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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性 訂正を認めない。無効とする(申立て全部成立) E04G
管理番号 1035178
審判番号 審判1998-35600  
総通号数 18 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-03-04 
種別 無効の審決 
審判請求日 1998-11-30 
確定日 2001-03-28 
事件の表示 上記当事者間の特許第2729781号の特許無効審判事件について、併合の審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 特許第2729781号の請求項1、2及び3に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 第一 手続きの経緯
出願:平成7年8月25日(特願平7-240632号)
登録:平成9年12月19日(特許第2729781号)
無効審判請求:平成10年10月20日に請求されたもの以外に10件請求
訂正請求:平成11年1月29日
答弁書:平成11年1月29日に提出されたもの以外に10件提出
弁駁書:平成11年5月18日に提出されたもの以外に10件提出
無効理由通知:平成12年5月8日(平成12年5月19日送付)
意見書:平成12年7月18日

第二 審判請求
一 請求された11件の無効審判は、以下のとおりである。
請求1:平成10年審判第35506号(請求人、阪神高速道路公団)
請求2:平成10年審判第35523号(請求人、株式会社栗本鐵工所)
請求3:平成10年審判第35525号(請求人、新日本製鐵株式會社)
請求4:平成10年審判第35536号(請求人、川崎重工業株式会社)
請求5:平成10年審判第35543号(請求人、神鋼鋼線工業株式会社)
請求6:平成10年審判第35555号(請求人、日立造船株式会社)
請求7:平成10年審判第35567号(請求人、株式会社神戸製鋼所)
請求8:平成10年審判第35570号(請求人、日本鋼管株式会社)
請求9:平成10年審判第35583号(請求人、三菱重工業株式会社)
請求10:平成10年審判第35589号(請求人、川崎製鉄株式会社)
請求11:平成10年審判第35600号(請求人、日本碍子株式会社)
各無効審判における当事者の主張の概略及び提出した証拠方法は、以下のとおりである。なお、各請求人の証拠方法を一覧に示すと別表のとおりとなる。

二 請求1:平成10年審判第35506号について
1 請求人、阪神高速道路公団の主張
請求項1に記載された本件特許発明は、甲第1号証、又は甲第2号証に記載された発明と同一であり、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができないものである。
請求項2に記載された本件特許発明は、甲第3号証に記載された発明と同一であり、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができないものである。
請求項2に記載された本件特許発明は、甲第1号証〜甲第5号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができないものである。
又、請求項3に記載された本件特許発明は、甲第1号証に記載された発明と同一であり、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができないものである。
請求項3に記載された本件特許発明は、甲第1号証、及び甲第5号証〜甲第7号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができないものである。
そして、甲第3号証記載の「アンプリフォーム」が、甲第4号証に記載されているアルミ製の多数の透孔を有する板材を示すものであることを立証するために、証人尋問を申請している。
さらに、弁駁書とともに提出した甲第8〜12号証をも考慮すると、訂正後の請求項1に記載された発明は、甲第3号証に記載された発明と甲第2、8、9号証、及び甲第5〜7、10号証さらには甲第2、11、12号証にそれぞれ記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、訂正は認められない。
よって、本件の請求項1〜3に記載された発明の特許は、同法123条1項2号の規定により無効とされるべきである。

甲第1号証:技報第20号、首都高速道路公団、1988年3月発行、66〜70頁、「2-1-9 高架橋裏面吸音板の構造検討 東京保全部設計課 扇谷 就」
甲第2号証:特開平7-180118号公報
甲第3号証:技報第5号、監修、阪神高速道路公団、昭和61年3月発行、発行所、財団法人阪神高速道路管理技術センター、12〜24頁、「高架裏面反射音対策」計画部環境対策室 高橋文治、大阪第三建設部設計課 都良伸、計画部環境対策室 溝渕修治
甲第4号証:カタログ「昭和アルミアンプリフォーム」昭和ポール株式会社発行
甲第5号証:特開平4-174109号公報
甲第6号証:特開平3-290514号公報
甲第7号証:特開平7-82708号公報
甲第8号証:実願昭50-31104号(実開昭51-112311号)のマイクロフィルム
甲第9号証:「道路景観整備マニュアル(案)II」108,109,193頁、監修、建設省道路局企画課道路環境対策室、編著、(財)道路環境研究所、1993年3月30日第1版第1刷発行、発行所、株式会社大成出版社
甲第10号証:技報第12号、監修、阪神高速道路公団、平成5年3月発行、発行所、財団法人阪神高速道路管理技術センター、139〜146頁、「円筒型裏面吸音材の設計 神戸管理部 調査設計課 米倉 徹 若林繁充 丸山 悟」
甲第11号証:実願平3-3601号(実開平4-99708号)のマイクロフィルム
甲第12号証:実願平5-45189号(実開平7-15807号)のCD-ROM
人証:阪神高速道路公団大阪管理部次長 都 良伸

2 被請求人らの主張
被請求人は、答弁書とともに訂正請求書を提出した。
甲第1号証に記載されたものは、吸音パネルの下面、すなわち、表面板が、平面状に形成されているため、下方の道路を走行している車両の騒音が反射しやすく、この下方の道路を走行している車両の騒音の低減効果が得にくいという問題点を有する。
甲第2号証に記載されたものは、ルーバー構成部材の下面等において、下方の道路を走行している車両の騒音が反射しやすく、又、ルーバー構成部材の吸音効果自体もさほど期待できず、下方の道路を走行している車両の騒音の低減効果が得にくいという問題点を有する。
甲第3号証に記載されたものは、吸音パネルの下面、すなわち、表面保護材アンプリフォームが、平面状に形成されているため、下方の道路を走行している車両の騒音が反射しやすく、この下方の道路を走行している車両の騒音の低減効果が得にくいという問題点を有する。
甲第4号証には、「アンプリフォーム」が、「基本形はハチの巣状の六角形で、構造上最も強い形状をし」、その用途として「ステップ材、足場材」が記載されているにすぎない。
甲第5〜7号証に記載されたものは、吸音筒、吸音体のみによる吸音効果がさほど期待できず、下方の道路を走行している車両の騒音の低減効果が得にくいという問題点を有する。
本件訂正発明は、甲第1号証〜甲第7号証に記載されておらず、また示唆もない特許請求の範囲の請求項1に記載した「恒久足場の足場板を、高架橋の長手方向に配設したH形鋼からなる枠部材に嵌挿した多数の透孔を有する板材の間に吸音材を充填したブロック体からなる吸音部材で構成」することを前提とし、「高架橋の長手方向に配設したH形鋼からなる枠部材の下面に外筒の内部に吸音材を充填したブロック体からなる円柱形状の吸音部材を高架橋の長手方向に沿って延びるように垂設」することを構成要件として有し、この構成により、上記甲第1号証〜甲第7号証に記載された発明によっては達成できない、「下方の道路を走行している車両の騒音を恒久足場の下面に垂設した吸音部材により吸収することができ、これにより、下方の道路を走行している車両の騒音を低減することができる。」等の訂正明細書記載の顕著な作用効果を奏するものである。
請求人の主張する無効理由は、理由がない。

三 請求2:平成10年審判第35523号について
1 請求人、株式会社栗本鐵工所の主張
請求項1に係る本件特許発明は、甲第1号証、又は甲第2号証に記載の発明と同一であり、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができないものである。
請求項1に係る本件特許発明は、甲第1号証及び甲第2号証に記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。
請求項2に係る本件特許発明は、甲第1号証及び甲第3号証に記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。
請求項3に係る本件特許発明は、甲第1号証及び甲第2号証に記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。
さらに、訂正後の請求項1に記載された発明は、甲第1号証に記載された発明と甲第3号証及び甲第4号証にそれぞれ記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、訂正は認められない。
よって、本件の請求項1〜3に記載された発明の特許は、同法123条1項2号の規定により無効とされるべきである。

甲第1号証:特開平7-180118号公報
甲第2号証:実願昭61-22117号(実開昭62-138710号)のマイクロフィルム
甲第3号証:特開昭49-85828号公報
甲第4号証:特開平7-82708号公報

2 被請求人らの主張
被請求人は、答弁書とともに別件での訂正請求書の写しを乙第1号証として提出した。
甲第1号証に記載されたものは、ルーバー構成部材の下面等において、下方の道路を走行している車両の騒音が反射しやすく、又、ルーバー構成部材の吸音効果自体もさほど期待できず、下方の道路を走行している車両の騒音の低減効果が得にくいという問題点を有する。
甲第2号証に記載されたものは、適宜間隔をおいて併設されている吸音長尺材のみによる吸音効果はさほど期待できず、下方の道路を走行している車両の騒音の低減効果が得にくいという問題点を有する。
甲第3号証に記載されたものは、適宜間隔をおいて垂下するように取り付けられた吸音部材のみによる吸音効果はさほど期待できず、下方の道路を走行している車両の騒音の低減効果が得にくいという問題点を有する。
甲第4号証に記載されたものは、吸音筒のみによる吸音効果はさほど期待できず、下方の道路を走行している車両の騒音の低減効果が得にくいという問題点を有する。
本件訂正発明は、甲第1号証〜甲第4号証に記載されておらず、又示唆もない特許請求の範囲の請求項1に記載した「恒久足場の足場板を、高架橋の長手方向に配設したH形鋼からなる枠部材に嵌挿した多数の透孔を有する板材の間に吸音材を充填したブロック体からなる吸音部材で構成」することを前提とし、「高架橋の長手方向に配設したH形鋼からなる枠部材の下面に外筒の内部に吸音材を充填したブロック体からなる円柱形状の吸音部材を高架橋の長手方向に沿って延びるように垂設」することを構成要件として有し、この構成により、上記甲第1号証〜甲第4号証に記載された発明によっては達成できない、「下方の道路を走行している車両の騒音を恒久足場の下面に垂設した吸音部材により吸収することができ、これにより、下方の道路を走行している車両の騒音を低減することができる。」等の訂正明細書記載の顕著な作用効果を奏するものである。
請求人の主張する無効理由は、理由がない。

乙第1号証:平成10年審判第35506号で提出した、平成11年1月29日付け訂正請求書の写し

四 請求3:平成10年審判第35525号について
1 請求人、新日本製鐵株式會社の主張
請求項1に係る本件特許発明は、甲第1号証に記載された発明であり、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができないものである。
請求項2に係る本件特許発明は、甲第1,2及び4号証に記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。
請求項3に係る本件特許発明は、甲第1〜4号証に記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。
さらに、訂正後の請求項1に記載された発明は、甲第1〜4号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、訂正は認められない。
よって、本件の請求項1〜3にそれぞれ記載された発明の特許は、同法123条1項2号の規定により無効とされるべきである。

甲第1号証:実願昭61-22117号(実開昭62-138710号)のマイクロフィルム
甲第2号証:社団法人日本騒音制御工学会技術発表会講演論文集297〜300頁、木村和則外2名「2-2-19 高架構造の裏面吸音板に関する検討」、平成3年9月
甲第3号証:発明協会公開技報公技番号94-12086号(1994年6月15日発行)
甲第4号証:実願昭49-153468号(実開昭51-78701号)のマイクロフィルム

2 被請求人らの主張
被請求人は、答弁書とともに別件での訂正請求書の写しを乙第1号証として提出した。
甲第1号証に記載されたものは、適宜間隔をおいて併設されている吸音長尺材のみによる吸音効果はさほど期待できず、下方の道路を走行している車両の騒音の低減効果が得にくいという問題点を有する。
甲第2号証に記載されたものは、下方の道路を走行している車両の騒音が反射しやすく、この下方の道路を走行している車両の騒音の低減効果が得にくいという問題点を有する。
甲第3号証に記載されたものは、吸音体のみによる吸音効果はさほど期待できず、下方の道路を走行している車両の騒音の低減効果が得にくいという問題点を有する。
甲第4号証に記載されたものは、室内の吸音を目的とするものであって、本件発明の恒久足場を有する高架橋とは、その構成及び作用効果を異にする。
本件訂正発明は、甲第1号証〜甲第4号証に記載されておらず、又示唆もない特許請求の範囲の請求項1に記載した「恒久足場の足場板を、高架橋の長手方向に配設したH形鋼からなる枠部材に嵌挿した多数の透孔を有する板材の間に吸音材を充填したブロック体からなる吸音部材で構成」することを前提とし、「高架橋の長手方向に配設したH形鋼からなる枠部材の下面に外筒の内部に吸音材を充填したブロック体からなる円柱形状の吸音部材を高架橋の長手方向に沿って延びるように垂設」することを構成要件として有し、この構成により、上記甲第1号証〜甲第4号証に記載された発明によっては達成できない、「下方の道路を走行している車両の騒音を恒久足場の下面に垂設した吸音部材により吸収することができ、これにより、下方の道路を走行している車両の騒音を低減することができる。」等の訂正明細書記載の顕著な作用効果を奏するものである。
請求人の主張する無効理由は、理由がない。

乙第1号証:平成10年審判第35506号で提出した、平成11年1月29日付け訂正請求書の写し

五 請求4:平成10年審判第35536号について
1 請求人、川崎重工業株式会社の主張
請求項1に係る本件特許発明は、甲第2号証に記載された発明であり、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができないものである。
請求項1に係る本件特許発明は、甲第2号証及び甲第4号証に記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。
請求項1に係る本件特許発明は、甲第3号証に記載された発明であり、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができないものである。
請求項2に係る本件特許発明は、甲第2号証に記載された発明と、甲第4号証又は甲第5号証に記載された発明と、さらに甲第6号証に記載の周知の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。
請求項2に係る本件特許発明は、甲第3号証に記載された発明と甲第4号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。
請求項2に係る本件特許発明は、甲第4号証に記載の周知の技術事項を考慮すると、甲第3号証に実質的に記載された発明であり、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができないものである。
請求項3に係る本件特許発明は、甲第2号証に記載された発明であり、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができないものである。
請求項3に係る本件特許発明は、甲第2号証に記載された発明と甲第4号証に記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。
なお、恒久足場の下面に垂下した吸音部材を円筒部材にする点は、甲第7号証に記載されている。
さらに、訂正後の請求項1に記載された発明は、甲第2,3及び7号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、訂正は認められない。
よって、本件の請求項1〜3に記載された発明の特許は、同法123条1項2号の規定により無効とされるべきである。

甲第2号証:実願昭61-22117号(実開昭62-138710号)のマイクロフィルム
甲第3号証:特開平7-180118号公報
甲第4号証:実願平5-59742号(実開平7-25013号)のCD-ROM
甲第5号証:特開平2-269208号公報
甲第6号証:実願昭59-135647号(実開昭61-49399号)のマイクロフィルム
甲第7号証:特開平4-174109号公報

2 被請求人らの主張
被請求人は、答弁書とともに別件での訂正請求書の写しを乙第1号証として提出した。
甲第2号証に記載されたものは、適宜間隔をおいて併設されている吸音長尺材のみによる吸音効果はさほど期待できず、下方の道路を走行している車両の騒音の低減効果が得にくいという問題点を有する。
甲第3号証に記載されたものは、ルーバー構成部材の下面等において、下方の道路を走行している車両の騒音が反射しやすく、又、ルーバー構成部材の吸音効果自体もさほど期待できず、下方の道路を走行している車両の騒音の低減効果が得にくいという問題点を有する。
甲第4号証に記載されたものは、多孔板より成る高さ1m前後の扁平な箱体の内部に、吸音材が充填されてなることが記載されているのみであり、甲第5号証に記載されたものは、片面に凹窪部を有する平板の凹窪部内に吸音材として耐熱性繊維材を充填し、この耐熱性繊維材を充填した平板の2枚を重ね合わせて焼成することにより吸音材を焼成平板内部に挟持されてなることが記載されているだけであり、甲第6号証に記載されたものは、壁面に段面円弧状の溝を設けるようにした消音装置が記載されているのみで、本件発明の恒久足場を有する高架橋とは、その構成及び作用効果を異にする。
甲第7号証に記載されたものは、適宜間隔をおいて垂下するように取り付けられた吸音長尺材のみによる吸音効果はさほど期待できず、下方の道路を走行している車両の騒音の低減効果が得にくいという問題点を有する。
本件訂正発明は、甲第2号証〜甲第7号証に記載されておらず、又示唆もない特許請求の範囲の請求項1に記載した「恒久足場の足場板を、高架橋の長手方向に配設したH形鋼からなる枠部材に嵌挿した多数の透孔を有する板材の間に吸音材を充填したブロック体からなる吸音部材で構成」することを前提とし、「高架橋の長手方向に配設したH形鋼からなる枠部材の下面に外筒の内部に吸音材を充填したブロック体からなる円柱形状の吸音部材を高架橋の長手方向に沿って延びるように垂設」することを構成要件として有し、この構成により、上記甲第2号証〜甲第7号証に記載された発明によっては達成できない、「下方の道路を走行している車両の騒音を恒久足場の下面に垂設した吸音部材により吸収することができ、これにより、下方の道路を走行している車両の騒音を低減することができる。」等の訂正明細書記載の顕著な作用効果を奏するものである。
請求人の主張する無効理由は、理由がない。

乙第1号証:平成10年審判第35506号で提出した、平成11年1月29日付け訂正請求書の写し

六 請求5:平成10年審判第35543号について
1 請求人、神鋼鋼線工業株式会社の主張
請求項1に係る本件特許発明は、甲第1号証、甲第2号証にそれぞれ記載された発明及び甲第3号証に記載されたような周知の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項2に係る本件特許発明は、甲第1号証、甲第2号証にそれぞれ記載された発明及び甲第3号証、甲第4号証に記載されたような周知の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項3に係る本件特許発明は、甲第1号証、甲第2号証にそれぞれ記載された発明及び甲第3〜5号証に記載されたような周知の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、いずれも特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。
さらに、弁駁書とともに提出した参考資料1及び2をも考慮すると、訂正後の請求項1に記載された発明は、甲第1号証、甲第2号証にそれぞれ記載された発明及び甲第3〜5号証に記載されたような周知の技術事項並びに参考資料1,2記載されたような周知の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、訂正は認められない。
よって、本件の請求項1〜3にそれぞれ記載された発明の特許は、同法123条1項2号の規定により無効とされるべきである。

甲第1号証:技報第20号、首都高速道路公団、1988年3月発行、66〜70頁、「2-1-9 高架橋裏面吸音板の構造検討 東京保全部設計課 扇谷 就」
甲第2号証:特公平4-49604号公報
甲第3号証:実願昭61-22117号(実開昭62-138710号)のマイクロフィルム
甲第4号証:実願昭49-153468号(実開昭51-78701号)のマイクロフィルム
甲第5号証:特開平3-290514号公報
参考資料1:特開平7-180118号公報
参考資料2:実願昭50-31104号(実開昭51-112311号)のマイクロフィルム

2 被請求人らの主張
被請求人は、答弁書とともに別件での訂正請求書の写しを乙第1号証として提出した。
甲第1号証に記載されたものは、吸音板の下面、すなわち、表面板が、平面状に形成されているため、下方の道路を走行している車両の騒音が反射しやすく、このため下方の道路を走行している車両の騒音の低減効果が得にくいという問題点を有する。
甲第2号証に記載されたものは、床版の点検のために床版の下部に橋梁長手方向に延びて常設される受梁と踏板とを有する恒久足場にすぎず、下方の道路を走行している車両の騒音の低減効果を有するものではなく、本件発明の恒久足場を有する高架橋とは、その構成及び作用効果を異にする。
甲第3号証に記載されたものは、適宜間隔をおいて併設されている吸音長尺材のみによる吸音効果はさほど期待できず、下方の道路を走行している車両の騒音の低減効果が得にくいという問題点を有する。
甲第4号証に記載されたものは、室内での反響を防いで音響効果を高めるため等に使用される室内用の吸音パネルであって、本件発明の恒久足場を有する高架橋とは、その構成及び作用効果を異にする。
甲第5号証に記載されたものは、吸音筒のみによる吸音効果はさほど期待できず、下方の道路を走行している車両の騒音の低減効果が得にくいという問題点を有する。
本件訂正発明は、甲第1号証〜甲第5号証に記載されておらず、又示唆もない特許請求の範囲の請求項1に記載した「恒久足場の足場板を、高架橋の長手方向に配設したH形鋼からなる枠部材に嵌挿した多数の透孔を有する板材の間に吸音材を充填したブロック体からなる吸音部材で構成」することを前提とし、「高架橋の長手方向に配設したH形鋼からなる枠部材の下面に外筒の内部に吸音材を充填したブロック体からなる円柱形状の吸音部材を高架橋の長手方向に沿って延びるように垂設」することを構成要件として有し、この構成により、上記甲第1号証〜甲第5号証に記載された発明によっては達成できない、「下方の道路を走行している車両の騒音を恒久足場の下面に垂設した吸音部材により吸収することができ、これにより、下方の道路を走行している車両の騒音を低減することができる。」等の訂正明細書記載の顕著な作用効果を奏するものである。
請求人の主張する無効理由は、理由がない。

乙第1号証:平成10年審判第35506号で提出した、平成11年1月29日付け訂正請求書の写し

七 請求6:平成10年審判第35555号について
1 請求人、日立造船株式会社の主張
請求項1に記載された本件特許発明は、甲第1号証、又は甲第2号証に記載された発明と同一であり、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができないものである。
又、請求項1に係る本件特許発明は、甲第1号証及び甲第2号証にそれぞれ記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項2に係る本件特許発明は、甲第1号証〜甲第5号証にそれぞれ記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項3に係る本件特許発明は、甲第1号証〜甲第8号証にそれぞれ記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、いずれも特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。
さらに、訂正後の請求項1に記載された発明は、甲第1号証〜甲第8号証にそれぞれ記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、訂正は認められない。
よって、本件の請求項1〜3にそれぞれ記載された発明の特許は、同法123条1項2号の規定により無効とされるべきである。

甲第1号証:発明協会公開技報公技番号94-12086号(1994年6月15日発行)
甲第2号証:特開平4-174109号公報
甲第3号証:実願昭49-153468号(実開昭51-78701号)のマイクロフィルム
甲第4号証:実願昭50-31104号(実開昭51-112311号)のマイクロフィルム
甲第5号証:社団法人日本騒音制御工学会技術発表会講演論文集297〜300頁、木村和則外2名「2-2-19 高架構造の裏面吸音板に関する検討」、平成3年9月
甲第6号証:特開平7-180118号公報
甲第7号証:実願平5-45189号(実開平7-15807号)のCD-ROM
甲第8号証:特開平7-82708号公報

2 被請求人らの主張
被請求人は、答弁書とともに別件での訂正請求書の写しを乙第1号証として提出した。
甲第1号証、及び甲第2号証に記載されたものは、並設される円筒型吸音材、及び吸音筒のみによる吸音効果はさほど期待できず、下方の道路を走行している車両の騒音の低減効果が得にくいという問題点を有する。
甲第3号証に記載されたものは室内での反響を防いで音響効果を高めるため等に使用される室内用の吸音パネルであり、甲第4号証に記載されたものは防音壁に用いられるものであり、何れも本件発明の恒久足場を有する高架橋とは、対象を異にし、その構成及び作用効果を異にする。
甲第5号証に記載されたものは、裏面吸音板の下面が平面状に形成されているため、下方の道路を走行している車両の騒音が反射しやすく、このため下方の道路を走行している車両の騒音の低減効果が得にくいという問題点に加え、裏面吸音板の上面が遮音板により構成されているため、足場により区画された作業空間内の騒音を低減することができず、補修作業の作業環境をより良好に維持することができないという問題点を有する。
甲第6号証に記載されたものは、ルーバー構成部材の下面等において、下方の道路を走行している車両の騒音が反射しやすく、又、ルーバー構成部材の吸音効果自体もさほど期待できず、下方の道路を走行している車両の騒音の低減効果が得にくいという問題点を有する。
甲第7号証に記載されたものは、ルーバー20の側面等において、下方の道路を走行している車両の騒音が反射しやすく、又ルーバー20の吸音効果自体もさほど期待できず、下方の道路を走行している車両の騒音の低減効果が得にくいという問題点を有する。
甲第8号証に記載されたものは、並設される吸音筒のみによる吸音効果はさほど期待できず、下方の道路を走行している車両の騒音の低減効果が得にくいという問題点を有する。
本件訂正発明は、甲第1号証〜甲第8号証に記載されておらず、又示唆もない特許請求の範囲の請求項1に記載した「恒久足場の足場板を、高架橋の長手方向に配設したH形鋼からなる枠部材に嵌挿した多数の透孔を有する板材の間に吸音材を充填したブロック体からなる吸音部材で構成」することを前提とし、「高架橋の長手方向に配設したH形鋼からなる枠部材の下面に外筒の内部に吸音材を充填したブロック体からなる円柱形状の吸音部材を高架橋の長手方向に沿って延びるように垂設」することを構成要件として有し、この構成により、上記甲第1号証〜甲第8号証に記載された発明によっては達成できない、「下方の道路を走行している車両の騒音を恒久足場の下面に垂設した吸音部材により吸収することができ、これにより、下方の道路を走行している車両の騒音を低減することができる。」等の訂正明細書記載の顕著な作用効果を奏するものである。
請求人の主張する無効理由は、理由がない。

乙第1号証:平成10年審判第35506号で提出した、平成11年1月29日付け訂正請求書の写し

八 請求7:平成10年審判第35567号について
1 請求人、株式会社神戸製鋼所の主張
請求項1に記載された本件特許発明は、甲第1号証に記載された発明と同一であり、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができないものである。
又、請求項1に係る本件特許発明は、甲第1号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項2に係る本件特許発明は、甲第1号証〜甲第3号証にそれぞれ記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項3に係る本件特許発明は、甲第1号証〜甲第4号証にそれぞれ記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、いずれも特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。
さらに、弁駁書とともに提出した甲第5号証及び甲第6号証をも考慮すると、訂正後の請求項1に記載された発明は、甲第1号証〜甲第6号証にそれぞれ記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、訂正は認められない。
よって、本件の請求項1〜3にそれぞれ記載された発明の特許は、同法123条1項2号の規定により無効とされるべきである。

甲第1号証:特開平7-180118号公報
甲第2号証:技報第5号、監修、阪神高速道路公団、昭和61年3月発行、発行所、財団法人阪神高速道路管理技術センター、12〜24頁、「高架裏面反射音対策」計画部環境対策室 高橋文治、大阪第三建設部設計課 都良伸、計画部環境対策室 溝渕修治
甲第3号証:実願昭50-31104号(実開昭51-112311号)のマイクロフィルム
甲第4号証:実願昭61-22117号(実開昭62-138710号)のマイクロフィルム
甲第5号証:特開平4-174109号公報
甲第6号証:発明協会公開技報公技番号94-12086号(1994年6月15日発行)

2 被請求人らの主張
被請求人は、答弁書とともに別件での訂正請求書の写しを乙第1号証として提出した。
甲第1号証に記載されたものは、ルーバー構成部材の下面等において、下方の道路を走行している車両の騒音が反射しやすく、又、ルーバー構成部材の吸音効果自体もさほど期待できず、下方の道路を走行している車両の騒音の低減効果が得にくいという問題点を有する。
甲第2号証に記載されたものは、吸音パネルの下面、すなわち、表面保護材が、平面状に形成されているため、下方の道路を走行している車両の騒音が反射しやすく、このため下方の道路を走行している車両の騒音の低減効果が得にくいという問題点を有する。
甲第3号証に記載されたものは、主として防音壁に用いられるもので、本件発明の恒久足場を有する高架橋とは、その構成及び作用効果を異にするだけでなく、そもそもその対象を異にする。
甲第4号証に記載されたものは、適宜間隔をおいて併設されている吸音長尺材のみによる吸音効果はさほど期待できず、下方の道路を走行している車両の騒音の低減効果が得にくいという問題点を有する。
本件訂正発明は、甲第1号証〜甲第4号証に記載されておらず、又示唆もない特許請求の範囲の請求項1に記載した「恒久足場の足場板を、高架橋の長手方向に配設したH形鋼からなる枠部材に嵌挿した多数の透孔を有する板材の間に吸音材を充填したブロック体からなる吸音部材で構成」することを前提とし、「高架橋の長手方向に配設したH形鋼からなる枠部材の下面に外筒の内部に吸音材を充填したブロック体からなる円柱形状の吸音部材を高架橋の長手方向に沿って延びるように垂設」することを構成要件として有し、この構成により、上記甲第1号証〜甲第4号証に記載された発明によっては達成できない、「下方の道路を走行している車両の騒音を恒久足場の下面に垂設した吸音部材により吸収することができ、これにより、下方の道路を走行している車両の騒音を低減することができる。」等の訂正明細書記載の顕著な作用効果を奏するものである。
請求人の主張する無効理由は、理由がない。

乙第1号証:平成10年審判第35506号で提出した、平成11年1月29日付け訂正請求書の写し

九 請求8:平成10年審判第35570号について
1 請求人、日本鋼管株式会社の主張
請求項1及び3に係るそれぞれの発明は、甲第1号証に記載された発明と同一であり、特許法29条1項3号に該当し、それぞれ特許を受けることができないものである。
又、請求項2に係る発明は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。
訂正請求に対して、その訂正は新たな事項を付加するものであり採用できないと主張するとともに、さらに、弁駁書とともに提出した参考資料1及び2をも考慮すると、訂正後の請求項1に記載された発明は、甲第1号証及び甲第2号証にそれぞれ記載された発明並びに参考資料1,2記載されたような周知の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、訂正は認められない。
よって、本件の請求項1〜3にそれぞれ記載された発明の特許は、同法123条1項2号の規定により無効とされるべきである。

甲第1号証:実願昭61-22117号(実開昭62-138710号)のマイクロフィルム
甲第2号証:技報第5号、監修、阪神高速道路公団、昭和61年3月発行、発行所、財団法人阪神高速道路管理技術センター、12〜24頁、「高架裏面反射音対策」計画部環境対策室 高橋文治、大阪第三建設部設計課 都良伸、計画部環境対策室 溝渕修治
甲第3号証:特開昭50-155023号公報
参考資料1:特開平7-180118号公報
参考資料2:交通工学、V0l.27、1992増刊号、編集、発行所、社団法人交通工学研究会、37〜45頁、「都市高速における環境対策工の施工事例について」阪神高速道路公団計画部環境対策室専門役、入谷良弘

2 被請求人らの主張
被請求人は、答弁書とともに別件での訂正請求書の写しを乙第1号証として提出した。
甲第1号証に記載されたものは、適宜間隔をおいて併設されている吸音長尺材のみによる吸音効果はさほど期待できず、下方の道路を走行している車両の騒音の低減効果が得にくいという問題点を有する。
甲第2号証に記載されたものは、吸音パネルの下面、すなわち、表面保護材が、平面状に形成されているため、下方の道路を走行している車両の騒音が反射しやすく、このため下方の道路を走行している車両の騒音の低減効果が得にくいという問題点を有する。
甲第3号証に記載されたものは、天井構造体に用いられるもので、本件発明の恒久足場を有する高架橋とは、その構成及び作用効果を異にするだけでなく、そもそもその対象を異にする。
本件訂正発明は、甲第1号証〜甲第3号証に記載されておらず、又示唆もない特許請求の範囲の請求項1に記載した「恒久足場の足場板を、高架橋の長手方向に配設したH形鋼からなる枠部材に嵌挿した多数の透孔を有する板材の間に吸音材を充填したブロック体からなる吸音部材で構成」することを前提とし、「高架橋の長手方向に配設したH形鋼からなる枠部材の下面に外筒の内部に吸音材を充填したブロック体からなる円柱形状の吸音部材を高架橋の長手方向に沿って延びるように垂設」することを構成要件として有し、この構成により、上記甲第1号証〜甲第3号証に記載された発明によっては達成できない、「下方の道路を走行している車両の騒音を恒久足場の下面に垂設した吸音部材により吸収することができ、これにより、下方の道路を走行している車両の騒音を低減することができる。」等の訂正明細書記載の顕著な作用効果を奏するものである。
請求人の主張する無効理由は、理由がない。

乙第1号証:平成10年審判第35506号で提出した、平成11年1月29日付け訂正請求書の写し

十 請求9:平成10年審判第35583号について
1 請求人、三菱重工業株式会社の主張
請求項1及び2に係るそれぞれの発明は、甲第2号証に記載された発明と同一であり、特許法29条1項3号に該当し、それぞれ特許を受けることができないものである。
請求項1及び2に係る発明は、甲第2号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。
さらに、請求項2に係る発明は、甲第2号証に記載された発明及び甲第3〜6号証に記載された周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。
請求項3に係る発明は、甲第2号証及び甲第3号証ないし甲第5号証に記載されたそれぞれの発明に基いて、あるいは甲第2号証に記載された発明及び甲第3号証ないし甲第6号証に記載された周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。
さらに、訂正後の請求項1に記載された発明は、甲第2号証及び甲第3号証ないし甲第5号証に記載されたそれぞれの発明に基いて、あるいは甲第2号証に記載された発明及び甲第3号証ないし甲第6号証に記載された周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、訂正は認められない。
よって、本件の請求項1〜3にそれぞれ記載された発明の特許は、同法123条1項2号の規定により無効とされるべきである。

甲第2号証:特開平7-180118号公報
甲第3号証:実願昭61-22117号(実開昭62-138710号)のマイクロフィルム
甲第4号証:発明協会公開技報公技番号94-12086号(1994年6月15日発行)
甲第5号証:特開平4-174109号公報
甲第6号証:技報第5号、監修、阪神高速道路公団、昭和61年3月発行、発行所、財団法人阪神高速道路管理技術センター、12〜24頁、「高架裏面反射音対策」計画部環境対策室 高橋文治、大阪第三建設部設計課 都良伸、計画部環境対策室 溝渕修治

2 被請求人らの主張
被請求人は、答弁書とともに別件での訂正請求書の写しを乙第1号証として提出した。
甲第2号証に記載されたものは、ルーバー構成部材の下面等において、下方の道路を走行している車両の騒音が反射しやすく、又、ルーバー構成部材の吸音効果自体もさほど期待できず、下方の道路を走行している車両の騒音の低減効果が得にくいという問題点を有する。
甲第3号証に記載されたものは、適宜間隔をおいて併設されている吸音長尺材のみによる吸音効果はさほど期待できず、下方の道路を走行している車両の騒音の低減効果が得にくいという問題点を有する。
甲第4号証、及び甲第5号証に記載されたものは、円筒型吸音材、及び吸音筒のみによる吸音効果はさほど期待できず、下方の道路を走行している車両の騒音の低減効果が得にくいという問題点を有する。
甲第6号証に記載されたものは、吸音材のみによる吸音効果はさほど期待できず、下方の道路を走行している車両の騒音の低減効果が得にくいという問題点を有する。
本件訂正発明は、甲第2号証〜甲第6号証に記載されておらず、又示唆もない特許請求の範囲の請求項1に記載した「恒久足場の足場板を、高架橋の長手方向に配設したH形鋼からなる枠部材に嵌挿した多数の透孔を有する板材の間に吸音材を充填したブロック体からなる吸音部材で構成」することを前提とし、「高架橋の長手方向に配設したH形鋼からなる枠部材の下面に外筒の内部に吸音材を充填したブロック体からなる円柱形状の吸音部材を高架橋の長手方向に沿って延びるように垂設」することを構成要件として有し、この構成により、上記甲第2号証〜甲第6号証に記載された発明によっては達成できない、「下方の道路を走行している車両の騒音を恒久足場の下面に垂設した吸音部材により吸収することができ、これにより、下方の道路を走行している車両の騒音を低減することができる。」等の訂正明細書記載の顕著な作用効果を奏するものである。
請求人の主張する無効理由は、理由がない。

乙第1号証:平成10年審判第35506号で提出した、平成11年1月29日付け訂正請求書の写し

十一 請求10:平成10年審判第35589号について
1 請求人、川崎製鉄株式会社の主張
請求項1に係る発明は、甲第1号証〜甲第4号証にそれぞれ記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。
請求項2に係る発明は、甲第1号証〜甲第5号証にそれぞれ記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。
請求項3に係る発明は、甲第1号証〜甲第6号証にそれぞれ記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。
さらに、訂正後の請求項1に記載された発明は、甲第1号証〜甲第6号証にそれぞれ記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、訂正は認められない。
よって、本件の請求項1〜3にそれぞれ記載された発明の特許は、同法123条1項2号の規定により無効とされるべきである。

甲第1号証:特開平7-180118号公報
甲第2号証:橋梁、Vol.28、No.12、19921〜9頁、「美女木インターチェンジの設計、施工概要(1)」首都高速道路公団工務部設計技術課、斉藤亮、同第一建設部戸田工事事務所、原孝弘、同湾岸線建設局工務課、岡崎健一
甲第3号証:技報第12号、監修、阪神高速道路公団、平成5年3月発行、発行所、財団法人阪神高速道路管理技術センター、139〜146頁、「円筒型裏面吸音材の設計 神戸管理部 調査設計課 米倉 徹 若林繁充 丸山 悟」
甲第4号証:発明協会公開技報公技番号94-12086号(1994年6月15日発行)
甲第5号証:音響技術、V0l.19、No.3[通巻No.71]9〜14頁「騒音防止設計と吸音材料」株式会社ケンオンエンジニヤリング、福島昭則、小西一生
甲第6号証:特開平3-290514号公報

2 被請求人らの主張
被請求人は、答弁書とともに別件での訂正請求書の写しを乙第1号証として提出した。
甲第1号証に記載されたものは、ルーバー構成部材の下面等において、下方の道路を走行している車両の騒音が反射しやすく、又、ルーバー構成部材の吸音効果自体もさほど期待できず、下方の道路を走行している車両の騒音の低減効果が得にくいという問題点を有する。
甲第2号証に記載されたものは、アルミルーバーの下面等において、下方の道路を走行している車両の騒音が反射しやすく、又、アルミルーバーの吸音効果自体もさほど期待できず、下方の道路を走行している車両の騒音の低減効果が得にくいという問題点を有する。
甲第3号証、及び甲第4号証に記載されたものは、適宜間隔をおいて設けられている吸音パイプのみ、及び円筒型吸音材のみによる吸音効果はさほど期待できず、下方の道路を走行している車両の騒音の低減効果が得にくいという問題点を有する。
甲第5号証に記載されたものは、適宜隙間あけて設けられている吸音パネルのみによる吸音効果はさほど期待できず、下方の道路を走行している車両の騒音の低減効果が得にくいという問題点を有する。
甲第6号証に記載されたものは、適宜間隔をおいて設けられている吸音体のみによる吸音効果はさほど期待できず、下方の道路を走行している車両の騒音の低減効果が得にくいという問題点を有する。
本件訂正発明は、甲第1号証〜甲第6号証に記載されておらず、又示唆もない特許請求の範囲の請求項1に記載した「恒久足場の足場板を、高架橋の長手方向に配設したH形鋼からなる枠部材に嵌挿した多数の透孔を有する板材の間に吸音材を充填したブロック体からなる吸音部材で構成」することを前提とし、「高架橋の長手方向に配設したH形鋼からなる枠部材の下面に外筒の内部に吸音材を充填したブロック体からなる円柱形状の吸音部材を高架橋の長手方向に沿って延びるように垂設」することを構成要件として有し、この構成により、上記甲第1号証〜甲第6号証に記載された発明によっては達成できない、「下方の道路を走行している車両の騒音を恒久足場の下面に垂設した吸音部材により吸収することができ、これにより、下方の道路を走行している車両の騒音を低減することができる。」等の訂正明細書記載の顕著な作用効果を奏するものである。
請求人の主張する無効理由は、理由がない。

乙第1号証:平成10年審判第35506号で提出した、平成11年1月29日付け訂正請求書の写し

十二 請求11:平成10年審判第35600号について
1 請求人、日本碍子株式会社の主張
請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と同一であり、特許法29条1項3号に該当し、それぞれ特許を受けることができないものである。
請求項2に係る発明は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。
請求項3に係る発明は、甲第1号証及び甲第3号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。
請求項3に係る発明は、甲第4号証に記載された発明と同一であり、特許法29条1項3号に該当し、それぞれ特許を受けることができないものである。
さらに、弁駁書とともに提出した、周知例としての参考資料1〜3をも考慮すると、訂正後の請求項1に記載された発明は、甲第1号証〜甲第3号証にそれぞれ記載された発明及び上記周知の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、訂正は認められない。
よって、本件の請求項1〜3にそれぞれ記載された発明の特許は、同法123条1項2号の規定により無効とされるべきである。

甲第1号証:特開平7-180118号公報
甲第2号証:技報第5号、監修、阪神高速道路公団、昭和61年3月発行、発行所、財団法人阪神高速道路管理技術センター、12〜24頁、「高架裏面反射音対策」計画部環境対策室 高橋文治、大阪第三建設部設計課 都良伸、計画部環境対策室 溝渕修治
甲第3号証:発明協会公開技報公技番号94-12086号(1994年6月15日発行)
甲第4号証:実願昭61-22117号(実開昭62-138710号)のマイクロフィルム
参考資料1:内田安三、柳田博明編、「遮断材料総覧」、第645〜654頁及び第696頁、昭和53年11月15日初版第1刷発行、発行所、株式会社産業技術センター
参考資料2:特開昭47-28726号公報
参考資料3:実願平2-65824号(実開平4-26208号)のマイクロフィルム

2 被請求人らの主張
被請求人は、答弁書とともに別件での訂正請求書の写しを乙第1号証として提出した。
甲第1号証に記載されたものは、ルーバー構成部材の下面等において、下方の道路を走行している車両の騒音が反射しやすく、又、ルーバー構成部材の吸音効果自体もさほど期待できず、下方の道路を走行している車両の騒音の低減効果が得にくいという問題点を有する。
甲第2号証に記載されたものは、吸音材のみによる吸音効果はさほど期待できず、下方の道路を走行している車両の騒音の低減効果が得にくいという問題点を有する。
甲第3号証に記載されたものは、円筒型吸音材のみによる吸音効果はさほど期待できず、下方の道路を走行している車両の騒音の低減効果が得にくいという問題点を有する。
甲第4号証に記載されたものは、適宜間隔をおいて併設されている吸音長尺材のみによる吸音効果はさほど期待できず、下方の道路を走行している車両の騒音の低減効果が得にくいという問題点を有する。
本件訂正発明は、甲第1号証〜甲第4号証に記載されておらず、又示唆もない特許請求の範囲の請求項1に記載した「恒久足場の足場板を、高架橋の長手方向に配設したH形鋼からなる枠部材に嵌挿した多数の透孔を有する板材の間に吸音材を充填したブロック体からなる吸音部材で構成」することを前提とし、「高架橋の長手方向に配設したH形鋼からなる枠部材の下面に外筒の内部に吸音材を充填したブロック体からなる円柱形状の吸音部材を高架橋の長手方向に沿って延びるように垂設」することを構成要件として有し、この構成により、上記甲第1号証〜甲第4号証に記載された発明によっては達成できない、「下方の道路を走行している車両の騒音を恒久足場の下面に垂設した吸音部材により吸収することができ、これにより、下方の道路を走行している車両の騒音を低減することができる。」等の訂正明細書記載の顕著な作用効果を奏するものである。
請求人の主張する無効理由は、理由がない。

乙第1号証:平成10年審判第35506号で提出した、平成11年1月29日付け訂正請求書の写し

第三 訂正請求の内容
一 訂正請求の要旨
本件訂正請求の要旨は、特許2729781号発明の明細書を、同訂正請求書に添付された訂正明細書のとおり、特許請求の範囲の減縮、及び明りょうでない記載の釈明を目的として、訂正することを求めるものである。

二 訂正事項
1 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1の、
「高架橋の床版の下方に所定の作業空間を形成するようにして床版の下面の略全面を遮蔽するように覆う恒久足場を設けるとともに、該恒久足場の足場板を吸音部材で構成したことを特徴とする恒久足場を有する高架橋。」を、
「高架橋の床版の下方に所定の作業空間を形成するようにして床版の下面の略全面を遮蔽するように覆う恒久足場を設けるとともに、該恒久足場の足場板を、高架橋の長手方向に配設したH形鋼からなる枠部材に嵌挿した多数の透孔を有する板材の間に吸音材を充填したブロック体からなる吸音部材で構成し、前記高架橋の長手方向に配設したH形鋼からなる枠部材の下面に外筒の内部に吸音材を充填したブロック体からなる円柱形状の吸音部材を高架橋の長手方向に沿って延びるように垂設したことを特徴とする恒久足場を有する高架橋。」に訂正する。

2 訂正事項2
もとの請求項2及び3を削除する。

3 訂正事項3
明細書の発明の詳細な説明の段落番号【0006】中の「該恒久足場の足場板を吸音部材で構成したことを特徴とする。」の記載を、「該恒久足場の足場板を、高架橋の長手方向に配設したH形鋼からなる枠部材に嵌挿した多数の透孔を有する板材の間に吸音材を充填したブロック体からなる吸音部材で構成し、前記高架橋の長手方向に配設したH形鋼からなる枠部材の下面に外筒の内部に吸音材を充填したブロック体からなる円柱形状の吸音部材を高架橋の長手方向に沿って延びるように垂設したことを特徴とする。」に訂正する。

4 訂正事項4
同段落番号【0008】の「また、足場板を多数の透孔を有する板材の間に吸音材を充填したブロック体で構成することができる。」の記載を、「また、足場板を多数の透孔を有する板材の間に吸音材を充填したブロック体で構成するようにしているので、足場板の吸音性及び耐久性を向上することができる。」に訂正する。

5 訂正事項5
同段落番号【0009】の「これにより、足場板の吸音性及び耐久性を向上することができる。」の記載を削除する。

6 訂正事項6
同段落番号【0010】の「また、恒久足場の下面に吸音部材を垂設することができる。」の記載を、「また、恒久足場の下面、具体的には、高架橋の長手方向に配設したH形鋼からなる枠部材の下面に外筒の内部に吸音材を充填したブロック体からなる円柱形状の吸音部材を高架橋の長手方向に沿って延びるように垂設するようにしているので、下方の道路を走行している車両の騒音を恒久足場の下面に垂設した吸音部材により吸収することができ、これにより、下方の道路を走行している車両の騒音を低減することができる。」に訂正する。

7 訂正事項7
同段落番号【0011】の「これにより、下方の道路を走行している車両の騒音を恒久足場の下面に垂設した吸音部材により吸収することができ、これにより、下方の道路を走行している車両の騒音を低減することができる。」の記載を削除する。

8 訂正事項8
同段落番号【0020】の「また、請求項2記載の発明によれば、足場板の吸音性及び耐久性を向上することができる。」の記載を、「また、足場板を多数の透孔を有する板材の間に吸音材を充填したブロック体で構成するようにしているので、足場板の吸音性及び耐久性を向上することができる。」に訂正する。

9 訂正事項9
同段落番号【0021】の「また、請求項3記載の発明によれば、下方の道路を走行している車両の騒音を恒久足場の下面に垂設した吸音部材により吸収することができ、これにより、下方の道路を走行している車両の騒音を低減することができ、周辺地域の騒音公害を緩和することができるとともに、恒久足場により区画された作業空間内の騒音を低減することができ、補修作業の作業環境をより良好に維持することができる。」の記載を、「また、恒久足場の下面、具体的には、高架橋の長手方向に配設したH形鋼からなる枠部材の下面に外筒の内部に吸音材を充填したブロック体からなる円柱形状の吸音部材を高架橋の長手方向に沿って延びるように垂設するようにしているので、下方の道路を走行している車両の騒音を恒久足場の下面に垂設した吸音部材により吸収することができ、これにより、下方の道路を走行している車両の騒音を低減することができる。」に訂正する。

第四 訂正の当否について
一 訂正明細書に記載された発明
訂正明細書の特許請求の範囲の記載は、以下のとおりである。
「【請求項1】高架橋の床版の下方に所定の作業空間を形成するようにして床版の下面の略全面を遮蔽するように覆う恒久足場を設けるとともに、該恒久足場の足場板を、高架橋の長手方向に配設したH形鋼からなる枠部材に嵌挿した多数の透孔を有する板材の間に吸音材を充填したブロック体からなる吸音部材で構成し、前記高架橋の長手方向に配設したH形鋼からなる枠部材の下面に外筒の内部に吸音材を充填したブロック体からなる円柱形状の吸音部材を高架橋の長手方向に沿って延びるように垂設したことを特徴とする恒久足場を有する高架橋。」

二 引用刊行物記載の事項
平成12年5月8日付け無効理由通知書での「第一 訂正の当否について」の項で引用されたところの、平成10年特許庁審判第35506号の審判請求人、阪神高速道路公団が甲第2号証として提出した、本件特許発明の出願前に公知の刊行物である、特開平7-180118号公報、及び平成10年特許庁審判第35589号の審判請求人、川崎製鉄株式会社が甲第3号証として提出した、本件特許発明の出願前に公知の刊行物である、技報第12号、監修、阪神高速道路公団、平成5年3月発行、発行所、財団法人阪神高速道路管理技術センター、139〜146頁、「円筒型裏面吸音材の設計」、さらに及び平成10年特許庁審判第35555号の審判請求人、日立造船株式会社が甲第7号証として提出した、本件特許発明の出願前に公知の刊行物である、実願平5-45189号(実開平7-15807号)のCD-ROMには、それぞれ以下の発明が記載されているものと認められる。
なお、これら引用刊行物は、上記の請求人以外によっても証拠として提出されている(別表を参照のこと)。

1 特開平7-180118号公報(以下「引用例1」と言う。)には、特に、以下(1)〜(8)の記載があり、
(1) 「【請求項1】複数本のルーバー構成部材(6A)を互いに並行して吸音用開口部(8)を形成するように配設し、前記開口部(8)を閉塞して前記ルーバー構成部材(6A)間に吸音材(10)を設けているとともに、高架式建造物(1)の桁裏面に(1a)との間に空気層(11)を形成しかつ該裏面(1a)を覆って装着されていることを特徴とする高架式建造物における桁裏面の被覆用ルーバー。
【請求項2】・・・
【請求項3】・・・
【請求項4】吸音材(10)の上面を、有孔板による枠体(21)で補強していることを特徴とする請求項3に記載の高架式建造物における桁裏面の被覆用ルーバーパネル。」(同公報1頁1欄2〜24行、特許請求の範囲)、
(2) 「そこで本発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたもので、吸音効率を向上して騒音対策を確実に行なうことができ、かつ重量の増大およびコストの上昇を回避しながら吸音用開口率を大きくして吸収音域を拡大できる高架式建造物における桁裏面の被覆用ルーバーを提供することを第1の目的としている。更に、本発明は前記目的に加えて、構築施工期間を短期にできるとともに、構築後における点検等にも有利なルーバーパネルを提供することが第2の目的である。」(同公報2頁2欄48行〜3頁3欄6行、段落番号【0009】)、
(3) 「【作用】本発明に係る高架式建造物におけ桁裏面の被覆用ルーバー6によれば、各ルーバー構成部材6A間の吸音用開口部8に吸音材10を配設し、該吸音材10の上部に空気層11を設けたので、上記開口部8を経た音は吸音材10内に進入する際に吸収されるとともに、桁裏面1aにて反転して再度吸音材10から出る際にも吸収されることから、従来の吸音材を敷設したり、充填したりしただけの構造に比べて吸音効率を向上でき、それだけ騒音対策を確実に行えることができる。」(同公報3頁3欄44行〜4欄2行、段落番号【0014】)、
(4) 「更に、本発明に係るルーバーパネル17によれば、吸音材10の上面に有孔板よりなる枠体21を設けていることから、吸音効率を低下させることなく、構築後の点検用歩廊にすることができる。」(同公報3頁4欄20〜23行、段落番号【0017】)、
(5) 「上記ルーバー構成部材6Aは、・・・合成樹脂またはアルミ合金、鋼などの金属あるいはこれらの複合材料よりなっていて、実施例では、図1に示すように、断面大略王字形に形成されたFRP製のもので、高さ100mm、厚さ5mmの縦壁6aの上端に幅60mmの上壁6bが一体に形成され、該上壁6bに長手方向の凹溝とされた受け部6cが一体形成されている。・・・さらに上記縦壁6aの上壁6bと下壁6dとの中間部には幅60mmの支持壁6eが一体に形成されており、この支持壁6eにより上記ルーバー構成部材6A間には高さ50mmの上段部と高さ25mmの下段部に区分けされた吸音材10の取付け部が構成されている。」(同公報3頁4欄49行〜4頁5欄20行、段落番号【0021】【0022】)、
(6) 「上記各ルーバー構成部材6A間の開口部8はグラスウール、発泡ウレタンあるいは連続気泡を有する金属系材料等よりなる吸音材10で閉塞されている。」(同公報4頁5欄25〜28行、段落番号【0023】)、
(7) 「図6〜図8に示す第1実施例に係るパネル17は、図5で示した中空断面構造とされた複数本のルーバー構成部材16を互いに並行して吸音用開口部8を形成するように配設し、該開口部8を閉塞して前記ルーバー構成部材16間に吸音材10を設けているとともに、前記ルーバー構成部材16の長手方向と交差して複数本のつなぎ部材18を配設し、該つなぎ部材18を前記複数本のルーバー構成部材16の取付け部16AにスライドボルトV等で工場等によって接合することで図6で示す如くパネル化したものである。」(同公報5頁7欄11〜20行、段落番号【0032】)、
(8) 「更に、開口部8を閉塞して配設された吸音材10上には、有孔板よりなるボックス形状の枠体21が嵌合状に備えられていて吸音材10を補強しており、ルーバーバネル17を取付け部19によって高架建造物の桁裏面に空気層11を形成して装着したとき、前記枠体21が点検用等のための歩廊とされている。」(同公報5頁7欄35〜40行、段落番号【0035】)、
(9) 「更に、枠体21としては、有孔板であればよく、多数の孔を有する制振鋼板、エキステンションメタル、多数の孔を有する硬質樹脂板およびこれのサンドイッチ構造材等であってもよい。」(同公報5頁8欄18〜21行、段落番号【0039】)、
(10)「【発明の効果】以上詳述した通り本発明に係るルーバーによれは、重量の増大およびコストの上昇を回避しながら、吸音効率を向上できるとともに、吸収音域を拡大でき、騒音対策を確実に行える効果がある。また、本発明に係るルーバーパネルによれば、前述の作用効果に加えて、現場施工期間を短縮化して装着できるし、装着も正確かつ堅牢にできるとともに装着後の点検等の作業空間も増大できる。」(同公報5頁8欄26〜33行、段落番号【0040】)、
(11)図1、図2、図6〜8、
これらの記載によると、
「高架式建造物の桁裏面の下方に所定の作業空間を形成するようにして桁裏面の下面の略全面を遮蔽するように覆う点検用歩廊を設けるとともに、該点検用歩廊の板を、高架式建造物の長手方向に配設した形鋼からなるルーバー構成部材に嵌挿した多数の透孔を有する枠体の間に吸音材を充填した部材で構成した点検用歩廊を有する高架式建造物」
が開示されているものと認める。

2 技報第12号、監修、阪神高速道路公団、平成5年3月発行、発行所、財団法人阪神高速道路管理技術センター、139〜146頁、「円筒型裏面吸音材の設計」(以下「引用例2」と言う。)には、特に、以下(1)〜(3)の記載があり、
(1) 「2-1 概要
模型実験より、地形的二層構造道路の高架道路裏面に吸音材を設置する場合、吸音パイプを設置すると吸音効果が一番大きいという結果が得られた。また、高架下の景観を考慮すれば、円筒形が現地にふさわしいと判断された。そこで、今回の施工では、吸音材を円筒形とした。吸音パイプの材質は、軽くて耐候性に優れ、曲げ加工の容易なアルミニウム材を採用し、アルミニウム発泡材製とアルミニウム繊維材製の2種類を製作した。2種類の吸音パイプは、同等の色合いとなるよう着色を施した。吸音パイプの配置ピッチは、実橋試験から吸音パイプ直径と吸音パイプ間の間隔の比率を3:2とした。吸音材の取付用金具は、維持点検等での使用や工事での足場としての使用に耐えうるような耐荷力を確保した。」(同141頁左欄2〜17行)
(2) 「2-4 吸音パイプの取付方法
吸音パイプの取付方法は、維持点検等での使用や、補修工事の作業時の足場としての使用を考慮した。桁下空間は、設計基準に従って60cmを確保した。取付方法は橋軸方向に合わせた。」(同144頁左欄1〜5行)、
(3) 図-2、図-3、図-5及び図-6
これらの記載によると、
「高架道路の裏面に所定の作業空間を形成するようにして足場を設けるとともに、前記高架道路の足場の下面に外筒の内部に吸音材を充填したブロック体からなる円柱形状の吸音部材を高架道路の長手方向に沿って延びるように設けた足場を有する高架道路」
が開示されているものと認める。

3 実願平5-45189号(実開平7-15807号)のCD-ROM(以下「引用例3」と言う。)には、特に、以下(1)〜(4)の記載があり、
(1) 「高架道路桁下1aの梁部材31に、上記ルーバー30を道路の幅方向に並列配置するとともに、・・・また騒音対策については、従来、上記ルーバー30上部の桁下1a部分にグラスウール32からなる吸音材を敷設し、さらに該グラスウール32の固定用発泡スチロール33を配設し、これにより一般道路2からの騒音の反響を防止するようにしている。」(同明細書段落番号【0003】【0004】)、
(2) 「そして上記高架道路1の桁下1aに吊設された梁部材31に本実施例の特徴をなすルーバー20が配設されている。この各ルーバー20は上記高速道路1の走行方向に延び、かつ道路幅方向に50mmの隙間を設けて並列配置されており、この各ルーバー20は上記梁部材31にボルト締め固定されている。」(同明細書段落番号【0017】)、
(3) 「上記中空部材21内にはグラスウールからなる吸音材10が充填されている。この吸音材10は底壁21c上面からくびれ部にかけて配設されており、該吸音材10と上壁21aとの間には背後空気層12が形成されており、該空気層12の厚さは約45mm程度に設定されている。」(同明細書段落番号【0020】)、
(4) 図1〜図3、
これらの記載によると、
「高架式高速道路の桁下の梁部材にグラスウールからなる吸音材を敷設し、梁部材の下面に中空部材の内部に吸音材を充填したルーバーを高架式高速道路の長手方向に沿って延びるように垂設した高架式高速道路」
が開示されているものと認める。

三 当審での検討
1 訂正明細書の請求項1に係る発明と引用例1記載のものとの対比
本件訂正明細書の請求項1に係る発明と引用例1記載のものとを対比すると、本件訂正明細書の請求項1に係る発明における、「高架橋」、「床版」、「恒久足場」、「枠部材」、「板材」、「吸音材を充填したブロック体からなる吸音部材」は、それぞれ引用例1記載のものにおける、「高架式建造物」、「桁裏面」、「点検用歩廊」、「ルーバー構成部材」、「枠体」、「吸音材を充填した部材」に対応し、両者は次の点で一致する。
「高架橋の床版の下方に所定の作業空間を形成するようにして床版の下面の略全面を遮蔽するように覆う恒久足場を設けるとともに、該恒久足場の足場板を、高架橋の長手方向に配設した形鋼からなる枠部材に嵌挿した多数の透孔を有する板材の間に吸音材を充填したブロック体からなる吸音部材で構成した恒久足場を有する高架橋」
そして、両者は、下記の相違点1、2の点で相違している。
相違点1
引用例1記載のものにおいては、そのルーバー構成部材(枠部材)が、形鋼からなるのに対し、訂正明細書の請求項1に係る発明においては、その枠部材が、特にH形鋼である点。
相違点2
訂正明細書の請求項1に係る発明においては、吸音部材として、さらに、「高架橋の長手方向に配設したH形鋼からなる枠部材の下面に外筒の内部に吸音材を充填したブロック体からなる円柱形状の吸音部材を高架橋の長手方向に沿って延びるように垂設した」のに対し、引用例1記載のものにおいては、このような構成を有しない点。

2 相違点に対する検討
(1) 相違点1について
引用例1において、「ルーバー構成部材6Aは、・・・合成樹脂またはアルミ合金、鋼などの金属あるいはこれらの複合材料よりなっていて、実施例では、図1に示すように、断面大略王字形に形成され」(上記二1(5))との記載がある。
引用例1における、「断面大略王字形に形成され」た形鋼に代えて、特にH形鋼を採用するようなことは、当業者が必要に応じて容易になし得た程度のことにすぎない。
(2) 相違点2について
上記のとおり、引用例2において、「高架道路の裏面に所定の作業空間を形成するようにして足場を設けるとともに、前記高架道路の足場の下面に外筒の内部に吸音材を充填したブロック体からなる円柱形状の吸音部材を高架道路の長手方向に沿って延びるように設けた足場を有する高架道路」が、公知の技術手段として開示されている。
さらに、引用例3において、「高架式高速道路の桁下の梁部材にグラスウールからなる吸音材を敷設し、梁部材の下面に中空部材の内部に吸音材を充填したルーバーを高架式高速道路の長手方向に沿って延びるように垂設した高架式高速道路」が、これ又、公知の技術手段として開示されている。
そして、引用例1も、引用例2もそれぞれ、高架式建造物なり高架道路において、点検用歩廊なり足場を有するものであって、さらに騒音対策を課題の一つにしていること、又、上記引用例3によると、高架式高速道路の桁下の梁部材にグラスウールからなる吸音材を敷設するとともに、梁部材の下面に中空部材の内部に吸音材を充填したルーバーを高架式高速道路の長手方向に沿って延びるように垂設して、両者の吸音手段を併用する点が開示されていることが認められる。
してみると、引用例1におけるような、その点検用歩廊(恒久足場)を多数の透孔を有する枠体(板材)の間に吸音材を充填した部材で構成した高架式建造物(高架橋)において、さらに上記引用例2に記載されているように、高架道路(高架橋)の裏面に所定の作業空間を形成するようにして足場(恒久足場)を設けるとともに、前記高架道路(高架橋)の足場(恒久足場)の下面に外筒の内部に吸音材を充填したブロック体からなる円柱形状の吸音部材を高架道路(高架橋)の長手方向に沿って延びるように設けて、本件訂正明細書の請求項1に係る発明におけるように構成するようなことは、引用例3において複数の吸音手段を併用することが開示されていること、さらに引用例1に引用例2を適用することに特段の阻害する要因もないことからすると、格別顕著な困難性を見出すことはできず、当業者が必要に応じて容易になし得た程度のことである。
(3) まとめ
全体として、本件訂正明細書の請求項1に係る発明によってもたらされる効果も、引用例1〜3記載のそれぞれのものから、当業者であれば当然に予測することができる程度のものであって、格別、顕著なものとは言えない。
したがって、本件訂正明細書の請求項1に係る発明は、引用例1〜3にそれぞれ記載されたものに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

四 被請求人の意見書での主張に対して
被請求人は、平成12年7月18日付け意見書において、「引用例1に記載された発明の高架式建造物における桁裏面の被覆用ルーバーには.ルーバー構成部材の下面に外筒の内部に吸音材を充填したブロック体からなる円柱形状の吸音部材を設ける技術思想は全くないこと、さらに、引用例2に高架道路の足場の下面に外筒の内部に吸音材を充填したブロック体からなる円柱形状の吸音部材を高架道路の長手方向に沿って延びるように設けること、及び引用例3に梁部材の下面に中空部材の内部に吸音材を充填したルーバーを高架式高速道路の長手方向に沿って延びるように垂設することが記載されているとしても.引用例2に記載された吸音部材及び引用例3に記載されたルーバーは、いずれも、高架道路の短手方向に沿って延びるように設けた梁部材に取り付けるようにされていると認められることから、本件発明の『高架橋の長手方向に配設したH形鋼からなる枠部材の下面に外筒の内部に吸音材を充填したブロック体からなる円柱形状の吸音都材を高架橋の長手方向に沿って延びるように垂設』する構成は、引用例1〜3を組み合わせても,到底容易に想到されるものではない」、さらに「この構成により,『下方の道路を走行している車両の騒音を(足場板が嵌挿、支持される高架橋の長手方向に配設したH形鋼からなる枠部材による反射等の影響を受けることなく)恒久足場(枠部材)の下面に垂設した吸音部材により吸収することができ、これにより、下方の道路を走行している車両の騒音を低減することができる。』という顕著な作用効果を奏する」と主張している。
しかし、被請求人が主張する、「高架橋の長手方向に配設したH形鋼からなる枠部材の下面に外筒の内部に吸音材を充填したブロック体からなる円柱形状の吸音都材を高架橋の長手方向に沿って延びるように垂設」の点は、上記「(2) 相違点2について」の項で検討している。
すなわち、引用例1も、引用例2もそれぞれ、高架式建造物なり高架道路において、点検用歩廊なり足場を有するものであって、さらに騒音対策を課題の一つにしていること、又、引用例3によると、高架式高速道路の桁下の梁部材にグラスウールからなる吸音材を敷設するとともに、梁部材の下面に中空部材の内部に吸音材を充填したルーバーを高架式高速道路の長手方向に沿って延びるように垂設して、両者の吸音手段を併用する点が開示されていることが認められるとした上で、引用例1における高架式建造物において、引用例2におけるような構成を適用し、その際上記被請求人が主張する「高架橋の長手方向に配設したH形鋼からなる枠部材の下面に外筒の内部に吸音材を充填したブロック体からなる円柱形状の吸音都材を高架橋の長手方向に沿って延びるように垂設」の点も含めて、本件訂正明細書の請求項1に係る発明におけるように構成するようなことは、引用例3において複数の吸音手段を併用することが開示されていること、さらに引用例1に引用例2を適用することに特段の阻害する要因もないことからすると、格別顕著な困難性を見出すことはできず、当業者が必要に応じて容易になし得た程度のことであると判断したものである。そして、全体として、本件訂正明細書の請求項1に係る発明によってもたらされる効果も、引用例1〜3記載のそれぞれのものから、当業者であれば当然に予測することができる程度のものであって、格別、顕著なものとはいえないと判断したものである。
したがって、意見書の主張は採用できない。

五 結び
以上によると、訂正明細書の請求項1に係る発明は、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
よって、本件審判請求に係る訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則6条1項の規定により、なお従前の例によるとされる、特許法134条5項で準用する、特許法126条4項の規定に適合しないので、認められない。

第五 無効理由について
一 本件発明
本件発明は、明細書及び図面の記載からして、その特許請求の範囲の請求項1〜3に係る下記のとおりのものと認める。
「【請求項1】高架橋の床版の下方に所定の作業空間を形成するようにして床版の下面の略全面を遮蔽するように覆う恒久足場を設けるとともに、該恒久足場の足場板を吸音部材で構成したことを特徴とする恒久足場を有する高架橋。
【請求項2】足場板を多数の透孔を有する板材の間に吸音材を充填したブロック体で構成したことを特徴とする請求項1記載の恒久足場を有する高架橋。
【請求項3】恒久足場の下面に吸音部材を垂設したことを特徴とする請求項1又は2記載の恒久足場を有する高架橋。」

二 引用刊行物記載の事項
1 平成12年5月8日付け無効理由通知書での「第二 無効理由について」の項で引用された引用例1〜3は、前記「第四 訂正の当否について 二 引用刊行物記載の事項」の項で引用された引用例1〜3と同一であり、引用例1〜3にはそれぞれさきに示した記載があり、それらの記載によると、引用例1〜3にはそれぞれ下記の事項が記載されているものと認める。

2 引用例1(特開平7-180118号公報)には、
「高架式建造物の桁裏面の下方に所定の作業空間を形成するようにして桁裏面の下面の略全面を遮蔽するように覆う点検用歩廊を設けるとともに、該点検用歩廊の板を、多数の透孔を有する枠体の間に吸音材を充填した部材で構成した点検用歩廊を有する高架式建造物」
が開示されているものと認める。

3 引用例2(技報第12号、監修、阪神高速道路公団、平成5年3月発行、発行所、財団法人阪神高速道路管理技術センター、139〜146頁、「円筒型裏面吸音材の設計」)には、
「高架道路の裏面に所定の作業空間を形成するようにして足場を設けるとともに、前記高架道路の足場の下面に吸音部材を高架道路の長手方向に沿って延びるように設けた足場を有する高架道路」
が開示されているものと認める。

4 引用例3(実願平5-45189号[実開平7-15807号]のCD-ROM)には、
「高架式高速道路の桁下の梁部材にグラスウールからなる吸音材を敷設し、梁部材の下面に中空部材の内部に吸音材を充填したルーバーを高架式高速道路の長手方向に沿って延びるように垂設した高架式高速道路」
が開示されているものと認める。

三 当審での検討
1 請求項1に係る発明について
引用例1には、請求項1に係る発明と同一の発明が記載されており、請求項1に係る発明は特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができないものである。

2 請求項2に係る発明について
引用例1には、請求項2に係る発明と同一の発明が記載されており、請求項2に係る発明は特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができないものである。

3 請求項3に係る発明について
(1) 請求項3に係る発明と引用例1記載のものとの対比
請求項1を引用した請求項3に係る発明と引用例1記載のものとを対比すると、下記の点で一致する。
一致点(その1)
高架橋の床版の下方に所定の作業空間を形成するようにして床版の下面の略全面を遮蔽するように覆う恒久足場を設けるとともに、該恒久足場の足場板を吸音部材で構成した恒久足場を有する高架橋である点。
又、請求項2を引用した請求項3に係る発明と引用例1記載のものとを対比すると、下記の点で一致する。
一致点(その2)
高架橋の床版の下方に所定の作業空間を形成するようにして床版の下面の略全面を遮蔽するように覆う恒久足場を設けるとともに、該恒久足場の足場板を多数の透孔を有する板材の間に吸音材を充填したブロック体からなる吸音部材で構成した恒久足場を有する高架橋である点。
そして、請求項1を引用した発明においても、請求項2を引用した発明においても、相違点は同様となり、下記のとおりとなる。
相違点
請求項3に係る発明においては、吸音部材として、さらに、「恒久足場の下面に吸音部材を垂設した」のに対し、引用例1記載のものにおいては、このような構成を有しない点。
(2) 相違点に対する検討
さきの「「第四 訂正の当否について 三 当審での検討 2 相違点に対する検討 (2) 相違点2について (3) まとめ」の項で検討したのと同趣旨の理由により、本件請求項3に係る発明は、引用例1〜3にそれぞれ記載されたものに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができないものである。

四 結び
以上、本件請求項1に係る発明は特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができないものである。本件請求項2に係る発明は特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができないものである。本件請求項3に係る発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができないものである。

第六 結論
本件特許は、他の無効審判請求の理由を検討するまでもなく、特許法123条1項2号の規定に該当し、無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2001-01-15 
結審通知日 2001-01-26 
審決日 2001-02-06 
出願番号 特願平7-240632
審決分類 P 1 112・ 121- ZB (E04G)
最終処分 成立  
前審関与審査官 峰 祐治  
特許庁審判長 幸長 保次郎
特許庁審判官 杉浦 淳
鈴木 公子
登録日 1997-12-19 
登録番号 特許第2729781号(P2729781)
発明の名称 恒久足場を有する高架橋  
代理人 内藤 俊太  
代理人 森 治  
代理人 林 清明  
代理人 中村 誠  
代理人 大塚 文昭  
代理人 田中 久喬  
代理人 小谷 悦司  
代理人 森 治  
代理人 林 清明  
代理人 林 清明  
代理人 千葉 剛宏  
代理人 中村 稔  
代理人 林 清明  
代理人 植木 久一  
代理人 小杉 佳男  
代理人 森 治  
代理人 村松 敏郎  
代理人 鳥居 和久  
代理人 鎌田 文二  
代理人 鈴江 武彦  
代理人 山田 正紀  
代理人 弟子丸 健  
代理人 宍戸 嘉一  
代理人 森本 義弘  
代理人 森 治  
代理人 明田 莞  
代理人 園田 敏雄  
代理人 大石 皓一  
代理人 佐藤 辰彦  
代理人 安田 敏雄  
代理人 林 清明  
代理人 東尾 正博  
代理人 森 治  

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