ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 B65D |
---|---|
管理番号 | 1024064 |
異議申立番号 | 異議1999-72132 |
総通号数 | 15 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1994-06-03 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1999-06-02 |
確定日 | 2000-06-12 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | |
事件の表示 | 特許第2832499号「保冷容器」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第2832499号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 |
理由 |
I.手続の経緯 特許第2832499号の請求項1ないし4に係る発明についての手続の経緯は、およそ次のとおりである。 (1)特許出願 平成4年11月12日 (2)特許権の設定の登録 平成10年10月2日 (3)特許掲載公報の発行 平成10年12月9日 (4)株式会社シマノより特許異議の申立て 平成11年6月2日 (5)特許の取消理由の通知 平成11年10月12日 (6)特許権者より明細書の訂正請求(指定期間内) 平成11年12月10日 (7)訂正拒絶理由の通知 平成12年1月25日 (8)特許権者より手続補正書(訂正請求書)の提出(指定期間内) 平成12年3月24日 II.訂正の適否について 1.訂正請求書に対する補正の適否 (1)前記I.(6)の訂正請求における訂正事項は、次のとおりである。 a.訂正前の明細書の特許請求の範囲の記載、すなわち、 「【請求項1】周縁にスカートを形成した蓋体を有する保冷容器を製造するにあたり、熱圧変形可能な合成樹脂断熱板を柔軟性を有する化粧シートと重ねて熱圧変形することにより上記蓋体にスカートを形成したことを特徴とする保冷容器の製造方法。 【請求項2】化粧シートに織布を用いていることを特徴とする請求項1記載の保冷容器の製造方法。 【請求項3】周縁にスカートを形成した蓋体を有する保冷容器において、合成樹脂断熱板に柔軟性を有する化粧シートを重ねて熱圧変形で折曲し、合致した折曲形状を維持した前記合成樹脂断熱板とこれに添着し前記柔軟性を有する化粧シートで上記蓋体の天板部とスカートが一体に形成されていることを特徴とする保冷容器。 【請求項4】化粧シートに織布を用いていることを特徴とする請求項3記載の保冷容器。」 を、訂正明細書の特許請求の範囲の記載、すなわち、 「【請求項1】容器本体の上方周囲を覆うように、天板部の周縁にスカートを形成した蓋体を有する保冷容器であって、合成樹脂断熱板に柔軟性を有する化粧シートを重ねて熱圧変形で折曲し、合致した折曲形状を維持した前記合成樹脂断熱板とこれに添着し前記柔軟性を有する化粧シートで上記蓋体の天板部とスカートが一体に形成されていることを特徴とする保冷容器。 【請求項2】化粧シートに織布を用いていることを特徴とする請求項1記載の保冷容器。」 に訂正する。 b.前記aの訂正に整合させて、訂正前の明細書の発明の詳細な説明の段落【0001】、【0005】、【0006】及び【0014】の記載を訂正する。 c.発明の名称「保冷容器とその製造方法」を「保冷容器」に訂正する。 (2)前記I.(8)の手続補正書による補正事項は、次のとおりである。 d.前記aの訂正明細書の特許請求の範囲の記載を次のように補正する。 「【請求項1】容器本体の上方周囲を覆うように、天板部の周縁から前記容器本体の周壁に沿ってスカートを垂下して形成した蓋体を有する保冷容器であって、合成樹脂断熱板に柔軟性を有する化粧シートを重ねて熱圧変形で折曲し、合致した折曲形状を維持した前記合成樹脂断熱板とこれに添着し前記柔軟性を有する化粧シートで上記蓋体の天板部とスカートが一体に形成されていることを特徴とする保冷容器。 【請求項2】化粧シートに織布を用いていることを特徴とする請求項1記載の保冷容器。」 e.前記dの補正に整合させて、訂正明細書の発明の詳細な説明の段落【0006】、【0007】及び【0010】の記載を補正する。 (3)前記補正事項dは、訂正事項aにおける訂正明細書の請求項1の記載において、スカートが「天板部の周縁から前記容器本体の周壁に沿って垂下して形成した」ものであるという、訂正明細書の請求項1に記載された事項により特定される発明にとって自明といえる事項を加入したものであり、また、前記補正事項eは、訂正事項bにおける訂正明細書の当該段落ほかの記載を補正事項dに整合させて単に記載し直したものであるから、訂正請求書に対する当該補正は、同請求書の要旨を変更するものであるとはいえず、特許法第120条の4第3項において準用する同法第131条第2項の規定に適合する。 したがって、当該補正を認める。 2.訂正事項 (1)前記I.(8)の手続補正書による補正が認められることにより、前記I.(6)の訂正請求は、次のアないしイのとおり、明細書の記載を訂正することを求めるものとなる。 ア.前記aの訂正前の明細書の特許請求の範囲の記載を、次のとおりの補正された訂正明細書の特許請求の範囲の記載に訂正すること。 「【請求項1】容器本体の上方周囲を覆うように、天板部の周縁から前記容器本体の周壁に沿ってスカートを垂下して形成した蓋体を有する保冷容器であって、合成樹脂断熱板に柔軟性を有する化粧シートを重ねて熱圧変形で折曲し、合致した折曲形状を維持した前記合成樹脂断熱板とこれに添着し前記柔軟性を有する化粧シートで上記蓋体の天板部とスカートが一体に形成されていることを特徴とする保冷容器。 【請求項2】化粧シートに織布を用いていることを特徴とする請求項1記載の保冷容器。」 イ.前記アの訂正に整合させて、訂正前の明細書の発明の詳細な説明の段落【0001】、【0005】、【0006】、【0007】、【0010】及び【0014】の記載を訂正すること。 ウ.発明の名称を「保冷容器」に訂正すること。 3.訂正の目的の適否 (1)前記アの訂正は、訂正前の明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし2を削除した上、同じく請求項3ないし4に記載された事項により特定される発明である「保冷容器」において、蓋体の周縁に形成したスカートが、容器本体の上方周囲を覆うように、天板部の周縁から前記容器本体の周壁に沿って垂下して形成したものであることを規定するとともに、請求項3を請求項1に、請求項4を請求項2にそれぞれ繰り上げるものであるから、この訂正は、特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。 (2)前記イの訂正は、前記アの訂正に整合させて、対応する発明の詳細な説明の記載をも併せて訂正しようとするものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。 (3)前記ウの訂正は、訂正前の明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし2に記載された事項により特定される発明である「保冷容器の製造方法」が特許請求の範囲から削除されたことに伴って発明の名称をも併せて訂正しようとするものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。 4.新規事項の追加の有無 訂正前の請求項3ないし4に記載された事項により特定される発明である「保冷容器」において、蓋体の周縁に形成したスカートが、容器本体の上方周囲を覆うように、天板部の周縁から前記容器本体の周壁に沿って垂下して形成したものであることは、訂正前の明細書の発明の詳細な説明の段落【0007】の記載や図面の記載から明らかであるから、当該訂正は、願書に添付された明細書又は図面に記載された事項の範囲内においてされたものである。 5.特許請求の範囲の拡張又は変更の存否 当該訂正が、訂正前の請求項3ないし4に記載された事項により特定される発明の具体的な目的の範囲を逸脱してその技術的事項を変更するもの等に該当しないことは、前記3、4の各説示からも明らかであるから、当該訂正は、特許請求の範囲を実質上拡張するものでも変更するものでもない。 6.独立特許要件の判断 (1)本件発明 訂正後の請求項1ないし2に係る発明は、補正された訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1及び請求項2に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】容器本体の上方周囲を覆うように、天板部の周縁から前記容器本体の周壁に沿ってスカートを垂下して形成した蓋体を有する保冷容器であって、合成樹脂断熱板に柔軟性を有する化粧シートを重ねて熱圧変形で折曲し、合致した折曲形状を維持した前記合成樹脂断熱板とこれに添着し前記柔軟性を有する化粧シートで上記蓋体の天板部とスカートが一体に形成されていることを特徴とする保冷容器。 【請求項2】化粧シートに織布を用いていることを特徴とする請求項1記載の保冷容器。」 (2)当審の訂正拒絶理由において引用した刊行物 当審が通知した前記I.(7)の訂正拒絶理由において引用した刊行物は次のとおりである。 刊行物1:実願昭54-184217号(実開昭56-103477号)のマイクロフィルム 刊行物2:特開平2-198823号公報 刊行物3:実願平2-105791号(実開平4-62642号公報)のマイクロフィルム 刊行物4:実願平2-107743号(実開平4-45251号公報)のマイクロフィルム 刊行物5:実願平1-119626号(実開平3-60252号公報)のマイクロフィルム」 (3)対比及び判断 刊行物1の記載を総合すると、同刊行物には、容器本体の上方周囲に、天板部の周縁にスカートを形成した蓋体を有する保冷容器であって、断熱材に外板及び内板を重ねて折曲し、合致した折曲形状を維持した前記断熱材とこれに添着している前記の外板及び内板で上記蓋体の天板部とスカートが一体に形成されている保冷容器が記載されていると認められる。 刊行物2には、断熱部材を製造する際し、合成樹脂断熱板に織布等の柔軟性を有する化粧シートを重ねて熱圧変形で折曲し、合致した折曲形状を維持した前記合成樹脂断熱板とこれに添着している前記柔軟性を有する化粧シートで断熱部材を一体に形成すること、こうして得られた断熱部材は装飾効果等も優れていることがそれぞれ記載されている。 刊行物3ないし5には、容器本体の上方周囲を覆うように、天板部の周縁にスカートを形成した蓋体を有する容器が記載されている。 しかし、刊行物1ないし5には、訂正後の請求項1ないし2に係る発明を特定する「容器本体の上方周囲を覆うように、天板部の周縁から前記容器本体の周壁に沿ってスカートを垂下して形成した蓋体を有する保冷容器」との事項、つまり、保冷容器の蓋体の周縁に形成したスカートが、容器本体の上方周囲を覆うように、天板部の周縁から前記容器本体の周壁に沿って垂下して形成したものであることが記載されていない。刊行物1記載の前記保冷容器では、蓋体のスカートが、単に容器本体の上方周囲に形成されているだけであり、刊行物3ないし5記載の容器では、蓋体のスカートが、天板部の周縁から前記容器本体の周壁に沿って垂下して形成されているとはいえないばかりでなく、刊行物3ないし5は、そこに記載されている容器を保冷用に用いることも教えない。また、当該事項は、刊行物1ないし5の記載を総合しても導かれない。一方、訂正後の請求項1ないし2に係る発明は、当該事項を具備することにより、容器本体の上方開口から冷気が漏れにくく、しかも外観上も好ましい保冷容器を得るという、明細書記載の作用効果を奏するものである。 したがって、訂正後の請求項1ないし2に係る発明は、刊行物1ないし刊行物5に記載された発明に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 また、他に訂正後の請求項1ないし2に係る発明がその出願の際独立して特許を受けることができないものであるとする理由もない。 よって、訂正後の請求項1ないし2に係る発明は、その出願の際独立して特許を受けることができるものである。 6.むすび 以上のとおりであるから、前記アないしイの訂正は、特許法第120条の4第2項の規定及び同法同条第3項において準用する同法第126条第2項ないし第4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 III.特許異議の申立てについて 1.本件発明 特許第2832499号の請求項1ないし2に係る発明(以下「訂正後の請求項1ないし2に係る発明」という。)は、補正された訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし2に記載された事項により特定される前記II.6.(1)記載のとおりのものである。 2.特許異議の申立ての理由の概要 特許異議申立人は、次の甲第1号証ないし甲第4号証を提出し、「請求項1ないし4に係る発明は、甲第1号証ないし甲第4号証に記載された発明に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができないものであるから、請求項1ないし4に係る特許は取り消されるべきものである。」と主張している。 甲第1号証:実願昭54-184217号(実開昭56-103477号公報)のマイクロフィルム(前記刊行物1に相当する。) 甲第2号証:特開平2-198823号公報(前記刊行物2に相当する。) 甲第3号証:特開平1-139003号公報 甲第4号証:特開平2-109839号公報 3.特許異議の申立ての理由についての判断 (1)前記I.(6)の訂正請求により、訂正前の請求項1ないし2に係る発明が特許請求の範囲から削除されたことにより、当該請求項に係る特許に対する特許異議の申立ては、その対象が存在しないものとなった。 (2)甲第3号証ないし甲第4号証には、訂正後の請求項1ないし2に係る発明を特定する「容器本体の上方周囲を覆うように、天板部の周縁から前記容器本体の周壁に沿ってスカートを垂下して形成した蓋体を有する保冷容器」との事項、つまり、保冷容器の蓋体の周縁に形成したスカートが、容器本体の上方周囲を覆うように、天板部の周縁から前記容器本体の周壁に沿って垂下して形成したものであることが記載されていない。また、前記II.6.(3)に説示したとおり、当該事項は、甲第1号証ないし甲第2号証にも記載されていないし、甲第1号証ないし甲第4号証の記載を総合しても導かれない。 したがって、訂正後の請求項1ないし2に係る発明は、甲第1号証ないし甲第4号証に記載された発明に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。 してみると、訂正後の請求項1ないし2に係る発明は、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない発明に該当しないから、特許異議申立人の主張は失当である。 IV.むすび 以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 保冷容器 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 容器本体の上方周囲を覆うように、天板部の周縁から前記容器本体の周壁に沿ってスカートを垂下して形成した蓋体を有する保冷容器であって、 合成樹脂断熱板に柔軟性を有する化粧シートを重ねて熱圧変形で折曲し、合致した折曲形状を維持した前記合成樹脂断熱板とこれに添着し前記柔軟性を有する化粧シートで上記蓋体の天板部とスカートが一体に形成されていることを特徴とする保冷容器。 【請求項2】化粧シートに織布を用いていることを特徴とする請求項1記載の保冷容器。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 この発明は、魚釣り等のレジャーに用いる保冷容器に関する。 【0002】 【従来の技術】 従来、釣りやその他のレジャーで用いられる保冷容器は主に外面を硬質プラスチックで形成したものであった。ところが、これらの保冷容器は重く、嵩張ることに加え、外観上ほぼどの保冷箱も同じように変化のないものとなっていた。このため最近では外面に織布やレザーシート等の化粧シートを用いた保冷箱が使用されるようになった。 【0003】 これらの保冷箱には主に周縁にスカートを形成した保冷用蓋体が取り付けられているが、この蓋体は化粧シートを表裏にした袋状に形成されてその中に柔軟性を有する断熱材が入れられている。従って、この保冷用蓋体にスカートを形成する時は、化粧シートの角部を摘んで閉じ合わせることになるから、角部等に化粧シートの折り目や縫着跡ができてしまい外観上あまり好ましいものではない。しかも、これらスカートを形成するための縫着作業は手間がかかるものであった。又、上記袋状の蓋体の中に入れた柔軟性を有する断熱材は、連続してスカート部分の袋の中に入るようにすると、スカート部分に入れた断熱材の弾性でスカート部分が横に開いてしまいスカート形状が維持できないため、スカート部分には天板部とは別体の断熱材を入れていた。ところがスカート部分に天板部とは別体の断熱材を入れると、スカート部分と天板部の境界部分で断熱効果がなくなるという欠点があった。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】 解決しようとする問題点は、▲1▼蓋体の角部等に形成された化粧シートの折り目や縫着跡が外観上好ましいものではないこと、▲2▼蓋体のスカートを形成するための縫着作業は手間がかかること、▲3▼蓋体のスカートに天板部とは別体の断熱材を入れると、スカート部分と天板部の境界部分で断熱効果がなくなることである。 【0005】 本発明の目的は上記欠点に鑑み、熱圧変形可能な合成樹脂断熱板を用いて周縁に断熱板が入れられたスカートを有する蓋体を熱圧変形で形成し、外観上良好であり、製造が容易で蓋体から冷気が漏れ難くした保冷容器を提案することである。 【0006】 【問題を解決するための手段】 本発明は、容器本体の上方周囲を覆うように、天板部の周縁から前記容器本体の周壁に沿ってスカートを垂下して形成した蓋体を有する保冷容器であって、合成樹脂断熱板に柔軟性を有する化粧シートを重ねて熱圧変形で折曲し、合致した折曲形状を維持した前記合成樹脂断熱板とこれに添着し前記柔軟性を有する化粧シートで上記蓋体の天板部とスカートが一体に形成されていることを特徴とする。 【0007】 【作用】 蓋体6には図1、図2のように、湾曲した天板部分6aと周縁に容器本体の周壁に沿うよう垂下したスカート6bが一体に形成され、スカート6bの縁には縁取りテープ11が縫着されている。この蓋体6の合成樹脂断熱板8は熱圧変形されて一体に天板部分6aとスカート6bを形成しており、スカート6bが外側に開いたりせず、維持される。この合成樹脂断熱板8の上下に重ねられた柔軟性を有する化粧シート9、10もこの合成樹脂断熱板8の形状に合致するように設けられている。熱圧変形で形成された天板部分とスカートを有する蓋体6の表面は前記天板部分とスカートに合致するようにしわなしで化粧シート9で覆われ、裏面も同様にしわなしで化粧シート10で覆われる。このため化粧シート9、10は蓋体の角部等において折り目や、重なり部分ができないので、外観上も好ましいものとなる。容器本体1の上を蓋体6で覆った時、容器本体1の上方周囲が蓋体6のスカート6bで覆われて周縁から冷気が漏れ難くなる。 【0008】 【実施例】 以下、図示の一実施例によって本発明を説明すると、図1は保冷容器の正面図、図2は保冷容器の側面図、図3は保冷容器の平面図、図4は保冷容器の一部断面側面図、図5は製造工程における熱圧変形可能な合成樹脂断熱板と柔軟性を有する化粧シートの分解斜視図、図6は製造工程における金型の説明断面側面図である。 【0009】 図1から図4で保冷容器の容器本体1は、防水シート2と3の間に合成樹脂断熱板4が挟まれて形成されている。容器本体1は上方に開口1aを有し、開口1aの後側に内蓋5と蓋体6がヒンジ部で固定されている。容器本体1の開口1a周囲と内蓋5の周囲にはチャック7が取り付けられている。内蓋5は上記容器本体1と同様に防水シート2と3の間に合成樹脂断熱板4が挟まれて形成されている。 【0010】 蓋体6は後述のように、例えばエチレン酢酸ビニール発泡体等の熱圧変形可能な合成樹脂断熱板8と例えばナイロン織布等の柔軟性を有する化粧シート9、10で形成されている。蓋体6には図1、図2のように、湾曲した天板部分6aと周縁に容器本体の周壁に沿うよう垂下したスカート6bが一体に形成され、スカ一ト6bの縁には縁取テープ11が縫着されている。この蓋体6の合成樹脂断熱板8は熱圧変形されて一体に天板部分6aとスカート6bを形成しており、この合成樹脂断熱板8の上下に重ねられた柔軟性を有する化粧シート9、10もこの合成樹脂断熱板8の形状に合致するように設けられている。このため化粧シート9、10は蓋体の角部等において折り目や、縫着跡を有していない。 【0011】 容器本体1の表裏両側にはU字状の吊り下げバンドル12、13が固定されている。容器本体1の表側にはポケット14が設けられている。容器本体1の両側には図示しない肩掛けバンドが取付具15で伸縮自在に設けられている。容器本体1の上方と蓋体6には止め金具16が設けられている。 【0012】 蓋体6が製造される時は図5のように、熱圧変形可能な合成樹脂断熱板8の上面と下面に接着剤が塗布されて夫々柔軟性を有する化粧シート9、10が接着されて図6のように、金型17、18の間に挟んで熱を掛け、熱圧変形で図1、図2の湾曲した天板部分6aと周縁にスカート6bが熱圧変形可能な合成樹脂断熱板8と柔軟性を有する化粧シート9、10で継目なしに一体に形成される。さらに合成樹脂断熱板と化粧シートは接着剤を用いず熱圧変形時に一体に添着することもできる。かつ上記の熱圧変形で形成された天板部分とスカートを有する蓋体6の表面は前記天板部分とスカートに合致するようにしわなしで化粧シート9で覆われ、裏面も同様にしわなしで化粧シート10で覆われる。 【0013】 保冷容器が上記のように構成されると、蓋体6は熱圧変形可能な合成樹脂断熱板8を柔軟性を有する化粧シート9、10の間に介在させて熱圧変形させるので、表面や裏面に化粧シートが蓋体6の天板部分とスカートに合致するようにしわなしで形成されると共に、天板部分6aと周縁のスカート6bは合成樹脂断熱板8を熱圧変形で折曲して一体に形成されているため、スカート6bが外側に開いたりせず、折曲形状が維持される。容器本体1の上を蓋体6で覆った時、容器本体1の上方周囲が蓋体6のスカート6bで覆われて周縁から冷気が漏れ難くなる。更に蓋体6の表面は天板部分6aとスカート形状に合致するようにしわなしで化一粧シート9で覆われ、角部等に化粧シートの折り目や重なり部分ができないので、外観上も好ましいものとなる。又、雨降りの中で使用しても、天板部分6aが上方に湾曲しているので、窪みが出来ないから雨水の掃けが良く、雨水が溜ることがない。 【0014】 本発明は上述のように、保冷容器の蓋体上面又は下面が柔軟性を有する化粧シートで形成されているため、嵩張らず、外観上変化をもたせることができるということに加え、▲1▼周縁にスカートを有する蓋体を熱圧変形可能な合成樹脂断熱板を柔軟性を有する化粧シートと重ねて熱圧変形しているため、蓋体の上面又は下面は合成樹脂断熱板の熱圧変形によって形成されたスカート形状に合致するように化粧シートによって覆われてスカートが外側に開いたりせず折曲形状が維持され、蓋体の角部等に化粧シートの折り目や縫着跡ができず、外観上好ましいものとなる。▲2▼またはスカートを形成するための縫着作業の必要がなくなり製造が容易になる。▲3▼蓋体のスカートと天板部は一体の合成樹脂断熱板によって形成されているため冷気が漏れにくい等優れた効果を奏する保冷容器が得られる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 保冷容器の正面図である。 【図2】 保冷容器の側面図である。 【図3】 保冷容器の平面図である。 【図4】 保冷容器の一部断面側面図である。 【図5】 製造工程における熱圧変形可能な合成樹脂断熱板と柔軟性を有する化粧シートの分解斜視図である。 【図6】 製造工程における金型の説明断面側面図である。 【符号の説明】 1 容器本体 6 蓋体 6b スカート 8 熱圧変形可能な合成樹脂断熱板 9、10柔軟性を有する化粧シート |
訂正の要旨 |
訂正の要旨 特許第2832499号発明の明細書について、次のとおり訂正する。 (1)明りょうでない記載の釈明を目的として、発明の名称を「保冷容器」に訂正すること。 (2)特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的として、特許請求の範囲の記載を次のように訂正すること。 【請求項1】容器本体の上方周囲を覆うように、天板部の周縁から前記容器本体の周壁に沿ってスカートを垂下して形成した蓋体を有する保冷容器であって、合成樹脂断熱板に柔軟性を有する化粧シートを重ねて熱圧変形で折曲し、合致した折曲形状を維持した前記合成樹脂断熱板とこれに添着し前記柔軟性を有する化粧シートで上記蓋体の天板部とスカートが一体に形成されていることを特徴とする保冷容器。 【請求項2】化粧シートに織布を用いていることを特徴とする請求項1記載の保冷容器。 (3)明りょうでない記載の釈明を目的として、発明の詳細な説明の段落【0001】、【0005】、【0006】、【0007】、【0010】及び【0014】の記載を次のように訂正すること。 【0001】 【産業上の利用分野】 この発明は、魚釣り等のレジャーに用いる保冷容器に関する。 【0005】 本発明の目的は上記欠点に鑑み、熱圧変形可能な合成樹脂断熱板を用いて周縁に断熱板が入れられたスカートを有する蓋体を熱圧変形で形成し、外観上良好であり、製造が容易で蓋体から冷気が漏れ難くした保冷容器を提案することである。 【0006】 【問題を解決するための手段】 本発明は、容器本体の上方周囲を覆うように、天板部の周縁から前記容器本体の周壁に沿ってスカートを垂下して形成した蓋体を有する保冷容器であって、合成樹脂断熱板に柔軟性を有する化粧シートを重ねて熱圧変形で折曲し、合致した折曲形状を維持した前記合成樹脂断熱板とこれに添着し前記柔軟性を有する化粧シートで上記蓋体の天板部とスカートが一体に形成されていることを特徴とする。 【0007】 【作用】 蓋体6には図1、図2のように、湾曲した天板部分6aと周縁に容器本体の周壁に沿うよう垂下したスカート6bが一体に形成され、スカート6bの縁には縁取りテープ11が縫着されている。この蓋体6の合成樹脂断熱板8は熱圧変形されて一体に天板部分6aとスカート6bを形成しており、スカート6bが外側に開いたりせず、維持される。この合成樹脂断熱板8の上下に重ねられた柔軟性を有する化粧シート9、10もこの合成樹脂断熱板8の形状に合致するように設けられている。熱圧変形で形成された天板部分とスカートを有する蓋体6の表面は前記天板部分とスカートに合致するようにしわなしで化粧シート9で覆われ、裏面も同様にしわなしで化粧シート10で覆われる。このため化粧シート9、10は蓋体の角部等において折り目や、重なり部分ができないので、外観上も好ましいものとなる。容器本体1の上を蓋体6で覆った時、容器本体1の上方周囲が蓋体6のスカート6bで覆われて周縁から冷気が漏れ難くなる。 【0010】 蓋体6は後述のように、例えばエチレン酢酸ビニール発泡体等の熱圧変形可能な合成樹脂断熱板8と例えばナイロン織布等の柔軟性を有する化粧シート9、10で形成されている。蓋体6には図1、図2のように、湾曲した天板部分6aと周縁に容器本体の周壁に沿うよう垂下したスカート6bが一体に形成され、スカート6bの縁には縁取テープ11が縫着されている。この蓋体6の合成樹脂断熱板8は熱圧変形されて一体に天板部分6aとスカート6bを形成しており、この合成樹脂断熱板8の上下に重ねられた柔軟性を有する化粧シート9、10もこの合成樹脂断熱板8の形状に合致するように設けられている。このため化粧シート9、10は蓋体の角部等において折り目や、縫着跡を有していない。 【0014】 本発明は上述のように、保冷容器の蓋体上面又は下面が柔軟性を有する化粧シートで形成されているため、嵩張らず、外観上変化をもたせることができるということに加え、▲1▼周縁にスカートを有する蓋体を熱圧変形可能な合成樹脂断熱板を柔軟性を有する化粧シートと重ねて熱圧変形しているため、蓋体の上面又は下面は合成樹脂断熱板の熱圧変形によって形成されたスカート形状に合致するように化粧シートによって覆われてスカートが外側に開いたりせず折曲形状が維持され、蓋体の角部等に化粧シートの折り目や縫着跡ができず、外観上好ましいものとなる。▲2▼またはスカートを形成するための縫着作業の必要がなくなり製造が容易になる。▲3▼蓋体のスカートと天板部は一体の合成樹脂断熱板によって形成されているため冷気が漏れにくい等優れた効果を奏する保冷容器が得られる。 |
異議決定日 | 2000-05-23 |
出願番号 | 特願平4-327372 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YA
(B65D)
|
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 溝渕 良一 |
特許庁審判長 |
村本 佳史 |
特許庁審判官 |
船越 巧子 杉原 進 |
登録日 | 1998-10-02 |
登録番号 | 特許第2832499号(P2832499) |
権利者 | ダイワ精工株式会社 |
発明の名称 | 保冷容器 |
代理人 | 内尾 裕一 |
代理人 | 小林 茂雄 |
代理人 | 坪井 淳 |
代理人 | 鈴江 武彦 |
代理人 | 鈴江 武彦 |
代理人 | 松井 茂 |
代理人 | 青木 康 |
代理人 | 水野 浩司 |
代理人 | 西山 恵三 |