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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A61K
管理番号 1053409
異議申立番号 異議2000-70333  
総通号数 27 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2002-03-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-01-28 
確定日 2001-05-16 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2926722号「アルブミン製剤及びその製造方法」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2926722号の請求項1ないし3に係る特許を取り消す。 
理由 1.特許第2926722号の請求項に係る発明は、昭和63年10月20日に特許出願され、平成11年5月14日にその特許について設定登録され、その後井坂紀子、デルタ・バイオテクノロジー・リミテッドからそれぞれ異議申立がなされ、取消通知がなされ、その指定期間内である平成12年10月17日に訂正請求がなされたものである。
2.訂正について
(1)訂正の内容
訂正前の特許請求の範囲の請求項1を削除すると共に、請求項の項番を繰り上げ、次のとおり訂正するものである。
「1.アルブミン製剤において、血清アルブミン含量に対する凝集体含量が1重量%以下であることを特徴とするアルブミン製剤。
2.血清アルブミン含有水溶液を50〜70℃で1〜10時間加熱し、生成した凝集体を除去する工程を含み、製剤中の血清アルブミン含量に対する凝集体含量が1重量%以下であることを特徴とするアルブミン製剤の製造方法。
3.凝集体の除去を、硫安分画法、ポリエチレングリコール分画法、アルコール分画法及び等電点分画法のいずれかより選ばれた方法で行う請求項2記載のアルブミン製剤の製造方法。
4.硫安濃度280-350g/l、pH5.0-8.0の条件下で硫安分画処理する;PEG濃度5-20%、pH5.0-6.5の条件下でPEG分画処理する;エタノール濃度10-45(v/v)%、pH4.5-6.5の条件下でエタノール分画処理する;又はpH4.5-5.0の条件下で等電点分画処理するのいずれかの方法で凝集体を除去する請求項3記載のアルブミン製剤の製造方法。」を
「1.血清アルブミン含有水溶液を50〜70℃で1〜10時間加熱し、生成した凝集体を除去する工程を含み、50〜70℃で5〜20時間の加熱処理を施してなるアルブミン製剤中の血清アルブミン含量に対する凝集体含量が1重量%以下であることを特徴とするアルブミン製剤の製造方法。
2.凝集体の除去を、硫安分画法、ポリエチレングリコール分画法、アルコール分画法及び等電点分画法のいずれかより選ばれた方法で行う請求項1記載のアルブミン製剤の製造方法。
3.硫安分画処理において、硫安濃度280〜350g/l、pH5.0〜8.0の条件下で凝集体を除去し、次いで、上清に硫安を添加し、硫安濃度450g/lとして、アルブミンを沈殿させて回収する;PEG分画処理において、PEG濃度5〜20%、pH5.0〜6.5の条件下で凝集体を除去し、次いで、PEG濃度15〜25%、pH4.5〜5.5となるように上清を調整してアルブミンを回収する;エタノール分画処理において、エタノール濃度10〜20(v/v)%、pH4.5〜5.5の条件下で凝集体を除去し、次いで、エタノール濃度を約40(v/v)%、PHを約4.8となるように上清を調整してアルブミンを回収する;または、等電点分画処理において、PH4.5〜5.0の条件下で凝集体を除去し、次いで、透析または限外渡過によりアルブミンを回収する、請求項3のアルブミン製剤の製造方法。」と訂正する。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項は、旧請求項1を削除し、旧請求項2を新請求項1とするとともに加熱処理を50〜70℃で5〜20時間で行われることを付加し、旧請求項3を新請求項2とし、引用する請求項番号を訂正し、旧請求項4を新請求項3とするとともに凝集体を除去する手段の条件を付加したものである。
そして、これらの訂正は、請求項の削除並びに処理条件を明細書第4頁下から3行〜7頁8行に記載されている内容に従って限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮に相当するもので、実質的に特許請求の範囲を拡張または変更するものでなく、また、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内の訂正であることは明らかである。
(3)むすび
したがって、本件訂正請求は、特許法第120条の4第2号の規定に適合し、同条第3項において準用する同法第126条第2乃至3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
3.本件発明
特許第2926722号の請求項に係る発明は、訂正された明細書の記載からみてその特許請求の範囲の請求項1〜3に記載された、次のとおりのものである。
「1.血清アルブミン含有水溶液を50〜70℃で1〜10時間加熱し、生成した凝集体を除去する工程を含み、50〜70℃で5〜20時間の加熱処理を施してなるアルブミン製剤中の血清アルブミン含量に対する凝集体含量が1重量%以下であることを特徴とするアルブミン製剤の製造方法。
2.凝集体の除去を、硫安分画法、ポリエチレングリコール分画法、アルコール分画法及び等電点分画法のいずれかより選ばれた方法で行う請求項1記載のアルブミン製剤の製造方法。
3.硫安分画処理において、硫安濃度280〜350g/l、pH5、0〜8.0の条件下で凝集体を除去し、次いで、上清に硫安を添加し、硫安濃度450g/lとして、アルブミンを沈殿させて回収する;PEG分画処理において、PEG濃度5〜20%、pH5.0〜6.5の条件下で凝集体を除去し、次いで、PEG濃度15〜25%、pH4.5〜5、5となるように上清を調整してアルブミンを回収する;エタノール分画処理において、エタノール濃度10〜20(v/v)%、pH4.5〜5.5の条件下で凝集体を除去し、次いで、エタノール濃度を約40(v/v)%、PHを約4.8となるように上清を調整してアルブミンを回収する;または、等電点分画処理において、PH4.5〜5.0の条件下で凝集体を除去し、次いで、透析または限外渡過によりアルブミンを回収する、請求項3のアルブミン製剤の製造方法。」
4.取消理由に引用した刊行物に記載の事項
刊行物1(Hansen and Ezban、Develop.blol.Standard、48、pl05-112(1981)、異議申立人 デルタ、バイオテクノロジー、リミテッドが提出した甲第1号証)には、「精製の主な問題は殺菌(60℃、10時間)により形成される高分子量凝集物の含有である。凝集体は免疫学的反応に関する危険性がある。」(第105ページ、要約、第3パラグラフ)と記載(訳文参照)され、
「60℃、半時間での加熱沈降は精製アルブミンの製造に重要な役割を演じていると思われる。すべての熱に弱いタンパク質がこの方法で沈殿する。この方法によると、高分子量の凝集体は60℃、10時間の殺菌工程では形成されない。」(第105ページ、最終バラグラフ)と記載(訳文参照)され、
「図2 アルブミンプロセス(1980)
血漿 200l
第1日 20% PEG3000 pH6.8 lgGiv
20% PEG3000 pH4.8 アルブミン、不純アルブミン、再溶解
第2日 0.02M カプリル酸 pH4.8
60℃ 1/2時間 不純物、変性
40% エタノール pH48÷5℃ 精製アルブミン÷PEG
真空エバポレーターにおいて乾燥、再溶解、濾過、カプリル酸塩の添加、瓶詰め、60℃、10時間で加熱
ALBUMIN NORDISK 200mg/ml
収率:血漿アルブミンの約90% 」(第107頁、第2図)が記載(訳文参照)されている。
また「図3の最後のポイントは高分子量の凝集体の含量である。普通、この物質は60℃、10時間の予防的な加熱処理中に熱に弱い不純物から形成される。1-2mioダルトンの分子量のあまりよく特徴付けられていない凝集体が形成される。薬学的には高分子量の凝集体の最大含量は全タンパク質の3.5-5%である。我々はこの限界は高いと考える。この物質はヒトタンパク質から構成されるが、凝集体の形成が免疫原性の決定基を与え、免疫学的な副作用を与える可能性があることは驚くべきことではない。凝集体を高含量でおよび低含量で含む製剤についてのゲルクロマトグラフィーを図4に示す。セファデックスG150でのゲル濾過によると、1%より低い凝集体を定量することは難しい。我々のアルブミンにおける凝集体の含量はこの限界をはるかに下回るので、我々はセファデックス150を使用できない。その結果、我々は検出限界が0.1%より低い(と発表されている)セファロース6Bを使用する。我々の分画方法の開発において、目的は高分子量の物質を避けることにあった。この結果、ALBUMIN NORDISKにおけるその含量は検出限界である0.1%より低い。」(第107ページ、最終パラグラフから第108ページ、第1パラグラフにかけて)が記載(訳文参照)されている。
刊行物2(Stoltz、etal.、BIO-SCIENCES、vol.6、No.4、p103‐106(1987)、異議申立人 デルタ、バイオテクノロジー、リミテッドが提出した甲第2号証)には、
「最終生産物はほぼ100%の精製度を有し、わずかなポリマー(<0.5%)を含有し、疾患に十分耐えうるものであった(実際に試験した5つのロットについて)。」(103ページの要約)と記載(訳文参照)され、
「表1 クロマトグラフィーにより得られたアルブミンとコーン氏の方法により得られたアルブミンの特徴の比較
アルブミンクロマトグラフィー(a) コーン氏の方法(b)
精製度 99% 96%
ポリマー <0.5% 2〜4%
Hb(D0403nm) 0.04 0.09
粘度(40g/l) 0.845cst 0.892cst」(第106ページの表1)が記載(訳文参照)されている。
刊行物3(Maurel、et al.、Biotechnology of plasma proteins、vol.175、pl9‐24(1989)、異議申立人 デルタ、バイオテクノロジー、リミテッドが提出した甲第3号証)には、
「熱凝固によるアルブミンの精製」と題して
「高純度(94-98%)のアルブミンが液状血漿を温度63-70℃の間で加熱することにより得られる。収率は約90%である。」(19頁下から2〜1行)と記載され、
「ポリマー
熱凝固により精製したアルブミンのTSK G3000SWカラム(7.5×300mm)におけるHPLC分析の結果は、COHN氏法により精製されたアルブミンと比較して図(5)に示される。熱凝固により製造されたアルブミンのクロマトグラムは次のように特徴付けられる:
・ 非常に低い濃度のポリマー(<0.2%)とダイマー(<2%)
・ 平均のモノマー含量(主ピーク)は約98% 」(第22頁)が記載(訳文参照)されている。
刊行物4(Curling et al.、J.Applied Biochemistry、vol.5、p282‐292(1983)、異議申立人 デルタ、バイオテクノロジー、リミテッドが提出した甲第4号証及び異議申立人 井坂紀子が提出した甲第1号証)には、
「以前の分画に依存した異なる出発物質を用いて、標準化された方法を用いたクロマトグラフィーによりアルブミンを精製した。血漿は寒冷沈降およびix因子の吸収後、あるいはlgGの単離の後直接使用できる。血漿は遠心され、セファデックスG25において脱塩され、pHが調節され、真性グロブリンをDEAEおよびCMセファロースCL-6Bのイオン交換クロマトグラフィーの前に沈降させた。この後、超遠心による濃縮、セファシルS-200でのゲル濾過、最終濃縮、および製剤化が実施される。得られたアルブミンは99%の純度であり1%未満の凝集タンパク質を含んでいた。」(第282頁の要約)と記載(訳文参照)されている。
また、血清アルブミンをクロマトグラフィー法(SephadexG‐25,DEAE-Sepharose CL‐6B,CM-Sepharose CL-6B,Sephacryl S‐200)により精製し、これを60℃で10時間加熱処理して得られるアルブミン精製品の純度が99%、凝集体含量が1%未満であったことが記載されている(286頁3〜22行、288頁3〜5行及び表III)(訳文参照)。
刊行物5(Tayot et al.”Comparative Study of Different Preparations of Human Albumin for Clinical Use”、in”Compte‐rendu de la reunion coopera、異議申立人 デルタ、バイオテクノロジー、リミテッドが提出した甲第5号証)には、
「製造された10個の最初のロットについてのゲル濾過による分析は、60℃、10時間加熱した後と同様に加熱前も、ポリマーの規則的な不存在、微量のダイマー、および非常に高められたほぼ100%のモノマーの割合を示している(表2)、図6)。」(第56頁第11〜13行)と記載(訳文参照)されている。
刊行物6(特公昭53‐12965号公報、異議申立人 井坂紀子が提出した甲第2号証)には、
「異物蛋白質ならびに変性蛋白質を含むアルブミン原料溶液をカプリル酸の存在において加熱することによってこれら望ましくない要素を熱凝固することによって精製アルブミン、特に人体アルブミンを製造する方法において、溶液のpHを4.8〜5.25の範囲に含まれるようにし、またカプリル酸ナトリウムの量であらわしたカプリル酸量は精製すべき溶液の蛋白質重量の15〜30%の範囲とし、また加熱は50℃〜64℃の温度で行うことを特徴とする精製アルブミンの製法。」(特許請求の範囲)が記載されている。
さらに「アルブミンの精製
沈殿物を水の中に再び溶かして約280l容積とする。・・タンパク質の割合を20g/lに調整し、この溶液に対してカプリル酸ナトリウム2.41・10-2M/l(・・・)の濃度まで加え、次に・・・pHを5.0〜5.05の値に調整する。この溶液を約1時間、約60℃に保持する。このようにして、アルブミン以外の残留たん白質が凝固し、これらたん白質は、最後の痕跡量のヘモグロビンとアルブミン変性フラクシヨンと共に沈殿物として除去される。溶液中には、実際上純粋なアルブミンのみが残る。・・・アルブミンの希釈溶液を濃縮するため、pH4.8〜4.9、温度-8℃のオーダのエタノール40%溶液に調整すると沈殿物が生じ、これを集め、再溶解し、・・・アルブミンの実質的に純粋な濃縮溶液約95lをうる。」(8欄2〜25行)と記載されている。
同じく刊行物7(VoxSang.35:405‐411(1978)、異議申立人 井坂紀子が提出した甲第3号証)には、
「2.8%蛋白質溶液(アルブミン含量79%)になるように希釈したエタノール画分IV及びVに加熱前に、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、カプリル酸ナトリウム(20mM)及びN‐アセチルトリプトファン(20mM)を添加した。・・・30分撹拌後、2N水酸化ナトリウムでpHを6.8に調節し、70℃に温度を上げ、15分間保持した。・・・pHを4.2に調節し、アルコール濃度を10%として不純物を遠心分離除去した後、その上清のpHを4.8に調節し、エタノール濃度を40%にしてアルブミンを沈殿させ、回収した」こと(406頁左欄1〜右欄4行)が記載されている。
刊行物8(米国特許第4,222,934号明細書、異議申立人 井坂紀子が提出した甲第4号証)には、
「EDTAと安定化剤としてのカプリル酸ナトリウムを含むアルブミン溶液をpH6.2±0.1、温度約60℃で約1.5時間加熱し、約10℃に冷却後、ポリエチレングリコール4000、濃度18-20%を加えて不純物を沈殿させ、アルブミンを含む上清をpH約4.6で等電点沈殿させ、アルブミンのダイマーを含まないアルブミンを回収する方法」(第1欄31〜46行、2〜3欄の実施例I)について示され、
また、「血漿のpHを約6.7に調製し、これを温度約60℃で約1.5時間加熱し、血漿のpHを約5.7に調整し、約-5℃に血漿を冷却して約40〜44%となるようにエタノールを加えて不純物を沈殿させ、アルブミンを含む上清をpH約4.8に調整して上清からアルブミンを沈殿させる方法」(第1欄59行〜2欄2行、第3〜4欄の実施例II)が示されている。
5.判断
(1)請求項1に係る発明について
請求項1に係る発明は、アルブミン製剤の製造方法に関するものであり、血清アルブミン含有水溶液を50〜70℃で1〜10時間加熱し、生成した凝集体を除去する工程を含み、50〜70℃で5〜20時間の加熱処理を施してなるアルブミン製剤中の血清アルブミン含量に対する凝集体含量が1重量%以下であるアルブミン製剤の製造方法である。
一方、刊行物1には、殺菌(60℃、10時間)に先立って行われる60℃、半時間の加熱により凝集体含量が0.1%未満のアルブミン製剤の製造方法が示されてる。
そして、アルブミンを加熱処理することにより、アルブミンが精製できることについては、刊行物3において、63〜70℃での加熱により、刊行物4〜5において、60℃で10時間の加熱により、刊行物6において、60℃で1時間の加熱により、刊行物7において、70℃で15分の加熱により、刊行物8において、60℃で1.5時間の加熱により、それぞれアルブミンの精製ができることが示されている。
これら、刊行物3〜8に記載された前記加熱は、アルブミンの精製のための加熱であり、アルブミンの殺菌のためにとられた加熱というものではない。
そして、刊行物1の記載は、殺菌(60℃、10時間)に先立って行われている凝集体を除去するために行われる60℃、半時間の加熱により、殺菌のための再度の加熱による沈殿が生ずることがないことを示している。
一方、前記刊行物3〜8においては、アルブミン中の不純物を除去するため、60〜70℃の加熱温度範囲において、種々の加熱時間を採用しているのであるから、刊行物1に記載の殺菌に先立つアルブミンの精製のために行われる、加熱によるアルブミンの精製においての加熱時間に関しては、格別半時間でなければならないという厳密な制限はなく、適宜変更し得る余地があることは当業者であれば容易に理解できることである。
したがって、請求項1に係る発明において示された、生成した凝集体を除去するための加熱時間については、アルブミンの精製において必要に応じて適宜とりうる範囲内のものといえ、また、生成した凝集体を除去した後の加熱時間についても刊行物1に記載されているところであるから、加熱時間の設定について格別の創意を要したとはいえない。
また、請求項1に係る発明により奏される効果も当業者の予測し得ない格別顕著な効果であるともいえない。
してみると、本件請求項1に係る発明である「血清アルブミン含有水溶液を50〜70℃で1〜10時間加熱し、生成した凝集体を除去する工程を含み、50〜70℃で5〜20時間の加熱処理を施してなるアルブミン製剤中の血清アルブミン含量に対する凝集体含量が1重量%以下であることを特徴とするアルブミン製剤の製造方法」は、刊行物1〜8から、当業者が容易に発明をすることができたものといえる。
(2)請求項2に係る発明について
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、凝集体の除去を、硫安分画法、ポリエチレングリコール分画法、アルコール分画法及び等電点分画法のいずれかより選ばれた方法で行うアルブミン製剤の製造方法に関するものである。
しかしながら、凝集体の除去を、硫安分画法、ポリエチレングリコール分画法、アルコール分画法及び等電点分画法のいずれかより選ばれた方法で行うことは、前記刊行物1〜8に記載されているように周知である。
また、請求項2に係る発明により奏される効果も格別顕著であるともいえない。
そうすると、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明に刊行物1〜8に示された事項を組合わせたものといえるから、結局、請求項1に係る発明と同様、請求項2に係る発明は、刊行物1〜8から容易に発明をすることができたものである。
(3)請求項3に係る発明について
請求項3に係る発明は、請求項2(ただし、請求項3には、その末尾の引用請求項において「請求項3のアルブミン製剤の製造方法。」となっているが、請求項3は、請求項2を引用して記載されていることは訂正前の明細書から明らかであるから、前記「請求項3のアルブミン製剤の製造方法。」の記載は、「請求項2のアルブミン製剤の製造方法。」の誤記と認める。)に係る発明において、硫安分画法、ポリエチレングリコール分画法、アルコール分画法及び等電点分画法のいずれかより選ばれた方法でアルブミンを回収するアルブミン製剤の製造方法に関するものである。
しかしながら、刊行物1〜8には、アルブミンを精製する方法として、硫安分画法、ポリエチレングリコール分画法、アルコール分画法または等電点分画法が使用できることが示され、刊行物8には、例えば、ポリエチレングリコール4000、濃度18-20%を加えて不純物を沈殿させ、アルブミンを含む上清をpH約4.6で等電点沈殿させ、アルブミンのダイマーを含まないアルブミンを回収する方法が示され、また、血漿を冷却して約40〜44%となるようにエタノールを加えて不純物を沈殿させ、アルブミンを含む上清をpH約4.8に調整して上清からアルブミンを沈殿させる方法が示されている。
そして、本件請求項3で規定している各処理方法における数値については、前記刊行物1〜8に示されているアルブミンの精製技術に基づいて容易に選択できる範囲のものといえ、このような数値の設定に格別の創意があるとはいえない。
また、請求項3に係る発明により奏される効果も当業者の予測し得ない格別顕著な効果であるともいえない。
したがって、請求項3に係る発明は、刊行物1〜8から容易に発明をすることができたものである。
6.むすび
以上のとおりであるから、本件請求項1〜3に係る各発明は、その出願前に頒布された刊行物1〜8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件請求項1〜3に係る各発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
したがって、訂正明細書の請求項1〜3に係る各発明の特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
アルブミン製剤及びその製造方法
(57)【特許請求の範囲】
1. 血清アルブミン含有水溶液を50〜70℃で1〜10時間加熱し、生成した凝集体を除去する工程を含み、50〜70℃で5〜20時間の加熱処理を施してなるアルブミン製剤中の血清アルブミン含量に対する凝集体含量が1重量%以下であることを特徴とするアルブミン製剤の製造方法。
2. 凝集体の除去を、硫安分画法、ポリエチレングリコール分画法、アルコール分画法及び等電点分画法のいずれかより選ばれた方法で行う請求項1記載のアルブミン製剤の製造方法。
3. 硫安分画処理において、硫安濃度280〜350g/l、pH5.0〜8.0の条件下で凝集体を除去し、次いで、上清に硫安を添加し、硫安濃度450g/lとして、アルブミンを沈殿させて回収する;PEG分画処理において、PEG濃度5〜20%、pH5.0〜6.5の条件下で凝集体を除去し、次いで、PEG濃度15〜25%、pH4.5〜5.5となるように上清を調整してアルブミンを回収する;エタノール分画処理において、エタノール濃度10〜20(v/v)%、pH4.5〜5.5の条件下で凝集体を除去し、次いで、エタノール濃度を約40(v/v)%、pHを約4.8となるように上清を調整してアルブミンを回収する;または、等電点分画処理において、pH4.5〜5.0の条件下で凝集体を除去し、次いで、透析または限外濾過によりアルブミンを回収する、請求項3のアルブミン製剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
<産業上の利用分野>
本発明は、アルブミン製剤及びその製造方法に関し、より詳細には、凝集体含量が低減された血清アルブミン製剤及びその製造方法に関する。
<従来の技術及び発明が解決しようとする課題>
血清アルブミンは血漿中に最も多く含まれている蛋白質で、血液中で浸透圧の維持、栄養物質や代謝物質と結合してその運搬などの機能を果たしている。上記血清アルブミンを含有する製剤は、アルブミンの喪失及びアルブミン合成低下による低アルブミン血症、出血性ショックなどの治療に用いられている。アルブミン製剤は、そこに混入してくる懸念のあるウイルスを不活化するために、通常、アルブミン含有水溶液の状態での加熱処理が汎用されている。このような方法により製造される市販のアルブミン製剤は、製剤中にゲル濾過分析で全蛋白質中A280値で5〜10%の凝集体(通常ポリマーと称されるので、以下、ポリマーという)が存在することが知られている。このポリマーは上記の加熱処理前には殆ど存在しないことから、加熱処理により熱に不安定な夾雑蛋白質の作用でアルブミンが凝集化したものと考えられる。市販のアルブミン製剤は安全に広く使用されていることから、このポリマーが特に人に害を及ぼすとは考えられていないが、加熱変性物であることより、製剤中にできるだけ含有しないことが好ましい。
本発明は上記の課題を解決すべくなされたもので、ポリマー含量の少ないアルブミン製剤を提供することを目的とする。
<課題を解決するための手段>
上記の課題を解決すべくなされた、本発明のアルブミン製剤は、アルブミン含量に対するポリマー含量が1重量%以下であることを特徴とするものであり、また本発明のアルブミン製剤の製造方法は、アルブミン含有水溶液を加熱し、生成したポリマーを除去する工程を少なくとも含むことを特徴とするものである。なお、生成したポリマーを除去する方法としては、硫安分画法、ポリエチレングリコール(以下、PEGという)分画法、アルコール分画法及び等電点分画法が好ましい。
本発明にかかる製剤の主成分であるアルブミンの由来には特に制限がなく、具体的には哺乳動物、例えば、ヒト、ウシ、ウサギ等に由来するものが挙げられ、特にヒト由来のものが使用される。アルブミンを調製するための出発原料としては、例えば、コーン氏の冷アルコール分画によって得られた第V画分等が例示される。
本発明のアルブミン製剤の製造方法は、上記アルブミンを含有する水溶液を加熱し、生成したポリマーを除去する工程を少なくとも包含するものである。
上記の工程において、アルブミン含有水溶液中のアルブミン含量としては、通常、0.1〜30%(W/V、特に明示のない限り以下同様)、好ましくは1〜5%とされ、適当なpH調整剤にてpHを5〜9程度に調整するのが好ましい。また、必要に応じて、アルブミンの安定化剤、例えば、N-アセチルトリプトファンナトリウム、カプリル酸ナトリウム等を単独で又は混合して添加してもよく、これらの安定化剤は10〜60mM、通常、20〜40mM程度の濃度で使用される。上記のアルブミン含有水溶液の加熱条件としては、ポリマーを生成させるに十分な温度及び時間行なえばよく、例えば、50〜70℃、好ましくは約60℃で1〜10時間、好ましくは約3時間行われる。
上記で生成したポリマーの除去方法としては蛋白質の精製に用いられる慣用の方法のいずれも用いることができるが、硫安分画法、PEG分画法、アルコール分画法及び等電点分画法が好ましく、これらの方法はこの分野で用いられる慣用の方法にて行われる。例えば、硫安分画法を採用する場合においては、加熱処理された溶液に、硫安濃度が280〜350g/lとなるように硫安を添加するとともにpHを5.0〜8.0程度に調整してポリマーを沈澱させ、遠心分離等の慣用の手段で除去する。次いで、上清に硫安を添加して硫安濃度を450g/l程度とし、アルブミンを沈澱させて回収する。
PEG分画法を採用する場合には、加熱処理された溶液に、PEG濃度が5〜20%となるようにPEGを添加するとともにpHを5.0〜6.5程度に調整してポリマーを沈澱させて除去する。次いで、PEG濃度が15〜25%及びPHが4.5〜5.5となるように上清を調整してアルブミンを回収する。上記方法に使用されるPEGの分子量は特に限定されないが、通常、4,000程度のものが使用される。
アルコール分画法を採用する場合には、加熱処理された溶液にアルコール、例えばエタノールを添加してエタノール濃度が10〜45(V/V)%となるようにするとともにpHを4.5〜6.5程度、好ましくはエタノール濃度10〜20(V/V)%、pH4.5〜5.5となるように調整してポリマーを沈澱させて除去する。次いで、エタノール濃度を約40(V/V)%及びpHを約4.8となるように上清を調整してアルブミンを回収する。上記処理は、アルブミンの変性を抑制するため、処理温度を溶液が凍結しない範囲でできるだけ低い温度に維持して行なうのがよい。また、アルブミンの回収は、透析、限外濾過等の膜分離技術を用いて脱エタノールを行なって回収してもよい。なお、前記の硫安分画法やPEG分画法によると回収アルブミン中に分画剤である硫安やPEGが残存する可能性があるが、アルコール分画法によれば、このような問題が少なくなるのでより好ましい。
さらに、等電点分画法を採用する場合には、加熱処理された溶液のアルブミン濃度及びイオン強度を低下させた後、pHを4.5〜5.0程度に調整してポリマーを沈澱させて除去する。次いで、透析、限外濾過等の膜分離技術を用いてアルブミンを回収する。
なお、ポリマーの除去手段は、上記方法に限定されるものではなく、例えば、硫酸ナトリウムを用いた塩析法等、適宜な方法を用いることができる。
上記工程により精製されたアルブミンは、この分野で慣用の方法にて製剤化される。例えば、回収アルブミンが固体状の場合には注射用蒸溜水等に所望濃度となるように溶解してアルブミン含有水溶液とし、また回収アルブミンが溶液状の場合には濃縮又は希釈して所望濃度となるように調整してアルブミン含有水溶液とした後、バイアル等に充填して加熱処理することによりアルブミン製剤が得られる。上記のアルブミン含有水溶液の濃度としては、5〜25%程度とされ、さらに必要に応じて、前記の安定化剤を添加してもよい。また加熱処理は、混入する恐れのあるウイルスを不活化するもので、夾雑ウイルスを不活化するに十分な温度及び時間行なえばよく、例えば、50〜70℃、好ましくは約60℃で5〜20時間、好ましくは約10時間行われる。
斯くして得られたアルブミン製剤は、ポリマー含量が1%(アルブミン含量に対する相対重量%、ポリマー量に関しては以下同様)以下であり、また従来のアルブミン製剤と同様な用量、用法にて使用される。
<発明の効果>
本発明のアルブミン製剤はポリマー含量が少なく安全性、安定性等に優れた製剤であり、また本発明のアルブミン製剤の製造方法によれば、加熱処理により生成するポリマーが予め除去されているので、ポリマー含量の少ないアルブミン製剤を得ることができる。特に、ポリマーを除去して精製されたアルブミンは再加熱してもポリマーの生成が極めて少なくなるので、加熱処理を要するアルブミン製剤の製造方法として好適である。
<実施例>
以下、本発明をより詳細に説明するため、実験例及び実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
実験例
コーン氏の冷アルコール分画によって得られた第V画分をアセトンで脱アルコールし、アセトンパウダーを得た。次いで、アルブミン濃度が25%となるように水に溶解し、安定化剤としてN-アセチルトリプトファンナトリウム及びカプリル酸ナトリウムをそれぞれ20mM添加した。このアルブミン溶液をpH7.0に調整した後、60℃で加熱処理し、生成するポリマー量をゲル濾過分析法にて測定した。その結果を第1図に示す。第1図から明らかなように、ポリマーの生成量は、約3時間まで経時的に増加するが、3時間以降は略プラトーとなった。これより、3時間程度の加熱処理を行なえばポリマー化は完了することが判明した。
実施例1
コーン氏の冷アルコール分画によって得られた第V画分をアセトンで脱アルコールし、アセトンパウダーを得た。次いで、アルブミン濃度が25%となるように水に溶解し、安定化剤としてN-アセチルトリプトファンナトリウム及びカプリル酸ナトリウムをそれぞれ20mM添加した。
このアルブミン溶液をpH7.0に調整した後、60℃で加熱処理した。
次いで、上記の加熱処理溶液を生理食塩液で希釈してアルブミン濃度が2.5%となるようにし、pHをそれぞれ5.5及び7.0に調整した液を作製し、硫安を添加しポリマーを沈澱させ、上清中のポリマー含量をゲル濾過分析法により測定した。その結果を第2図に示す。第2図に示されるように、上清中のポリマー含量は硫安濃度の上昇に伴って減少し、いずれのpHにおいても、硫安濃度340g/l程度とすることによりポリマー含量を著しく低減することができた。
さらに、上記の沈澱したポリマーを除去したのちの上清に硫安を添加し、硫安濃度450g/lとしてアルブミンを回収した。このアルブミンを脱塩、濃縮し、アルブミン濃度を25%となるように注射用蒸溜水に溶解させ、実験例と同様に安定化剤を添加した後、バイアルに充填して密封し、60℃で10時間加熱してアルブミン製剤を得た。上記加熱処理中に生成するポリマー量を経時的にゲル濾過分析法により測定した。その結果を第3図に示す。第3図に示されるように、該製剤中のポリマー含量は、再加熱前では0%、再加熱後でも1%以下であり、ポリマー含量を著しく低減できた。なお、比較例として、硫安分画していない未処理のアルブミンを、上記と同様にバイアルに充填して加熱処理し心その結果、加熱3〜10時間後には、ポリマー含量が5〜6%となった。
実施例2
実施例1と同様にして得られたアルブミン加熱処理溶液を、生理食塩液で希釈してアルブミン濃度が5%になるように調整し、さらにPEG濃度がそれぞれ10%及び15%となるようにPEGを溶解し、1N塩酸を用いてpHを変化させてポリマーを沈澱させ、上清中のポリマー含量をゲル濾過分析法により測定した。その結果を第4図に示す。第4図に示されるように、PEG濃度15%ではpHが約5.6で、またPEG濃度10%ではpHが約4.8でポリマー含量が略零になった。
さらに、上記の沈澱したポリマーを除去したのちの上清にPEGを添加し、PEG濃度20%、pH4.8としてアルブミンを回収した。回収したアルブミンを実施例1と同様にして製剤化し、加熱処理した。その結果、生成ポリマー量は1%以下であった。
実施例3
実施例1と同様にして得られたアルブミン加熱処理溶液を、水で希釈してアルブミン濃度が5%となるように調整し、さらにエタノール濃度がそれぞれ13、15、19、20及び21(V/V)%となるようにエタノールを添加し、そのエタノール濃度を含む0.8M酢酸緩衝液を用いてpHを変化させてポリマーを沈澱させ、上清中のポリマー含量をゲル濾過分析法により測定した。その結果を第5図に示す。第5図に示されるように、エタノール濃度13(V/V)%ではpH約4.8、同15(V/V)%ではpH約4.9、同19(V/V)%ではpH約5.25、同20(V/V)%ではpH約5.35、同21(V/V)%ではpH約5.4でポリマー含量が略零になった。
さらに、上記の沈澱したポリマーを除去したのちの上清にエタノールを添加し、エタノール濃度40(V/V)%、pH4.8としてアルブミンを回収した。回収したアルブミンを実施例1と同様にして製剤化し、加熱処理した。その結果、生成ポリマー量は1%以下であった。
実施例4
実施例1と同様にして得られたアルブミン加熱処理溶液を水で希釈してアルブミン濃度が0.5、1.25及び2.5%となるように調整し、1N塩酸を用いてpHを変化させてポリマーを沈澱させ、上清中のポリマー含量をゲル濾過分析法により測定した。その結果を第6図に示す。第6図に示されるように、アルブミン濃度0.5%ではpH約4.5〜5.0、アルブミン濃度1.25%ではpH約4.5〜4.8の範囲でポリマー含量が略2%以下となった。
さらに、上記の沈澱したポリマーを除去したのちの上清を限外濾過に付して濃縮した。得られたアルブミンを実施例1と同様にして製剤化し、加熱処理した。その結果、生成ポリマー量は1%以下であった。
【図面の簡単な説明】
第1図は、未処理アルブミン含有水溶液の加熱処理によるポリマー形成の時間推移を示す図、
第2図は、硫安分画法による上清中のポリマー含量のpH及び硫安添加量依存性を示す図、
第3図は、硫安分画法で得られたアルブミン及び未処理アルブミン含有製剤におけるポリマー生成量の時間推移を示す図、
第4図は、PEG分画法における上清中のポリマー含量のPEG濃度及びpH依存性を示す図、
第5図は、エタノール分画法における上清中のポリマー含量のエタノール濃度及びpH依存性を示す図、及び
第6図は、等電点分画法における上清中のポリマー含量のアルブミン濃度及びpH依存性を示す図である。
 
訂正の要旨 訂正の要旨
訂正前の特許請求の範囲の請求項1を削除すると共に、請求項の項番を繰り上げ、次のとおり訂正するものである。
「1.アルブミン製剤において、血清アルブミン含量に対する凝集体含量が1重量%以下であることを特徴とするアルブミン製剤。
2.血清アルブミン含有水溶液を50〜70℃で1〜10時間加熱し、生成した凝集体を除去する工程を含み、製剤中の血清アルブミン含量に対する凝集体含量が1重量%以下であることを特徴とするアルブミン製剤の製造方法。
3.凝集体の除去を、硫安分画法、ポリエチレングリコール分画法、アルコール分画法及び等電点分画法のいずれかより選ばれた方法で行う請求項2記載のアルブミン製剤の製造方法。
4.硫安濃度280-350g/l、pH5.0-8.0の条件下で硫安分画処理する;PEG濃度5-20%、pH5.0-6.5の条件下でPEG分画処理する;エタノール濃度10-45(v/v)%、pH4.5-6.5の条件下でエタノール分画処理する;又はpH4.5-5.0の条件下で等電点分画処理するのいずれかの方法で凝集体を除去する請求項3記載のアルブミン製剤の製造方法。」を、特許請求の範囲の減縮を目的に
「1.血清アルブミン含有水溶液を50〜70℃で1〜10時間加熱し、生成した凝集体を除去する工程を含み、50〜70℃で5〜20時間の加熱処理を施してなるアルブミン製剤中の血清アルブミン含量に対する凝集体含量が1重量%以下であることを特徴とするアルブミン製剤の製造方法。
2.凝集体の除去を、硫安分画法、ポリエチレングリコール分画法、アルコール分画法及び等電点分画法のいずれかより選ばれた方法で行う請求項1記載のアルブミン製剤の製造方法。
3.硫安分画処理において、硫安濃度280〜350g/l、pH5.0〜8.0の条件下で凝集体を除去し、次いで、上清に硫安を添加し、硫安濃度450g/lとして、アルブミンを沈殿させて回収する;PEG分画処理において、PEG濃度5〜20%、pH5.0〜6.5の条件下で凝集体を除去し、次いで、PEG濃度15〜25%、pH4.5〜5.5となるように上清を調整してアルブミンを回収する;エタノール分画処理において、エタノール濃度10〜20(v/v)%、pH4.5〜5.5の条件下で凝集体を除去し、次いで、エタノール濃度を約40(v/v)%、PHを約4.8となるように上清を調整してアルブミンを回収する;または、等電点分画処理において、PH4.5〜5.0の条件下で凝集体を除去し、次いで、透析または限外渡過によりアルブミンを回収する、請求項3のアルブミン製剤の製造方法。」と訂正する。
異議決定日 2001-03-27 
出願番号 特願昭63-265025
審決分類 P 1 651・ 121- ZA (A61K)
最終処分 取消  
前審関与審査官 新留 豊  
特許庁審判長 吉村 康男
特許庁審判官 深津 弘
谷口 浩行
登録日 1999-05-14 
登録番号 特許第2926722号(P2926722)
権利者 ウェルファイド株式会社
発明の名称 アルブミン製剤及びその製造方法  
代理人 中村 行孝  
代理人 横田 修孝  
代理人 佐藤 一雄  
代理人 小野寺 捷洋  
代理人 廣瀬 孝美  
代理人 廣瀬 孝美  

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