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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B60R |
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管理番号 | 1034875 |
審判番号 | 不服2000-1076 |
総通号数 | 18 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1998-04-07 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2000-01-28 |
確定日 | 2001-04-02 |
事件の表示 | 平成9年特許願第251519号「ドアミラーの取付構造」拒絶査定に対する審判事件[平成10年4月7日出願公開、特開平10-86753]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯と本願発明 本願は、昭和63年5月9日に出願した特願昭63-112106号の一部を平成9年9月17日に新たな特許出願としたものであって、その請求項1に係る発明は、平成12年2月22日付け、及び、平成12年12月22日付け手続補正書により補正された明細書及び願書に添付した図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された以下に記載のとおりのものと認める。 【請求項1】 車体の左右両側部に開閉自在に配設され、上縁にベルトラインを有するドア本体の上部にフロントサイドウインドガラスが昇降自在に配設されるフロントサイドドアと、前記フロントサイドウインドガラスの後部に該フロントサイドウインドガラスのベルトラインと略同じ高さのベルトラインを有するリヤサイドウインドと、左右両側部がフロントピラー間に固定され、上下部がルーフレールおよびフロントボディ間に固定されるフロントウインドガラスとを備え、前記フロントサイドドアのベルトラインの前部部分と後部部分に段差を設けた自動車において、 前記フロントサイドドアのベルトラインの後部部分を前記リヤサイドウインドのベルトラインと略同じ高さ位置に形成するとともに、前記フロントサイドドアのベルトラインの前部部分を前記後部部分よりも下方であって、前記フロントウインドガラスの下縁部分よりも下方へ下げた高さ位置に形成することによって、前記フロントサイドウインドガラスを前記フロントサイドドア本体内部に収納した状態でその前部が前記フロントサイドドアのベルトラインの前部部分よりも上方へ突出しないように配置形成し、かつ前記フロントサイドドアのベルトラインの前端部分にコーナブラケットを設け、このコーナブラケットにドアミラーを取付け、該ドアミラーの下縁部分を車両側面視で前記ベルトラインの低い前部部分にほぼ合わせて配設したことを特徴とするドアミラーの取付構造。 2.引用刊行物とその記載事項 これに対して、当審からの拒絶の理由(平成12年11月8日付け拒絶理由通知)に引用され、本願出願前に日本国内において頒布された刊行物である実願昭60-177821号(実開昭62-84548号)のマイクロフィルム(以下、「引用例1」という。)には、「ドアミラー」に関して、次の記載がある。 ア.「第4図乃至第7図は自動車のフロントドアに装着された従来のドアミラーを示したものである。同図において、(1)はフロントドア、(2)は内板(3)と外板(4)とからなるドアパネル、(5)はドアフレームで、このドアフレーム(5)の下端部(5a)(5b)をドアパネル(2)の内板(3)と外板(4)との間に押し込んで固定する。(6)はフロントウィンド(7)を案内支持する案内フレーム、(8)は案内フレーム(6)の上端に固定した三角形状のコーナブラケットで、上記案内フレーム(6)をドアパネル(2)の内板(3)と外板(4)との間に装着し、コーナブラケット(8)を上記ドアフレーム(5)の前部側のコーナー部(9)に位置させる。(10)は上記コーナブラケット(8)に取付けたドアミラーで、これは樹脂製カバー(11)に所定曲率の凸面鏡を有するミラー本体(12)を取付けたものである。」(1頁19行〜2頁16行) イ.上記アに対応する図面として図5〜図7が示されており、該図面には、フロントドアのベルトラインの前部部分と後部部分に段差を設け、当該前部部分を前記後部部分よりも下方に設けている点が記載されていると認める。 上記ア及びイの記載からみて、引用例1の第5図に示されている従来例には、 「車体のフロントドア(1)に装着されるドアミラーにおいて、該フロントドア(1)はフロントウインド(7)を案内支持する案内フレーム(6)を有し、フロントドアのベルトラインの前部部分と後部部分に段差を設け、当該前部部分を前記後部部分よりも下方に設けフロントドアのベルトラインの前端部分にコーナブラケット(8)を設け、このコーナブラケット(8)にドアミラーを取付けたドアミラーの取付構造。」 が記載されていると認める。 そして、当審からの拒絶の理由(平成12年11月8日付け拒絶理由通知)に引用され、本願出願前に日本国内において頒布された刊行物である実願昭54-96889号(実開昭56-14718号)のマイクロフィルム(以下、「引用例2」という。)は、「車両用ドアの小窓構造」に関するものであり、次の記載がある。 ウ.「ドアaの上半部には上下方向にスライド開閉されるドアガラス13が嵌込まれ、開時には前記隙間L内に収納されるようになっている。」(明細書3頁4〜7行) エ.また、第4図を参照すると、ドアのベルトラインの前部部分と後部部分に段差が設けられ、当該後部部分がフロントガラスの下縁部分と略同じ高さに形成され、前部部分がフロントガラスの下縁よりも下方に下げられて形成された点が示されていると認める。 上記ウの記載及びエの図面からみて、引用例2には、下記の構成が記載されていると認める。 上下方向にスライド開閉されるドアガラスを有する車両用のドアにおいて、該ドアのベルトラインの前部部分と後部部分に段差を設け、当該後部部分をフロントガラスの下縁部分と略同じ高さに設けてあり、当該前部部分をフロントガラスの下縁部分よりも下方へ下げた位置に形成している車両用ドア。 3.発明の対比・判断 本願の請求項1に係る発明と上記引用例1に記載の発明を対比すると、上記引用例1における「フロントドア(1)」が本願における「車体の左右両側部に開閉自在に配設されるフロントサイドドア」に相当し、以下同様に「フロントウィンド(7)」が「フロントサイドウインドガラス」に相当しており、引用例1のフロントウィンド(7)は案内フレーム(6)を有しているから、フロントウインドは昇降自在に配設されているといえ、さらに、通常、車両においてフロントウインドガラスは左右両側部がフロントピラー間に固定され、上下部がルーフレールおよびフロントボディ間に固定されるものであるので、両者は、 「車体の左右両側部に開閉自在に配設され、上縁にベルトラインを有するドア本体の上部にフロントサイドウインドガラスが昇降自在に配設されるフロントサイドドアと、左右両側部がフロントピラー間に固定され、上下部がルーフレールおよびフロントボディ間に固定されるフロントウインドガラスとを備え、前記フロントサイドドアのベルトラインの前部部分と後部部分に段差を設けた自動車において、 前記フロントサイドドアのベルトラインの前部部分を前記後部部分よりも下方に設け、前記フロントサイドドアのベルトラインの前端部分にコーナブラケットを設け、このコーナブラケットにドアミラーを取付けたドアミラーの取付構造。」 である点で一致し、次の点で相違している。 <相違点1> 本願の請求項1に係る発明においては、「フロントサイドウインドガラスの後部に該フロントサイドウインドガラスのベルトラインと略同じ高さのベルトラインを有するリヤサイドウインド」を有するのに対して、引用例1に記載の発明においては、この点について記載がない点。 <相違点2> フロントサイドドアのベルトラインにおける前部部分と後部部分の段差について、本願の請求項1に係る発明においては、後部部分について当該「後部部分を前記リヤサイドウインドのベルトラインと略同じ高さ位置に形成する」とともに、前部部分について当該「前部部分を前記後部部分よりも下方であって、前記フロントウインドガラスの下縁部分よりも下方へ下げた高さ位置に形成」しているのに対して、引用例1に記載の発明においては、そのような言及がなされていない点。 <相違点3> 本願の請求項1に係る発明においては、「フロントサイドウインドガラスを前記フロントサイドドア本体内部に収納した状態でその前部が前記フロントサイドドアのベルトラインの前部部分よりも上方へ突出しないように配置形成」しているのに対して、引用例1に記載の発明においては、そのような点については言及されていない点。 <相違点4> 本願の請求項1に係る発明においては、「ドアミラーの下縁部分を車両側面視で前記ベルトラインの低い前部部分にほぼ合わせて配設」しているのに対して、引用例1に記載の発明においては、そのような点について言及されていない点。 以下、相違点を検討する。 相違点1について 自動車の車体構造において、フロントサイドウインドガラスの後部に該フロントサイドウインドガラスのベルトラインと略同じ高さのベルトラインを有するリヤサイドウインドを持つ構造は慣用されている構造であり(必要ならば、実開昭60-155646号公報、実開昭61-128155号公報、実開昭62-76049号公報参照のこと)、相違点1における請求項1に係る発明の構成は、当該分野における慣用技術から当業者が容易になし得たことである。 相違点2について 引用例2には、「上下方向にスライド開閉されるドアガラスを有する車両用のドアにおいて、該ドアのベルトラインの前部部分と後部部分に段差を設け、当該後部部分をフロントガラスの下縁部分と略同じ高さに設けてあり、当該前部部分をフロントガラスの下縁部分よりも下方へ下げた位置に形成している車両用ドア」が記載されており、また、通常の車両においてフロントガラス下縁部分と前部ドア及び後部ドアのベルトラインを略同じ高さとすることは慣用されている技術であること(必要ならば、実開昭60-155646号公報、実開昭61-128155号公報、実開昭62-76049号公報参照のこと)を勘案すれば、相違点2における請求項1に係る発明の構成は、引用例2から当業者が容易になし得たことである。 相違点3について 車両のフロントサイドドアにおいて、上下方向に開閉可能なフロントサイドウインドガラスを開放時に、完全にドア本体内に収納できるようにすること、言い換えれば、収納時にガラスがベルトラインの上方へ突出しない状態に収納することは慣用されている技術(必要ならば、特開昭59-106677号公報、特開昭62-206181号公報、実開昭59-35579号公報参照のこと)であることから、相違点3における請求項1に係る発明の構成は、当該慣用技術に基づいて当業者が適宜なし得る設計事項である。 相違点4について ドアミラーをドアに取り付ける構成において、ドアミラーの下縁部分を車両側面視で前記ベルトラインにほぼ合わせて配設することが慣用されている技術であること(必要ならば、実開昭60-155646号公報、実開昭61-128155号公報、実開昭62-76049号公報参照のこと)から、引用例1のコーナーブラケットにドアミラーを取り付けるにあたって、車両側面視でコーナーブラケットが取り付けられているベルトラインの低い前部部分にドアミラーの下縁部分を合わせて取り付けることは、当業者が容易になしえたことである。 そして、本願の請求項1に係る発明の効果も、引用例1、2及び慣用技術から予測される範囲内のものである。 よって、本願の請求項1に係る発明は、上記引用例1及び2に記載された発明から当業者が容易になしえたものである。 4.むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用例1及び2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2001-02-06 |
結審通知日 | 2001-02-09 |
審決日 | 2001-02-21 |
出願番号 | 特願平9-251519 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(B60R)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 山内 康明 |
特許庁審判長 |
蓑輪 安夫 |
特許庁審判官 |
大島 祥吾 ぬで島 慎二 |
発明の名称 | ドアミラーの取付構造 |
代理人 | 奥山 尚一 |
代理人 | 有原 幸一 |