ミスがあってもピンボケ写真にならない。他方、風景描写等の非スナップ撮影にすると、従来通りのゾーンフォーカスとなり、当然無限遠位置にも撮影レンズが設定されるようになり鮮明な写真を得られる。」(第2頁左下欄第11行乃至第20行)との記載がある。
当審が平成11年8月20日付け取消理由通知において引用した刊行物3(特開昭58-152227号公報、以下「引用例3」という。)には、
「ポップアップ状態でストロボ31は発光可能状態すなわちシャッタ開放に連動して発光できる状態となる。また制御回路43には測距回路18からの信号が入力されるとともに、この制御回路43からの信号は絞り4にも出力されている。従って、ポップアップ以後は、撮影距離に応じて絞り4が変化する、所謂フラッシュマチツク方式に切り換わることになる。」(第3頁左上欄第1行乃至第10行)との記載がある。
〈対比・判断について〉
本件請求項1に係る発明と上記引用例1に記載された発明とを対比すると、本件請求項1に係る発明の「ズーム機能を有する自動焦点カメラ」は、上記引用例1に記載された発明の「オートフォーカス機能を有するズームレンズ」に相当し、オートフォーカス機能を有するズームレンズが、測距手段、撮影レンズ、レンズ駆動手段を備えることは、技術常識であるから、両者は、被写体までの距離を測定する測距手段と、焦点距離を変更可能なズーム機能を有する撮影レンズと、該測距手段の測距結果に基づいて撮影レンズを合焦位置に駆動するレンズ駆動手段とを有する自動焦点カメラにおいて、前記撮影レンズの焦点距離を予め定めた値に設定する自動焦点カメラ、で一致し、
A、本件請求項1に係る発明は、撮影レンズの焦点距離を予め定めた値に設定するとともに、該撮影レンズの合焦位置を、前記測距手段によらず、前記予め定めた値の前記撮影レンズの焦点距離においてパンフォーカス状態となる予め設定された距離に設定するスナップモードを有するのに対して、上記引用例1は、予め焦点距離のみを設定するとの記載がある点で相違する。
そこで先ず、上記引用例2、3に、この相違点が開示されているか否かを検討すると、上記引用例2に記載されているものは、測距出力に応動して撮影レンズが少なくとも3以上のフォーカシングゾーンの所定の撮影位置に設定し、切換手段によってスナップ撮影にすると、無限位置を除くフォーカシングゾーンの何れかに撮影レンズが設定されるものであり、撮影レンズの撮影位置は、測距出力に応動するから、本件請求項1に係る発明とは相違し、スナップ撮影に切り換えても、1つの位置に設定されるわけではないから、本件請求項1に係る発明とは相違する。
また、上記引用例3には、上記相違点Aの構成が開示されていない。
してみると、上記引用例1〜3には本件請求項1に係る発明の構成の一部である上記相違点Aが記載されていない。
本件請求項1に係る発明は、このAの構成を有することによって、明細書記載の作用効果を奏するものであるから、訂正後の本件請求項1に係る発明が、上記引用例1〜3のいずれかであるとも、また、上記引用例1〜3に基づいて当業者が容易に推考できたものとも言えない。
したがって、本件請求項1に係る発明は特許出願の際独立して特許を受けることができない発明とすることはできない。
オ.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正請求は、特許法第120条の4第2項及び第3項で準用する第126条第2-4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
(3)特許異議の申立てについての判断
ア.申立ての理由の概要
申立人旭光学工業 株式会社は、証拠として甲第1号証(特開昭58-125005号公報、上記引用例1)、甲第2号証(特開昭63-186219号公報、上記引用例2)、甲第3号証(特開昭58-152227号公報、上記引用例3)を提出し、訂正前請求項1及び2に係る発明は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、特許を取り消すべき旨主張している。
イ.判断
〔本件請求項1に係る発明〕
申立人旭光学工業 株式会社の主張については、上記(2)エ.で示したとおりである。
〔本件請求項2に係る発明〕
本件請求項2に係る発明は、本件請求項1に係る発明の構成の一部をさらに限定したものであるから、本件請求項1に係る発明と同様の判断である。
ウ.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立の理由及び証拠によっては、本件請求項1及び2に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1及び2に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
自動焦点カメラ
(57)【特許請求の範囲】
(1) 被写体までの距離を測定する測距手段と、焦点距離を変更可能なズーム機能を有する撮影レンズと、該測距手段の測距結果に基づいて撮影レンズを合焦位置に駆動するレンズ駆動手段とを有する自動焦点カメラにおいて、前記撮影レンズの焦点距離を予め定めた値に設定するとともに、該撮影レンズの合焦位置を、前記測距手段によらず、前記予め定めた値の前記撮影レンズの焦点距離においてパンフォーカス状態となる予め設定された距離に設定するスナップモードを有することを特徴とする自動焦点カメラ。
(2) ストロボ機能と、前記自動焦点カメラが前記スナップモードに設定され、かつストロボ撮影を行なうときには、前記測距手段の測距結果に基づいて前記撮影レンズの絞り制御を行なう絞り制御手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の自動焦点カメラ。
【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野)
本発明はAF機構を備えた自動焦点カメラに関する。
(従来技術)
最近のコンパンクトカメラには、カメラが自動的にピント合せをしてくれるAF(オートフォーカス=自動焦点調節)機構を備えたものが多い。AF機構には多くの方式があるが、コンパクトカメラにおいては、被写体までの距離を測定し、その測定結果に応じて撮影レンズをピント位置まで移動させるアクティブ測距方式がよく用いられている。
この種のAFカメラにおいては、ファインダの中央部にAFフレームが設けられ、このAFフレームを被写体に合せるとその被写体にピントが合った写真が撮れる。
このようなAFカメラは手動操作によるピント合わせが要らないので速写性に優れスナップ撮影などにとても便利であが、被写体が動いている場合には、被写体をAFフレーム内に確実にとらえることが難しい場合もあり、とらえきれずに結局ピンボケの写真になることも多い。
さらに、たとえば二人並んだ写真を撮るときにはAFフレームが二人の間の背景に合ってしまうと、その背景にピントが合ってしまう(「中抜け」とよばれている)。この中抜けを防止する1つの方法として、まずピントを合せたい被写体にAFフレームを合わせ、レリーズボタンを半押ししてピントを固定させる。その後フレーミングを変えてシャッタを切る方法(AFロックと呼ばれる)が知られている。
しかしながら、このAFロックは操作がなかなか面倒であり、また素人のユーザーがそれに慣れるのも容易ではない。
(発明の目的および構成)
本発明は上記の点にかんがみてなされたもので、自動焦点カメラにおいて、スナップ写真を簡単かつ確実に撮ることができるようにすることを目的とし、この目的を達成するため、自動焦点カメラにスナップモードを設け、スナップモードにおいては、撮影レンズを特定有限距離にある被写体に合焦する位置に移動させるとともに、スナップモードであってストロボ使用時には測距手段の測距結果に応じて絞り制御を行なうように構成した。
(実施例)
以下本発明を図面に基づいて説明する。
第1図は本発明による自動焦点カメラの一実施例の外観図である。
図において、1は撮影レンズであり、それは2群ズーム方式になっており、その前群レンズがフォーカスレンズを兼ねている。2は鏡胴、3はストロボ、4は実像式ズームファインダのファインダ窓、5はAF発光部、6はAE受光部、7はAF受光部である。8はレリーズボタン、9はズーム操作用のズームボタン、10はフィルムを使い終らない途中でフィルム巻戻しをするための途中巻戻しボタン、11は撮影済みフィルム枚数やバッテリの残量その他の撮影関連情報を表示する液晶表示パネル、12はストロボやセルフタイマの使用モードを選択するモード切換ボタン、13はカメラを後述するスナップモードに設定するためのスナップモード設定ボタン、14は電源をON/OFFするための電源スイッチ、15はカメラのグリップである。
次に上記カメラの回路構成を第2図に示す。図において、21は回路各部に電源を供給する電源制御部、22はスナップモードのときのカメラ動作およびその他のカメラの撮影シーケンスを制御するCPU、23は液晶表示パネルを構成する液晶表示装置、24は近距離警告などのファインダ内表示を行なうLED、25はストロボ装置である。また26はシャッタモータ27を駆動するシャッタ駆動部、28はフォーカスレンズ(前群レンズ)を移動させてフォーカシングを行なうフォーカスモータ、29はフォーカスモータ28を駆動するレンズ駆動部である。30はシャッタ羽根やフォーカスレンズの位置を検出するフォトインタラプタ、31はズーミングを行なうズームモータ32を駆動するズーム駆動部、33はフィルム巻上げ巻戻しモータ34を駆動するフィルム駆動部である。さらに35はフィルムの移送量を検出するフィルム移送量検出スイッチ、36はズームレンズの位置検出部、37はフィルムに日付や時間などを写し込むデータ写しこみ装置、38は調整用またはテスト用のスイッチで構成されるオプションスイッチ群である。
39はキースイッチ群であり、次の各スイッチから構成されている。それらのスイッチは、レリーズボタン8を1段押し下げたときONするS1スイッチ、レリーズボタン8をさらにもう1段押し下げたときONするS2スイッチ、ズームボタン9を押したときONするズームスイッチ、スナップボタン13を押すとONするスナップスイッチ、モード切換ボタン12を押すとONするモードスイッチ、電源スイッチ14を押すとONするメインスイッチ、および途中巻戻しボタン10を押すとONする巻戻しスイッチである。
さらに、40は周波数の異なる2種類のクロックをCPUに供給する発振回路、41はフィルムのパトローネに付されたDXコードを読取るDXコード検出回路、42は被写体までの距離を測定する測距部である。測距部42は、赤外LEDからの赤外光を被写体に照射する発光部と、被写体からの反射光をPSDなどの受光素子で受光し、その光点位置から被写体までの距離を検出する受光部とから構成されている。43はCdSなどを用いて被写体輝度を測定する測光部である。
次に第3図および第4図のフローチャートを用いて実施例の動作を説明する。第3図は撮影シーケンスのメインルーチンを示し、第4図はスナップモードのときのサブルーチンを示している。
まず第3図において、カメラに電池を装填すると(F-1)、CPUがリセットされ(F-2)、その後メインの発振器が停止し、消費電流を少なくするためのストップ状態に維持される(F-3)。メインスイッチがONすると(F-4)、CPUが実行状態になり(F-5)、カメラの機構上の様々な初期化(たとえばレンズ位置を初期位置に戻すなど)が行なわれる(F-6)。次にオートロード(AL)条件が成立すればオートロードを実行する(F-16)。オートロード条件が成立しなければCPUはスタンバイし(F-8)、ホルト状態に移行する(F-9)。
ステップ(F-1)から(F-7)までは電池装填時に1回だけ実行され、電池装填後はステップ(F-8)
から実行される。
さてステップ(F-10)においてはキースイッチ群39のスイッチ状態がチェックされ、そのうちのいずれかがキーONされるとCPUが動作するが(F-11)、いずれもOFFのときはパワーオフタイマの経過をみて(F-12)、所定時間(たとえば1時間)経過していなければホルト状態を維持し、経過したらパワーオフ(CPUをストップ)する(F-31)。
いずれかのキーONがあれば(F-10)、CPUはまずバッテリの電圧をチェックし(F-13)、バッテリ電圧が所定値以下のときはメインスイッチをみて(F-14)、メインスイッチがONであればパワーオフし(F-31)、OFFであればステップ(F-8)へ戻る。バッテリ電圧が所定値以上あれば(F-13)、オートロード条件をチェックし(F-15)、その条件が成立していればALシーケンスを実行して(F-16)オートロードを行なう。オートロード条件が成立していなければ、次にS1スイッチがONされたかどうかをみて(F-17)、ONであれば撮影シーケンスに移行する(F-18)。
撮影シーケンスにおいては、まず測距、測光が行なわれ、それらの結果よりシャッタスピードおよびフォーカスレンズの位置などの撮影条件が演算される。フォーカスレンズの位置はたとえば1段から24段まで段階的に移動可能であり、そのレンズ位置に応じて被写体距離18m(1段)〜0.8m(24段)に合焦する。求められたレンズ位置は変数メモリ「レンズステップ」に記憶される。その後、さらにストロボ使用条件かどうを判断し、そうであればストロボ充電を行なう。次にS2がONになったらフォーカスレンズをレンズステップの値に応じて繰り出し、シャッタを駆動して露光した後、レンズを初期位置へ戻す。
その後はフィルムを巻上げ(F-19)、フィルムの突っ張りからフィルムが終了したかどうかを覇断し(F-20)、フィルム終了であればフィルムを巻戻し(F-33)、そうでなければ連写条件が成立しているかどうかを判断する(F-21)。連写条件はスナップスイッチがONであること、S2がONであることである。この条件が成立していれば、再びステップ(F-18)へ戻り、撮影およびフイルム巻上げを繰り返す。つまりスナップモードにおいては、レリーズボタン8を押し続けることによって連写をすることができる。
一方、S1スッチがOFFならば(F-17)ズームスイッチをみて(F-22)、それがONならズーム駆動部31を作動させてZ00Mシーケンスを実行して(F-23)ズーム動作を行ない、OFFならスナップスイッチをチェックする(F-24)。
スナップスイッチがONであればSNAPシーケンスを実行する(F-25)。第4図はSNAPシーケンスの詳細を示したもので、スナップスイッチがONすると、まずレンズステップを「11」に設する(S-1)。次いでスナップフラグをみて(S-2)、それが「0」であれば、ズームをワイド側に戻し(S-3)、さらにフォーカスレンズをステップ(S-1)で設定した位置すなわち11段の位置に繰出す(S-4)。その後スナップフラグを「1」にして(S-5)、ステップ(F-8)へ戻る。
この実施例ではズームをワイド側にしフォーカスレンズを11段に固定することによって、1.7mの被写体距離にピントが合い、そのときの被写界深度によって通常のスナップ撮影のときの被写体をカバーできるようになっている。
スナップフラグが「1」のときはスナップフラグを「0」に戻した後(S-6)、レンズを初期位置に戻して(S-7)、ステップ(F-8)へ戻る。
以上の動作をまとめると、スナップボタン13が押されるとスナップモードになり、ズームレンズがワイド側に移動し、フォーカスレンズはパンフォーカス位置である11段の位置にセットされる。スナップボタン13をもう1度押すとスナップモードは解除されてフォーカスレンズは初期位置へ戻る。
さて、第3図に戻って、ステップ(F-26)においては、モードスイッチの状態をみて、ONであればMODEシーケンスへ移行して(F-27)ストロボまたはセルフタイマの使用モードを切り換える。モードスイッチがOFFのときは、メインスイッチをみて(F-28)、それがONであればオプションスイッチ群38のスイッチ状態からテスト条件が成立しているかどうかを判断し(F-29)、そうであればその条件に応じて測光や測距などのテストを行ない(F-30)、そうでなければパワーオフする(F-31)。
メインスイヅチがOFFであれば(F-28)、巻戻しスイッチをみて(F-32)、それがOFFならパワーオフし(F-31)、ONであればフイルムの巻戻しを行なう(F-33)。
以上のように本発明ではAFカメラであってもスナップモードのときは、フォーカスレンズを所定位置で固定してパンフォーカスにしているが、ストロボを使用するときはAFの測距情報を絞り制御(フラッシュマチック)に利用している。すなわち被写体距離が近いときはシャッタの開き始めの時からストロボ発光までの時間を短くして絞りを小さくし、また被写体距離が遠いときはストロボ発光タイミングを遅くして絞りを大きくする。このようにストロボ撮影時にはAF測距情報を利用することによって、適正露光を行なうことができ、とくに近距離の露出オーバーを防止することができる。なお、言うまでもなくストロボを使用しない場合は、通常撮影と同じように、測光結果に基づき絞り制御を行なうようにしている。
上記実施例においては、被写体の急激な状況変化に即応するためにスナップモードのときに連写を受け付けるようし、これによってシャッタチャンスの予測しにくい被写体の写真を確実に撮れるようにしたが、これと同じ考えで、1コマのフィルムに複数回の露光を行なう多重露出撮影が可能なカメラにおいては、スナップモードのときに多重露出撮影を受け付けるようにしてもよい。また実施例ではズームレンズカメラを例にとってい説明したが、本発明はズームレンズを搭載していないカメラにも適用できることはもちろんである。
(発明の効果)
以上説明したように、本発明によれば、自動焦点カメラにスナップモードを設け、スナップモードにおいては、撮影レンズを特定有限距離にある被写体に合焦する位置に移動させるとともに、スナップモードであってストロボ使用時には測距手段の測距結果に応じて絞り制御を行なうように構成したことにより、スナップ写真を簡単かつ確実に撮ることができる。すなわちスナップ撮影時の被写体とくに動く被写体にもAFロックなどの煩わしい操作をすることなく、ピントを合わせることができ、またストロボ使用時にはAF測距結果を利用するので、適正露出で撮影することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による自動焦点カメラの一実施例の外観図、第2図は第1図のカメラの回路構成を示すブロック線図、第3図および第4図は実施例の動作を説明するフローチャートである。
22…CPU、28…フォーカスモータ、32…ズームモータ、42…測距部
 
訂正の要旨 訂正の要旨
特許請求の範囲の減縮を目的として、下記(1)のように特許請求の範囲を訂正する。
(1)特許請求の範囲第1項を次のとおり訂正する。
「(1)被写体までの距離を測定する測距手段と、焦点距離を変更可能なズーム機能を有する撮影レンズと、該測距手段の測距結果に基づいて撮影レンズを合焦位置に駆動するレンズ駆動手段とを有する自動焦点カメラにおいて、前記撮影レンズの焦点距離を予め定めた値に設定するとともに、該撮影レンズの合焦位置を、前記測距手段によらず、前記予め定めた値の前記撮影レンズの焦点距離においてパンフォーカス状態となる予め設定された距離に設定するスナップモードを有することを特徴とする自動焦点カメラ。」
異議決定日 2000-04-17 
出願番号 特願平1-322406
審決分類 P 1 651・ 121- YA (G03B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 前川 慎喜  
特許庁審判長 高橋 美実
特許庁審判官 柏崎 正男
綿貫 章
登録日 1998-10-23 
登録番号 特許第2840646号(P2840646)
権利者 コニカ株式会社
発明の名称 自動焦点カメラ  
代理人 鈴木 章夫  

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