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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 F02D |
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管理番号 | 1044217 |
審判番号 | 審判1999-19427 |
総通号数 | 22 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1999-10-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1999-12-02 |
確定日 | 2001-09-13 |
事件の表示 | 平成10年特許願第106649号「ディーゼル機関の吸気絞り弁制御方法及び制御装置」拒絶査定に対する審判事件〔平成11年10月26日出願公開、特開平11-294196、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
1.本件発明 本願は、平成10年4月16日の出願であって、その請求項1〜6に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1〜6に記載された次の事項により特定されるとおりのものと認める。(以下、それぞれ「本願発明1〜6」という。) 【請求項1】ディーゼル機関の吸気絞り弁に駆動連結されたステップモータの所定のステップ位置を基準としたステップ数制御に基づき前記吸気絞り弁を開閉せしめるディーゼル機関の吸気絞り弁制御方法において、 機関運転状態に応じた目標ステップ数に前記ステップモータを制御する吸気絞り弁の開閉駆動に際し、同吸気絞り弁の開弁側へのステップモータの作動速度を閉弁側へのステップモータの作動速度よりも高めた ことを特徴とするディーゼル機関の吸気絞り弁制御方法。 【請求項2】請求項1に記載のディーゼル機関の吸気絞り弁制御方法において、 前記吸気絞り弁は、開弁側に対して常時付勢されることを特徴とするディーゼル機関の吸気絞り弁制御方法。 【請求項3】請求項1または2に記載のディーゼル機関の吸気絞り弁制御方法において、 前記ステップモータの駆動電圧を常時監視し、該駆動電圧が所定電圧以下となるとき、前記ステップモータの作動速度を前記吸気絞り弁の閉弁側への作動速度よりも更に減速せしめる ことを特徴とするディーゼル機関の吸気絞り弁制御方法。 【請求項4】ディーゼル機関の吸気絞り弁に駆動連結されたステップモータの所定のステップ位置を基準としたステップ数制御に基づき前記吸気絞り弁を開閉駆動せしめるディーゼル機関の吸気絞り弁制御装置において、 前記ステップモータの機関運転状態に応じた目標ステップ数への制御に際して、前記吸気絞り弁の開弁側へのステップモータの作動速度を同吸気絞り弁の閉弁側へのステップモータの作動速度よりも高く設定する作動速度設定手段と、 前記設定される作動速度に基づきステップモータを作動せしめる作動指令手段とを備える ことを特徴とするディーゼル機関の吸気絞り弁制御装置。 【請求項5】請求項4に記載のディーゼル機関の吸気絞り弁制御装置において、 前記吸気絞り弁を開弁側に付勢する付勢手段を更に備えることを特徴とするディーゼル機関の吸気絞り弁制御装置。 【請求項6】請求項4または5に記載のディーゼル機関の吸気絞り弁制御装置において、 前記ステップモータの駆動電圧を監視する監視手段を更に備え、 前記作動速度設定手段は、この監視する駆動電圧が所定電圧以下となるとき、前記吸気絞り弁の閉弁側への同ステップモータの作動速度よりも作動速度を更に遅く設定する ことを特徴とするディーゼル機関の吸気絞り弁制御装置。 2.引用例 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物である、特開昭60-252137号公報(以下、「引用例1」という。)、特開平4-19340号公報(以下、「引用例2」という。)、及び、特開平4-17744号公報(以下、「引用例3」という。)には、それぞれ次の事項が記載されている。 a.引用例1 引用例1には、絞弁の開閉時の応答性を、ステップモータの作動速度により制御し、開方向への駆動時は、絞弁開度が小さい時の閉方向への駆動時よりも、絞弁駆動速度を大きくすることにより、絞弁の応答速度を変化させる技術が記載されている。 b.引用例2 引用例2には、アクセル踏み込み速度の絶対値及びアクセル踏み込み量により、スロットル制御を行う際のゲインを変え、同じ踏み込み速度であれば、スロットル弁を開方向に駆動する時の方が、閉方向に駆動する時よりも、ゲインの値、即ち応答速度が早くなるように制御することができる技術が記載されている。 c.引用例3 引用例3には、駆動電圧が所定電圧以下となるとき、ステップモータの作動速度を脱調が生じない程度のゆっくりした速度とする技術が記載されている。 3.対比・判断 本願発明1〜6と引用例1〜3に記載される技術とを対比すると、引用例1、2記載のものは、特定の運転条件においては、吸気絞り弁の開弁側へのステップモータの作動速度が閉弁側へのステップモータの作動速度よりも高くなるものの、引用例1〜3記載のものはいずれも、本願発明1〜3を特定するための事項の一部である、ディーゼル機関において「機関運転状態に応じた目標ステップ数にステップモータを制御する吸気絞り弁の開閉駆動に際し、同吸気絞り弁の開弁側へのステップモータの作動速度を閉弁側へのステップモータの作動速度よりも高めた」点、及び本願発明4〜6を特定するための事項の一部である、ディーゼル機関において「ステップモータの機関運転状態に応じた目標ステップ数への制御に際して、吸気絞り弁の開弁側へのステップモータの作動速度を同吸気絞り弁の閉弁側へのステップモータの作動速度よりも高く設定する作動速度設定手段」を設けた点を備えていない。また、ガソリン機関においては、吸気絞り弁の開閉駆動に際し、閉弁側への作動速度を開弁側への作動速度より低めるという、当業者にとって周知の技術、いわゆるダッシュポット制御があるが、ディーゼル機関において、ダッシュポット制御を行うことは、当業者にとって周知の技術ではなく、また、当業者が容易に想到しうるとする証拠も見あたらない。そして、本願発明1〜6は、これらの点によって、開弁時の作動速度を閉弁時よりも高くすることで、小型・低コストのステップモータを用いながらも、吸気絞り弁の開弁時の応答性を好適に確保しつつ、ステップモータの脱調の発生を抑制することができるという効果を奏するものである。 したがって、本願発明1〜6が、引用例1〜3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 4.むすび そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2001-08-23 |
出願番号 | 特願平10-106649 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(F02D)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 松岡 美和 |
特許庁審判長 |
舟木 進 |
特許庁審判官 |
飯塚 直樹 清田 栄章 |
発明の名称 | ディーゼル機関の吸気絞り弁制御方法及び制御装置 |
代理人 | 恩田 博宣 |