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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A47L
管理番号 1027797
異議申立番号 異議2000-73055  
総通号数 16 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1999-06-02 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-08-07 
確定日 2000-11-27 
異議申立件数
事件の表示 特許第3006600号「電気掃除機」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3006600号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 1.本件発明
特許第3006600号(平成5年7月29日出願、平成11年11月26日設定登録)の請求項1に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。

【請求項1】内部に集塵室や電動送風機を内蔵する電気掃除機の本体と、この本体前方より着脱自在に接続されるホースユニットと、このホースユニットに接続される延長管と、この延長管に接続される床ノズルを具備し、前記ホースユニットの本体接続部は筒状の管と、前記管に前方から包着したホースと、この包着部を覆う一対のホースカバーを有し、ホースカバーの上方には把手を一体に形成した電気掃除機。

2.申立ての理由の概要
申立ての理由は、本件請求項1に係る発明は、実公昭49-26997号公報(以下、「甲第1号証」という。)、実願昭55-6805号(実開昭56-108859号)のマイクロフィルム(以下、「甲第2号証」という。)、特開昭62-298328号公報(以下、「甲第3号証」という。)、実願昭58-62364号(実開平59-168254号)のマイクロフィルム(以下、「甲第4号証」という。)及び特開昭63-19126号公報(以下、「甲第5号証」という。)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は取り消されるべきものである、というにあるものと認められる。

3.甲号各証に記載された発明
甲第1号証には、以下の事項が図面とともに記載されている。
「電動送風機並びにフィルターを内装しかつ走行体を設けた掃除機本体と、この掃除機本体の吸込口に通気的に接続される可撓ホースと、この可撓ホースを内装でき前記掃除機本体の吸込口に着脱自在に設けられた走行操作用把手とを具備したことを特徴とする真空掃除機。」(実用新案登録請求の範囲)
「そして一方の手の把手6の操作で掃除機本体1を押して掃除機本体1を車輪14にて移動させる。」(第2頁左欄第3行〜同欄第5行)
「この把手6はホース収納管7と、この収納管7に回動可能に接合したにぎり部となる曲り管8とで構成されている。このように構成されている把手6内には可撓ホース9が収納されており、このホース9の一端は前記蓋体5の吸込口4に着脱自在で通気的に接続され、さらに、このホース9の他端は接続管10の一端に通気的に接続されている。」(第1頁右欄第8行〜同欄第15行)
「接続管10をホース収納管7より引き出すと可撓ホース9もホース収納管7より引出され、この接続管10に延長管16、床刷子等の吸込口体17を接続する。」(第1頁右欄第35行〜同欄第38行)

甲第2号証には、以下の事項が図面とともに記載されている。
「1は掃除機本体、2はホースであって、その一方には掃除機本体1の吸引側に差込まれるパイプ3が、他方には延長パイプ4を接続するための曲りパイプ5がそれぞれ設けてある。6は延長パイプ4の先端に接続した床ノズルを示す。」(明細書第3頁第3行〜同頁第7行)
「17は掃除機本体1に対するパイプ3の差込み状態を保持する尾錠である。」(明細書第4頁第6行〜同頁第7行)
「ホース2が蛇腹状とした可撓性のホースである」(明細書第3頁第11行〜同頁第15行)
「外周に上記ホース2が一定長さはめ込まれるパイプ3」(明細書第3頁第19行〜同頁第20行)
「そして18がパイプ3に対するホース2の接続部を覆うカバーであり、剛性を有する合成樹脂で形成した半円状カバー素体19、20 を円形状に結合して得たものである。」(明細書第4頁第8行〜同頁第11行)
第2図〜第4図には、「パイプ3に蛇腹状ホース2が包着される」構成及び「包着部を覆う一対のホースカバー」の構成が示されている。

甲第3号証には、以下の事項が図面とともに記載されている。
「第1図において、21は電気掃除機の本体で、前部には集塵袋22を着脱自在に装着した集塵室23が設けられ、これに接続パイプ24が着脱自在に装着されている。」(第2頁左下欄第19行〜同頁右下欄第2行)
「本体21の後部にはモータ29を内蔵するモータ室30が形成されている。」(第2頁右下欄第20行〜第3頁左上欄第1行)
「接続パイプ24は、集塵室23に装着される第1の水平パイプ24aとホースが接続される第2の水平パイプ24bとこの間を接続する傾斜パイプ24cの3つのパイプからなり、」(第2頁右下欄第2行〜同欄第5行)
「31は第2の水平パイプ24bに接続されたホースで、この接続部の周囲をホースカバー32で覆っている。」(第3頁左上欄第6行〜同欄第8行)
第1図及び第3図には、本体21の前方に突出する運搬用の把手(無番号であるが、本体を示す符号21で指し示されている。)が形成されていて、この把手が接続パイプ24の上方に設けられている構成が示されている。
また、第1図から第3図には、接続パイプ24 に操作ハンドル26が設けられ、このハンドル26が接続パイプ24の第2の水平パイプ24bの上方に形成されていて、上方から操作可能である構成が示されている。

甲第4号証には、以下の事項が図面とともに記載されている。
「又、掃除機本体1を第3図示のように付属品収納ケース8の上面開ロ部に嵌着して収納保管するようにした場合、把手3が付属品収納ケース8の外周より突出した状態にあって、納まりの悪いものになっていた。」(第2頁第8行〜同頁第12行)
「吸塵ホースの差込みパイプに把手を設け、この把手により掃除機本体を立てたり、又立てた状態で持ち運ぶようにすることにより、掃除機本体の前端面に突設する把手を省略し、従前の欠点を解消したものである。」(第2頁第14行〜同頁第19行)
「合成樹脂よりなる差込みパイプ6に把手9を一体に成型し、この把手9を掃除機本体1の持ち運び用としたものである。而して、掃除機本体1の吸口4に吸塵ホース5の差込みパイプ6を挿入接続した状態で、把手9を持ち掃除機本体1を運ぶようにすれば、……掃除機本体1を落下することなく持ち運ぶことができる。」(第3頁第4行〜同頁第12行)

甲第5号証の第3図には、掃除機本体が複数のケース要素を結合してなるとともに、この掃除機本体の前方に突出して吸気口の上方に位置する把手(無番号)が互いに合わさっている一対のケース要素に一体に形成されている構成が示されている。

4.対比・判断
本件請求項に係る発明と、甲号各証に記載された発明を比較すると、甲号各証には、本件請求項1に係る発明の必須の構成である「包着部を覆う一対のホースカバーを有し、ホースカバーの上方には把手を一体に形成した」点が記載されていない。
甲第1号証には、走行操作用の「把手」が記載されているが、該「把手」は、ホースユニットと掃除機本体の接続部に相当するものを「把手」として利用しているものであり、該「把手」はホースを内部に収納可能としているものの、請求項1に係る発明でいうところの「包着部を覆う一対のホースカバー」ではなく、また、該「把手」が「ホースカバーの上方に」、「一体に形成」されたものでもない。
甲第2号証には、「包着部を覆う一対のホースカバーを有し」ている点は記載されているが、「把手」に関しての何ら記載されていない。
甲第3号証及び甲第5号証には、「把手」が掃除機本体に設けられているものが記載されているのみであり、「把手」を「ホースカバーの上方に」、「一体に形成」した点は記載されていない。
甲第4号証には、「把手」を掃除機本体ではなくホースユニットの接続部に設けた点が記載されているが、「ホースカバー」に相当する構成が明らかでなく、「把手」を「ホースカバーの上方に」、「一体に形成」した点は記載されていない。
また、甲号各証に記載されたそれぞれの構成を組み合わせたとしても、「ホースカバーの上方に設けられた把手」および「包着部を覆う一対のホースカバー」が個別に導き出せるのみであり、「ホースカバー」に「把手」が一体となってる点については導き出されるものではなく、「包着部を覆う一対のホースカバーを有し、ホースカバーの上方には把手を一体に形成した」構成には到達し得ない。
そして、本件請求項1に係る発明では、この構成を備えることにより「ホースユニットを構成するホースカバーに把手を形成したので、本体の前方に把手を形成する必要がなく、従って本体を小型化できる。また、スタンド収納状態にある掃除機をそのまま把手をもって掃除場所まで直ちに運搬でき、掃除終了後は、逆に使用場所でスタンド収納状態にして保管場所までホースユニットの本体接続部に形成した把手をもって片手で運搬することにより、手軽に運搬できることとなる。また、スタンド収納状態で把手を持って持ち上げても、本体が左右に傾くことなく安定して行うことができる。加えて、把手をホースカバーに一体に形成することで、安価に、かつ強固に提供できる」という格別の効果を奏するものである。
したがって、その余の構成について論ずるまでもなく、本件請求項1に係る発明は、甲号各証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。

5.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立の理由及び証拠によっては本件発明についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって結論のとおり決定する
 
異議決定日 2000-10-24 
出願番号 特願平10-264646
審決分類 P 1 651・ 121- Y (A47L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 金丸 治之  
特許庁審判長 佐藤 洋
特許庁審判官 藤本 信男
藤原 稲治郎
登録日 1999-11-26 
登録番号 特許第3006600号(P3006600)
権利者 松下電器産業株式会社
発明の名称 電気掃除機  
代理人 坪井 淳  
代理人 橋本 良郎  
代理人 松村 貞男  
代理人 岩橋 文雄  
代理人 鈴江 武彦  
代理人 内藤 浩樹  
代理人 坂口 智康  

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