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審決分類 審判 訂正 判示事項別分類コード:813 訂正する H05K
審判 訂正 旧特126条1項1号 請求の範囲の減縮 訂正する H05K
管理番号 1047723
審判番号 訂正2001-39048  
総通号数 24 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-05-15 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2001-03-26 
確定日 2001-07-03 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2974987号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第2974987号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。 
理由 1.請求の要旨
本件審判の請求の要旨は、特許第2974987号発明(平成9年8月28日特許出願、平成11年9月3日設定登録)の明細書を審判請求書に添付した訂正明細書のとおり、すなわち、下記訂正事項(1)ないし(6)のとおり訂正することを求めるものである。
(1)特許明細書の【発明の名称】である「振動保持装置及びこれを備えた無線機器」を「振動機保持装置」と訂正する。
(2)特許明細書の特許請求の範囲の請求項1〜10、および請求項13〜16を削除する。特許明細書の特許請求の範囲の請求項11、請求項12をそれぞれ請求項1,請求項2と訂正する。
(3)特許明細書の発明の詳細な説明の抽出の段落番号【0017】の
「【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の振動機保持装置は、主要回路部を構成するプリント基板と、部分回路部を構成するフレキシブルプリント基板と、振動を発生する振動発生手段と、前記フレキシブルプリント基板に設けられ、前記振動発生手段を保持する保持部材とを備え、前記フレキシブルプリント基板と前記プリント基板との間に介在し、前記振動発生手段により発生した振動が前記プリント基板に伝達することを防止する振動伝達防止手段を設けたものである。」を
「【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の振動機保持装置は、主要回路部を構成するプリント基板と、導電性ケースに保持され、振動を発生する振動発生手段と、前記導電性ケースに当接するとともに前記プリント基板の主要回路部を覆う導電性の保持部材とを備え、前記保持部材を前記プリント基板の接地パターンに電気的に接続するようにしたものである。」と訂正する。
(4)特許明細書の発明の詳細な説明の抽出の段落番号【0018】〜【0032】の記載を削除する。
(5)特許明細書の発明の詳細な説明の抽出の段落番号【0033】の「本発明の請求項13に」を「本発明の請求項2に」と、また「請求項12」を「請求項1」と訂正する。
(6)特許明細書の発明の詳細な説明の抽出の段落番号【0035】〜【0040】の記載を削除する。

2.当審の判断
そこで、これらの訂正事項について検討すると、
上記(1)の訂正は、上記(2)で行った、特に【請求項16】「請求項1〜15のいずれかの振動機保持装置を備えた無線機器」を削除したことに伴って「発明の名称」を整合させたものであり、特許法第126条第1項第3号の明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
上記(2)の訂正は、単に請求項を削除し、項番を繰り上げるものであるから、特許法第126条第1項第1号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
上記(3)の訂正は、特許明細書の段落番号【0017】において「発明の実施の形態」の項目を残して、以後の記載を段落番号【0032】の記載で置き換えるものであり、その際、【0032】の「本発明の請求項12に」を「本発明の請求項1に」としたものである。この訂正は、上記(2)で行った請求項1〜10の削除の結果、それまでの請求項11が新たな請求項1に繰り上げられたことに伴って、特許請求の範囲と発明の詳細な説明を整合するためになされたもので、特許法第126条第1項第3号の明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
上記(4)および上記(6)の訂正は、上記(2)で行った請求項の削除に基づき、これに対応する段落番号の記載を削除したものであり、特許法第126条第1項第3号の明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
さらに上記(5)の訂正は、上記(2)で行った請求項1〜10の削除の結果、それまでの請求項11が新しく請求項1に、さらにそれまでの請求項12が新しく請求項2に繰り上げられたことに伴って、特許請求の範囲と発明の詳細な説明を整合するためになされたもので、特許法第126条第1項第3号の明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
そして、上記各訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内のものであって、かつ実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでない。
また、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により構成される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。

3.むすび
したがって、本件審判の請求は、特許法第126条第1項第1号ないし第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第2項ないし第4項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
振動機保持装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 主要回路部を構成するプリント基板と、導電性ケースに保持され、振動を発生する振動発生手段と、前記導電性ケースに当接するとともに前記プリント基板の主要回路部を覆う導電性の保持部材とを備え、前記保持部材を前記プリント基板の接地パターンに電気的に接続することを特徴とする振動機保持装置。
【請求項2】 振動発生手段の振動を発生するラジアル方向に対してスラスト方向で、前記振動発生手段と前記保持部材とを当接させている請求項1記載の振動機保持装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯電話機やポケットベルなどに用いられ、携帯電話機やポケットベルなどへの着信をユーザーに振動により無音報知する振動機を保持する振動機保持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、携帯電話機に用いた振動機保持装置では、携帯電話機の筐体内部にフレキシブルプリント基板を設け、このフレキシブルプリント基板上に板金製ブラケットを介して振動用モータを装着し、その振動用モータのリード線をフレキシブルプリント基板に接続している。
【0003】
この振動機保持装置の場合、フレキシブルプリント基板を用いていることにより、装置の小型化および軽量化を図ることができる一方で、振動用モータの振動によって、フレキシブルプリント基板が振動してしまうため、その対策として、フレキシブルプリン基板の裏面にガラス入りエポキシ樹脂からなる補強板(裏打材)を接着し、さらに補強板を携帯電話機筐体に両面テープで張り付けるようにしていた。
【0004】
また、他の従来の振動機保持装置として、個別呼出用受信機に用いられている起振モータの保持機構が特開平8-51286号公報に開示されている。以下、図6、図7を用いてその概要を説明する。図6において、72は振動用のモータであり、74はその保持具である。ここでモータ72は全体が円筒形のモータケースを備え、その一端からリード線70、71が取り出されている。保持具74はゴムなどの素材からなり、モータ72に対して外周を弾性保持する保持部75が形成されている。この保持部75には軸方向に向けてスリット73が設けられており、この保持具74内にモータ72が圧入により収容されて、弾性保持される。この保持具74にはまた、係止部76が設けられ、これがプリント基板77の係止孔78に圧入により係合されるようになっている。図7に示すように、プリント基板77がケース79、80に設けられたプリント基板保持用リブ81、82、83、84により保持され、位置決めされると、モータ72を保持した保持具74が上下面85、86をケース79、80の内面87、88に挟持されて固定される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の振動機保持装置では次のような課題を有している。第1に、前者の従来例のように、装置の小型化、軽量化を図るためにフレキシブルプリント基板を用い、フレキシブルプリント基板に板金製ブラケットを装着し、これにモータを保持した場合、モータの振動とともにフレキシブルプリント基板が振動するのを防止するため、フレキシブルプリント基板に両面テープを設けて他の部品に接着しなければならなかった。両面テープの粘着層表面にはごみ、埃が付着して粘着力が低下するのを防止するための剥離紙が設けられているため、装置の組み立てに際して、フレキシブルプリント基板に板金製ブラケットを取り付けて、この板金製ブラケットにモータを装着させる外、両面テープの片面の剥離紙を剥離してフレキシブルプリント基板に張り付け、さらに裏面の剥離紙を剥離し、別の部品に粘着させて両者を結合する必要があり、この剥離紙を剥離する作業の自動化が困難で、ロボットによる組み立てを阻害していた。
【0006】
第2に、後者の従来例の場合、モータが回転したときに振動が発生するが、この種のモータはモータの回転軸に対してラジアル方向に力が作用することにより振動が発生する。しかし、モータ保持具の上下面しかケースによって挟持していないため、ラジアル方向で、かつ前記上下面に垂直な第2ラジアル方向に力が作用しても、その力を受ける面、すなわち保持具とケースとの当接面がなく、第2ラジアル方向に力が作用しても振動が伝達されない。その結果、筐体は一方向にしか振動せず、使用者に振動によって着信を報知するには振動量が非常に小さかった。このため、従来では振動量を大きくするために、モータを高速回転させたり、重心位置を遠くするために分銅を大型化させていた。また、保持具にモータを挿入しやすいようにスリットを設けているため、前述の第2ラジアル方向に力が作用したときに保持具のスリットを広げる方向に力か作用して、モータが保持具の中で微動し、時には抜けてしまうことがあった。
【0007】
第3に、この種の個別呼出用受信機は、多くの場合、携帯用として用いられ、使用者が誤って落としてしまうことが少なくなく、時には内蔵部品が故障することがあった。このような場合部品交換のため、プリント基板から保持具を取り外す必要がある。しかしながら、保持具は、保持具の係止部をプリント基板の係止孔に圧入により係合させているので、取り外しに際して保持具に亀裂が生じないように注意深く作業する必要があるなど、作業者に負担を与え、作業時間を長期化させていた。
【0008】
第4に、従来、モータの端子としてリード線を用いているが、リード線はその形態が不定形状であるため、ロボットで把持するのが極めて困難なため、作業者がリード線を手で持ち、リード線の端部をプリント基板にハンダ付けにより接続しなければならない、したがってリード線を手で把持するために、リード線に適当な長さが必要になる。しかしながら、上下に2分割されたケースにおいて、2つのケースを嵌合させようとしたときに、リード線が長すぎると各々のケース間に挟まれてしまうため、その防止上、例えばケースにリード線を固定する手段を新たに設けなけれはならなかった。
【0009】
第5に、電磁波を送受信する個別呼出用受信機や携帯電話などの各種無線機器において起振モータにコアレスモータやコアードモータを用いた場合、コイルや刷子などの導電部と、モータ回転軸や回転軸を支承する軸受などを収容する金属製の円筒型モータケースとが電気的に接続されていないため、モータケースが電磁波を吸収し、このモータケースが電磁波を受信するとモータケースの電位が変化し、その漏洩電流がリード線に伝わって、リード線の電位を変化させる。これがさらに、例えばプリント基板に実装されたVCOに伝わると周波数変調精度を低下させ、安定した送受信ができなくなるなど、多数の問題を有していた。
【0010】
本発明は上記各課題を解決するものであり、第1に、フレキシブルプリント基板に振動モータを接続してもその接続部以外のその他の部位へ振動の伝達を防止し、実装部品の破損やフレキシブルプリント基板と他の部品との干渉による異音の発生を防止すること、第2に、振動モータを保持部材内に確実に保持し、発生する振動力を十分に筐体に伝達して使用者に着実に着信を報知すること、これに併せて低消費電力化、コストダウンを図ること、第3に、内蔵部品の交換を容易にできるようにするなどメンテナンス性の向上を図ること、第4に、部品を増やすことなしにフレキシブルプリント基板を規制し、組み立ての自動化を容易にすること、第5に、振動モータに帯電または電位の変化を生じさせないで安定した送受信を行うことなどを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の振動機保持装置においては、フレキシブルプリント基板に振動発生手段より発生した振動の伝達を防止する振動伝達防止手段を設けている。
【0012】
本発明の振動機保持装置においてはまた、スリットを形成され、振動発生手段を保持する保持部材と、この保持部材を押圧する押圧手段とを備え、この保持部材のスリットと交差するように押圧手段を設けている。
【0013】
本発明の振動機保持装置においてはまた、保持部材が、振動発生手段を弾性的に包容する第1弾性部材と、振動発生手段を包容した第1弾性部材を保持する第2保持部材とを備え、第1弾性保持部材を第2保持部材を保持した状態で、第1弾性部材に第2保持部材から突出する突出部を設けている。
【0014】
本発明の振動機保持装置においてはまた、フレキシブルプリント基板の一部に係脱可能な係合孔を設ける一方、他の部品に係合突起を設け、両者の係合によりフレキシブルプリント基板を所定の位置に規制している。
【0015】
本発明の振動機保持装置においてはまた、振動発生手段の保持部材が、振動発生手段を包容する弾性包容部材と、振動発生手段を包容した弾性包容部材を保持し、かつめっき或いは導電塗装などを施された導電性の保持部材とを備え、この保持部材に弾性包容部材を保持させることにより、振動発生手段と保持部材とを当接させるようにしている。
【0016】
以上により、振動機保持装置において、フレキシブルプリント基板に振動モータを接続してもその接続部以外のその他の部位へ振動の伝達を防止し、実装部品の破損やフレキシブルプリント基板と他の部品との干渉による異音の発生を防止すること、振動モータを保持部材内に確実に保持し、発生する振動力を十分に筐体に伝達して使用者に着実に着信を報知すること、これに併せて低消費電力化、コストダウンを図ること、内蔵部品の交換を容易にできるようにするなどメンテナンス性の向上を図ること、部品を増やすことなしにフレキシブルプリント基板を規制し、組み立ての自動化を容易にすること、振動モータに帯電または電位の変化を生じさせないで安定した送受信を行うことなどを実現する。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の振動機保持装置は、主要回路部を構成するプリント基板と、導電性ケースに保持され、振動を発生する振動発生手段と、前記導電性ケースに当接するとともに前記プリント基板の主要回路部を覆う導電性の保持部材とを備え、前記保持部材を前記プリント基板の接地パターンに電気的に接続するようにしたものである。
【0033】
本発明の請求項2に記載の振動機保持装置は、請求項1の構成において、振動発生手段の振動を発生するラジアル方向に対してスラスト方向で、振動発生手段と保持部材とを当接させている。
【0034】
以上、各構成から、振動発生手段に帯電または電位の変化が生じないという作用を有する。
【0041】
以下、本発明の実施の形態について図を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態の構成を示している。なお、ここでは振動機保持装置を備えた携帯無線機器として例示している。図1において、1はモータであり、ここでは円筒型の直流コアレスモータを用いている。特に図示していないが、その構成上、回転軸、回転軸を支承する軸受、回転軸と一体に設けられたカップ状コイルや整流子、カップ状コイルの内側に設けられた永久磁石、整流子に電流を供給する一対の刷子(ブラシ)などからなり、これらが金属製のモータケースに収容されている。
【0042】
このモータ1において、刷子にはモータケースの外側から挿入されてスポット溶接により一体に結合された金属製端子(板金端子)2、3が設けられている。二つの金属製端子2、3はそれぞれ段付部4、5を有し、先端間のピッチPに対して根元間のピッチQが狭小に設定されている。なお、反対に先端間のピッチPに対して根元間のピッチQを広く、大きく設定しても構わない。また、両ピッチPとQを同じにしてもよく、この場合は先端と根元の間に板厚方向または板幅方向に凸部を設けるなどして、部分的に端子の断面形状を異ならせておく。
【0043】
モータ1の回転軸の一端に半円筒型の分銅6がかしめにより固着されている。この分銅6には比重12g/cc以上の銅-タングステン合金製またはタングステン合金製の分銅が用いられている。
【0044】
図1において、10はフレキシブルプリント基板であり、ポリイミドベースフィルムの両側に銅箔または銅めっきによって導体回路部が形成され、その表面にポリイミドまたはポリエステル等の材料からなる絶縁被膜カバーが形成されて、導体回路部が保護されている。このフレキシブルプリント基板10は、モータ結合片部11と、舌片部12と、実装部13とからなる。ここで、モータ結合片部11は実装部13に比べて幅狭で、かつ薄肉に形成されている。具体的には、モータ結合片部11またはその屈曲部の構成をベースフィルムの片面にのみ導体回路部、絶縁被膜カバーを形成し、反対面には導体回路部を形成しないことによりフレキシブルプリント基板の厚みを薄くし、併せて幅狭にしたことにより、他の部分に比べて軟らかく、屈曲しやすくして、屈曲角度を変化しやすくしてある。また、その先端側に金属製端子2、3の断面よりも大きな貫通孔14、15(ピッチR)が設けられ、これら貫通穴14、15の周囲にはフレキシブルプリント基板10の片面のみ導体回路部が露出してランド16、17が形成されている。ここで金属製端子2、3の先端間ピッチPと貫通孔14、15のピッチRを等しくし、金属製端子2、3の根元間ピッチQと異ならせることにより、貫通孔14、15に金属製端子2、3を挿入した時に先端間ピッチP部までしか挿入できないようになっている。
【0045】
フレキシブルプリント基板10の舌片部12は第1屈曲部20により上方に向けて立ち上げられ、その先端側に露出導体部18が形成されている。また、第1屈曲部20の近傍には後述するシールドケース40に設けられた突起41と係合する係合孔21が設けられている。
【0046】
なお、これら両者の表面には防錆処理として半田めっき、または錫めっきが施されている。
【0047】
フレキシブルプリント基板10の実装部13表面には、電気回路を構成する複数の抵抗やダイオード19などが実装されている。
【0048】
図1および図3において、25はモータクッションであり、シリコンゴムやウレタンゴムなどの弾性体からなり、モータ1の外径とほぼ同等な内面26を有し、上面27には内面26と上面27との間で分割されたスリット(間隙)28が形成され、モータ1をモータクッション25のスリット28を広げ、通過させてモータクッション25の中に収容できるようになっている。また、上面27にはスリット28の両側にそれぞれ、突出部29、30が立設されている。これらの突出部29、30の形状はそれぞれ、上面27から上方に向けて設けられた縦設部31、32と、その先端に対し略直角に、互いに離間する方向に向けて設けられた横設部33、34とを備え、モータクッション25と一体に形成されている。なお、スリット28の目的はモータクッション25内にモータ1を挿入しやすくするために設けたものであり、上面27において部分的なスリットであっても構わない。
【0049】
35はプリント基板であり、この基板上には文字、記号が印刷されたキーシート36a、音声を出力するレシーバ36b、文字、記号や数字を表示する液晶表示器36c等が載置され、さらに前述のフレキシブルプリント基板10の露出導体部18を挿入して電気的接続をするためのコネクタ39がはんだ接合されている。また裏面には、電圧で発信周波数を制御する発信器(以下、VCOという。)が実装され、ローノイズアンプやファーストミキサなどからなる受信回路部37が形成され、周波数を安定制御する温度補償型水晶発信器(以下、TCXOという。)などが表面実装されて無線回路部38が形成されている。このプリント基板35の裏面にはまた、外部からの電磁波の侵入を防止する、樹脂製のシールドケース40が装着されている。このシールドケース40には無電解銅めっきが施されることにより電磁波の通過が阻止され、さらにその表面には無電解ニッケルめっきが施されて無電解銅めっきの防錆処理がなされている。またシールドケース40の側面には前述したフレキシブルプリント基板10の舌片部12に設けられた係合孔21に係合可能な突起41が立設されている。これら係合孔21と突起41の構造を図2に示している。
【0050】
係合孔21は、図2(a)に示すように、直径aとb(a<b)の円弧の一部と、円の中心を通る2つの直線とに囲まれた形状に切り欠かれて、直径bの円周から直径aの円周まで突片部22、23が突出されている。これに対して突起41は、図2(b)に示すように、先端径cが根元の径dに対して大きく形成されている。
【0051】
50は樹脂製のケースであり、51は樹脂製のカバーであり、モータ1、フレキシブルプリント基板10、モータクッション25、プリント基板35を収容する筐体を構成する。ケース50にはモータクッション25が収容されて保持される矩形枠52が立設され、またフレキシブルプリント基板10を保持する複数の係止爪53、その高さを規制するリブ54がそれぞれ形成されている。矩形枠52とモータクッション25の寸法関係は、モータ1を包容したモータクッション25を矩形枠52内に圧入して保持するため、矩形枠52の幅方向の寸法に対してモータクッションの幅方向の寸法が大きく設定されている。同様にして、長手方向(モータ回転軸のスラスト方向)も適当な圧縮量を設けた方が好ましい。高さ方向については矩形枠52よりモータクッション25の方が高く設定されている。
【0052】
一方、カバー51にはキーシート36aの突起が挿入されるキーシート36aの突起と同数の穴55、レシーバ36bより発生する音声を外部に導く音孔56、液晶表示器36cの大きさと同等な開口57などが設けられている。開口57は透明窓58によって蓋がなされている。またさらに、カバー51の内面には、矩形枠52内に収容されるモータクッション25をその上面に形成されたスリット28と交差するように押圧する押圧部59が設けられている。押圧部59はその先端の両端が中央よりも突出する山形の傾斜状に形成されて、モータクッション25に対する押圧に際してスリット28の拡開を防止する構造を有している。
【0053】
なお、押圧部59先端の傾斜形状に代えて、モータクッション25の高さと矩形枠52の高さとを同等に、または矩形枠52を少し高くすることによりスリット28の拡開を防止するようにしてもよい。
【0054】
次に、上記第1の実施の形態において各部の組み立てについて図3を用いて説明する。図3において、まず、フレキシブルプリント基板10の貫通孔14、15にモータ1の金属製端子2、3を各々挿入する。金属製端子2、3に段付部4、5を有しているので、フレキシブルプリント基板10は金属製端子2、3間のピッチPの部分までしか挿入されないようになっている。これにより、フレキシブルプリント基板10はモータ1に対して常に同じ位置、同じ高さに規制される。このフレキシブルプリント基板10の金属製端子2、3突出面側で、はんだ付けにより両者が結合される。このとき、貫通孔14、15と金属製端子2、3とはスキマばめの関係にあり、スキマよりはんだが侵入、通過してモータ1と接合すると、モータ1がショートし、電力を供給しても正常に回転しなくなるおそれがあるが、ここではフレキシブルプリント基板10がモータ1に対して一定の高さが確保されているので、はんだがスキマを通過してもモータ1に付着することがない。
【0055】
次いで、フレキシブルプリント基板10を上方向よりケース50に組み付ける。モータ1を内包したモータクッション25を下面(スリット形成面27と対向する面)側からケース50の矩形枠52内に圧入し、併せてフレキシブルプリント基板10の実装部13をリブ54の上に載置するとともに、複数の係止爪53により係止する。モータクッション25を矩形枠52内に圧入するとき、モータクッション25の幅、長手方向の寸法が矩形枠52より大きいため、モータクッション25の右、左側面がそれぞれ圧縮されて保持され、その時の圧縮量がそれぞれe、fである。ここで、モータクッション25を上面27側から矩形枠52内に収容させようとすると、モータクッション25の側面と矩形枠52とが擦れ、その摩擦によりスリット28が拡開され、モータクッション25よりモータ1が抜け出すなど、正常に収容できないので、スリット28の形成面と対向する下面側から圧入する。また、フレキシブルプリント基板10を複数の係止爪53により係止したときに、複数の係止爪53とモータ1との間においてフレキシブルプリント基板10のモータ結合片部11に十分なたわみまたは第2屈曲部60、第3屈曲部61を形成できるように、フレキシブルプリント基板10のモータ結合片部11の長さを十分に長くしておく。
【0056】
次いで、シールドケース40をフレキシブルプリント基板10上に組み付ける。
舌片部12を第1屈曲部20により略直角に屈曲させて、その係合孔21に突起41を貫挿する。このとき、図2に示すように、係合孔21の2つの円弧の直径a、bと突起41の先端径c、根元径dの関係b>c>a≒dのように設定することにより、突片部22、23が撓み、突起41の先端部の通過により各々の突片部22、23が復元する。屈曲されている舌片部12がその復元力により屈曲する以前の状態に戻ろうとするが、突片部22、23先端が直径cより小さいため、その復元力では抜去(屈曲させる以前の状態)し得ない。このようにして係合孔21に突起41が貫挿されると、フレキシブルプリント基板10の導体露出部18を形成された舌片部12が実装部13に対して直立した状態に静止される。なお、抜去するために再度突片部22、23を撓ませないと抜けないが、これを撓ませるのに人力で十分である。
【0057】
次いで、VCOを実装された受信回路37や、TCXOを実装された無線回路部38がシールドケース40に覆われるように、プリント基板35をシールドケース40の上方に組み付けるとともに、フレキシブルプリント基板10の舌片部12を屈曲させ、その先端の露出導体部1Bをコネクタ39に差し込むことにより、フレキシブルプリント基板10とコネクタ39とを電気的に接続する。
【0058】
次いで、カバー51をその上方から装着する。このとき、カバー51の押圧部59がモータクッション25の上面27をスリット28と交差した状態で押圧し、モータクッション25を所定量だけ押し潰す。その押し潰し量はg、hである。これによりモータ1を包容したモータクッション25がモータ回転軸のラジアル方向への移動を規制される。なお、ここで、モータクッション25のスリット28と交差させないで押圧すると、言い換えれば押圧部59をスリット28と平行にして押圧した場合、押圧部59がモータクッション25の上面27をスリット28を開く方向に変形するため、所定の圧縮量を確保できない。したがってスリット28と交差するように押圧部59を設けているので、スリット28を開く方向の変形が小さくなる。さらにこの実施の形態では、押圧部59の先端形状により押圧による力の向きがモータ1の中心方向に働いてスリット28を開く方向の変形を確実に防止し、所定の圧縮量を確保する。
【0059】
このようにして筐体65の組み立てを完成する。
【0060】
次に、モータ1に電力が供給されたときの動作について図3、図4を用いて説明する。図3において、モータ1の一方の金属製端子2を正極、他方の金属製端子3を負極としたとき、両端子2、3への電圧の印加により、分銅6が矢印J方向に回転するものとする。このとき、分銅の質量をm、回転軸中心より分銅重心までの距離をr、回転数(周波数)をfとしたとき、発生する遠心力F1は次の式(1)で表される。
F1=mr(2πf)2 ・・・・・(1)
筐体65の幅方向をX、厚み方向をY、長手方向をZとしたとき、モータ回転軸のラジアル方向、すなわちX方向とY方向に力が生じ、位相が(π/2)だけ異なるだけで力の大きさは全く同じである。この力がモータ1からモータクッション25に伝達し、筐体65全体に力が作用して振動し、使用者に無音で報知する。
【0061】
このとき発生する力が同じでもモータ1が力の作用した方向に変動すると筐体65に伝達する力は弱くなる。モータクッション25でモータ1を包容しているため、モータ1から遠心力が発生すると力が作用する方向で僅かながらモータクッション25がさらに圧縮し、圧縮分だけモータ1が微動したことになるが、モータクッション25の初期の厚みに対して約80%になるように4側面、すなわちラジアル方向の面をすべて押し潰した状態で矩形枠52内に収容、保持してあるので、上記変動を極めて小さくして、力の伝達ロスを低減する。
【0062】
またモータ結合片部11はどこにも係止されていないので、モータ1の微動に連動して、金属製端子結合部のはんだに力が作用するのを防止している。これにより、はんだの破壊が防止される。
【0063】
また、フレキシブルプリント基板10において、モータ結合片部11と、実装部13など振動により不具合が生じる部位との間に屈曲部60、61を設けていることにより、モータ1が振動しても屈曲部60、61がさらに屈曲して、係止されている部位が振動しないようにし、部品の破損、フレキシブルプリント基板10と他の部品との干渉を防止して異音(不整音)の発生を防止している。したがって、従来のように、モータの微動により、モータ結合片部からフレキシブルプリント基板全体に振動が伝達し、その振動により、実装された抵抗やダイオードを破損させたり、フレキシブルプリント基板と係止爪やケース、あるいはシールドケースなど他の部品との干渉を防いで、異音(不整音)の発生を防止している。
【0064】
ここで、図4を用いて上記原理について詳しく説明する。図4において、モータ1の中心Oが初期の位置とX、Y方向にそれぞれΔX、ΔYだけ変位し、変位後のモータ中心位置をO’とする。このとき実装部13は係止爪53により微動が抑制されているので、モータ結合片部11だけが連動し、同じくX、Y方向にそれぞれΔX、ΔY変位する。したがって初期に対してフレキシブルプリント基板10の実装部13またはその係止された部分と、モータ結合片部11との間の距離がΔXだけ短くなり、モータ結合片部11のモータ結合部の高さがΔYだけ高くなる。変位後のモータ1’とフレキシブルプリント基板10のモータ結合片部11’を図4中、二点鎖線で示している。この変位によりフレキシブルプリント基板10の全長は変化せず、第2屈曲部60の屈曲角度θはθ’に変化し、また第3屈曲部61の屈曲角度φはφ’に変化することによって、係止された実装部13に影響しない、つまり実装部13が変位しないようになっている。すなわち、変位が零であり、加速度が生じないので、実装部13など係止されている部位は振動せず、振幅しない。
【0065】
また、この実施の形態では、上記二つの屈曲部60、61をモータ1の微動に連動して容易に変形させるために、モータ結合片部11または屈曲部60、61のみ、その形態を異ならせて他の部位に比べて軟化させている。すなわち、モータ結合片部11またはその屈曲部60、61の構成上、ベースフィルムの片面にのみ導体回路部、絶縁被膜カバーを形成し、反対面には導体回路部を形成しないことによりフレキシブルプリント基板の厚みを薄くし、併せて幅狭に形成したことにより他の部分に比べ軟らかく、屈曲しやすくし、屈由角度を変化しやすくしてある。
【0066】
このように、振動伝達防止手段として、第1にモータ結合片部11と係止部との間に屈曲部60、61を形成し、第2にモータ結合片部11を他の部位に比べて薄肉に形成し、第3にモータ結合片部11を他の部位に比べて幅狭に形成している。これらの形態を、発生する振動の大小により選択的に組み合わせて、または単独で用いることもできる。
【0067】
なお、上記実施の形態では、モータ端子として板厚0.2mmの洋白板を用いているが、ピアノ線などの線材を用いてもよく、同様な効果を得ることができる。また、フレキシブルプリント基板に対してモータをリフローさせて接続させた場合、クリームはんだの強度は一般に弱く、振動発生器をはんだで接続した場合は、はんだに応力が発生してはんだクラックが発生し、接続状態が不安定になる場合があったが、上記実施の形態のように振動発生器の振動と共にその接続部が連動して振動することにより、はんだクラックの発生を未然に防止し、しかも屈曲部を設けてあるので他の部分、例えば実装部や舌片部への振動伝達を防止しているので、リフローによる接続であっても構わない。
【0068】
また、上記実施の形態では、フレキシブルプリント基板の実装部または係止されている部分と、モータ結合片部との間に余長を設けて屈曲部を形成しているが、実装部または係止爪などによって係止されている部分と、モータ結合片部との相対高さ位置を変えることによって屈曲部を形成してもよい。
【0069】
また、フレキシブルプリント基板の実装部または係止爪などによって係止されている部分と、モータ結合片部との間に屈曲部が形成できない場合、すなわち両者の間にフレキシブルプリント基板が張架されているときには、両者の裏面にガラスエポキシ板、または紙フェノール板、ガラスマット板、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルイミドなどの材料からなる裏打ち材により補強して異なる部品の上に載置、または異なる手段により係止して、かつ両者の間で裏打ち材を分割すれば振動の伝達を防止できる。
【0070】
また、振動発生手段として直流コアレスモータに限らず、積層鉄芯にコイルを巻回してあるコアードモータなど分銅が装着され、回転することによって遠心力が発生して起振させることができる動力発生手段(電動機)であればよく、または分銅が往復動して慣性力が発生して起振するソレノイドを用いても構わない。
【0071】
次に、市場において、例えば使用者が誤って筐体65を落下させた場合について説明する。筐体65の落てにより、モータ回転軸には発生加速度と分銅の質量の積で表される力が作用し、時には回転軸が折れてモータを交換する必要が生じる。このときの手順として、カバー51、プリント基板35を取り外した後、フレキシブルプリント基板10の舌片部12とコネクタ39の接続を解除し、矩形枠52から突出したモータクッション25の突出部29、30を把持して、モータクッション25を引き抜く。ここでは縦設部31、32の他に横設部33、34を設けていることによりこれが引き抜き時のすべり止めになって、把持性がよく、モータクッション25を容易に引き出すことができる。したがって、モータ1を容易に交換できる。
【0072】
(実施の形態2)
次に、図5を用いて本発明の第2の実施の形態の構成について説明する。図5において、100はモータであり、その構成上、回転軸102と、回転軸102を支承する焼結軸受103、焼結軸受103の外周に装着されたマグネット104、回転軸102の一端に非導電接着剤により接着された複数の整流子105、106、整流子105、106と接続され、回転軸102と一体にしてマグネット104の外側に隙間をあけて設けられたカップ状コイル107などを備え、これらが金属製の円筒型モータケース101内に収容されている。ここでは、円筒型モータケース101の底面が樹脂製ブラケット108によって形成されている。したがって、モータケース101と樹脂製ブラケット108とで形成した空洞内に回転軸102およびカップ状コイル107を回転自在に構成している。この樹脂製ブラケット108には整流子105、106に電流を供給する一対の刷子110、111が設けられ、その端部には金属製端子112、113がスポット溶接により固着されている。これらの金属製端子112、113は後述するプリント基板と接続されたフレキシブルプリント基板116に、はんだ117、118によって接続され、その形態は実施の形態1で詳述した構成と同じである。なお、回転軸102の他端には偏心分銅114が、モータケース101の天面115との間に間隙を設けて、かしめにより装着されている。
【0073】
したがって、モータ100は金属製端子112、113への電圧の印加により、一方の金属製端子112(または113)から、一方の刷子110(または111)、一方の整流子105(または106)、カップ状コイル107、さらに他方の整流子106(または105)、他方の刷子111(または110)、他方の金属製端子113(または112)へ順次電流が流れ、マグネット104の磁界中に配設されたカップ状コイル107にフレミングの左手の法則にしたがって力が作用し、一方向に回転する。ここで、回転軸102、焼結軸受103、モータケース101には電流が流れない。すなわち前述の電流が流れる各部品とは電気的に接続されていない。
【0074】
125はモータクッションであり、円筒型モータケース101の外径と同等な内面126を有し、モータ100の長さL1に対してモータクッション125の内面126の長さをわずかだけ短く設定しており、モータケース101の円筒周面127の一部と、底面109を包容するようになっている。このモータ100を内包されたモータクッション125は矩形枠130内に保持される。
【0075】
ここで、矩形枠130は、実施の形態1と同様にして、シールドケース131に一体に設けられている。このシールドケース131には表面に無電解銅めっき、さらにその表面に無電解ニッケルめっきが0.3[μm]以上施され、その表面抵抗値は0.3[Ω]以下になっている。なお、めっきの代わりに導電塗装やアルミ蒸着を行ってもよく、導電塗装の材料としては銀または銀をコーティングした銅系の塗料が好ましい。シールドケース131と、VCO132やTCXO133などを実装するプリント基板134に形成された接地パターンとの間に、りん青銅やベリリウム銅、洋白、ばね用ステンレスなどの導電材料からなる接地用板ばね135が配置されて、両者が電気的に接続(導通)され、また、接地用板ばね135の圧縮によりシールドケース131とプリント基板134の両者が共に押圧付勢されている。なお、この接地用板ばねは線材に代えることができる。このようにしてシールドケース131はプリント基板134のVCO132やTCXO133などの無線回路部を形成する部品を覆うように配設され、電磁波の侵入、放射による周波数の変化を防止している。すなわち、VCO132やTCXO133などの電子部品が異なる高周波信号を作成し、各々の信号が周囲に向かって放射されて周辺の信号線(プリント基板上に形成された信号パターンまたはホットパターン)に乗ったり、互いに信号を乱すなどして、各種電子機器に誤動作を誘発したり、周波数の変化によって無線性能を低下させるのを、シールドケース131の表面に付与されためっきや導電塗料、アルミ蒸着などの膜により電磁波を反射したり吸収したりして、熱や電流エネルギーに変換して減衰することにより、このシールドケース131によってVCO132やTCXO133を外部と電磁気的に遮蔽して、これらの電子部品の発生する電磁波ノイズが他の部品、機器に向けて放射しないように、あるいは外来する電磁波の影響を受けないようにしている。
【0076】
142はケース140に設けられて、モータクッション125の上面141を押圧する押圧部142である。モータクッション125と、矩形枠130、押圧部142の寸法関係から、実施の形態1と同様に、モータ回転軸102のラジアル方向の面が所定量だけ押し潰されるようになっている。またモータ回転軸102のスラスト方向の寸法関係は、モータ100をモータクッション125の中に収容した状態においてモータ100が僅かながら突出されて、そのときの全長L3は矩形枠130の長手方向の長さ(矩形枠130を形成する第1側壁143と、この第1の側壁143と対面する第2側壁144の間の長さ)L2より大きくなっている。
【0077】
次に、上記第2の実施の形態の動作について説明する。モータクッション125の中にモータ100を収容し、さらに矩形枠130の第1側壁143をモータケース101の天面146と偏心分銅114との間に位置させてモータクッション125を矩形枠130内に圧入すると、偏心分銅114を矩形枠130の外に配置した状態でモータクッション125の幅方向および長手方向が押し潰される。その長手方向の押し潰し量はL3-L2である。この押し潰し量L3-L2により、モータ100にモータクッション125の反発力が作用して、モータ100が第1側壁143側に付勢される。したがってモータケース101は天面146が第1側壁143に所定の圧力で当接され、第1側壁143に施されためっき或いは導電塗料により、電気的に接続され、接地される。ここで、モータケース101の天面146と第1側壁143との当接方向は、モータ100の振動を発生するラジアル方向に対してスラスト方向であり、このスラスト方向には振動がほとんど生じないから、常に安定して当接され、接地される。なお、このように必ずしもスラスト方向で当接させる必要はなく、ラジアル方向での当接であってもよく、この場合は振動発生時にモータケース101とシールドケース131との間で異音が生じない程度に固定しておけばよい。
【0078】
このように、金属製のモータケース101を常にシールドケース131、接地用板ばね135を介してプリント基板134の接地パターンに接続しているので、モータケース101に帯電または電位の変化を生じさせることがない。
【0079】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明においては第1に、振動モータが接続されたフレキシブルプリント基板に、振動伝達防止手段として、振動モータの接続部位とその他の部位との間に屈曲部を設けたり、振動モータの接続部位をその他の部位に対して薄肉化、幅狭化しているので、モータの振動とともにフレキシブルプリント基板のモータ接続部近傍が振動してもその他の部位の振動を防止することができ、併せてフレキシブルプリント基板上に実装された部品の破損を防止するとともに、フレキシブルプリント基板とその近接する部品との間で干渉を防いで異音の発生を防止することができる。これにより実装部品の耐振動特性などのスペックを厳しくする必要がなく、また他の部品の振動防止のための部品を新たに設ける必要をなくして、コストの増大を抑えることができる。なお、抵抗などの実装部品のスペックを厳しくさせないですむから、この点ではむしろ低コストを実現することができる。
【0080】
第2に、モータを包容するモータクッションに形成したスリットに対して交差する突起によりモータクッションを押圧しているので、モータクッションに従来のモータの挿入作業方法を変えることなしに、スリットの開きを防止して、常に安定した圧縮量を得ることができ、モータから発生する振動を十分に筐体に伝達することができる。従来は振動量を大きくするために、分銅の質量を大きくしたり、分銅の重心までの距離を大きくしたりしたため、分銅を大型化し、またモータを高速回転させて大きな振動量を確保しようとしていたため、結果的に筐体の質量を重くし、かつ大型化して、消費電力を増大させていたのに対し、従来に比べ振動の伝達量を増大して、筐体の小型化、軽量化、低消費電力化を実現し、コストダウンを図ることができる。
【0081】
第3に、モータクッションにモータクッションを収容する矩形枠から突出する突出部を設けているので、その突起を把持し、引っ張ることにより、モータクッションを矩形枠から容易に引き抜くことができ、その抜き取りに要する時間を短縮し、モータクッションに亀裂を発生する虞をなくすなど、そのメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0082】
第4に、フレキシブルプリント基板に係合孔を設ける一方、フレキシブルプリント基板を取り付ける部品に突起を設け、両者の係合によりフレキシブルプリント基板を規制するので、従来がリード線を備え、またフレキシブルプリント基板を劃定するのに両面テープを用いていたため、両面テープの粘着層の表面に設けられた剥離紙を自動器で剥離するのが困難で、その組み立て工数を長くし、製品のコストを増大させていたのに対し、両面テープを用いることなしにフレキシブルプリント基板を簡単な構造で規制でき、ケースとカバーとの組み付けに際して両者の間に挟み込むなどの不具合を排除することができる。
【0083】
第5に、モータの金属部品からなる導電部材には、端子に電圧を印加すると電流が流れる部品と、流れない部品とがあり、ここで、電流が流れない部品は電磁波を吸収するとそれらは電位が変化しようとするが、プリント基板の接地パターンに接続されているので電位が変化しない。したがって高周波結合によって端子に印加される電圧を変化させることがないので、VCOの変調精度に影響することなく、常に精度のよい送受信を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の第1の実施の形態における振動機保持装置を備えた携帯無線電話機の分解斜視図
【図2】
同携帯無線電話機においてフレキシブルプリント基板に備えた係合孔とシールドケースに設けた突起の斜視図
【図3】
図1の携帯無線電話機を組み立てた状態における振動機保持装置の断面図
【図4】
同振動機保持装置に備えた振動伝達防止手段の動作を示す部分断面図
【図5】本発明の第2の実施の形態における振動機保持装置を備えた携帯無線電話機の要部断面図
【図6】
従来の個別呼出用受信機に用いた起振モータの保持機構を示す部分分解斜視図
【図7】
図6の起振モータの保持機構を組み立てた状態の部分断面図
【符号の説明】
1 モータ(振動発生手段)
2、3 金属製端子(板金端子)
4、5 段付部(フレキシブルプリント基板の高さ規制手段)
6 分銅
10 フレキシブルプリント基板
11 モータ結合片部(振動発生手段が接続された接続部位)
12 舌片部(その他の部位)
13 実装部(その他の部位)
14、15 貫通穴
16、17 ランド
18 露出導体部
19 ダイオード
20 第1屈曲部
21 係合孔(係合手段)
22、23 突片部
25 モータクッション(第1弾性保持部材)
26 内面
27 上面
28 スリット
29、30 突出部
31、32 縦設部
33、34 横設部
35 プリント基板
36a キーシート
36b レシーバ
36c 液晶表示器
37 受信回路
38 無線回路部
40 シールドケース
41 突起(係止手段)
50 樹脂製のケース
51 樹脂製のカバー
52 矩形枠(第2保持部材)
55 穴
56 音孔
57 開口
58 透明窓
59 押圧部(押圧手段)
60 第2屈曲部(振動伝達防止手段)
61 第3屈曲部(振動伝達防止手段)
65 筐体
100 モータ(振動発生手段)
101 円筒型モータケース
102 回転軸
103 焼結軸受
104 マグネット
105、106 整流子
107 カップ状コイル
108 樹脂製ブラケット
110、111 一対の刷子
112、113 金属製端子(板金端子)
114 偏心分銅
115 天面
116 フレキシブルプリント基板
117、118 はんだ
125 モータクッション(第1弾性保持部材)
127 円筒周面
130 矩形枠(第2保持部材)
131 シールドケース
132 VCO
133 TCVO
134 プリント基板
135 接地用板ばね
140 ケース
142 押圧部(押圧手段)
143 第1の側壁
144 第2の側壁
 
訂正の要旨 訂正事項
(1)特許明細書の【発明の名称】である「振動保持装置及びこれを備えた無線機器」を「振動機保持装置」と訂正する。
(2)特許明細書の特許請求の範囲の請求項1〜10、および請求項13〜16を削除する。特許明細書の特許請求の範囲の請求項11、請求項12をそれぞれ請求項1,請求項2と訂正する。
(3)特許明細書の段落番号【0017】の
「【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の振動機保持装置は、主要回路部を構成するプリント基板と、部分回路部を構成するフレキシブルプリント基板と、振動を発生する振動発生手段と、前記フレキシブルプリント基板に設けられ、前記振動発生手段を保持する保持部材とを備え、前記フレキシブルプリント基板と前記プリント基板との間に介在し、前記振動発生手段により発生した振動が前記プリント基板に伝達することを防止する振動伝達防止手段を設けたものである。」を
「【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の振動機保持装置は、主要回路部を構成するプリント基板と、導電性ケースに保持され、振動を発生する振動発生手段と、前記導電性ケースに当接するとともに前記プリント基板の主要回路部を覆う導電性の保持部材とを備え、前記保持部材を前記プリント基板の接地パターンに電気的に接続するようにしたものである。」と訂正する。
(4)特許明細書の段落番号【0018】〜【0032】の記載を削除する。
(5)特許明細書の段落番号【0033】の「本発明の請求項13に」を「本発明の請求項2に」と、また「請求項12」を「請求項1」と訂正する。
(6)特許明細書の段落番号【0035】〜【0040】の記載を削除する。
審理終結日 2001-05-28 
結審通知日 2001-06-08 
審決日 2001-06-20 
出願番号 特願平9-232315
審決分類 P 1 41・ 811- Y (H05K)
P 1 41・ 813- Y (H05K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 川端 修  
特許庁審判長 蓑輪 安夫
特許庁審判官 粟津 憲一
藤井 昇
登録日 1999-09-03 
登録番号 特許第2974987号(P2974987)
発明の名称 振動機保持装置  
代理人 高松 猛  
代理人 市川 利光  
代理人 市川 利光  
代理人 栗宇 百合子  
代理人 栗宇 百合子  
代理人 本多 弘徳  
代理人 本多 弘徳  
代理人 小栗 昌平  
代理人 高松 猛  
代理人 小栗 昌平  

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