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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05K |
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管理番号 | 1030237 |
審判番号 | 審判1998-15069 |
総通号数 | 17 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1992-03-05 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1998-09-25 |
確定日 | 2000-10-27 |
事件の表示 | 平成 2年特許願第182676号「表面実装用プリント配線板」拒絶査定に対する審判事件[平成 4年 3月 5日出願公開、特開平 4- 71290]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
【手続の経緯・本件発明】 本件出願は、平成2年7月12日の特許出願であって、その出願に係る発明は、平成10年6月29日付け及び平成10年10月20日付け手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1、2に記載された次のとおりのものと認める。 「(1)その表面に電子部品が実装される形式の表面実装用プリント配線板において、プリント配線板上の導体パターンと電子部品のリード線との間の各電気的接続部毎に、余分の半田をプールした貯留部を、この電気的接続部に近接し、かつ電気的接続部に連続して設けたことを特徴とする表面実装用プリント配線板。 (2)前記各貯留部が、互いに離れて配置されていることを特徴とする請求項1記載の表面実装用プリント配線板。」 【引用例】 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用した刊行物実願昭63-77775号(実開平2-770号)のマイクロフィルム(以下「引用例」という。)には、 (イ)「集積回路のように、多数のリードが並列して突出している部品パッケージを、該リードに対応するフットプリントが配列されているプリント板に接続する構造に関し、パッケージの多ピン化、細ピッチ化に伴いフットプリントの幅及びピッチの微細化が進んでも、フットプリントに充分な量の半田を塗布・印刷でき、しかも半田ブリッジや未接続等の接続不良が発生するのを防止した部品パッケージの接続構造を提供することを目的とし、前記リードの長手方向に関するフットプリントの一端の幅と他端の幅とが異なり、隣接するフットプリントを幅の大なる側と小なる側とを交互に配列したことを特徴とする部品パッケージの接続構造を構成する。」(明細書第1頁第16行〜同第2頁第10行)、 (ロ)「本考案によれば、リード2の長手方向に関しフットプリント4の一端又は他端の側で幅を大きくとることができ、従って、半田ペーストを印刷する場合に特に幅を大きくした部分に充分な量の半田を塗布せしめることができる。また、隣接するフットプリント4を幅の大なる側と小なる側とを交互に配列したので、フットプリント4間の間隔(D)を所定以上に維持できるとともに、主要な半田接続個所が千鳥状に配列されることとなり、半田ブリッジや未接続を防止でき、安定した半田付けが得られる。」(明細書第5頁第16行〜同第6頁第6行) (ハ)「第4図において、フットプリント4を本考案のような形状にすることにより、フットプリント4上に半田ペースト5を印刷する際に、特に幅を大きくした側に充分な量の半田を塗布せしめることができ、しかも幅の広い半田の多い側が主要な半田接続個所Cとなり」(明細書第8頁第3〜8行)、等の記載があり、また、 (ニ)フットプリント4の幅を大きくした部分の幅をリード2の幅よりも大きい幅として、このリード2の幅を越える部分に半田5を塗布せしめた状況が示されている(第4図)ものと認められ、前記明細書の記載及び図面等を参照すると、引用例には、 “その表面に集積回路のような部品パッケージが実装される形式のプリント板において、リード2の長手方向に関しフットプリント4の一端又は他端の側で幅を大きくし、隣接するフットプリント4を幅の大なる側と小なる側とを交互に配列して、プリント板上のフットプリントと部品パッケージのリードとの間の各電気的接続部毎に、フットプリントの幅を大きくした部分に充分な量の半田を塗布せしめ得るようにしたプリント板.” が記載されているものと認められる。 【対比・判断】 1.本件請求項1に係る発明について (1)本件請求項1に係る発明と上記引用例に記載された発明とを対比すると、後者の“集積回路のような部品パッケージ”、“プリント板”、“フットプリント”、“リード”が、それぞれ前者の「電子部品」、「表面実装用プリント配線板」、「導体パターン」、「リード線」に相当するから、 両者は、 その表面に電子部品が実装される形式の表面実装用プリント配線板において、プリント配線板上の導体パターンと電子部品のリード線との間の各電気的接続部を設けた表面実装用プリント配線板. である点において一致し、 本件請求項1に係る発明は、各電気的接続部毎に、余分の半田をプールした貯留部を、この電気的接続部に近接し、かつ電気的接続部に連続して設けたものであるのに対して、引用例に記載されたものは、各電気的接続部毎に、導体パターンの幅を大きくした部分に充分な量の半田を塗布せしめ得るようにした点、 において一応相違する。 (2)そこで上記相違点について検討する。 引用例に記載されたものは、導体パターンの幅を大きくした部分に充分な量の半田を塗布せしめ得るものであり、「充分な量」とは、少ない場合でも正常な接続に必要な量を満たし、正常な接続に必要な最少量を越える量も意味するものと認められるから、引用例に記載されたものにおいても、正常な接続に必要な量を越える量も塗布可能であって、余分の半田をプールし得るものと認められる。 また、引用例には、「【引用例】」の前記「(ニ)」に記載したように、フットプリント4の幅を大きくした部分の幅をリード2の幅よりも大きい幅として、このリード2の幅を越える部分に半田5を塗布せしめた状況が示され、塗布された半田5とフットプリント4及びリード2間の電気的接続部とは近接かつ連続しているものと認められるから、引用例に、各電気的接続部に、電気的接続部に近接し、かつ電気的接続部に連続して、余分の半田をプールし得る貯留部を設けた点が実質上記載されているものと認められる。 したがって、上記相違点は、結局、本件請求項1に係る発明が、余分の半田をプールしたのに対して、引用例に記載されたものは、余分の半田をプールし得るものである、という点に過ぎない。 そして、引用例に記載されたものは、半田ブリッジを生じることなく余分の半田を塗布し得るのに対して、半田の塗布量が不足した場合、未接続の危険性が予測されることは技術常識であるから、余分の半田を塗布してプールしたものとすることは、技術常識に従って当業者が容易になし得ることである。 (3)したがって、本件請求項1に係る発明は、上記引用例に記載されたものに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 2.本件請求項2に係る発明について (1)本件請求項2に係る発明と上記引用例に記載された発明とを対比すると、本件請求項2に係る発明は、本件請求項1に係る発明に対して、構成「前記各貯留部が、互いに離れて配置されている」点を付加したものであるから、 本件請求項2に係る発明と上記引用例に記載された発明とは、 その表面に電子部品が実装される形式の表面実装用プリント配線板において、プリント配線板上の導体パターンと電子部品のリード線との間の各電気的接続部を設けた表面実装用プリント配線板.である点において一致し、 本件請求項2に係る発明は、各電気的接続部毎に、余分の半田をプールした貯留部を、この電気的接続部に近接し、かつ電気的接続部に連続して設け、前記各貯留部が、互いに離れて配置されているものであるのに対して、引用例に記載されたものは、各電気的接続部毎に、導体パターンの幅を大きくした部分に充分な量の半田を塗布せしめ得るようにし、隣接する導体パターンを幅の大なる側と小なる側とを交互に配列した点、 において一応相違する。 (2)そこで上記相違点について検討する。 上記「 1.本件請求項1に係る発明について」の「(2)」に記載したとおり、引用例に、各電気的接続部に、電気的接続部に近接し、かつ電気的接続部に連続して、余分の半田をプールし得る貯留部を設けた点が実質上記載されているものと認められ、また、引用例に記載されたものの、隣接するフットプリントを幅の大なる側と小なる側とを交互に配列した構成が、本件請求項2に係る発明の、各貯留部が、互いに離れて配置されている構成に相当するから、上記相違点は、結局、本件請求項2に係る発明が、余分の半田をプールしたのに対して、引用例に記載されたものは、余分の半田をプールし得るものである、という点に過ぎない。 そして、この相違点における本件請求項2に係る発明の構成は、上記「 1.本件請求項1に係る発明について」の「(2)」に記載した理由と同じ理由により、当業者が容易になし得ることである。 (3)したがって、本件請求項2に係る発明は、上記引用例に記載されたものに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 【むすび】 以上のとおりであるから、本件請求項1、2に係る発明は、上記引用例に記載されたものに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2000-08-16 |
結審通知日 | 2000-08-25 |
審決日 | 2000-09-05 |
出願番号 | 特願平2-182676 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H05K)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 青木 俊明 |
特許庁審判長 |
蓑輪 安夫 |
特許庁審判官 |
鈴木 久雄 清水 英雄 |
発明の名称 | 表面実装用プリント配線板 |
代理人 | 古川 秀利 |
代理人 | 鈴木 憲七 |
代理人 | 曾我 道照 |
代理人 | 小林 慶男 |