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審決分類 |
審判 判定 同一 属さない(申立て成立) C23C |
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管理番号 | 1041519 |
判定請求番号 | 判定2000-60104 |
総通号数 | 20 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許判定公報 |
発行日 | 1989-11-14 |
種別 | 判定 |
判定請求日 | 2000-07-07 |
確定日 | 2001-06-04 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第2930960号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 |
結論 | (イ)号図面及びその説明書に示す「大気圧化学蒸着装置および方法」は、特許第2930960号発明の技術的範囲に属しない。 |
理由 |
1.請求の趣旨 本件判定の請求の趣旨は、イ号図面及びその説明書に示す搬送式常圧化学蒸着装置(以下、「イ号装置」という。)は、特許第2930960号の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本件特許発明」という。)の技術的範囲に属さないとの判定を求めるものである。 2.本件特許発明 本件特許発明は、特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲に記載されたとおりのものであり、分説すると次のとおりである。 (A)加熱マッフルと、該マッフルに設けられた少なくとも1つの化学蒸着室と、薬品蒸気を上記室内に導入するためのインゼクタ組立体と、被着すべきウェーハを蒸気マッフルおよび蒸着室の中を移動させるコンベヤベルトとを備えている種類の搬送式大気圧化学蒸着装置において、 (B)上記装置は、 i)、上方に延びる壁部、蒸着室上の上記インゼクタ組立体を上記室の上方に延びる壁部に対して間隔を隔てた関係で支持しかつ囲むための手段と、 ii)、インゼクタ組立体と支持手段との間で協働してこれら両者間のシールを形成するシーリング手段と、 iii)、パージガスを上記インゼクタ組立体と上記室の上方に延びる壁部との間の空間に導入する手段とを設け、 (C)上記インゼクタ組立体は、 i)薬品蒸気を上記コンベヤベルトの横方向に導入し、ベルト支持されたウェーハの表面における反応のためにウェーハ表面上に導入するための手段及び ii),ベルトの横方向に延び、薬品蒸気およびパージガスを蒸着室の蒸着帯域から除去するための排気手段とを有し、 (D)上記インゼクタ組み立て体は i),第1および第2ガスの受入れおよび分配のための少なくとも1つずつの第1および第2分配プレナム手段と、 ii),上記インゼクタを横切って延び、蒸気をスロットを通り越して移動してるウェーハの表面上に向けるための第1および第2の細長い流れスロットと、 iii)上記第1および第2プレナム手段と上記第1および第2スロットとの間で夫々連通する間隔をへだてたポートとを有している (E)ことを特徴とする搬送式大気圧化学蒸着装置。 3.イ号装置 これに対して、イ号装置は、イ号図面及びその説明書の記載からみて、次のa〜eに分説するのが相当である。 a、加熱マッフルと、該マッフルに設けられた少なくとも1つの化学蒸着室(1)と、薬品蒸気を上記室(1)内に導入するためのインゼクタ(20)を有するインゼクタ組み立て体と、被着すべきウェーハ(U)を蒸気マッフルおよび蒸着室(1)の中を移動させるコンベヤベルト(2)とを備えている搬送式常圧化学蒸着装置において、 b、上記装置は、 (i)、蒸着室の上方に延びる壁部(3)で支持しかつ囲まれたインゼクタ組立体と (ii)インゼクタ組立体内のインゼクタ(20)と支持手段(3)との間に形成された排気手段である空間に取り付けられた、該空間の下端部にまで延びるパージガス供給管(5a、5’a、…)と、 (iii)パージガスを排気手段である空間の下端部に供給するための、上記パージガス供給管(5a、5’a、…)にパージガスを導入する手段とを設け、 c、上記インゼクタ(20)を有するインゼクタ組立体は、 (i)薬品蒸気を上記コンベヤベルト(2)の横方向に導入し、ベルト支持されたウェーハ(U)の表面における反応のためにウェーハ表面上に導入するための手段(25)及び ii),ベルトの横方向に延び、薬品蒸気およびパージガスを蒸着室の蒸着帯域から除去するための排気手段とを有し、 d、上記インゼクタ(20)を有するインゼクタ組み立て体は、 (i)第1ガスの受入れおよび分配のための第1分配プレナム手段(22)と、第2ガスの受入れおよび分配のための第2分配プレナム手段(23、23、…)と、 (ii)上記インゼクタ(20)を横切って延び、蒸気をスロット(27、25、…)を通り越して移動しているウェーハ(U)の表面上に向けるための第1おぴ第2の細長い流れスロット(27、25、…)と、 (iii)上記第1および第2プレナム手段(22、23、…)と上記第1および第2スロット(25、27、…)との間で夫々連通する間隔をへだてたポート(24、26、…)とを有している、 e、ことを特徴とする搬送式常圧化学蒸着装置。 4.当事者の主張 (1)請求人の主張 平成13年4月11日付けの手続補正書により補正された判定請求書の記載からみて、上記分説した内容ついての請求人の主張は以下のものである。 a,イ号装置の構成aについて、 イ号装置の構成aは、本件特許発明の上記構成要件Aと一致する。 b、イ号装置の構成bについて、 本件特許発明のパージガスが通る空間は、壁部(62)と、この壁部(62)に対して間隔を隔てた関係で支持しかつ囲むための手段(61)とにより形成される空間であるのに対し、イ号装置のパージガスが通る供給路は、インゼクタボックス(4)内の、インゼクタ(20)と側壁(3)との間に形成された排気室(7)内に取り付けられた、パージガス供給管(5、5’)で、このパージガス供給管(5、5’)がインゼクタボックス(4)の外側に設けたものではない点で相違している。 c、イ号装置の構成cについて、 イ号装置の構成cは、本件特許発明の上記構成要件Cと一致する。 d、イ号装置の構成dについて、 イ号装置のインゼクタ組立体(20)は、第1ガスを受入れおよび分配のための第1分配プレナム手段(22)と、第2ガスを受入れおよび分配のための第2分配プレナム手段(23、23、…)とを有するが、本件特許発明では、第1ガスの受け入れおよび分配のための第1、2分配プレナム手段と、第2ガスの受け入れおよび分配のための第1、2分配プレナム手段とを有する点で相違している。 e,イ号装置の構成eについて、 イ号装置の構成eは、本件特許発明の上記構成要件Eと一致する。 (2)被請求人の主張 平成13年4月23日付けの手続補正書により補正された判定事件答弁書の記載からみて、上記分説した内容ついての請求人の主張は以下のものである。 a,イ号装置の構成aについて、 上記構成要件Aと一致することは、請求人が自認している。 b、イ号装置の構成bについて、 イ号装置において、インゼクタ組立体は所定の位置に保持されなければならないから、側壁3に対して支持されているとみることができ、その支持手段は、本件特許明細書の実施例では支持体64である。また、イ号装置においては、インゼクタボックス4の上方に延びる側壁3とインゼクタ組立体との間に排気室の空間が存在し、この空間にパージガス供給管を用いてパージガスを導入しているから、この空間が、本件特許発明のパージガスを導入する手段とを設ける「上記インゼクタ組立体と上記室の上方に延びる壁部との間の空間」であり、イ号装置のパージガス供給管も本件特許発明のパージガスを導入する手段に含まれるし、そのようなパージガス供給管を配管するためには様々なシーリングを使用しなければならない筈であるから、イ号装置の構成bは、本件特許発明の構成要件Bと一致する。 c、イ号装置の構成cについて、 上記構成要件Cと一致することは請求人が自認している。 d、イ号装置の構成dについて、本件特許発明では、2種類のガスを受け入れるための2つの分配プレナム手段が存在することを意味しており、第1および第2分配プレナム手段は、直列連結されているのではなく、2つの別個の手段として存在するのてある。この点は、本件特許明細書中の第5図に、第1のガスを受け入れるための、一次分配プレナム96、開口部98、二次分配プレナム101及びポート103からなる第1分配プレナム手段と、第2のガスを受け入れるための、一次分配プレナム97、開□部99、二次分配プレナム102及びポート104からなる第2分配プレナム手段とが示されており、その二次分配プレナムが必須でないことは特許請求の範囲の記載から明らかである。 したがって、イ号装置も本件特許発明と同一の構成を備えている。 e,イ号装置の構成eについて、 上記構成要件Eと一致することは、請求人が自認している。 5.対比・判断 イ号装置の構成が、本件特許発明の各構成要件を充足するか否かについて検討する。 (1)構成要件Aについて、 イ号装置の「搬送式常圧化学蒸着装置」は、本件特許発明の「搬送式大気圧化学蒸着装置」に相当し、これは、「加熱マッフル」、「該マッフルに設けられた少なくとも1つの化学蒸着室」、「薬品蒸気を上記室(1)内に導入するためのインゼクタ(20)を有するインゼクタ組み立て体」、「被着すべきウェーハ(U)を蒸気マッフルおよび蒸着室(1)の中を移動させるコンベヤベルト(2)」とを備えているから、イ号装置の構成aは、本件特許発明の構成要件Aの全てを具備している。 また、この点は、当事者間に争いはない。 (2)、構成要件Bについて 本件特許発明の構成要件B、iii)において、パージガスを導入する手段を設ける「上記インゼクタ組立体と上記室の上方に延びる壁部との間の空間」の位置は、「インゼクタ組立体」と「上方に延びる壁部」との間であり、インゼクタ組立体の内部ではなく、当然に、インゼクタ組立体が有する排気手段の空間は該当しない。このことは本件明細書中のパージガスの導入方法の次の記載からも裏付けられる。つまり、本件明細書には、排気手段等を有するインゼクタ組立体の壁部62とその外側の上方に延びる壁部61との間の空間を窒素のようなパージガスが矢印69で示されるように下方へ流れ、蒸着室の中に入るものであると説明している(本件特許公告公報第3頁5欄50行〜6欄9行参照)。 これに対して、イ号装置におけるパージガスを導入する方法は、インゼクタボックス4内の排気室7に取り付けられた供給管5、5’を利用するものであり、パージガスを導入するための空間を排気室7の空間の外側に設けたものでない。 つまり、イ号装置と本件特許発明とは、蒸着室にパージガスを導入する手段を備えている点では共通するが、そのパージガスを導入する方法が異なり、イ号装置は、パージガスを蒸着室に導入する空間として、「インゼクタ組立体」の外側の、「インゼクタ組立体と、蒸着室の上方に延びる壁部との間の空間」を使用するものではなく、そのような空間を囲むための手段も、そのような空間をシールの対象ともしていない。 してみると、イ号装置は、本件特許発明の構成要件Bを充足していない。 なお、被請求人の主張をみると、「イ号装置において、インゼクタ組立体は所定の位置に保持されなければならないから、側壁3に対して支持されているとみることができ、その支持手段は、本件特許明細書の実施例ではインゼクタ組立体の壁部62ではなく、支持体64である。」(手続補正書第2頁下9行〜第3頁23行、第4頁下4行〜第5頁5行)旨を指摘しているが、本件特許発明の構成要件Bでは、上方に延びる壁部61に対して「間隔を隔てた関係で支持しかつ囲むための手段」を定義していることからみて、パージガスの導入に関して、支持することを主たる作用とする「支持体64」を特に強調し、インゼクタ組立体の壁部62を除外して解釈する必要はない。また、被請求人は、「イ号装置では、インゼクタ組立体と側壁3の間に排気室が形成され、この排気室にパージガスを導入している」(手続補正書第5頁20〜24行)旨を主張するが、イ号装置の「排気室」は、インゼクタ組立体が備えている手段であり、インゼクタ組立体の外側の空間になり得ないものである。これに対して、本件特許発明の「インゼクタ組立体と上方に延びる壁部61との間の空間」は、インゼクタ組立体の壁部62の外側に位置するから、両者の構成が相違することは明らかである。 結局、被請求人の上記主張は採用できない。 (3)、構成要件Cについて、 イ号装置のインゼクタボックス4は、インゼクタ20及び排気室7を有し、インゼクタ20は、「薬品蒸気を上記コンベヤベルトの横方向に導入し、ベルト支持されたウェーハの表面における反応のためにウェーハ表面上に導入する手段」であり、排気室7は、インゼクタボックス4の上部で排気管6に連なるものであって、該排気室は、「ベルトの横方向に延び、薬品蒸気およびパージガスを蒸着室の蒸着帯域から除去するための手段」である。 してみると、イ号装置の構成cは、本件特許の構成要件Cを充足している。 また、この点は、当事者間に争いはない。 (4)、構成要件Dについて、 イ号装置のインゼクタボックス4は、インゼクタ20を有し、そのインゼクタ20は、第1ガス受入れおよび分配のための第1分配プレナム手段22とこれに接続しているポート24及びスロット25を備え、また、第2ガス受入れおよび分配のためのの第2分配プレナム手段23とこれに接続しているポート26とスロット27とを備え、上記スロットは、「上記インゼクタを横切って延び、蒸気をスロットを通り越して移動してるウェーハの表面上に向けるための」細長い開口部であり、上記ポートは、「上記プレナム手段と上記スロットとの間で夫々連通する間隔をへだてた」ものであるから、イ号装置のインゼクタ組立体の上記プレナム手段、ポート、スロットは、本件特許発明の構成要件Dのプレナム手段、ポート、スロットのそれぞれに相当し、両者の構成は一致している。 なお、請求人は、本件特許発明の構成要件Dにおける「第1および第2ガスの受入れおよび分配のための少なくとも1つずつの第1および第2分配プレナム手段」の解釈について、第1ガス及び第2のガスのそれぞれに、受け入れおよび分配のための第1分配プレナム手段と第2分配プレナム手段とが直列に配置されていると解するべきであり、第1および第2ガスのそれぞれに対して第1のプレナム手段しか備えていないイ号装置とは相違していると主張する。 しかし、本件特許明細書の請求項1には、「第1および第2ガスの受入れおよび分配のための」プレナム手段として、「少なくとも1つずつの」と明記して「第1および第2分配プレナム手段」としており、第1ガスに対して「1つの第1分配プレナム手段」、第2ガスに対して、「1つの第2分配プレナム手段」と記載されていると解すべきものである。さらに、本件特許明細書及び第5図の記載からみて、第1のガスを受け入れるための、一次分配プレナム96及び二次分配プレナム101を備え、第2のガスを受け入れるための、一次分配プレナム97及び二次分配プレナム102とを備える場合の発明も示されているが、上記「少なくとも1つずつの」の限定からみて、これらの二次分配プレナム101、102は必須のものではなく、イ号装置がこのような二次分配プレナムを備えていないとしても本件特許発明の構成要件Dと区別されるとはいえない。したがって、請求人の上記主張は採用できない。 結局、イ号装置の構成dは、本件特許発明の構成要件Dと一致するから、イ号装置は、本件特許発明の構成要件Dを充足する。 (5)、構成要件Eについて、 イ号装置は、「搬送式常圧化学蒸着装置」であり、本件特許発明の構成要件Eを充足していることは明らかである。 また、この点は、当事者間に争いはない。 5.均等論の適用について イ号装置の構成bにおける蒸着室へのパージガスの導入手段が、本件特許発明の構成要件Bの均等手段であるか否かについて、以下検討する。 本件特許明細書中には、その目的について、「本発明の目的は、ドープされた非晶質または多結晶シリコン・・・のような非酸化物膜をシリコン、ガラス、・・・などの基質に確実に形成するのに適した搬送式APCVD炉を提供することである。本発明の他の目的は反応帯域から酸素を除去し、介在空気曝露および清浄工程を省く多段処理を行い、収率および生産性を高める連続コンベア装置を有する炉を提供することである。・・・本発明の更に他の目的はウエーハの表面に衝突する化学反応物蒸気の制御を行えるインゼクタ組立体を提供することである。」(公報第2頁左欄下3〜右欄20行)と記載され、これに続いて、[課題を解決するための手段]の項には、「本発明のこれらの目的および他の目的は、・・・搬送式大気圧化学蒸着装置において、上記インゼクタ組立体を上記蒸着室に該室の壁部と間隔をへだてた関係で支持しかつシールするための手段を設け、パージガスをインゼクタ組立体と室の壁部との間の空間に導入するための手段を設けたことを特徴とする搬送式大気圧蒸着装置によって達成される。」(公報第2頁右欄21〜31行)と記載されている。 つまり、本件特許明細書には、上記構成要件Bが本件特許発明における特徴的な要件であると明示されているといえる。 また、パージガスの導入・排気の仕組みについて具体的にみると、イ号装置は、インゼクタボックス4内に設けられた排気室にパージガス供給管5,5’が配置され、排気室の下方にパージガスが導入されものであり、パージガスは、蒸着室の導入された箇所が排気室の下方であることから、その位置から排気されることになり、インゼクタボックスの外側と反応帯域との間に、コンベアベルトに沿ったパージガスの流域は形成されないのに対して、本件特許発明では、コンベアベルト上のウエーハと酸素との接触を排除し得る流域が形成できるように、インゼクタ組立体の蒸着室より前の位置、つまりインゼクタ組立体の外側に、パージガスの導入手段を設けたものであり、パージガスは、該位置からコンベアベルトに沿ってインゼクタ組立体内に設けられた排気手段の位置までを流域とするものである。 このパージガスの導入・排気の仕組みからみても、上記構成要件Bが、本件特許発明の技術的意義としての特徴的な要件を構成しているといえる。 なお、被請求人は、イ号装置の構成bは本件特許発明の構成要件Bと相違していないと主張するに止まり、前記指摘の相違点が均等であるとする主張はしていない。 結局、上記構成要件Bは、本件特許発明の本質的構成であり、均等についての他の要件を検討するまでもなく、イ号装置の構成bにおける蒸着室へのパージガスの導入手段が、本件特許発明の構成要件Bの均等手段であるとすることはできない。 6.むすび 以上のとおりであるから、イ号装置は、本件特許発明の技術的範囲に属しない。 よって、結論のとおり判定する。 |
別掲 |
[イ号図面の説明書] (A)イ号図面の、図(a)はイ号の全体の概略を示す斜視図、図(b)は、インゼクタの一部を断面にして示す斜視図、図(c)は、図(a)において矢視c-c方向に見た模式的断面図、図(d)は、図(c)においてd-d方向に見た模式的側断面図、図(e)は、図(c)においてe-e方向に見た同様な模式的側断面図である。 (B)イ号(搬送式常圧化学蒸着装置)は、図(c)に示されているように、蒸着室1、メッシュベルト2等を備え、イ号図面には表れていないが、加熱マッフルも備えている。蒸着室1の上方には、4個の側壁3、3、・・・からなる箱形を呈するインゼクタボックス4が配置されている。このインゼクタボックス4内に、図(c)に示されているように、窒素ガスシールド装置10とインゼクタ20とからなる窒素ガスシールドユニットが装着されている。 (C)インゼクタボックス4の上方には、パージガスすなわち窒素ガスを供給する窒素ガス供給管5、5’、・・・が4本宛取り付けられている。これらの窒素ガス供給管5、5’、・・・は、図(c)に示されているように、インゼクタボックス4の上方から下方に向かって窒素ガスシールド装置10まで延びている。インゼクタホックス4の上方には、薬品蒸気および窒素ガスを排出する排気管6、6が2個設けられている。これらの排気管6、6は、後述する排気室7、7に連なっている。なお、シランガスを供給する管は、イ号図面には示されていない。 (D)インゼクタボックス4内に、インゼクタ20を装着することにより、インゼクタボックス4の側壁3、3と、インゼクタ20の両側壁21、21との間に、図(c)に示されているように2個の排気室7、7が形成されている。これらの排気室7、7は、インゼクタボックス4の上方部分において上記した排気管6、6に連なっている。 (E)窒素ガスシールド手段10は、図(c)において、インゼクタ20の下方の外周部を取り囲むようにして設けられている第1の中央窒素ガスシールド装置と、インゼクタ20の下方の両側部に配置されている第2、2の窒素ガスシールド装置とからなっている。 (F)第1の中央窒素ガスシールド装置は、インゼクタ20を支持している断面形状が略U字形を呈するU字形板体11と、このU字形板体11の外周部を囲むようにして設けられているメッシュ体12と、U字形板体11とメッシュ体12とで形成される第1の窒素ガス室13内に配置されているU字形の窒素ガス噴出管5a、5aとからなっている。窒素ガス噴出管5a、5aには、多数の噴出孔が明けられ、そしてその両端部は、図(d)に示されているように、窒素ガス供給管5、5にそれぞれ接続されている。 (G)インゼクタ20の両側部に配置されている第2、2の窒素ガスシールド装置は、インゼクタホックス4の側壁3、3にそれぞれ近接して設けられている気密状の側板14、14と、これらの側板14、14を囲むようにして設けられているメッシュ体15、15と、側板14、14とメッシュ体15、15とで形成される第2、2の窒素ガス室16、16内に略U字形に配置されている窒素ガス噴出管5’a、5’aとからなっている。窒素ガス噴出管5’a、5’aの両端部は、図(e)に示されているように、窒素ガス供給管5’、5’にそれぞれ接続されている。したがって、窒素ガス供給管5,5’、・・・から窒素ガス噴出管5a、5’a、・・・に窒素ガスを供給すると、窒素ガスは図(c)、図(d)および図(e)において多数の矢印で示されているように、メッシュ体12、15、15から均一に外部へ噴出し、ウェーハUをシールドすることになる。 (H)インゼクタ20は、図(b)に示されているように、側部21、21を有し、略直方体を呈している。このインゼクタ20内に、シランガスを受け入れ分配する第1のプレナム22と、窒素ガスを受け入れ分配する第2〜4のプレナム23、23、・・・とが設けられている。第1のプレナム22は、ボート24を介して幅方向に形成されているスロット25に蓮適している。また、第2〜4のプレナム23、23、・・・は、ボート26、26・・・を介して、同様に幅方向に形成されているスロット27、27、・・・にそれぞれ連通している。第1のプレナム22には、図には示されていないが、シランガスが.そして第2〜4のプレナム23、23、・・・には窒素ガスがインゼクタボックス4の側部からそれぞれ供給される。 (I)したがって、ウェーハUが載置されているメッシュベルト2を駆動して、スリット25からシランガスを、スリット27、27、・・・から窒素ガスをウェーハUに導入し、このとき窒素ガス供給管5、5’、・・・から窒素ガスを第1の窒素ガス室13および第2、2の窒素ガス室16、16に供給する。そうすると、窒素ガスでシールドされた状態でウェーハUにシラン膜が蒸着される。窒素ガスとシランガスは、排気室7、7から排気管6、6を通って外部へ排出される。 [イ号図面] |
判定日 | 2001-05-23 |
出願番号 | 特願昭63-307653 |
審決分類 |
P
1
2・
1-
ZA
(C23C)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 種村 慈樹、吉水 純子 |
特許庁審判長 |
加藤 孔一 |
特許庁審判官 |
西村 和美 野田 直人 |
登録日 | 1999-05-21 |
登録番号 | 特許第2930960号(P2930960) |
発明の名称 | 大気圧化学蒸着装置および方法 |
代理人 | 杉谷 嘉昭 |
代理人 | 中村 稔 |