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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A61K
審判 全部申し立て 2項進歩性  A61K
管理番号 1031801
異議申立番号 異議1998-71869  
総通号数 17 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1990-03-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-04-21 
確定日 2000-10-02 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2665473号「固型状油中水型乳化化粧料」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2665473号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 1.経緯
本件特許第2665473号は昭和63年9月27日の出願に係り、平成9年6月27日に設定登録されたもので、その後、花王株式会社 及び矢部ゆり子からの異議申立てがあり、取消理由通知に対して、平成12年8月24日に訂正請求がなされたものである。
2.訂正請求について、
本件訂正請求に係る訂正事項は以下のとおりである。
(1)特許明細書の請求項1における、
「油分と、固型ワックス及び/又は油ゲル化剤と、水と、親油性界面活性剤と、疎水化処理粉末とを含有することを特徴とする固型状油中水型乳化化粧料。」なる記載を、
「油分と、固型ワックス(但し、直鎖状及び/又は分岐鎖状の炭化水素の混合物で直鎖状炭化水素の炭素数25〜52のものを主成分として含有する固型ワックス)及び/又は油ゲル化剤(但し、ベンズアルデヒド類と5価以上のアルコールとの縮合物、金属石鹸、N-アシルアミノ酸のアミド、エステルまたはアミン塩の誘導体、エステル基置換度30%以上のデンプン飽和脂肪酸エステルの酸加水分解物からなるデキストリン脂肪酸エステル及び12-ヒドロキシステアリン酸の中から選ばれる1種または2種以上の油ゲル化剤)と、水と、親油性界面活性剤と、疎水化処理粉末とを含有し、上記固型ワックス及び/又は油ゲル化剤の配合量が2〜50重量%、疎水化処理粉末の配合量が5〜50重量%である固型状油中水型乳化化粧料。」と訂正する。
(2)同明細書第1頁下から2〜1行(特許公報第1欄13行)における「(ペースト状を含む)」を「(ペースト状を含まない)」に訂正する。
(3)同明細書第4頁18〜20行(同公報4欄1〜3行)の「固型ワックス及び/又は油ゲル化剤と、水と、 親油性界面活性剤と、疎水化処理粉末と含有する」なる記載を、
「固型ワックス(但し、直鎖状及び/又は分岐鎖状の炭化水素の混合物で直鎖状炭化水素の炭素数25〜52のものを主成分として含有する固型ワックス)及び/又は油ゲル化剤(但し、ベンズアルデヒド類と廟 5価以上のアルコールとの縮合物、金属石鹸、N-アシルアミノ酸のアミド、エステルまたはアミン塩の誘導体、エステル基置換度30%以上のデンプン飽和脂肪酸エステルの酸加水分解物からなるデキストリン脂肪酸エステル及び12-ヒドロキシステアリン酸の中から選ばれる1種または2種以上の油ゲル化剤)と、水と、親油性界面活性剤と、疎水化処理粉末とを含有し、上記固型ワックス及び/又は油ゲル化剤の配合量が2〜50重量%、疎水化処理粉末の配合量が5〜50重量%である」に訂正する。
(4)同明細書第8頁2行(同公報5欄17行)の「するものが好ましい。」を「する。」に訂正する。
(5)同明細書第8頁7行(同公報5欄21〜22行)の「することが好ましい。」を「して用いる。」に訂正する。
(6)同明細書第8頁11行(同公報第5欄25行)の「ものが好ましい。」を「ものが用いられる。」に訂正する。
(7)同明細書第9頁20行(同公報5欄50行〜6欄10行)の「等があげられる。」を「の中から選ばれる1種または2種以上である。」と訂正する。
(8)同明細書第10頁10行(同公報6欄19行)の「、全化粧料中の5〜20重量%が好ましい。」を「、ただしその配合量は全化粧料中の5〜20重量%である。」に訂正する。
(9)同明細書第29頁17行(同公報14欄22〜23行)の「固型ワックス及び/又は油ゲル化剤と、」を「特定の固型ワックス及び/又は特定の油ゲル化剤と、」と訂正する。
そこで、これら訂正について以下検討する。
(1)の訂正は、特許明細書における固形ワックス及び油ゲル化剤を特定のものに実質上限定するとともに、これらの配合割合及び疎水化処理粉末の配合割合を特定の数値範囲に限定するものであるから、この訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(2)の訂正についていうと、「固形状油中水型乳化化粧料」の「固形状」には、「ペースト状」のものは通常含まれず、また、本件特許明細書にはペースト状のものといえる化粧料は具体的には記載がないのであるから、この(2)の訂正に係る特許明細書の記載は明瞭ではなく、この訂正は明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(3)〜(9)の訂正は、上記(1)の訂正に伴い生じる訂正後の特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載の不整合を正すものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、上記(1)〜(9)の訂正は、いずれも願書に添付された明細書に記載された事項の範囲内の訂正であり、特許請求の範囲を実質的に拡張または変更するものでもない。
さらに後記することから明らかなように、訂正後の特許請求の範囲に記載された事項により特定される発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないとはいえないものである。してみれば、本件訂正請求は、特許法第120条の4第2項または同条第3項において準用する同法126条第2-4項の規定に適合するので当該訂正を認める。
3.異議申立について、
(1)花王株式会社の主張
本件特許発明は甲第1号証に記載された発明であるか、あるいは甲第1及び2号証に記載された発明から当業者が容易に発明できたものであるから、、本件特許は特許法第29条第1項第3号あるいは同法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。
証拠方法
甲第1号証;特開昭63-215615号公報(以下、刊行物1という。)
甲第2号証;特開昭63-227516号公報(以下、刊行物2という。)(2)矢部ゆり子の主張
本件特許発明は甲第1〜6号証、あるいは甲第5号証に記載された発明から当業者が容易に発明できたものであるから、本件特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。
証拠方法
甲第1号証;特開昭60-188308号公報(以下、刊行物3という。)
甲第2号証;特開昭60-75405号公報(以下、刊行物4という。)
甲第3号証;特開昭60-75405号公報(以下、刊行物5という。)
甲第4号証;「フレグランス ジャーナル」、第14巻、第5号、第60〜66頁(以下、刊行物6という。)
甲第5号証;特開昭63-215615号公報(花王株式会社の甲第1号証と同じ、以下、刊行物1という。)
甲第6号証;特開昭56-16404号公報(以下、刊行物7という。)
これに対して、本件訂正後の発明は、訂正明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの以下のものと認める。
「油分と、固型ワックス(但し、直鎖状及び/又は分岐鎖状の炭化水素の混合物で直鎖状炭化水素の炭素数25〜52のものを主成分として含有する固型ワックス)及び/又は油ゲル化剤(但し、ベンズアルデヒド類と5価以上のアルコールとの縮合物、金属石鹸、N-アシルアミノ酸のアミド、エステルまたはアミン塩の誘導体、エステル基置換度30%以上のデンプン飽和脂肪酸エステルの酸加水分解物からなるデキストリン脂肪酸エステル及び12-ヒドロキシステアリン酸の中から選ばれる1種または2種以上の油ゲル化剤)と、水と、親油性界面活性剤と、疎水化処理粉末とを含有し、上記固型ワックス及び/又は油ゲル化剤の配合量が2〜50重量%、疎水化処理粉末の配合量が5〜50重量%である固型状油中水型乳化化粧料。」
そこで、以下これら異議申立人の主張について検討する。
(1)花王株式会社の主張について、
刊行物1においては、a.ポリシロキサンにより被覆された疎水化顔料とジメチルポリシロキサン、シクロメチコン等から選ばれたシリコン成分からなる油相、b.水性相及びc.ポリジオルガノシロキサンーポリオキシアルキレンコポリマーからなる界面活性剤かを必須成分とする顔料含有油中水型エマルジョンからなる化粧品組成物について記載され、油相にはカルナバワックス、パラフィンワックスをさらに使用できる旨、及び使用する界面活性剤のHLB値は約2.5〜6である旨記載され、さらに、実施例1においては、シクロメチコン、界面活性剤(ダウコーニング3225-c、シリコーン・グリコール流体)、Laureth-7、疎水化顔料及び水等に加え、Bentonn Gellant(参考資料1によれば油ゲル化剤の一種)を添加したクリームファウンデーションが記載されている。
刊行物1と本件発明を対比すると、刊行物1の化粧品組成物も、本件発明と同様に油分、水および疎水化処理粉末を使用し、また、刊行物1のHLB値の記載からみると、使用する界面活性剤は親油性のものであるといえるから、これらの点では、両者は共通する。しかし、刊行物1においては、その実施例1においてBentonn Gellantを使用し、本件異議申立人はこれを油ゲル化剤としているが、このBentonn Gellantは参考資料1の記載からみて、本件発明で使用する油ゲル化剤とは異なるものであって、刊行物1においては、本件発明で使用する油ゲル化剤について記載がない。また、刊行物1においては、本件発明の固形ワックスに相当するカルナバワックス、パラフィンワックス等を使用できるとの記載もあるが、刊行物1においては、これらワックスを使用した具体例は記載されてはいないし、そもそも該ワックスの配合割合については全く記載がない。
さらに、異議申立人が特に指摘する刊行物1の実施例1の化粧料はクリーム状のものであり、一方、本件発明の化粧料は固形状のものであり、訂正明細書の発明の詳細な説明においては、ペースト状のものを含まないことを明示しているから、上記実施例1の化粧料と本件発明の化粧料とは、その形態において異なるものとせざるを得ない。
してみれば、刊行物1においては本件発明の化粧料についての構成が記載されているとはもはやいえないから、本件発明は刊行物1に記載された発明ではない。
また、刊行物2においては、揮発性シリコン、鉱油、コーン油等の油、カルナバワックス等のワックス、ポリエチレングリコ-ルソルビタン蜜蝋(参考資料2からみてHLBは5)および水等からなる、乳化水和棒組成物について記載され、実施例における頬紅用スチックにおいては、カラー配合物を加えてはいるが、該配合物が疎水化処理されたものであることを示す記載はない。したがって、刊行物1及び2においては本件発明の構成は記載されてはいない。一方、本件発明は、本件訂正明細書の各実施例において示されるように、揮発成分の蒸散を抑制し、該化粧料に極めて良好な安定性を付与せしめるという効果を奏するものであり、この効果は、刊行物1及び2には全く示唆されてはいないものである。
してみれば、本件発明は刊行物1及び2に記載された発明から当業者が容易に発明できたものとするもできず、花王株式会社の主張は採用できない。
(2)矢部ゆり子の主張について、
刊行物3〜5においては、本件発明の油分、固形ワックスあるいは油ゲル化剤及び界面活性剤に相当する成分及び水を含有する固形状の化粧料について記載されているが、これら刊行物3〜5においては、本件発明の疎水化処理粉末を使用する旨の記載はない。
刊行物6においては、撥水処理を行った粉体について、化粧崩れの防止および皮膚のなじみを良好にする等の記載があるものの、この撥水処理された粉体を本件発明のような固形状油中水型乳化化粧料に使用することを示唆する記載はないから、これら刊行物3〜6は本件発明の構成を示唆していない。
さらに、刊行物1の記載は上記のとおりであり、また、刊行物7においては、粉体原料にシリコン油あるいは油脂類を含むシリコン油を高温処理して乳化性白紛について記載されてはいるが、甲第7号証においては、水を含む化粧料としてはクリームファウンデーションが示されているにすぎず、このものは本件発明のような固形状のものでないことは明らかであるから、これら刊行物1及び7においても本件発明の構成は示されてはいない。そして、本件発明は、上記したとおりの効果を奏するものであり、この効果を示唆する記載は刊行物1、3〜7に全く見いだせないから、これらの点からみれば、本件発明は刊行物1、3〜7に記載された各発明からはもとより、これら発明を組み合わせても当業者が容易に発明できたものとはいえない。
したがって、矢部ゆり子の主張も採用できない。
4.以上のとおりであるから、本件訂正請求は認めることができ、本件異議申立の理由及び証拠によっては本件特許を取消すことができない。
また、他に本件特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
固型状油中水型乳化化粧料
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 油分と、固型ワックス(但し、直鎖状及び/又は分岐鎖状の炭化水素の混合物で直鎖状炭化水素の炭素数25〜52のものを主成分として含有する固型ワックス)及び/又は油ゲル化剤(但し、ベンズアルデヒド類と5価以上のアルコールとの縮合物、金属石鹸、N-アシルアミノ酸のアミド、エステルまたはアミン塩の誘導体、エステル基置換度30%以上のデンプン飽和脂肪酸エステルの酸加水分解物からなるデキストリン脂肪酸エステル及び12-ヒドロキシステアリン酸の中から選ばれる1種または2種以上の油ゲル化剤)と、水と、親油性界面活性剤と、疎水化処理粉末とを含有し、上記固型ワックス及び/又は油ゲル化剤の配合量が2〜50重量%、疎水化処理粉末の配合量が5〜50重量%である固型状油中水型乳化化粧料。
【発明の詳細な説明】
発明の目的
[産業上の利用分野]
本発明は、安定性が良好で、化粧もちが良く、固型状でありながら肌に塗布したときに清涼感を有するという新規な使用感触の固型状油中水型乳化化粧料に関する。
なお、本発明において固形状油中水型乳化化粧料とは通常化粧料を使用する温度範囲(0℃〜50℃)で流動性がなく固化しているもの(ペースト状を含まない)をいう。
[従来の技術]
固型状化粧料の基剤タイプとして一般に用いられているものとして、油を固化させた固型油性タイプ、粉末または粉末と油剤の混合物をプレスした固型プレス状タイプ等があり、それぞれ化粧料の使用目的や使用方法に応じて使い分けがされている。例えば、リップスティック等のスティック状化粧料には固型油性タイプが、また、パフやスポンジ等で使用するファンデーションでは、一般に固型プレス状タイプが用いられている。近年リップスティックにおいて水を配合したものが検討され、市場に出されているが、安定性と化粧もちが良好なものが得にくいため、水を配合してあっても量は少なく、使用感触で従来の固型油性タイプとの差は小さかった。さらに、水と粉末とを配合した油性タイプの製品において、粉末の種類を変えると安定性が急に悪くなったり、化粧もちが悪くなるなどの欠点もあった。つまり、先行技術において安定性が良好で化粧もちの良い固形状油中水型乳化化粧料は見出されていない。とくに揮発性油剤を用い水が多量に配合されたものでは、ワレ、ヒビ等の安定性の問題を解決しかつ化粧もちの良いものを得るのはより困難であった。
一方、一般に乳化タイプの化粧料は、水や保湿剤等が配合できトリートメント性が高いため基礎化粧品として多用されている。乳化タイプの場合、選択しうる中身状態は流動性のある乳液状または流動性の少ないクリーム状のもので、いずれも流動性を有するために充填される容器形態が制約され、クリーム状であれば瓶またはチューブ状容器に、乳液状であればボトル状容器に充填されている。このため、乳化化粧料は肌への効果は高いものの携帯性に劣るものである。
また、近年になって揮発性油分を用いた化粧料が検討されてきているが、乳液状やクリーム状としては比較的安定なものが得られるようになったが、固型状のものとしては、安定性もさることながら、化粧もち、清涼感等の使用感触での問題点を解決しきれてなかった。
[発明が解決しようとする課題]
したがって、安定で、かつ使用感触とくに化粧もちが良好な固型状油中水型乳化化粧料は知られていない。
本発明者らはこのような事情に鑑み、安定性と化粧もちが良好で使用感にすぐれた固型状の油中水型乳化化粧料を得ることを目的に鋭意研究を重ねた結果、特定の油性固化剤と、疎水化処理した粉末と、水と、親油性界面活性剤とからなる固型状油中水型乳化化粧料が、極めて安定性が良好であって、かつ肌に塗布したときに化粧もちが良くかつ、「清涼感」を有するという新規な使用感触を有すると同時に「のび」「さっぱりさ」などの使用感にもすぐれ、さらには充填される容器形態の範囲が広げられるという利点を有することを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
発明の構成
[問題を解決するための手段]
すなわち、本発明は油分と、固型ワックス(但し、直鎖状及び/又は分岐状の炭化水素の混合物で直鎖状炭化水素の炭素数25〜52のものを主成分として含有する固型ワックス)及び/又は油ゲル化剤(但し、ベンズアルデヒド類と5価以上のアルコールとの縮合物、金属石鹸、N-アシルアミノ酸のアミド、エステルまたはアミン塩の誘導体、エステル基置換度30%以上のデンプン飽和脂肪酸エステルの酸加水分解物からなるデキストリン脂肪酸エステル及び12-ヒドロキシステアリン酸の中から選ばれる1種または2種以上の油ゲル化剤)と、水と、親油性界面活性剤と、疎水化処理粉末とを含有し、上記固型ワックス及び/又は油ゲル化剤の配合量が2〜50重量%、疎水化処理粉末の配合量が5〜50重量%である固型状油中水型乳化化粧料を提供するものである。
以下に本発明の構成について述べる。
本発明に用いる油分としては、例えばアボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリメチロールプロパントリイソステアレート、イソプロピルミリステート、グリセロールトリ-2-エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールテトラ-2-エチルヘキサノエート、ラノリン、液状ラノリン、流動パラフィン、スクワレン、プリスタン、イソパラフィン、スクワラン、ワセリンなどがあげられる。更に、ジメチルポリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン等のジアルキルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のアルキルアリールポリシロキサン、ジアリールポリシロキサン、脂肪酸変性ポリシロキサン、高級アルコール変性ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサンなどのシリコーン油も例示される。
本発明の固型状油中水型乳化化粧料には、上記した油分の中から適宜選択され配合される。配合量は化粧料全量中の5〜85重量%である。
油分の中で特に、使用感触がさっぱりし、かつ化粧持ちの良いものを求めるのであれば下記構造式[1]、[2]で示される揮発性シリコーン油を用いることが好ましく、その配合量は油相中の30〜97重量%が好ましい。

本発明で用いられる固型ワックスは通常化粧料で用いられるものでよくパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油ワックス、オゾケライト、セレシン等の鉱物系ワックス、カルナバロウ、キャンデリラロウ等の天然ワックスなど、融点が50℃以上のものが例示できるが、特に直鎖状およびまたは分岐鎖状の炭化水素の混合物で直鎖状炭化水素の炭素数の25〜52のものを主成分として含有する。用いるワックスの種類は、使用する油分の種類に応じて選択されるが、カルナバロウ、キャンデリラロウ等のワックスエステル類は単独使用では良好なものを得にくく、直鎖状およびまたは分岐状炭化水素系ワックスと混合して用いる。また、一般に市販されている炭化水素系固型ワックスは混合物で得られるため、炭素数に分布があり、またイソパラフィンやナフテンを含有しているが、その場合でも主成分が炭素数25〜52のものが用いられる。
市販品としては、Boler wax l014(米国Boler社製)、パラフィンワックス125、130、135、140、145°F PW(日本石油社製のシリーズ製品)、パラフィンワックス140、145、150、155°F(日本精蝋社製のシリーズ製品)、マイクロワックス155、180(日本石油社製)、ハイミック2065(日本精蝋社製)、アリストワックス165°F(米国ユニオンオイル社製)、OZOKERITE E-626(フランセラ・セレシン社製)等が例示され、これらのワックスを主成分とし他のワックスブレンドしたものも用いることができる。
本発明で用いられる油ゲル化剤としては、ジベンジリデンソルビトール、トリベンジリデンソルビトール、ジベンジリデンキシリトール、パラメトキシベンジリデンソルビトール等のベンズアルデヒド類と5価以上のアルコールとの縮合物、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸カルシウム、2-エチルヘキサン酸リチウム、12-ヒドロキシステアリン酸アルミニウム等の金属石鹸、ラウロイルグルタミン酸ジブチルアミド、ラウロイルグルタミン酸ステアリルアミド、ジカプロイルリジンラウリルアミン塩、ジカプロイルリジンラウリルエステル、ジカプロイルリジンラウロイルフェニルアラニンラウリルアミド等のN-アシルアミノ酸のアミド、エステル、アミン塩等の誘導体、エステル基置換度30%以上のデンプン飽和脂肪酸エステルの酸加水分解物からなるデキストリン脂肪酸エステル及び12-ヒドロキシステアリン酸の中から選ばれる1種または2種以上である。
本発明の固型状油中水型乳化粧料には上記した固型ワックス及び油ゲル化剤の一種または二種以上が適宜選択され配合される。なかでも、直鎖状及び/又は分岐状の炭化水素の混合物で直鎖状炭化水素の炭素数の25〜52のものを主成分として含有する固型ワックスが好ましい。固型ワックス及び/又は油ゲル化剤の配合量は所望する硬度に応じて調整することができるが、油分:固型ワックス及び/又は油ゲル化剤の比が20:1〜3:1が好ましく、ただしその配合量は全化粧料中の5〜20重量%である。
本発明に用いられる水の量は全化粧料中の5重量%以上を必要とし、これ以下であると使用時に清涼感が期待できない。特に使用時に非常に大きな清涼感を求めるためには10重量%以上配合することが好ましい。
本発明で用いられる親油性界面活性剤としては、HLB値(川上式)が8以下のものであれば良いが、中でもソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンジイソステアレート、ソルビタンセスキイソステアレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタンジオレート、ソルビタンセスキオレート、グリセリルモノイソステアレート、グリセリルジイソステアレート、グリセリルセスキイソステアレート、グリセリルモノオレート、グリセリルジオレート、グリセリルセスキオレート、ジグリセリルジイソステアレート、ジグリセリルジオレート、ジグリセリンモノイソステアリルエーテル、ジグリセリンジイソステアリルエーテルが好ましい。配合量は乳化される水相の量に応じて選択されるが全化粧料中の0.2〜10重量%が好ましい。
本発明に用いられる疎水化処理粉末は、通常化粧料で用いられる粉末を、従来公知の疎水化処理方法で処理したものが用いられる。粉末を例示すれば無機粉末ではタルク、カオリン、マイカ、セリサイト、シリカ、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ベントナイトやモンモリロナイト等の粘土鉱物粉末、アルミナ、硫酸バリウム、第2リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、粒子径0.1μm以下の微粒子酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、ヒドロキシアパタイト、酸化鉄、チタン酸鉄、群青、紺青、酸化クロム、水酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト、酸化チタンコーテッドマイカ等のパール顔料などがあげられる。
また有機粉末としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリスチレン、メタクリル酸メチル樹脂、セルロース、12ナイロン、6ナイロン、スチレンとアクリル酸の共重合体、ポリプロピレン、塩化ビニール、テトラフルオロエチレン、窒化ボロン、魚鱗箔、赤色3号、赤色4号、赤色203号等のタール系色素をレーキ化したもの、天然色素をレーキ化したもの、及び無機粉末と有機粉末を複合化した複合粉末などがあげられる。
本発明においては上記した粉末を疎水化処理剤で処理して用いる。疎水化処理することにより色分離することなく耐水、耐汗、耐皮脂性等の化粧もちを向上させることができる。とくに多種類の粉末を配合するような製品においては、各々の粉末の分散性のコントロールがより重要で、各々の粉末を疎水化処理することにより分散性が均質化され、色分離等が起こりにくく、安定性は向上する。また、粉末がぬれにくいため、化粧もちも向上する。疎水化処理剤としてはデキストリン脂肪酸エステル、金属石鹸、シリコーン系化合物、ジベンジリデンソルビトール等の有機化合物があげられる。これらの疎水化処理剤を用いて疎水化処理する方法は、例えば特開昭62-205165号報、特公昭45-15394号報、特公昭61-58499号報、特公昭56-43264号報、特開昭56-16404号報、特開昭59-76009号報、特開昭60-163973号報、特開昭63-113081号報、特開昭63-113082号報などに記載された方法が例示される。
本発明の化粧料には上記した疎水化処理粉末のうちから任意の一種または二種以上が選ばれて用いられる。配合量は総粉末量として化粧料全量中の5〜50重量%であり、ファンデーションとして用いる場合には特に好ましくは15〜40重量%である。総粉末量が5重量%未満であると薄づきすぎてメーキャップ効果を感じないので好ましくない。また50重量%を超えるとのびの軽さが得られなくなり好ましくない。
本発明の固型状油中水型乳化化粧料には、上記した必須成分に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で通常化粧料に用いられる成分を配合することができる。例えばヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム等のムコ多糖類、アミノ酸及びその塩、クエン酸、リンゴ酸、乳酸などのオキシ酸及びその塩等の有機酸及びその塩類、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、非イオン性界面活性剤等の界面活性剤、ビタミンE、ビタミンEアセテート等の薬剤、収れん剤、酸化防止剤、防腐剤、香料、第2リン酸ナトリウム等のpH調整剤、粘土鉱物、増粘剤、紫外線吸収剤等があげられる。中でもアミノ酸、ムコ多糖類、有機酸及びその塩類を配合することは安定性を向上させる上で好ましい。
[実施例]
以下に実施例をあげて本発明の効果を説明するがそれによって何等本発明の範囲を限定するものではない。なお、実施例中の配合量はすべて重量%を表す。
[実施例1]
(1)デカメチルシクロペンタシロキサン 38.0
(2)アリストワックス165°F 10.0
(3)ソルビタンジイソステアレート 2.0
(4)シリコーン処理粉末(A) 30.0
(5)イオン交換水 残 部
(6)防腐剤 適 量
(7)香料 適 量
(製法)
(1)〜(3)および(7)を80℃に加熱し溶解後(4)を加え80℃にてホモジナイザーで分散する。さらにあらかじめ80℃に加熱した(5)、(6)の混合物を添加し乳化する。その後容器に充填し室温まで冷却して目的の固型状油中水型乳化化粧料を得た。
なお、ここで用いたシリコーン処理粉末(A)は、特開昭63-113081号報、特開昭63-113082号報に記載の方法に従い、マイカ3.65部、酸化チタン5.0部、酸化鉄赤0.25部、酸化鉄黄1.0部、酸化鉄黒0.1部を混合した後、テトラメチルテトラハイドロジェンシクロシロキサンを反応させた後テトラデセンを付加反応させて得た。
[比較例1]
(1)デカメチルシクロペンタシロキサン 38.0
(2)カルナバロウ 10.0
(3)ソルビタンジイソステアレート 2.0
(4)未処理粉末(B) 30.0
(5)イオン交換水 残 部
(6)防腐剤 適 量
(7)香料 適 量
(製法)
実施例1と同様の製法により製造した。
なお、ここで用いた未処理粉末(B)は、前記のシリコーン処理粉末(A)の処理前の原料粉末混合物をそのまま用いた。
実施例1と比較例1で得られた固型状油中水型乳化化粧料をガラス瓶に充填し蓋をせず25℃および50℃の恒温槽中に放置し、経時での減量、安定性(ひび、われ、分離等)及び使用性(化粧もち、のび、清涼感、さっぱりさ)を評価した。結果を表1に示す。なお、評価方法は以下の通りである。
経時減量

安定性
25℃および50℃に3週間放置後、「ひび」、「われ」、「分離」による状態変化がない場合を良好、やや変化が見られた場合をやや不良、変化が見られた場合を不良とした。
使用性
パネル20名を用い、化粧もち、のび、清涼感、さっぱりさを官能で評価した。
良いと答えた人 15名以上 ○
良いと答えた人 7〜14名 △
良いと答えた人 6名以下 ×

表1から明らかなように、実施例1の固型状油中水型乳化化粧料は揮発による減量が少なく、安定であり、使用性も良好なものであった。
[実施例2]
(1)デカメチルシクロペンタシロキサン 38.0
(2)アリストワックス165°F 10.0
(3)シリコーン処理粉末(A) 10.0
(4)ソルビタンセスキオレート 2.0
(5)イオン交換水 残 部
(製法)
(1)〜(4)の原料を80℃に加熱し、その中に(5)を添加乳化後室温まで冷却して目的の固型状油中水型乳化化粧料を得た。
以下の実施例及び比較例は実施例2の製法と同様の方法で製造した。
[実施例3]
(1)デカメチルシクロペンタシロキサン 38.0
(2)アリストワックス165°F 10.0
(3)ステアリン酸カルシウム処理粉末(C) 10.0
(4)ソルビタンセスキオレート 2.0
(5)イオン交換水 残 部
なお、ここで用いたステアリン酸カルシウム処理粉末(C)は、前記シリコーン処理粉末(A)の原料粉末混合物を、粉末に対して5重量%のステアリン酸カルシウムと混合した後、さらにエタノールを加え、70℃で混練後、乾燥、粉砕して得た。
[実施例4]
(1)デカメチルシクロペンタシロキサン 38.0
(2)パラフィンワックス155°F 10.0
(3)デキストリン脂肪酸エステル処理粉末(D) 10.0
(4)ソルビタンセスキオレート 2.0
(5)イオン交換水 残 部
なお、ここで用いたデキストリン脂肪酸エステル処理粉末(D)は、特開昭62-205165号報記載の方法に従い、前記のシリコーン処理粉末(A)の原料粉末混合物を、デキストリン脂肪酸エステルの5重量%アイソバーE(エクソン化学)溶液に添加、撹拌後脱溶媒し、乾燥、粉砕して得た。
[実施例5]
(1)デカメチルシクロペンタシロキサン 38.0
(2)デキストリンパルミチン酸部分エステル 5.0
(3)アリストワックス165°F 5.0
(4)シリコーン処理粉末(A) 10.0
(5)ソルビタンセスキオレート 2.0
(6)イオン交換水 残 部
[比較例2]
(1)デカメチルシクロペンタシロキサン 38.0
(2)アリストワックス165°F 10.0
(3)未処理粉末(B) 10.0
(4)ソルビタンセスキオレート 2.0
(5)イオン交換水 残 部
[比較例3]
(1)デカメチルシクロペンタシロキサン 38.0
(2)硬化ヒマシ油 10.0
(3)未処理粉末(B) 10.0
(4)ソルビタンセスキオレート 2.0
(5)イオン交換水 残 部
[比較例4]
(1)デカメチルシクロペンタシロキサン 75.0
(2)アリストワックス165°F 10.0
(3)ソルビタンジイソステアレート 2.0
(4)未処理粉末(B) 10.0
(5)イオン交換水 残 部
実施例2〜5及び比較例2〜4の固型状油中水型乳化化粧料の安定性、使用性の評価結果を表2に示す。

表2から明らかなように、実施例2〜5の固型状油中水型乳化化粧料はひび、われ、分離がなく安定なもので、かつ、使用感触もよいものであった。また揮発減量の点でも優れていた。
[実施例6] スティック状乳化ファンデーション
(1)メチルフェニルポリシロキサン 5.0
(2)デカメチルシクロペンタシロキサン 20.0
(3)グリセリルトリイソオクタネート 3.0
(4)グリセリルジイソステアレート 2.0
(5)セレシンワックス 7.0
(6)ジベンジリデンソルビトール 3.0
(7)ステアリン酸カルシウム処理粉末(C) 30.0
(8)香料 適 量
(9)イオン交換水 残 部
(10)グリセリン 2.0
(11)1,3-ブチレングリコール 1.0
(12)防腐剤 適 量
(製法)
(1)〜(6)および(8)を80℃に加熱し溶解後(7)を加え80℃にてホモジナイザーで分散する。さらにあらかじめ80℃に加熱した(9)〜(12)の混合物を添加し乳化する。その後スティック状容器に充填し室温まで冷却して目的のスティック状乳化ファンデーションを得た。
[実施例7] 固型状化粧料
(1)トリメチルシロキシシリケート 3.0
(2)ジメチルポリシロキサン 10.0
(3)セチルイソオクタネート 10.0
(4)スクワラン 10.0
(5)マイクロワックス155 10.0
(6)ジグリセリンジイソステアレート 2.0
(7)ソルビタンセスキイソステアレート 2.0
(8)ステアリン酸カルシウム処理タルク 7.0
(9)イオン交換水 残 部
(10)尿素 3.0
(11)グリシン 3.0
(12)ジグリセリン 2.0
(13)プロピレングリコール 1.0
(14)防腐剤 適 量
(製法)
(1)〜(7)を80℃に加熱し溶解後、(8)を添加し、分散する。次にあらかじめ80℃に加熱した(9)〜(14)の混合物を添加し乳化分散する。その後軟膏容器に充填し室温まで冷却して目的の尿素配合固型状化粧料を得た。
なお、ステアリン酸カルシム処理タルクは、タルク単品を前記のステアリン酸カルシウム処理粉末(C)と同様の処理を行って得た。
[実施例8] コンパクト状乳化ファンデーション
(1)デカメチルシクロペンタシロキサン 36.0
(2)ジメチルポリシロキサン(6cs) 2.0
(3)ホホバオイル 4.0
(4)セレシン 8.0
(5)マイクロクリスタリンワックス 1.0
(6)ソルビタンジイソステアレート 2.0
(7)シリコーン処理粉末(A) 20.0
(8)イオン交換水 残 部
(9)グリセリン 15.0
(10)1,3-ブチレングリコール 2.0
(11)防腐剤 適 量
(12)香料 適 量
(製法)
(1)〜(6)および(12)を80℃に加熱後(8)を加え分散する。次にあらかじめ80℃に加熱した(8)〜(11)の混合物を添加し乳化分散する。その後流動性のある状態で中皿に充填し室温まで冷却してコンパクト状容器に装着し目的のコンパクト状乳化ファンデーションを得た。得られたコンパクト状乳化ファンデーションは、しっとりしてべとつかず清涼感があり、化粧持ちが良く、携帯にも便利なものであった。
以下の実施例の製造方法は、油相成分を80℃に加熱溶解後、粉末を分散し、さらに、あらかじめ加熱しておいた水相成分を乳化分散し、流動性のある状態で容器に充填した。その後冷却して目的物を得た。いずれも安定性良好で清涼感等の使用性にすぐれたものであった。
[実施例9] 頬紅
(1)流動パラフィン 20.0
(2)デカメチルシクロペンタシロキサン 10.0
(3)セチルイソオクタネート 15.0
(4)ジグリセリンジイソステアリルエーテル 3.0
(5)マイクロワックス155 10.0
(6)デキストリンパルミチン酸エステル 2.0
(7)香料 適 量
(8)デキストリン脂肪酸エステル処理粉末(D) 30.0
(9)イオン交換水 6.9
(10)ヒアルロン酸ナトリウム 0.1
(11)コンドロイチン硫酸ナトリウム 1.5
(12)ポリエチレングリコール 1.5
(13)防腐剤 適 量
[実施例10] 口紅
(1)オクタメチルシクロテトラシロキサン 10.0
(2)ジメチルポリシロキサン(6cs) 20.0
(3)ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン 2.0
(4)カルナバロウ 2.8
(5)アリストワックス165°F 8.0
(6)ジグリセリルジオレート 3.0
(7)デキストリン脂肪酸エステル処理酸化鉄赤 0.3
(8)シリコーン処理酸化鉄黄 1.0
(9)赤色204号 0.7
(10)ジブチルヒドロキシトルエン 適 量
(11)香料 適 量
(12)イオン交換水 51.4
(13)アテロコラーゲン 0.3
(14)ピロリドンカルボン酸ナトリウム 0.5
(15)防腐剤 適 量
なお、ここで用いたデキストリン脂肪酸エステル処理酸化鉄赤と、シリコーン処理酸化鉄黄は、前述の処理法に従い処理して得た。
[実施例11] リップトリートメント
(1)スクワラン 10.0
(2)ラノリン 2.0
(3)オクタメチルシクロテトラシロキサン 10.0
(4)イソパラフィン(沸点155℃) 27.0
(5)トリメチルシロキシシリケート 3.0
(6)アリストワックス165°F 8.0
(7)ジグリセリルジイソステアレート 3.0
(8)シリコーン処理酸化鉄黄 0.8
(9)シリコーン処理酸化鉄赤 0.2
(10)シリコーン処理微粒子酸化チタン 3.0
(11)イオン交換水 残 部
(12)グリセリン 5.0
(13)乳酸ナトリウム 0.3
(14)L-グルタミン酸ナトリウム 0.3
(15)ヒアルロン酸ナトリウム 0.1
(16)ソルビトール 0.5
(17)赤色202号 0.01
(18)メントール 0.1
(19)香料 適 量
(20)防腐剤 適 量
なお、ここで用いたシリコーン処理酸化鉄黄と、シリコーン処理酸化鉄赤と、シリコーン処理微粒子酸化チタンは、前述の処理法に従い処理して得た。
[発明の効果]
本発明の固型状油中水型乳化化粧料は油分と、特定の固型ワックス及び/又は特定の油ゲル化剤と、水と、親油性界面活性剤と疎水化処理粉末とを含有し、しかも流動性のない固型状であって、水の揮発が少なく、「ひび」「われ」等のない安定性の優れたものであり、塗布時に「清涼感」という新規な使用感触を有し「のび」「さっぱりさ」「化粧もち」等の使用感にもすぐれているという特徴を有するものである。とくにメーキャップ化粧料として用いるならば化粧持ちがよくかつ固型状でありながら水相成分として各種保湿剤や薬剤を配合でき、また使用中の清涼感、使用後の化粧もちなどに優れるものである。さらに優れた安定性から充填される容器形態の範囲を広げることが出来るという効果も有するものである。
 
訂正の要旨 (1)特許明細書の請求項1における、
「油分と、固型ワックス及び/又は油ゲル化剤と、水と、親油性界面活性剤と、疎水化処理粉末とを含有することを特徴とする固型状油中水型乳化化粧料。」なる記載を、
「油分と、固型ワックス(但し、直鎖状及び/又は分岐鎖状の炭化水素の混合物で直鎖状炭化水素の炭素数25〜52のものを主成分として含有する固型ワックス)及び/又は油ゲル化剤(但し、ベンズアルデヒド類と5価以上のアルコールとの縮合物、金属石鹸、N-アシルアミノ酸のアミド、エステルまたはアミン塩の誘導体、エステル基置換度30%以上のデンプン飽和脂肪酸エステルの酸加水分解物からなるデキストリン脂肪酸エステル及び12-ヒドロキシステアリン酸の中から選ばれる1種または2種以上の油ゲル化剤)と、水と、親油性界面活性剤と、疎水化処理粉末とを含有し、上記固型ワックス及び/又は油ゲル化剤の配合量が2〜50重量%、疎水化処理粉末の配合量が5〜50重量%である固型状油中水型乳化化粧料。」と訂正する。
(2)同明細書第1頁下から2〜1行(特許公報第1欄13行)における「(ペースト状を含む)」を「(ペースト状を含まない)」に訂正する。
(3)同明細書第4頁18〜20行(同公報4欄1〜3行)の「固型ワックス及び/又は油ゲル化剤と、水と、親油性界面活性剤と、疎水化処理粉末と含有する」なる記載を、
「固型ワックス(但し、直鎖状及び/又は分岐鎖状の炭化水素の混合物で直鎖状炭化水素の炭素数25〜52のものを主成分として含有する固型ワックス)及び/又は油ゲル化剤(但し、ベンズアルデヒド類と5価以上のアルコールとの縮合物、金属石鹸、N-アシルアミノ酸のアミド、エステルまたはアミン塩の誘導体、エステル基置換度30%以上のデンプン飽和脂肪酸エステルの酸加水分解物からなるデキストリン脂肪酸エステル及び12-ヒドロキシステアリン酸の中から選ばれる1種または2種以上の油ゲル化剤)と、水と、親油性界面活性剤と、疎水化処理粉末とを含有し、上記固型ワックス及び/又は油ゲル化剤の配合量が2〜50重量%、疎水化処理粉末の配合量が5〜50重量%である」に訂正する。
(4)同明細書第8頁2行(同公報5欄17行)の「するものが好ましい。」を「する。」に訂正する。
(5)同明細書第8頁7行(同公報5欄21〜22行)の「することが好ましい。」を「して用いる。」に訂正する。
(6)同明細書第8頁11行(同公報第5欄25行)の「ものが好ましい。」を「ものが用いられる。」に訂正する。
(7)同明細書第9頁20行(同公報5欄50行〜6欄10行)の「等があげられる。」を「の中から選ばれる1種または2種以上である。」と訂正する。
(8)同明細書第10頁10行(同公報6欄19行)の「、全化粧料中の5〜20重量%が好ましい。」を「、ただしその配合量は全化粧料中の5〜20重量%である。」に訂正する。
(9)同明細書第29頁17行(同公報14欄22〜23行)の「固型ワックス及び/又は油ゲル化剤と、」を「特定の固型ワックス及び/又は特定の油ゲル化剤と、」と訂正する。
異議決定日 2000-09-08 
出願番号 特願昭63-241488
審決分類 P 1 651・ 121- YA (A61K)
P 1 651・ 113- YA (A61K)
最終処分 維持  
前審関与審査官 冨士 美香  
特許庁審判長 吉村 康男
特許庁審判官 深津 弘
宮本 和子
登録日 1997-06-27 
登録番号 特許第2665473号(P2665473)
権利者 株式会社資生堂
発明の名称 固型状油中水型乳化化粧料  
代理人 的場 ひろみ  
代理人 中島 俊夫  
代理人 長谷川 洋子  
代理人 高野 登志雄  
代理人 棚井 澄雄  
代理人 長谷川 洋子  
代理人 有賀 三幸  

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