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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05K
管理番号 1049646
審判番号 不服2000-5739  
総通号数 25 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-05-21 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-03-15 
確定日 2001-11-21 
事件の表示 平成 3年特許願第245095号「多層プリント配線板」拒絶査定に対する審判事件[平成 8年 5月21日出願公開、特開平 8-130375]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願出願は、平成3年8月29日の出願であって、その特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、平成12年4月13日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
【請求項1】 半導体集積回路等の電子部品を搭載するための多層プリント配線板であって、前記電子部品との接続のための前記多層プリント配線板の導体回路の表面に半田、金等の電気メッキをメッキリードにより施し且つ該メッキリードを外形端面で切断させた多層プリント配線板において、前記メッキリードを前記多層プリント配線板の複数層の内層導体によって形成したことを特徴とする多層プリント配線板。
2.引用例
(1)これに対し、原査定の拒絶理由に引用した特開平3-35594号公報(以下、「引用例」という。)には、以下の記載がある。
(ア)産業上の利用分野に関する「本発明は、多層プリント配線板の加工方法、特に回路へのメッキと外形切断を含む加工方法に関するものである。」(1頁左下欄14行ないし16行)との記載。
(イ)多層プリント配線板の加工方法に関する「多層板1の表面に回路2を設けると共に多層板1の内層部にこの表面の回路2と接続されたリード用回路3を設けて多層プリント配線板を作成し、リード用回路3から多層板1の表面の回路2に通電することによってこの表面2にメッキを施した後に、リード用回路3の箇所において多層板1を切断すること」(2頁左上欄20行ないし右上欄6行)との記載。
(ウ)実施例に関する「多層プリント配線板1は、例えばガラス布基材エポキシ樹脂積層板を基板とする内層用回路板や外層用回路板などを積層することによって、多層板1に回路を多層に設けたものとして形成されるものであり、多層板1の表面に形成される回路のうち一部の回路2の端部に端子部2aを形成するようにしてある。またメッキの際に用いるリード用回路3は内層用回路板に設けることによって、第1図に示すように多層板1の内層部に形成するようにしてある。リード用回路3の一部をなす分岐した各リード6,6・・・は多層板1の表面の各回路2,2・・・と平行に走るように形成してあり、回路2とこの回路2に対応するリード6とはそれぞれ例えばスルーホール等によって接続してある。このように各リード6,6・・・を各回路2,2・・・に接続することによって、各回路2,2・・・はリード用回路3を介して接続された状態にある。そしてこのように形成される多層プリント配線板にあって、多層板1の表面に設けた銅などで形成される回路2の端部の端子部2aの表面に金などを電解メッキするにあたっては、まずメッキレジストを塗布する作業等をおこなった後に、リード用回路3を直流電源に接続して多層板1を金メッキ浴に浸漬し、リード用回路3を介して多層板1の表面の各回路2,2・・・に通電することによっておこなうことができる。このようにして多層板1の表面の回路2に電解メッキを施した後に、第1図(a)に鎖線で示すようにリード用回路3の各リード6,6・・・を横切る線で多層板1をプレス切断することによつて製品のプリント配線板としての外形で切り離し、・・・外形加工をおこなう。このように外形加工する際にリード用回路3の各リ-ド6,6・・・を切断することによって、第2図に示すように多層板1の表面の各回路2,2・・・をリード用回路3を介して接続された状態から独立させるのである。」[2頁右上欄17行ないし2頁右下欄12行、第1図(a)(b)及び第2図(a)(b)参照]との記載及び(エ)「そして・・・リード用回路3は多層板1の内層部に設けられているために、リード用回路3は多層板1内に保持されて表裏から押さえられた状態で切断等の作用を受けることになり、リード用回路3の切断断面には表裏のいずれの側にもささくれ立ちが生じることなく切断等の加工をすることができる。従ってリード用回路3の切断端面にバリや返りなどが生じることを防止することができる。」(2頁右下欄12行ないし3頁左上欄2行)との記載。
(オ)作用に関する「本発明にあっては、リード用回路3は多層板1の内層部に設けてあるために、リード用回路3は多層板1内に保持された状態で切断等の作用を受けることになり、リード用回路3は表裏の両面を多層板1内において押さえられた状態にあって、表裏いずれの側にもささくれ立ちが生じることなく切断等の加工をすることができる。」(2頁右上欄8行ないし14行)との記載。
(カ)これらの記載によれば、引用例には、「多層板1の表面に回路2を設けると共に多層板1の内層部において内層用回路板にメッキの際に用いるリード用回路3の一部をなす分岐したリード6,6・・・設け、多層板1の導体回路の表面に金等の電気メッキをリード用回路3により施したのち、分岐した上記リード6,6・・・の箇所で多層板1を切断した多層プリント配線板」が実質上開示されている。
3.対比
(1)そこで、上記引用例に開示されている多層配線板と本件請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)を対比すると、引用例1記載の多層板1の表面に設けた回路2及び多層プリント配線板の回路2は、本願発明の多層プリント配線板の導体回路に、そして、引用例1記載の多層板1におけるリード用回路3の一部をなす分岐したリード6,6・・・及び多層プリント配線板のリード6,6・・・は、本願発明におけるメッキリード及び内層導体にそれぞれ対応するものと認められる。
そうすると、(1-1)両者は、多層プリント配線板の導体表面に金等の電気メッキをメッキリードにより施し且つ該メッキリードを外形端面で切断させた多層プリント配線板において、前記メッキリードを前記多層プリント配線板の内層導体によって形成した多層プリント配線板である点で一致し、
(1-2)本願発明における多層プリント配線板は、半導体集積回路等の電子部品を搭載するためのものであり、また、前記電子部品との接続のためのものであるのに対し、引用例の多層プリント配線板が、半導体集積回路等の電子部品を搭載するためのものであり、また、前記電子部品との接続のためのものであるとの直接的記載がない点、
(1-3)多層プリント配線板の内層導体が、引用例の多層プリント配線板では、その実施例においては1層であるのに対し、本願発明では複数層である点において相違している。
4.当審の判断
(1)上記相違点(1-2)について検討すると、半導体集積回路等の電子部品が多層プリント配線板に搭載又は接続されることは従来周知の技術的事項であるから、上記相違点における「半導体集積回路等の電子部品を搭載するための」多層プリント配線板、また、「前記電子部品との接続のための」多層プリント配線板との記載は、周知の多層プリント配線板に単なる周知の技術的事項を付加したにすぎない。
(2)次に、上記相違点(1-3)について検討すると、プリント配線板には、導体層が4層以上の多層プリント配線板があることは既に周知であり、また、 多層プリント配線板においてメッキリードを多層プリント配線板の複数層の内部導体によって形成すること(特開昭63-104399号公報、特開平2-82690号公報、特開平2-303090号公報参照)もすでに周知である。
そうすると、引用例記載の多層板1の「リード用回路3の一部をなす分岐した各リード6,6・・・を設けた内層用回路板」にかえて2層以上のリードを設けた内層用回路板を多層板の内層部に形成することは、上記周知の技術的事項に基づいて容易に想到することができたものというべきである。
そして、本願発明の効果は、引用例に記載されたもの及び上記周知の技術的事項に基づいて当業者であれば予想することができる程度のものである。
5.むすび
したがって、本願発明は、引用例に記載されたもの及び上記周知の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり決定する。
 
審理終結日 2001-08-31 
結審通知日 2001-09-11 
審決日 2001-09-26 
出願番号 特願平3-245095
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H05K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 市川 裕司中川 隆司  
特許庁審判長 蓑輪 安夫
特許庁審判官 井口 嘉和
刈間 宏信
発明の名称 多層プリント配線板  

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