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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 E04G |
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管理番号 | 1031847 |
異議申立番号 | 異議1999-71274 |
総通号数 | 17 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1997-09-09 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1999-04-07 |
確定日 | 2000-10-30 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第2807984号「挟持解体装置」の請求項1ないし2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第2807984号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件特許第2807984号の請求項1、2に係る発明は、平成8年2月28日に出願されたものであって、平成10年7月31日にその発明についての特許の設定登録がなされ、その後、請求項1、2に係る発明について、異議申立人丸順重工株式会社より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成12年9月8日に意見書と共に訂正請求書が提出されたものである。 2.訂正の適否について (1)訂正の内容 訂正の内容は、下記の訂正事項a、bからなる。 訂正事項a 特許明細書の【特許請求の範囲】の【請求項1】に記載の「備えたことを特徴とする挟持解体装置。」(特許公報2欄4〜5行)を、「備え、しかも、前記上爪及び前記下爪の全開位置では前記第2ピンが前記第1ピンの略直上位置に配置され、前記上爪及び前記下爪の全閉位置では前記第2ピンが第1ピンの後方に配置されることを特徴とする挟持解体装置。」に訂正する。 訂正事項b 特許明細書の【発明の詳細な説明】の【0009】【課題を解決するための手段】に記載の「備えている。」(特許公報4欄26行)を、「備え、しかも、前記上爪及び前記下爪の全開位置では前記第2ピンが前記第1ピンの略直上位置に配置され、前記上爪及び前記下爪の全閉位置では前記第2ピンが前記第1ピンの後方に配置される。」に訂正する。 (2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否 上記訂正事項aは、願書に添付した明細書の段落【0028】の「上、下爪を完全に拡開した際、第2ピンが第1ピンの略直上に位置させることができる。」(特許公報8欄20〜22行)、同段落【0029】の「全閉位置においては、第2ピンは第1ピンの後方で略同一水平面上に位置するので、上、下爪をコンパクトな格納形態とすることができる。」(特許公報8欄31〜34行)の各記載に基づくもので、上爪及び下爪が開いた場合及び閉じた場合の、第1ピン及び第2ピンの位置を特定することにより、第1ピン及び第2ピン並びに第3ピンの相対的な枢支位置を限定したものといえるから、特許請求の範囲の減縮に該当するものである。 また、上記訂正事項bの訂正は、発明の詳細な説明の記載を上記訂正事項aの特許請求の範囲の訂正に整合させるための訂正であって、明りようでない記載の釈明に該当するものであり、上記訂正事項aと同様願書に添付した明細書に記載されたものである。 そして、いずれの訂正も実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (3)独立特許要件 (訂正明細書の請求項1に係る発明) 訂正明細書の請求項1に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により構成されるとおりのものである。 「【請求項1】掘削機のアームの先部に取付けられ、基端がアームの基部側に回動自在に取付けられた油圧シリンダによって噛合及び反噛合方向に同時回動する上爪及び下爪を備えた挟持解体装置であって、基部中間にアーム装着孔を備え、前記アームの先部に該アーム装着孔に挿通する第1ピンを介して軸支された前記下爪と、前記下爪の前記アーム装着孔の更に基部側延長位置に形成された連結孔に第2ピンを介してその基端部が連結された前記上爪と、前記油圧シリンダの先部に軸着されて、前記アームの中間部とは第1のリンクプレートでそれぞれ回動自在に連結され、しかも前記下爪の基端側で前記アーム装着孔及び前記連結孔より外側位置に形成された下爪駆動孔に、第3ピンを介して回動自在に軸着される駆動プレート部を備えた連結ブロックと、前記連結ブロックと前記上爪に形成された上爪駆動孔とを連結する第2のリンクプレートとを備え、しかも、前記上爪及び前記下爪の全開位置では前記第2ピンが前記第1ピンの略直上位置に配置され、前記上爪及び前記下爪の全閉位置では前記第2ピンが第1ピンの後方に配置されることを特徴とする挟持解体装置。」 (引用刊行物の記載事項) 取消理由通知で引用した刊行物1の特開平6-93738号公報及び刊行物2の実願平2-93403号(実開平4-51545号)のマイクロフィルム並びに周知例の特開昭61-126224号公報(以下、刊行物3という)、実願昭60-141340号(実開昭62-50258号)のマイクロフィルム(以下、刊行物4という)には、下記の事項が記載されている。 刊行物1 掴み開閉リンク装置に関して、「建設機械の機体アーム先端にリンクを介してシリンダロッドと連結することによって掴み機能を持たせる場合、開閉する上下二つの直動片と従動片の基部側軸受部は、これまで同一の軸によって固定する例が多かった。・・・そこで、従来のように直動爪と従動爪を同一軸で固定すると、直動爪と従動爪の奥側は開拡間隔等が規制されて設計上の自由度がない。」(1欄24〜34行)、「図1は掴み爪を開いた際の側面図であり、図2は閉じた際の側面図である。この例の掴み開閉リンク装置は、機体アーム先端に装備する下側に設けられた直動片3の直動爪3dと上側の従動片4の従動爪4cを取付けるに際して、従動爪4cと一体の従動片4を機体アーム1に軸支するのではなく、直動爪3dのある直動片3に軸支するようにしている。すなわち、機体ア-ム先取付穴1aに取付ける直動片3とその直動片3の運動により反対方向に動く従動片4が連結ピン9で連結されると共に、直動リンク5と従動リンク6及び揺動リンク7により形成されたリンク構造で開閉する掴み開閉リンク装置である。・・・この例にみられるように、直動片3には中央の機体アーム固定穴3aと両側の直動リンク取付穴3bと従動片連結穴3cを有している。従動片4には従動リンク取付穴4aと直動片連結穴4bを有している。機体アーム元取付穴1bに揺動リンク7の一方を軸支し、揺動リンク7の他端は直動リンク5と共にシリンダロッド8へ連結している。直動リンク5の他端は前述した直動片3の直動リンク取付穴3bに連結している。・・・従動片4は直動片3との連結穴4bと従動リンク取付穴4aとを有しており、前記従動リンク6の一端がこれに連結保持されている。従動リンク6の他端は直動リンク5の中ほどへ連結されている。」(2欄22〜45行)、「機体側のシリンダの作動によるリンクの引きにより機体アーム側の取付軸1a,2aを回動軸とする直動片3が回動すると、その直動片3に相互に連結された従動片4が回動して爪間が開く。従動片4の回動軸が機体アームへの取付軸とは別個なものとなり、機体アームへの取付軸の負荷が軽減される。そこで、機体アームへの取付軸を細径にすることができる。また、直動片と従動片を同軸にした場合よりも掴みの奥側開口を広くすることができる。」(2欄10〜18行)、の記載がある。 そして、上記の直動爪3dのある直動片3の機体アーム1の軸支にピン(以下、第1ピンという)を用いていること、及び、上記直動片3と直動リンク5との連結にピン(以下、第3ピンという)を用いていることは明らかである。 また、図3には、全開位置における直動爪3d、従動爪4c間の最大挟持幅を、直動爪3d、従動爪4cの長さに、第1ピンと連結ピン9との間の間隔を加えたものとする構成が、図5には、全開位置におけるバケット3f(直動爪3dに相当する)、従動爪4d間の最大挟持幅を、バケット3f、従動爪4dの長さに、第1ピンと連結ピン9との間の間隔を加えたものとする構成が、それぞれ記載されていると認める。 さらにまた、図1と図2には、従動爪4c及び直動爪3dの全開位置では連結ピン9が上記第1ピンの前方の斜め下方に配置され、前記従動爪4c及び前記直動爪3dの全閉位置では前記連結ピン9が第1ピンの前方の斜め上方に配置された構成が、記載されていると認める。 以上の明細書及び図面の記載によると、刊行物1には、建設機械の機体アーム1の先部に取付けられ、基端が機体アーム1の基部側に回動自在に取付けられたシリンダによって噛合及び反噛合方向に同時回動する従動爪4c及び直動爪3dを備えた掴み開閉リンクであって、基部中間に機体アーム固定穴3aを備え、前記機体アーム1の先部に該機体アーム固定穴3aに挿通する第1ピンを介して軸支された前記直動爪3dと、前記直動爪3dの前記機体アーム固定穴3aの内側延長位置でやや反基部側に形成された従動片連結穴3cに連結ピン9を介してその基端部が連結された前記従動爪4cと、前記シリンダロッド8の先部に軸着されて、前記機体アーム1の中間部とは揺動リンク7でそれぞれ回動自在に連結され、しかも前記従動爪4cの基端側で前記機体アーム固定穴3a及び前記従動片連結穴3cより外側位置に形成された直動リンク取付穴3bに、第3ピンを介して回動自在に軸着される直動リンク5と、前記直動リンク5と前記従動爪4cに形成された従動リンク取付穴4aとを連結する従動リンク6とを備え、しかも、前記従動爪4c及び前記直動爪3dの全開位置では前記連結ピン9が前記第1ピンの前方の斜め下方に配置され、前記従動爪4c及び前記直動爪3dの全閉位置では前記連結ピン9が第1ピンの前方の斜め上方に配置される掴み開閉リンク、の発明が記載されていると認める。 刊行物2 「本考案は機械力による家屋の解体等において掴み装置として使用するアイアンフォークに関し、特に、アイアンフォークと土工機械本体アームの連結構造に関する。」(2頁3〜6行)、「第1図において、1はパワーショベル等の土工機械(図は省略)のブームに連結されているアーム本体、2はアーム本体1の基部に一端を連結した油圧シリンダである。アーム本体1は周知のように先端に各種作業アタッチメントをピン3を介して軸着するための取付孔4を有するとともに、この取付孔4の後方に、前記油圧シリンダ2のロッド2′と協働してアタツチメントを作動するための作動リンク5の一端がピン6により回動自在軸着されている。他方、アイアンフォーク7は主動フォーク部材8と従動フォーク部材9の各基端部をピン10によって回動自在に連結した構成になっている。主動フォーク部材8は背部にスティ11を一体形成してあるとともにこのスティ11に前記作動リンク5と油圧シリンダロッド2′を連結するためのピン孔12を形成してある。また、従動リンク9には主動リンク9との連結ピン10のピン孔10′から離隔した位置に、前記アーム本体1に連結するための取付孔13 を具備している。」(6頁14〜7頁14行)、「主動フォーク部材のスティ11に形成するピン孔12は一個でもよいが、好ましくは第2図のようにスティ11の軸方向あるいは幅方向に位置をずらせて複数個形成し、リンク5及びシリンダロッド2′の連結位置を変更してアイアンフォークの開閉作動を調整できるようにしてもよい。」(8頁2〜7行)、の記載がある。 また、第1図及び第2図には、主動フォーク部材8及び従動フォーク部材9の全開位置ではピン10がピン3の後方の斜め上方に配置され、前記主動フォーク部材8及び前記従動フォーク部材9の全閉位置では前記ピン10が前記ピン3の後方の斜め下方に配置される構成が、記載されている。 刊行物3 フロントローダに関し、「18,19はシリンダ取付板10の回動を規制するストッパで、シリンダ取付板10が第1ストッパ18に当接しているとき、ブームシリンダ7の伸張力はブーム6を押上げ、第2ストッパ19に当接しているとき、作業具シリンダ9の伸張力は作業具8を下向き回動させる。」(2頁左下欄13〜18行)、の記載がある。 刊行物4 閉鎖形グラブバケットに関し、「上記対向するシェル11、12内の当接面の内側には、上記上方開口部閉鎖板17、18の両端部が当接する前記ストッパー19、20が取付けられ、該閉鎖型グラブバケット10が開けても、上記上方開口部閉鎖板17、18がシェル11、12の当接面からはみ出して垂れ下がらないようになっている。」(12頁14〜20行)、の記載がある。 (対比・判断) 訂正明細書の請求項1に係る発明と刊行物1記載の発明とを比較すると、刊行物1記載の発明の「建設機械の機体アーム1」、「シリンダ」、「従動爪4c」、「直動爪3d」、「掴み開閉リンク」、「機体アーム固定穴3a」、「従動片連結穴3c」、「連結ピン9」、「揺動リンク7」「直動リンク取付穴3b」、「直動リンク5」、「従動リンク取付穴4a」、「従動リンク6」は、訂正明細書の請求項1に係る発明の「掘削機のアーム」、「油圧シリンダ」、「上爪」、「下爪」、「挟持解体装置」、「アーム装着孔」、「連結孔」、「第2ピン」、「第1のリンクプレート」、「下爪駆動孔」、「駆動プレート部を備えた連結ブロック」、「上爪駆動孔」、「第2のリンクプレート」に相当するから、 両者は、「掘削機のアームの先部に取付けられ、基端がアームの基部側に回動自在に取付けられた油圧シリンダによって噛合及び反噛合方向に同時回動する上爪及び下爪を備えた挟持解体装置であって、基部中間にアーム装着孔を備え、前記アームの先部に該アーム装着孔に挿通する第1ピンを介して軸支された前記下爪と、前記下爪の前記アーム装着孔の更に延長位置に形成された連結孔に第2ピンを介してその基端部が連結された前記上爪と、前記油圧シリンダの先部に軸着されて、前記アームの中間部とは第1のリンクプレートでそれぞれ回動自在に連結され、しかも前記下爪の基端側で前記アーム装着孔及び前記連結孔より外側位置に形成された下爪駆動孔に、第3ピンを介して回動自在に軸着される駆動プレート部を備えた連結ブロックと、前記連結ブロックと前記上爪に形成された上爪駆動孔とを連結する第2のリンクプレートとを備えた挟持解体装置。」である点で一致し、 イ)下爪のアーム装着孔の延長位置に形成された連結孔が、訂正明細書の請求項1に係る発明が、下爪のアーム装着孔の更に基部側延長位置に形成されているのに対し、刊行物1記載の発明は、下爪のアーム装着孔の内側延長位置でやや反基部側に形成されている点、 ロ)訂正明細書の請求項1に係る発明が、上爪及び下爪の全開位置では第2ピンが第1ピンの略直上位置に配置され、前記上爪及び前記下爪の全閉位置では前記第2ピンが第1ピンの後方に配置されるのに対し、刊行物1記載の発明は、上爪及び下爪の全開位置では第2ピンが第1ピンの前方の斜め下方に配置され、前記上爪及び前記下爪の全閉位置では前記第2ピンが第1ピンの前方の斜め上方に配置される点、 で相違している。 そこで、先ず、相違点ロ)について検討すると、刊行物2記載の「掴み装置として使用するアイアンフォーク」、「主動フォーク部材8」、「従動フォーク部材9」、「ピン3」、「ピン10」は、訂正明細書の請求項1に係る発明の「挟持解体装置」、「上爪」、「下爪」、「第1ピン」、「第2ピン」に対応するから、同刊行物には、挟持解体装置において、上爪及び下爪の全開位置では第2ピンが第1ピンの後方の斜め上方に配置され、前記上爪及び前記下爪の全閉位置では前記第2ピンが前記第1ピンの後方の斜め下方に配置されている構成が記載されているが、これは、全開位置において第2ピンが第1ピンの斜め上方に配置されているにすぎないから、訂正明細書の請求項1に係る発明のように第2ピンが第1ピンの略直上位置に配置されるに至るまでの上、下爪間の最大挟持幅を得ることのできない構成のものであると共に、全開位置においても全閉位置においても第2ピンは第1ピンの後方に位置されたものであるから、訂正明細書の請求項1に係る発明のように上爪及び下爪の全閉位置において第2ピンの位置を全開位置より後方へ後退させる機能を有するものでもない。また、刊行物3及び4には、それぞれフロントローダ、閉鎖型グラブバケットに関する記載があるだけであって、相違点ロ)に関する記載は認められない。なお、刊行物1の図5、6には、相違点ロ)に関して、バケット3f及び掴み爪4dの全開位置では第2ピン(連結ピン9)が第1ピンの略直下位置に配置され、前記バケット3f及び前記掴み爪4dの全閉位置では前記第2ピンが第1ピンの略後方に配置される構成の記載があるが、これは、一方の掴み爪にバケットを用いるものであると共に他方の掴み爪も直動片に軸支されたものではないから、訂正明細書の請求項1に係る発明の挟持解体装置とは、その基本的な構成要件を異にするものである。そして、前記バケット3fは、全閉位置において後退機能を有しないと共に前記バケット3fと前記掴み爪4dは斜め下方の姿勢で閉じるものであるから、訂正明細書の請求項1に係る発明のようなコンパクトな格納形態が形成されるものではない。また、同刊行物の図3、4、7、8にも、図5、6の記載以上の相違点ロ)に関する記載は認められない。 そして、訂正明細書の請求項1に係る発明は、刊行物1〜4には記載も示唆もない相違点ロ)に関する「上爪及び下爪の全開位置では第2ピンが第1ピンの略直上位置に配置され、前記上爪及び前記下爪の全閉位置では前記第2ピンが第1ピンの後方に配置される」構成を、挟持解体装置の構成要件とすることにより、特許明細書に記載されたように「全閉位置から全開位置に至るまで、上、下爪の基部と、第2ピンとが蛇の顎のように動くことによって、全開位置における上、下爪間の最大挟持幅を、上、下爪の長さに、第1ピンと第2ピンとの間の間隔を加えたものとすることができ、上、下爪が大塊からなる建築物片であっても容易かつ確実に挟持し、・・・全閉位置においては、第2ピンは第1ピンの後方で略同一水平面上に位置するので、上、下爪をコンパクトな格納状態とすることができる。従って、トレーラや重量物積載車に挟時解体装置を取付けた状態で掘削機を搭載した際、地上高さを可及的に低くでき、掘削機の運搬を容易かつ安全に行うことができる。」(段落【0029】の記載参照)という特有の効果を奏すると認める。 したがって、相違点イ)について検討するまでもなく、訂正明細書の請求項1に係る発明は、刊行物1〜4記載の発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。 また、他に特許を受けることができないとする理由も発見できないから、訂正明細書の請求項1に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。 (4)むすび 以上のとおりであるから、上記訂正は、平成11年改正前の特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する特許法第126条第2〜4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 3.特許異議の申立てについて (1)本件請求項1、2に係る発明 上記2.で示したように上記訂正が認められるから、本件請求項1、2に係る発明は、上記訂正に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1、2に特定されたとおりのものである。 「【請求項1】(上記2.(3)の「訂正明細書の本件発明」参照) 【請求項2】前記下爪の基端側及び前記上爪の基端側には、それぞれ該上爪及び下爪の最大開き角度を決定するストッパーが設けられている請求項1記載の挟持解体装置。」 (2)申立て理由の概要 異議申立人は、甲第1号証として実願平2ー93403号(実開平4ー51545号)のマイクロフィルム(刊行物2)を提出して、本件の請求項1、2に係る発明は、本件特許明細書に記載の従来技術及び甲第1号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、特許法第113条第1項第2号の規定により取り消されるべきものである旨主張している。 (3)提出された証拠の内容 甲第1号証 上記2.(3)の(引用刊行物の記載事項)における刊行物2の記載事項参照。 (4)対比・判断 本件特許明細書に記載の従来技術が本件の出願前公知の技術事項であることは立証されていないばかりでなく、上記2.(3)の(対比・判断)で示したように、本件請求項1に係る発明は、例え、本件特許明細書に記載の従来技術を公知の技術事項として採用したとしても、本件特許明細書に記載の従来技術と実質上共通する技術事項が記載されていると認められる刊行物1記載の発明及び甲第1号証の刊行物2記載の発明から当業者が容易に発明をすることができたものではない以上、本件請求項1に係る発明は、異議申立人が主張する従来技術及び甲第1号証に記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 また、本件請求項2に係る発明については、請求項1に係る発明を引用するものであって、上記のように、本件請求項1に係る発明について、異議申立人が主張する理由を採用できない以上、本件請求項2に係る発明も、異議申立人が主張する従来技術及び甲第1号証に記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 (5)むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由によっては本件請求項1、2に係る発明についての特許を取消すことはできない。 また、他に本件請求項1、2に係る発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 挟持解体装置 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 掘削機のアームの先部に取付けられ、基端がアームの基部側に回動自在に取付けられた油圧シリンダによって▲噛▼合及び反▲噛▼合方向に同時回動する上爪及び下爪を備えた挟持解体装置であって、 基部中間にアーム装着孔を備え、前記アームの先部に該アーム装着孔に挿通する第1ピンを介して軸支された前記下爪と、 前記下爪の前記アーム装着孔の更に基部側延長位置に形成された連結孔に第2ピンを介してその基端部が連結された前記上爪と、 前記油圧シリンダの先部に軸着されて、前記アームの中間部とは第1のリンクプレートでそれぞれ回動自在に連結され、しかも前記下爪の基端側で前記アーム装着孔及び前記連結孔より外側位置に形成された下爪駆動孔に、第3ピンを介して回動自在に軸着される駆動プレート部を備えた連結ブロックと、 前記連結ブロックと前記上爪に形成された上爪駆動孔とを連結する第2のリンクプレートとを備え、 しかも、前記上爪及び前記下爪の全開位置では前記第2ピンが前記第1ピンの略直上位置に配置され、前記上爪及び前記下爪の全閉位置では前記第2ピンが前記第1ピンの後方に配置されることを特徴とする挟持解体装置。 【請求項2】 前記下爪の基端側及び前記上爪の基端側には、それぞれ該上爪及び下爪の最大開き角度を決定するストッパーが設けられている請求項1記載の挟持解体装置。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、バックホー、パワーショベル等の掘削機のアームの先部に取付けて使用する挟持解体装置に関する。 【0002】 【従来の技術】 各種建築物や構築物を解体するための手段として、近年、挟持解体装置が多用されており、この挟持解体装置は、一般に、建築物等の一部を鋼製の上、下爪によって強力に挟むことによって圧壊し、徐々に圧壊部分を拡大することによって建築物等の全体を圧壊するものである。 【0003】 図5及び図6に、このような挟持解体装置の一形態をなす挟持解体装置Bの構成を示す。 図示するように、挟持解体装置Bは、掘削機のアーム60の先部に、上、下爪61、62の基部を定置枢軸63周りに上、下方向に開閉自在に取付け、全閉位置で、上、下爪61、62が水平▲噛▼合状態になる構成を有する。 即ち、図5に示す全閉位置では、下爪62の基部が掘削機のアーム60の先部に定置枢軸63によって枢支されると共に、下爪62の基部であって定置枢軸63より前方かつ上方に離隔した箇所に上爪61の基部が旋回枢軸64によって枢支されている。 【0004】 一方、掘削機のアーム60の上部には前後方向に回転自在な後リンク部材65の下端が取付けられ、後リンク部材65の上端は、定置枢軸63の後方に所定距離離隔した位置で下爪62の基部に、連結リンク部材66によって連結されている。 さらに、上爪61の基部側上部は、前リンク部材67によって後リンク部材65の上端に枢支連結されている。 【0005】 従って、掘削機のアーム60に搭載した図示しない油圧シリンダを駆動して後リンク部材65を後方に回転させることによって、図6に示すように、下爪62を定置枢軸63周りに下方向に回転させることができると共に、上爪61を、前リンク部材67を後方に引くことによって旋回枢軸64周りに上方に回転させることができる。一方、油圧シリンダを駆動して後リンク部材65を前方に回転させることによって、上、下爪61、62を閉じて、建築物の一部を強力な力で挟み圧壊することができる。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】 しかし、上記した従来の挟持解体装置Bは、未だ、以下の解決すべき課題を有していた。 即ち、図5に示す全閉位置において、旋回枢軸64は定置枢軸63の前方に位置しているため、下爪62を下方へ回転して拡開した際、この回転に連動して旋回枢軸64も反時計方向に回転し、その結果、旋回枢軸64と定置枢軸63との間の垂直方向の間隔dを十分に確保することができない。 【0007】 従って、図6に示すように上、下爪61、62を全開した際においても、建築物等挟持幅wを十分に確保できず、挟持能力の点で問題があった。 なお、挟持能力を高めるためには、上、下爪61、62の長さL3、L4を長くすればよいが、この場合、挟持解体装置Bをコンパクトな構造とすることができず、そのため、トレーラーや重量物積載車に挟持解体装置Bを取付けた状態で掘削機を搭載した際、地上高さが高くなり、掘削機の運搬上、交通規制を受ける等の問題を生じることになっていた。 【0008】 本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、コンパクトな構造でありながら、上、下爪によって大塊からなる建築物等であっても容易かつ確実に挟持でき、その後、強力に圧壊することができる挟持解体装置を提供することを目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】 前記目的に沿う請求項1記載の挟持解体装置は、掘削機のアームの先部に取付けられ、基端がアームの基部側に回動自在に取付けられた油圧シリンダによって▲噛▼合及び反▲噛▼合方向に同時回動する上爪及び下爪を備えた挟持解体装置であって、基部中間にアーム装着孔を備え、前記アームの先部に該アーム装着孔に挿通する第1ピンを介して軸支された前記下爪と、前記下爪の前記アーム装着孔の更に基部側延長位置に形成された連結孔に第2ピンを介してその基端部が連結された前記上爪と、前記油圧シリンダの先部に軸着されて、前記アームの中間部とは第1のリンクプレートでそれぞれ回動自在に連結され、しかも前記下爪の基端側で前記アーム装着孔及び前記連結孔より外側位置に形成された下爪駆動孔に、第3ピンを介して回動自在に軸着される駆動プレート部を備えた連結ブロックと、前記連結ブロックと前記上爪に形成された上爪駆動孔とを連結する第2のリンクプレートとを備え、しかも、前記上爪及び前記下爪の全開位置では前記第2ピンが前記第1ピンの略直上位置に配置され、前記上爪及び前記下爪の全閉位置では前記第2ピンが前記第1ピンの後方に配置される。 【0010】 請求項2記載の挟持解体装置は、請求項1記載の挟持解体装置において、前記下爪の基端側及び前記上爪の基端側には、それぞれ該上爪及び下爪の最大開き角度を決定するストッパーが設けられている。 【0011】 【発明の実施の形態】 続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。 【0012】 まず、図1〜図4を参照して、本発明の一実施の形態に係る挟持解体装置Aの全体構成について説明する。 図示するように、挟持解体装置Aは、掘削機のアーム10の先部に、先部を内側に対称に折り曲げた上、下爪11、12の基部を上、下方向に開閉自在に取付け、全閉位置で、上、下爪11、12が水平▲噛▼合状態になる構成を有する。 即ち、下爪12の基部が掘削機のアーム10の先部に第1ピンの一例である定置枢軸13によって枢支されると共に、下爪12の基部であって定置枢軸13より後方に離隔した箇所に上爪11の基部が第2ピンの一例である旋回枢軸14によって枢支されている。 【0013】 掘削機のアーム10の上部には前後方向に回転自在に第1のリンクプレートの一例である後リンク部材15の下端が枢軸16によって枢支連結されている。 この後リンク部材15の上端は、掘削機のアーム10に搭載した油圧シリンダ17の伸縮ロッド18の先部19と共に枢軸20によって、連結ブロック21の上部に枢支連結されている。 この連結ブロック21の下部には第3ピンの一例である枢軸24によって、下爪12の基部であって定置枢軸13周りに所定円周角度だけ旋回枢軸14から下方に離隔した箇所と連結されている。 【0014】 また、連結ブロック21の上端前部には前方に伸延する第2のリンクプレートの一例である前リンク部材26の後端が枢軸27によって枢支連結されており、この前リンク部材26の前端は、枢軸28によって、上爪11の上面に突設したブラケット29の上部に枢支連結されている。 【0015】 ついで、上記した構成を有する挟持解体装置Aによる解体作業について、図1及び図2を参照して説明する。 掘削機のアーム10に搭載した油圧シリンダ17を駆動して後リンク部材15を後方に引くと、ブラケット21aも後方に移動し、このブラケット21aの後方移動に連動して駆動プレート部の一例である連結リンク部材22が上方に引き上げられる。従って、連結リンク部材22の下端に基部が連結されている下爪12は、定置枢軸13周りに反時計方向に回転することになり、下爪12を形成する3個の挟持破砕部31は矢印aで示すように下方向に回転することになる。 【0016】 また、前記した油圧シリンダ17の駆動による連結ブロック21の後方移動に連動して、前リンク部材26も後方に引かれ、その結果、上爪11を形成する2個の挟持破砕部30は、矢印bで示すように定置枢軸13周りに上方向に回転させられる。 さらに、本実施の形態では、上記した上、下爪11、12の動きに連動して、全閉位置で定置枢軸13の後方に位置する旋回枢軸14も爪開き時に定置枢軸13周りに反時計方向に回転させられることになり、全開位置において、図2に示すように、上、下爪11、12を、それらの軸線が掘削機のアーム10の軸線に対して略直角になるまで完全に拡開することができると共に、旋回枢軸14は定置枢軸13の略直上に位置することになる。 【0017】 即ち、全閉位置から全開位置に至るまで、上、下爪11、12の基部と、旋回枢軸13とが蛇の顎のように動くことによって、図2に示すように、完全拡開位置における上、下爪11、12間の最大挟持幅Wは、上、下爪11、12の長さL1、L2に、定置枢軸13と旋回枢軸14との間の間隔Dを加えたものとすることができるので、油圧シリンダ17により後リンク部材15を前方へ押し出すことによって、上、下爪11、12が大塊からなる建築物片であっても容易かつ確実に挟持することができ、その後、油圧シリンダ17を再度駆動して後リンク部材15をさらに前方に進出することによって上、下爪11、12を閉じ、強力に建築物片を圧壊することができる。 【0018】 一方、全閉位置においては、図1に示すように、旋回枢軸14は定置枢軸13の後方で略同一水平面上に位置するので、上、下爪11、12をコンパクトな格納形態とすることができる。従って、トレーラーや重量物積載車に挟持解体装置Aを取付けた状態で掘削機を搭載した際、地上高さを可及的に低くでき、運搬を容易かつ安全に行うことができる。 これに対して、図6に示すように、従来の場合、全開位置において、上爪61は略直角に拡開することができても、下爪62は十分に拡開できず、しかも、定置枢軸63と旋回枢軸64との間の間隔dは、全閉位置における値より小さくなる。 【0019】 従って、全開位置における上、下爪61、62間の最大挟持幅wは、上爪61の長さL3と、下爪62の高さH(下爪62の長さL4より短い)及び定置枢軸63と旋回枢軸64との間の間隔dとを足したものとなる。 なお、従来の挟持解体装置Bにおける上、下爪61、62の長さL3、L4を本実施の形態に係る挟持解体装置Aの上、下爪11、12の長さL1、L2と同じにした場合、従来の挟持解体装置Bにおける上、下爪61、62間の最大挟持幅wは、本実施の形態における挟持解体装置Aにおける上爪11、下爪12間の最大挟持幅Wと比較して、著しく狭いものとなっており、大塊からなる建築物片を容易に挟持して圧壊することができない構造となっている。 【0020】 また、本発明の一実施の形態に係る挟持解体装置Aにおいては、図2に示すように、下爪12と上爪11の基端部には、それぞれ、全開位置で相互に係合するストッパー56、57が設けられており、これらの係合によって、上、下爪11、12が全開位置よりさらに拡開するのを確実に防止することができる。 【0021】 以上、本発明の一実施の形態に係る挟持解体装置Aの要部の構成について説明してきたが、その他の構成について、図1〜図4を参照して、特に、図3及び図4を参照して、以下、具体的に説明する。 図3及び図4に示すように、上爪11を形成する、一定の幅方向間隔をあけて並設された2個の挟持破砕部30の基部同士は連結筒32及び連結板32aを介して一体的に連結されており、上爪11の剛性を高めている。そして、連結筒32の上面中央部には、枢軸28を通すための上爪駆動孔の一例である透孔33を設けたブラケット29が固着されている。 上爪11の基部には後方に伸延する一対のブラケット35が幅方向に間隔をあけて突設されており、これらのブラケット35の後端下部には、旋回枢軸14を通すための連結孔の一例である透孔36がそれぞれ設けられている。 【0022】 図3及び図4に示すように、下爪12を形成する、一定の幅方向間隔をあけて並設された3個の挟持破砕部31の基部同士は連結筒37を介して一体的に連結されており、その前部同士は補強筒25によって連結されており、下爪12の剛性を高めている。そして、図1及び図3に示すように、挟持解体装置Aの全閉位置において、下爪12を形成する3個の挟持破砕部31間に形成された2個の長尺の空間内に、上爪11を形成する2個の挟持破砕部30が収納され、相互に▲噛▼み合った状態となり、扶持破砕部30のコンパクト化を図ることができる。 【0023】 また、下爪12の基部には後方に伸延する3対のブラケット38、39、40が幅方向に間隔を開けて突設されている。そして、中央の2対のブラケット38、39は後端に向けて漸次上方に傾斜しており、その前部には定置枢軸13を通すためのアーム装着孔の一例である透孔41、42が設けられており、その後端には旋回枢軸14を通すための透孔43、44が設けられている。一方、両端に設けられた一対のブラケット40は後端に向けて漸次下方に傾斜しており、その後端には枢軸24を通すための下爪駆動孔の一例である透孔45が設けられている。なお、透孔41、42はアーム装着孔の一例であるものであり、一方、透孔43、44は連結孔の一例であるものである。 【0024】 図3及び図4に示すように、アーム10の先部には定置枢軸13を通すための透孔46を設けたボス47が設けられており、ボス47の幅は、下爪11の基部に突設したブラケット38の内面間に嵌入できる大きさとしている。 図3及び図4に示すように、それぞれ側面視で三角形状の一対のブラケット21aが長尺の筒体48の中央部に幅方向に間隔をあけて固着されており、この筒体48の両端にはそれぞれ連結リンク部材22の上端が固着されておりクランク構造の連結ブロック21を形成している。また、両連結リンク部材22の下部には、それぞれ、枢軸24を通すための透孔50が設けられている。 【0025】 また、図3及び図4に示すように、一対のブラケット21aの前部には枢軸27を通すための透孔52が設けられており、その後部には枢軸20を通すための透孔53が設けられている。 さらに、図3及び図4に示すように、前リンク部材26の前部には枢軸28を通すための透孔54が設けられており、その後部には枢軸27を通すための透孔55が設けられている。 上記したように、本実施の形態に係る挟持解体装置Aは、実質的に、上、下爪11、12と、クランク構造を有する連結ブロック21と、前、後リンク部材26、15とからなり、これらの構成部材を複数の枢軸13、14、20、24、27、28によってバックホー、パワーショベル等からなる掘削機のアーム10の先部に容易に取付け、取外しすることができる。 【0026】 以上、本発明を、一つの実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられる他の実施の形態や変容例も含むものである。 【0027】 【発明の効果】 請求項1及び2記載の挟持解体装置においては、基部中間にアーム装着孔を備え、アームの先部にアーム装着孔に挿通する第1ピンを介して軸支された下爪と、下爪のアーム装着孔の更に基部側延長位置に形成された連結孔に第2ピンを介してその基端部が連結された上爪と、掘削機のアームの先端に取付けられた油圧シリンダの先部に軸着されて、アームの中間部とは第1のリンクプレートでそれぞれ回動自在に連結され、しかも下爪の基端側でアーム装着孔及び連結孔より外側位置に形成された下爪駆動孔に、第3ピンを介して回動自在に軸着される駆動プレート部を備えた連結ブロックと、この連結ブロックと上爪に形成された上爪駆動孔とを連結する第2のリンクプレートとを備えている。 【0028】 上記した構成によって、掘削機のアームに搭載した油圧シリンダを駆動して第1のリンクプレートを後方回転させた際、下爪を第1ピン周りに下方向に回転させることができると共に、上爪を、第2のリンクプレートを後方に引くことによって第2ピン周りに上方に回転させることができ、かつ、下爪の下方向回転に連動して第2ピンを第1ピン周りに上方向に回転させ、上、下爪を完全に拡開した際、第2ピンが第1ピンの略直上に位置させることができる。 【0029】 従って、全閉位置から全開位置に至るまで、上、下凧の基部と、第2ピンとが蛇の顎のように動くことによって、全開位置における上、下爪間の最大挟持幅を、上、下爪の長さに、第1ピンと第2ピンとの間の間隔を加えたものとすることができ、上、下爪が大塊からなる建築物片であっても容易かつ確実に挟持し、その後、油圧シリンダを再度駆動して第1のリンクプレートを前方に進出して上、下爪を閉じることによって建築物片を強力に圧壊することができる。 一方、全閉位置においては、第2ピンは第1ピンの後方で略同一水平面上に位置するので、上、下爪をコンパクトな格納形態とすることができる。従って、トレーラーや重量物積載車に挟持解体装置を取付けた状態で掘削機を搭載した際、地上高さを可及的に低くでき、掘削機の運搬を容易かつ安全に行うことができる。 【0030】 特に、請求項2記載の挟持解体装置においては、下爪と上爪の基端部には、それぞれ、全開位置で相互に係合するストッパーが設けられている。 従って、これら上、下風に設けたストッパーの係合によって、上、下爪が全開位置よりさらに拡開するのを確実に防止することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の一実施の形態に係る挟持解体装置の全閉位置における側面図である。 【図2】 同全開位置における側面図である。 【図3】 同平面図である。 【図4】 同分解斜視図である。 【図5】 従来の挟持解体装置の全閉位置における側面図である。 【図6】 同全開位置における側面図である。 【符号の説明】 A 挟持解体装置 d 間隔 D 間隔 L1 長さ L2 長さ L3 長さ L4 長さ H 高さ w 最大挟持幅 W 最大挟持幅 10 アーム 11 上爪 12 下爪 13 定置枢軸(第1ピン) 14 旋回枢軸(第2ピン) 15 後リンク部材(第1のリンクプレート) 16 枢軸 17 油圧シリンダ 18 伸縮ロッド 19 先部 20 枢軸 21 連結ブロック 21a ブラケット 22 連結リンク部材(駆動プレート部) 24 枢軸(第3ピン) 25 補強筒 26 前リンク部材(第2のリンクプレート) 27 枢軸 28 枢軸 29 ブラケット 30 挟持破砕部 31 挟持破砕部 32 連結筒 32a 連結板 33 透孔(上爪駆動孔) 35 ブラケット 36 透孔(連結孔) 37 連結筒 38 ブラケット 39 ブラケット 40 ブラケット 41 透孔(アーム装着孔) 42 透孔(アーム装着孔) 43 透孔(連結孔) 44 透孔(連結孔) 45 透孔(下爪駆動孔) 46 透孔 47 ボス 48 筒体 50 透孔 52 透孔 53 透孔 54 透孔 55 透孔 56 ストッパー 57 ストッパー |
訂正の要旨 |
(訂正の要旨) 1.特許請求の範囲の減縮を目的として、 特許明細書の【特許請求の範囲】の【請求項1】に記載の「備えたことを特徴とする挟持解体装置。」(特許公報2欄5行)を、 「備え、しかも、前記上爪及び前記下爪の全開位置では前記第2ピンが前記第1ピンの略直上位置に配置され、前記上爪及び前記下爪の全閉位置では前記第2ピンが第1ピンの後方に配置されることを特徴とする挟持解体装置。」に訂正する。 2.上記1の特許明細書の【特許請求の範囲】の【請求項1】の訂正と整合させるため、明りょうでない記載の釈明を目的として、【発明の詳細な説明】の【0009】【課題を解決するための手段】に記載の「備えている。」(特許公報4欄26行)を、 「備え、しかも、前記上爪及び前記下爪の全開位置では前記第2ピンが前記第1ピンの略直上位置に配置され、前記上爪及び前記下爪の全閉位置では前記第2ピンが第1ピンの後方に配置される。」に訂正する。 |
異議決定日 | 2000-10-05 |
出願番号 | 特願平8-69254 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YA
(E04G)
|
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 小山 清二 |
特許庁審判長 |
樋口 靖志 |
特許庁審判官 |
藤枝 洋 斎藤 利久 |
登録日 | 1998-07-31 |
登録番号 | 特許第2807984号(P2807984) |
権利者 | 株式会社松本製作所 |
発明の名称 | 挟持解体装置 |
代理人 | 佐藤 嘉明 |
代理人 | 中前 富士男 |
代理人 | 浜本 忠 |
代理人 | 高橋 邦彦 |
代理人 | 中前 富士男 |