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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A47L
審判 全部申し立て 特39条先願  A47L
管理番号 1032048
異議申立番号 異議2000-71884  
総通号数 17 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1997-09-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-05-01 
確定日 2000-12-25 
異議申立件数
事件の表示 特許第2972136号「軽量化マット」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第2972136号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 
理由 〔1〕手続の経緯
本件特許第2972136号の請求項1〜3に係る発明は、平成8年3月22日に特許出願され、平成11年8月27日にその特許権の設定登録がされ、その後、株式会社ダスキンより特許異議の申立てがされ、取消理由通知がされ、その指定期間内である平成12年11月10日に意見書が提出されたものである。
〔2〕特許異議申立てについて
ア.本件請求項1〜3に係る発明
特許第2972136号の請求項1〜3に係る発明(以下「本件請求項1〜3に係る発明」という。)は、その特許請求の範囲に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】基布と該基布にタフト化されたパイルを有する表面材と、前記基布の裏面に一体化されるゴムシートを有するダストコントロールマットにおいて、ベースポリマー100重量部に対し発泡性マイクロカプセルが5重量部乃至10重量部の配合比率で、且つ、1.5倍乃至3倍の発泡倍率に調整すると共に0.5mm乃至3.0mmの厚みに設定した未加硫ゴムシートを用意し、加熱及び加圧下で前記基布との一体化と共に前記未加硫ゴムの発泡及び加硫を促進させて形成したゴムシートを備える軽量化マット。
【請求項2】発泡ゴムシートが合成ゴムからなる請求項1記載の軽量化マット。
【請求項3】パイルは原液着色のナイロンフィラメントからなる請求項1又は請求項2記載の軽量化マット。」
イ.申立の理由の概要
本件請求項1に係る発明は、甲第1号証(実公平7-6848号公報)に記載された考案と同一であるから、特許法第39条第3項の規定に該当し、又は本件請求項1に係る発明は、甲第1号証に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に該当し、又は本件請求項1に係る発明は、甲第1号証及び甲第2号証(特開平7-194476号公報)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に該当し、本件請求項2に係る発明は、甲第1、2号証に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に該当し、本件請求項3に係る発明は、甲第1〜3号証に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に該当し、本件の請求項1〜3に係る特許は取り消されるべきであると主張している。
ウ.甲第1〜3号証に記載された発明
甲第1号証には、床マットに関して、第1〜5図と共に以下の事項が記載されている。
(1)「基布と、該基布にタフト化されたマットパイルと、該基布の裏面に一体化されたゴムシートからなる床マットにおいて、低発泡性の未加硫ゴムシートとタフト化マットとを加熱加圧下に一体化させ且つ該ゴムシートを加硫発泡させることにより形成され、ゴムシートは1.2乃至3倍の発泡倍率を有し且つ0.1乃至1.0mmの厚みのスキン層を有することを特徴とする波うちを防止した床マット。・・・発泡ゴムシートがニトリルーブタジエン・ゴム(NBR)から成る請求項(1)記載の床マット。」(実用新案登録請求の範囲)の点。
(2)「行程(A)において基布にパイルをタフト化して成る原反1を、発泡剤及び加硫剤を含有する低発泡性の未加硫ゴムシート2と重ね合せ、行程(B)で重ね合せたものを加熱加圧して、両者の接着による一体化とゴムシートの加硫発泡とを行わせる。この際ゴムシート2には、気泡4が形成される。最後に行程(C)でパッキングマットを冷却する。」(第5欄第28〜35行)点。
(3)「天然ゴム製または合成ゴム製のいずれでもよく、その好ましい厚みは0.5〜2.0mmである。そして、この考案の床マットは、例えば上記の天然ゴムまたは合成ゴムからなるゴム組成物に発泡剤を加えてシートを形成し、このシート上にパイルカーペットを重ねて熱板間に挟み、3〜5kg/cm2の圧力下、150〜170℃で10〜20分間加熱し、加硫発泡させることにより製造される。この場合に使用する発泡剤は、アゾジカルボンアミド、パラトルエンスルホニルヒドラジッド等の低臭気性のものが好ましく、その添加量は0.1〜5.0重量部が好ましい。」(第6欄第20〜30行)点。
甲第2号証には、敷物に関して、図1〜5とともに以下の事項が記載されている。
(4)「発泡性マイクロカプセル11を配合した樹脂組成物12の塗膜14を裏面に有し、その塗膜14の乾燥後の塗布量が5〜100g/m2であり、その樹脂組成物12の固形分に占める発泡性マイクロカプセル11の重量比率が5〜80重量%であり、発泡性マイクロカプセル11による凸部13が塗膜14の表面に形成されていることを特徴とする敷物。」(特許請求の範囲の請求項1)の点。
(5)「本発明は、屋内床面に置き敷きして使用されるカーペット、出入口・水廻りマット、タイルカーペット、電気カーペット表面カバー等の敷物に関するものである。」(段落【0001】)点。
(6)「本発明に係る敷物15は、(1)発泡性マイクロカプセル11を配合した樹脂組成物12の塗膜14を裏面に有し、その塗膜14の乾燥後の塗布量(単に「塗布量」とも言う。)が5〜100g/m2であり、その樹脂組成物12の固形分に占める発泡性マイクロカプセル11の重量比率5〜80重量%であ」(段落【0009】の前段)る点。
(7)「発泡性マイクロカプセル11としては、エクセルパンセル社製品「エクセルパンセルWU」と「エクセルパンセルDU」、松本油脂株式会社製品「マツモトマイクロスフェアーF30」と「マツモトマイクロスフェアーF50」等の塩化ビニリデン・アクリロニトリル・コポリマーをセル壁としてイソブタンその他の低沸点単価水素を内包し、120〜210℃において体積が20〜70倍に膨張して中空球体を形成する未発泡時の粒子径が10〜20μmであり真比重が1.02〜1.13のものを使用することが出来る。」(段落【0010】)点。
(8)「樹脂組成物12の主材となる防滑樹脂には、天然ゴム、合成ゴム、塩化ビニル等々の固化して粘弾性のある皮膜を形成するラテックス・エマルジョン・タイプの樹脂やペーストゾル・タイプの樹脂が、分散剤や可塑剤等の助剤を配合して使用される。」(段落【0011】)点。
(9)「そのいずれの場合でも、発泡性マイクロカプセル11の加熱発泡処理は、塗膜14の固化する過程か又は塗膜14が固化した後に行い、樹脂組成物12の塗布前には行わない。」(第5欄第5〜8行)点。
甲第3号証には、靴拭きマットに関して、第1〜2図とともに
以下の事項が記載されている。
(10)「レンタルマットのパイル素材としては、木綿、ビニロン、ナイロン、ポリエステル、アクリルなど、天然繊維及び各種合成繊維が使用されて来ているが、最近では特に耐摩耗性、弾性回復性、発色性などがすぐれているナイロン繊維が比較的多く使用されて来て」(第3欄第10〜15行)いる点。
(11)「パイル糸として、分散着色剤粒子径が5μm以下である原液着色ナイロンから成り且つ単糸の各フィラメント」(第3欄第39〜41行)の点。
エ.対比・判断
本件請求項1に係る発明と甲第1〜2号証に記載されたものを対比すると、甲第1号証には、「基布と該基布にタフト化されたパイルを有する表面材と、前記基布の裏面に一体化されるゴムシートを有するダストコントロールマットにおいて、ベースポリマー100重量部に対し発泡剤が1.5重量部の配合比率で、且つ、1.2倍乃至3倍の発泡倍率に調整すると共に0.1mm乃至1.0mmの厚みに設定した未加硫ゴムシートを用意し、加熱及び加圧下で前記基布との一体化と共に前記未加硫ゴムの発泡及び加硫を促進させて形成したゴムシート」の点が記載されており、甲第2号証には、「敷物おいて、ベースポリマーに対し発泡性マイクロカプセルが5〜80重量%の配合比率の塗膜をを裏面に形成」した点が記載されているが、本件請求項1に係る発明の必須構成要件である「ベースポリマー100重量部に対し発泡性マイクロカプセルが5重量部乃至10重量部の配合比率で、且つ、1.5倍乃至3倍の発泡倍率に調整する」点を具備していない。
すなわち、甲第1号証には、発泡性マイクロカプセル及びその配合比率が5重量部乃至10重量部である点が記載されておらず、示唆もされていない。
また、甲第2号証には、発泡性マイクロカプセルが5〜80重量%の配合比率の樹脂組成物が塗布されているものの、図1、2に見られるとおり、発泡性マイクロカプセルを配合した樹脂組成物の塗膜を敷物の裏面に形成されたもの、発泡性マイクロカプセルによる凸部が塗膜の表面に形成されたもの、図4のように弾性多孔質シートを敷物本体の裏面に貼り合わせたもの等の裏面に塗布するものであって、本件請求項1に係る発明のようにゴムシートを(厚さ方向全体に)発泡性マイクロカプセルで加熱発泡させたものではない。
本件請求項1に係る発明は、上記構成を有することにより、「未加硫ゴムシートと表面材とが加熱・加圧状態の下で、一体化と同時に安定に均一の発泡が得られ、その結果、薄いゴムシートであるにも拘らず、軽量で丈夫であり、且つ、製作が容易なゴムシートを備えた軽量化マットを得る」という明細書に記載の作用効果を奏することができる。
したがって、本件請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載されたものと同一ではないばかりでなく、甲第1、2号証を組み合わせても当業者が容易に発明をすることができたものとすることもできない。
本件請求項2に係る発明は、本件請求項1に係る発明に「発泡ゴムシートが合成ゴムからなる」と追加して減縮するものであるから、本件請求項1と同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
本件請求項3に係る発明は、本件請求項1又は2に係る発明に「パイルは原液着色のナイロンフィラメントからなる」点を追加して減縮するものであるが、例え「パイルは原液着色のナイロンフィラメントからなる」点は、甲第3号証から周知技術であるとしても、本件請求項1と同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
〔3〕むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立の理由及び証拠によっては本件請求項1〜3に係る発明についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1〜3に係る発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2000-11-24 
出願番号 特願平8-66266
審決分類 P 1 651・ 121- Y (A47L)
P 1 651・ 4- Y (A47L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 金丸 治之  
特許庁審判長 佐藤 洋
特許庁審判官 藤本 信男
和泉 等
登録日 1999-08-27 
登録番号 特許第2972136号(P2972136)
権利者 クリーンテックス・ジャパン株式会社
発明の名称 軽量化マット  
代理人 三好 秀和  
代理人 三好 保男  
代理人 青山 葆  
代理人 大森 忠孝  

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