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審決分類 |
審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備 H05K 審判 全部申し立て 2項進歩性 H05K 審判 全部申し立て 4項(5項) 請求の範囲の記載不備 H05K |
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管理番号 | 1041037 |
異議申立番号 | 異議1999-74889 |
総通号数 | 20 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1992-11-30 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1999-12-24 |
確定日 | 2000-12-25 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第2911644号「回路基板」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第2911644号の請求項1に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.手続の経緯 特許第2911644号の発明についての出願は、平成3年5月20日に特許出願され、平成11年4月9日にその発明について特許の設定登録がされた後、特許異議申立人・堀田雄次により特許異議の申立てがあったので、取消理由が通知され、その指定期間内である平成12年11月6日に意見書の提出とともに訂正請求がなされたものである。 2.訂正の適否について (1)訂正明細書の請求項1に係る発明 訂正明細書の請求項1に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。 「金属回路とセラミックス基板との接合体、又はこの接合体のセラミックス基板側に更に金属板を有してなる接合体、からなる回路基板において、上記金属回路には、細長い切り込み部分からなるスリットが、熱応力が大きくなる部分に設けられてなることを特徴とする回路基板」 (2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、拡張・変更の存否 特許権者が求めている訂正の内容は、以下のとおりである。 (訂正事項a)特許請求の範囲を次のとおりに訂正する。 「【特許請求の範囲】 【請求項1】金属回路とセラミックス基板との接合体、又はこの接合体のセラミックス基板側に更に金属板を有してなる接合体、からなる回路基板において、上記金属回路には、細長い切り込み部分からなるスリットが、熱応力が大きくなる部分に設けられてなることを特徴とする回路基板。」 (訂正事項b)明細書の発明の詳細な説明の段落番号【0001】を次のとおりに訂正する。 「【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、回路基板、詳しくはセラミックス基板のクラック発生とその進行を抑制することを目的とした金属回路とセラミックス基板との接合体、又はこの接合体のセラミックス基板側に更に金属板を有してなる接合体、からなる回路基板に関する。」 (訂正事項c)明細書の発明の詳細な説明の段落番号【0009】を次のとおりに訂正する。 「【0009】 【問題を解決するための手段】 すなわち、本発明は、金属回路とセラミックス基板との接合体、又はこの接合体のセラミックス基板側に更に金属板を有してなる接合体、からなる回路基板において、上記金属回路には、細長い切り込み部分からなるスリットが、熱応力が大きくなる部分に設けられてなることを特徴とする回路基板である。」 (訂正事項d)明細書の発明の詳細な説明の段落番号【0012】中、第1行の「金属回路に設けられた切り込み部分」を、「金属回路に設けられた細長い切り込み部分」と訂正する。 訂正事項aについて:接合体として、セラミックス基板の裏側に更に金属板を設けた接合体をも含みうるという訂正は、明細書の実施例(図1a、b)の記載に基づいて訂正したものであって、明瞭でない記載の釈明を目的としたものである。スリットの形成位置を金属回路の「熱応力が大きくなる部分に設ける」と訂正したのは、明細書の段落番号0013に「熱応力が大きくなる部分」との記載に基づいた訂正であって、金属回路上の場所を限定したものであるから、減縮を目的としたものである。「スリット」を「細長い切り込み部分からなるスリット」に訂正したのは、明細書の段落番号0012に「金属回路に設けられた切り込み部分のことであり」と段落番号0014に「細長いスリットを設ける」との記載、及び図laのスリット形状の記載に基づいて、訂正したものであって、ここでいうスリットとは、細長い切り込み部分であるというスリットの形状を特定したものであるから、減縮を目的としたものである。 そして、この特許請求の範囲の訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、この訂正により実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 訂正事項b、c、dについて:前記訂正事項b、c、dは、特許請求の範囲の訂正に伴って、いずれも特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図ったものである。そして、前記訂正事項b、c、dは、いずれも願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (3)独立特許要件 取消理由で引用した刊行物1(特開平1-120886号公報:特許異議申立書の甲第1号証)には、温度サイクル試験によるセラミック割れを防止するために、セラミック板の主表面上に回路パターン状に形成され、該セラミック板と熱膨張率の異なる導体層を直接接合してなるセラミック基板において、前記導体層の端部に導体層主面の肉厚より薄く形成した薄肉部分を設けたセラミック基板 が記載されており、なかんずく、前記回路パターンの一部には平面視で凹部を備えたものが記載されている。 また同刊行物2(特開昭63-248195号公報:特許異議申立書の甲第3号証)には、温度サイクル試験時の基板の反りと局部熱応力のいずれか又は両者を軽減させてセラミック板の亀裂の発生を防止するために、セラミック基板の表面側に電気回路を構成する分割型金属板を、裏面側に放熱用の金属板を接合してなる金属張りセラミック基板であって、放熱用の金属板には、スリットを形成したものが記載されている。 そこで、訂正明細書の請求項1に係る発明(以下、本件発明という)と前記刊行物1、2に記載された発明とを対比すると、前記刊行物のいずれにも、本件発明の構成である「セラミックス基板に接合された金属回路の熱応力が大きくなる部分に、細長い切り込み部分からなるスリットを形成する」ということについての記載又はそれを示唆する記載はない。そして、本件発明の回路基板によれば、明細書の実施例、比較例の対比から明らかなとおり、特殊な材料の使用や工程を変更することなしに、ヒートサイクルとヒートショックの耐久性を著しく向上させることができるという効果を発現するものである。このような効果は前記刊行物1、2からは予測が困難であるから、本件発明は、前記刊行物1、2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 したがって、前記訂正事項aに係る訂正後の本件発明は、特許出願の際、独立して特許を受けることができるものである。 (4)明細書の記載不備 取消理由通知で特許請求の範囲の記載において、本件発明が成立する前提となる構成を明記すること、及びスリットを金属回路のどの部分に設けるのか明確にすることを指摘したが、当該指摘に対して、特許請求の範囲を訂正することで前記の記載不備は解消した。 (5)むすび 以上のとおりであるから、前記訂正事項a、b、c、dの訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、平成11年改正前の特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書き、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 3.特許異議の申立てについて (本件特許発明) 訂正明細書の請求項1に係る発明(以下、本件特許発明という)は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された前記2.(1)のとおりの回路基板にあるものと認める。 (異議申立ての理由の概要) 特許異議申立人は、本件特許発明は、甲第1号証、甲第2号証及び甲第3号証のいずれか又は全ての記載内容に基づき当業者が容易に発明し得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、また、本件特許は、発明の詳細な説明及び特許請求の範囲の記載に不備があるから、特許法第36条第4項、第5項に規定する要件を満たしていないものであり、本件特許は取り消されるべきものである旨主張している。 (判断) 特許異議申立人が提出した甲第1号証及び甲第3号証には、本件特許発明の構成である「セラミックス基板に接合された金属回路の熱応力が大きくなる部分に、細長い切り込み部分からなるスリットを形成する」ことについての記載・示唆がないのは2.(3)で前述したとおりである。また、かかる構成は特許異議申立人が提出した甲第2号証にも記載されていない。 よって、本件特許発明は、異議申立人が提出した甲第1〜3号証に記載された発明から当業者が容易に想到できたものではない。 また、発明の詳細な説明及び特許請求の範囲の記載不備については、明細書が訂正されたので当該不備は解消された。 (むすび) 以上のとおりであるから、特許異議申立人が主張する理由及び提出した証拠によっては、本件特許発明についての特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 回路基板 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 金属回路とセラミックス基板との接合体、又はこの接合体のセラミックス基板側に更に金属板を有してなる接合体、からなる回路基板において、上記金属回路には、細長い切り込み部分からなるスリットが、熱応力が大きくなる部分に設けられてなることを特徴とする回路基板。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、回路基板、詳しくはセラミックス基板のクラック発生とその進行を抑制することを目的とした金属回路とセラミックス基板との接合体、又はこの接合体のセラミックス基板側に更に金属板を有してなる接合体、からなる回路基板に関する。 【0002】 【従来の技術】 近年、ロボットやモーター等の産業機器の高性能化に伴い、大電力・高能率インバーターなど大電力モジュールの変遷が進んでおり、半導体素子から発生する熱も増加の一途をたどっている。この熱を効率よく放散するため、大電力モジュール基板では従来よりさまざまな方法がとられてきた。とくに最近、良好な熱伝導率を有するセラミックス基板の出現により、基板上に金属板を接合して回路を形成後、そのまま金属板上に半導体素子を搭載する構造も採用されている。 【0003】 従来より、金属とセラミックスを接合する方法には様々な方法があるが、とくに回路基板の製造という点からはMo-Mn法、活性金属ろう付法(以下、単に活性金属法という)、硫化銅法、DBC法、銅メタライズ法があげられる。これらの中で大電力モジュール基板の製造では、現在、金属として銅を用い、セラミックスとの接合方法として活性金属法又はDBC法を用いることが主流となっており、さらに高熱伝導性を有する窒化アルミニウムを絶縁基板として使用することが普及しつつある。 【0004】 従来の銅板と窒化アルミニウム基板を接合する方法としては、銅板と窒化アルミニウム基板との間に活性金属を含むろう材を介在させ、加熱処理し接合体を形成する活性金属法(たとえば特開昭60-177634号公報)や、銅板と表面を酸化処理してなる窒化アルミニウム基板とを銅の融点以下、Cu2O-Oの共晶温度以上で加熱接合するDBC法(たとえば特開昭56-163093号公報)などが知られている。 【0005】 活性金属法はDBC法に比べて、 (1)接合処理温度が低いので、AlN-Cuの熱膨張差によって生じる残留応力が小さい。 (2)接合層が延性金属であるので、ヒートショックやヒートサイクルに対して耐久性が良好である。 などの利点があるが、最近のパワーモジュールの用途拡大によって、使用条件が一段と厳しくなってきたのに伴いさらに高い信頼性が要求されるにおよび、これまでのヒートサイクルとヒートショックの耐久性程度では十分に対応しきれなくなってきている。 【0006】 そこで、金属回路とセラミックス基板との接合体を形成するに際し、意図的に非接合部を設けることによって接合面積を減らし、もって界面に生じる熱応力を小さくして上記耐久性を改善しようとする提案がある(特開昭61-176142号公報)。しかし、この方法では非接合部に溜まったエッチング液やメッキ液を除去するのが困難なために歩留りが低下する上に、DBC法では非接合部を設けるために金属板に特殊な加工をしなければならないという問題がある。 【0007】 一方、セラミックス基板に近い熱膨張係数を有する特殊な金属を用いる提案もあるが(例えば特開昭63-140540号公報など)、そのようなクラッド材やモリブデン等の金属は高価で加工が難しく、通常のエッチングができないことを考えると、非常に限られた特殊用途にしか使用できないという問題がある。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】 本発明者らは、上記問題点を解決するために鋭意検討した結果、金属回路にスリットを入れることによりクラックの発生とその進行を抑制できることを見い出し本発明を完成したものである。 【0009】 【課題を解決するための手段】 すなわち、本発明は、金属回路とセラミックス基板との接合体、又はこの接合体のセラミックス基板側に更に金属板を有してなる接合体、からなる回路基板において、上記金属回路には、細長い切り込み部分からなるスリットが、熱応力が大きくなる部分に設けられてなることを特徴とする回路基板である。 【0010】 以下、さらに詳しく本発明について説明する。 【0011】 本発明の最大の特徴は、従来用いられている材料や工程を殆んど変更することなしに、回路パターンの一部にスリットを加えるだけでクラックの発生とその進行の抑制に大きな効果をあげたことである。 【0012】 本発明でいうスリットとは、金属回路に設けられた細長い切り込み部分のことであり、長さ1mm以上、幅0.2mm以上であるものが望ましい。また端部から切り込まれていない孔であってもよい。さらに好ましくは、長さは1.5mm以上特に2mm以上であり、幅は厚さ100μm以上の金属板の場合には0.3mm以上特に0.4mm以上である。 【0013】 本発明において、スリットを設ける位置については特に限定しないが、熱応力が大きくなる部分、例えば長い回路パターンの長手方向の端部や電極等の半田付け部に設けるのが望ましい。 【0014】 スリットの形成方法としては、打ち抜き金属板を用いる方法やエッチングによる方法等が採用される。打ち抜き金属板を用いる場合はあまり細長いスリットを設けることは難しいので、比較的形成容易な長さのスリットを数個にして回路パターン端部や内部に設けるのが望ましい。また、エッチング法によって回路パターンを形成する場合も同様であり、その際のスリットの数や長さ、幅等の上限は必要に応じて適宜定めることができる。 【0015】 金属回路を形成するのに使用される金属板の材質については特に制限はなく、通常は、銅、ニッケル、銅合金、ニッケル合金が用いられる。また、その厚みについても特に制限はなく、通常、金属箔といわれている肉厚の薄いものでも使用可能であり、0.1〜1.2mmのものが好ましい。 【0016】 本発明で使用されるセラミックス基板の材質についても特に制限はなく、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ケイ素(Si3N4)、酸化アルミニウム(A1203)、ムライト等から選ばれた少なくとも一種又は二種以上を主成分とするものがあげられ、中でも熱伝導率の大きい窒化アルミニウムが好ましい。 【0017】 金属回路又は金属板とセラミックス基板との接合体を得る際の接合方法としては、上記したDBC法や活性金属法等を採用することができる。 【0018】 【作用】 スリットを加えた部分の金属回路は、回路が分割された場合と同じ状態になり、熱膨張の絶対値も分割されて小さくなるので、熱応力も小さくなる。従ってクラックの発生が抑制され、発生しても進行しにくくなる。 【0019】 一般に、発生するクラックには、セラミックス基板の厚み方向にも進行する垂直クラックと、厚み方向にはあまり進行せずに主にセラミックス基板面と平行に進行する水平クラックとがある。垂直クラックは、特に大きな応力が発生した場合や応力が急激に発生した場合、さらには衝撃を受けた場合等に生じやすく、他の場合には水平クラックが生じやすい。水平クラックは回路パターンの端部に沿って発生・進行して行く。半田付け部等特にクラックが発生しやすい箇所の周囲に回路パターンの沿面に垂直方向にスリットを入れておけば、クラックがパターン端部に沿って進行する際に、スリット部を回り込むために進行のエネルギーが分散され、クラックが進行しにくくなる。 【0020】 【実施例】 以下、実施例と比較例をあげてさらに具体的に説明する。 【0021】 実施例1〜9 比較例1〜5 市販の窒化アルミニウム基板とアルミナ基板(いずれも35mm×60mm×0.5mm)を用い、DBC法の場合にはタフピッチ銅板を、また活性金属法の場合には無酸素銅板を接合し表1に示す接合体を製造した。 【0022】 接合条件は、DBC法では温度1050℃、真空度1.0×l0-6torrとし、一方、活性金属法の実施例3(Zr-Ag-Cu系ろう材を使用)では900℃の温度で、また他の活性金属法(Ti-Ag-Cu系ろう材を使用)では880℃の温度で、それぞれ真空度を1.0×10-6torrとした。なお、DBC法で用いた窒化アルミニウム基板はあらかじめ大気中で加熱して表面酸化されたものである。 【0023】 DBC法ではセラミックス基板と同じ大きさの銅板を両面に接合し、レジスト印刷後塩化第二鉄溶液でエッチングし、図1に示す回路パターンを形成した。スリットなしの比較例の場合は、図1(a)の回路面のかわりに図2の回路を用いた。活性金属法では、活性金属を含むろう材ペーストを打ち抜き銅板に塗布して100℃で乾燥後セラミックス基板に接合して回路パターンとした。回路はDBC法と同じにした。 【0024】 得られた接合体は、いずれも無電解Ni-Pメッキを5μm施してヒートショック及びヒートサイクルの試験をした。その結果を表2に示す。 【0025】 ヒートショック試験は、0℃の液中に10分間浸漬後100℃に15分間浸漬するのを1サイクルとし、30サイクル実施した。ヒートサイクル試験の条件は、-40℃で30分間冷却後25℃に30分間放置、その後125℃の気中で30分間加熱してから25℃に30分間放置するのを1サイクルとし、50サイクル行なった。 【0026】 上記試験終了後、外観を観察して垂直クラックの有無や回路パターンの剥離を調べ、クラックや剥離のないものについてはさらに硝酸とフッ酸の1:1の混酸に浸漬して回路を溶解剥離してセラミックス基板の水平クラックをカラーチェック法で調べた。 【0027】 【表1】 【0028】 【表2】 【0029】 表1と表2から明らかなように、窒化アルミニウム基板を用いた実施例1〜5は、比較例1〜3に比べて、ヒートショック試験、ヒートサイクル試験共にクラックの発生とその進行が抑えられていることがわかる。また、アルミナ基板を用いた実施例6〜9においても比較例4と5に比べてクラックが生じにくくなっている。さらには特に重大な欠陥である垂直クラックについては、実施例1〜9ではいずれも発生していない。 【0030】 【発明の効果】 本発明によれば、特殊な材料の使用や工程を変更することなしに、ヒートサイクルとヒートショックの耐久性を著しく向上させた回路基板となる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の回路基板の一例を示す平面図であり、(a)は回路面、(b)は裏面である。 【図2】 比較例の回路基板の回路面を示す平面図である。 【符号の説明】 1:セラミックス基板 2:金属回路 3:金属板 4:スリット |
訂正の要旨 |
本件特許異議申立に係る訂正請求における訂正の要旨は、次のとおりである。 a.特許請求の範囲を次のとおりに訂正する。 「【特許請求の範囲】 【請求項1】金属回路とセラミックス基板との接合体、又はこの接合体のセラミックス基板側に更に金属板を有してなる接合体、からなる回路基板において、上記金属回路には、細長い切り込み部分からなるスリットが、熱応力が大きくなる部分に設けられてなることを特徴とする回路基板。」 b.明細書の発明の詳細な説明の段落番号【0001】を次のとおりに訂正する。 「【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、回路基板、詳しくはセラミックス基板のクラック発生とその進行を抑制することを目的とした金属回路とセラミックス基板との接合体、又はこの接合体のセラミックス基板側に更に金属板を有してなる接合体、からなる回路基板に関する。」 c.明細書の発明の詳細な説明の段落番号【0009】を次のとおりに訂正する。 「【0009】 【問題を解決するための手段】 すなわち、本発明は、金属回路とセラミックス基板との接合体、又はこの接合体のセラミックス基板側に更に金属板を有してなる接合体、からなる回路基板において、上記金属回路には、細長い切り込み部分からなるスリットが、熱応力が大きくなる部分に設けられてなることを特徴とする回路基板である。」 d.明細書の発明の詳細な説明の段落番号【0012】中、第1行の「金属回路に設けられた切り込み部分」を、「金属回路に設けられた細長い切り込み部分」と訂正する。 |
異議決定日 | 2000-12-05 |
出願番号 | 特願平3-142644 |
審決分類 |
P
1
651・
531-
YA
(H05K)
P 1 651・ 121- YA (H05K) P 1 651・ 532- YA (H05K) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 岡田 和加子 |
特許庁審判長 |
藤井 俊明 |
特許庁審判官 |
鈴木 久雄 大島 祥吾 |
登録日 | 1999-04-09 |
登録番号 | 特許第2911644号(P2911644) |
権利者 | 電気化学工業株式会社 |
発明の名称 | 回路基板 |