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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G11B |
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管理番号 | 1026191 |
審判番号 | 審判1998-14293 |
総通号数 | 16 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1998-04-10 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1998-09-16 |
確定日 | 2000-10-11 |
事件の表示 | 平成 9年特許願第214888号「ディスクカートリッジ」拒絶査定に対する審判事件[平成10年 4月10日出願公開、特開平10- 92147]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続きの経緯・本願発明 本願は、昭和62年11月9日に出願された特願昭62-280919号(以下、「原原原出願」という)の一部を平成6年12月27日に特願平6-325265号(以下、「原原出願」という)として新たな特許出願とし、さらにその一部を平成8年12月4日に特願平8-324205号(以下、「原出願」という)として新たな特許出願とし、さらにその一部を平成9年8月8日に特願平9-214888号として新たな特許出願としたものであって、その発明の要旨は、平成12年1月27日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものにあると認められ、その請求項1に係る発明は次のとおりである。 「1.情報が記録され、あるいは再生されるディスクと、 前記ディスクを収納し、開口部を有してなるケースと、 前記ケースに移動可能に装着され、前記ケースの1つの縁部にそって移動する受力部を有し、前記開口部を開閉するシャッタ部材と、 前記開口部を閉じる方向に前記シャッタ部材を付勢するねじりコイルバネとを備えてなり、 前記ケースには、前記1つの縁部に面して当接部が配置されており、前記当接部は、ディスク装置に対して誤挿入されたとき、このディスク装置に設けられたシャッタ開放手段と当接可能であって、前記シャッタ開放手段が前記当接部に当接することにより、前記ケースのそれ以上の挿入を阻止することを特徴とするディスクカートリッジ。」 2.分割要件の可否 (1)原原原出願等の記載事項 原原原出願、原原出願及び原出願に添付された明細書及び図面には、シャッタ部材はケースの挿入方向に対してその前縁部に設けられ、当接部は前記前縁部に設けられているものしか記載されていない。 (2)通知書とその後の経緯 当審において、平成11年11月12日付けの拒絶理由通知書で、拒絶の理由と共に、本願発明は分割出願として不適法であるから、出願日の遡及は認められないと通知した。 審判請求人は、平成12年1月27日付けの手続補正書で特許請求の範囲の記載を上記のように補正した。 (3)「ケースの1つの縁部」の定義について 「ケースの1つの縁部」としては、ケースの挿入方向に対してその前縁部が含まれることは当然であるが、ケースの挿入方向に対してその側縁部も含まれる。 そうすると、「1つの縁部に面して当接部が配置され」の記載は、当接部は挿入方向に対してその前縁部に設けられたもの以外にも、挿入方向に対してその側縁部に設けられたものも含有するものである。 (4)本願の出願日の認定 上述のとおり、本願特許請求の範囲に記載の「ケースの1つの縁部にそって移動する受力部を有し、前記開口部を開閉するシャッタ部材」及び「1つの縁部に面して当接部が配置され」は、ケースの挿入方向に対してその側縁部にそって移動する受力部を有し、開口部を開閉するシャッタ部材、及び、挿入方向に対してその側縁部に設けられた当接部をも含有するものであるが、原原原出願、原原出願及び原出願に添付された明細書及び図面には、シャッタ部材はケースの挿入方向に対してその前縁部に設けられ、当接部は前記前縁部に設けられているものしか記載されておらず、また、シャッタ部材をケースの挿入方向に対してその側縁部に設けること、及び、当接部を挿入方向に対してその側縁部に設けることは、原原原出願、原原出願及び原出願に添付された明細書及び図面の記載からみて自明の事項でもない。 したがって、本願は、分割要件を満たしておらず、出願日の遡及は認められない。よって、本願の出願日は、本願が実際に出願された平成9年8月8日と認める。 3.引用例 当審における拒絶の理由に引用された、特公平6-3675号公報(以下、「引用例1」という)(これは、原原原出願の特許公報である。)には、 「【請求項1】情報読取装置に挿入して、回転しながら情報を再生または記録、消去するディスクを内部に収納し、前記情報読取装置へ挿入したときは、該読取装置のレバーにより開き、取り出したときには閉じる、挿入方向に対してその前縁部が左右非対象なシャッタを有するディスクケースにおいて、該レバーが当接する位置の、挿入方向に対して左右反対側の該ディスクケース前縁部に凹状のストッパを設けることにより、該ストッパによりレバーを固定し、これにより誤挿入を防止することを特徴とするディスクケース。」(引用例1の特許請求の範囲の記載) 「第7図において、(a)は(b)を上方より見た図、(c)は(b)のee断面図である。図において、ねじりコイルばね10は、ディスクケース1とシャッタ3との間隔を広げるように、すなわちシャッタ3を閉じるように取り付けられている。」(引用例1の第3頁第5欄第21〜26行目)と記載されている。 4.対比 そこで、本願請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)と、引用例1に記載された発明とを対比すると、 両者は 「情報が記録され、あるいは再生されるディスクと、 前記ディスクを収納し、開口部を有してなるケースと、 前記ケースに移動可能に装着され、前記ケースの縁部にそって移動する受力部を有し、前記開口部を開閉するシャッタ部材と、 前記開口部を閉じる方向に前記シャッタ部材を付勢するねじりコイルバネとを備えてなり、 前記ケースには、前記縁部に面して当接部が配置されており、前記当接部は、ディスク装置に対して誤挿入されたとき、このディスク装置に設けられたシャッタ開放手段と当接可能であって、前記シャッタ開放手段が前記当接部に当接することにより、前記ケースのそれ以上の挿入を阻止することを特徴とするディスクカートリッジ。」である点において一致し、次の点で相違している。 (相違点) (1)相違点1 シャッタを設けるケースの縁部が、本願発明は、ケースの1つの縁部としているのに対して、引用例1の発明は、挿入方向に対してその前縁部である点。 (2)相違点2 当接部が配置された場所が、本願発明は、ケースの1つの縁部に面して配置されているのに対して、引用例1の発明は、ケースの前縁部に凹状のストッパとして設けられいる点。 5.当審の判断 上記相違点を検討すると、 (1)相違点1について、 ディスクケースのシャッタを、挿入方向に対してケースの前縁部に設けるものも、ケースの1つの縁部にシャッタを設ける点では格別相違せず、さらに、ケースの側縁部にシャッタを設けることは周知のことであるから、シャッタをケースの1つの縁部に設けることは、当業者が容易に考えらることである。 (2)相違点2について、 ケースの前縁部に凹状のストッパとして設けられた当接部を、ケースの1つの縁部に面して配置することは、当業者が容易に考えられることである。 そして、本願発明は、前記引用例1に記載された発明から予測できる作用効果以上の顕著な作用効果を奏するものとは認められない。 6.むすび 従って、本願請求項1に係る発明は、前記引用例1に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2000-06-16 |
結審通知日 | 2000-06-27 |
審決日 | 2000-08-18 |
出願番号 | 特願平9-214888 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(G11B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 相馬 多美子、麻野 耕一、片岡 栄一、中村 和男、川嵜 健 |
特許庁審判長 |
小川 謙 |
特許庁審判官 |
田辺 寿二 及川 泰嘉 |
発明の名称 | ディスクカートリッジ |
代理人 | 武 顕次郎 |