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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A62C
管理番号 1053162
異議申立番号 異議2001-71535  
総通号数 27 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1997-12-09 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-05-22 
確定日 2001-10-24 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3113206号「自動消火設備における故障発生表示方式」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3113206号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第3113206号の請求項1乃至4に係る発明は、平成8年5月30日に特許出願され、平成12年9月22日に特許の設定登録がなされ、その後、 株式会社初田製作所 より特許異議の申立てがなされ、取消理由が通知され、その指定期間内である平成13年9月3日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否についての判断
2-1.訂正の内容
平成13年9月3日になされた訂正請求は、特許明細書を訂正明細書のとおりに訂正することを求めるもので、その内容は以下のとおりである。
a.特許請求の範囲の請求項1の、
「温度変化で電気抵抗が変化するサーミスタを使用し、変化した抵抗値を捉えて消火設備を起動させるようにした感知器を1又は2以上備える自動消火設備であって、感知器より電気制御部までの電気配線における抵抗変化において、火災と判断される抵抗値以下に達する時間が瞬時である場合に、感知器と消火設備起動用電気制御部との間に電気的にショートしていることをあらわす表示手段を設けたことを特徴とする自動消火設備における故障発生表示方式。」を、
「温度変化で電気抵抗が変化するサーミスタを使用し、変化した抵抗値を捉えて消火設備を起動させるようにした感知器を1又は2以上備える自動消火設備であって、感知器より電気制御部までの電気配線における抵抗変化において、火災と判断される抵抗値以下に達する時間が1秒以内の瞬時である場合に、感知器と消火設備起動用電気制御部との間に電気的にショートしていることをあらわす表示手段を設けたことを特徴とする自動消火設備における故障発生表示方式。」と訂正する。
b.特許請求の範囲の請求項2の
「温度変化で電気抵抗が変化するサーミスタを使用し、変化した抵抗値を捉えて消火設備を起動させるようにした感知器を1又は2以上備える自動消火設備であって、感知器より電気制御部までの電気配線における抵抗変化において、火災と判断される抵抗値以下に達する時間が瞬時である場合に、感知器と消火設備起動用電気制御部との間に電気的にショートしていることをあらわす表示手段を設けるとともに、消火設備起動用電気制御部を起動させないようにしたことを特徴とする自動消火設備における故障発生表示方式。」を、
「温度変化で電気抵抗が変化するサーミスタを使用し、変化した抵抗値を捉えて消火設備を起動させるようにした感知器を1又は2以上備える自動消火設備であって、感知器より電気制御部までの電気配線における抵抗変化において、火災と判断される抵抗値以下に達する時間が1秒以内の瞬時である場合に、感知器と消火設備起動用電気制御部との間に電気的にショートしていることをあらわす表示手段を設けるとともに、消火設備起動用電気制御部を起動させないようにしたことを特徴とする自動消火設備における故障発生表示方式。」と訂正する。
c.特許請求の範囲の請求項3の
「温度変化で電気抵抗が変化するサーミスタを使用し、変化した抵抗値を捉えて消火設備を起動させるようにした感知器を1又は2以上備える自動消火設備において、感知器から電気制御部に至る間の電気配線の抵抗がマイナス30度の抵抗値以上に達した際に、感知器から消火設備起動用電気制御部に至る間の電気配線に断線が生じていると判断し、断線をあらわす表示手段と、感知器より電気制御部までの電気配線における抵抗変化において、火災と判断される抵抗値以下に達する時間が瞬時である場合に、感知器と消火設備起動用電気制御部との間に電気的にショートしていることをあらわす表示手段とを設けたことを特徴とする自動消火設備における故障発生表示方式。」を、
「温度変化で電気抵抗が変化するサーミスタを使用し、変化した抵抗値を捉えて消火設備を起動させるようにした感知器を1又は2以上備える自動消火設備において、感知器から電気制御部に至る間の電気配線の抵抗がマイナス30度の抵抗値以上に達した際に、感知器から消火設備起動用電気制御部に至る間の電気配線に断線が生じていると判断し、断線をあらわす表示手段と、感知器より電気制御部までの電気配線における抵抗変化において、火災と判断される抵抗値以下に達する時間が1秒以内の瞬時である場合に、感知器と消火設備起動用電気制御部との間に電気的にショートしていることをあらわす表示手段とを設けたことを特徴とする自動消火設備における故障発生表示方式。」と訂正する。
d.特許請求の範囲の請求項4の
「温度変化で電気抵抗が変化するサーミスタを使用し、変化した抵抗値を捉えて消火設備を起動させるようにした感知器を1又は2以上備える自動消火設備において、感知器から電気制御部に至る間の電気配線の抵抗がマイナス30度の抵抗値以上に達した際に、感知器から消火設備起動用電気制御部に至る間の電気配線に断線が生じていると判断し、断線をあらわす表示手段と、感知器より電気制御部までの電気配線における抵抗変化において、火災と判断される抵抗値以下に達する時間が瞬時である場合に、感知器と消火設備起動用電気制御部との間に電気的にショートしていることをあらわす表示手段とを設け、さらに両表示手段は表示灯が用いられるとともに、該表示灯を点滅又は連続点灯させることにより1つの表示手段により断線とショートとを区別して表示させることができるようにしたたことを特徴とする自動消火設備における故障発生表示方式。」を、
「温度変化で電気抵抗が変化するサーミスタを使用し、変化した抵抗値を捉えて消火設備を起動させるようにした感知器を1又は2以上備える自動消火設備において、感知器から電気制御部に至る間の電気配線の抵抗がマイナス30度の抵抗値以上に達した際に、感知器から消火設備起動用電気制御部に至る間の電気配線に断線が生じていると判断し、断線をあらわす表示手段と、感知器より電気制御部までの電気配線における抵抗変化において、火災と判断される抵抗値以下に達する時間が1秒以内の瞬時である場合に、感知器と消火設備起動用電気制御部との間に電気的にショートしていることをあらわす表示手段とを設け、さらに両表示手段は表示灯が用いられるとともに、該表示灯を点滅又は連続点灯させることにより1つの表示手段により断線とショートとを区別して表示させることができるようにしたたことを特徴とする自動消火設備における故障発生表示方式。」と訂正する。
e.発明の詳細な説明の【0005】段落、【0008】段落、【0009】段落、【0010】段落、【0026】段落、及び【0028】段落の、
「に達する時間が瞬時である場合に、」を
「に達する時間が1秒以内の瞬時である場合に、」と訂正する。

2-2.訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び拡張・変更の存否
訂正事項a.乃至訂正事項d.は、特許明細書の特許請求の範囲の請求項1乃至請求項4の各々に記載された「火災と判断される抵抗値以下に達する時間が瞬時である場合に、」の「瞬時」の内容を、「1秒以内の瞬時」と限定するものであって、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、これらの訂正事項は、特許明細書の、【0017】段落の「消火設備を起動させるに足る電気抵抗に達するまでの時間が、1秒以内の瞬時である場合には、」なる記載、及び、【0019】段落の「消火設備を起動させるに足る電気抵抗に達するまでの時間が、1秒以内の瞬時であった場合には」なる記載に基づくものであって、新規事項の追加に該当せず、しかも請求項1乃至4に係る発明の課題乃至効果に影響を及ぼすものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
次に、訂正事項e.は、上記訂正事項a.乃至訂正事項d.の特許請求の範囲の訂正に伴って発明の詳細な説明の記載を整合させるものであって、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、また、この訂正事項は、いずれも特許明細書の上記記載に基づくものであって、新規事項の追加に該当せず、しかも実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

2-3.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する特許法第126条第第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議の申立てについての判断
3-1.申立てについての概要
申立人 株式会社初田製作所 は、下記の甲第1号証乃至甲第6号証を提出し、本件の請求項1乃至4に係る各発明は、本件の出願前に公然実施された甲第4号証の引証商品に基いて当業者が容易に発明をすることができた発明であるから、本件の請求項1乃至4に係る各発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、取り消すべきものである旨主張している。
甲第1号証:性能評定書
甲第2号証:性能評定申請書
甲第3号証:放電加工機用自動消火装置試験証明書
甲第4号証:放電加工機用自動消火装置軽補正届
甲第5号証:引証商品の動作説明書(株式会社初田製作所による)
甲第6号証:証明書(三栄商事株式会社発行)

3-2.本件発明
特許第3113206号の請求項1乃至4に係る発明(以下、「本件発明1」乃至「本件発明4」という。)は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1乃至4に記載された事項により特定されるとおりのものである。(上記2.の2-1.参照)

3-3.甲第4号証の引証商品
甲第4号証の引証商品は、その前身の商品について、株式会社初田製作所から提出された甲第2号証の「性能評定申請書」に対し、財団法人日本消防設備安全センターから甲第1号証の「性能評定書」が交付され、さらに危険物保安技術協会から甲第3号証の「放電加工機用自動消火装置試験証明書」が交付されたものであって、甲第5号証の株式会社初田製作所による「引証商品の動作説明書」にその動作が説明されているというものである。そして、甲第4号証の引証商品は、甲第6号証の三栄商事株式会社が発行した「証明書」により、本件の出願前公然と実施されていたことが証明されるというものである。
甲第4号証の「放電加工機用自動消火装置軽補正届」は、昭和63年5月7日に株式会社初田製作所が危険物保安技術協会に対して届け出たものであって、「軽補正箇所」が「ロジックシーケンスの感知部異常信号の欄」で、「新」が「破損・断線・短絡 図番AT-166」、「旧」が「破線・断線 図番AT-137」なる事項が記載されている。さらに、甲第4号証の「申請書類目録」には、上の表の27の行に名称「ロジックシーケンス(短絡警報付)」図番「AT-166」なる記載があり、甲第4号証の名称「放電加工機用自動消火装置 RE-40N,60N ロジックシーケンス(短絡警報付)」、図面番号「AT-166」なる図面には、ロジックシーケンスが記載されている。
してみると、異議申立人のいう甲第4号証の引証商品は、甲第4号証の図面番号「AT-166」なる図面に記載されたロジックシーケンスを備えた放電加工機用自動消火装置であって、このロジックシーケンスからみて、甲第4号証の引証商品は、「外部入力信号」として「熱感知器」から「熱感知器コントロール回路」に信号が送られ、「熱感知器コントロール回路」から「温度感知信号(60℃)」と「感知部異常信号(破損・断線・短絡)」が出力され、「温度感知信号(60℃)」が出力された場合、「ソレノイド作動」に信号が送られ、「感知部異常信号(破損・断線・短絡)」が出力された場合、「感知器異常ランプ」、「警報ブザー」に信号が送られることが窺える。
甲第4号証の引証商品について、さらに、甲第1号証乃至甲第3号証及び甲第5号証を参照して検討すると、甲第1号証の別添の「評定報告書」の「2評定概要」の「(1)性能仕様」のうち「エ感知部」の「(ア)種類」として「易融性金属型(サーミスタ)」なる記載があること、甲第2号証の「放電加工機用簡易自動消火装置明細書」の様式1号の「感知部」の「材質」の欄に「サーミスタ」なる記載があること、甲第2号証に「財団法人日本車両検査協会 堺検査所」による「サーミスタセンサー」の「試験成績書」があること、及び、甲第2号証の図番「AT-139」の「易融性金属型感知部組立図」に記載の表の「感知部」の行の備考欄に「サーミスター」なる記載があることからみて、甲第4号証の引証商品の「熱感知器」は、甲第5号証に記載のとおり、「サーミスタ」を用いるものであることが窺える。さらに甲第4号証の引証商品の「熱感知器」は「感知部」であることが窺える。
また、甲第1号証の別添の「評定報告書」の「2評定概要」の「(1)性能仕様」のうち「オ作動装置」の「(ア)方式」として「ソレノイド方式」なる記載があること、甲第2号証の「放電加工機用簡易自動消火装置明細書」の様式1号の「作動装置」の「方式」の欄に「ソレノイド方式」なる記載があること、及び、甲第2号証の図番「AT-134」,「AT-135」の図面の記載からみて、甲第4号証の引証商品は、「ソレノイド作動」により、甲第5号証に記載のとおり、消火剤が放出されることが窺える
さらに、甲第1号証の別添の「評定報告書」の「2評定概要」の「(1)性能仕様」のうち「エ感知部」の「(イ)公称作動温度」として「60℃」なる記載があること、甲第2号証の「放電加工機用簡易自動消火装置明細書」の様式1号の「感知部」の「公称作動温度」の欄に「60℃」なる記載があること、及び、甲第2号証の「放電加工機用簡易自動消火装置明細書」の様式2号その2の「感知部」の「作動」の欄に試験温度75℃で作動する旨記載されていることからみて、甲第4号証の引証商品は60℃以上の温度を検知することにより「温度感知信号(60℃)」を出力し、作動することが窺える。
しかし、甲第1号証乃至甲第3号証を検討しても、「感知部異常信号(破損・断線・短絡)」がいかなる場合に出力されるのか、何等記載がなく、甲第5号証に記載のとおりの、熱感知器の内部、熱感知器と熱感知器コントロール回路との配線、熱感知器コントロール回路の内部などにおける異常(破損・断線・短絡)のときに出力する信号であることは確認できない。しかし、「感知部異常信号(破損・断線・短絡)」なる名称からみて、甲第4号証の引証商品において、感知部、即ち「熱感知器」に破損、断線、短絡の異常を認めたときこの信号が出力されることが窺える。
してみると、甲第4号証の引証商品は、少なくとも、サーミスタを用いた熱感知器を備えた自動消火装置であって、熱感知器から入力される信号により、60℃以上の温度を検知したとき熱感知器コントロール回路から温度感知信号(60℃)を出力し、この信号によりソレノイド作動により消火剤を放出させるとともに、熱感知器に破損・断線・短絡の異常を認めたとき熱感知器コントロール回路から感知部異常信号(破損・断線・短絡)を出力し、感知器異常ランプ及び警報ブザーにより上記の異常を知らせるものであると認められる。

3-4.対比、判断
(1)本件発明1について
本件発明1(前者)と甲第4号証の引証商品(後者)を対比すると、後者の「短絡」、「熱感知器」、「熱感知器コントロール回路」は、各々、前者における「電気的にショート」、「感知器」、「消火設備起動用電気制御部」に相当するとともに、後者の「感知器異常ランプ」及び「警報ブザー」は、前者における「表示手段」に相当するものである。そして、サーミスタは温度変化で電気抵抗が変化するものであり、後者も、熱感知器がサーミスタを用いる以上、変化した抵抗値を捉えて温度感知信号(60℃)を出力するものであると認められるから、両者は、
「温度変化で電気抵抗が変化するサーミスタを使用し、変化した抵抗値を捉えて消火設備を起動させるようにした感知器を1又は2以上備える自動消火設備であって、電気的にショートしていることをあらわす表示手段を設けたことを特徴とする自動消火設備における故障発生表示方式。」で一致し、
前者は、感知器より電気制御部までの電気配線における抵抗変化において、火災と判断される抵抗値以下に達する時間が1秒以内の瞬時である場合に、感知器と消火設備起動用電気制御部との間に電気的にショートしていると判断するものであるのに対し、後者は、感知器が電気的にショートしていること判断するものであり、しかもどのような場合電気的にショートしていると判断するのか特定がない点。
において相違する。
そこで、この点について検討すると、感知器より電気制御部までの電気配線における抵抗変化において、火災と判断される抵抗値以下に達する時間が1秒以内の瞬時である場合に、感知器と消火設備起動用電気制御部との間に電気的にショートしていると判断することが、本件の出願前周知の事項であったとは認められない。
そして、本件発明1はかかる事項を発明を特定する事項としたことにより、火災発生に先立って、自動消火装置が常に正常な監視状態にあるかどうかを確認でき、その結果火災発生時に消火機能が作動しないといった不測の事態を免れるという格別な効果を奏するものである。
したがって、本件発明1は、甲第4号証の引証商品に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(2)本件発明2乃至本件発明4について
本件発明2乃至本件発明4は、いずれも本件発明1と同じく「感知器より電気制御部までの電気配線における抵抗変化において、火災と判断される抵抗値以下に達する時間が1秒以内の瞬時である場合に、感知器と消火設備起動用電気制御部との間に電気的にショートしていることをあらわす表示手段を設けた」ことを発明を特定する事項とするものである。
よって、上記3-4.(1)において本件発明1について記載した理由と同じ理由により、本件発明2乃至本件発明4は、いずれも、甲第4号証の引証商品に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

3-5.むすび
以上のとおりであるから、甲第4号証の引証商品が本件の出願前公然と実施されたものであるか否か判断するまでもなく、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては本件発明1乃至本件発明4についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1乃至本件発明4についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
自動消火設備における故障発生表示方式
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】温度変化で電気抵抗が変化するサーミスタを使用し、変化した抵抗値を捉えて消火設備を起動させるようにした感知器を1又は2以上備える自動消火設備であって、感知器より電気制御部までの電気配線における抵抗変化において、火災と判断される抵抗値以下に達する時間が1秒以内の瞬時である場合に、感知器と消火設備起動用電気制御部との間に電気的にショートしていることをあらわす表示手段を設けたことを特徴とする自動消火設備における故障発生表示方式。
【請求項2】温度変化で電気抵抗が変化するサーミスタを使用し、変化した抵抗値を捉えて消火設備を起動させるようにした感知器を1又は2以上備える自動消火設備であって、感知器より電気制御部までの電気配線における抵抗変化において、火災と判断される抵抗値以下に達する時間が1秒以内の瞬時である場合に、感知器と消火設備起動用電気制御部との間に電気的にショートしていることをあらわす表示手段を設けるとともに、消火設備起動用電気制御部を起動させないようにしたことを特徴とする自動消火設備における故障発生表示方式。
【請求項3】温度変化で電気抵抗が変化するサーミスタを使用し、変化した抵抗値を捉えて消火設備を起動させるようにした感知器を1又は2以上備える自動消火設備において、感知器から電気制御部に至る間の電気配線の抵抗がマイナス30度の抵抗値以上に達した際に、感知器から消火設備起動用電気制御部に至る間の電気配緑に断線が生じていると判断し、断線をあらわす表示手段と、感知器より電気制御部までの電気配緑における抵抗変化において、火災と判断される抵抗値以下に達する時間が1秒以内の瞬時である場合に、感知器と消火設備起動用電気制御部との間に電気的にショートしていることをあらわす表示手段とを設けたことを特徴とする自動消火設備における故障発生表示方式。
【請求項4】温度変化で電気抵抗が変化するサーミスタを使用し、変化した抵抗値を捉えて消火設備を起動させるようにした感知器を1又は2以上備える自動消火設備において、感知器から電気制御部に至る間の電気配緑の抵抗がマイナス30度の抵抗値以上に達した際に、感知器から消火設備起動用電気制御部に至る間の電気配線に断線が生じていると判断し、断線をあらわす表示手段と、感知器より電気制御部までの電気配線における抵抗変化において、火災と判断される抵抗値以下に達する時間が1秒以内の瞬時である場合に、感知器と消火設備起動用電気制御部との間に電気的にショートしていることをあらわす表示手段とを設け、さらに両表示手段は表示灯が用いられるとともに、該表示灯を点滅又ば連続点灯させることにより1つの表示手段により断線とショートとを区別して表示させることができるようにしたたことを特徴とする自動消火設備における故障発生表示方式。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば厨房のレンジや天麩羅用のフライヤー、あるいはフード、ダクト等の箇所において発生した一連の火災を、複数台の消火設備にて同時的に消火するための連動型の自動消火設備や、マンション等複数の室内を消火対象域とした自動消火装置、とりわけて温度変化で電気抵抗が変化するサーミスタを使用し、変化した抵抗値を捉えて消火設備を起動させるようにした感知器を1又は2以上備える自動消火設備の改良に関し、断線やショート(短絡)等の電気的回路の障害発生を事前に自動的に検出して点検整備を促すことにより非常時の確実な作動を担保するとともに、消火設備の起動装置誤作動による弊害を防止することを目的とする。
【0002】
【従来の技術】
最も進歩した厨房用の消火設備には、レンジや天麩羅用のフライヤー、あるいはフード、ダクト等の各箇所に向けて消火薬剤噴射用のノズルが設置され、しかもダクトの入り口付近には火災感知器が取り付けられたものが、また集合住宅や工場・事務所等には、それぞれの消火対象域に向けられた消火薬剤噴射用のノズルと火災感知器、および火災感知器が火災を感知した際に、火災発生箇所に向けて消火薬剤を送り込む装置が備えられており、これらはいずれもその多くが温度変化で電気抵抗が変化するサーミスタを使用し、変化した抵抗値を捉えて消火設備を起動させるようにした感知器を1又は2以上備える自動消火設備を構成したものが増加している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の自動消火設備にあってば、火災発生に伴ってサーミスタの抵抗値が変化して消火設備を起動させるようにした感知器を用い、しかも火災感知を電気的に消火設備起動手段に連絡するものであるために、電話や電気工事等、消火設備に直接関係しない他の工事作業時に誤って電気配線を切断したり、あるいは地震等による不用意な電気配線の切断や短路等、火災感知器から消火設備起動用電気制御部に至る間の長い電気配線に、断線やショート等の異常を生ずることが多い。
【0004】
このように感知器と消火設備起動用電気制御部との間、あるいは消火設備起動用電気制御部と起動部との間の電気配線に断線を生じていたら、火災発生時に制御部より起動信号(電流)が流れても自動消火装置は起動することができず、被害が大きく拡大し、折角の自動消火装置設置の意味がなくなることは言うまでもない。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明にあっては、上記した従来技術における種々の課題を解決し、温度変化で電気抵抗が変化するサーミスタを使用し、変化した抵抗値を捉えて消火設備を起動させるようにした感知器を1又は2以上備える自動消火設備において、電気的配線の断線やショート(短絡)を自動的に検出させるとともに、これを表示灯により視覚的に、あるいは音声により聴覚的に表示させるようにしたものであって、具体的には、温度変化で電気抵抗が変化するサーミスタを使用し、変化した抵抗値を捉えて消火設備を起動させるようにした感知器を1又は2以上備える自動消火設備であって、感知器より電気制御部までの電気配線における抵抗変化において、火災と判断される抵抗値以下に達する時間が1秒以内の瞬時である場合に、感知器と消火設備起動用電気制御部との間に電気的にショートしていることをあらわす表示手段を設けたことを特徴とする自動消火設備における故障発生表示方式に関する。
【0006】
【0007】
【0008】
さらに本発明は、温度変化で電気抵抗が変化するサーミスタを使用し、変化した抵抗値を捉えて消火設備を起動させるようにした感知器を1又は2以上備える自動消火設備であって、感知器より電気制御部までの電気配線における抵抗変化において、火災と判断される抵抗値以下に達する時間が1秒以内の瞬時である場合に、感知器と消火設備起動用電気制御部との間に電気的にショートしていることをあらわす表示手段を設けるとともに、消火設備起動用電気制御部を起動させないようにしたことを特徴とする自動消火設備における故障発生表示方式にも関する。
【0009】
さらに本発明は、温度変化で電気抵抗が変化するサーミスタを使用し、変化した抵抗値を捉えて消火設備を起動させるようにした感知器を1又は2以上備える自動消火設備において、感知器から電気制御部に至る間の電気配線の抵抗がマイナス30度の抵抗値以上に達した際に、感知器から消火設備起動用電気制御部に至る間の電気配線に断線が生じていると判断し、断線をあらわす表示手段と、感知器より電気制御部までの電気配配線における抵抗変化において、火災と判断される抵抗値以下に達する時間が1秒以内の瞬時である場合に、感知器と消火設備起動用電気制御部との間に電気的にショートしていることをあらわす表示手段とを設けたことを特徴とする自動消火設備における故障発生表示方式にも関する。
【0010】
さらに本発明は、温度変化で電気抵抗が変化するサーミスタを使用し、変化した抵抗値を捉えて消火設備を起動させるようにした感知器を1又は2以上備える自動消火設備において、感知器から電気制御部に至る間の電気配線の抵抗がマイナス30度の抵抗値以上に達した際に、感知器から消火設備起動用電気制御部に至る間の電気配線に断線が生じていると判断し、断線をあらわす表示手段と、感知器より電気制御部までの電気配線における抵抗変化において、火災と判断される抵抗値以下に達する時間が1秒以内の瞬時である場合に、感知器と消火設備起動用電気制御部との間に電気的にショートしていることをあらわす表示手段とを設け、さらに両表示手段ば表示灯が用いられるとともに、該表示灯を点滅又は連続点灯させることにより1つの表示手段により断線とショートとを区別して表示させることができるようにしたたことを特徴とする自動消火設備における故障発生表示方式にも関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明の具体的な内容を図1の厨房用の消火設備に施した場合について説明すると、1はレンジ台、4はレンジ台1上に設置されたフード、5はフード4から屋外に向けて設置されたダクト、6はフード4内であってダクト5の入り口付近に設置された、1または2以上の火災感知器、8.11はフード4内に設置されたところの、レンジ台1上のフライヤー2および調理鍋3に向けられた消火剤噴射用のノズル、12.12′は同じくフード4内に設置されたところの、フード4内の全体に向けられた消火剤噴射用のノズル、13はダクト5内に設置された消火剤噴射用のノズルをあらわし、ノズル8はパイプ14を介して第1消火装置7に、またノズル11はパイプ15を介して第2消火装置9に、さらにノズル12および12′はパイプ16.17.18を介し、またノズル13はパイプ19.18を介して第3消火装置10に、それぞれ接続されている。
【0012】
上記した火災感知器6は、温度変化で電気抵抗が変化するサーミスタを使用し、変化した抵抗値を捉えて消火設備を起動させるようにした感知器が用いられ、またこの火災感知器6が複数設置されている場合には、そのいずれかが一定以上の高温に達した場合に後記する制御部を介して消火設備を起動させる。 また20は操作盤をあらわし、該操作盤20にはとくに図示はしないが、電源表示部のほかに、断線表示部、装置作動表示部、ガス遮断表示部、注意警報表示部、手動用起動押しボタン、リセットスイッチ、警報ブザーが取り付けられている。
【0013】
さらに図1においては省略されているが、各消火装置7.9.10には、そのそれぞれに、図2にあらわされているように、前記した火災感知器6による火災発生の信号を受けて作動し、リレー(図示省略)等を介して起動部等を起動させる信号を発する制御部21と、制御部21からの電気的制御出力信号により起動し、起爆装置を発火させ、あるいはソレノイドにより先端を鋭突にしたカッターを前記した消火装置の封板に向けて押圧することによりこれを破り、充填されている消火薬剤を消火対象域内に送り込むようにした起動部22が備えられている。
【0014】
また制御部21には、このほかにガス遮断部23およびリレー出力部24が備えられ、図1の厨房用自動消火設備において、フライヤー2あるいは調理鍋3から出火した場合、そのいずれの箇所から出火した場合においても、直ちにフード4やダクト5内に付着した油脂類に延焼するために、厨房内の全体に消火薬剤を放射しなければ効果がないところから、火災感知器6による火災発生信号により、制御部21において、まず温度データを読み取り、規定の温度に達した場合に注意警報→ガス遮断→自動消火装置の起動の順で動作をおこなう。
【0015】
火災感知器6から消火設備起動用電気制御部21に至る間の電気配線に断線が生じている場合には、抵抗が無限大となるが、火災感知器6に使用されているサーミスタの抵抗は図3に示すように高温になると減少し、また反対に低温になると増大し、マイナス30℃になると1000KΩを越える。
【0016】
そして具体的な基準としては、図5に示したように、火災感知器6の電気回路抵抗において、マイナス30℃以下の抵抗状態が2秒間継続した段階で火災感知器6から消火設備起動用電気制御部21に至る間の電気配線に断線が生じたものとして断定し、これを制御部21内のマイコンを介して異常表示灯27を点滅させることにより、断線していることを表示させる。 なおこの場合において消火設備起動用電気制御部21と消火設備起動部22との間の電気的回路に、常時微弱電流を導通させるとともに、導通していない場合には電気回路に断線が生じているものとして前記した異常表示灯27を点滅させるようにしてもよい。
【0017】
また実際の火災現場において、いかに火勢が強力である場合においても、火災感知器6のサーミスタの感知温度が常温より200℃に達するまでには少なくとも1秒以上の時間を要することは経験上明らかである。 したがって火災感知器6のサーミスタにおける、消火設備を起動させるに足る電気抵抗に達するまでの時間が、1秒以内の瞬時である場合には、火災の発生ではなく、火災感知器6と消火設備起動用電気制御部21との間に電気的にショートしているものとみることができ、この場合にはショートしていることをあらわす表示手段として、前記した異常表示灯27を点灯させることにより自動消火装置自体の点検を促すようにする。 またこの場合において、異常表示灯27を点灯させるのみならず、消火設備起動用電気制御部21内にマイコンを設けることにより消火装置7.9.10を起動させないようにすることもできる。
【0018】
そして前記した感知器から消火設備起動用電気制御部に至る間の電気配線に断線が生じていることをあらわす表示手段と、感知器における消火設備を起動させるに足る電気抵抗に達する時間が、1秒以内である場合に、感知器と消火設備起動用電気制御部との間に電気的にショートしていることをあらわす表示手段とは、いずれか一方を備え、あるいはその両方を共に備えるようにしてもよく、またこの場合において、両表示手量は表示灯が用いられるとともに、該表示灯を点滅又は連続点灯させることにより1つの表示手段により断線とショートとを区別して表示させるようにすることもできる。
【0019】
つぎに本発明に係る自動消火装置の作動ステップについて、その詳細を図1・2の実施例の装置を中心とし、図4の操作フローにもとづいて説明すると、
〔火災監視中〕
前記したフード4やダクト5内に取り付けた1又は2以上の火災感知器6により常時火災発生監視中の状態にあるとき、電源表示灯26が常時点灯する。 この場合において、火災感知器6の電気回路抵抗において、マイナス30℃以下の抵抗状態が2秒間継続すると、異常表示灯27が点滅を開始し、火災感知器6から消火設備起動用電気制御部21に至る間の電気配線に断線が生じていることを表示する。 また火災感知器6の電気回路抵抗において、消火設備を起動させるに足る電気抵抗に達するまでの時間が、1秒以内の瞬時であった場合には異常表示灯27を点灯させて、火災感知器6と消火設備起動用電気制御部21との間に電気的にショートしていることを表示する。
【0020】
〔注意警報〕
火災感知器6のいずれかが、120℃に達する温度を感知すると、その特有の電気抵抗変化により、制御部21内のマイコンにこれを伝え、警報装置28Aに信号を送り、注意警報表示灯を点灯させるとともに、警報ブザーを鳴動させる。
【0021】
〔ガス遮断〕
いずれかの火災感知器6の温度がさらに上昇し、制御部21内のマイコンがこの温度データを読み取り、160℃に達したとき、上記した注意警報をそのまま継続させるとともに、ガス速断部23を“ON”にしてガス遮断をおこない、しかもこれを警報置28Bにより表示灯を点灯させるなどして表示させる。
【0022】
〔装置作動〕
さらにいずれかの火災感知器6が、200℃を越える高温を感知した際に、制御部21内のマイコンがこれを感知し、警報装置28Cにより、前記した注意警報表示灯・ガス遮断表示灯の点灯と、警報ブザーの鳴動のほかに、さらにこれに加えて装置作動表示灯を点灯させるとともに、消火装置7.9.10のそれぞれの起動部22、およびリレー出力部(200℃移設部)24をそれぞれ“ON”にして起動させて第1消火装置7のノズル8からフライヤー2上へ、次いで第2消火置9のノズル11から調理鍋3上へ、さらに第3消火装置10のノズル13およびノズル12・12′からダクト5・フード4内へ、それぞれ消火薬剤の放射をおこなう。 また火災感知器6が200℃に達する高温を感知する以前に、人為的に火災を発見した場合には、手動起動ボタン29を押すことにより消火装置を起動させることもできる。
【0023】
また、各消火装置7.9.10の起動時に警報ブザーを鳴動させるようにしてもよい。 さらにノズル8および11については、この場合各1個設けた場合について説明したが、各2個宛設けてそれぞれのノズルより放射させるようにしてもよい。 なお図2中において25は非常用のバッテリー(DC24V)をあらわし、制御部21の電源が停電した場合に、停電後少なくとも10時間程度制御部21の機能を維持できるだけの電気的容量を蓄えるものとし、バッテリー25の電力が消耗した場合には、通常の電源(AC100V)入力時において逐次充電させることができる。
【0024】
上記したように、本発明による自動消火装置においては、火災感知器6は一定以上の高温に達した際にサーミスタの電気抵抗が変化し、その電気抵抗の変化の度合い如何により、火災感知器6の電気回路抵抗において、マイナス30℃以下の状態が2秒間継続した場合には、異常表示灯27が点滅を開始し、火災感知器6から消火設備起動用電気制御部21に至る間の電気配線に断線が生じていることを表示する。 また火災感知器6の電気回路抵抗における、消火設備を起動させるに足る電気抵抗に達するまでの時間が瞬時であった場合には異常表示灯27を点灯させて、火災感知器6と消火設備起動用電気制御部21との間に電気的にショートしていることを表示する。
【0025】
さらに火災感知器6のサーミスタが、規定の電気抵抗値変化をした場合には、「注意警報」→「ガス遮断」→「装置作動」の順にて制御部21を介して種々の警報を発するとともに、最終的には消火設備を起動させて消火薬剤の放射をおこなう。 なお図4において30はリセットスイッチをあらわし、装置作動の前段階であるガス遮断の段階において、また装置作動後の段階のいずれにおいても、これを押すことにより最初の監視状態に復帰させることができる。
【0026】
【発明の効果】
本発明は上記した通り、温度変化で電気抵抗が変化するサーミスタを使用し、変化した抵抗値を捉えて消火設備を起動させるようにした感知器を1又は2以上備える自動消火設備であって、感知器より電気制御部までの電気配線における抵抗変化において、火災と判断される抵抗値以下に達する時間が1秒以内の瞬時である場合に、感知器と消火設備起動用電制御部との間に電気的にショートしていることをあらわす表示手段を設けるようにした場合においては、上記した断線表示手段を設けた場合と同様に、火災発生に先立って、自動消火装置が常に正常な監視状態にあるかどうかを確認でき、その結果火災発生時に消火機能が作動しないといった不足の事態を免れるとともに、非火災時の誤作動による弊害を防止することができる。
【0027】
【0028】
さらに、温度変化で電気抵抗が変化するサーミスタを使用し、変化した抵抗値を捉えて消火設備を起動させるようにした感知器を1又は2以上備える自動消火設備において、感知器から電気制御部に至る間の電気配線の抵抗がマイナス30度の抵抗値以上に達した際に、感知器から消火設備起動用電気制御部に至る間の電配緑に断線が生じていることをあらわす表示手段と、感知器における消火設備を起動させるに足る電気抵抗に達する時間が1秒以内の瞬時である場合に、感知器と消火設備起動用電気制御部との間に電気的にショートしていることをあらわす表示手段とを設け、さらに両表示手段は表示灯が用いられるとともに、該表示灯を点滅又ば連続点灯させることにより1つの表示手段により断線とショートとを区別して表示させることができるようにしたものである場合においては、表示手段がシンプル化し、しかもコストの低減をはかることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の一実施例である厨房用自動消火設備の概略説明図。
【図2】
図1における厨房用自動消火設備の具体的な要部の機能をあらわしたブロック図。
【図3】
本発明において用いられる火災感知器におけるサーミスタの電気的抵抗変化と温度との関係をあらわしたグラフ。
【図4】
本発明の自動消火装置の動作フローチャート図。
【図5】
本発明の要部を中心とサーミスタの温度・電流値変化にもとづく電気配線の断線やショートを判断する基準をあらわした説明図。
【符号の説明】
1 レンジ台
2 フライヤー
3 調理鍋
4 フード
5 ダクト
6 火災感知器
7 第1消火装置
8 ノズル
9 第2消火装置
10 第3消火装置
11 ノズル
12 ノズル
12′ ノズル
13 ノズル
14 パイプ
15 パイプ
16 パイプ
17 パイプ
18 パイプ
19 パイプ
20 操作盤
21 制御部
22 起動部
23 ガス遮断部
24 リレー出力部
25 バッテリー
26 電源表示灯
27 異常表示灯
28 警報装置
29 手動起動ボタン
30 リセットスイッチ
 
訂正の要旨 本件訂正請求の要旨は、特許第3113206号の明細書を、本件訂正請求書に添付した訂正明細書のとおりに訂正しようとするもので、その訂正の内容は、下記a.〜e.のとおりである。
a.特許請求の範囲の請求項1の、
「温度変化で電気抵抗が変化するサーミスタを使用し、変化した抵抗値を捉えて消火設備を起動させるようにした感知器を1又は2以上備える自動消火設備であって、感知器より電気制御部までの電気配線における抵抗変化において、火災と判断される抵抗値以下に達する時間が瞬時である場合に、感知器と消火設備起動用電気制御部との間に電気的にショートしていることをあらわす表示手段を設けたことを特徴とする自動消火設備における故障発生表示方式。」を、
「温度変化で電気抵抗が変化するサーミスタを使用し、変化した抵抗値を捉えて消火設備を起動させるようにした感知器を1又は2以上備える自動消火設備であって、感知器より電気制御部までの電気配線における抵抗変化において、火災と判断される抵抗値以下に達する時間が1秒以内の瞬時である場合に、感知器と消火設備起動用電気制御部との間に電気的にショートしていることをあらわす表示手段を設けたことを特徴とする自動消火設備における故障発生表示方式。」と訂正する。
b.特許請求の範囲の請求項2の
「温度変化で電気抵抗が変化するサーミスタを使用し、変化した抵抗値を捉えて消火設備を起動させるようにした感知器を1又は2以上備える自動消火設備であって、感知器より電気制御部までの電気配線における抵抗変化において、火災と判断される抵抗値以下に達する時間が瞬時である場合に、感知器と消火設備起動用電気制御部との間に電気的にショートしていることをあらわす表示手段を設けるとともに、消火設備起動用電気制御部を起動させないようにしたことを特徴とする自動消火設備における故障発生表示方式。」を、
「温度変化で電気抵抗が変化するサーミスタを使用し、変化した抵抗値を捉えて消火設備を起動させるようにした感知器を1又は2以上備える自動消火設備であって、感知器より電気制御部までの電気配線における抵抗変化において、火災と判断される抵抗値以下に達する時間が1秒以内の瞬時である場合に、感知器と消火設備起動用電気制御部との間に電気的にショートしていることをあらわす表示手段を設けるとともに、消火設備起動用電気制御部を起動させないようにしたことを特徴とする自動消火設備における故障発生表示方式。」と訂正する。
c.特許請求の範囲の請求項3の
「温度変化で電気抵抗が変化するサーミスタを使用し、変化した抵抗値を捉えて消火設備を起動させるようにした感知器を1又は2以上備える自動消火設備において、感知器から電気制御部に至る間の電気配線の抵抗がマイナス30度の抵抗値以上に達した際に、感知器から消火設備起動用電気制御部に至る間の電気配線に断線が生じていると判断し、断線をあらわす表示手段と、感知器より電気制御部までの電気配線における抵抗変化において、火災と判断される抵抗値以下に達する時間が瞬時である場合に、感知器と消火設備起動用電気制御部との間に電気的にショートしていることをあらわす表示手段とを設けたことを特徴とする自動消火設備における故障発生表示方式。」を、
「温度変化で電気抵抗が変化するサーミスタを使用し、変化した抵抗値を捉えて消火設備を起動させるようにした感知器を1又は2以上備える自動消火設備において、感知器から電気制御部に至る間の電気配線の抵抗がマイナス30度の抵抗値以上に達した際に、感知器から消火設備起動用電気制御部に至る間の電気配線に断線が生じていると判断し、断線をあらわす表示手段と、感知器より電気制御部までの電気配線における抵抗変化において、火災と判断される抵抗値以下に達する時間が1秒以内の瞬時である場合に、感知器と消火設備起動用電気制御部との間に電気的にショートしていることをあらわす表示手段とを設けたことを特徴とする自動消火設備における故障発生表示方式。」と訂正する。
d.特許請求の範囲の請求項4の
「温度変化で電気抵抗が変化するサーミスタを使用し、変化した抵抗値を捉えて消火設備を起動させるようにした感知器を1又は2以上備える自動消火設備において、感知器から電気制御部に至る間の電気配線の抵抗がマイナス30度の抵抗値以上に達した際に、感知器から消火設備起動用電気制御部に至る間の電気配線に断線が生じていると判断し、断線をあらわす表示手段と、感知器より電気制御部までの電気配線における抵抗変化において、火災と判断される抵抗値以下に達する時間が瞬時である場合に、感知器と消火設備起動用電気制御部との間に電気的にショートしていることをあらわす表示手段とを設け、さらに両表示手段は表示灯が用いられるとともに、該表示灯を点滅又は連続点灯させることにより1つの表示手段により断線とショートとを区別して表示させることができるようにしたたことを特徴とする自動消火設備における故障発生表示方式。」を、
「温度変化で電気抵抗が変化するサーミスタを使用し、変化した抵抗値を捉えて消火設備を起動させるようにした感知器を1又は2以上備える自動消火設備において、感知器から電気制御部に至る間の電気配線の抵抗がマイナス30度の抵抗値以上に達した際に、感知器から消火設備起動用電気制御部に至る間の電気配線に断線が生じていると判断し、断線をあらわす表示手段と、感知器より電気制御部までの電気配線における抵抗変化において、火災と判断される抵抗値以下に達する時間が1秒以内の瞬時である場合に、感知器と消火設備起動用電気制御部との間に電気的にショートしていることをあらわす表示手段とを設け、さらに両表示手段は表示灯が用いられるとともに、該表示灯を点滅又は連続点灯させることにより1つの表示手段により断線とショートとを区別して表示させることができるようにしたたことを特徴とする自動消火設備における故障発生表示方式。」と訂正する。
e.発明の詳細な説明の【0005】段落、【0008】段落、【0009】段落、【0010】段落、【0026】段落、及び【0028】段落の、
「に達する時間が瞬時である場合に、」を
「に達する時間が1秒以内の瞬時である場合に、」と訂正する。
異議決定日 2001-09-07 
出願番号 特願平8-159006
審決分類 P 1 651・ 121- YA (A62C)
最終処分 維持  
前審関与審査官 見目 省二  
特許庁審判長 田中 秀夫
特許庁審判官 松下 聡
岡田 和加子
登録日 2000-09-22 
登録番号 特許第3113206号(P3113206)
権利者 宮田工業株式会社
発明の名称 自動消火設備における故障発生表示方式  
代理人 吉村 公一  
代理人 吉村 公一  

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