• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 D06F
管理番号 1030199
審判番号 審判1999-18204  
総通号数 17 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-03-20 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-11-17 
確定日 2000-11-10 
事件の表示 平成5年特許願第224190号「全自動洗濯機の運転制御方法」拒絶査定に対する審判事件[平成7年3月20日出願公開、特開平7-75698号]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成5年9月9日の出願であって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、出願当初の図面、ならびに平成11年12月17日付けで提出された手続補正書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「洗濯槽と、前記洗濯槽内に回転自在に配置される攪拌翼と、洗濯物の布質を検知する布質検知手段を有する洗濯機であって、洗濯又はすすぎの後の脱水を行う前に前記洗濯物の前記洗濯槽内での片寄り防止を行うため前記洗濯またはすすぎにおける前記攪拌翼の反転時限とは異なる反転時限で攪拌を行う布片寄り防止攪拌を行う全自動洗濯機の運転制御方法において、
前記洗濯物の布質に応じて前記布片寄り防止攪拌の攪拌時限を異ならせることを特徴とする全自動洗濯機の運転制御方法。」

2.引用例
(A)これに対して、原査定の拒絶理由に引用された特開平4-242693号公報(以下、「第1引用例」という。)には、
公報第2頁第2欄第20行ないし第25行に、「図3はこの「洗い」の標準的な設定内容を示しており、前記駆動機構7のモータ6による撹拌体5の回転駆動を、1.2秒間正転,0.6秒間休止,1.2秒間逆転,0.6秒間休止を繰返す反転周期、並びに100[rpm]の回転数で行なうようにしている。」と記載され、
公報第2頁第2欄第30行ないし第36行に、「図4はこの変更した内容を示しており、上記撹拌体5の回転駆動を、上記「洗い」での反転周期より短い、0.2秒間正転,0.4秒間休止,0.2秒間逆転,0.4秒間休止を繰返す反転周期、並びに「洗い」での回転数より高い120[rpm]の回転数で行なうようにしている。そして、その変更した内容で「ほぐし」を実行し」と記載されている。
(B)同じく、引用された実願昭61-49886号(実開昭62-163085号)のマイクロフィルム(以下、「第2引用例」という。)には、
明細書第1頁第16行ないし第18行に、「本考案は、プログラムに従って洗い、すすぎ、脱水等の一連の工程を順次自動運転する脱水洗濯機に関する。」と記載され、
明細書第1頁第20行ないし第2頁第6行に、「一般的な脱水洗濯機を第6図に基づいて説明する。(1)は機枠、(2)は機枠(1)の上部後方に設けられた操作部、(3)は機枠(1)に内設された外槽、(4)は外槽(3)に内設され、周囲に脱水孔(5)…を有する内槽、(6)は内槽(4)の底部に配設された大径山型の回転翼、(7)は駆動モータであり、」と記載され、
明細書第2頁第14行ないし第16行に、「洗濯工程時に於いては、前記回転翼(6)を180rpm程の低速且つ短時間で左右に間欠的に回転させる。」と記載され、
明細書第4頁第1行ないし第8行に、「本考案による脱水洗濯機は、槽内の洗濯物の分布の片寄りを修正するアンバランス修正手段と、脱水工程前に前記アンバランス修正手段を実行せしめる制御手段と、槽内の洗濯物の量又は質を検知する負荷検知手段とを備え、前記制御手段が、前記負荷検知手段からの検知信号に基づいて前記アンバランス修正手段の実行時間を変更するものである。」と記載され、
明細書第4頁第18行ないし第5頁第1行に、「第2図は、本実施例の脱水洗濯機に於ける制御機構のブロック回路図を示し、(17)は制御の中心となるマイクロコンピュータ(以下マイコンと称す)である。」と記載され、
明細書第7頁第15行ないし第18行に、「前記マイコン(17)は、脱水工程前に前記回転翼(6)を0.4秒ON-0.2秒OFFと云う非常に短周期で繰り返し反転させて、洗濯物の片寄りを修正する。」と記載され、
明細書第8頁第6行ないし第9行に、「また、前記負荷検知装置(21)により、洗濯物の質を判定し、洗濯物が木綿質である度合が高い程、アンバランス修正プログラムを長時間実行してもよい。」と記載され、
明細書第8頁第11行ないし第13行に、「本考案の洗濯機は、洗濯物の量が多い程又は木綿質である程、脱水前に充分に時間をかけてほぐすものである」と記載されている。
したがって、上記第2引用例には、
「内槽(4)と、前記内槽(4)の底部に配設された大径山型の回転翼(6)と、洗濯物の質を検知する負荷検知手段を有する洗濯機であって、脱水工程前に、回転翼(6)を0.4秒ON-0.2秒OFFの短周期で繰り返し反転させて、内槽(4)内の洗濯物の分布の片寄りを修正するアンバランス修正手段を実行せしめる制御手段を備え、負荷検知手段からの検知信号に基づいて前記アンバランス修正手段の実行時間を変更するようにした、プログラムに従って洗い、すすぎ、脱水等の一連の工程を順次自動運転する脱水洗濯機。」
が記載されている。

3.対比
本願発明と上記第2引用例記載のものを対比すると、
第2引用例記載のものの、「内槽(4)」、「内槽(4)の底部に配設された大径山型の回転翼(6)」、「洗濯物の質を検知する負荷検知手段」、「脱水工程前」、「洗濯物の分布の片寄りを修正するアンバランス修正手段を実行せしめる制御」、「プログラムに従って洗い、すすぎ、脱水等の一連の工程を順次自動運転する脱水洗濯機」、「負荷検知手段からの検知信号に基づいてアンバランス修正手段の実行時間を変更する」が、それぞれ本願発明の、「洗濯槽」、「洗濯槽内に回転自在に配置される攪拌翼」、「洗濯物の布質を検知する布質検知手段」、「洗濯又はすすぎの後の脱水を行う前」、「洗濯物の洗濯槽内での片寄り防止を行うため(の)布片寄り防止攪拌を行う運転制御方法」、「全自動洗濯機」、「洗濯物の布質に応じて前記布片寄り防止攪拌の攪拌時限を異ならせる」に対応している。
したがって、本願発明と第2引用例記載のものは、
「洗濯槽と、前記洗濯槽内に回転自在に配置される攪拌翼と、洗濯物の布質を検知する布質検知手段を有する洗濯機であって、洗濯又はすすぎの後の脱水を行う前に前記洗濯物の前記洗濯槽内での片寄り防止を行うため布片寄り防止攪拌を行う全自動洗濯機の運転制御方法において、
前記洗濯物の布質に応じて前記布片寄り防止攪拌の攪拌時限を異ならせることを特徴とする全自動洗濯機の運転制御方法。」
であるという点で一致し、
布片寄り防止攪拌に関し、本願発明は、洗濯またはすすぎにおける攪拌翼の反転時限とは異なる反転時限で攪拌を行うものであるのに対して、第2引用例記載のものは、この点が明確にされていない、という点で相違している。

4.当審の判断
上記相違点について検討する。
洗濯槽内での片寄り防止を行うため、洗濯またはすすぎにおける攪拌翼の反転時限とは異なる反転時限で攪拌を行うことは、上記第1引用例に記載されているように、本願出願前に公知であり、しかも、第1引用例に記載されている上記技術を、同じ片寄り防止を課題とした第2引用例記載の全自動洗濯機に適用する上での阻害要因は何等見出せないから、上記相違点は当業者が必要に応じて容易に採用し得る程度の事項にすぎないものと認められる。
そして、本願発明の奏する効果は、各引用例に記載の事項から当業者が予測しうる範囲のものである。

5.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、第1および第2引用例記載のものに基いて当業者が容易に発明をすることができたものと認められ、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2000-08-24 
結審通知日 2000-09-05 
審決日 2000-09-20 
出願番号 特願平5-224190
審決分類 P 1 8・ 121- Z (D06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 塩澤 克利金丸 治之  
特許庁審判長 田中 秀夫
特許庁審判官 長崎 洋一
和泉 等
発明の名称 全自動洗濯機の運転制御方法  
代理人 作田 康夫  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ