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審決分類 審判 判定 同一 属する(申立て成立) H05K
管理番号 1035966
判定請求番号 判定2000-60152  
総通号数 18 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許判定公報 
発行日 1991-12-03 
種別 判定 
判定請求日 2000-11-20 
確定日 2001-04-11 
事件の表示 上記当事者間の特許第2068759号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 イ号図面及びその説明書に示す「クリ―ム状半田のスクリ―ン印刷機におけるスクリ―ン版クリ―ニング装置」は、特許第2068759号発明の技術的範囲に属する。 
理由 1.[請求の趣旨]
本件判定請求の趣旨は、イ号図面及びその説明書に示される「クリーム状半田のスクリーン印刷機におけるスクリーン版クリーニング装置」(以下、「イ号物件」という)が、請求人所有の特許第2068759号の請求項1に係る発明(以下、「本件特許発明」という)の技術的範囲に属する、との判定を求めたものである。

2.[本件特許発明]
本件特許発明は、特許明細書及び図面の記載から、その特許請求の範囲の請求項1に記載されたところによって特定されるものと認められるが、これを構成要件毎に、A〜Eの符号を付して分説すると、次のとおりである。
(A)プリント基板に対し所定のプリント・パターンを有する複数個の孔を備えたスクリーン版を介してクリーム状半田を印刷するスクリーン印刷機において、
(B)スクリーン版の下面に接触した状態で移動させると、その移動に伴って該スクリーン版下面に付着したクリーム状半田の残渣を削ぎ取れるように形成した削ぎ取り手段と、該削ぎ取り手段と一体に移動し、該スクリーン版の孔の内側面に付着したクリーム状半田の残渣を該スクリーン版の下方から吸引除去し得る真空吸引部とを具備する装置本体と、
(C)該装置本体を前記スクリーン版下面に沿って移動させるための駆動機構と、
(D)前記真空吸引部を吸気装置に連結する吸込ホース
(E)とを備えたことを特徴とするスクリーン版クリーニング装置。
なお、特許明細書によれば、上記(E)の構成に関して、「クリーニングング装置」と記載されているが、これは誤記と認められるので、上記のとおり認定した。

3.[イ号物件]
これに対し、イ号図面及びその説明書によれば、イ号物件は次の(A')〜(E')の構成要件からなるものと認める。
(A')プリント基板に対し所定のプリント・パターンを有する複数個の孔を備えたスクリーン版を介してクリーム状半田を印刷するスクリーン印刷機において、
(B')スクリーン版の下面10Bに接触した状態で移動させると、その移動に伴って該スクリーン版下面に付着したクリーム状半田の残渣R1を削ぎ取れるように形成した削ぎ取り手段12′と、該削ぎ取り手段と一体に移動し、該スクリーン版の孔10Aの内側面に付着したクリーム状半田の残渣R2を該スクリーン版の下方から吸引除去し得る真空吸引部15′とを具備する装置本体1′と、
(B”) 該装置本体1′を移動させると、その移動に伴って該装置本体に追従してこれと一体に移動しながら溶剤を滲みこませた湿潤体21を介してスクリーン版下面10Bを拭き掃除し得るようにした湿式清掃手段19と、
(C')該装置本体を前記スクリーン版下面に沿って移動させるための駆動機構と、
(D')前記真空吸引部15′を吸気装置に連結する吸込ホース3′
(E')とを備えたスクリーン版クリーニング装置。

4.[本件特許発明とイ号物件との対比]
本件特許発明とイ号物件とを、それぞれの構成要件について対比すると、イ号物件の前記の(A')、(B')、(C')、(D')、(E')の各構成要件は、それぞれ、本件特許発明の(A)、(B)、(C)、(D)、(E)の各構成要件に相当しており、これらの互いに対応する構成要件の間には相違するところがない。
一方、イ号物件は前記の(B')の構成要件に加えて、更に、(B”)の構成要件を備えるものである。そして、これらの構成要件のうち、本件特許発明の前記(B)の構成要件と、イ号物件(B')の構成要件とを具体的に比較すると、これら両者における装置本体の基本的な構成、即ち、スクリーン版下面に付着したクリーム状半田の残渣を削ぎ取れるように形成した削ぎ取り手段と、該削ぎ取り手段と一体に移動し、該スクリーン版の孔の内側面に付着したクリーム状半田の残渣を該スクリーン版の下方から吸引除去し得る真空吸引部とを具備する点に変わるところはない。そして、このことはイ号物件の上記(B”)の構成要件により、左右されるものではないことも明らかである。
そうすると、本件特許発明とイ号物件との相違点は、イ号物件では、本件特許発明の構成要件に、更に上記(B”)の構成要件を付加した点に帰着すると認められる。

5.[相違点の検討]
上記の本件特許発明の構成要件に更に付加された構成要件等について検討すると、当該付加された構成要件により、削ぎ取り手段による残渣の削ぎ残しを、溶剤を滲みこませた湿潤体21で拭き掃除するというものであるが、装置本体の奏する主要な作用効果は、やはりクリーム状半田残渣の削ぎ取りと吸引除去とを行うというものであり、このことについては、本件特許発明と何ら変わるところがない。つまり、イ号物件の上記(B')の構成要件に、上記(B”)の構成要件等が付加されることによって、上記(B')の構成要件を本件特許発明における上記構成要件(B)と対比したとき、その本質的な技術的意義を変更させるというものではない。
そうすると、本件特許発明とイ号物件の構成要件の間に上記の相違点はあるものの、イ号物件は本件特許発明の構成要件(A)〜(E)を実質的に全て備えているから、イ号物件は、本件特許発明の技術範囲に属するものといえる。

6.[被請求人の主張について]
被請求人は、判定答弁書において、次の(1)及び(2)の主張をしている。
(1)本件特許発明は、本件特許に係る出願の時よりも前に頒布された刊行物である乙第1号証(実願昭61-66128号(実開昭62-178145号)のマイクロフィルム)に記載された発明と同一、あるいは当該記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。したがって、本件特許は本来無効となるべきものであるから、本件判定請求は妥当性を欠く。(判定答弁書第3頁第6行〜第5頁第11行)
(2)本件特許発明の上記構成要件(B)に関して、本件特許発明では、「真空吸引部の吸引で発生する気流は一対の突起部の間のノズル部に発生し・・・発生する気流は・・・ノズル部の外で削ぎ取られる残渣R1に接触し得ない構成になっている」のに対し、イ号物件では、「スクリーン版下面から削ぎ取った残渣R1を吸引動作装置作動で吸引する」のであり、この点において両者の作用効果が相違するから、イ号物件は、本件特許発明の上記構成要件(B)を充足するものではない。
しかし、上記(1)の主張は、無効審判手続においてなされるべきもので、特許発明の技術的範囲について判断する判定になじまないから、本件特許についての無効理由の有無は判断しない。
次に、上記(2)の主張は、本件特許発明についての図示された実施例とイ号物件とを対比しようとするものであって、本件特許発明の上記構成要件(B)は、「スクリーン版下面から削ぎ取った残渣R1」の吸引について言及しているわけではなく、単に、スクリーン版下面に付着した残渣を削ぎ取る「削ぎ取り手段」と、スクリーン版の孔の内側面に付着した残渣を吸引除去する「真空吸引部」とが、「一体に移動」することを明示しており、この点についてみると、イ号物件も本件特許発明と同様に、「削ぎ取り手段」と「真空吸引部」とが、「一体に移動」する構成を備えるものである以上、イ号物件は上記(B)の構成要件を充足するといわざるを得ない。

7.[むすび]
以上のとおりであるから、イ号物件は、本件特許発明の技術範囲に属するとみるのが相当である。
よって、結論のとおり判定する。、
 
別掲
 
判定日 2001-03-28 
出願番号 特願平2-72972
審決分類 P 1 2・ 1- YA (H05K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 中澤 登  
特許庁審判長 神崎 潔
特許庁審判官 蓑輪 安夫
藤井 俊明
登録日 1996-07-10 
登録番号 特許第2068759号(P2068759)
発明の名称 クリ―ム状半田のスクリ―ン印刷機におけるスクリ―ン版クリ―ニング装置  
代理人 橋本 洋一  
代理人 橋本 公男  
代理人 竹ノ内 勝  
代理人 高田 幸彦  

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