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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C04B
管理番号 1024156
異議申立番号 異議1999-73598  
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1996-01-09 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-09-22 
確定日 2000-06-12 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2874831号「流し込み施工用耐火物」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2874831号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第2874831号は、平成6年6月20日に特許出願され、平成11年1月14日にその特許の設定登録がなされ、その後、品川白煉瓦株式会社、株式会社ヨータイより特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成12年3月29日に訂正請求がなされたものである。
2.訂正の適否についての判断
ア.訂正事項
(1)訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1ないし3の記載、
「【請求項1】マグネシア2〜20wt%、アルミナセメント1〜15wt%、残部がアルミナを主材とした配合物100wt%に、外掛けで非晶質シリカ超徴粉を0.05〜3wt%および粒径10〜50mmのアルミナ質超粗大粒子を10〜40wt%含有させた流し込み施工用耐火物。
【請求項2】アルミナ質超粗大粒子の一部または全部が、Al2O3:80wt%以上のMgO・Al2O3系スピネルであることを特徴とする請求項1記載の流し込み施工用耐火物。
【請求項3】マグネシア2〜20wt%のうち、粒径45μm以下のマグネシアが1〜13wt%であることを特徴とする請求項1または2記載の流し込み施工用耐火物。」を、
「【請求項1】マグネシア2〜20wt%、アルミナセメント1〜15wt%、残部がアルミナを主材とした配合物100wt%に、外掛けで非晶質シリカ超微粉を0.05〜3wt%および粒径10〜50mmのアルミナ質超粗大粒子を10〜40wt%含有させ、且つ前記マグネシア2〜20wt%のうち、粒径45μm以下のマグネシアが前記配合物100wt%に占める割合で1〜13wt%であることを特徴とした流し込み施工用耐火物。
【請求項2】アルミナ質超粗大粒子の一部または全部が、Al2O3:80wt%以上のMgO・Al2O3系スピネルであることを特徴とする請求項1記載の流し込み施工用耐火物。」と訂正する。
(2)訂正事項b
特許明細書中【0006】の欄を、「本発明は、マグネシア2〜20wt%、アルミナセメント1〜15wt%、残部がアルミナを主材とした配合物100wt%に、外掛けで非晶質シリカ超微粉を0.05〜3wt%および粒径10〜50mmのアルミナ質超粗大粒子を10〜40wt%含有させ、且つ前記マグネシア2〜20wt%のうち、粒径45μm以下のマグネシアが前記配合物100wt%に占める割合で1〜13wt%であることを特徴とした流し込み施工用耐火物である。また、前記流し込み施工用耐火物において、アルミナ質超粗大粒子の一部または全部が、Al2O3:80wt%以上のMgO・Al2O3系スピネルであることを特徴とする流し込み施工用耐火物である。」と訂正する。
(3)訂正事項c
特許明細書中【0009】の欄、
「また、ここで使用するマグネシアを微粉で使用することで、この耐スポーリング性および耐食性を、さらに向上させることができる。」を、「また、ここで使用するマグネシアは粒径45μm以下で使用することで、本発明の耐スポーリング性および耐食性の効果を得ることができる。」と訂正する。
(4)訂正事項d
特許明細書中の【表3】の欄において、訂正前の本発明実施例1,8を削除する。それに伴い、訂正前の本発明実施例2ないし7,9をそれぞれ、本発明実施例1ないし7と訂正する。
(5)訂正事項e
特許明細書中の【表4】の欄において、訂正前の本発明実施例11ないし15をそれぞれ、本発明実施例8ないし12と訂正する。
(6)訂正事項f
特許明細書中【0020】の欄、
「マグネシアの割合2〜20wt%のうち、1〜13wt%を粒径45μm以下にすると、アルミナ超粗大粒子の周囲でのスピネル生成がさらに促進されるためか、耐スポーリング性はより一層向上する。しかし、スピネル生成量が過多になると耐スポーリング性は逆に低下するので、粒径45μm以下のマグネシア微粉の割合は13wt%を超えないことが好ましい。」を、
「マグネシアの割合2〜20wt%のうち、配合物100wt%に占める割合で1〜13wt%を粒径45μm以下にすることで、アルミナ超粗大粒子の周囲でのスピネル生成が促進されるためか、耐スポーリング性が向上する。しかし、スピネル生成量が過多になると耐スポーリング性は逆に低下するので、粒径45μm以下のマグネシア微粉の割合は13wt%以下とする。」と訂正する。
(7)訂正事項g
特許明細書の【0044】の欄、
「本発明実施例は、耐スポーリング性、耐消化性、耐食性および耐スラグ浸透性いずれの試験においても良好な結果が得られた。中でもマグネシアを微粉で使用した実施例2〜14は、耐スポーリング性、耐食性および耐スラグ浸透性において特に優れている。」の記載中、
「中でもマグネシアを微粉で使用した実施例2〜14は、耐スポーリング性、耐食性および耐スラグ浸透性において特に優れている。」を削除する。
(8)訂正事項h
特許明細書中【0046】の欄、
「このように本発明は、アルミナ-マグネシア質の流し込み材において、マグネシアとアルミナ超粗大粒子とを特定の粒径および割合で組合せたことにより、アルミナ-マグネシア質が本来有している耐スラグ侵食性、スラグ浸透を防止に加え、耐スポーリング性の向上によって、近年の炉操業条件のの過酷化においても十分対応できる流し込み材を提供することが可能となり、その工業的価値はきわめて高い。」を、
「このように本発明は、アルミナ-マグネシア質の流し込み材において、マグネシアとアルミナ超粗大粒子とを特定の粒径および割合で組合せ、さらに粒径45μm以下のマグネシア微粉の割合を1〜13wt%以下としたことで、アルミナ-マグネシア質が本来有している耐スラグ侵食性、スラグ浸透を防止に加え、耐スポーリング性の向上によって、近年の炉操業条件のの過酷化においても十分対応できる流し込み材を提供することが可能となり、その工業的価値はきわめて高い。」と訂正する。
イ.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
訂正事項aは、訂正前の請求項3の構成を請求項1に組み込み、同請求項3を削除するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。訂正事項b〜hは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正である。そして、上記訂正a〜hは、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
ウ.訂正明細書の請求項1、2に係る発明
訂正明細書の請求項1、2に係る発明(以下、「本件発明1、2」という)は、その特許請求の範囲の請求項1、2に記載された次に記載のとおりのものである。
「【請求項1】マグネシア2〜20wt%、アルミナセメント1〜15wt%、残部がアルミナを主材とした配合物100wt%に、外掛けで非晶質シリカ超微粉を0.05〜3wt%および粒径10〜50mmのアルミナ質超粗大粒子を10〜40wt%含有させ、且つ前記マグネシア2〜20wt%のうち、粒径45μm以下のマグネシアが前記配合物100wt%に占める割合で1〜13wt%であることを特徴とした流し込み施工用耐火物。
【請求項2】アルミナ質超粗大粒子の一部または全部が、Al2O3:80wt%以上のMgO・Al2O3系スピネルであることを特徴とする請求項1記載の流し込み施工用耐火物。」
エ.独立特許要件の判断
(引用刊行物1〜5)
本件発明1、2に対して、当審が通知した取消理由で引用した刊行物1(特開平3-183664号公報)、刊行物2(耐火物1993年11月号、耐火物技術協会発行、663頁)、刊行物3(特開昭63-17265号公報)、刊行物4(特開平5-185202号公報)、および刊行物5(耐火物1990年8月号、耐火物技術協会発行、427〜434頁)にはそれぞれ、次の発明が記載されている。
刊行物1;
キャスタブル耐火物に関するもので、
(1)特許請求の範囲には、「粒径10〜60mmの角のない滑らかな形状の粗大粒を、耐火材原料に対し、外掛けで20〜40重量%配合したことを特徴とするキャスタブル耐火物。」と記載される。
(2)2頁左下欄5〜9行には、「また粗大粒の材質は本発明においては特に限定はせず、例えばAl2O3、MgO、SiO2等の公知の材料が使用可能であるが、融点、熱膨張係数、溶融金属との反応性等を考えるとAl2O3が望ましい。」と記載される。
(3)3頁の第1表には、耐火材料の配合として、焼結アルミナ90重量%、焼結マグネシア(粒径0.35〜0.074mm)5重量%、アルミナセメント5重量%からなる例が示されている。そして、「実施例品は上記配合に外掛け30重量%の粗大粒を加える。」と記載される。
刊行物2;
「高炉樋用Al2O3-MgO質流し込み材の加熱処理後の組織変化」に関するもので、「MgOのスレーキングを防止する目的さらに、流動性向上を目的にシリカ微粉を使用している。」と記載される。
刊行物3;
特許請求の範囲には、「Al2O3質原料:78〜95重量%、MgO質原料:5〜20重量%、SiO2超微粉:2重量%以下よりなる耐火性混合物を、マトリックス部のMgOとAl2O3の比(MgO/Al2O3)が0.2〜2.0となるように調整し、該混合物100重量部に対し珪弗化ソーダ0.01〜0.1重量部を添加したことを特徴とする高炉鋳床脱硅樋用耐火物。」と記載される。
刊行物4;
(1)特許請求の範囲の請求項3には、「非晶質シリカ微粒子が0.3〜3重量%、高アルミナセメントが0.5〜4重量%、スピネル若しくはマグネシアがMgO組成に換算して2〜15重量%、残部がアルミナからなる鍋用不定形耐火物。」が記載される。
(2)4頁6欄21〜27行には、実施例8として、「粒径0.074mm以下のスピネル20重量%、粒径3〜0.074mmのマグネシア4.0重量%、粒径0.074mm以下のマグネシア3.0重量%、非晶質シリカ微粒子1.5重量%、高アルミナセメント2.0重量%、残部がアルミナからなる材料に水5.6重量%を加えて不定形耐火物構造体を得、実施例1と同様な各種テストを行った。その結果を表2に示す。」と記載される。
刊行物5;
「取鍋用アルミナ・スピネル質流し込み材の開発」に関するもので、430頁の「3.2.3粗大粒の添加」の項には、「・・・耐スポーリング性に優れるセメント結合のアルミナ・スピネル質流し込み材への粗大粒の添加について検討をおこなった。表4に使用した粗大粒の粒形状および化学成分を示す。また、添加量は外掛けで30%とした。・・・」と記載され、431頁記載の表4には、スピネルペレット粗大粒の化学組成として、Al2O3 70.2%、MgO 28.6%、SiO2 0.2%の例が記載される。
(対比・判断)
先ず、本件発明1と刊行物1〜5に記載の発明とを比較検討する。
本件発明1は、アルミナ-マグネシア質の流し込み材において、マグネシアとアルミナ超粗大粒子とを特定の粒径および割合で組合わせ、さらに粒径45μm以下のマグネシア微粉の割合を1〜13wt%以下とし、また、非晶質シリカ超微粉を含有させることで、アルミナ-マグネシア質が本来有している耐スラグ侵食性、スラグ浸透防止に加え、耐スポーリング性の向上を可能とするものである。
刊行物1に記載のものは、本件発明1と同様「マグネシア、アルミナセメント、残部がアルミナを主材とした配合物に、粒径10〜60mmのアルミナ質粗大粒子を含有させた流し込み施工用耐火物」に関するものであるが、(1)本件発明1は、「マグネシア2〜20wt%のうち、粒径45μm以下のマグネシアが前記配合物100wt%に占める割合で1〜13wt%である」のに対して、刊行物1記載のマグネシアの粒径は、具体的には0.35〜0.074mm、即ち350〜74μmであるもののみしか記載されていない点、(2)本件発明1は非晶質シリカ超微粉を含有させるのに対して、刊行物1はそのようなものではない点で、相違する。即ち、刊行物1のものは、本件発明1のように、「マグネシア2〜20wt%のうち、粒径45μm以下のマグネシアが前記配合物100wt%に占める割合で1〜13wt%であるマグネシア」と「アルミナ質超粗大粒子」とを組み合わせるものではなく、さらに非晶質シリカ超微粉を含有させるものでもない。
刊行物2〜5にも、本件発明1の「マグネシア2〜20wt%のうち、粒径45μm以下のマグネシアが前記配合物100wt%に占める割合で1〜13wt%であるマグネシア」と「アルミナ質超粗大粒子」とを組み合わせる記載は何等ない。
よって、本件発明1は、刊行物1〜5に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得た発明であるとはいえない。
本件発明2は、本件発明1をさらに限定した発明であるから、本件発明1についての判断と同様の理由により、刊行物1〜5に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得た発明であるとはいえない。
したがって、本件発明1、2は特許出願の際独立して特許を受けることができないものとはいえない。
オ.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、平成6年改正法附則第6条第1項の規定によりなお従前の例とされる、平成11年改正前の特許法第120条の4第第3項において準用する平成6年改正法による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項ないし第4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
3.特許異議の申立てについての判断
ア.申立ての理由の概要
申立人・品川白煉瓦株式会社は、証拠として甲第1号証(上記刊行物1)、甲第2号証(上記刊行物3)、甲第3号証(特公平5-87470号公報、以下「刊行物6」という)及び甲第4号証(上記刊行物4)を提出して、甲第1〜甲第4号証を基に本件請求項1〜3に係る発明の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたと主張している。
また、申立人・株式会社ヨータイは、証拠として甲第1号証(上記刊行物1)、甲第2号証(上記刊行物2)、甲第3号証(特開平1-197371号公報、以下「刊行物7」という)及び甲第4号証(上記刊行物5)を提出して、甲第1〜甲第4号証を基に本件請求項1〜3に係る発明の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたと主張している。
イ.本件発明1、2
本件発明1、2は、前記2項ウ.に記載のとおりのものである。
ウ.刊行物1〜7に記載の発明
刊行物1〜7には、次の発明が記載される。
刊行物1〜5;
前記2項エ.に記載のとおりのものである。
刊行物6;
特許請求の範囲の請求項3には、「MgOの含有量が3〜15重量%のアルミナ・スピネル質クリンカー5〜92重量%、アルミナ原料87重量%以下及びアルミナセメント8〜20重量%よりなる混合物100重量部に粒径10〜50mmのアルミナ質破砕粒を10〜40重量部添加してなることを特徴とするアルミナ・スピネル質流し込み材。」が記載され、2頁4欄20〜23行には、「また、本発明に使用するスピネルクリンカーは理論組成(MgOとAl2O3のモル比が1)のスピネルクリンカーに比べ、熱膨張係数が小さいため、熱的スポーリングが良好となる。」と記載される。
刊行物7;
溶融金属容器ライニング用不定形耐火物に関するもので、2頁右上欄10行〜12行には、「・・・該マグネシアが前記アルミナと反応して二次スピネルを形成し、このときの適当な膨張によって亀裂抵抗性が与えられる・・・」と記載され、2頁右下欄16行〜19行には、「二次スピネルの生成量及び生成速度はマグネシアの粒度や添加量によって制御するのが一般的であり、小粒径及び/或は大添加量であれば二次スピネルの生成が促進される。」と記載される。
エ.対比・判断
先ず、本件発明1が刊行物1〜7に記載の発明に基づいて当業者が容易になし得たものであるか否か比較検討する。
前記2項エ.にて述べたように、本件発明1は刊行物1〜5に記載の発明に基づいて当業者が容易になし得たものであるとはいえない。
刊行物6には、MgOの含有量が3〜15重量%のアルミナ・スピネル質クリンカー5〜92重量%、アルミナ原料87重量%以下及びアルミナセメント8〜20重量%よりなる混合物100重量部に粒径10〜50mmのアルミナ質破砕粒を10〜40重量部添加してなるアルミナ・スピネル質流し込み材についての記載はあるが、本件発明1の「マグネシア2〜20wt%のうち、粒径45μm以下のマグネシアが前記配合物100wt%に占める割合で1〜13wt%であるマグネシア」と「アルミナ質超粗大粒子」とを組み合わせる記載は何等ない。さらに非晶質シリカ超微粉を含有させるものでもない。
刊行物7にも、本件発明1の上記構成を示唆する記載は何等ない。
したがって、本件発明1は、刊行物1〜7に記載の発明に基づいて当業者が容易になし得たものであるとはいえない。
次に、本件発明2は、本件発明1をさらに限定した発明であるから、本件発明1についての判断と同様の理由により、刊行物1〜7に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得た発明であるとはいえない。
オ.むすび
以上のとおり、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件発明1、2の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1、2の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
流し込み施工用耐火物
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 マグネシア2〜20wt%、アルミナセメント1〜15wt%、残部がアルミナを主材とした配合物100wt%に、外掛けで非晶質シリカ超微粉を0.05〜3wt%および粒径10〜50mmのアルミナ質超粗大粒子を10〜40wt%含有させ、且つ前記マグネシア2〜20wt%のうち、粒径45μm以下のマグネシアが前記配合物100wt%に占める割合で1〜13wt%であることを特徴とした流し込み施工用耐火物。
【請求項2】 アルミナ質超粗大粒子の一部または全部が、Al2O3:80wt%以上のMgO・Al2O3系スピネルであることを特徴とする請求項1記載の流し込み施工用耐火物。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、鉄鋼産業における溶鋼容器の内張りとして、耐スポーリング性および耐食性に優れた流し込み施工用耐火物に関する。
【0002】
【従来の技術】
溶鋼取鍋、真空脱ガス炉、タンディシュなどの内張に使用する流し込み施工耐火物(以下、流し込み材)として、例えば特開昭64-87577号公報のアルミナ-スピネル質、特開平5-97526号公報のアルミナ-マグネシア質、特開平3-23275号公報のアルミナ-スピネル-マグネシア質などの材質が提案されている。
【0003】
これらの材質は、マグネシアまたはスピネルによる耐食性とアルミナがもつ容積安定性との相乗効果によって、優れた耐用性を示す。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年、溶鋼容器の使用条件は、溶鋼温度の上昇、滞湯時間の延長、ガス吹き込み撹拌など、きわめて苛酷なものとなっている。その結果、上記の従来材質では十分な耐用性が得られず、さらに高品質の材質が強く求められている。
【0005】
本発明は、流し込み材において、従来よりさらに耐スポーリング性および耐食性を向上させた材質を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、マグネシア2〜20wt%、アルミナセメント1〜15wt%、残部がアルミナを主材とした配合物100wt%に、外掛けで非晶質シリカ超微粉を0.05〜3wt%および粒径10〜50mmのアルミナ質超粗大粒子を10〜40wt%含有させ、且つ前記マグネシア2〜20wt%のうち、粒径45μm以下のマグネシアが前記配合物100wt%に占める割合で1〜13wt%であることを特徴とした流し込み施工用耐火物である。また、前記流し込み施工用耐火物において、アルミナ質超粗大粒子の一部または全部が、Al2O3:80wt%以上のMgO・Al2O3系スピネルであることを特徴とする流し込み施工用耐火物である。
【0007】
本発明の配合組成において、マグネシアは耐スラグ侵食性の効果をもつ。また、使用中の高温下でアルミナと反応し、MgO・Al2O3系のスピネルを生成する。このスピネルはスラグ中のFeO,MnOなどの成分を固溶し、耐火物組織内へのスラグ浸透を防止する作用をもつ。
【0008】
流し込み材において、アルミナ超粗大粒子を添加することは公知である。しかし、本発明ではアルミナ-マグネシア質の流し込み材において、アルミナ質またはスピネル質の超粗大粒子とマグネシアとを特定の割合で組合せることによって耐スポーリング性および耐食性を格段に向上させることができたものである。
【0009】
また、ここで使用するマグネシアは粒径45μm以下で使用することで、本発明の耐スポーリング性および耐食性の効果を得ることができる。
【0010】
表1は、試験例で使用した流し込み材の配合物である。
【0011】
表1に示す各配合物の流し込み材において、超粗大粒子の添加量を変化させ、流し込み材の耐スポーリング性について試験した。その結果を図1のグラフに示す。なお、この場合の耐スポーリング性の試験は、後述した実施例の欄に示した方法で行った。
【0012】
【表1】

【0013】
同グラフから、アルミナーマグネシア質にアルミナ超粗大粒子あるいはスピネル理論組成よりもAl2O3の比が高いアルミナリッチのスピネル超粗大粒子を添加した試験例1〜4の材質は、超粗大粒子の添加量の増大に伴って、耐スポーリング性が向上していることが確認される。また、アルミナ超粗大粒子、あるいはスピネル理論組成よりもAl2O3の比が高いアルミナリッチのスピネル超粗大粒子を添加したものの中でも、粒径の小さいマグネシアを使用した試験例1,2および4は、耐スポーリング性がさらに向上している。
【0014】
これに対し、超粗大粒子を添加しない場合、あるいは超粗大粒子にMgO・Al2O3の比が理論組成のスピネルを使用した試験例5では、耐スポーリング性の向上はほとんど見られない。
【0015】
また、スピネル理論組成よりもMgOの比が特に高いマグネシアリッチのスピネル超粗大粒子を添加した試験例6は耐スポーリング性が低下すると共に超粗大粒子中のMgO成分が水和を起こすために耐火物組織の強度劣化を生じる。
【0016】
アルミナ超粗大粒子あるいはアルミナリッチのスピネル超粗大粒子とマグネシアとの組合せによる以上の効果は、次の理由によるものと考えられる。すなわち、流し込み材の組織中においてアルミナ超粗大粒子の周囲に存在するマグネシアが、流し込み材の使用による高温下でアルミナ超粗大粒子と反応してスピネルを生成し、このスピネル生成に伴う体積膨張でアルミナ超粗大粒子の粒子周囲に微細キレツを内在したマイクロクラック層が形成される。そしてマイクロクラック層が緩衝体となって亀裂の進展を防止する。
【0017】
この効果がアルミナリッチのスピネル超粗大粒子の使用によっても得られるのは、アルミナリッチであることでスピネルを構成する以外のフリーのAl2O3が存在するためである。本発明では、スピネル超粗大粒子中のフリーのAl2O3がマグネシアと反応してスピネルを生成し、後は前記と同様の作用で耐スポーリング性を向上する。
【0018】
アルミナ超粗大粒子は、従来材質の流し込み材においても亀裂の進展を絶つ作用を持つことが知られている。しかし、従来材質では使用時の高温加熱を受けて超粗大粒子とその周囲の組織とが強固に一体化することから、亀裂の進展防止の効果が不十分となる。これに対し本発明では、超粗大粒子の粒子周囲の微細キレツ層の存在によって、超粗大粒子がもつ亀裂の進展防止がより効果的なものとなる。
【0019】
本発明で使用するマグネシアは、焼結品、電融品のいずれでもよい。マグネシアはそれ自身が耐スラグ侵食性に優れている。しかも、アルミナとの反応でMgO・Al2O3系のスピネルを生成し、このスピネルがスラグ中のFeO,MnOなどの成分を固溶することで耐火物組織内へのスラグ浸透を防止する効果をもつ。本発明においてマグネシアの配合割合は、2wt%未満ではアルミナ質超粗大粒子の粒子周囲のスピネル生成が不十分なためか、耐スポーリング性に劣る。20wt%を超えるとスピネルの生成量が過多となって、スピネル生成に伴う体積膨張で耐スポーリング性に劣る。
【0020】
マグネシアの割合2〜20wt%のうち、配合物100wt%に占める割合で1〜13wt%を粒径45μm以下にすることで、アルミナ超粗大粒子の周囲でのスピネル生成が促進されるためか、耐スポーリング性が向上する。しかし、スピネル生成量が過多になると耐スポーリング性は逆に低下するので、粒径45μm以下のマグネシア微粉の割合は13wt%以下とする。
【0021】
アルミナは耐食性と容積安定性とを兼ね備えた材質であり、本発明において主骨材としての役割をもつ。焼結品、電融品のいずれでも使用でき、Al2O3純度は90wt%以上が好ましい。TiO2を1〜8wt%程度含有したものでも使用できる。ばん土けつ岩、シリマナイト、ムライトなどの低純度品を使用してもよいが、微粉部には高純度品を使用するのが好ましい。
【0022】
アルミナの粒径は、後述するアルミナ質超粗大粒子と区分けするために、10mm未満とするが、好ましくは5mm以下である。粗粒、中粒、微粒に調節する。微粉には仮焼品を使用してもよい。
【0023】
非晶質シリカ超微粉としては、例えばシリコンまたは珪素合金の製造の際の副産物として得られる、シルカフラワーあるいはマイクロシリカなどの商品名で市販されている揮発シリカが使用できる。比表面積が15〜30m2/g程度の超微粒子である。
【0024】
マグネシアの使用は、その水和反応による容積膨張で乾燥亀裂を発生させる問題がある。マグネシアは、微粉では水和がより顕著となる。非晶質シリカ超微粉は、このマグネシアの水和を防止する効果をもつ。
【0025】
非晶質シリカ超微粉の割合は、0.05wt%未満では水和防止の効果がなく、3wt%を超えると低融点物質を生成して耐食性を低下させる。
【0026】
アルミナセメントは結合剤としての役割をもつ。その割合および具体的種類などは従来材質と特に変わりない。1wt%未満では施工体強度に劣り、15wt%を超えると耐食性が低下する。
【0027】
アルミナ質超粗大粒子は、マグネシア超微粉との組合せ使用により、耐スポーリング性の効果を持つ。粒径が10mm未満あるいはその割合が10wt%未満では、耐スポーリング性の効果が劣る。粒径が50mm超えるかあるいはその割合が40wt%を超えると、粒度構成のバランスの悪さから施工体の強度が低下し、耐食性の低下を招く。
【0028】
アルミナ質超粗大粒子の具体的な材質は、電融品、焼結品のいずれでもよい。アルミナを主成分とするレンガ屑でもよい。また、Al2O3:80wt%以上のMgO・Al2O3系スピネルでもよい。MgO・Al2O3系スピネルは、耐食性においてアルミナよりも優れている特徴があるので、耐食性を重視した条件での使用ではアルミナ質超粗大粒子の一部または全部にMgO・Al2O3系スピネル超粗大粒子を使用した方が好ましい。なお、本願発明の効果を得るには、スピネル超粗大粒子中のAl2O3成分が80wt%以上とスピネル理論組成より多いものであることが必要である。
【0029】
施工時の作業性、可使時間などを調整するために、通常は解こう剤、硬化調整剤などをそれぞれ0.01〜0.5wt%程度添加する。解こう剤の具体例としては、例えばトリポリリン酸ソーダ、ヘキサメタリン酸ソーダ、ウルトラポリリン酸ソーダ、酸性ヘキサメタリン酸ソーダ、ホウ酸ソーダ、炭酸ソーダなどの無機塩、クエン酸ソーダ、酒石酸ソーダ、ポリアクリル酸ソーダ、スルホン酸ソーダなどがある。硬化調整剤としては、例えばホウ酸、ホウ酸アンモニウム、ウルトラポリリン酸ソーダ、炭酸リチウムなどである。
【0030】
また、必要によっては本発明の効果を阻害しない範囲において、アルミニウム粉、アルミニウム合金粉、ガラス粉、炭素粉、ピッチ粉、ジルコン、ジルコニア、金属ファイバー、有機ファイバー、セラミックファイバー、発泡剤などを添加してもよい。
【0031】
施工は常法どおり、以上の配合組成に外掛けで4〜8重量%程度の施工水を添加・混合し、型枠を用いて流し込み施工される。施工の際には充填性を向上させるため、一般には型枠にバイブレーターを取付けるか、あるいは耐火物中に棒状バイブレーターを挿入する。
【0032】
溶鋼容器に直接施工するだけでなく、予め任意の形状に施工したブロックを内張り材として使用してもよい。例えば、溶鋼取鍋の湯当たり部の内張りには、予めブロックに施工したものを使用するのが好ましい。
【0033】
【実施例】
以下に、本発明実施例とその比較例を示す。
【0034】
表2は、各例で使用した原料の品質である。表3、表4は、各例の配合組成と施工体の試験結果を示す。
【0035】
【表2】

【0036】
【表3】

【0037】
【表4】

【0038】
各例は、外掛けで施工水5wt%、分散剤(ヘキサメタリン酸ソーダ)0.1wt%および硬化調整剤(ホウ酸アンモニウム)0.1wt%を添加し、混練後、型枠に振動を付与した状態で流し込み施工し、養生後、110℃×24時間で乾燥した。試験方法は、以下のとおりである。
【0039】
耐スポーリング性:1400℃の片面加熱で行った。30分加熱-5分間水冷をくり返し、剥落に到るまでの回数を測定した。
【0040】
曲げ強さ;110℃乾燥後、1500℃加熱後のそれぞれについて測定した。耐食性;重量比で鋼片:転炉スラグ(FeO含有量;20wt%)=70:30を侵食剤とし、1650℃×5時間の回転侵食試験を行い、溶損寸法を測定した。
【0041】
耐スラグ浸透性;前記の条件で回転侵食試験を行った後、スラグ浸透寸法を測定した。
【0042】
耐消化性;オートクレーブ試験装置にて130℃×6時間後の亀裂の状況を観察した。
【0043】
実機試験;300トン溶鋼取鍋の側壁内張りとして使用し、100チャージ使用後、その損耗寸法を求めた。
【0044】
本発明実施例は、耐スポーリング性、耐消化性、耐食性および耐スラグ浸透性いずれの試験においても良好な結果が得られた。
【0045】
これに対し、マグネシアの総量が多い比較例1は、耐スポーリング性に劣る。超粗大粒子の粒径が大き過ぎる比較例2と超粗大粒子添加量の多い比較例5は、施工体の強度が低下し、耐食性に劣る。マグネシア超粗大粒子を使用した比較例3は、超粗大粒子自身の熱膨張性が大きいために、耐スポーリング性に劣る。超粗大粒子添加量の少ない比較例4は、超粗大粒子の周囲のスピネル生成が不十分なためか、耐スポーリング性、耐食性および耐スラグ浸透性に劣る。非晶質シリカ超微粉が多過ぎる比較例6は、シリカ質低融物の生成による耐食性の低下と、過焼結による耐スポーリング性の低下を招いている。また、非晶質シリカ超微粉を使用しない比較例7は、マグネシア微粉が施工水による水和によって耐消化性に劣り、耐食性が劣る。MgO・Al2O3がほぼスピネル理論値のスピネル超粗大粒子を使用した比較例8は、超粗大粒子とマグネシア微粉とのスピネル生成反応が生じないためか、耐スポーリング性の効果が得られない。スピネル理論組成よりもMgOの比が高いマグネシアリッチのスピネル超粗大粒子を添加した比較例9は、超粗大粒子中のマグネシアが水和を起こすため耐火物組織の劣化による強度の低下を起こし、耐スポーリング性、耐食性および耐スラグ浸透性に劣る。以上の実施例では取鍋側壁部において実機試験したが、本発明の流し込み施工用不定形耐火物はこれに限らず、取鍋の敷部、湯当りなどにも優れた効果を発揮する。また、溶鋼と接するタンデッシュ、転炉、電気炉、真空脱ガス炉などの内張り、あるいは真空脱ガス炉用浸漬管、取鍋精錬用フリーボード、ガス吹き込み用ランスなどの耐熱被覆に使用することができる。
【0046】
【発明の効果】
このように本発明は、アルミナ-マグネシア質の流し込み材において、マグネシアとアルミナ超粗大粒子とを特定の粒径および割合で組合せ、さらに粒径45μm以下のマグネシア微粉の割合を1〜13wt%以下としたことで、アルミナ-マグネシア質が本来有している耐スラグ侵食性、スラグ浸透を防止に加え、耐スポーリング性の向上によって、近年の炉操業条件のの過酷化においても十分対応できる流し込み材を提供することが可能となり、その工業的価値はきわめて高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 超粗大粒子の添加割合と耐スポーリング性の関係を表すグラフ
 
訂正の要旨 (1)訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1ないし3の記載、
「【請求項1】マグネシア2〜20wt%、アルミナセメント1〜15wt%、残部がアルミナを主材とした配合物100wt%に、外掛けで非晶質シリカ超徴粉を0.05〜3wt%および粒径10〜50mmのアルミナ質超粗大粒子を10〜40wt%含有させた流し込み施工用耐火物。
【請求項2】アルミナ質超粗大粒子の一部または全部が、Al2O3:80wt%以上のMgO・Al2O3系スピネルであることを特徴とする請求項1記載の流し込み施工用耐火物。
【請求項3】マグネシア2〜20wt%のうち、粒径45μm以下のマグネシアが1〜13wt%であることを特徴とする請求項1または2記載の流し込み施工用耐火物。」を、
特許請求の範囲の減縮を目的として、
「【請求項1】マグネシア2〜20wt%、アルミナセメント1〜15wt%、残部がアルミナを主材とした配合物100wt%に、外掛けで非晶質シリカ超微粉を0.05〜3wt%および粒径10〜50mmのアルミナ質超粗大粒子を10〜40wt%含有させ、且つ前記マグネシア2〜20wt%のうち、粒径45μm以下のマグネシアが前記配合物100wt%に占める割合で1〜13wt%であることを特徴とした流し込み施工用耐火物。
【請求項2】アルミナ質超粗大粒子の一部または全部が、Al2O3:80wt%以上のMgO・Al2O3系スピネルであることを特徴とする請求項1記載の流し込み施工用耐火物。」と訂正する。
(2)訂正事項b
特許明細書中【0006】の欄を、「本発明は、マグネシア2〜20wt%、アルミナセメント1〜15wt%、残部がアルミナを主材とした配合物100wt%に、外掛けで非晶質シリカ超微粉を0.05〜3wt%および粒径10〜50mmのアルミナ質超粗大粒子を10〜40wt%含有させ、且つ前記マグネシア2〜20wt%のうち、粒径45μm以下のマグネシアが前記配合物100wt%に占める割合で1〜13wt%であることを特徴とした流し込み施工用耐火物である。また、前記流し込み施工用耐火物において、アルミナ質超粗大粒子の一部または全部が、Al2O3:80wt%以上のMgO・Al2O3系スピネルであることを特徴とする流し込み施工用耐火物である。」と訂正する。
(3)訂正事項c
特許明細書中【0009】の欄、
「また、ここで使用するマグネシアを微粉で使用することで、この耐スポーリング性および耐食性を、さらに向上させることができる。」を、「また、ここで使用するマグネシアは粒径45μm以下で使用することで、本発明の耐スポーリング性および耐食性の効果を得ることができる。」と訂正する。
(4)訂正事項d
特許明細書中の【表3】の欄において、訂正前の本発明実施例1,8を削除する。それに伴い、訂正前の本発明実施例2ないし7,9をそれぞれ、本発明実施例1ないし7と訂正する。
(5)訂正事項e
特許明細書中の【表4】の欄において、訂正前の本発明実施例11ないし15をそれぞれ、本発明実施例8ないし12と訂正する。
(6)訂正事項f
特許明細書中【0020】の欄、
「マグネシアの割合2〜20wt%のうち、1〜13wt%を粒径45μm以下にすると、アルミナ超粗大粒子の周囲でのスピネル生成がさらに促進されるためか、耐スポーリング性はより一層向上する。しかし、スピネル生成量が過多になると耐スポーリング性は逆に低下するので、粒径45μm以下のマグネシア微粉の割合は13wt%を超えないことが好ましい。」を、
「マグネシアの割合2〜20wt%のうち、配合物100wt%に占める割合で1〜13wt%を粒径45μm以下にすることで、アルミナ超粗大粒子の周囲でのスピネル生成が促進されるためか、耐スポーリング性が向上する。しかし、スピネル生成量が過多になると耐スポーリング性は逆に低下するので、粒径45μm以下のマグネシア微粉の割合は13wt%以下とする。」と訂正する。
(7)訂正事項g
特許明細書の【0044】の欄、
「本発明実施例は、耐スポーリング性、耐消化性、耐食性および耐スラグ浸透性いずれの試験においても良好な結果が得られた。中でもマグネシアを微粉で使用した実施例2〜14は、耐スポーリング性、耐食性および耐スラグ浸透性において特に優れている。」の記載中、
「中でもマグネシアを微粉で使用した実施例2〜14は、耐スポーリング性、耐食性および耐スラグ浸透性において特に優れている。」を削除する。
(8)訂正事項h
特許明細書中【0046】の欄、
「このように本発明は、アルミナ-マグネシア質の流し込み材において、マグネシアとアルミナ超粗大粒子とを特定の粒径および割合で組合せたことにより、アルミナーマグネシア質が本来有している耐スラグ侵食性、スラグ浸透を防止に加え、耐スポーリング性の向上によって、近年の炉操業条件のの過酷化においても十分対応できる流し込み材を提供することが可能となり、その工業的価値はきわめて高い。」を、
「このように本発明は、アルミナ-マグネシア質の流し込み材において、マグネシアとアルミナ超粗大粒子とを特定の粒径および割合で組合せ、さらに粒径45μm以下のマグネシア微粉の割合を1〜13wt%以下としたことで、アルミナ-マグネシア質が本来有している耐スラグ侵食性、スラグ浸透を防止に加え、耐スポーリング性の向上によって、近年の炉操業条件のの過酷化においても十分対応できる流し込み材を提供することが可能となり、その工業的価値はきわめて高い。」と訂正する。
訂正事項b〜hは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正である。
異議決定日 2000-05-16 
出願番号 特願平6-137542
審決分類 P 1 651・ 121- YA (C04B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 山田 勇毅  
特許庁審判長 石井 勝徳
特許庁審判官 野田 直人
新居田 知生
登録日 1999-01-14 
登録番号 特許第2874831号(P2874831)
権利者 ハリマセラミック株式会社
発明の名称 流し込み施工用耐火物  
代理人 岸田 正行  
代理人 水野 勝文  
代理人 岸田 正行  
代理人 水野 勝文  

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