• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A47L
審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  A47L
審判 全部申し立て 2項進歩性  A47L
管理番号 1054910
異議申立番号 異議2001-70185  
総通号数 28 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1999-06-15 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-01-17 
確定日 2001-11-07 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3066353号「電気掃除機およびその吸口体」の請求項1ないし13に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3066353号の請求項1ないし13に係る特許を維持する。 
理由 1、手続の経緯
本件特許第3066353号に係る発明は、平成9年11月28日に特許出願され、平成12年5月12日に特許権の設定登録がされ、特許異議申立人・樋口守孝より全請求項に係る特許に対して、及び、特許異議申立人・斉藤 茂よりその一部の請求項に係る特許に対して特許異議の申立てがなされ、平成13年6月12日付けで取消理由が通知された後、平成13年8月23日に訂正請求がなされたものである。
2、訂正の適否

イ、訂正の内容
[訂正事項a]
願書に添付した明細書(以下、「特許明細書」という。)の【請求項1】の記載、
「【請求項1】 塵埃を空気流と共に吸い込むための送風機を備えた電気掃除機本体と、下面に塵埃を吸い込むための吸口開口部を備えた吸口体と、前記吸口開口部から吸い込まれた塵埃を前記電気掃除機本体に導くための通風路を形成する吸引管とを有し、
前記吸口体は、奥行方向の長さより左右方向の長さが長い吸口本体と、前記吸口本体の後方中央に取り付けられ前記吸引管と接続される接続部とを備え、前記吸口本体は、その後方中央に前記接続部の一端を接続する接続部取付部を備え、
前記接続部は、前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面で前記吸引管を前記吸口本体の左右方向に回転させるように一端が前記接続部取付部に接続された回転体と、一端が前記回転体の他端と接続され他端が前記吸引管に接続され、前記回転体に対して前記吸引管の清掃面とのなす仰角を変化させる継手とを備え、
前記回転体の他端には、その上面に上面端から後退し、前記継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容するヒンジ凹部が設けられ、
前記継手と接続された前記吸引管が、清掃面に対して略垂直な状態から前記吸口本体の左右方向に回転し、
前記吸口本体の底面に、前記吸口開口部を挾むように設けられた清掃面上の塵埃を掻き上げる刷毛と、この刷毛により掻き上げられ前記吸口開口部で吸い切れなかった塵埃を前記吸口開口部に戻すキーパーとを備えていることを特徴とする電気掃除機。」
を、
「【請求項1】 塵埃を空気流と共に吸い込むための送風機を備えた電気掃除機本体と、下面に塵埃を吸い込むための吸口開口部を備えた吸口体と、前記吸口開口部から吸い込まれた塵埃を前記電気掃除機本体に導くための通風路を形成する吸引管とを有し、
前記吸口体は、奥行方向の長さより左右方向の長さが長い吸口本体と、前記吸口本体の後方中央に取り付けられ前記吸引管と接続される接続部とを備え、前記吸口本体は、その後方中央に前記接続部の一端を接続する接続部取付部を備え、
前記接続部は、前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面で前記吸引管を前記吸口本体の左右方向に回転させるように一端が前記接続部取付部に接続された筒状の回転体と、一端が前記筒状の回転体の他端に内在されて接続され他端が前記吸引管に接続され、前記回転体に対して前記吸引管の清掃面とのなす仰角を変化させる継手とを備え、
前記回転体の他端には、その上面に上面端から後退し、前記継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容するヒンジ凹部が設けられ、
前記継手と接続された前記吸引管が、清掃面に対して略垂直な状態から前記吸口本体の左右方向に回転し、
前記吸口本体の底面に、前記吸口開口部を挾むように設けられた清掃面上の塵埃を掻き上げる刷毛と、この刷毛により掻き上げられ前記吸口開口部で吸い切れなかった塵埃を前記吸口開口部に戻すキーパーとを備えていることを特徴とする電気掃除機。」
と訂正する。(下線部は訂正個所を示す。以下、同じ。)

[訂正事項b]
特許明細書の【請求項2】の記載、
「【請求項2】 塵埃を空気流と共に吸い込むための送風機を備えた電気掃除機本体と、下面に塵埃を吸い込むための吸口開口部を備えた吸口体と、前記吸口開口部から吸い込まれた塵埃を前記電気掃除機本体に導くための通風路を形成する吸引管とを有し、
前記吸口体は、奥行方向の長さより左右方向の長さが長い吸口本体と、前記吸口本体の後方中央に取り付けられ前記吸引管と接続される接続部とを備え、
前記吸口本体は、その後方中央に前記接続部の一端を接続する接続部取付部を備え、
前記接続部は、前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面で前記吸引管を前記吸口本体の左右方向に回転させるように一端が前記接続部取付部に接続された回転体と、一端が前記回転体の他端と接続され他端が前記吸引管に接続され、前記回転体に対して前記吸引管の清掃面とのなす仰角を変化させる継手とを備え、
前記回転体の他端には、その上面に上面端から後退し、前記継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容するヒンジ凹部が設けられ、
前記継手と接続された前記吸引管が、清掃面に対して略垂直な状態から前記吸口本体の左右方向に回転することを特徴とする電気掃除機。」
を、
「【請求項2】 塵埃を空気流と共に吸い込むための送風機を備えた電気掃除機本体と、下面に塵埃を吸い込むための吸口開口部を備えた吸口体と、前記吸口開口部から吸い込まれた塵埃を前記電気掃除機本体に導くための通風路を形成する吸引管とを有し、
前記吸口体は、奥行方向の長さより左右方向の長さが長い吸口本体と、前記吸口本体の後方中央に取り付けられ前記吸引管と接続される接続部とを備え、
前記吸口本体は、その後方中央に前記接続部の一端を接続する接続部取付部を備え、
前記接続部は、前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面で前記吸引管を前記吸口本体の左右方向に回転させるように一端が前記接続部取付部に接続された筒状の回転体と、一端が前記筒状の回転体の他端に内在されて接続され他端が前記吸引管に接続され、前記回転体に対して前記吸引管の清掃面とのなす仰角を変化させる継手とを備え、
前記回転体の他端には、その上面に上面端から後退し、前記継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容するヒンジ凹部が設けられ、
前記継手と接続された前記吸引管が、清掃面に対して略垂直な状態から前記吸口本体の左右方向に回転することを特徴とする電気掃除機。」
と訂正する。

[訂正事項c]
特許明細書の【請求項4】の記載、
「【請求項4】 塵埃を空気流と共に吸い込むための送風機を備えた電気掃除機本体と、下面に塵埃を吸い込むための吸口開口部を備えた吸口体と、前記吸口開口部から吸い込まれた塵埃を前記電気掃除機本体に導くための通風路を形成する吸引管とを有し、
前記吸口体は、奥行方向の長さより左右方向の長さが長い吸口本体と、一端が前記吸口本体に接続され他端が前記吸引管に接続される接続部とを備え、
前記吸口本体は、その後方中央に前記接続部の一端を接続する接続部取付部を備え、
前記接続部は、前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面の回転中心軸である第1回転軸により前記吸引管を前記吸口本体の左右方向に回転させるように一端が前記接続部取付部に接続された回転体と、一端が前記回転体の他端と接続され他端が前記吸引管に接続され、前記第1回転軸と直交する第2回転軸を回転中心として前記回転体に対して前記吸引管の清掃面とのなす仰角を変化させる継手とを備え、
前記回転体の他端には、その上面に上面端から後退し、前記継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容するヒンジ凹部が設けられ、
前記継手と接続された前記吸引管が、清掃面に対して略垂直な状態から前記吸口本体の左右方向に回転することを特徴とする電気掃除機。」
を、
「【請求項4】 塵埃を空気流と共に吸い込むための送風機を備えた電気掃除機本体と、下面に塵埃を吸い込むための吸口開口部を備えた吸口体と、前記吸口開口部から吸い込まれた塵埃を前記電気掃除機本体に導くための通風路を形成する吸引管とを有し、
前記吸口体は、奥行方向の長さより左右方向の長さが長い吸口本体と、一端が前記吸口本体に接続され他端が前記吸引管に接続される接続部とを備え、
前記吸口本体は、その後方中央に前記接続部の一端を接続する接続部取付部を備え、
前記接続部は、前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面の回転中心軸である第1回転軸により前記吸引管を前記吸口本体の左右方向に回転させるように一端が前記接続部取付部に接続された筒状の回転体と、一端が前記筒状の回転体の他端に内在されて接続され他端が前記吸引管に接続され、前記第1回転軸と直交する第2回転軸を回転中心として前記回転体に対して前記吸引管の清掃面とのなす仰角を変化させる継手とを備え、
前記回転体の他端には、その上面に上面端から後退し、前記継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容するヒンジ凹部が設けられ、
前記継手と接続された前記吸引管が、清掃面に対して略垂直な状態から前記吸口本体の左右方向に回転することを特徴とする電気掃除機。」
と訂正する。

[訂正事項d]
特許明細書の【請求項8】の記載、
「【請求項8】 下面に塵埃を吸い込むための吸口開口部を備え、奥行方向の長さより左右方向の長さが長い吸口本体と、一端が前記吸口本体と接続され他端が前記吸口開口部から吸い込まれた塵埃を電気掃除機本体に導くための吸引管に接続される接続部とを備え、
前記吸口本体は、その後方中央に前記接続部の一端を接続する接続部取付部を備え、
前記接続部は、一端が前記接続部取付部に接続される回転体と、一端が前記回転体の他端と接続され、前記回転体に対して仰角が変化する継手とを備え、
前記回転体は、その一端と前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面で前記継手を前記吸口本体の左右方向に回転させ、
前記回転体の他端には、その上面に上面端から後退し、前記継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容するヒンジ凹部が設けられ、
前記継手が、清掃面に対して略垂直な状態から前記吸口本体の左右方向に回転することを特徴とする電気掃除機の吸口体。」
を、
「【請求項8】 下面に塵埃を吸い込むための吸口開口部を備え、奥行方向の長さより左右方向の長さが長い吸口本体と、一端が前記吸口本体と接続され他端が前記吸口開口部から吸い込まれた塵埃を電気掃除機本体に導くための吸引管に接続される接続部とを備え、
前記吸口本体は、その後方中央に前記接続部の一端を接続する接続部取付部を備え、
前記接続部は、一端が前記接続部取付部に接続される筒状の回転体と、一端が前記筒状の回転体の他端に内在されて接続され、前記回転体に対して仰角が変化する継手とを備え、
前記回転体は、その一端と前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面で前記継手を前記吸口本体の左右方向に回転させ、
前記回転体の他端には、その上面に上面端から後退し、前記継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容するヒンジ凹部が設けられ、
前記継手が、清掃面に対して略垂直な状態から前記吸口本体の左右方向に回転することを特徴とする電気掃除機の吸口体。」
と訂正する。

[訂正事項e]
特許明細書の【請求項10】の記載、
「【請求項10】 下面に塵埃を吸い込むための吸口開口部を備え、奥行方向の長さより左右方向の長さが長い吸口本体と、一端が前記吸口本体と接続され他端が前記吸口開口部から吸い込まれた塵埃を電気掃除機本体に導くための吸引管に接続される接続部とを備え、
前記吸口本体は、その後方中央に前記接続部の一端を接続する接続部取付部を備え、
前記接続部は、その一端と前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面の回転中心軸である第1回転軸により前記一端が前記接続部取付部に回転可能に接続される回転体と、その一端が前記回転体の他端と接続され前記第1回転軸と直交する第2回転軸を回転中心として前記回転体に対して仰角が変化する継手とを備え、
前記回転体は、その一端と前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面で前記継手を前記吸口本体の左右方向に回転させ、
前記回転体の他端には、その上面に上面端から後退し、前記継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容するヒンジ凹部が設けられ、
前記継手が、清掃面に対して略垂直な状態から前記吸口本体の左右方向に回転することを特徴とする電気掃除機の吸口体。」
を、
「【請求項10】 下面に塵埃を吸い込むための吸口開口部を備え、奥行方向の長さより左右方向の長さが長い吸口本体と、一端が前記吸口本体と接続され他端が前記吸口開口部から吸い込まれた塵埃を電気掃除機本体に導くための吸引管に接続される接続部とを備え、
前記吸口本体は、その後方中央に前記接続部の一端を接続する接続部取付部を備え、
前記接続部は、その一端と前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面の回転中心軸である第1回転軸により前記一端が前記接続部取付部に回転可能に接続される筒状の回転体と、その一端が前記筒状の回転体の他端に内在されて接続され前記第1回転軸と直交する第2回転軸を回転中心として前記回転体に対して仰角が変化する継手とを備え、
前記回転体は、その一端と前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面で前記継手を前記吸口本体の左右方向に回転させ、
前記回転体の他端には、その上面に上面端から後退し、前記継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容するヒンジ凹部が設けられ、
前記継手が、清掃面に対して略垂直な状態から前記吸口本体の左右方向に回転することを特徴とする電気掃除機の吸口体。」
と訂正する。

[訂正事項f]
特許明細書の【0009】欄の記載、
「【課題を解決するための手段】 前記目的を達成するため、本願に係る電気掃除機の1つの発明では、塵埃を空気流と共に吸い込むための送風機を備えた電気掃除機本体と、下面に塵埃を吸い込むための吸口開口部を備えた吸口体と、前記吸口開口部から吸い込まれた塵埃を前記電気掃除機本体に導くための通風路を形成する吸引管とを有し、前記吸口体は、奥行方向の長さより左右方向の長さが長い吸口本体と、前記吸口本体の後方中央に取り付けられ前記吸引管と接続される接続部とを備え、前記吸口本体は、その後方中央に前記接続部の一端を接続する接続部取付部を備え、前記接続部は、前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面で前記吸引管を前記吸口本体の左右方向に回転させるように一端が前記接続部取付部に接続された回転体と、一端が前記回転体の他端と接続され他端が前記吸引管に接続され、前記回転体に対して前記吸引管の清掃面とのなす仰角を変化させる継手とを備え、前記回転体の他端には、その上面に上面端から後退し、前記継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容するヒンジ凹部が設けられ、前記継手と接続された前記吸引管が、清掃面に対して略垂直な状態から前記吸口本体の左右方向に回転するように、構成される。また、前記目的を達成するため、本願に係る電気掃除機の吸口体の1つの発明では、下面に塵埃を吸い込むための吸口開口部を備え、奥行方向の長さより左右方向の長さが長い吸口本体と、一端が前記吸口本体と接続され他端が前記吸口開口部から吸い込まれた塵埃を電気掃除機本体に導くための吸引管に接続される接続部とを備え、前記吸口本体は、その後方中央に前記接続部の一端を接続する接続部取付部を備え、前記接続部は、一端が前記接続部取付部に接続される回転体と、一端が前記回転体の他端と接続され、前記回転体に対して仰角が変化する継手とを備え、前記回転体は、その一端と前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面で前記継手を前記吸口本体の左右方向に回転させ、前記回転体の他端には、その上面に上面端から後退し、前記継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容するヒンジ凹部が設けられ、前記継手が、清掃面に対して略垂直な状態から前記吸口本体の左右方向に回転するように、構成される。」
を、
「【課題を解決するための手段】 前記目的を達成するため、本願に係る電気掃除機の1つの発明では、塵埃を空気流と共に吸い込むための送風機を備えた電気掃除機本体と、下面に塵埃を吸い込むための吸口開口部を備えた吸口体と、前記吸口開口部から吸い込まれた塵埃を前記電気掃除機本体に導くための通風路を形成する吸引管とを有し、前記吸口体は、奥行方向の長さより左右方向の長さが長い吸口本体と、前記吸口本体の後方中央に取り付けられ前記吸引管と接続される接続部とを備え、前記吸口本体は、その後方中央に前記接続部の一端を接続する接続部取付部を備え、前記接続部は、前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面で前記吸引管を前記吸口本体の左右方向に回転させるように一端が前記接続部取付部に接続された筒状の回転体と、一端が前記筒状の回転体の他端に内在されて接続され他端が前記吸引管に接続され、前記回転体に対して前記吸引管の清掃面とのなす仰角を変化させる継手とを備え、前記回転体の他端には、その上面に上面端から後退し、前記継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容するヒンジ凹部が設けられ、前記継手と接続された前記吸引管が、清掃面に対して略垂直な状態から前記吸口本体の左右方向に回転するように、構成される。また、前記目的を達成するため、本願に係る電気掃除機の吸口体の1つの発明では、下面に塵埃を吸い込むための吸口開口部を備え、奥行方向の長さより左右方向の長さが長い吸口本体と、一端が前記吸口本体と接続され他端が前記吸口開口部から吸い込まれた塵埃を電気掃除機本体に導くための吸引管に接続される接続部とを備え、前記吸口本体は、その後方中央に前記接続部の一端を接続する接続部取付部を備え、前記接続部は、一端が前記接続部取付部に接続される筒状の回転体と、一端が前記筒状の回転体の他端に内在されて接続され、前記回転体に対して仰角が変化する継手とを備え、前記回転体は、その一端と前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面で前記継手を前記吸口本体の左右方向に回転させ、前記回転体の他端には、その上面に上面端から後退し、前記継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容するヒンジ凹部が設けられ、前記継手が、清掃面に対して略垂直な状態から前記吸口本体の左右方向に回転するように、構成される。」
と訂正する。


ロ、訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
[訂正事項aについて]
訂正事項aは、特許明細書記載の請求項1の構成要素の「回転体」が筒状である点、及び、「接続部」の接続の態様が回転体の他端に内在されて接続されている点を限定したものであるから、訂正事項aは、請求項1に係る発明に技術的限定を付すものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

そして、訂正事項aに係る訂正事項は、特許明細書の【0034】欄に、「・・・前記回転体1501は、ほぼ筒状の形状を備えており、その一端に前記接続部取付部1004に形成される円形の第1のヒンジ受部1504に回転可能に嵌合する第1のヒンジ凸部1505が形成され、他の一端に継手1502を内在させて回転可能にする第2の回転ヒンジ受部1506を形成している。・・・」と記載されていた点からみて、特許明細書に記載されていた事項の範囲内においてした訂正である。

また、訂正事項aに係る訂正事項は、特許明細書の【0008】欄記載の「本発明の目的は、手元ハンドルのひねり動作で吸口本体を床面に対して広範囲に回転させることができるとともに、低い隙間の清掃性が好適な電気掃除機を提供することにある。」という本件に係る発明の課題に変更を及ぼすものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。

[訂正事項bについて]
訂正事項bは、特許明細書記載の請求項2の構成要素の「回転体」が筒状である点、及び、「接続部」の接続の態様が回転体の他端に内在されて接続されている点を限定したものであるから、訂正事項bは、請求項2に係る発明に技術的限定を付すものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

そして、訂正事項bに係る訂正事項は、特許明細書の【0034】欄に、「・・・前記回転体1501は、ほぼ筒状の形状を備えており、その一端に前記接続部取付部1004に形成される円形の第1のヒンジ受部1504に回転可能に嵌合する第1のヒンジ凸部1505が形成され、他の一端に継手1502を内在させて回転可能にする第2の回転ヒンジ受部1506を形成している。・・・」と記載されていた点からみて、特許明細書に記載されていた事項の範囲内においてした訂正である。

また、訂正事項bに係る訂正事項は、特許明細書の【0008】欄記載の「本発明の目的は、手元ハンドルのひねり動作で吸口本体を床面に対して広範囲に回転させることができるとともに、低い隙間の清掃性が好適な電気掃除機を提供することにある。」という本件に係る発明の課題に変更を及ぼすものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。

[訂正事項cについて]
訂正事項cは、特許明細書記載の請求項4の構成要素の「回転体」が筒状である点、及び、「接続部」の接続の態様が回転体の他端に内在されて接続されている点を限定したものであるから、訂正事項cは、請求項4に係る発明に技術的限定を付すものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

そして、訂正事項cに係る訂正事項は、特許明細書の【0034】欄に、「・・・前記回転体1501は、ほぼ筒状の形状を備えており、その一端に前記接続部取付部1004に形成される円形の第1のヒンジ受部1504に回転可能に嵌合する第1のヒンジ凸部1505が形成され、他の一端に継手1502を内在させて回転可能にする第2の回転ヒンジ受部1506を形成している。・・・」と記載されていた点からみて、特許明細書に記載されていた事項の範囲内においてした訂正である。

また、訂正事項cに係る訂正事項は、特許明細書の【0008】欄記載の「本発明の目的は、手元ハンドルのひねり動作で吸口本体を床面に対して広範囲に回転させることができるとともに、低い隙間の清掃性が好適な電気掃除機を提供することにある。」という本件に係る発明の課題に変更を及ぼすものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。

[訂正事項dについて]
訂正事項dは、特許明細書記載の請求項8の構成要素の「回転体」が筒状である点、及び、「接続部」の接続の態様が回転体の他端に内在されて接続されている点を限定したものであるから、訂正事項dは、請求項8に係る発明に技術的限定を付すものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

そして、訂正事項dに係る訂正事項は、特許明細書の【0034】欄に、「・・・前記回転体1501は、ほぼ筒状の形状を備えており、その一端に前記接続部取付部1004に形成される円形の第1のヒンジ受部1504に回転可能に嵌合する第1のヒンジ凸部1505が形成され、他の一端に継手1502を内在させて回転可能にする第2の回転ヒンジ受部1506を形成している。・・・」と記載されていた点からみて、特許明細書に記載されていた事項の範囲内においてした訂正である。

また、訂正事項dに係る訂正事項は、特許明細書の【0008】欄記載の「本発明の目的は、手元ハンドルのひねり動作で吸口本体を床面に対して広範囲に回転させることができるとともに、低い隙間の清掃性が好適な電気掃除機を提供することにある。」という本件に係る発明の課題に変更を及ぼすものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。

[訂正事項eについて]
訂正事項eは、特許明細書記載の請求項10の構成要素の「回転体」が筒状である点、及び、「接続部」の接続の態様が回転体の他端に内在されて接続されている点を限定したものであるから、訂正事項eは、請求項10に係る発明に技術的限定を付すものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

そして、訂正事項eに係る訂正事項は、特許明細書の【0034】欄に、「・・・前記回転体1501は、ほぼ筒状の形状を備えており、その一端に前記接続部取付部1004に形成される円形の第1のヒンジ受部1504に回転可能に嵌合する第1のヒンジ凸部1505が形成され、他の一端に継手1502を内在させて回転可能にする第2の回転ヒンジ受部1506を形成している。・・・」と記載されていた点からみて、特許明細書に記載されていた事項の範囲内においてした訂正である。

また、訂正事項eに係る訂正事項は、特許明細書の【0008】欄記載の「本発明の目的は、手元ハンドルのひねり動作で吸口本体を床面に対して広範囲に回転させることができるとともに、低い隙間の清掃性が好適な電気掃除機を提供することにある。」という本件に係る発明の課題に変更を及ぼすものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。

[訂正事項fについて]
訂正事項fは、上記訂正事項aないしeに示す請求項1、2、4、8、10に係る訂正に伴って必要となった特許明細書の【0009】欄の【課題を解決するための手段】の記載を上記請求項の記載と整合させるものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、特許明細書の【0034】欄に、「・・・前記回転体1501は、ほぼ筒状の形状を備えており、その一端に前記接続部取付部1004に形成される円形の第1のヒンジ受部1504に回転可能に嵌合する第1のヒンジ凸部1505が形成され、他の一端に継手1502を内在させて回転可能にする第2の回転ヒンジ受部1506を形成している。・・・」と記載されていた点からみて、特許明細書に記載されていた事項の範囲内においてした訂正であって、特許明細書の【0008】欄記載の「本発明の目的は、手元ハンドルのひねり動作で吸口本体を床面に対して広範囲に回転させることができるとともに、低い隙間の清掃性が好適な電気掃除機を提供することにある。」という本件に係る発明の課題に変更を及ぼすものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。

以上のとおりであるから、本件訂正請求は、特許法第120条の4第2項に規定する事項を目的とするものであり、特許法第120条の4第3項で準用する特許法第126条第2、3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。


3、特許異議申立についての判断

イ、本件発明
本件に係る発明についてした訂正請求は、上記2のとおりの理由で認められるものであるから、本件に係る発明は、訂正請求書に添付した訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし13に記載された以下のとおりものである。(以下、それぞれ「本件発明1ないし13」という。)

【請求項1】 塵埃を空気流と共に吸い込むための送風機を備えた電気掃除機本体と、下面に塵埃を吸い込むための吸口開口部を備えた吸口体と、前記吸口開口部から吸い込まれた塵埃を前記電気掃除機本体に導くための通風路を形成する吸引管とを有し、
前記吸口体は、奥行方向の長さより左右方向の長さが長い吸口本体と、前記吸口本体の後方中央に取り付けられ前記吸引管と接続される接続部とを備え、前記吸口本体は、その後方中央に前記接続部の一端を接続する接続部取付部を備え、
前記接続部は、前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面で前記吸引管を前記吸口本体の左右方向に回転させるように一端が前記接続部取付部に接続された筒状の回転体と、一端が前記筒状の回転体の他端に内在されて接続され他端が前記吸引管に接続され、前記回転体に対して前記吸引管の清掃面とのなす仰角を変化させる継手とを備え、
前記回転体の他端には、その上面に上面端から後退し、前記継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容するヒンジ凹部が設けられ、
前記継手と接続された前記吸引管が、清掃面に対して略垂直な状態から前記吸口本体の左右方向に回転し、
前記吸口本体の底面に、前記吸口開口部を挾むように設けられた清掃面上の塵埃を掻き上げる刷毛と、この刷毛により掻き上げられ前記吸口開口部で吸い切れなかった塵埃を前記吸口開口部に戻すキーパーとを備えていることを特徴とする電気掃除機。

【請求項2】 塵埃を空気流と共に吸い込むための送風機を備えた電気掃除機本体と、下面に塵埃を吸い込むための吸口開口部を備えた吸口体と、前記吸口開口部から吸い込まれた塵埃を前記電気掃除機本体に導くための通風路を形成する吸引管とを有し、
前記吸口体は、奥行方向の長さより左右方向の長さが長い吸口本体と、前記吸口本体の後方中央に取り付けられ前記吸引管と接続される接続部とを備え、
前記吸口本体は、その後方中央に前記接続部の一端を接続する接続部取付部を備え、
前記接続部は、前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面で前記吸引管を前記吸口本体の左右方向に回転させるように一端が前記接続部取付部に接続された筒状の回転体と、一端が前記筒状の回転体の他端に内在されて接続され他端が前記吸引管に接続され、前記回転体に対して前記吸引管の清掃面とのなす仰角を変化させる継手とを備え、
前記回転体の他端には、その上面に上面端から後退し、前記継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容するヒンジ凹部が設けられ、
前記継手と接続された前記吸引管が、清掃面に対して略垂直な状態から前記吸口本体の左右方向に回転することを特徴とする電気掃除機。

【請求項3】 請求項2に記載において、
前記継手と接続された前記吸引管が、清掃面に対して略垂直な状態から前記吸口本体の左右方向と略平行な状態をとり得ることを特徴とする電気掃除機。

【請求項4】 塵埃を空気流と共に吸い込むための送風機を備えた電気掃除機本体と、下面に塵埃を吸い込むための吸口開口部を備えた吸口体と、前記吸口開口部から吸い込まれた塵埃を前記電気掃除機本体に導くための通風路を形成する吸引管とを有し、
前記吸口体は、奥行方向の長さより左右方向の長さが長い吸口本体と、一端が前記吸口本体に接続され他端が前記吸引管に接続される接続部とを備え、
前記吸口本体は、その後方中央に前記接続部の一端を接続する接続部取付部を備え、
前記接続部は、前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面の回転中心軸である第1回転軸により前記吸引管を前記吸口本体の左右方向に回転させるように一端が前記接続部取付部に接続された筒状の回転体と、一端が前記筒状の回転体の他端に内在されて接続され他端が前記吸引管に接続され、前記第1回転軸と直交する第2回転軸を回転中心として前記回転体に対して前記吸引管の清掃面とのなす仰角を変化させる継手とを備え、
前記回転体の他端には、その上面に上面端から後退し、前記継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容するヒンジ凹部が設けられ、
前記継手と接続された前記吸引管が、清掃面に対して略垂直な状態から前記吸口本体の左右方向に回転することを特徴とする電気掃除機。

【請求項5】 請求項4に記載において、
前記継手と接続された前記吸引管が、清掃面に対して略垂直な状態から前記吸口本体の左右方向と略平行な状態をとり得ることを特徴とする電気掃除機。

【請求項6】 請求項4に記載において、
前記第2回転軸は、前記継手の一端に形成された回転軸部と前記回転体の他端に形成された回転軸取付凹部との嵌合部の軸中心を通るものであることを特徴とする電気掃除機。

【請求項7】 請求項2乃至6の何れか1項に記載において、
前記継手の一端は、前記前記回転体の他端内に挿入されたことを特徴とする電気掃除機。

【請求項8】 下面に塵埃を吸い込むための吸口開口部を備え、奥行方向の長さより左右方向の長さが長い吸口本体と、一端が前記吸口本体と接続され他端が前記吸口開口部から吸い込まれた塵埃を電気掃除機本体に導くための吸引管に接続される接続部とを備え、
前記吸口本体は、その後方中央に前記接続部の一端を接続する接続部取付部を備え、
前記接続部は、一端が前記接続部取付部に接続される筒状の回転体と、一端が前記筒状の回転体の他端に内在されて接続され、前記回転体に対して仰角が変化する継手とを備え、
前記回転体は、その一端と前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面で前記継手を前記吸口本体の左右方向に回転させ、
前記回転体の他端には、その上面に上面端から後退し、前記継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容するヒンジ凹部が設けられ、
前記継手が、清掃面に対して略垂直な状態から前記吸口本体の左右方向に回転することを特徴とする電気掃除機の吸口体。

【請求項9】 請求項8に記載において、
前記継手が、清掃面に対して略垂直な状態から前記吸口本体の左右方向と略平行な状態をとり得ることを特徴とする電気掃除機の吸口体。

【請求項10】 下面に塵埃を吸い込むための吸口開口部を備え、奥行方向の長さより左右方向の長さが長い吸口本体と、一端が前記吸口本体と接続され他端が前記吸口開口部から吸い込まれた塵埃を電気掃除機本体に導くための吸引管に接続される接続部とを備え、
前記吸口本体は、その後方中央に前記接続部の一端を接続する接続部取付部を備え、
前記接続部は、その一端と前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面の回転中心軸である第1回転軸により前記一端が前記接続部取付部に回転可能に接続される筒状の回転体と、その一端が前記筒状の回転体の他端に内在されて接続され前記第1回転軸と直交する第2回転軸を回転中心として前記回転体に対して仰角が変化する継手とを備え、
前記回転体は、その一端と前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面で前記継手を前記吸口本体の左右方向に回転させ、
前記回転体の他端には、その上面に上面端から後退し、前記継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容するヒンジ凹部が設けられ、
前記継手が、清掃面に対して略垂直な状態から前記吸口本体の左右方向に回転することを特徴とする電気掃除機の吸口体。

【請求項11】 請求項10に記載において、
前記継手が、清掃面に対して略垂直な状態から前記吸口本体の左右方向と略平行な状態をとり得ることを特徴とする電気掃除機の吸口体。

【請求項12】 請求項10に記載において、
前記第2回転軸は、前記継手の一端に形成された回転軸部と前記回転体の他端に形成された回転軸取付凹部との嵌合部の軸中心を通るものであることを特徴とする電気掃除機の吸口体。

【請求項13】 請求項8乃至12の何れか1項に記載において、
前記継手の一端は、前記前記回転体の他端内に挿入されたことを特徴とする電気掃除機の吸口体。


ロ、特許異議申立の理由の概要
特許異議申立人・樋口守孝は、証拠方法として、
甲第1号証(特開昭55-19143号公報)
甲第2号証(実願昭56-122237号(実開昭58-26457号)のマイクロフィルム)
甲第3号証(特開平4-312427号公報)
甲第4号証(特公平2-24529号公報)
を提示し、本件発明1ないし13に係る特許は、特許法第29条第1項第3号或いは特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであるから取り消されるべき旨主張している。
また、特許異議申立人・斉藤 茂は、証拠方法として、
甲第1号証(特開昭55-19143号公報)
甲第2号証(実公昭55-40110号公報)
甲第3号証(特開平57-177728号公報)
を提示し、本件発明1、2、4、7、8、10、13に係る特許は、特許法第29条第1項第3号或いは特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであるから取り消されるべき旨主張している。

ここで、特許異議申立人・樋口守孝の甲第1号証と特許異議申立人・斉藤 茂の甲第1号証とは同じ刊行物であるので、以下、甲各号証を以下のとおりに刊行物1ないし6と読み替える。

刊行物1(特開昭55-19143号公報)
刊行物2(実願昭56-122237号(実開昭58-26457号)のマイクロフィルム)
刊行物3(特開平4-312427号公報)
刊行物4(特公平2-24529号公報)
刊行物5(実公昭55-40110号公報)
刊行物6(特開平57-177728号公報)

また、さらに、特許異議申立人・樋口守孝は、請求項1〜13の記載は不備がある旨の主張をしている。

ハ、刊行物記載の発明

[刊行物1;特開昭55-19143号公報]
刊行物1には、その第2頁左上欄第16行〜右上欄第17行に、
「電気掃除機(1)の集塵部となるダストケース(2)には、可撓ホース(3)と曲り管(4)と延長管(5)と接続管(6)とホルダ(7)とが順次接続されている。・・・下部ホルダ(9)の中央部には吸込路(12)に連通する吸込開口(13)が形成され、・・・前記接続管(6)は二つの分割管(16)(17)に分割されている。一方の分割管(16)は前記ホルダ(7)の吸込路(12)の一端に抜け止めされつつ回転自在に嵌合されている。・・・一方の分割管(16)の後端には第3図に示す状態では床面(掃除面)に対して直交する面内において略半円となる断面曲面形状の嵌合部(18)が形成され、他方の分割管(17)の前端には嵌合部(18)の内面に嵌合する略円形の嵌合部(19)が形成され、両嵌合部(18)(19)はそれらの側面においてビス(20)により抜け止めされつつ回動自在に接続嵌合されている。」
と記載があり、
第2頁左下欄第16〜20行に、
「机やベッド等障害物(23)の下の掃除面(22)を掃除する場合には、分割管(16)(17)同志が掃除面(22)と直交する方向に回動するため、延長管(5)を掃除面(22)に平行となる方向へ倒して障害物(23)との干渉を防止することができる。」
と記載があり、
第2頁右下欄第12〜16行に、
「本実施例によれば、嵌合部(18)(19)は一方向にのみ回動するするものであるが、一方の分割管(16)がホルダ(7)に回転自在に嵌合されているため、延長管(5)をあらゆる方向に偏位させることができ、操作性はきわめてよい。」
と記載があり、
第1〜6図には上記記載に沿った上下左右に回動自在な接続嵌合の態様について図示されているものと認められる。

[刊行物2;実開昭58-26457号]
刊行物2には、その第1頁第4〜16行に、
「床面に向けて開口する吸込風路が形成された本体を設け、この本体の後部に前記吸込風路と連通する第一の回転管を前後方向の軸心をもって左右方向に首振自在に嵌合し、一端が電気掃除機の集塵部に接続され他端が前記第一の回転管に嵌合される第二の回転管を設け、前記第一の回転管と前記第二の回転管との嵌合部に両者の軸心を湾曲する方向に曲率半径の中心を一致させて湾曲部を形成し、前記第一の回転管と前記第二の回転管とに両者の軸心と直交する軸心をもって互いに回動自在に連結されるヒンジ部を前記湾曲部の曲率半径の中心に位置させて設けたことを特徴とする電気掃除機の吸込口体。」
と記載があり、
第1〜4図には曲率半径の中心O、及び、第一の回転管と第二の回転管との嵌合部の軸心をもって首振自在にした電気掃除機の吸込口体が図示されている。

[刊行物3;特開平4-312427号公報]
刊行物3には、その第2頁第2欄〜第3頁第1欄の【0013】〜【0017】欄に、
「【0012】
1は吸込具本体で、下面に吸込口2を形成している。3は前記吸込具本体1に回動自在に取りつけられた接続管で、前記吸込具本体1は、前記接続管3に取付られる延長管及び蛇腹ホースを介して掃除機本体(いずれも図示せず)に接続されるようになっている。
【0013】
4は第1ブラシ片で、植毛密度の高い極細の軟毛ブラシよりなり、前記吸込口2の前方に、前記吸込具本体1の長手方向に略全幅にわたって複数に分割されて配設されている。5は第2ブラシ片で、硬毛ブラシよりなり、前記吸込口2の後方に、前記吸込具本体1の長手方向に略全幅にわたって配設されるとともに、前記第1ブラシ片4よりも下方へ突出している。
【0014】
6は前記第2ブラシ片5吸込口2側の、前記第1ブラシ片4の間隙に対応する位置に形成された補助ブラシ部となる第3ブラシ片で、植毛密度の高い極細の軟毛ブラシにより構成している。
【0015】
この構成により、フローリング等の板面を掃除する際には、第1ブラシ片4により板面を拭き取る効果が向上するとともに、第1ブラシ片4の植毛密度が高いため、従来に比べて第1ブラシ片4側からの空気漏れが減少し、吸込力が増大する。
【0016】
そして、畳やフローリングの板の継ぎ目等を掃除する際には、第2ブラシ片5により畳や板の継ぎ目等の塵埃を掻き出し、第2ブラシ片5を第1ブラシ片4よりも下方へ突出させることにより、畳の目や板の継ぎ目等の溝の塵埃を掻き出効果が向上する。また、比較的大きな塵埃は、第1ブラシ片4の間隙から吸気される。さらに、第1ブラシ片4の間隙により、フローリング等の板面を拭き取る効果が低下するが、第3ブラシ6により、板面を拭き取る効果が補われる。
【0017】
また、上記第1実施例においては、第3ブラシ片6を軟毛ブラシにより構成したが、図3乃至図4に示す第2実施例のごとく、この第3ブラシ片6を硬毛ブラシにて構成し、第2ブラシ片5及び第3ブラシ片6とを第1ブラシ片4よりも下方へ突出させてもよく、この構成によると、第3ブラシ片6により、畳や板の継ぎ目等の塵埃を掻き出す効果が補われる。」
と記載がある。

[刊行物4;特公平2-24529号公報]
刊行物4には、その第1頁第1欄第2〜12行に、
「1.電気掃除機側への接続口を有する吸込継手に、吸込空気により回転させられるタービンおよび同タービンと連動する回転ブラシを内蔵した吸込具本体を俯仰自在に接続し、かつ上記吸込具本体には、その俯角方向変位が一定値に達したとき開かれて上記吸込空気と別系統の空気を導入する制動空気路を形成し、この制動空気路を介して流入する空気と吸込空気の流れ方向は同一であって、タービンに対する作用点がその中心を間に反対側に設定されていることを特徴とする電気掃除機の吸込具。」
と記載があり、
第2、3図には、吸込継手に吸込具本体を俯仰自在に接続し、その俯角方向変位が一定値に達したとき開かれるバイパス空気路39が図示されている。

[刊行物5;実公昭55-40110号公報]
刊行物5には、その第1頁第2欄第4〜10行に、
「図において、1は吸込具本体、2は回転自在なパイプ、3は吸込具下、4はブラシで、バネ5を介して上下に出没自在になっている。6はローラー、7は上記吸込具下3の下面に形成された吸込通路3aに沿い、かつ同吸込通路3aに近接して配設した管状の中空棒で、ゴム等の可撓性材料で形成されている。」
と記載があり、
第1〜3図には、ブラシ4とゴム等の可撓性材料で形成された中空棒7が図示されている。

[刊行物6;特開平57-177728号公報]
刊行物6には、その第1頁左下欄第20行〜右下欄第9行に、
「9は吸口接手で、電気掃除機の延長管(図示せず)に接続される。前記吸口接手9は接続管10、回転ドラム部11および回転ドラム部11の両側面に一体的に設けられた軸12から構成されている。前記軸12は吸口ケースに回転自在に保持されている。15は吸口ケース上部1に設けられた回転ドラム取付部、16は吸口ケース下部2に設けられた回転ドラム取付部で、吸口接手9に設けられた回転ドラム部11が嵌合される。」
と記載があり、
第3図および第5図には、上方に位置する回転ドラム取付部15の端部に、延長管が接続される吸口接手9の接続管10が上記端部を越えて垂直方向に起こされることを許容するように、上記端部から後退して案内溝が設けられている点が図示されている。


ニ、対比・判断

a,本件発明1について
本件発明1と刊行物1記載の発明とを対比すると、刊行物1記載の「電気掃除機(1)」は本件発明1の「電気掃除機本体」に、以下、同様に「ホルダ(7)」は「吸口体」に、「延長管(5)」は「吸引管」に、「接続管(6)とホルダ(7)との接続部」は「接続部」に、「嵌合部(18)」は「接続部取付部」に、「分割管(16);第6図」は「筒状の回転体」に、「分割管(17)」は「継手」に、それぞれ相当し、かつそれらの機能は当業者において明らかであることを考慮すると、
両者は、
「塵埃を空気流と共に吸い込むための送風機を備えた電気掃除機本体と、下面に塵埃を吸い込むための吸口開口部を備えた吸口体と、前記吸口開口部から吸い込まれた塵埃を前記電気掃除機本体に導くための通風路を形成する吸引管とを有し、
前記吸口体は、奥行方向の長さより左右方向の長さが長い吸口本体と、前記吸口本体の後方中央に取り付けられ前記吸引管と接続される接続部とを備え、前記吸口本体は、その後方中央に前記接続部の一端を接続する接続部取付部を備え、
前記接続部は、前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面で前記吸引管を前記吸口本体の左右方向に回転させるように一端が前記接続部取付部に接続された筒状の回転体と、一端が前記筒状の回転体の他端に内在されて接続され他端が前記吸引管に接続され、前記回転体に対して前記吸引管の清掃面とのなす仰角を変化させる継手とを備えた電気掃除機。」
である点で一致し、

A,本件発明1が「回転体の他端には、その上面に上面端から後退し、継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容するヒンジ凹部」が設けられているのに対し、刊行物1記載の発明は相当する構成を有していない点。(以下、「相違点A」という。)

B,本件発明1が「継手と接続された吸引管が、清掃面に対して略垂直な状態から吸口本体の左右方向に回転」できるものであるのに対し、刊行物1記載の発明は相当する構成を有していない点。(以下、「相違点B」という。)

C,本件発明1が「吸口本体の底面に、前記吸口開口部を挾むように設けられた清掃面上の塵埃を掻き上げる刷毛と、この刷毛により掻き上げられ吸口開口部で吸い切れなかった塵埃を前記吸口開口部に戻すキーパーとを備えている」のに対し、刊行物1記載の発明は相当する構成を有していない点。(以下、「相違点C」という。)
で相違する。

そこで、相違点Aについて検討すると、刊行物6には、回転ドラム取付部15の端部に、延長管が接続される吸口接手9の接続管10が上記端部を越えて垂直方向に起こされることを許容するように、上記端部から後退して案内溝が設けられている点が図示されており、この図示から案内溝が、本件発明1における「回転体の他端には、その上面に上面端から後退し、継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容するヒンジ凹部」に対応する関係にあると認めることができる。
しかしながら、本件発明1におけるヒンジ凹部が「継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容する」ものであるのに対し、刊行物6の案内溝は「継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容する」ものではなく、継手が刊行物6に対する従来例どおり水平面に対して起立角度を45度から60度とした場合に端部20(第1図参照。)が通気路19にはみでて通気を阻害することを避けようとするものである。
したがって、類似した構造である点は認められるが、刊行物6記載の発明から上記相違点Aに係る構成が容易に想到可能とまではいうことができない。
また、その余の刊行物には、相違点Aに係る構成について記載も示唆もない。

相違点Bについては、刊行物2〜6に、相違点Bに係る構成については記載も示唆もない。
特許異議申立人・樋口守孝は、異議申立書に添付した甲第1号証の参考図において、また、特許異議申立人・斉藤 茂は異議申立書に添付した参考図2において、「継手と接続された吸引管が、清掃面に対して略垂直な状態」となりうる点が記載されている旨主張しているが、これらは吸引管自体が屈曲されているものであって、吸引管を屈曲させれば如何なる状態にも設定出来るが、相違点Bに係る構成は、継手と接続された吸引管が、屈曲部を設けることなく清掃面に対して略垂直な状態から吸口本体の左右方向に回転可能とした点に特徴があることは、特許明細書の記載に照らして明らかであり、両異議申立人の主張は認めることができないものである。

相違点Cについては、詳細に検討するまでもなく当業者において周知の事項であり、刊行物3、5にも記載がある。
したがって、相違点Cに係る構成は容易に想到可能なものである。

以上のとおりであるから、本件発明1は、上記相違点A,Bに係る構成を有し、それによって、特許明細書の【0053】欄記載の、「本発明によれば、吸口本体を手元ハンドルのひねり動作により回転させることができるので、電気掃除機の使用者が楽な姿勢で掃除を行なうことができるとともに、低い隙間の清掃性を向上させ、かつ電気掃除機の操作性を向上することができる。」という効果を奏しうるものであるから、刊行物1〜6のいずれかに記載された発明とも、刊行物1〜6記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものともできない。

b,本件発明2について
本件発明2は、上記本件発明1に対して「吸口本体の底面に、吸口開口部を挾むように設けられた清掃面上の塵埃を掻き上げる刷毛と、この刷毛により掻き上げられ吸口開口部で吸い切れなかった塵埃を前記吸口開口部に戻すキーパーとを備えていること」という要件を備えていない点で相違するのみである。
したがって、上記「a,本件発明1について」で検討した相違点Cに係る構成がないが、相違点A,Bに係る構成は存在する。
してみると、本件発明2は、上記「a,本件発明1について」で検討した相違点A,Bに係る構成を有し、それによって、特許明細書の【0053】欄記載の、「本発明によれば、吸口本体を手元ハンドルのひねり動作により回転させることができるので、電気掃除機の使用者が楽な姿勢で掃除を行なうことができるとともに、低い隙間の清掃性を向上させ、かつ電気掃除機の操作性を向上することができる。」という効果を奏しうるものであるから、刊行物1〜6のいずれかに記載された発明とも、刊行物1〜6記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものともできない。

c,本件発明3について
本件発明3は、本件発明2を引用しているものであるから、上記「b,本件発明2について」において検討した理由と同じ理由により、刊行物1〜6のいずれかに記載された発明とも、刊行物1〜6記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものともできない。

d,本件発明4について
本件発明4と刊行物1記載の発明とを対比すると、刊行物1記載の「電気掃除機(1)」は本件発明4の「電気掃除機本体」に、以下、同様に「ホルダ(7)」は「吸口体」に、「延長管(5)」は「吸引管」に、「接続管(6)とホルダ(7)との接続部」は「接続部」に、「嵌合部(18)」は「接続部取付部」に、「分割管(16);第6図」は「筒状の回転体」に、「分割管(17)」は「継手」に、それぞれ相当し、かつそれらの機能は当業者において明らかであることを考慮すると、
両者は、
「塵埃を空気流と共に吸い込むための送風機を備えた電気掃除機本体と、下面に塵埃を吸い込むための吸口開口部を備えた吸口体と、前記吸口開口部から吸い込まれた塵埃を前記電気掃除機本体に導くための通風路を形成する吸引管とを有し、
前記吸口体は、奥行方向の長さより左右方向の長さが長い吸口本体と、一端が前記吸口本体に接続され他端が前記吸引管に接続される接続部とを備え、
前記吸口本体は、その後方中央に前記接続部の一端を接続する接続部取付部を備え、
前記接続部は、前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面の回転中心軸である第1回転軸により前記吸引管を前記吸口本体の左右方向に回転させるように一端が前記接続部取付部に接続された筒状の回転体と、一端が前記筒状の回転体の他端に内在されて接続され他端が前記吸引管に接続され、前記第1回転軸と直交する第2回転軸を回転中心として前記回転体に対して前記吸引管の清掃面とのなす仰角を変化させる継手とを備えた電気掃除機。」
である点で一致し、

D,本件発明4が「回転体の他端には、その上面に上面端から後退し、継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容するヒンジ凹部」が設けられているのに対し、刊行物1記載の発明は相当する構成を有していない点。(以下、「相違点D」という。)

E,本件発明4が「継手と接続された吸引管が、清掃面に対して略垂直な状態から吸口本体の左右方向に回転」できるものであるのに対し、刊行物1記載の発明は相当する構成を有していない点。(以下、「相違点E」という。)
で相違する。

そこで、相違点Dについて検討すると、刊行物6には、回転ドラム取付部15の端部に、延長管が接続される吸口接手9の接続管10が上記端部を越えて垂直方向に起こされることを許容するように、上記端部から後退して案内溝が設けられている点が図示されており、この図示から案内溝が、本件発明4における「回転体の他端には、その上面に上面端から後退し、継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容するヒンジ凹部」に対応する関係にあると認めることができる。
しかしながら、本件発明4におけるヒンジ凹部が「継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容する」ものであるのに対し、刊行物6の案内溝は「継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容する」ものではなく、継手が刊行物6に対する従来例どおり水平面に対して俯角を45度から60度とした場合に端部20(第1図参照。)が通気路19にはみでて通気を阻害することを避けようとするものである。
したがって、類似した構造である点は認められるが、刊行物6記載の発明から上記相違点Dに係る構成が容易に想到可能とまではいうことができない。
また、その余の刊行物には、相違点Dに係る構成について記載も示唆もない。

相違点Eについては、刊行物2〜6に、相違点Eに係る構成については記載も示唆もない。
特許異議申立人・樋口守孝は、異議申立書に添付した甲第1号証の参考図において、また、特許異議申立人・斉藤 茂は異議申立書に添付した参考図2において、「継手と接続された吸引管が、清掃面に対して略垂直な状態」となりうる点が記載されている旨主張しているが、これらは吸引管自体が屈曲されているものであって、吸引管を屈曲させれば如何なる状態にも設定出来るが、相違点Dに係る構成は、継手と接続された吸引管が、屈曲部を設けることなく清掃面に対して略垂直な状態から吸口本体の左右方向に回転可能とした点に特徴があることは、特許明細書の記載に照らして明らかであり、両異議申立人の主張は認めることができないものである。

以上のとおりであるから、本件発明4は、上記相違点D,Eに係る構成を有し、それによって、特許明細書の【0053】欄記載の、「本発明によれば、吸口本体を手元ハンドルのひねり動作により回転させることができるので、電気掃除機の使用者が楽な姿勢で掃除を行なうことができるとともに、低い隙間の清掃性を向上させ、かつ電気掃除機の操作性を向上することができる。」という効果を奏しうるものであるから、刊行物1〜6のいずれかに記載された発明とも、刊行物1〜6記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものともできない。

e,本件発明5、6について
本件発明5、6は、本件発明4を引用しているものであるから、上記「d,本件発明4について」において検討した理由と同じ理由により、刊行物1〜6のいずれかに記載された発明とも、刊行物1〜6記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものともできない。

f,本件発明7について
本件発明7は、本件発明2ないし6のいずれかを引用しているものであるから、上記「a,本件発明1について」ないし「e,本件発明5、6について」において検討した理由と同じ理由により、刊行物1〜6のいずれかに記載された発明とも、刊行物1〜6記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものともできない。

g,本件発明8について
本件発明8と刊行物1記載の発明とを対比すると、刊行物1記載の「吸込開口(13)」は本件発明1の「吸口開口部」に、以下、同様に「ホルダ(7)」は「吸口本体」に、「延長管(5)」は「吸引管」に、「接続管(6)とホルダ(7)との接続部」は「接続部」に、「嵌合部(18)」は「接続部取付部」に、「分割管(16);第6図」は「筒状の回転体」に、「分割管(17)」は「継手」に、それぞれ相当し、かつそれらの機能は当業者において明らかであることを考慮すると、
両者は、
「下面に塵埃を吸い込むための吸口開口部を備え、奥行方向の長さより左右方向の長さが長い吸口本体と、一端が前記吸口本体と接続され他端が前記吸口開口部から吸い込まれた塵埃を電気掃除機本体に導くための吸引管に接続される接続部とを備え、
前記吸口本体は、その後方中央に前記接続部の一端を接続する接続部取付部を備え、
前記接続部は、一端が前記接続部取付部に接続される筒状の回転体と、一端が前記筒状の回転体の他端に内在されて接続され、前記回転体に対して仰角が変化する継手とを備え、
前記回転体は、その一端と前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面で前記継手を前記吸口本体の左右方向に回転させる電気掃除機の吸口体。」
である点で一致し、

F,本件発明8が「回転体の他端には、その上面に上面端から後退し、継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容するヒンジ凹部」が設けられているのに対し、刊行物1記載の発明は相当する構成を有していない点。(以下、「相違点F」という。)

G,本件発明8が「継手が、清掃面に対して略垂直な状態から吸口本体の左右方向に回転」できるものであるのに対し、刊行物1記載の発明は相当する構成を有していない点。(以下、「相違点G」という。)

そこで、相違点Fについて検討すると、刊行物6には、回転ドラム取付部15の端部に、延長管が接続される吸口接手9の接続管10が上記端部を越えて垂直方向に起こされることを許容するように、上記端部から後退して案内溝が設けられている点が図示されており、この図示から案内溝が、本件発明8における「回転体の他端には、その上面に上面端から後退し、継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容するヒンジ凹部」に対応する関係にあると認めることができる。
しかしながら、本件発明8におけるヒンジ凹部が「継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容する」ものであるのに対し、刊行物6の案内溝は「継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容する」ものではなく、継手が刊行物6に対する従来例どおり水平面に対して俯角を45度から60度とした場合に端部20(第1図参照。)が通気路19にはみでて通気を阻害することを避けようとするものである。
したがって、類似した構造である点は認められるが、刊行物6記載の発明から上記相違点Fに係る構成が容易に想到可能とまではいうことができない。
また、その余の刊行物には、相違点Fに係る構成について記載も示唆もない。

相違点Gについては、刊行物2〜6に、相違点Gに係る構成については記載も示唆もない。
特許異議申立人・樋口守孝は、異議申立書に添付した甲第1号証の参考図において、また、特許異議申立人・斉藤 茂は異議申立書に添付した参考図2において、「継手と接続された吸引管が、清掃面に対して略垂直な状態」となりうる点が記載されている旨主張しているが、これらは吸引管自体が屈曲されているものであって、吸引管を屈曲させれば如何なる状態にも設定出来るが、相違点Gに係る構成は、継手と接続された吸引管が、屈曲部を設けることなく清掃面に対して略垂直な状態から吸口本体の左右方向に回転可能とした点に特徴があることは、特許明細書の記載に照らして明らかであり、両異議申立人の主張は認めることができないものである。

以上のとおりであるから、本件発明8は、上記相違点F,Gに係る構成を有し、それによって、特許明細書の【0053】欄記載の、「本発明によれば、吸口本体を手元ハンドルのひねり動作により回転させることができるので、電気掃除機の使用者が楽な姿勢で掃除を行なうことができるとともに、低い隙間の清掃性を向上させ、かつ電気掃除機の操作性を向上することができる。」という効果を奏しうるものであるから、刊行物1〜6のいずれかに記載された発明とも、刊行物1〜6記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものともできない。

h,本件発明9について
本件発明9は、本件発明8を引用しているものであるから、上記「g,本件発明8について」において検討した理由と同じ理由により、刊行物1〜6のいずれかに記載された発明とも、刊行物1〜6記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものともできない。

i,本件発明10について
本件発明10と刊行物1記載の発明とを対比すると、刊行物1記載の「電気掃除機(1)」は本件発明10の「電気掃除機本体」に、以下、同様に「ホルダ(7)」は「吸口本体」に、「延長管(5)」は「吸引管」に、「接続管(6)とホルダ(7)との接続部」は「接続部」に、「嵌合部(18)」は「接続部取付部」に、「分割管(16);第6図」は「筒状の回転体」に、「分割管(17)」は「継手」に、それぞれ相当し、かつそれらの機能は当業者において明らかであることを考慮すると、
両者は、
「下面に塵埃を吸い込むための吸口開口部を備え、奥行方向の長さより左右方向の長さが長い吸口本体と、一端が前記吸口本体と接続され他端が前記吸口開口部から吸い込まれた塵埃を電気掃除機本体に導くための吸引管に接続される接続部とを備え、
前記吸口本体は、その後方中央に前記接続部の一端を接続する接続部取付部を備え、
前記接続部は、その一端と前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面の回転中心軸である第1回転軸により前記一端が前記接続部取付部に回転可能に接続される筒状の回転体と、その一端が前記筒状の回転体の他端に内在されて接続され前記第1回転軸と直交する第2回転軸を回転中心として前記回転体に対して仰角が変化する継手とを備え、
前記回転体は、その一端と前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面で前記継手を前記吸口本体の左右方向に回転させる電気掃除機の吸口体。」
である点で一致し、

H,本件発明10が「回転体の他端には、その上面に上面端から後退し、前記継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容するヒンジ凹部」が設けられているのに対し、刊行物1記載の発明は相当する構成を有していない点。(以下、「相違点H」という。)

I,本件発明10が「継手が、清掃面に対して略垂直な状態から吸口本体の左右方向に回転」できるものであるのに対し、刊行物1記載の発明は相当する構成を有していない点。(以下、「相違点I」という。)
で相違する。

そこで、相違点Hについて検討すると、刊行物6には、回転ドラム取付部15の端部に、延長管が接続される吸口接手9の接続管10が上記端部を越えて垂直方向に起こされることを許容するように、上記端部から後退して案内溝が設けられている点が図示されており、この図示から案内溝が、本件発明10における「回転体の他端には、その上面に上面端から後退し、継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容するヒンジ凹部」に対応する関係にあると認めることができる。
しかしながら、本件発明10におけるヒンジ凹部が「継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容する」ものであるのに対し、刊行物6の案内溝は「継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容する」ものではなく、継手が刊行物6に対する従来例どおり水平面に対して俯角を45度から60度とした場合に端部20(第1図参照。)が通気路19にはみでて通気を阻害することを避けようとするものである。
したがって、類似した構造である点は認められるが、刊行物6記載の発明から上記相違点Hに係る構成が容易に想到可能とまではいうことができない。
また、その余の刊行物には、相違点Hに係る構成について記載も示唆もない。

相違点Iについては、刊行物2〜6に、相違点Iに係る構成については記載も示唆もない。
特許異議申立人・樋口守孝は、異議申立書に添付した甲第1号証の参考図において、また、特許異議申立人・斉藤 茂は異議申立書に添付した参考図2において、「継手と接続された吸引管が、清掃面に対して略垂直な状態」となりうる点が記載されている旨主張しているが、これらは吸引管自体が屈曲されているものであって、吸引管を屈曲させれば如何なる状態にも設定出来るが、相違点Iに係る構成は、継手と接続された吸引管が、屈曲部を設けることなく清掃面に対して略垂直な状態から吸口本体の左右方向に回転可能とした点に特徴があることは、特許明細書の記載に照らして明らかであり、両異議申立人の主張は認めることができないものである。

以上のとおりであるから、本件発明10は、上記相違点H,Iに係る構成を有し、それによって、特許明細書の【0053】欄記載の、「本発明によれば、吸口本体を手元ハンドルのひねり動作により回転させることができるので、電気掃除機の使用者が楽な姿勢で掃除を行なうことができるとともに、低い隙間の清掃性を向上させ、かつ電気掃除機の操作性を向上することができる。」という効果を奏しうるものであるから、刊行物1〜6のいずれかに記載された発明とも、刊行物1〜6記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものともできない。

j,本件発明11、12について
本件発明11、12は、本件発明10を引用しているものであるから、上記「i,本件発明10について」において検討した理由と同じ理由により、刊行物1〜6のいずれかに記載された発明とも、刊行物1〜6記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものともできない。

k,本件発明13について
本件発明13は、本件発明8ないし12のいずれかを引用しているものであるから、上記「g,本件発明8について」ないし「j,本件発明11、12について」において検討した理由と同じ理由により、刊行物1〜6のいずれかに記載された発明とも、刊行物1〜6記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものともできない。

ホ、記載不備について
特許異議申立人・樋口守孝が主張する請求項1〜13に係る記載の不備は、その主張する具体的根拠は明りょうではないが、結局、請求項1〜13に係る記載の不備を主張しているから、特許を受けようとする発明が明確でないとの主張と認められる。
しかし、特許を取り消すべき程度の記載上の不備は如何にしても見出せない。

4、むすび
以上のとおりであるから、本件発明1ないし13についての特許は、特許異議申立ての理由及び証拠によっては取り消すことはできない。。
さらに、他に本件発明1ないし13についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
電気掃除機およびその吸口体
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 塵埃を空気流と共に吸い込むための送風機を備えた電気掃除機本体と、下面に塵埃を吸い込むための吸口開口部を備えた吸口体と、前記吸口開口部から吸い込まれた塵埃を前記電気掃除機本体に導くための通風路を形成する吸引管とを有し、
前記吸口体は、奥行方向の長さより左右方向の長さが長い吸口本体と、前記吸口本体の後方中央に取り付けられ前記吸引管と接続される接続部とを備え、
前記吸口本体は、その後方中央に前記接続部の一端を接続する接続部取付部を備え、
前記接続部は、前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面で前記吸引管を前記吸口本体の左右方向に回転させるように一端が前記接続部取付部に接続された筒状の回転体と、一端が前記筒状の回転体の他端に内在されて接続され他端が前記吸引管に接続され、前記回転体に対して前記吸引管の清掃面とのなす仰角を変化させる継手とを備え、
前記回転体の他端には、その上面に上面端から後退し、前記継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容するヒンジ凹部が設けられ、
前記継手と接続された前記吸引管が、清掃面に対して略垂直な状態から前記吸口本体の左右方向に回転し、
前記吸口本体の底面に、前記吸口開口部を挾むように設けられた清掃面上の塵埃を掻き上げる刷毛と、この刷毛により掻き上げられ前記吸口開口部で吸い切れなかった塵埃を前記吸口開口部に戻すキーパーとを備えていることを特徴とする電気掃除機。
【請求項2】 塵埃を空気流と共に吸い込むための送風機を備えた電気掃除機本体と、下面に塵埃を吸い込むための吸口開口部を備えた吸口体と、前記吸口開口部から吸い込まれた塵埃を前記電気掃除機本体に導くための通風路を形成する吸引管とを有し、
前記吸口体は、奥行方向の長さより左右方向の長さが長い吸口本体と、前記吸口本体の後方中央に取り付けられ前記吸引管と接続される接続部とを備え、
前記吸口本体は、その後方中央に前記接続部の一端を接続する接続部取付部を備え、
前記接続部は、前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面で前記吸引管を前記吸口本体の左右方向に回転させるように一端が前記接続部取付部に接続された筒状の回転体と、一端が前記筒状の回転体の他端に内在されて接続され他端が前記吸引管に接続され、前記回転体に対して前記吸引管の清掃面とのなす仰角を変化させる継手とを備え、
前記回転体の他端には、その上面に上面端から後退し、前記継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容するヒンジ凹部が設けられ、
前記継手と接続された前記吸引管が、清掃面に対して略垂直な状態から前記吸口本体の左右方向に回転することを特徴とする電気掃除機。
【請求項3】 請求項2に記載において、
前記継手と接続された前記吸引管が、清掃面に対して略垂直な状態から前記吸口本体の左右方向と略平行な状態をとり得ることを特徴とする電気掃除機。
【請求項4】 塵埃を空気流と共に吸い込むための送風機を備えた電気掃除機本体と、下面に塵埃を吸い込むための吸口開口部を備えた吸口体と、前記吸口開口部から吸い込まれた塵埃を前記電気掃除機本体に導くための通風路を形成する吸引管とを有し、
前記吸口体は、奥行方向の長さより左右方向の長さが長い吸口本体と、一端が前記吸口本体に接続され他端が前記吸引管に接続される接続部とを備え、
前記吸口本体は、その後方中央に前記接続部の一端を接続する接続部取付部を備え、
前記接続部は、前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面の回転中心軸である第1回転軸により前記吸引管を前記吸口本体の左右方向に回転させるように一端が前記接続部取付部に接続された筒状の回転体と、一端が前記筒状の回転体の他端に内在されて接続され他端が前記吸引管に接続され、前記第1回転軸と直交する第2回転軸を回転中心として前記回転体に対して前記吸引管の清掃面とのなす仰角を変化させる継手とを備え、
前記回転体の他端には、その上面に上面端から後退し、前記継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容するヒンジ凹部が設けられ、
前記継手と接続された前記吸引管が、清掃面に対して略垂直な状態から前記吸口本体の左右方向に回転することを特徴とする電気掃除機。
【請求項5】 請求項4に記載において、
前記継手と接続された前記吸引管が、清掃面に対して略垂直な状態から前記吸口本体の左右方向と略平行な状態をとり得ることを特徴とする電気掃除機。
【請求項6】 請求項4に記載において、
前記第2回転軸は、前記継手の一端に形成された回転軸部と前記回転体の他端に形成された回転軸取付凹部との嵌合部の軸中心を通るものであることを特徴とする電気掃除機。
【請求項7】 請求項2乃至6の何れか1項に記載において、
前記継手の一端は、前記前記回転体の他端内に挿入されたことを特徴とする電気掃除機。
【請求項8】 下面に塵埃を吸い込むための吸口開口部を備え、奥行方向の長さより左右方向の長さが長い吸口本体と、一端が前記吸口本体と接続され他端が前記吸口開口部から吸い込まれた塵埃を電気掃除機本体に導くための吸引管に接続される接続部とを備え、
前記吸口本体は、その後方中央に前記接続部の一端を接続する接続部取付部を備え、
前記接続部は、一端が前記接続部取付部に接続される筒状の回転体と、一端が前記筒状の回転体の他端に内在されて接続され、前記回転体に対して仰角が変化する継手とを備え、
前記回転体は、その一端と前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面で前記継手を前記吸口本体の左右方向に回転させ、
前記回転体の他端には、その上面に上面端から後退し、前記継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容するヒンジ凹部が設けられ、
前記継手が、清掃面に対して略垂直な状態から前記吸口本体の左右方向に回転することを特徴とする電気掃除機の吸口体。
【請求項9】 請求項8に記載において、
前記継手が、清掃面に対して略垂直な状態から前記吸口本体の左右方向と略平行な状態をとり得ることを特徴とする電気掃除機の吸口体。
【請求項10】 下面に塵埃を吸い込むための吸口開口部を備え、奥行方向の長さより左右方向の長さが長い吸口本体と、一端が前記吸口本体と接続され他端が前記吸口開口部から吸い込まれた塵埃を電気掃除機本体に導くための吸引管に接続される接続部とを備え、
前記吸口本体は、その後方中央に前記接続部の一端を接続する接続部取付部を備え、
前記接続部は、その一端と前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面の回転中心軸である第1回転軸により前記一端が前記接続部取付部に回転可能に接続される筒状の回転体と、その一端が前記筒状の回転体の他端に内在されて接続され前記第1回転軸と直交する第2回転軸を回転中心として前記回転体に対して仰角が変化する継手とを備え、
前記回転体は、その一端と前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面で前記継手を前記吸口本体の左右方向に回転させ、
前記回転体の他端には、その上面に上面端から後退し、前記継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容するヒンジ凹部が設けられ、
前記継手が、清掃面に対して略垂直な状態から前記吸口本体の左右方向に回転することを特徴とする電気掃除機の吸口体。
【請求項11】 請求項10に記載において、
前記継手が、清掃面に対して略垂直な状態から前記吸口本体の左右方向と略平行な状態をとり得ることを特徴とする電気掃除機の吸口体。
【請求項12】 請求項10に記載において、
前記第2回転軸は、前記継手の一端に形成された回転軸部と前記回転体の他端に形成された回転軸取付凹部との嵌合部の軸中心を通るものであることを特徴とする電気掃除機の吸口体。
【請求項13】 請求項8乃至12の何れか1項に記載において、
前記継手の一端は、前記前記回転体の他端内に挿入されたことを特徴とする電気掃除機の吸口体。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、使用者が手元ハンドルを操作することで簡単に吸口体の角度を任意に操作することのできる吸口体を備えた電気掃除機およびその吸口体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の電気掃除機に使用されている吸口体は、手元ハンドルに延長管を介して接続され、該手元ハンドルを延長管の長手方向を回転軸として回転させることで、吸口体に設けた継手構造によりある程度回転可能に取付けられている。
【0003】
その構造は、吸口本体の長手方向の両側を回転軸として上下方向に揺動可能に取付けられる第1の継手と、屈折した管状の形態を備え、その一端を前記第1の継手の軸方向に回転可能に取付け、他端を延長管に固定して取付けられる第2の継手から構成されている。そして、この吸口体によれば、手元ハンドルを回転させることにより、吸口体を第2の継手が屈折した角度、一般的には45度程度回転させることができる。
【0004】
例えば、これらの構造は特開平5ー245073号に開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の電気掃除機の吸口体は、吸口体を手元ハンドルを介して前後方向に移動させて掃除するために横長の吸口を基調として形成され、床面を効率良く清掃するようにしている。そして、テーブルの下や隙間の清掃性を向上するために前記した2つの継手を備えることで、手元ハンドルの操作で吸口体を床面に密着させたまま手元ハンドルの上下動や吸口体自体の回転を可能にしている。
【0006】
しかし、従来の吸口体は、吸口体自体の構造を堅牢にすることができるものの、吸口体自体の動作範囲に制約があるため手元ハンドルでの操作性に課題を残していた。
【0007】
例えば、壁際を清掃する場合は、吸口体の長手方向を壁面に沿って移動させるのが効率的である。しかし、前記従来の吸口体の構造では、手元ハンドルを90度回転させても継手の回転角度が45度程度しか回転できないために、前記作業を無理な姿勢で行ったり、両手で行わなくてはならなかった。また、ソファーの下などの低い隙間の清掃では、前記屈曲した継手が引っかかって思うような清掃効率を達成できなかった。
【0008】
本発明の目的は、手元ハンドルのひねり動作で吸口本体を床面に対して広範囲に回転させることができるとともに、低い隙間の清掃性が好適な電気掃除機を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本願に係る電気掃除機の1つの発明では、
塵埃を空気流と共に吸い込むための送風機を備えた電気掃除機本体と、下面に塵埃を吸い込むための吸口開口部を備えた吸口体と、前記吸口開口部から吸い込まれた塵埃を前記電気掃除機本体に導くための通風路を形成する吸引管とを有し、
前記吸口体は、奥行方向の長さより左右方向の長さが長い吸口本体と、前記吸口本体の後方中央に取り付けられ前記吸引管と接続される接続部とを備え、
前記吸口本体は、その後方中央に前記接続部の一端を接続する接続部取付部を備え、
前記接続部は、前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面で前記吸引管を前記吸口本体の左右方向に回転させるように一端が前記接続部取付部に接続された筒状の回転体と、一端が前記筒状の回転体の他端に内在されて接続され他端が前記吸引管に接続され、前記回転体に対して前記吸引管の清掃面とのなす仰角を変化させる継手とを備え、
前記回転体の他端には、その上面に上面端から後退し、前記継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容するヒンジ凹部が設けられ、
前記継手と接続された前記吸引管が、清掃面に対して略垂直な状態から前記吸口本体の左右方向に回転するように、構成される。
また、前記目的を達成するため、本願に係る電気掃除機の吸口体の1つの発明では、
下面に塵埃を吸い込むための吸口開口部を備え、奥行方向の長さより左右方向の長さが長い吸口本体と、一端が前記吸口本体と接続され他端が前記吸口開口部から吸い込まれた塵埃を電気掃除機本体に導くための吸引管に接続される接続部とを備え、
前記吸口本体は、その後方中央に前記接続部の一端を接続する接続部取付部を備え、
前記接続部は、一端が前記接続部取付部に接続される筒状の回転体と、一端が前記筒状の回転体の他端に内在されて接続され、前記回転体に対して仰角が変化する継手とを備え、
前記回転体は、その一端と前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面で前記継手を前記吸口本体の左右方向に回転させ、
前記回転体の他端には、その上面に上面端から後退し、前記継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容するヒンジ凹部が設けられ、
前記継手が、清掃面に対して略垂直な状態から前記吸口本体の左右方向に回転するように、構成される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を図1から図12を参照して説明する。
【0011】
第1の実施形態
図1から図9は本発明に係る第1の実施形態であり、図1が電機掃除機の外観斜視図、図2が吸口体の後方外観斜視図、図3が吸口体の平面図、図4が吸口体の正面図、図5が吸口体の右側面図、図6が吸口体の底面図、図7が吸口体の中央縦断面図、図8が接続部の外観斜視図、図9が接続部の分解図である。
【0012】
先ず、図1を参照して、本実施形態に係る電機掃除機を説明する。符号1で総括的に示すのは電気掃除機全体であり、塵埃を吸い込むための図示しない機構、例えば送風機を備えた電気掃除機本体100と、一端が前記電気掃除機本体100に取り付けられ、前記送風機に連通する柔軟性のある吸引ホース200と、前記吸引ホース200の他端に取り付けられて前記送風機に連通する手元ハンドル300と、前記手元ハンドル300に取り付けられて前記吸引ホース200に連通する吸引管400と、前記吸引管400に取り付けられ、該吸引管400に連通する吸口体500とから構成される。
【0013】
前記電気掃除機本体100は、内部に使い捨て塵埃袋を備えた集塵室を備え、一対の大車輪101と1個の自在車輪102とで、前記吸引ホース200を介して移動させることができる。また、前記電気掃除機本体100の運転制御は、該電気掃除機本体100の上面に設けた運転表示部内の赤外線受光部103で、手元ハンドル300から発信される操作信号を受けて操作される。
【0014】
また、手元ハンドル300から吸引ホース200に沿って電気的な導電線を設け、この導電線を介して電気掃除機の運転を制御するための信号、例えば送風機に設けられているモーターの回転速度を制御する信号を伝え、電気掃除機の運転を制御しても良い。
【0015】
前記吸引ホース200は、塵埃を前記電気掃除機本体100に搬送するための搬送通路としての機能と、電気掃除機本体100を移動させるための移動引っ張り手段としての機能を備えている。
【0016】
手元ハンドル300は、前記吸引ホース200と前記吸引管400とを連通させる機能と、前記電気掃除機本体100の運転制御および電気掃除機本体100を移動させる機能、さらに前記吸口体500の動きを操作する機能を備えている。該手元ハンドル300は、前記吸引ホース200と着脱可能に接続され、さらに前記吸引管400とも着脱自在に取り付けられることで、前記吸引ホース200と前記吸引管400とを連通させて塵埃の搬送路を形成している。さらに該手元ハンドル300は、前記吸引管400の長手方向、すなわち、前記吸引管400の中心軸B2の延長線上の上端に、前記中心軸B2と90度以上160度以下、好ましくは100度から120度前後の角度(図中のα)を持っている。そして、その長手方向の軸B1が前記吸引ホース200と前記吸引管400との接続方向と略一致する位置にハンドル部301を備えている。このハンドル部301により、前記吸引ホース200を介して前記電気掃除機本体100を移動させることができ、さらに、前記吸口体500の動きを操作することができる。特に、このハンドル部301によれば、ひねり動作、すなわち中心軸B2を中心とした回転P1を容易に行なうことができる。このひねり動作の際、前記ハンドル部301を上方に設けているので、下方に設けた吸引ホース200が前記ひねり動作を邪魔することが少ない。これにより、後述の如く吸口体500を床面(清掃面)上で90度以上回転させることができる(図中のP2)。また、上述したハンドルの形状により、吸口体500の回転操作を比較的容易に行なうことができる。この理由は、ハンドル部301に角度(図中のα)をつけることで、ハンドル部301をひねった際に回転モーメントが生じるためである。
【0017】
さらに、前記ハンドル部301の近傍には前記電気掃除機本体100の運転を操作する操作部302が設けられている。該操作部302には赤外線発信部303が設けられており、該赤外線発信部303から前記電気掃除機本体100に設けた赤外線受光部103に操作信号を発信し、前記電気掃除機本体100の電源のON、OFFや各種の制御を行なうことができる。なお、手元ハンドル300には図示しない電池等の電源部が備えられているので、前記吸引ホース200に電気配線を行なうことが不要である。また、赤外線発信部303を2ケ所に設けているため、天井や壁面等の反射を利用して操作信号を確実に電気掃除機本体100に伝達できるので、誤動作を軽減することができる。
【0018】
前記吸引管400は、前記手元ハンドル300と前記吸口体500とを連通させ、さらに該手元ハンドル300と該吸口体500とを所定の位置で固定することで、該手元ハンドル300の動き(移動や回転)を該吸口体500の動き(移動や回転)とするように伝達する機能を備えている。この実施例では、大きさの異なる2つの管体401と402とを組み合わせることにより、前記吸引管400を所定の長さで固定できるように伸縮自在に構成し、一方に前記手元ハンドル300を、他方に前記吸口体500を着脱自在に取り付けるようにしている。
【0019】
前記吸口体500は、塵埃を吸い込むための吸口開口部1006(図6参照)を底面に備えた吸口本体1000と、前記吸口本体1000を前記吸引管400に連結し、前記吸引管400を介して伝達される前記手元ハンドル300の動きに対して吸口本体1000の底面が常に床面(清掃面)と接するように動作するとともに、前記吸口本体1000から吸い込んだ塵埃を含む空気流を前記吸引管400に導くように連通する接続部1500とで構成される。
【0020】
前記接続部1500は、前記吸口本体1000の後方に設けられ、前記吸口体500の取付面に対して回転可能に取付けられる回転体1501と、前記回転体1501に対し仰角が変化可能な継手1502とから構成される。本実施形態においては、仰角を図中のYで示す。この構成により、本実施形態に係る電機掃除機1においては、前記手元ハンドル300のひねり動作の回転P1をそのまま前記吸口本体1000のP2として伝達する機能を持たせている。
【0021】
即ち、本実施形態の前記回転体1501は、前記吸口本体1000の背面に形成されるほぼ垂直な取付面に取付けられ、回転軸Q1(図7参照)を中心に、前記回転体1501と前記取付面との間に形成される回転面F(図7参照)上を回転する。この回転面Fの作用により、前記吸口体500は、前記回転軸Q1を中心に吸口体1000の両翼を振るようにZ方向に回転動作する。
【0022】
一方、前記継手1502は、前記回転体1501の他の一端に取り付けられ、回転軸Q2(図7参照)を中心に高低方向の角度(仰角)となるY方向に回転動作する。ここで、吸口体500は、その底面を清掃面に接するため、前記Z方向の回転は制限される。しかし、本実施形態では、回転体1501の一端にY方向に動作する回転軸Q2を備えているので、手元ハンドル300のひねり動作の回転P1は、前記回転軸Q1、Q2を中心とする2つの回転に変換され、吸口体500の後方を振るように動作して吸口体500の回転P2に変換される。これにより、本実施形態では前記手元ハンドル300のひねり動作P1を、吸口本体1000の回転P2として伝達することができる。
【0023】
なお、本実施形態では、前記吸口本体1000の前記Z方向の回転は、吸口体500を正対させて手元ハンドル300をその中心に位置させた直進状態において、少なくとも右方向へ90度、左方向へ90度、すなわち180度の範囲で行なうことができる。また、前記Y方向の回転は、前記吸引管400を水平にする位置から直立する位置、すなわち少なくとも90度の範囲で回転可能にしている。
【0024】
このように、本実施形態に係る電気掃除機1の大きな特徴は、手元ハンドル300を介した吸口体500の動作、例えば手元ハンドル300のひねり動作の回転P1を、そのまま吸口体500の回転P2として伝達できる等、電気掃除機1の使用者が手元ハンドル300で行なう動作を吸口体500の動作としてスムーズに行なうことができる点にある。特に、この実施形態に係る吸口体500は、吸口本体1000の後方に接続部1500が配置されているので吸口体500の全高が低くなるから、吸口本体1000の底面を清掃面に密着させたままで、例えばベッドの下などの高さの低い空間にもぐり込ませることができる。しかも、ベッドの下にもぐり込ませても吸口体500は左右にぶれることなく直進性に優れている。以下、本実施形態に係る電気掃除機の大きな特徴の1つである吸口体500を詳細に説明する。
【0025】
次に、図2を基に図3から図6を参照して、前記吸口体500の外観構造について説明する。図2から図5において、前記したように、吸口体500は、吸口本体1000と、この吸口本体1000の後方の中央に配置された接続部1500とから構成されている。前記吸口体1000は上面が前方に傾斜した薄形の横長箱体形状に形成されている。また、前記吸口体1000は、この吸口本体1000の上部を覆う樹脂材料で成形された上カバー1001と、吸口本体1000の下部を覆う樹脂材料で成形された下カバー1002とから構成される。前記上カバー1001と下カバー1002は吸口本体1000の周側部で合わされ、その合わせ部に凸状のバンパー1003が形成されている。この実施形態では、図7に示すように、前記バンパー1003を上カバー1001と一体成形し、このバンパー1003に下カバー1002が嵌まり込むように組み立てられて、図示しないネジで取付けられている。なお、前記バンパー1003を別体の材料、例えば、ゴムなどの軟質材、あるいは弾力性のある樹脂材料で形成し、これを上カバー1001と下カバー1002とで上下から挟み込むように組み立ててネジで止めるようにしてもよい。
【0026】
また、前記吸口本体1000は、図3に示す上面形状において、前記バンパー1003を含めて4隅に大きな丸みがあるように形成され、吸口本体1000が清掃面を回転したときに、角が当たって家具を傷付けないように配慮した形状としている。
【0027】
また、吸口本体1000の後方となる周側面、すなわち背面の中央には後方からみて円形に隆起した凸状の接続部取付部1004が形成され、この接続部取付部1004の円形の面は床面に対してほぼ垂直になるように形成される。そして、この接続部取付部1004の前記円形の面に後方に伸びるように接続部1500が回転可能に取付けられる。ここで、本実施例では上カバー1001と下カバー1002の結合部を円形の接続部1500の中央の位置に設けてあり、この上ケース1001と下ケース1002を組み立てる際に、前記接続部1500を挟み込むようにして組み立てるようにしている。
【0028】
また、本実施形態では、前記接続部1500を、内部の通風路を確保しつつ、多様な動きにも堅固に動作可能なように、接続部1500の直径を大きく形成している。これにともない、前記接続部取付部1004の円形の直径も大きく形成している。一方、本実施形態の吸口体500は内部に回転ブラシなどを設けない低価格機種を想定して設計しているため、吸口本体1000を薄くして、できるだけコンパクトにしている。本実施形態では、薄い吸口本体1000に堅固な接続部1500を取付けるために、吸口本体1000の上面中央に、前方から後方の接続部取付部1004に向かって徐々に隆起して連続する隆起部1005を形成し、全体のコンパクト化を図りながら堅固でかつ吸い込み効率のよい十分な開口を備えた接続部1500を取付けるようにしている。
【0029】
一方、前記接続部1500は、基本造形を円柱形状に形成され、その一方の円形部を前記接続部取付部1004に回転可能に取付け、他の一方を、側面からみて半円形となるように形成している。この半円形の外観を備えた接続部1500の一端には、前記半円形の中心位置に取付けられる回転軸によって回転可能に取付けられる継手1502が設けられている。この詳細な構造については、図7で述べる。
【0030】
図6において、吸口本体1000の中央には塵埃を吸い込むための横長矩形状の吸口開口部1006が形成され、この吸口開口部1006の前方に柔軟性のある凸状の刷毛1007が一列に並んで配置され、さらに、その前方に前記吸口開口部1006に塵埃を含んだ空気流をガイドして気流の流れを整流する複数の凸状のガイド突起1008が設けられている。一方、前記吸口開口部1006の後方には、この吸口開口部1006で吸い切れなかった塵埃をはね返して吸口開口部1006へ戻すための凸状のキーパー1009が設けられている。そして、前記吸口開口部1006を清掃面から適度に浮かせて、前記凸状の刷毛1007やキーパー1009の効率をよくするとともに、吸口体500の走行機能を確保する車輪1200を、吸口本体1000の四隅近傍に設けている。これにより、吸口体500を前後方向にスムーズに移動させることができ、この際前記刷毛1007で清掃面をブラッシングして、これにより舞い上がった塵埃を効率よく吸い込むことができる。また、前記車輪1200は適度な硬さがある滑り樹脂材料で形成されているので、吸口体500の回転動作にもスムーズに回転させることができる。さお、前記車輪1200を中央が膨らんだ太鼓形状としたり、車輪走行面に刷毛や絨毯生地を貼り付けるなどすると、回転性能を一段と向上することができる。
【0031】
また、この実施形態では、前記凸状に形成したバンパー1003の長手方向の一部を切り欠いて複数の凹部1010を形成している。これにより、吸口体500の先端部(バンパー1003の前部)を壁に押し付けた場合、前記バンパー1003に形成した凹部1010から空気を吸い込むことができる。この吸い込まれる空気はスポット的に吹き付けられ、しかも前記複数のガイド突起1008によりその流速が早くなるので刷毛1007が届かない清掃面の部分、例えば壁際の清掃面を速いスポット的な気流により舐めて、塵埃を効率よく吸い込むことができる。さらに吸い込まれた空気は前記ガイド突起1008により整流されて吸口開口部1006に吸引される。
【0032】
このように、本実施例に係る吸口本体1000によれば、滑り部材からなる車輪1200により吸口本体1000の操作性を向上することができ、さらに、ガイド突起1008、刷毛1007、キーパー1009を設けているので、床面(清掃面)の清掃効率を向上させることができる。また、本実施例に係る吸口本体1000を回転させた場合においても、車輪1200が滑り部材により形成されているので、吸口本体1000の操作性が低下することがない。
【0033】
次に、図7から図9において吸口体500の内部構造を説明する。図において、この実施形態に係る吸口体500は、回転軸Q1、Q2を備えており、吸口本体1000のZ方向の回転がQ1に沿って行われ、高低方向の角度(仰角)Yの回転が回転軸Q2に沿って行なわれる。
【0034】
前記回転体1501および継手1502は、前記吸口本体1000の吸口開口部1006と連通する通風開口部1503を備えており、これにより、吸口開口部1006から吸引管取付部1512まで連通する塵埃の通路を構成する。前記回転体1501は、ほぼ筒状の形状を備えており、その一端に前記接続部取付部1004に形成される円形の第1のヒンジ受部1504に回転可能に嵌合する第1のヒンジ凸部1505が形成され、他の一端に継手1502を内在させて回転可能にする第2の回転ヒンジ受部1506を形成している。前記第1のヒンジ凸部1505は第1のヒンジ受部1504とともに回転軸Q1を中心として回転する第1の回転ヒンジ部1507を構成し、前記第2のヒンジ受部1506は継手1502の一端に形成される第2のヒンジ凸部1508とともに回転軸Q2を中心として回転する第2の回転ヒンジ部1509を構成する。
【0035】
前記第1のヒンジ凸部1505は、凸状のリング部1510の周囲にリング溝1511を形成したもので、このリング溝1511に前記第1のヒンジ受部1504が勘合して、第1のヒンジ部1507を回転可能にする。そして、この第1のヒンジ部1507は、前記回転体1501の第1のヒンジ凸部1505と、接続部取付部1004の前記第1のヒンジ受部1504の取付面に回転面Fが形成され、この回転面Fの上を回転体1501が回転する。
【0036】
一方、前記第2のヒンジ凹部1506は、継手1502の一端に形成された横配置の筒体形状の第2のヒンジ凸部1508を内在させる。先ず、この継手1502を説明の都合上、先に説明する。
【0037】
前記継手1502は、横配置の筒体の形状を備えた第2のヒンジ凸部1508と、その一方の筒体の周側面に取付けられるパイプ状の吸引管取付部1512とから構成される。前記第2のヒンジ凸部1508は、吸引管取付部1512が取付けられる周側面と対向する周側に開口部1513が形成され、筒体の両側に回転突起1514(図9参照)が形成される。
【0038】
さて、前記第2のヒンジ凹部1506は、横配置の筒状の前記第2のヒンジ凸部1508を内在するように、側面からみて半円形となるように形成され、その後方に前記継手1502の吸引管取付部1512が前記半円形の周側面に沿ってY方向に動作を可能にする駆動溝1515を設けている。また、前記第2のヒンジ凹部1506の内壁面両側には回転軸取付凹部1516が形成され、この回転軸取付凹部1516に前記第2のヒンジ凸部1508の前記回転突起1514が樹脂弾性を利用して挿入嵌合されて結合され、この嵌合部の中心に構成される回転軸Q2を中心に前記継手1502が回転体1501に回転可能に取付けられる。
【0039】
ところで、本実施形態では、前記継手1502を、その長手方向が水平な姿勢から直立する姿勢までを動作可能にしている。このため、前記2つの姿勢を動作可能にし、かつ回転体1501と継手1502の通風路を空気漏れなくするためには、前記第2のヒンジ凸部1508に形成した開口部1513が小さくなる。そこで、この実施形態では、前記開口部1513の大きさ(高さ寸法)を大きくして、前記継手1502が水平な姿勢で上方に開口する隙間を塞ぐシャッタを設けている。このシャッタ1517は、前記継手1502が水平な姿勢では第2のヒンジ凸部1508と第2のヒンジ凹部1506との隙間を塞ぎ、前記継手1502が垂直な姿勢では第2のヒンジ凹部1506内に収納される。この構造は、図9に示すように、シャッタ1517の両側に回転軸受部1518を設け、この回転軸受部1518の先端に前記回転突起1514に回転可能に勘合する回転軸孔1519を設ける。これにより、シャッタ1517を第2のヒンジ凸部1508と同じ回転軸Q2で摺動することができるので、前記第2のヒンジ凸部1508の動きに合せてシャッタ1517を出没させることができる。
【0040】
本実施形態では前記シャッタ1517を設けることにより、前記継手1502の高低方向の角度(仰角)Yを小さくしたとき(水平姿勢)に、塵埃を含んだ空気流の漏れを防ぎ、前記電気掃除機本体100に設けた集塵室に塵埃を含んだ空気流を導くのに十分な開口面積を維持しながら、前記回転体1501と前記継手1532とを連通させることができる。
【0041】
なお、本実施例ではシャッタ機構として1個のシャッタ1517を用いたが、これに限るものではなく、ジャバラや伸縮自在な軟質材、および複数のシャッタなどを用いてもよい。
【0042】
第2の実施形態
図10から図12は本発明に係る電気掃除機の第2の実施形態である。この実施形態は、前記第1の実施形態の吸口体に採用されている接続部の他の実施形態を示している。図10は接続部の外観斜視図、図11は接続部の分解斜視図、図12は接続部の断面図を示している。
【0043】
この実施形態に係る接続部1600は、前記第2の実施形態で説明した接続部1500に置き換えることが可能なものである。したがって、以後の説明及び図面では、接続部1500以外の吸口本体1000及び電気掃除機本体1や手元ハンドル300は前記第1の実施形態と共通につき説明を省略している。
【0044】
図において、この実施形態に係る接続部1600は、前記吸口本体1000の後方に設けられ、前記吸口体500の取付面に対して回転可能に取付けられる回転体1601と、前記回転体1601に対し仰角が変化可能な継手1602とから構成される。本実施形態の接続部1600を備えた電機掃除機1においては、前記第1の実施形態と同様、前記手元ハンドル300のひねり動作の回転P1をそのまま前記吸口本体1000の回転P2として伝達する機能を持たせることができる。
【0045】
この実施形態の接続部1600を備えた吸口体500もまた、図10に示すように、回転軸Q1、Q2を備えており、この回転軸Q1により吸口本体1000をZ方向に回転させ、前記回転軸Q2により吸口体1000を高低方向の角度(仰角)となるY方向に回転させることができる。
【0046】
前記回転体1601および継手1602は、前記吸口本体1000の吸口開口部1006と連通する通風開口部1503を備えており、これにより、吸口開口部1006から吸引管取付部1512まで連通する塵埃の通路を構成する。前記回転体1601は、ほぼ筒状の形状を備えており、その一端に前記接続部取付部1004に形成される円形の第1のヒンジ受部1504に回転可能に嵌合する第1のヒンジ凸部1505が形成され、他の一端に継手1602を内在させて回転可能にする第2の回転ヒンジ受部1606を形成している。前記第1のヒンジ凸部1505は第1のヒンジ受部1504とともに回転軸Q1を中心として回転する第1の回転ヒンジ部1507を構成し、前記第2のヒンジ受部1606は継手1602の一端に形成される第2のヒンジ凸部1608とともに回転軸Q2を中心として回転する第2の回転ヒンジ部1609を構成する。
【0047】
前記第1のヒンジ凸部1505は、凸状のリング部1510の周囲にリング溝1511を形成したもので、このリング溝1511に前記第1のヒンジ受部1504が勘合して、第1のヒンジ部1507を回転可能にする。そして、この第1のヒンジ部1507は、前記回転体1501の第1のヒンジ凸部1505と、接続部取付部1004の前記第1のヒンジ受部1504の取付面に回転面Fが形成され、この回転面Fの上を回転体1501が回転する。
【0048】
一方、前記第2のヒンジ凹部1606は、回転軸Q2となる回転軸受部1620を回転体1601の上端に設け、第2のヒンジ凹部1606の下部内壁面(下部流通路)を前記回転軸Q2を中心とする円弧状に形成している。このため、回転体1501の後部の外観形状は、上面後方に開口部1621が形成され、その下部がお椀状に形成された形態としている。ここで、前記回転軸Q2は前記開口部1621の前端に設けられている。
【0049】
また、前記継手1602は、筒状の形態を備え、その一端の開口部1622に第2のヒンジ凸部1608を設け、他の一端となる開口部1623に吸引管取付部1512とが構成される。前記第2のヒンジ凸部1608は、上部に前記回転受部1620に取付けられる回転軸部1624が設けられ、下部は前記回転軸部1624を中心として下方に張り出した円弧状としている。そして、前記第2のヒンジ凸部1608は、前記回転軸部1624を回転受部1620に樹脂の弾性を利用して回転可能に取付けて、第2のヒンジ凹部1606の内部に収納される。この際、前記第2のヒンジ凸部1608の外観形状は、前記第2のヒンジ凹部1606の内壁面形状より僅かに小さく形成して、その両部の隙間から空気流が漏れないようにする。これにより、前記第2のヒンジ凸部1608は、回転軸Q2を中心にして前記第2のヒンジ凹部1606の内部に出没自在に収納される。ここで、この実施形態では、第2のヒンジ凸部1608が第2のヒンジ凹部1606に収納されて互いに重なりあう前記下方の円弧状の摺動面1625の角度S1を少なくとも90度以上の範囲としている。これにより、継手1602が水平な状態から、Y方向に回転して垂直な姿勢となる位置まで回転動作が可能となり、しかも、この動作範囲で、第2のヒンジ凸部1608と第2のヒンジ凹部1606の間から空気漏れを防ぐことができる。
【0050】
このように本実施形態によれば、第2の回転ヒンジ部1609の構造を、上部に配置した回転軸Q2を中心に第2のヒンジ凸部1608を第2のヒンジ凹部1606内に出没可能にしているので、前記第1の実施形態と同様な作用効果を有しながら、新たなシャッタ機構を設ける必要がない。また、前記第2の回転ヒンジ部1609の構造によれば、前記開口部1622の大きさをつねに同じ大きさにできるので、塵埃の詰まりを軽減することができるとともに、騒音を軽減することができる。
【0051】
以上、本実施形態に係る電気掃除機においては、利用者が立ち姿勢で手元ハンドルを持ち絨毯やたたみなどを掃除する場合には、ハンドルの長手方向を進行方向に向けて前後に横長の吸口体を移動させることで通常の電気掃除機と同様な掃除が可能である。また、この姿勢からハンドルの長手方向をひねることにより、吸口体を回転することができる。この実施形態では、手元ハンドルを左右に90度ずつひねることで、吸口体も左右に90度ずつ回転させることができる。例えば、吸口体を90度回転させて、その長手方向に沿って移動しながらの清掃を行うことができる。この際、利用者は通常の清掃姿勢と同様に清掃することができる。更に、手元ハンドルをひねる動作により、自動車のハンドルをきるように、吸口体の進行方向を変更することもできる。
【0052】
加えて、本実施形態によれば、手元ハンドルを低い位置にして、ベッドの下など清掃する場合、吸口体の高さが低いので高さが低い部位てももぐり込ませることができる。しかも、この手元ハンドルが低い姿勢において吸口体が左右にぶれないので清掃性がよい。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、吸口本体を手元ハンドルのひねり動作により回転させることができるので、電気掃除機の使用者が楽な姿勢で掃除を行なうことができるとともに、低い隙間の清掃性を向上させ、かつ電気掃除機の操作性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明に係る電気掃除機の実施例を示す電気掃除機の外観斜視図である。
【図2】
本発明に係る電気掃除機の実施例を示す吸口体の斜視図である。
【図3】
本発明に係る電気掃除機の実施例を示す吸口体の平面図である。
【図4】
本発明に係る電気掃除機の実施例を示す吸口体の正面図である。
【図5】
本発明に係る電気掃除機の実施例を示す吸口体の右側面図である。
【図6】
本発明に係る電気掃除機の実施例を示す吸口体の底面図である。
【図7】
本発明に係る電気掃除機の実施例を示す吸口体の断面図である。
【図8】
本発明に係る電気掃除機の実施例を示す吸口体接続部の外観斜視図である。
【図9】
本発明に係る電気掃除機の実施例を示す吸口体接続部の分解斜視図である。
【図10】
本発明に係る電気掃除機の他の実施例を示す吸口体接続部の外観斜視図である。
【図11】
本発明に係る電気掃除機の他の実施例を示す吸口体接続部の分解斜視図である。
【図12】
本発明に係る電気掃除機の他の実施例を示す吸口体接続部の断面図である。
【符号の説明】
1…電気掃除機、100…電気掃除機本体、101…大車輪、102…自在車輪、103…赤外線受光部、200…吸引ホース、300…手元ハンドル、301…ハンドル部、302…操作部、303…赤外線発信部、400…吸引管、401、402…管体、500…吸口体、1000…吸口本体、1200…車輪、1500…接続部、1501…回転体、1502…継手、B1…長手方向の軸、B2…中心軸、F…回転面、P1…手元ハンドルのひねり、P2…吸口体の旋回、Q1、Q2…回転軸、Z…吸口体の両側を振る方向の回転、Y…高低方向の回転。
 
訂正の要旨 イ、訂正の内容
[訂正事項a]
願書に添付した明細書(以下、「特許明細書」という。)の【請求項1】の記載、
「【請求項1】 塵埃を空気流と共に吸い込むための送風機を備えた電気掃除機本体と、下面に塵埃を吸い込むための吸口開口部を備えた吸口体と、前記吸口開口部から吸い込まれた塵埃を前記電気掃除機本体に導くための通風路を形成する吸引管とを有し、
前記吸口体は、奥行方向の長さより左右方向の長さが長い吸口本体と、前記吸口本体の後方中央に取り付けられ前記吸引管と接続される接続部とを備え、前記吸口本体は、その後方中央に前記接続部の一端を接続する接続部取付部を備え、
前記接続部は、前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面で前記吸引管を前記吸口本体の左右方向に回転させるように一端が前記接続部取付部に接続された回転体と、一端が前記回転体の他端と接続され他端が前記吸引管に接続され、前記回転体に対して前記吸引管の清掃面とのなす仰角を変化させる継手とを備え、
前記回転体の他端には、その上面に上面端から後退し、前記継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容するヒンジ凹部が設けられ、
前記継手と接続された前記吸引管が、清掃面に対して略垂直な状態から前記吸口本体の左右方向に回転し、
前記吸口本体の底面に、前記吸口開口部を挾むように設けられた清掃面上の塵埃を掻き上げる刷毛と、この刷毛により掻き上げられ前記吸口開口部で吸い切れなかった塵埃を前記吸口開口部に戻すキーパーとを備えていることを特徴とする電気掃除機。」
を、
「【請求項1】 塵埃を空気流と共に吸い込むための送風機を備えた電気掃除機本体と、下面に塵埃を吸い込むための吸口開口部を備えた吸口体と、前記吸口開口部から吸い込まれた塵埃を前記電気掃除機本体に導くための通風路を形成する吸引管とを有し、
前記吸口体は、奥行方向の長さより左右方向の長さが長い吸口本体と、前記吸口本体の後方中央に取り付けられ前記吸引管と接続される接続部とを備え、前記吸口本体は、その後方中央に前記接続部の一端を接続する接続部取付部を備え、
前記接続部は、前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面で前記吸引管を前記吸口本体の左右方向に回転させるように一端が前記接続部取付部に接続された筒状の回転体と、一端が前記筒状の回転体の他端に内在されて接続され他端が前記吸引管に接続され、前記回転体に対して前記吸引管の清掃面とのなす仰角を変化させる継手とを備え、
前記回転体の他端には、その上面に上面端から後退し、前記継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容するヒンジ凹部が設けられ、
前記継手と接続された前記吸引管が、清掃面に対して略垂直な状態から前記吸口本体の左右方向に回転し、
前記吸口本体の底面に、前記吸口開口部を挾むように設けられた清掃面上の塵埃を掻き上げる刷毛と、この刷毛により掻き上げられ前記吸口開口部で吸い切れなかった塵埃を前記吸口開口部に戻すキーパーとを備えていることを特徴とする電気掃除機。」
と訂正する。(下線部は訂正個所を示す。以下、同じ。)
[訂正事項b]
特許明細書の【請求項2】の記載、
「【請求項2】 塵埃を空気流と共に吸い込むための送風機を備えた電気掃除機本体と、下面に塵埃を吸い込むための吸口開口部を備えた吸口体と、前記吸口開口部から吸い込まれた塵埃を前記電気掃除機本体に導くための通風路を形成する吸引管とを有し、
前記吸口体は、奥行方向の長さより左右方向の長さが長い吸口本体と、前記吸口本体の後方中央に取り付けられ前記吸引管と接続される接続部とを備え、
前記吸口本体は、その後方中央に前記接続部の一端を接続する接続部取付部を備え、
前記接続部は、前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面で前記吸引管を前記吸口本体の左右方向に回転させるように一端が前記接続部取付部に接続された回転体と、一端が前記回転体の他端と接続され他端が前記吸引管に接続され、前記回転体に対して前記吸引管の清掃面とのなす仰角を変化させる継手とを備え、
前記回転体の他端には、その上面に上面端から後退し、前記継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容するヒンジ凹部が設けられ、
前記継手と接続された前記吸引管が、清掃面に対して略垂直な状態から前記吸口本体の左右方向に回転することを特徴とする電気掃除機。」
を、
「【請求項2】 塵埃を空気流と共に吸い込むための送風機を備えた電気掃除機本体と、下面に塵埃を吸い込むための吸口開口部を備えた吸口体と、前記吸口開口部から吸い込まれた塵埃を前記電気掃除機本体に導くための通風路を形成する吸引管とを有し、
前記吸口体は、奥行方向の長さより左右方向の長さが長い吸口本体と、前記吸口本体の後方中央に取り付けられ前記吸引管と接続される接続部とを備え、
前記吸口本体は、その後方中央に前記接続部の一端を接続する接続部取付部を備え、
前記接続部は、前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面で前記吸引管を前記吸口本体の左右方向に回転させるように一端が前記接続部取付部に接続された筒状の回転体と、一端が前記筒状の回転体の他端に内在されて接続され他端が前記吸引管に接続され、前記回転体に対して前記吸引管の清掃面とのなす仰角を変化させる継手とを備え、
前記回転体の他端には、その上面に上面端から後退し、前記継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容するヒンジ凹部が設けられ、
前記継手と接続された前記吸引管が、清掃面に対して略垂直な状態から前記吸口本体の左右方向に回転することを特徴とする電気掃除機。」
と訂正する。
[訂正事項c]
特許明細書の【請求項4】の記載、
「【請求項4】 塵埃を空気流と共に吸い込むための送風機を備えた電気掃除機本体と、下面に塵埃を吸い込むための吸口開口部を備えた吸口体と、前記吸口開口部から吸い込まれた塵埃を前記電気掃除機本体に導くための通風路を形成する吸引管とを有し、
前記吸口体は、奥行方向の長さより左右方向の長さが長い吸口本体と、一端が前記吸口本体に接続され他端が前記吸引管に接続される接続部とを備え、
前記吸口本体は、その後方中央に前記接続部の一端を接続する接続部取付部を備え、
前記接続部は、前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面の回転中心軸である第1回転軸により前記吸引管を前記吸口本体の左右方向に回転させるように一端が前記接続部取付部に接続された回転体と、一端が前記回転体の他端と接続され他端が前記吸引管に接続され、前記第1回転軸と直交する第2回転軸を回転中心として前記回転体に対して前記吸引管の清掃面とのなす仰角を変化させる継手とを備え、
前記回転体の他端には、その上面に上面端から後退し、前記継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容するヒンジ凹部が設けられ、
前記継手と接続された前記吸引管が、清掃面に対して略垂直な状態から前記吸口本体の左右方向に回転することを特徴とする電気掃除機。」
を、
「【請求項4】 塵埃を空気流と共に吸い込むための送風機を備えた電気掃除機本体と、下面に塵埃を吸い込むための吸口開口部を備えた吸口体と、前記吸口開口部から吸い込まれた塵埃を前記電気掃除機本体に導くための通風路を形成する吸引管とを有し、
前記吸口体は、奥行方向の長さより左右方向の長さが長い吸口本体と、一端が前記吸口本体に接続され他端が前記吸引管に接続される接続部とを備え、
前記吸口本体は、その後方中央に前記接続部の一端を接続する接続部取付部を備え、
前記接続部は、前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面の回転中心軸である第1回転軸により前記吸引管を前記吸口本体の左右方向に回転させるように一端が前記接続部取付部に接続された筒状の回転体と、一端が前記筒状の回転体の他端に内在されて接続され他端が前記吸引管に接続され、前記第1回転軸と直交する第2回転軸を回転中心として前記回転体に対して前記吸引管の清掃面とのなす仰角を変化させる継手とを備え、
前記回転体の他端には、その上面に上面端から後退し、前記継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容するヒンジ凹部が設けられ、
前記継手と接続された前記吸引管が、清掃面に対して略垂直な状態から前記吸口本体の左右方向に回転することを特徴とする電気掃除機。」
と訂正する。
[訂正事項d]
特許明細書の【請求項8】の記載、
「【請求項8】 下面に塵埃を吸い込むための吸口開口部を備え、奥行方向の長さより左右方向の長さが長い吸口本体と、一端が前記吸口本体と接続され他端が前記吸口開口部から吸い込まれた塵埃を電気掃除機本体に導くための吸引管に接続される接続部とを備え、
前記吸口本体は、その後方中央に前記接続部の一端を接続する接続部取付部を備え、
前記接続部は、一端が前記接続部取付部に接続される回転体と、一端が前記回転体の他端と接続され、前記回転体に対して仰角が変化する継手とを備え、
前記回転体は、その一端と前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面で前記継手を前記吸口本体の左右方向に回転させ、
前記回転体の他端には、その上面に上面端から後退し、前記継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容するヒンジ凹部が設けられ、
前記継手が、清掃面に対して略垂直な状態から前記吸口本体の左右方向に回転することを特徴とする電気掃除機の吸口体。」
を、
「【請求項8】 下面に塵埃を吸い込むための吸口開口部を備え、奥行方向の長さより左右方向の長さが長い吸口本体と、一端が前記吸口本体と接続され他端が前記吸口開口部から吸い込まれた塵埃を電気掃除機本体に導くための吸引管に接続される接続部とを備え、
前記吸口本体は、その後方中央に前記接続部の一端を接続する接続部取付部を備え、
前記接続部は、一端が前記接続部取付部に接続される筒状の回転体と、一端が前記筒状の回転体の他端に内在されて接続され、前記回転体に対して仰角が変化する継手とを備え、
前記回転体は、その一端と前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面で前記継手を前記吸口本体の左右方向に回転させ、
前記回転体の他端には、その上面に上面端から後退し、前記継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容するヒンジ凹部が設けられ、
前記継手が、清掃面に対して略垂直な状態から前記吸口本体の左右方向に回転することを特徴とする電気掃除機の吸口体。」
と訂正する。
[訂正事項e]
特許明細書の【請求項10】の記載、
「【請求項10】 下面に塵埃を吸い込むための吸口開口部を備え、奥行方向の長さより左右方向の長さが長い吸口本体と、一端が前記吸口本体と接続され他端が前記吸口開口部から吸い込まれた塵埃を電気掃除機本体に導くための吸引管に接続される接続部とを備え、
前記吸口本体は、その後方中央に前記接続部の一端を接続する接続部取付部を備え、
前記接続部は、その一端と前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面の回転中心軸である第1回転軸により前記一端が前記接続部取付部に回転可能に接続される回転体と、その一端が前記回転体の他端と接続され前記第1回転軸と直交する第2回転軸を回転中心として前記回転体に対して仰角が変化する継手とを備え、
前記回転体は、その一端と前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面で前記継手を前記吸口本体の左右方向に回転させ、
前記回転体の他端には、その上面に上面端から後退し、前記継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容するヒンジ凹部が設けられ、
前記継手が、清掃面に対して略垂直な状態から前記吸口本体の左右方向に回転することを特徴とする電気掃除機の吸口体。」
を、
「【請求項10】 下面に塵埃を吸い込むための吸口開口部を備え、奥行方向の長さより左右方向の長さが長い吸口本体と、一端が前記吸口本体と接続され他端が前記吸口開口部から吸い込まれた塵埃を電気掃除機本体に導くための吸引管に接続される接続部とを備え、
前記吸口本体は、その後方中央に前記接続部の一端を接続する接続部取付部を備え、
前記接続部は、その一端と前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面の回転中心軸である第1回転軸により前記一端が前記接続部取付部に回転可能に接続される筒状の回転体と、その一端が前記筒状の回転体の他端に内在されて接続され前記第1回転軸と直交する第2回転軸を回転中心として前記回転体に対して仰角が変化する継手とを備え、
前記回転体は、その一端と前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面で前記継手を前記吸口本体の左右方向に回転させ、
前記回転体の他端には、その上面に上面端から後退し、前記継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容するヒンジ凹部が設けられ、
前記継手が、清掃面に対して略垂直な状態から前記吸口本体の左右方向に回転することを特徴とする電気掃除機の吸口体。」
と訂正する。
[訂正事項f]
特許明細書の【0009】欄の記載、
「【課題を解決するための手段】 前記目的を達成するため、本願に係る電気掃除機の1つの発明では、塵埃を空気流と共に吸い込むための送風機を備えた電気掃除機本体と、下面に塵埃を吸い込むための吸口開口部を備えた吸口体と、前記吸口開口部から吸い込まれた塵埃を前記電気掃除機本体に導くための通風路を形成する吸引管とを有し、前記吸口体は、奥行方向の長さより左右方向の長さが長い吸口本体と、前記吸口本体の後方中央に取り付けられ前記吸引管と接続される接続部とを備え、前記吸口本体は、その後方中央に前記接続部の一端を接続する接続部取付部を備え、前記接続部は、前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面で前記吸引管を前記吸口本体の左右方向に回転させるように一端が前記接続部取付部に接続された回転体と、一端が前記回転体の他端と接続され他端が前記吸引管に接続され、前記回転体に対して前記吸引管の清掃面とのなす仰角を変化させる継手とを備え、前記回転体の他端には、その上面に上面端から後退し、前記継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容するヒンジ凹部が設けられ、前記継手と接続された前記吸引管が、清掃面に対して略垂直な状態から前記吸口本体の左右方向に回転するように、構成される。また、前記目的を達成するため、本願に係る電気掃除機の吸口体の1つの発明では、下面に塵埃を吸い込むための吸口開口部を備え、奥行方向の長さより左右方向の長さが長い吸口本体と、一端が前記吸口本体と接続され他端が前記吸口開口部から吸い込まれた塵埃を電気掃除機本体に導くための吸引管に接続される接続部とを備え、前記吸口本体は、その後方中央に前記接続部の一端を接続する接続部取付部を備え、前記接続部は、一端が前記接続部取付部に接続される回転体と、一端が前記回転体の他端と接続され、前記回転体に対して仰角が変化する継手とを備え、前記回転体は、その一端と前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面で前記継手を前記吸口本体の左右方向に回転させ、前記回転体の他端には、その上面に上面端から後退し、前記継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容するヒンジ凹部が設けられ、前記継手が、清掃面に対して略垂直な状態から前記吸口本体の左右方向に回転するように、構成される。」
を、
「【課題を解決するための手段】 前記目的を達成するため、本願に係る電気掃除機の1つの発明では、塵埃を空気流と共に吸い込むための送風機を備えた電気掃除機本体と、下面に塵埃を吸い込むための吸口開口部を備えた吸口体と、前記吸口開口部から吸い込まれた塵埃を前記電気掃除機本体に導くための通風路を形成する吸引管とを有し、前記吸口体は、奥行方向の長さより左右方向の長さが長い吸口本体と、前記吸口本体の後方中央に取り付けられ前記吸引管と接続される接続部とを備え、前記吸口本体は、その後方中央に前記接続部の一端を接続する接続部取付部を備え、前記接続部は、前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面で前記吸引管を前記吸口本体の左右方向に回転させるように一端が前記接続部取付部に接続された筒状の回転体と、一端が前記筒状の回転体の他端に内在されて接続され他端が前記吸引管に接続され、前記回転体に対して前記吸引管の清掃面とのなす仰角を変化させる継手とを備え、前記回転体の他端には、その上面に上面端から後退し、前記継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容するヒンジ凹部が設けられ、前記継手と接続された前記吸引管が、清掃面に対して略垂直な状態から前記吸口本体の左右方向に回転するように、構成される。また、前記目的を達成するため、本願に係る電気掃除機の吸口体の1つの発明では、下面に塵埃を吸い込むための吸口開口部を備え、奥行方向の長さより左右方向の長さが長い吸口本体と、一端が前記吸口本体と接続され他端が前記吸口開口部から吸い込まれた塵埃を電気掃除機本体に導くための吸引管に接続される接続部とを備え、前記吸口本体は、その後方中央に前記接続部の一端を接続する接続部取付部を備え、前記接続部は、一端が前記接続部取付部に接続される筒状の回転体と、一端が前記筒状の回転体の他端に内在されて接続され、前記回転体に対して仰角が変化する継手とを備え、前記回転体は、その一端と前記接続部取付部の端部との間で清掃面に対して略垂直に形成される回転面で前記継手を前記吸口本体の左右方向に回転させ、前記回転体の他端には、その上面に上面端から後退し、前記継手が清掃面に対して略垂直な状態をとり得ることを許容するヒンジ凹部が設けられ、前記継手が、清掃面に対して略垂直な状態から前記吸口本体の左右方向に回転するように、構成される。」
と訂正する。
異議決定日 2001-10-17 
出願番号 特願平9-327538
審決分類 P 1 651・ 113- YA (A47L)
P 1 651・ 534- YA (A47L)
P 1 651・ 121- YA (A47L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 金丸 治之  
特許庁審判長 佐藤 洋
特許庁審判官 岡田 和加子
和泉 等
登録日 2000-05-12 
登録番号 特許第3066353号(P3066353)
権利者 株式会社日立製作所
発明の名称 電気掃除機およびその吸口体  
代理人 鈴木 市郎  
代理人 鈴木 市郎  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ