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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 F16H |
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管理番号 | 1054603 |
審判番号 | 不服2000-2777 |
総通号数 | 28 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1993-04-20 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2000-03-02 |
確定日 | 2002-03-19 |
事件の表示 | 平成 3年特許願第261662号「自動変速制御装置」拒絶査定に対する審判事件〔平成 5年 4月20日出願公開、特開平 5- 99308、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本件出願は、平成3年10月9日の出願であって、特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成14年3月1日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。 「【請求項1】 自動変速機に設けられた締結要素と、 この締結要素に供給する締結油圧の調圧を行う調圧アクチュエータと、 変速時には所定の入力信号に基づいて所定の通常特性で締結油圧を形成すべく調圧アクチュエータに制御信号を出力する変速制御手段とを備えた自動変速制御装置において、 変速時に前記締結要素に与えられるスロットル開度に対応した変速負荷を検出する変速負荷検出手段を設け、 前記変速制御手段に、変速が行われる度に、変速負荷検出手段が検出するスロットル開度に対応した変速負荷を累積する変速負荷累積部を設けると共に、 この変速制御手段を、累積変速負荷値が所定値未満である時には、通常特性よりも高い油圧特性の初期用特性の締結油圧とする制御信号を調圧アクチュエータへ出力する一方、累積変速負荷値が所定値となったら、通常特性の締結油圧とする制御信号を調圧アクチュエータへ出力するよう構成したことを特徴とする自動変速制御装置。」 2.原査定の拒絶の理由の概要 本願の請求項1に係る発明は、下記引用刊行物1及び2に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用刊行物1:特開昭62-258251号公報 引用刊行物2:特開昭62-278349号公報 (なお、引用刊行物3として引用された特開平1-158254号公報は、請求項4のバックアップ記憶部に関して引用されたもので、請求項1に引用されたものではない。) 3.引用刊行物の記載内容 引用刊行物1 自動変速機のクラッチ等の摩擦係合部材が初期状態から経時変化にしたがって、初期値より高い値となって安定する場合に生ずる問題(明細書1頁右欄10-第2頁14行)を解決することを目的とする。 そのための解決手段の概要は、車両の駆動経歴を検出し、検出された該駆動経歴に基づいて、変速パターンを摩擦係合部材の特性に応じた変速パターンに変更するものである(特許請求の範囲)。そして、前記駆動経歴の具体例は、第1実施例では、1速から2速への変速回数Nが所定回数N0(例えば500回)に達するまでは初期の変速線に従い、達すると、通常の変速線に従って変速する(第3図)。第2実施例では、駆動経歴を総走行距離TODを基準走行距離TSDとの比較でみるものである(第5図)。 引用刊行物2 自動変速機において、トルク伝達をあづかるクラッチやブレーキの摩擦係数の経年変化に対応することを目的とする(明細書第1頁右欄4行-末行)。 そのための解決手段の概要は、油圧回路を制御する電磁ソレノイドのデューティ比を現在の車両走行状態および過去の変速時の車両走行状態の変化に応じて決定するものである(特許請求の範囲)。 (対比) 本願発明と引用刊行物1,2に記載の発明を対比すると、引用刊行物1に記載の発明における、1速から2速への変速回数により求められる駆動経歴、及び、総走行距離により求められる駆動経歴、並びに、引用刊行物2に記載の発明における、現在の車両走行状態および過去の変速時の車両走行状態は、いわば通常走行状態において締結要素に供給する締結油圧の調圧を行うために用いられるものであり、本願発明における、ラッピング不足を原因とする変速の間延びや変速ショックの発生防止という観点からの発想を含むものではない。 つまり、本願発明では、使用初期における締結要素への締結油圧の調圧を通常特性よりも高いものとすることが特定されているのであり、引用刊行物1,2に記載の発明は、本願発明の通常油圧特性に移行した後における経年変化を意識したものと解される以上、本願発明における、変速負荷値を累積した累積負荷値、と同一に論ずることはできない。 したがって、本願発明は、これらの引用刊行物1,2に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 5.むすび 以上のとおりであるから、本願の請求項1に係る発明は、引用刊行物1,2に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができた、という理由で本願を拒絶すべきものとした原査定は妥当ではない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2002-03-08 |
出願番号 | 特願平3-261662 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(F16H)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 高山 芳之 |
特許庁審判長 |
酒井 進 |
特許庁審判官 |
長屋 陽二郎 船越 巧子 |
発明の名称 | 自動変速制御装置 |
代理人 | 朝倉 悟 |