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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G06F
管理番号 1027577
異議申立番号 異議1999-72556  
総通号数 16 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1997-06-06 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-07-06 
確定日 2000-09-06 
異議申立件数
事件の表示 特許第2843008号「転記入力装置」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第2843008号の請求項1ないし3に係る特許を取り消す。 
理由 1.手続きの経緯
本件特許第2843008号の発明は、平成7年11月22日に特許出願され、平成10年10月23日にその特許の設定登録がされ、平成11年7月6日に金森英彦より、同じく平成11年7月6日に松本信雄より特許異議の申立てがされ、平成11年9月27日に取消理由が通知され、平成11年12月7日に訂正請求がされ、平成12年3月23日に訂正拒絶理由が通知され、指定期間内に応答がなかったものである。
2.訂正の適否(独立特許要件の存否)
a.訂正明細書の請求項1,2に係る発明
訂正後の請求項1,2に係る発明(以下、それぞれ「本件訂正第1発明」、「本件訂正第2発明」という)は、訂正明細書の特許請求の範囲に記載されたつぎのとおりのものと認める。
「【請求項1】所定の書式の用紙に記入されたデータを転記入力するための転記入力装置において、データを入力する入力手段と、前記入力手段によって入力されるデータが書き込まれる入力欄を有する入力画面と、この入力画面において前記入力手段によってデータが入力される位置を表示する位置表示とを表示する表示手段と、前記用紙に記入されたデータの画像を読み取る画像入力手段と、前記位置表示が前記入力欄中にある場合には、前記入力手段によって入力されたデータをこの入力欄に書き込むとともに、前記表示手段に対し、前記画像入力手段によって読み取られた画像のうち当該入力欄に書き込まれるべきデータに該当する部分を、前記入力画面の入力欄の直近上部または直近下部に表示させる制御手段とを備えたことを特徴とする転記入力装置。
【請求項2】前記制御手段は、前記位置表示が前記入力欄中にない場合には、前記画像入力手段によって読み取られた画像を表示しないことを特徴とする請求項1記載の転記入力装置。」
b.刊行物に記載された発明
訂正拒絶理由通知で引用した刊行物1(特開平7-249098号公報)には、帳票類に記述された内容をOCRで読み取り文字認識処理する情報処理装置に関する発明が記載され、
「帳票類の画像データを文字認識して得たコードデータを表示画面上に表示し、このとき修正を要するコードデータがあれば、キー操作によりカーソルを移動させて、そのカーソル位置のコードデータについて修正を行うことが可能な情報処理装置において、前記帳票類の画像データから文字認識用の複数の部分画像データを切り出す手段と、前記複数の部分画像データそれぞれについて文字認識し、前記各部分画像データから得た複数のコードデータを前記各部分画像データに対応させて格納するデータ格納手段と、前記データ格納手段により格納された前記複数のコードデータを読み出し前記帳票のフォーマットに合わせて前記表示画面中に表示すると共に、表示した複数のコードデータ中、任意に定義された初めのコードデータの位置に修正対象を指示するためのカーソルを表示する手段と、前記カーソルによって指示されている前記修正対象のコードデータに対応する前記部分画像データを前記データ格納手段より読み出し、前記表示画面上の所望の位置にホップアップ表示するホップアップ表示手段とを具備した」(【特許請求の範囲】)ことが記載され、
「図1において、1はオプチカル・キャラクター・リーダー(以下OCRと称す)であり、例えば伝票などの帳票の画像をイメージデータとして読み取る。2はフィールドコントロールファイル(以下FCファイルと称す)であり、OCR1より得た帳票全体のイメージデータのうち、帳票フォーマットなどに合わせてマスキングして要部のみ切り出すためのフィールドデータが格納されている。3はコードファイルでありう、文字、記号などのコードデータが格納されている。4はイメージファイルであり、OCR1より得た帳票全体のイメージデータや、マスキングによって切り出したイメージデータなどが書き込まれる。5はイメージポジションファイルであり、表示画面上にコードデータやイメージデータを表示するために帳票のフォーマットに合わせて表示位置を定義したイメージフィールドおよびコードフィールドのデータを格納するファイルである。6は表示部であり、文字認識結果やイメージデータを表示する。7は制御部であり、上記OCR1、各ファイル2〜5、表示部6などを制御してデータ入力処理、画面レイアウト処理、データ修正処理などを実行する。8は例えばキーボードなどのコード入力部であり、文字認識結果を修正するためのコードデータが入力される。またキーボード上の移動キーは表示画面上に表示されたカーソルを上下左右に移動する。上記イメージポジションファイル5内には、図2に示すように、予め表示画面21に対応して受付番号“1”〜“4”などが付されたコードフィールド22のデータが格納されている。」(【0019】欄)こと、
「郵便番号および住所の2つの欄を修正後、キーボード上のカーソル移動キーが下方向に操作されると、図7に示すように、制御部7は次のコード(入力)フィールド(受付番号“3”)である表示画面21上の氏名の欄の先頭文字“持”の位置にカーソル61を移動する(ステップ509)。そして、制御部7は表示画面21上にホップアップ表示していた画像を消去する(ステップ510)。そして、元のステップ502に戻り、移動した次のコードフィールド(受付番号“3”)の入力フィールド番号(2)を決定する。つまり、移動したコード(入力)フィールドの位置が、氏名の欄、つまり図2に示したコードフィールド22cなので、そのフィールドデータに付されている受付番号“3”から、管理テーブル40に照合して対応する入力フィールド番号(2)を得て、その入力フィールド番号(2)のイメージフィールド23bのデータをイメージポジションファイル5から取り出し、上記同様に実際の表示画面21上にイメージフィールド23bを設定し、そのフィールド内に、入力フィールド番号(2)を持つイメージデータを展開する。」(【0035】欄〜【0036】欄、なお、上記引用部分において(2)はマル数字2を表す。)こと、
従来のOCRによる文字認識処理において、「伝票80のイメージ切り出し部(点線部)81のデータ(イメージデータ)と、それを文字認識した結果(コードデータ)とをモニタの表示画面上に同時に表示させて、オペレータがそれぞれを見比べて確認し、文字認識結果に間違えがあれば、修正している。この場合、オペレータがコードデータとイメージデータとを見比べる上でそれぞれを近接配置した方が良いことから、図9に示すように、モニタの表示画面91上にはコードデータ92を表示した上の行などにイメージデータ93を並べるように表示している。」(【0003】欄〜【0004】欄)こと、
が記載されており、これらの記載及び図面の記載を総合すると結局上記刊行物1には次の発明が記載されていると認める(以下、「刊行物1の発明」という。)。
「帳票類に記入されたデータを入力するための情報処理装置において、データを入力するコード入力部と、前記コード入力部によって入力されるデータが書き込まれるコードフィールドを有する入力画面と、この入力画面において前記コード入力部によってデータが入力される位置を表示するカーソルとを表示する表示画面と、前記帳票類に記入されたデータの画像を読み取るOCRと、前記カーソルが前記コードフィールド中にある場合には、前記コード入力部によって入力されたデータをコードフィールドに書き込むとともに、前記表示画面に対し、前記OCRによって読み取られた画像のうち当該コードフィールドに書き込まれるべきデータに該当する部分を、前記入力画面に表示させる制御部とを備えることを特徴とする情報処理装置。」
c.対比・判断
c-1.本件訂正第1発明について
本件訂正第1発明と上記刊行物1の発明とを対比すると、刊行物1の発明の「帳票類」、「コード入力部」、「コードフィールド」、「カーソル」、「表示画面」、「OCR」、「制御部」はそれぞれの本件訂正第1発明の「所定の書式の用紙」、「入力手段」、「入力欄」、「位置表示」、「表示手段」、「画像入力手段」、「制御手段」に相当するから、両者は、「所定の書式の用紙に記入されたデータを入力するための装置において、データを入力する入力手段と、前記入力手段によって入力されるデータが書き込まれる入力欄を有する入力画面と、この入力画面において前記入力手段によってデータが入力される位置を表示する位置表示とを表示する表示手段と、前記用紙に記入されたデータの画像を読み取る画像入力手段と、前記位置表示が前記入力欄中にある場合には、前記入力手段によって入力されたデータをこの入力欄に書き込むとともに、前記表示手段に対し、前記画像入力手段によって読み取られた画像のうち当該入力欄に書き込まれるべきデータに該当する部分を、前記入力画面に表示させる制御手段とを備えたことを特徴とする装置。」である点で一致し、以下の点で相違する。
相違点1:本件訂正第1発明が「データを転記入力するための転記入力装置」であるのに対し、刊行物1の発明は「データを入力するための情報処理装置」である点。
相違点2:本件訂正第1発明の制御手段は「画像入力手段によって読み取られた画像のうち当該入力欄に書き込まれるべきデータに該当する部分を、前記入力画面の入力欄の直近上部または直近下部に表示させる」のに対し、刊行物1の発明の制御部は「画像入力手段によって読み取られた画像のうち当該入力欄に書き込まれるべきデータに該当する部分」の表示位置について特に限定していない点。
相違点の判断
相違点1について:
刊行物1に記載されたものも文字(データ)修正時にユーザが正しい文字(データ)を転記入力するものであるから、刊行物1の発明を単にデータ転記入力装置として用いることは当業者が適宜なし得たものである。
相違点2について:
上記刊行物1には従来例としてオペレータが転記入力する際にコードデータとイメージデータとを近接配置することで見比べやすくすることが記載されている(図9参照)から、同じ目的で刊行物1の発明において画像入力手段によって読み取られた画像のうち当該入力欄に書き込まれるべきデータに該当する部分を、前記入力画面の入力欄に近接する直近上部または直近下部に表示させて本件訂正第1発明の構成とすることは当業者が容易に想到し得るものである。
c-2.本件訂正第2発明について
刊行物1の発明において、画像入力装置(OCR)によって読み取られた画像を表示する必要があるのは修正データを転記入力するときのみであるから、位置情報(カーソル)が入力欄にない場合即ち修正データを入力するとき以外の場合には、該読み取られた画像を表示しないよう制御して本件訂正第2発明の構成とする程度のことは、当業者が容易に想到し得るものである。
d.訂正の適否に対するむすび
以上のとおりであるから、本件訂正第1,2発明は、上記刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであり、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
従って、本件訂正は、特許法第120条の4第3項で準用する同第126条第4項の規定に違反するので、当該訂正は認められない。
3.特許異議申立てについての判断
a.本件特許発明
特許第2843008号の請求項1〜3に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1〜3に記載されたつぎのとおりのものと認める。
「【請求項1】 所定の書式の用紙に記入されたデータを転記入力するための転記入力装置において、データを入力する入力手段と、前記入力手段によって入力されるデータが書き込まれる入力欄を有する入力画面と、この入力画面において前記入力手段によってデータが入力される位置を表示する位置表示とを表示する表示手段と、前記用紙に記入されたデータの画像を読み取る画像入力手段と、 前記位置表示が前記入力欄中にある場合には、前記入力手段によって入力されたデータをこの入力欄に書き込むとともに、前記表示手段に対し、前記画像入力手段によって読み取られた画像のうち当該入力欄に書き込まれるべきデータに該当する部分を、前記入力画面の入力欄の直近上部または直近下部に表示させる制御手段とを備えたことを特徴とする転記入力装置。
【請求項2】所定の書式の用紙に記入されたデータを転記入力するための転記入力装置において、データを入力する入力手段と、前記入力手段によって入力されるデータが書き込まれる入力欄を有する入力画面と、この入力画面において前記入力手段によってデータが入力される位置を表示する位置表示とを表示する表示手段と、 前記用紙に記入されたデータの画像を読み取る画像入力手段と、 前記位置表示が前記入力欄中にある場合には、前記入力手段によって入力されたデータをこの入力欄に書き込むとともに、前記表示手段に対し、前記画像入力手段によって読み取られた画像のうち当該入力欄に書き込まれるべきデータに該当する部分を、前記入力画面に重ねてかつ拡大して表示する制御手段とを備えたことを特徴とする転記入力装置。
【請求項3】 前記制御手段は、前記位置表示が前記入力欄中にない場合には、前記画像入力手段によって読み取られた画像を表示しないことを特徴とする請求項1または2記載の転記入力装置。」
b.刊行物に記載された発明
当審が通知した取消理由で引用した刊行物1(特開平7-249098号公報)は、訂正拒絶理由で引用した刊行物1であり、上記2.bに示したとおりの(刊行物1の発明)が記載されており、同じく引用した刊行物2(特開平1-206479号公報)には、読取結果の直近上部に、読取結果に対応するイメージを表示することが記載されている(第3図及び第3頁左上欄第19行〜同頁右上欄第2行参照)。
c.対比・判断
c-1.請求項1に係る発明について:
請求項1に係る発明と刊行物1の発明とを比較すると、上記2.c-1に示した相違点1,2において相違する。相違点1についての対比・判断については上記2.c-1で示したとおりであり、相違点2については上記刊行物2の記載も勘案すれば、当業者が容易に想到し得るものである。したがって、請求項1に係る発明は、上記刊行物1及び刊行物2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
c-2.請求項2に係る発明について:
上記刊行物1に記載のものも、画像入力手段によって読み取られた画像のうち入力欄に書き込まれるべきデータに該当する部分を入力画面に重ねてかつ拡大して表示していると認められる(【図6】〜【図9】参照。)から、請求項2に係る発明は、上記刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
c-3.請求項3に係る発明について:
請求項3に係る発明は、請求項1または2に係る発明に、「制御手段は、前記位置表示が前記入力欄中にない場合には、前記画像入力手段によって読み取られた画像を表示しない」点を付加したものである。しかしながら、上記2.c-2に示したように、上記刊行物1の発明において、画像入力装置(OCR)によって読み取られた画像を表示する必要があるのは修正データを転記入力するときのみであるから、位置情報(カーソル)が入力欄にない場合即ち修正データを入力するとき以外の場合には、該読み取られた画像を表示しないよう制御する程度のことは、当業者が容易に想到し得るものである。したがって、請求項3に係る発明は上記刊行物1および刊行物2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
4.むすび
以上のとおりであるから、本件請求項1〜3に係る発明は、上記刊行物1及び刊行物2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件請求項1〜3に係る発明についての特許は特許法29条2項の規定に違反してされたものである。したがって、本件請求項1〜3に係る発明についての特許は、特許法第113条第1項第2号に該当するので、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2000-07-19 
出願番号 特願平7-304789
審決分類 P 1 651・ 121- ZB (G06F)
最終処分 取消  
前審関与審査官 田中 友章  
特許庁審判長 片岡 栄一
特許庁審判官 新川 圭二
今井 義男
登録日 1998-10-23 
登録番号 特許第2843008号(P2843008)
権利者 翼システム株式会社
発明の名称 転記入力装置  
代理人 遠山 勉  
代理人 川口 嘉之  
代理人 草野 浩一  
代理人 松倉 秀実  
代理人 永田 豊  
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