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審決分類 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する A23L
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する A23L
管理番号 1049313
審判番号 訂正2001-39055  
総通号数 25 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-03-07 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2001-04-11 
確定日 2001-07-09 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2862464号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第2862464号に係る明細書及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び図面のとおり訂正することを認める。 
理由 1.請求の要旨
本件審判の請求の要旨は、特許第2862464号(平成5年8月20日特許出願、平成10年12月11日設定登録)の明細書及び図面を審判請求書に添付した訂正明細書及び図面のとおり、すなわち、次のとおり訂正することを請求するものである。
(1)訂正事項
(a)特許請求の範囲の請求項1の冒頭の「ガゼットタイプの食品充填包装袋」を「OPP/PE/VMPET/PE/CPP、OPP/VMCPP、OPP/VMPET/CPP、又はPET/VMPET/CPPの包装袋材料からなる、スナック菓子を充填するガゼットタイプの軽食品充填包装袋」と訂正する。
(b)特許請求の範囲の請求項1の 「当該エンドシール部分の少なくとも一部が底部と接着されている」を「当該エンドシール部分の少なくとも一部が底部と接着されており、上部及び下部のエンドシール部分以外の当該折り込み部分は未接着であり、かつ底部は角底成形されていない」と訂正する。
(c)特許請求の範囲の請求項1の 末尾の 「ガゼットタイプの食品充填包装袋」を「ガゼットタイプの軽食品充填包装袋 」と訂正する。
(2)訂正事項
(d)明細書の段落番号【0017】の(1)の冒頭の 「ガゼットタイプの食品充填包装袋」を「OPP/PE/VMPET/PE/CPP、OPP/VMCPP、OPP/VMPET/CPP、又はPET/VMPET/CPPの包装袋材料からなる、スナック菓子を充填するガゼットタイプの軽食品充填包装袋」と訂正する。
(e) 明細書の段落番号【0017】の(1)の 「当該エンドシール部分の少なくとも一部が底部と接着されている」を「当該エンドシール部分の少なくとも一部が底部と接着されており、上部及び下部のエンドシール部分以外の当該折り込み部分は未接着であり、かつ底部は角底成形されていない」と訂正する。
(f) 明細書の段落番号【0017】の(1)の末尾の 「ガゼットタイプの食品充填包装袋」を「ガゼットタイプの軽食品充填包装袋 」と訂正する。

2.当審の判断
2-1 訂正の目的、新規事項の有無及び拡張、変更の存否
i)訂正事項(1)
訂正事項(1)の(a)について
(a)の訂正は、前記包装袋の包装材料を具体的に限定し、充填対象食品をスナック菓子(軽食品)に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮に該当する。
そして、前記の訂正のうち、包装材料についてみると、願書に添付された明細書の段落【0023】に、「包装材料としては、特に制限されるものではないが、代表的なものとしては、ヒートシールOPP(延伸ポリプロピレン)/接着用PE(ポリエチレン)/VMPET(蒸着ポリエチレンテレフタレート)/接着用PE/CPP(キャスティングポリプロピレン)、OPP(延伸ポリプロピレン)/VMCPP(蒸着キャスティングポリプロピレン)、OPP/VMPET/CPP、PET/VMPET/CPP等の包装材料が例示される。」、及び段落【0036】に「次に、本発明の実施例及び参考例について図面に基づいて具体的に説明する。図1〜4は、ヒートシールOPP(延伸ポリプロピレン)/接着用PE/VMPET/接着用PE/CPPからなり筒状に形成された包装袋材料Aからなる長尺物」という記載がある。前記包装材料は、積層体を表すものであり、そして、当該技術分野において、本件出願時「OPP」は、「延伸ポリプロピレン」を、「PE」は、「ポリエチレン」を、「VMPET」は、「蒸着ポリエチレンフタレート」を、「CPP」は「キャスティングポリプロピレン」を、及び「VMCPP」は、「蒸着キャスティングポリプロピレン」を略して用いられていることが通常のことであり、また、前記「PE」については、この種包装袋の積層体において、中間層として使用されるPEが、接着用PEであることも明らかである。そうすると、包装袋の包装材料を限定する前記積層体に係る訂正は、願書に添付された明細書に記載された範囲内のものである。次に、充填対象食品をスナック菓子(軽食品)とする訂正に関しては、同明細書の段落【0001】、【0008】、【0009】、【0012】、【0013】、【0015】に基づくものである。

訂正事項(1)の(b)について
(b)の訂正は、「当該エンドシール部分の少なくとも一部が底部と接着されて」に「上部及び下部のエンドシール部分以外の当該折り込み部分は未接着であり、かつ底部は角底成形されていない」という構成を追加することであるから、特許請求の範囲の減縮に該当する。
そして、前記の訂正である「……(中略)……されており、上部及び下部のエンドシール部分以外の当該折り込み部分は未接着であり、かつ底部は角底成形されていない」は、願書に添付された明細書に直接的な記載はないが、該明細書の段落【0024】に「これらの材料からなる包装袋の上部及び下部をエンドシールするには、包装袋の上部及び下部の両側面を内側に折り込み、次いで内側の折り目部分と背シールの部分をそれぞれ重層し、シール部分にCPP等のシーラント材、或いは接着剤を使用して常法によりシール処理する方法等が採用される。」と記載され、及び段落【0042】に「包装袋の下部に形成されたエンドシール部分Bは、実施例においては、底部のエンドシール部分Bが背シール部分Cを折り曲げることなく背シール部分Cと反対の側に底面と略平行に折り曲げた形に形成され、かつ当該エンドシール部分の少なくとも一部が底部と接着された形に形成され、またエンドシール部分Bの全部に限らず、その一部が同様に折り曲げた形に形成されており、スナック菓子等の軽食品を充填し、全体を縦にして平面上に載置した際に、当該底部のエンドシール部分Bが底部に密着され、包装袋の底部が安定した略長方形状になるように形成されている・・・」と記載されたものから、上部及び下部のエンドシール部分以外の当該折り込み部分は未接着であることは、明らかである。次に、前記訂正のうち、「底部は角底成形されていない」は、すなわち、「底部は角底成形されている」ことを除くことであり、該訂正は、後述の2-2の公知の刊行物1,2の発明に包含されることを避けるための訂正である。
したがって、訂正事項(1)の(b)は、願書に添付された明細書に記載した事項の範囲内のものである。
訂正事項(1)の(c)について
「ガゼットタイプの食品充填包装袋」を「ガゼットタイプの軽食品充填包装袋 」と訂正することは、願書に添付された明細書の段落【0001】、【0008】、【0009】、【0012】、【0013】、【0015】の記載に基づくものである。
ii)訂正事項(2)
訂正事項(2)の(e)、(d)、(f)について
この訂正は、特許請求の範囲の減縮に伴って、発明の詳細な説明をそれに整合させるためのものであって、明りょうでない記載の釈明を目的としたものに該当する。
以上のとおりであるから、訂正事項(1)(a)〜(c)、及び訂正事項(2)(e)〜(f)は、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
2-2独立特許要件
本件に係る特許に対する特許異議申立事件である平成11年異議73254号において、特許異議申立人より、本件出願前に頒布された実公昭50-28974号公報(以下、刊行物1という)、特開平2-152630号公報(以下、刊行物2という)が提出されており、該刊行物1,2に対し、訂正明細書の請求項1〜4に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるか否かについて検討する。
(a)訂正発明
訂正後における本件請求項1〜4に係る発明は、その訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜4に記載された次のとおりのものと認める。
「【請求項1】OPP/PE/VMPET/PE/CPP、OPP/VMCPP、OPP/VMPET/CPP、又はPET/VMPET/CPPの包装袋材料からなる、スナック菓子を充填するガゼットタイプの軽食品充填包装袋の上部及び下部のエンドシール部分において、当該包装袋の背面の略中央に位置する背シール部分、及び当該包装袋の両側面を内側に折り込んで形成される折り込み部分を含めて一体にシールされており、かつ底部のエンドシール部分が背シール部分を折り曲げることなく当該背シール部分と反対の側に底面と略平行に折り曲げられ、かつ当該エンドシール部分の少なくとも一部が底部と接着されており、上部及び下部のエンドシール部分以外の当該折り込み部分は未接着であり、かつ底部は角底成形されていないことを特徴とするガゼットタイプの軽食品充填包装袋。
【請求項2】 底部のエンドシール部分の一部が背シール部分を折り曲げることなく当該背シール部分と反対の側に底面と略平行に折り曲げられ、かつ当該エンドシール部分の少なくとも一部が底部と接着されていることを特徴とする前記請求項1記載のガゼットタイプの食品充填包装袋。
【請求項3】 包装袋の包材が、少なくとも、その内側同士及び外側同士が接着するヒートシール材質からなることを特徴とする前記請求項1記載のガゼットタイプの食品充填包装袋。
【請求項4】包装袋の包材が、水蒸気透過性0.5cc/m2・day以下の材質からなることを特徴とする前記請求項1記載のガゼットタイプの食品充填包装袋。」(以下、訂正後における特許請求の範囲の請求項1〜4に係る発明を「訂正発明1〜4」という。)
(b)刊行物1,2の記載内容
刊行物1:
イ)「両側に折込み部1,1を形成すると共に底縁2に沿って接着部3を形成し、折込み部1,1の折返し縁6,6より外側において上外方へ延びる線を端縁として袋体5の正面部7と折込み前部8、折込み後部9と背面部10をそれぞれ前記端縁に沿って形成した帯状に延びる液密乃至気密の接着部11a1,11b1,およびこの接着部11a1,l1b1,と前記接着部3との間の三角形状部分に接着部11a1,11b1との間へ間隙を与えて形成した補強用の接着部11a2 ,l1b2 からなる接着部11a,l1bにて接着した自立し得る袋。」(実用新案登録請求の範囲)
ロ)「本案の実施例を図面について説明すると、合成樹脂フィルム、紙、金属箔、セロファンあるいはこれらを適宜組合せて積層した柔軟材料を用い」(第1欄第23行〜25行)
ハ)「本案は少なくとも底部が接着封緘されている合成樹脂、紙等の柔軟材料で作られた袋に関し、包装袋として或いは容器として内容物を装填封入したとき角形の底が形成されて自立することができるようにしたものである。」 (第1欄第1 8〜22行)
ニ)「接着部3は底に沿って前方または後方へ任意に折曲すると共に」(第2欄第24〜25行)
ホ)「接着部11a, l1bは斜めの帯状の接着部11a1,l1b1およびこれと接着部3との間の三角形状部分に形成した補強用の接着部11a2 ,11b2 によって構成したものであるから、接着により硬質化した部分は柔軟な袋材料が単に重ねられているものに比べて著しく大きな強度を示し内容物の重量が大きくてもそれだけ撓むのを防止し平坦な底を形成し、安定よく自立させて直立状態を維持するのである。」(第2欄第25〜34行)
ヘ)「接着部11a1,l1b1が内容物の重量または圧力によって剥離してもこの剥離作用はこの接着部11a1,l1b1で停止し、連続して接着部11a2 ,l1b2 を剥離させ接着部全体を剥離してその機能を失わせるということがなく、運搬、保存、陳列等を倒れ或いは接着部が剥離する心配なく行うことができ実用上すぐれた効果を発揮するものである。」(第3欄第2〜9行)
ト)第2頁には、自立状態を示す倒立斜視部分図として、接着部3、4、及び接着部11a, l1bにて接着した袋の底部が示され、接着部4は、底部にて折り曲げるられておらず、かつ接着部3は底に沿って、接着部4と反対側に折曲された、角形の底が形成されたものが示されている(第4図)。
刊行物2:
イ)「包装フィルムを間欠的に繰り出し製袋用筒体により四角筒状に形成して垂下させ、その対向する一組の両側面を内方へ折り込み横シール機の閉動により幅方向へ熱シールしてガセットタイプの袋体を形成し、該袋体に被包装物を充填する製袋充填包装装置において、前記包装フィルムの外面を熱シール性を有する材質で構成し、横シール直後に被包装物を充填しながらシール部をその基端に沿って直角状に折り曲げると共に若干押し上げて袋体の底面に圧接せしめた状態で、該シール部を冷却したことを特徴とする角底成形方法。」(特許請求の範囲第1項)
ロ)「本発明は.………(中略)………角底成形方法及び角底成形機構に関する。」(第2頁左上欄第3〜10行)
ハ)「このような従来の製袋充填包装装置の角底成型方法及び角底成形機構では被包装物の重量によりシール部を折り曲げるため、被包装物の重量が比較的重い場合には有効であるが、被包装物の重量が軽量である場合や包装フィルムを構成する材質によっては折り癖が付き難いものである場合には、折り曲げたシール部が自然に復元して自立させることができず、これを防止するには……(中略)……シール部を接着剤や粘着テープ等の接着手段により袋体の底面に貼着しなければならないという問題がある。本発明は斯る従来事情に鑑み、横シール時の余熱を利用してシール部を袋体の底面に接着することを目的とする。」(第2頁右上欄第2〜15行)
二)「包装フィルム(A)は例えばアルミ箔等の基材の内外面に熱シール性を有する例えばポリエチレンやポリプロピレン等の熱可塑性合成樹脂のフィルム層を積層して構成するか或いは熱可塑性合成樹脂のみで構成し」(第3頁左上欄第6〜10行)
ホ)「包装フィルムの対向する一組の両側面を夫々二等辺三角形状に折り込みながら両シール機の閉動により熱シールして袋体を形成した直後、該シール部が冷えないうちに押曲体を前進させてシール部基端から直角状に折り曲げ製袋用筒体側へ若干押し上げると共に、袋体内に被包装物が充填されてその重量により袋体の底面とシール部を圧接し、更に冷却媒体によりシール部を強制冷却して両者を固着させるので、横シール時の余熱を利用してシール部を袋体の底面に接着することができる。」(第4頁左下欄第11行〜右下欄第1行)
へ)「従って、……….(中略)……….袋体を確実に自立させることが可能であると共に、接着剤や粘着テープ等の接着手段を使用しないことから生産性に優れ、しかもコストを低減させることができる。」(第4頁右下欄第2〜7行 )
(c)訂正発明と刊行物との対比
イ)訂正発明1
訂正発明1と刊行物1記載の発明とを対比しつつ検討すると、刊行物1の前記摘示事項イ)〜ト)からみて、刊行物1には、合成樹脂フィルム、紙、金属箔、セロファンあるいはこれらを適宜組合せて積層した柔軟材料を使用したガゼットタイプの自立し得る包装袋であって、当該包装袋の両側を内側に折り込んで、背面の略中央に位置する背シール部分4,及び折り込み部と一体に下部の接着部3を形成し、また、接着部3以外の折り込み部に接着部11a及び11bが設けられ、底部の接着部3が背シール部分4を折り曲げることなく当該背シール部分4と反対の側に底面と略平行に折り曲げられて、角形の底が形成されたガゼットタイプの包装袋が記載されており、このように刊行物1には、少なくとも、訂正発明1の構成要件である、「OPP/PE/VMPET/PE/CPP、OPP/VMCPP、OPP/VMPET/CPP、又はPET/VMPET/CPPの包装材料からなる、スナック菓子を充填するガゼットタイプの軽食品充填包装袋」、及び折り込み部を含む底部の構造及び底部の形成法が「上部及び下部のエンドシール部以外の当該折り込み部分は未接着であり、かつ底部は角底成形されていない」の点は、記載されておらず、示唆もされていない。
また、刊行物2の前記摘示事項イ)〜へ)からみて、刊行物2には、包装材料として、アルミ箔等の基材の内外面に熱シール性を有する例えばポリエチレンやポリプロピレン等の熱可塑性合成樹脂のフィルム層を積層して構成するか或いは熱可塑性合成樹脂のみで構成した、被包装物が軽量であるガセットタイプの包装袋についての角底成形方法及び角底成形機構に係る発明が記載されており、例えば、「シール部をその基端に沿って直角状に折り曲げると共に若干押し上げて袋体の底面に圧接せしめた状態で、該シール部を冷却したこと」(前記摘示事項イ))、「袋体を確実に自立させることが可能であると共に、接着剤や粘着テープ等の接着手段を使用しないから生産性に優れ、しかもコストを低減させることができる。」(前記摘示事項へ))、との記載がある。
すなわち、刊行物2記載の発明の方法は、前述の材料を用いた包装フィルムを間欠的に繰り出し製袋用筒体により四角筒状に形成し、ガゼットタイプの袋体を形成し、最終的に、シール部を袋体の底面に接着し、角底状に成形し、当該角底成形によって、袋体を自立させることを可能とするものであって、刊行物2の方法では、「角底成形」が、その作用効果を奏する上で必須不可欠の本質的部分であると認められ、その作用効果は、袋体を確実に自立させることが可能であると共に、接着材や粘着テープ等の接着手段を使用しないから生産性に優れ、しかもコストを低減させることができる、という専ら角底成形によるものに限られている。
そうすると、刊行物2にも、訂正発明1の前記の包装材料、及び「上部及び下部のエンドシール部以外の当該折り込み部分は未接着であり、かつ底部は角底成形されていない」の点は、刊行物2に記載されておらず、示唆もされていない。
そして、訂正発明1は、訂正明細書の請求項1に記載された前記の構成を備えることによって、次のような効果;a.スナック類等の軽食品を充填した際に、底部のエンドシール部分が確実に底部に密着し、底部が安定した略長方形状になることから、包装袋を陳列棚等に起立させた場合に、包装袋の転倒を防止し、かつ製品のフェイス面に関する陳列効果の低下を防止できる(段落【0044】)、b.スナック菓子等の軽食品を充填し、全体を縦にして平面上に載置した際に、包装袋の底部が安定した略長方形状になるように形成されているので、包装袋を陳列棚等に起立させた際に、座りが安定、かつきわめて良好な食品充填包装 袋を得ることができる(段落【0042】)、c.安定に自立するだけでなく、フェイス面に関する陳列効果(すなわち、フェイス面が斜め上方に向くこと:平成13年4月6日付けの実験成績証明書参照)が得られる(段落【0044】)、d.上記作用効果は、前記エンドシール部分の構造、折り曲げ構造を採用することによってはじめて得られる特有の効果(段落【0033】)を有するものである。このように、訂正発明1は、刊行物1,2記載の発明から、予期できない効果を奏するものと認められる。
したがって、本件訂正発明1は、上記刊行物1、2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
ロ)訂正発明2〜4
訂正発明2〜4は、訂正発明1を引用して、上記訂正発明1の構成をさらに限定したものであるから、上記訂正発明1と同様の理由により、上記刊行物1、2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

また、その他に、訂正発明1〜4を特許出願の際、独立して特許を受けることができない発明とすべき理由を見いだすことができない。
3.むすび
以上のとおりであるから、本件審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書き第1号及び第3号に掲げる事項を目的とし、かつ同条第2項乃至第4項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
ガゼットタイプの食品充填包装袋
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 OPP/PE/VMPET/PE/CPP、OPP/VMCPP、OPP/VMPET/CPP、又はPET/VMPET/CPPの包装袋材料からなる、スナック菓子を充填するガゼットタイプの軽食品充填包装袋の上部及び下部のエンドシール部分において、当該包装袋の背面の略中央に位置する背シール部分、及び当該包装袋の両側面を内側に折り込んで形成される折り込み部分を含めて一体にシールされており、かつ底部のエンドシール部分が背シール部分を折り曲げることなく当該背シール部分と反対の側に底面と略平行に折り曲げられ、かつ当該エンドシール部分の少なくとも一部が底部と接着されており、上部及び下部のエンドシール部分以外の当該折り込み部分は未接着であり、かつ底部は角底成形されていないことを特徴とするガゼットタイプの軽食品充填包装袋。
【請求項2】 底部のエンドシール部分の一部が背シール部分を折り曲げることなく当該背シール部分と反対の側に底面と略平行に折り曲げられ、かつ当該エンドシール部分の少なくとも一部が底部と接着されていることを特徴とする前記請求項1記載のガゼットタイプの食品充填包装袋。
【請求項3】 包装袋の包材が、少なくとも、その内側同士及び外側同士が接着するヒートシール材質からなることを特徴とする前記請求項1記載のガゼットタイプの食品充填包装袋。
【請求項4】 包装袋の包材が、水蒸気透過性0.5cc/m2・day以下の材質からなることを特徴とする前記請求項1記載のガゼットタイプの食品充填包装袋。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、スナック菓子等の軽食品を充填し、包装するために有用な新しい構造のガゼットタイプの食品充填包装袋に関するものであり、さらに詳しくは、ガゼットタイプの食品充填包装袋の上部及び下部のエンドシール部のシール構造、及び折り曲げ構造を改善し、特に底部のエンドシール部分の折り曲げ構造を、背シール部分を折り曲げることなく当該背シール部分と反対の側に底面と略平行に折り曲げ、かつ当該エンドシール部分の少なくとも一部が底部と接着されるように形成することによって、スナック菓子等の軽食品を充填した際に、底部のエンドシール部分が包装袋の底部に確実に密着し、当該底部が安定な略長方形状になって、包装袋を陳列棚等に安定に起立させることができるようにしたことを特徴とする新しい構造のガゼットタイプの食品充填包装袋に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、スナック菓子等の軽食品を充填し、包装してなる軽食品充填包装袋は、通常、連続的に供給される筒状に形成された長尺の包装材料の下部をエンドシールすると共に、スナック菓子等の軽食品を充填し、次いで上部をエンドシールした後、カットすることにより製造されており、シール時の包材の形状により、筒状体の上部、及び下部の開口部をそのまま密着シールしたピロータイプの包装袋と、筒状体の上部、あるいは下部のエンドシール部分において、当該筒状体、すなわち当該包装袋の両側面を適宜幅に内側に折り込んで、折り込み部分を形成した状態でエンドシールしたガゼットタイプの包装袋とが、主なものとして知られている。
【0003】
これらの包装袋のうち、ピロータイプの包装袋は、一般に、ソフトで比較的カサの大きいポテトスナック等の軽食品の包装袋として広く使用されており、また、ガゼットタイプの包装袋は、袋の両サイドに一定の幅がとれることから、主に、陳列棚等に起立させることを目的として広く使用されており、例えば、各種の膨化スナック菓子等はもとより、当該軽食品に限らず、ミルクココア、アイスコーヒー等の飲料粉末等、種々の食品の包装袋として広く利用されている。
【0004】
しかるに、従来のガゼットタイプの包装袋を例として、当該包装袋を用いた製品をみてみると、例えば、ポテトスナック、アイスコーヒー粉末、膨化スナック菓子等に通常使用されている包装袋の場合は、包装袋の上部もしくは下部のエンドシール部分において、背シールの部分、及び包装袋の両側面を内側に折り込んで形成される折り込み部分のシール部分とが4枚重ねになっているために、エンドシール部分はかなり厚い重層構造になっており、エンドシールする際に、図1及び図2に示すように、前記折り込み部分や背シール部分を含めて一体にシールするだけで、底部のエンドシール部分をさらに底部に密着させるように折り曲げる等の加工処理を施すことは全く行われていなかった。
【0005】
そして、実際に包装袋に食品を収容して陳列する場合には、特に、アイスコーヒー粉末等のような食品自体に重量のある食品においては、当該食品の重量によって包装袋の底部のエンドシール部分が底部に密着する形でアットランダムに折り曲げられ、結果として底部のエンドシール部分が不自然、かつ不規則的に折り曲げられるようないわば商品価値を低下させる形で、陳列棚等に起立させていた。
【0006】
その他、ミルクココア等の飲料粉末に通常使用されている包装袋の場合は、包装袋の下部のエンドシール部分において、折り込み部分のシールが4枚重ねで、さらに、背シールの部分が4枚重ね(残りの中央部分は2枚重ね)になっているもの、また、折り込み部分のシールが4枚重ねで、背シールの部分が6枚重ね(残りの部分は2枚重ね)になっているもの等、種々の形態のものがみられるが、いずれのものも、前記の場合と同様に、エンドシールする際に、前記折り込み部分や背シール部分を含めて一体にシールするだけで、底部のエンドシール部分をさらに底部に密着させるように折り曲げる等の加工処理を施すことは全く行われておらず、重量のある食品を収容した場合において、当該食品自体の重量によって底部のエンドシール部分が底部に密着する形でアットランダムに折り曲げられ、その結果として底部のエンドシール部分が不自然、かつ不規則的に折り曲げられるようないわば商品価値を低下させる形で、陳列棚等に起立させていたのが現状である。
【0007】
このように、ガゼットタイプの包装袋を用いた製品のうち、ミルクココア、アイスコーヒー等の飲料粉末のような食品の包装袋の場合には、充填される食品自体に重量があり、かつ包装袋の両サイドが比較的幅広く形成されており、包装袋の底部も幅広く形成し得ることから、当該包装袋を自立させた場合、食品自体の重量によって底部のエンドシール部分が底部に密着する形でアットランダムに折り曲げられるようになり、当該包装袋を陳列棚等において全体として縦方向に安定に起立させることが可能である。
【0008】
しかしながら、スナック類等の軽食品の包装袋の場合には、一般に、包装袋の両サイドが比較的狭く形成されているものは、中身が軽いので当該包装袋を安定に起立させることが困難であり、すぐに転倒して横に寝てしまうことから、これらの製品を店頭の販売棚に陳列し、販売するに際し、製品のフェイスが顧客の方に確実に向かないので、陳列効果が得にくく、また、包装袋の両サイドが比較的広く形成されているものは、一応起立させることは可能であるが、軽食品であるために、底部のエンドシール部分が底部に密着する形で折り曲げられるのは困難であり、そのために包装袋の自立性が悪く、また、奥行きを長く取っているので、製品のフェイス面がその分、狭くなっており、充分な陳列効果が得にくい、等の包装袋の形状もしくは構造に起因する基本的な問題点があった。
【0009】
このように、食品包装袋の中でも、とりわけスナック食品等の軽食品の包装袋は、包装袋の上部もしくは下部のエンドシール部分のシール幅が少なくとも約1cm以上の幅を有するものであり、かつ均一幅に形成されたものが大部分であり、一部において、ミルクココア等の飲料粉末等の包装袋の底部のシール部分にみられるように、当該シール幅が、包装袋の中央部分に比較して両サイドの部分が幅広に形成されている、いわゆる逆アーチ型のもの等が存在する。
【0010】
しかしながら、当該逆アーチ型のエンドシール部分を有する包装袋においても、包装袋の両側面を内側に折り込んだ折り込み部分、及び背シール部分を含む中央部分のシール幅は、通常のものと同じ程度に一定の幅を有するものであり、前記通常のシール部分が均一幅に形成されている通常のガゼットタイプの包装袋の場合と同様に、折り込み部分や背シール部分のシール部分が4枚重ねになっているために、エンドシール部分はかなり厚い重層構造になっており、当該包装袋にスナック菓子等の軽食品を充填した場合、底部の座りが悪く、商品販売用陳列棚において安定に起立させることが困難であり、前記理由により陳列効果が得にくいという問題点があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明者らは、このような従来のスナック菓子等の軽食品を充填する食品充填包装袋の各種問題点を解決することを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、当該包装袋のシール部分のシール構造、及び折り曲げ構造を変更することにより、所期の目的を達成し得ることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、従来のスナック菓子等の軽食品を充填する食品充填包装袋にみられる当該包装袋の上部及び下部のエンドシール部分において、当該包装袋の背面の略中央に位置する背シール部分、及び当該包装袋の両側面を内側に折り込んで形成される折り込み部分を含めて一体にシールされており、かつ自立安定性に優れている新しい構造のガゼットタイプの食品充填包装袋を提供することを目的とするものである。
【0013】
また、本発明は、ガゼットタイプの食品充填包装袋の底部のエンドシール部分における包装袋の両側面の折り込み部分や背シール部分を重層してなるシール部分の折り曲げ構造を改善し、膨化スナック菓子等の軽食品を収納した場においても、安定に起立させることが可能な新しい構造のガゼットタイプの食品充填包装袋を提供することを目的とするものである。
【0014】
また、本発明は、ガゼットタイプの包装袋に軽食品を充填した際に、底部のエンドシール部分が底部に確実に密着し、底部の形状が安定な略長方形状になるように形成したガゼットタイプの食品充填包装袋を提供することを目的とするものである。
【0015】
また、本発明は、前記包装袋の下部のエンドシール部分のシール幅が、相当程度広くなるように形成した包装袋においても、底部のエンドシール部分が底部に確実に密着し、軽食品を充填した場合にも、安定に起立させることが可能なガゼットタイプの食品充填包装袋を提供することを目的とするものである。
【0016】
さらに、本発明は、前記包装袋の下部のエンドシール部分の折り曲げ処理を簡便、かつ確実に行うことが可能な底部構造を有するガッゼトタイプの食品充填包装袋を提供することを目的とするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するための本発明の構成は、次の(1)〜(4)の技術的手段からなるものである。
(1)OPP/PE/VMPET/PE/CPP、OPP/VMCPP、OPP/VMPET/CPP、又はPET/VMPET/CPPの包装袋材料からなる、スナック菓子を充填するガゼットタイプの軽食品充填包装袋の上部及び下部のエンドシール部分において、当該包装袋の背面の略中央に位置する背シール部分、及び当該包装袋の両側面を内側に折り込んで形成される折り込み部分を含めて一体にシールされており、かつ底部のエンドシール部分が背シール部分を折り曲げることなく当該背シール部分と反対の側に底面と略平行に折り曲げられ、かつ当該エンドシール部分の少なくとも一部が底部と接着されており、上部及び下部のエンドシール部分以外の当該折り込み部分は未接着であり、かつ底部は角底成形されていないことを特徴とするガゼットタイプの軽食品充填包装袋。
【0018】
(2)底部のエンドシール部分の一部が背シール部分を折り曲げることなく当該背シール部分と反対の側に底面と略平行に折り曲げられ、かつ当該エンドシール部分の少なくとも一部が底部と接着されていることを特徴とする前記(1)記載のガゼットタイプの食品充填包装袋。
【0019】
(3)包装袋の包材が、少なくとも、その内側同士及び外側同士が接着するヒートシール材質からなることを特徴とする前記(1)記載のガゼットタイプの食品充填包装袋。
【0020】
(4)包装袋の包材が、水蒸気透過性0.5cc/m2・day以下の材質からなることを特徴とする前記(1)記載のガゼットタイプの食品充填包装袋。
【0021】
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、前記したように、ガゼットタイプの食品充填包装袋の上部及び下部のエンドシール部分の構成に特徴を有するものであり、包装袋の上部及び下部のエンドシール部分において、包装袋の両側面を内側に折り込んで形成される折り込み部分、及び包装袋の背面の略中央に位置する背シール部分を含めて一体にシールされており、かつ底部のエンドシール部分の全部又は一部が背シール部分を折り曲げることなく当該背シール部分と反対の側に底面と略平行に折り曲げられ、かつ当該エンドシール部分の少なくとも一部が底部と接着されている点にその特徴を有するものである。
【0022】
当該ガゼットタイプの包装袋について具体的に説明すると、当該包装袋における両側面を折り込んだ折り込み部分の長さ、すなわち折り込みの幅は、特に制限されるものではなく、適宜の幅に形成することができる。当該タイプの包装袋は、通常、筒状に形成された長尺物からなる連続包装袋材料を適宜の上下位置でエンドシール、及び切断して形成されるものであり、通常、包装袋の背面(裏側)の略中央部分の位置に背シール部分が形成されているが、本発明は、当該タイプのものに限らず、当該背シールの部分が包装袋のサイド部分等に位置するものであっても、適宜適用することができる。
【0023】
包装袋の材料としては、特に制限されるものではないが、代表的なものとしては、ヒートシールOPP(延伸ポリプロピレン)/接着用PE(ポリエチレン)/VMPET(蒸着ポリエチレンテレフタレート)/接着用PE/CPP(キャスティングポリプロピレン)、OPP(延伸ポリプロピレン)/VMCPP(蒸着キャスティングポリプロピレン)、OPP/VMPET/CPP、PET/VMPET/CPP等の包装袋材料が例示される。中でも、ヒートシールOPP/接着用PE/VMPET/接着用PE/CPPのような包装材料を使用すれば、その内側同士及び外側同士がヒートシールにより接着する材質であるので、エンドシール部分において背シール部分及び折り込み部分を含めて一体にシールする場合、及び底部のエンドシール部分の少なくとも一部を底部と接着する場合には、接着剤等の使用が不要になり、従って製造工程が簡略化されるので好ましい。また、スナックなど湿気を嫌う食品を充填する場合には、包装材料として水蒸気透過性が0.5cc/cm2・day以下の材質のものを使用するのが、輸送中あるいは陳列中に内容物が湿気から保護されるので好ましい。
【0024】
これらの材料からなる包装袋の上部及び下部をエンドシールするには、包装袋の上部及び下部の両側面を内側に折り込み、次いで内側の折り目部分と背シールの部分をそれぞれ重層し、シール部分にCPP等の適宜のシーラント材、あるいは接着剤を使用して常法によりシール処理する方法等が採用される。また、底部のエンドシール部分の少なくとも一部を底部と接着するには、ホットメルト等の接着剤を塗布後、エンドシール部分と包装袋低部を密着させる方法等が好適なものとして採用されるが、当該接着の手段は、かかる方法等に限定されるものではなく、また、前記したように、ヒートシール可能な包装材料を使用すれば、ヒートシール直後、フィルムが充分に熱いうちにエンドシール部分と包装袋底部に密着させることにより接着することが出来るため、接着剤等の使用が不要になり、従って製造工程が簡略化されるので好ましい。
【0025】
シール処理する際の温度、圧力、時間等のシール条件については、特に制限されるものではないが、通常、120〜240℃、0.2〜1.5秒程度で、包装材料の種類、厚さ等に応じた適宜の圧力条件が適宜選択される。
【0026】
本発明のガゼットタイプの食品充填包装袋を製造する際に使用される包装機としては、適宜のタイプのものが使用可能であり、特に制限されるものではないが、シール部は背シール、エンドシールとも、エアシリンダー、機械式等の駆動部により駆動されるシールバーを具備したタテ型ガゼット包装機、及びヨコ型ガゼット包装機等、一般的にスナック菓子、ラーメン等の塊を充填する場合に使用されている適宜のタイプの装置を使用することができる。
【0027】
また、シール部分のシールの形態としては、背シール、エンドシールとも、当該シール面に横筋が形成されるギザ歯シール(流形シール)、及び、シール部分がベタに形成されるベタシール、その他、エンボス、網目等、いずれのタイプのものも適宜利用可能である。
【0028】
包装袋のシール部分のシール形態は、包装袋の上部及び下部において、包装袋の側面を内側に折り込んだ折り込み部分、及び背シール部分のシール幅を均一幅に形成することが一般的であるが、包装袋の上部及び下部のエンドシール部分の両サイドのシール幅に比較して中央部分のシール幅を幅広く形成すること、又はその逆に形成することも適宜可能である。
【0029】
当該エンドシール部分の具体的形態としては、包装袋の下部のエンドシール部分において、当該エンドシール部分が背シール部分を折り曲げることなく背シール部分と反対の側に底面と略平行に折り曲げられ、かつ当該エンドシール部分の少なくとも一部が底部と接着されている構造のものが代表的なものとして例示される。
【0030】
このように、本発明のガゼットタイプの食品充填包装袋の上部及び下部のエンドシール部分の形態は、包装袋の底部の部分に位置する前記折り込み部分、及び背シール部分を含めてシールしてなる底部のエンドシール部分が背シール部分を折り曲げることなく当該背シール部分と反対の側に折り曲げられ、かつ当該エンドシール部分の少なくとも一部が底部と接着されているように形成したものであり、かつ当該エンドシール部分の少なくとも一部が底部と接着されたものであれば、特に、その形態は制限されるものではなく、適宜の形態のものを使用することができる。尚、この場合、底部のエンドシール部分において、その全部が折り曲げられているものに限らず、その一部が前記のように折り曲げられているものも本発明の範囲に含まれる。
【0031】
以上のようにガゼットタイプの食品充填包装袋の上部及び下部におけるエンドシール部の形態を特定することより、本発明の包装袋は、従来軽食品を充填した場合に、安定に起立させることを困難にしていたエンドシール部分の構造、すなわち前記折り込み部分、及び背シール部分を含めて一体にシールして形成される底部のエンドシール部分の構造を改善することにより、軽食品を充填した場合においても包装袋を安定に起立させることが可能となり、特に包装袋の側面を内側に折り込んだ折り込み部分を具備するガゼットタイプの包装袋の場合において、包装袋の品質とその付加価値をより高度のものとすることができる。
【0032】
また、包装袋の下部のエンドシール部分において、その全部もしくは一部の部分のシール幅を幅広に形成した場合であっても、スナック類等の軽食品を充填し、そのまま陳列棚等の平面上に縦に載置した場合に、包装袋の底部が安定した略長方形状になって、従来、起立させるときに邪魔になっていたエンドシール部分が確実に底部に密着するので、包装袋を安定して起立させることができると共に、包装袋の上から多少の圧力がかかっても、当該圧力に対して比較的安定性が高くなる。さらに、包装袋の両サイドが比較的狭く形成されていても座りが良く、全体を安定に起立させることができるようになるので、小さな容量の包装袋でも製品のフェイス面も広くとることができ、量販店などの陳列棚での陳列効果が高くなり、従って、従来問題とされていた包装袋の転倒、陳列効果の低下、及びそれに伴う商品価値の著しい低下を確実に防止することができる。
【0033】
このような本発明のガゼットタイプの食品充填包装袋の特性は、従来の通常のガゼットタイプの包装袋の場合には、得られないものであり、前記エンドシール部分のシール構造、折り曲げ構造を採用することによってはじめて得られる本発明の食品充填包装袋に特有なものである。
【0034】
本発明の食品充填包装袋は、特に、ガゼットタイプの包装袋の中でも、下部のエンドシール部分において、折り込み部分と背シール部分が4枚重ねに形成されている通常のポテトスナック、膨化スナック菓子等の軽食品に使用されているスタンダードなタイプのガゼット包装袋はもとより、背シール部分がサイド方向に位置し、中央のシール部分が2枚重ねに形成されているタイプのガゼット包装袋、及び、背シール部分、及び折り込み部分を重層せず、中央部分のみが2枚重ねに形成されているタイプのガゼットタイプ等、適宜のタイプの包装袋に適用することが可能である。また、本発明は、このようなタイプのガゼット包装袋だけに限定されるものではなく、ガゼットタイプの包装袋であればその種類を問わず、適宜のタイプの包装袋に適用することも可能である。
【0035】
さらに、本発明の食品充填包装袋の下部におけるエンドシール部分の全部又は一部を背シール部分と反対の側に底面と略平行に折り曲げて形成し、かつ当該エンドシール部分の少なくとも一部が底部と接着されているように形成することにより、包装袋の底部の形を機能的にも形態的にも整ったものにすることができる長所を有すると共に、特に、当該エンドシール部分が背シール部分を折り曲げることなく当該背シール部分と反対の側に底面と略平衡に折り曲げ、かつ当該エンドシール部分の少なくとも一部が底部と接着されて形成される折り曲げ構造の場合、その折り曲げ処理、及び接着処理がきわめて簡便、かつ確実に行える長所を有する。
【0036】
【実施例】
次に、本発明の実施例及び参考例について図面に基づいて具体的に説明する。
図1〜4は、ヒートシールOPP(延伸ポリプロピレン)/接着用PE/VMPET/接着用PE/CPPからなり筒状に形成された包装袋材料Aからなる長尺物を、その上部、及び下部の適宜の位置でエンドシール、及び切断し、下部にシール部分B、上部にエンドシール部分B′を形成したガゼットタイプの包装袋(幅140mm×奥行き68mm×高さ205〜210mm)を示す。また、図5は、エンドシール部分における折り込み部分の断面を、図6は、エンドシール部分における背シール部分の断面を、それぞれ、示す。
尚、図1は、底部のエンドシール部分を折り曲げ加工処理する前の中間製品を示す。また、図2は、底部のエンドシール部を折り曲げ加工処理していない包装袋(比較例)を示す。
【0037】
上部及び下部のシール部分のa、bは、包装袋の両側面を内側に折り込んで形成される折り込み部分であり、当該折り込み部分a、bは、通常、左右2箇所に背シールをはさんで対称に形成される。包装袋の略中央に位置する縦長のシール部分Cは、背シールであり、通常、当該背シールCは、包装袋の背面(裏側)の中央に形成されるが、当該背シール部分Cを、サイド方向、すなわち右もしくは左側面部方向の適宜の部位に位置させることも適宜可能である。cは、エンドシール部分と重ねてシールされる略中央に位置した背シール部、dは、4枚重ね部(折り込み部分に形成される)、eは、2枚重ね部、fは、4枚重ね部(略中央に位置した背シール部分に形成される)、の各断面を示す。
【0038】
当該ガゼットタイプの包装袋の下部のエンドシール部分Bは、前記折り込み部分a、b、及び略中央に位置した背シール部分cを含む端部の部分全体を、常法によりシールバーにより均一幅にシールすることによって形成されるが、当該折り込み部分a、b、及び略中央に位置した背シール部分cを含むエンドシール部分の形態を適宜変更することも可能である。
【0039】
当該シール部分の形状について、図1〜4に基づいて具体的に説明すると、図1は、包装袋の下部の端部を、略中央に位置した背シール部分c、及び当該包装袋の両側面を内側に折り込んで形成される折り込み部分a、bを含めて一体にシールしてエンドシール部分Bを形成した中間製品を示すものであり、また、図2は、これに軽食品を充填して、上部の端部をシールしてエンドシール部分B′を形成した食品充填包装袋(比較例)を示すものであり、さらに、図3の(1)は、前記中間製品において、これを前記折り込み部分a、b、及び背シール部分cの部分を含む底部のエンドシール部分Bを背シール部分Cと同一の側に底面と略平行に折り曲げた形に形成した包装袋の部分構造を示すものであり、また、図3の(2)は、当該エンドシール部分Bの一部を底部と接着して形成した包装袋の部分構造を示すものであり、さらに、図4は、これに軽食品を充填して、上部の端部をシールしてエンドシール部分B′を形成した本発明の食品充填包装袋の全体を示すものである。
【0040】
当該包装袋のエンドシールは、エアーシリンダー駆動部により駆動されるシールバーを具備したシール機を使用して、約180℃、0.5秒のシール条件で、常法により実施した。シールバーは、それぞれ、そのシール面を、それぞれ、図1〜4に示した前記シール部分を形成し得る形状に形成したもので、シール部分の表面形態がベタ状態にシールされるタイプに形成したものを使用した。また、包装袋の下部に形成されたエンドシール部分の折り曲げ、及び接着は、エンドシール部分をヒートシール直後折り曲げ、包装袋底面に密着することが可能な装置を具備した縦ピロー包装機により実施した。
【0041】
包装袋の下部に形成されたエンドシール部分Bは、参考例の図3〜4においては、前記折り込み部分a、b、及び略中央に位置した背シール部分cを含む底部のエンドシール部分Bが背シール部分Cを折り曲げ当該背シール部分Cと同一の側に底面と略平行に折り曲げた形に形成され、かつ当該エンドシール部分の少なくとも一部が底部と接着された形に形成されている。尚、エンドシール部分を背シール部分と同一の側に折り曲げた場合は、その折り曲げ処理、及び接着処理に工夫を要する。
【0042】
包装袋の下部に形成されたエンドシール部分Bは、実施例においては、底部のエンドシール部分Bが背シール部分Cを折り曲げることなく背シール部分Cと反対の側に底面と略平行に折り曲げた形に形成され、かつ当該エンドシール部分の少なくとも一部が底部と接着された形に形成され、またエンドシール部分Bの全部に限らず、その一部が同様に折り曲げた形に形成されており、スナック菓子等の軽食品を充填し、全体を縦にして平面上に載置した際に、当該底部のエンドシール部分Bが底部に密着され、包装袋の底部が安定した略長方形状になるように形成されているので、包装袋を陳列棚等に起立させた際に、座りが安定、かつきわめて良好な食品充填包装袋を得ることができた。
【0043】
【発明の効果】
以上詳述したとおり、本発明は、スナック菓子等の軽食品を充填するガゼットタイプの食品充填包装袋の上部及び下部のエンドシール部分において、包装袋の両側面を内側に折り込んで形成される折り込み部分、及び背シール部分を含めて一体にシールされており、かつ底部のエンドシール部分の全部又は一部が背シール部分を折り曲げることなく当該背シール部分と反対の側に折り曲げられ、かつ当該エンドシール部分の少なくとも一部が底部と接着されていることを特徴とする包装袋に係るものであり、当該ガゼットタイプの食品充填包装袋の下部のエンドシール部分の形を整え、安定に自立する食品充填包装袋を簡便に製造できる効果を有する。
【0044】
また、本発明のガゼットタイプの食品充填包装袋は、スナック類等の軽食品を充填した際に、底部のエンドシール部分が確実に底部に密着し、底部が安定した略長方形状になることから、包装袋を陳列棚等に起立させた場合に、包装袋の両サイドが比較的狭く形成されていても、全体として座りが良く、よって包装袋の転倒を防止し、かつ製品のフェイス面に関する陳列効果の低下を防止できる効果を有する。さらに、上部及び下部のエンドシール部分において、折り込み部分及び背シール部分を含めて一体にシールすることにより、包装袋全体の形が整い、見栄えがよくなるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
ガゼットタイプの包装袋の下部のエンドシール部分において、折り込み部分a、b、及び略中央に位置した背シール部分cを含む端部を一体にシールして形成した食品充填包装袋の中間製品の部分構造を示す説明図である。
【図2】
ガゼットタイプの包装袋の下部のエンドシール部分において、折り込み部分a、b、及び略中央に位置した背シール部分cを含む端部を一体にシールして形成した食品充填包装袋(比較例)の全体を示す説明図である。
【図3】
ガゼットタイプの包装袋の下部のエンドシール部分において、折り込み部分a、b、及び略中央に位置した背シール部分cを含むシール部分を背シール部分Cと同一の側に底面と略平行に折り曲げ〔図3の(1)〕、かつ当該エンドシール部分の一部を底部と接着して形成した〔図3の(2)〕、中間製品及び参考例の食品充填包装袋の部分を示す説明図である。
【図4】
ガゼットタイプの包装袋の下部のエンドシール部分において、折り込み部分a、b、及び略中央に位置した背シール部分cを含むシール部分を背シール部分Cと同一の側に底面と略平行に折り曲げ、かつ当該エンドシール部分の一部を底部と接着して形成した参考例の食品充填包装袋の全体を示す説明図である。
【図5】
エンドシール部分における折り込み部分の断面の説明図である。
【図6】
エンドシール部分における背シール部分の断面の説明図である。
【符号の説明】
A ガゼットタイプ包装袋
B エンドシール部分
C 背シール部分
a 左サイドに形成された折り込み部分
b 右サイドに形成された折り込み部分
c 略中央に位置した背シール部分
d 4枚重ね部(折り込み部分に形成される)
e 2枚重ね部
f 4枚重ね部(略中央に位置した背シール部分に形成される)
【図面】













 
訂正の要旨 (1)訂正事項
(a)特許請求の範囲の請求項1の冒頭の「ガゼットタイプの食品充填包装袋」を、特許請求の範囲の減縮を目的として、「OPP/PE/VMPET/PE/CPP、OPP/VMCPP、OPP/VMPET/CPP、又はPET/VMPET/CPPの包装袋材料からなる、スナック菓子を充填するガゼットタイプの軽食品充填包装袋」と訂正する。
(b)特許請求の範囲の請求項1の「当該エンドシール部分の少なくとも一部が底部と接着されている」を、特許請求の範囲の減縮を目的として、「当該エンドシール部分の少なくとも一部が底部と接着されており、上部及び下部のエンドシール部分以外の当該折り込み部分は未接着であり、かつ底部は角底成形されていない」と訂正する。
(c)特許請求の範囲の請求項1の末尾の「ガゼットタイプの食品充填包装袋」を、特許請求の範囲の減縮を目的として、「ガゼットタイプの軽食品充填包装袋」と訂正する。
(2)訂正事項
(d)明細書の段落番号【0017】の(1)の冒頭の「ガゼットタイプの食品充填包装袋」を、明りょうでない記載の釈明を目的として「OPP/PE/VMPET/PE/CPP、OPP/VMCPP、OPP/VMPET/CPP、又はPET/VMPET/CPPの包装袋材料からなる、スナック菓子を充填するガゼットタイプの軽食品充填包装袋」と訂正する。
(e)明細書の段落番号【0017】の(1)の「当該エンドシール部分の少なくとも一部が底部と接着されている」を、明りょうでない記載の釈明を目的として、「当該エンドシール部分の少なくとも一部が底部と接着されており、上部及び下部のエンドシール部分以外の当該折り込み部分は未接着であり、かつ底部は角底成形されていない」と訂正する。
(f)明細書の段落番号【0017】の(1)の末尾の「ガゼットタイプの食品充填包装袋」を、明りょうでない記載の釈明を目的として、「ガゼットタイプの軽食品充填包装袋」と訂正する。
審理終結日 2001-05-30 
結審通知日 2001-06-12 
審決日 2001-06-25 
出願番号 特願平5-228184
審決分類 P 1 41・ 851- Y (A23L)
P 1 41・ 856- Y (A23L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 植野 浩志村上 騎見高  
特許庁審判長 田中 久直
特許庁審判官 田村 明照
大高 とし子
登録日 1998-12-11 
登録番号 特許第2862464号(P2862464)
発明の名称 ガゼットタイプの食品充填包装袋  
代理人 須藤 政彦  
代理人 須藤 政彦  

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