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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1049414
審判番号 審判1997-16302  
総通号数 25 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-05-07 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1997-09-25 
確定日 2001-11-14 
事件の表示 平成6年特許願第252264号「点検整備支援システム」拒絶査定に対する審判事件[平成8年5月7日出願公開、特開平8-115365]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯、本願発明
本願は、平成6年10月18日の出願であって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成9年5月26日付けの手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
なお、平成9年10月27日付けの手続補正は、本審決と同日付けで却下された。
「点検整備対象の症状名、症状名毎に設定された点検整備内容及び点検整備内容毎に設定された作業内容並びに部品名を格納する記憶手段と、前記記憶手段に格納されたデータを利用してメニュー表示処理を行うメニュー表示処理部を有する制御手段とを備え、前記制御手段のメニュー表示処理部は、前記記憶手段に格納された症状名をメニュー項目とする症状メニュー画面と、メニュー選択された症状名に対応する点検整備内容をメニュー項目とする点検整備内容メニュー画面と、メニュー選択された点検整備項目に対応する作業内容と部品名をメニュー項目とする作業内容・部品名メニュー画面とを表示するとともに、前記点検整備内容メニュー画面のメニュー項目に優先順位を付して表示することを特徴とする点検整備支援システム。」

2.引用例に記載された発明
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された特開平5-125955号公報(以下、「引用例」という。)には、エンジンの故障診断装置に関して、以下(a)〜(f)の事項が記載されている。
(a)「ここで、パソコン1によるエンジンの故障診断作業を図2乃至図5に基づいて具体的に説明する。」(段落0012)
(b)「エンジンに故障が発生した場合、オペレータはパソコン1を動作させる。すると、先ずパソコン1のCRT2上には、図2に示すようにエンジンの症状を示す内容が5項目に分けてイラストa〜eで表示される。」(段落0013)
(c)「例えば、エンジンの故障の症状として始動が困難である場合には、オペレータはマウス3を操作してCRT2上の画面からその症状に該当するイラストa(始動困難)を選択する。即ち、具体的には、オペレータがマウス3を操作してCRT2上でカーソルをイラストa上に置いてマウス3のボタンを押せば、そのイラストaが選択される。」(段落0014)
(d)「すると、イラストaで表示されるエンジンの症状(始動困難)に対応する故障箇所が図3に示すように文章で項目別に8項目表示される。このとき、例えばエンジンのピニオンギヤが噛み込まない状態にあれば、前述と同様にオペレータがマウス3を操作してCRT2の画面上から項目1(ピニオンギヤが噛み込まない。)を選択する。すると、図4に示すように、CRT2上にはその項目1に対応する故障原因が文章で項目別に7項目表示される。このとき、例えば故障原因として項目1の内容(バッテリー・エンゲージマグネット端子の緩み又は端子コードの断線)が考えられれば、オペレータは前記と同様にマウス3を操作してCRT2上の画面から項目1を選択する。」(段落0015)
(e)「上記のように項目1が選択されれば、CRT2上にはその故障原因(バッテリー・エンゲージマグネット端子の緩み又は端子コードの断線)に対応する修理対策が図5に示すように表示される。その他、実際の修理に必要な関連部品の図面や作業手順図或いは作業手順についての説明もCRT2上に表示される。」(段落0016)
(f)図2に「エンジンの症状を表示する画面」が記載され、図3に「故障個所を表示する画面」が記載され、図4に「故障原因を表示する画面」が記載され、図5に「修理対策を表示する画面」として修理作業を表示する画面が記載されている。
上記(b)の「複数項目に分けて表示されるエンジンの症状を示す内容」、上記(d)の「文章で複数項目表示される故障個所」、上記(d)、(e)の「文章で複数項目表示される故障原因」、上記(e)の「修理対策」、「作業手順の説明」、「実際の修理に必要な関連部品の図面」が表示されるのであるから、各々パソコン1の記憶手段に格納され、表示制御手段により表示処理されることは明らかである。また、部品の図面に部品名も表記することは技術常識であるから、上記(e)の「実際の修理に必要な関連部品の図面」に関連部品の部品名を表記することは自明である。
したがって、以上(a)〜(f)の記載事項からみて、引用例には、
「エンジンの症状の内容、エンジンの症状の内容に対応した故障個所、故障個所に対応した故障原因、故障原因に対応した修理作業及び修理に必要な関連部品の部品名を表記した図面を格納する記憶手段と、前記記憶手段に格納されたデータを利用して複数項目の画面表示処理を行う表示制御手段とを備え、前記表示制御手段は、前記記憶手段に格納されたエンジンの症状の内容を複数項目に分けて画面表示し、前記複数項目から選択された症状の内容に対応した故障個所を文章で複数項目に分けて画面表示し、前記複数項目から選択された故障個所に対応した故障原因を文章で複数項目に分けて画面表示し、前記複数項目から選択された故障原因に対応した修理作業及び修理に必要な関連部品の部品名を表記した図面を画面表示するエンジンの故障診断装置」(以下、「引用例に記載された発明」という。)が記載されていると認められる。
そして、上記のエンジンの故障診断装置は、実際の修理に必要な関連部品の図面を表示するのであるから、特定のエンジンについての故障診断装置であることは明らかである。

3.本願発明と引用例に記載された発明との対比
本願発明と引用例に記載された発明とを対比すると、
(イ)引用例に記載された発明の「エンジンの症状の内容」は、本願発明の「点検整備対象の症状名」に対応し、
(ロ)引用例に記載された発明の「故障個所」は、修理するべき個所を示していると言えるから、本願発明の「点検整備内容」に対応し、
(ハ)引用例に記載された発明の「複数項目」は、表示され選択に供される項目であるから、本願発明の「メニュー項目」に対応し、
(ニ)引用例に記載された発明の「表示制御手段」は、その機能からみて、本願発明の「メニュー表示処理部を有する制御手段」に対応し、
(ホ)引用例に記載された発明の「修理作業」は、本願発明の「作業内容」に対応し、
(ヘ)引用例に記載された発明は、修理に必要な関連部品の部品名を表記した図面を表示するのであるから、本願発明と同じく「部品名」を表示しており、
(ト)引用例に記載された発明の「エンジンの故障診断装置」は、その機能からみて、本願発明の「点検整備支援システム」に対応している。
よって、本願発明と引用例に記載された発明との一致点、相違点は次のとおりである。
[一致点]
「点検整備対象の症状名、症状名毎に設定された点検整備内容及び点検整備内容に対応する作業内容並びに部品名を格納する記憶手段と、前記記憶手段に格納されたデータを利用してメニュー表示処理を行うメニュー表示処理部を有する制御手段とを備え、前記制御手段のメニュー表示処理部は、前記記憶手段に格納された症状名をメニュー項目とする症状メニュー画面と、メニュー選択された症状名に対応する点検整備内容をメニュー項目とする点検整備内容メニュー画面とを表示し、メニュー選択された点検整備項目に対応する作業内容と部品名が画面表示される点検整備支援システム」である点。
[相違点]
(1)本願発明が、点検整備内容メニュー画面のメニュー項目に優先順位を付して表示しているのに対して、引用例に、点検整備内容メニュー画面のメニュー項目に優先順位を付して表示することは記載されていない点。
(2)メニュー選択された点検整備項目に対応する作業内容と部品名を画面表示するのに、本願発明が、メニュー選択された点検整備項目に対応する作業内容と部品名をメニュー項目とする作業内容・部品名メニュー画面を表示しているのに対して、引用例に記載された発明は、メニュー選択された点検整備項目に対応する故障原因を複数項目に分けて画面表示し、前記複数項目から選択された故障原因に対応する作業内容と部品名を画面表示している点。

4.当審の判断
相違点(1)について。
複数の事項を表示するのに、複数の事項に優先順位を付して表示することが周知であるから(例えば特開昭63-78041号公報第2頁右上欄第11〜14行の記載「故障箇所を表示装置7により表示する。故障箇所はズバリと指摘することは難しく、可能性の高いものから順番に並べることが考えられる。」を参照されたい。)、引用例に記載された発明において、点検整備内容メニュー画面のメニュー項目に優先順位を付して表示するようにすることは、当業者が容易になし得たことである。
相違点(2)について。
物や方法の不要と判断される要素を省略することは通常行うことであるから、引用例に記載された発明において、故障原因の表示を不要と判断し、点検整備項目に対応する故障原因の候補を表示することなく点検整備項目に対応する作業内容と部品名の候補を表示するべく、メニュー選択された点検整備項目に対応する作業内容と部品名をメニュー項目とする作業内容・部品名メニュー画面を表示するようにすることは、当業者が容易になし得たことである。
そして、本願発明の効果は、引用例に記載された発明の効果から容易に予測できた程度のものである。

5.むすび
以上のとおりであるので、本願発明は、引用例に記載された発明及び周知技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2001-09-04 
結審通知日 2001-09-14 
審決日 2001-09-26 
出願番号 特願平6-252264
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 徳永 民雄相田 義明  
特許庁審判長 佐藤 荘助
特許庁審判官 久保田 健
山本 穂積
発明の名称 点検整備支援システム  
代理人 永田 豊  
代理人 松倉 秀実  
代理人 川口 嘉之  
代理人 遠山 勉  

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