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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C08L
審判 全部申し立て 2項進歩性  C08L
審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備  C08L
管理番号 1056602
異議申立番号 異議2001-70926  
総通号数 29 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1992-09-10 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-03-23 
確定日 2002-02-09 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3092728号「組積造多孔質支持体処理用の撥水性組成物」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3092728号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 〔1〕手続の経緯
本件特許第3092728号は、平成3年(1991年)8月20日(優先権主張1990.9.7 米国)に特許出願され、平成12年7月28日にその特許権の設定登録がなされた。
その後、信越化学工業株式会社より特許異議の申立がなされ、当審より平成13年6月25日付けの取消理由が通知され、その指定期間内である平成14年1月7日付けで訂正請求がなされた。
〔2〕訂正の適否についての判断
1.訂正事項は次のとおりである。
(1)訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1中の「並びに直鎖のメチル水素-メチルアルキルシ・・・・成る群より選択されるシロキサンコポリマー」を、
「及び下記一般式:
(OSiRH)d(OSiRR')e
で表されるシロキサンコポリマー」と訂正する。
(2)訂正事項b
特許請求の範囲の請求項1中の「多孔質支持体処理用」を、「細積造多孔質支持体処理用」と訂正する。
(3)訂正事項c
特許請求の範囲の請求項2および請求項3を特許請求の範囲の減縮を目的として削除する。
(4)訂正事項d
発明の名称を「細積造多孔質支持体処理用の溌水性組成物」に訂正する。
(5)訂正事項e
明細書段落【0001】中の「細積造用溌水性シロキサン及びシロキサンコポリマー組成物に関する。より詳細には、本発明は、多孔質支持体を処理するための、直鎖メチル水素-メチルアルキルシロキサンまたはメチル水素-メチルアルキルシクロシロキサンのようなコポリマーを含有する乳濁液である溌水性組成物」を、
「細積造多孔質支持体を処理するための溌水性組成物」と訂正する。
(6)訂正事項f
明細書段落【0018】の記載を、
「本発明の組積造多孔質支持体処理用溌水性組成物は、水、少なくとも1種の界面活性剤、及び下記一般式:
(OSiRH)d(OSiRR')e
で表されるシロキサンコポリマーを含有する乳濁液を含んで成る。」に訂正する
(7)訂正事項g
明細書段落【0019】および【0020】の記載を削除する。
(8)訂正事項h
2.訂正の適否の判断
訂正は、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてなされたものである。
そして、(1)訂正事項aはシロキサンコポリマーを特定なものに限定し、(2)訂正事項bは組積造多孔質に用途限定をし、(3)訂正事項cは特許請求の範囲から請求項を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、(4)訂正事項d〜(8)訂正事項hは、特許請求の範囲の減縮に伴う特許請求の範囲と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
3.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正請求は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項および第3項の規定に適合するので、当該訂正を適法なものとして認める。
〔3〕特許異議の申立てについての判断
1.本件発明
異議申立の対象となった本件請求項1〜3に係る発明は、その後上記訂正請求がなされ、本件訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものとなっている。
「【請求項1】 水、少なくとも1種の界面活性剤、及び下記一般式:
(OSiRH)d(OSiRR’)e
(上式中、Rは1〜3個の炭素原子を有するアルキル基であり;R’はアルキル基(CH2)cRであり;cは1〜17の値を有する整数であり;dは3〜10の値を有する整数であり;そしてeは0〜7の値を有する整数である)
で表されるシロキサンコポリマーを含有する乳濁液を含んで成る、組積造多孔質支持体処理用の撥水性組成物。」
2.特許異議申立理由の概要
特許異議申立人信越化学工業株式会社は、証拠として下記刊行物1〜3に対応する甲第1〜3号証を引用し、
(i)本件請求項1〜3に係る発明の特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してなされたものであること、および
(ii)本件請求項1〜3に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであること、および
(iii)本件特許は特許法第36条第3項及び第4項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであるから、
本件特許を取り消すべきである旨主張する。
3.引用刊行物の記載事項
当審が通知した取消理由で引用した各刊行物には次の事項が記載されている。
(1)刊行物1(特公昭53-24388号公報;甲第1号証)には、
「(イ)平均組成式
R1aHbSi0 4-a-b/2(式中、R1は置換もしくは非置換の1価炭化水素基を示し、a=0.8〜2.1、b=0.0〜1.2、a+b=1.8〜2.2である)で示されるオルガノハイドロジエンポリシロキサン
(ロ)一般式
・・・・
で示される第四級アンモニウム塩
および
(ハ)硬化用触媒
を含有してなる溌水剤粗成物。」(特許請求の範囲)、
「この発明の組成物が適用される繊維質物は特にこれを制限する理由はなく、これは各種の天然繊維、化学繊維、合成繊維あるいは2種以上の組合せによる混紡、交織の織物などにも適用され、さらには各種のラミネート加工織物、コーティング加工織物、ブロック加工織物、カーペット類、不織布、動物皮革、合成皮革なども適用することができる。」(第3頁第6欄第16〜23行)
と記載されている。
(2)刊行物2(特公昭60-36511号公報;甲第2号証)には、
「(イ)分子中に式
R1aHbSi0 4‐a‐b/2(式中、R1は炭素原子数1〜30の一価炭化水素基を表わす。aおよびbはそれぞれ1または2、ただし2≦a+b≦3である)で示されるシロキサン単位を少くとも1個有するオルガノハイドロジエンポリシロキサン 10〜90重量%、
(ロ)同R23SiO0.5単位(式中、R2は炭素原子数1〜6の一価炭化水素基を表わす)とSi02単位とからなり、・・・であるオルガノポリシロキサン樹脂、またはこのオルガノポリシロキサン樹脂と平均組成式
・・・・
で示され、分子鎖両末端が水素基で封鎖されたアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンとの混合物 90〜10重量%
からなる織物用シリコーン系撥水剤。」(特許請求の範囲)、
と記載されている。
(3)刊行物3(特開昭57-95882号公報;甲第3号証)には、
「無機質吸水性建材の表面に、(イ)環状オルガノポリシロキサンと、(ロ)官能基結合オルガノトリアルコキシシランとを、(ハ)スルホン酸系界面活性剤、または第4級アンモニウム系界面活性剤および(ニ)水の存在下に乳化重合してなるオルガノポリシロキサンラテックス組成物を付着せしめ、ついで乾燥させることを特徴とする無機質吸水性建材の溌水処理方法。」(特許請求の範囲)、
「無機質吸水性建材、例えば、モルタル、コンクリート、スレート、ALC、石こうボード、レンガ、石、粘土瓦は吸水性、透水性が大きいので実用上問題があり、種々の撥水処理の試みがされている。そのひとつとしてシリコーン系溌水剤による表面処理が知られている。その代表的なものとしてアルカリアルキルシリコネート水溶液、ジメチルポリシロキサンオイル、その溶液もしくはそのエマルジョン、メチルハイドロジエンポリシロキサン、その溶液もしくはそのエマルジョンが知られており、その一部は実用化されている。」(第1頁右下欄第4〜14行)
と記載されている。
4.対比および判断
(4.1)〈新規性違反について〉
〔理由1〕〈新規性違反について〉
本件請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)と、各刊行物記載の発明とを対比するに、本件発明は、「水、少なくとも1種の界面活性剤、及び下記一般式:
(OSiRH)d(OSiRR’)e
(上式中、Rは1〜3個の炭素原子を有するアルキル基であり;R’はアルキル基(CH2)cRであり;cは1〜17の値を有する整数であり;dは3〜10の値を有する整数であり;そしてeは0〜7の値を有する整数である)で表されるシロキサンコポリマー(以下「環状シロキサンコポリマー」と略称する。)を含有する乳濁液を含んで成る、組積造多孔質支持体処理用の撥水性組成物」という、いわゆる主要成分が環状シロキサンコポリマーであるのに対して、刊行物1、2に記載のものは、オルガノハイドロジエンポリシロキサンであるから、両者には明確な違いが認められる。
そして、本件発明は、「組積造多孔質支持体処理用の撥水性組成物」という、コンクリ一ト、石灰石、天然石のような「組積造多孔質支持体を撥水剤で処理する」というものであるのに対して、刊行物1、2に記載のものは、専ら「繊維製品」の撥水処理をするものであり、この点でも本件発明は刊行物1、2に示す繊維質物、織物のような材料と明確な違いがある。
同様に、本件発明と刊行物3に記載の発明とを対比するに、本件発明は環状シロキサンコポリマーを主体とする撥水性組成物であるが、刊行物3記載のものは環状構造を取らないオルガノポリシロキサンラテックスを対象とするものであって、両者のシロキサンポリマーにおいて本質的な違いがある。
また、本件発明は 「組積造多孔質支持体処理用の撥水性組成物」に限定されたものであるのに対して、刊行物3に記載のものは、「無機質吸水性建材」を対象とするものであって、両者は用途において明確な違いがある。
以上のとおりであるから、組積造多孔質支持体処理用の撥水性組成物に係る本件発明は、刊行物1〜3に記載された発明とはいえない。
したがって、本件発明に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してなされたものではない。
(4.2)〈進歩性違反について〉
〔理由2〕〈進歩性違反について〉
本件発明の目的は、コンクリート、石灰石、及び天然石のような組積造多孔質支持体を、処理用の撥水性組成物により化学的に固定して、表面水を流す能力を支持体表面に付与すると共にその抗吸水性を改良することである。
本件発明と刊行物1〜3に記載の発明とは、上記理由1の検討事項で既に指摘したとおり、発明を構成する技術要件、特に環状シロキサンコポリマーおよび組積造多孔質支持体処理用という点で両者に本質的な違いがある。
しかも、刊行物1〜3には、刊行物1、2に記載されたオノガノハイドロジェンポリシロキサン、又は刊行物3に記載のオルガノポリシロキサンを用いる事例に基づいて、本件発明で限定する環状シロキサンコポリマーを選定することが当業者が容易に為し得る程度の技術的論拠が示されていない。
同様に、本件発明で限定する撥水組成物を、組積造多孔質支持体処理用という、特定の対象物の撥水処理に適用するという用法が、刊行物1、2に記載の繊維織物、刊行物3に記載の無機質吸水性建材の撥水処理という用法に基づいて容易に想到し得ることではない。
本件発明の作用効果は、刊行物1、2に記載の撥水剤の性質、刊行物3記載の、コンクリート等の「無機質吸水性建材」に適用した事例には見られない、上記本件発明の目的を達成するにおいて特有の有意な作用効果を奏している。
したがって、本件発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものではない。
(4.3)〈明細書の記載要件〉
〔理由3〕〈明細書記載の不備〉
本件明細書の記載に関して、本件特許異議申立人は、特許異議申立書第11頁第27行〜第12頁第10行において、特に本件明細書の記載に関して、本件各請求項の記載は、単に「多孔質支持体処理用」と記載され、繊維製品はもとより、紙、発泡プラスチックなどをも含む非常に広汎な記載とされ、必須構成要件を記載していない点、および本件発明は、式(l)の定義からすると、b=O、R=メチル基であり得るものであり、直鎖のメチル水素-ジメチルシロキサンコポリマー、メチル水素-ジメチルシクロシロキサンコポリマーであってもよいものであるが、本件実施例の記載からも認められるように、少なくとも式(l)は-(CH2)c-Rを含むこと、つまりbが0であることを必須とするものである点で、明細書に記載に不備がある旨主張する。
しかしながら、上記主張する点は、上記訂正によりもはや解消している。
したがって、本件特許は、特許法第36条第4項及び第5項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものではない。
5.むすび
したがって、特許異議申立人の主張および証拠によっては、訂正後の本件請求項1に係る発明の特許を取り消すことができない。
また、他に訂正後の本件請求項1に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
組積造多孔質支持体処理用の撥水性組成物
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 水、少なくとも1種の界面活性剤、及び下記一般式:
(OSiRH)d(OSiRR’)e
(上式中、Rは1〜3個の炭素原子を有するアルキル基であり;R’はアルキル基(CH2)cRであり;cは1〜17の値を有する整数であり;dは3〜10の値を有する整数であり’そしてeは0〜7の値を有する整数である)
で表されるシロキサンコポリマーを含有する乳濁液を含んで成る、組積造多孔質支持体処理用の撥水性組成物。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、組積造多孔質支持体を処理するための撥水性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
防水性は、コンクリート及び組積式構造物にとって重要な因子である。何故なら、コンクリート中の湿分の移動が膨張、収縮、亀裂、汚染、カビ、耐凍結性及び耐融解性の低減、化学的攻撃、強化スチールの腐食、及び沈降由来の構造物への損失、のような問題の原因となるからである。これらの問題故、コンクリートを撥水性にするために各種の技術が用いられてきた。これらの方法のいくつかには、コンクリート構造物の表面を撥水剤で処理することが含まれる。従来より使用されている撥水剤は、油類、ワックス類、石鹸類、樹脂類、及び有機珪素化合物類であり、そしてこれらは、ブラシ、ローラー、エアスプレー、またはエアレススプレー法により組積表面に適用されてきた。使用されてきた撥水剤の最も一般的な種類の一つは有機珪素化合物類であり、そして有機溶剤中のこのような化合物が、レンガ、コンクリート、スタッコ、またはテラゾ表面に対して有用であることが認められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、一つの実施態様においてシロキサン類を含み、そしてその実施態様のシロキサン類は、シロキサン分子内にシリリジン基、すなわち、
【0004】

【0005】
が存在することにおいて、先行技術のシロキサン組成物とは異なる。この差異が、以降に指摘するように重要である。
【0006】
本発明は、シロキサンまたはシロキサンコポリマーを含有する水性乳濁液を用いる多孔質支持体処理用の撥水性組成物に関する。シロキサンは直鎖のメチル水素シロキサンまたは環状のメチル水素シロキサンのどちらかであることができる。シロキサンコポリマーは直鎖のメチル水素-メチルアルキルシロキサンコポリマーまたはメチル水素-メチルアルキルシクロシロキサンコポリマーのどちらかであることができる。
【0007】
本発明はまた、シロキサンを界面活性剤及び水と混合して調製した乳濁液状の組成物を多孔質支持体に適用して、前記多孔質支持体表面に耐久性の分水界面コーティングを形成することによる、多孔質支持体上に分水界面コーティングを作製する方法にも関する。
【0008】
それゆえ、本発明の目的は、コンクリート、石灰石、及び天然石のような多孔質支持体に撥水剤を化学的に固定して、表面水を流す能力を支持体表面に付与すると共にその抗吸水性を改良することである。
【0009】
本発明のさらなる目的は、コンクリート、石灰石、及び石のような多孔質支持体内部のシリコーン母材密度を増加させて、支持体を防水性にすると同時に支持体に表面水を流す特性を付与することである。
【0010】
本発明の別の目的は、コンクリート及び石灰石のような多孔質支持体並びに他の非反応性組積造表面用の浸透性組積造用擾水性組成物を提供し、そして支持体を水浸透抵抗性にするだけではなく、さらに表面における水の浸入を防止することである。
【0011】
ここで記述した発明のこれらの及び他の目的、特徴、及び利点は、本発明の以下の詳細な記述を考慮することによりさらに明らかになる。
【0012】
【課題を解決するための手段、作用、及び効果】
アルキルアルコキシシラン類を含有する組積造用撥水剤は、コンクリート、モルタル、及び石のような多孔質支持体に撥水性を付与する。このような撥水剤は、これらが固体樹脂材に変化する前に組積造中に浸透するので、このように機能する。しかしながら、多孔質支持体への撥水剤の浸透のため、撥水剤層は多孔質支持体上に多くは残らない。その結果、撥水剤は、支持体を防水性にするのには有効であるが、十分な耐久性を有するコーティングを支持体に供与することがない。ここで開示される組成物は、この欠点を克服するために向けられ、そして支持体内部の水の移動に対する障壁を支持体深部に付与するための撥水剤配合物の浸透に加えて、組積造表面のポリマーの堆積による組積造構造の良好な分水界機能を達成することができる。
【0013】
本発明の浸透性組積造用撥水剤は、橋床、道路、及びパーキングガレージ用に防水性が必要とされる高速道路産業に特別の用途を有する。さらに、このような組成物は、多孔質でありそして例えば石灰石、大理石、及びミカゲイシを含む中性無機成分を含有する天然石のような壁用組積造材を利用する、建築業にも特に適用可能である。今まで建築材の処理が困難であったこれらを、本発明の組成物を用いて効果的に防水性にすることができる。本配合物の高速道路用途は主にコンクリートであるが、本配合物の建築用途は、上述のようなレンガ、天然石、シンダーブロック(cinder block)、及びスタッコの範囲にあることができる。
【0014】
一般に、コンクリート、レンガ、及びスタッコをアルキルアルコキシシランで処理して、支持体を防水性にすることができる。このような支持体の潜在的アルカリ性がシランの樹脂性シリコーン母材への加水分解及び縮合を促進し、コンクリート、レンガ、またはスタッコ支持体内部に前記母材を永久的に形成及び堆積させる。石灰石のような天然石は、それが比較的中性でありそして潜在的触媒活性を有さない点で、例外である。結果として、シランはシリコーンに即座には転化せず、または支持体のカルシウム性内面に固着することもない。その結果、撥水性または抗吸水性はほとんど無いかまたは全く無い。この石灰石の反応性の欠如は、石灰石骨材がコンクリート調製において成分として使用される場合に特に顕著である。このような場合、コンクリート及び石灰石粗骨材間の境界面に沿って水が容易に浸透する。シランを基剤にした撥水剤は石灰石に固着しないので、骨材近辺のコンクリート部分は防水性にされないが、コンクリート支持体の残りの部分はうまく処理される。水は、コンクリート内部への最も防水性の低い経路を取るので、石灰石の側または中を通って移動する。このような型の状況においては、支持体表面で分水する能力を有する本発明の特定の実施態様が特に有用である。
【0015】
分水能を有する本発明の組積造用撥水性組成物は、例えば、プレキャスト製品、ブロック、レンガ、パイプ、プレストレスド製品、構造用コンクリート、及び高速道路表面材;床及び壁用タイル、瓦、及び構造用タイル;足場、注入土台、舗装、ステップ、縁石、構造品、並びにブロック、レンガ、パイプ、パネル、及びビームのような成形、強化、及びプレストレスドコンクリート製品;外部用及び内部用プラスター;スタッコ及びテラゾ、を含む幅広い用途を有する。
【0016】
本発明の撥水性組成物の主たる利点は、本組成物が揮発性有機物含量(VOC)に関する国家規制及び各種状態に応じる形に配合できることである。これらの規制は、一般に1リットル当たり約400グラムを超える有機物含量の建築用コーティングを禁止する。本発明の組成物の場合には、浸透剤のコンクリートとの反応から遊離される揮発性成分が無い。一方、先行技術の溶剤を基剤としたアルコキシシラン類は、揮発性有機化合物であるアルコールを遊離する。
【0017】
従って、揮発性有機物含量規制に応じる浸透剤を、本発明の組成物を用いて配合することができる。このように、本発明に従う浸透剤は、一般に1リットル当たり約400グラム未満の揮発性有機物含量を有する。対照的に、イソブチルトリメトキシシランのようなアルコキシシランを含む先行技術の同等の浸透剤は、1リットル当たり約650〜700グラム程度の揮発性有機物含量を有する。
【0018】
本発明の組積造多孔質支持体処理用撥水性組成物は、水、少なくとも1種の界面活性剤、及び下記一般式:
(OSiRH)d(OSiRR’)e
(上式中、Rは1〜3個の炭素原子を有するアルキル基であり;R’はアルキル基(CH2)cRであり;cは1〜17の値を有する整数であり;dは3〜10の値を有する整数であり;そしてeは0〜7の値を有する整数である)
で表されるシロキサンコポリマーを含有する乳濁液を含んで成る。
【0019】削除
【0020】削除
【0021】
本乳濁液は、約20〜約60重量%のシロキサンを含むことができる。乳濁液が40〜50重量%のシロキサンを含有することが好ましい。整数cが5、6、または7の値を有し;整数dが3または4の値を有し;そして整数eが1または2の値を有することが好ましい。
【0022】
以下の例は、本発明のシロキサンコポリマーの調製方法を含む本発明の基本概念を例示する目的で記述する。
【実施例】
【0023】
例1
還流コンデンサー及び加熱マントルを備えた250ml容の丸底フラスコに、48gの(OSiMeH)4及び16.8gの1-ヘキセンの溶液を入れた。総重量40mgの8メッシュの0.5%Pt/Cl片または約0.2mgのPtを溶液に添加し、そしてフラスコ内容物を加熱して還流した。加熱している間約10分間発熱が起った。混合物をさらに15分間還流加熱し、その後室温で冷却した。混合物の少量をフーリエ変換赤外分光分析(FTIR)により分析したところ、SiHの存在及びオレフィンの不在を示した。ガスクロマトグラフィー/マススペクトロメトリー分析により分析したところ、この混合物が以下の組成、すなわち、
【0024】
(OSiMeH)4 15%
(OSiMeH)3/(OSiMeC6H13) 50%
(OSiMeH)2/(OSiMeC6H13)2 25%
(OSiMeH)/ (OSiMeC6H13)3 10%
【0025】
を有する混合物であることを示した。
【0026】
例2
例1と同じ手順に従い、75gのMe3Si-(OSiMe2)3(OSiMeH)5-OSiMe3及び18.4gの1-ヘキセンを、0.5%Pt/Cとしての0.2mgのPt存在下で反応させた。
【0027】
例3
333gの(OSiMeH)4及び210gの1-ドデセン(C12H24)の溶液を、この2種の化合物を1リットル容のボトル中に計量し、そして1分間内容物を攪はんすることにより調製した。この溶液100gを、還流コンデンサー及び加熱マントルを備えた1リットル容の丸底フラスコ中に入れた。8メッシュ0.5%Pt/C(各々0.2mgPt)2片をフラスコに添加し、そして混合物を加熱して沸騰させた。溶液の残りを500ml容の滴下ロートに注ぎ込み、そのロートを還流コンデンサーの上部開口部付近に配置した。フラスコ中の混合物が沸騰し始めると、滴下ロートからの溶液が還流コンデンサーを通ってゆっくりと添加された。新鮮な溶液を、フラスコ中の穏やかな還流を維持するような速度で混合物に添加した。滴下ロート中の溶液の添加は約45分を必要とした。すべての溶液を添加し終えたら、フラスコ中の混合物をさらに15分間還流加熱し、その後室温に冷却し、そして珪藻土を通過させて濾過した。
【0028】
例1の組成物の調製及び使用方法の反応機構は、以下のように考えられる。
【0029】

【0030】
このように、メチル水素シクロシロキサンを白金-炭素触媒存在下でオレフィンの1-ヘキセンと反応させて、アルキルメチルシロキシ及びオルガノヒドロシロキシ基を有する低分子量シロキサン浸透剤を生産する。コンクリートに適用すると、例えば化学式(OSiMeH)0.75(OSiMeC6H13)0.25のアルキルメチルシロキシ及びオルガノヒドロシロキシ基を有する低分子量シロキサン浸透剤が、加水分解及び続く縮合により、化学式(MeSiO3/2)0.75(OSiMeC6H13)0.25の共重合性シリコーン樹脂に転化する。この樹脂はコンクリートの表面及び孔中に存在し、そしてコンクリートを防水性にする。
【0031】
このオレフィンの低分子量メチル水素シロキサンとのヒドロシリル化反応は、通常は純粋化合物を生成することはないが、しかし化合物の混合物が生成し、そしてこの混合物が防水用浸透剤として使用される。コンクリートに適用すると、浸透剤は加水分解しそして縮合してシリコーン樹脂を形成するので、浸透剤として純粋化合物を使用する必要はない。
【0032】
先述のように、本発明の最初の実施態様の組成物は、シリリジン基、すなわち、
【0033】

【0034】
がシロキサン分子中に存在する点で先行技術のシロキサン組成物とは異なる。この差異が重要である。何故なら、シリリジン基が組積造支持体中の水分及び水酸基と反応して上述の共重合性シリコーン樹脂を形成するからである。この樹脂は、撥水性組成物が適用された組積造支持体の孔内で形成される。組積造支持体孔内で形成した共重合性シリコーン樹脂は疎水性であるので、水が組積造材の多孔質面及び内部に浸透することを容易に退ける。本発明の最初の実施態様の組成物は比較的低粘度を有するので、それらの適用された多孔質組積造支持体中に拡散及び浸透することができる。例えばコンクリートのような組積造支持体に適用すると、コンクリートの潜在的アルカリ性が、水及び水酸基のシリリジン基との反応を触媒してSiOH及び水素を生成する。アルカリ性コンクリートはSiOH基の縮合をさらに触媒して、シロキサン結合及び水を生成し、そして樹脂構造が最終的に作り出される。
【0035】
上述のように、本発明の撥水性組成物は、揮発性有機物含量(VOC)に関する国家規制及び各種状態に応じるコーティングに配合されることができる。これらの規制は、1リットル当たり400グラムを超える揮発性有機物含量の建築用コーティングを禁止する。本発明の最初の実施態様においては、浸透剤のコンクリートとの反応から遊離する揮発性成分は、揮発性有機化合物ではない水素である。本発明の別の実施態様においては、アミン触媒を用いてSiHをアルコキシに置換することにより、遊離する水素でさえも削除することができる。一方、先行技術のアルコキシシラン類は、揮発性有機化合物であるアルコールを遊離する。
【0036】
従って、本発明の組成物を用いて、揮発性有機物含量規制に従う浸透剤を配合することができる。このように、固形分約45〜約50重量%を含有する本発明に従う浸透剤は、1リットル当たり約400グラム未満の揮発性有機物含量を有する。イソブチルトリメトキシシランのようなアルコキシシラン類を含有する先行技術の浸透剤は、1リットル当たり約650〜700グラムの揮発性有機物含量を有する。
【0037】
本発明において記述されたシロキサン類のアルキル基は、コンクリートを疎水性にする化合物の能力に寄与するが、その存在が常に必要であることはない。このように、メチル水素シロキサンを用いてコンクリートを防水性にすることができ、そして完全な加水分解及び縮合後に生じるシリコーン樹脂はモノメチルシルセスキオキサンまたはMeSiO3/2である。この材料は実質的に疎水性であり、そしてコンクリートを容易に疎水性にする。しかしながら、メチル水素シロキサンの代わりにアルキルメチル/メチル水素共重合性材料を使用する利点がある。このように、アルキルメチルシロキサン/メチル水素コポリマーを調製するのに使用されるオレフィン類は、これらの共重合性材料を調製するメチル水素シロキサンよりも価格が低い。それゆえ、アルキルメチル/メチル水素共重合性化合物の材料価格はメチル水素シロキサンのそれよりも低い。何故なら、前者は本質的に後者をオレフィンで希釈したものだからである。共重合性材料がメチル水素シロキサンよりも多くの処理を必要としてもなお、アルキルメチルシロキサン/メチル水素コポリマーのコストはメチル水素シロキサンよりも低い。コポリマーはまた揮発分がより低く、そしてメチル水素シロキサンよりも高い引火点を有する。
【0038】
以下のさらなる例は、本発明の最初の実施態様の低揮発性有機物含量乳濁液の調製方法を詳細に例示するものである。
【0039】
好ましい出発原料は(OSiMeH)4のようなメチル水素シクロシロキサンである。しかしながら、これらの環状シロキサン類の混合物は純粋環状化合物と同様に有効である。好ましいオレフィンは1-ヘキセンである。他のオレフィン類には1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、または1-ドデセンが含まれる。これらのオレフィン類の混合物を用いて組成物を調製することは可能である。SiHのオレフィンに対する比率は変えることができるが、この比率は、1分子当たり最少で3つのSiH基が維持されるようなものでなければならない。例えば、純粋な(OSiMeH)4を用いた場合、シクロシロキサン1モル当たりに使用するオレフィンは1モル以下でなければならない。ヒドロシリル化方法は、0.5%Pt/Cのような不均一触媒を使用する。SiH化合物、オレフィン、及び触媒の混合物を加熱して約30分間還流する。バッチが多量である場合には、混合物の少量を還流し、残りを少しずつ増加させながら添加して、高い発熱反応を制御することが得策である。この反応生成物(低粘度油)は、平均量論式;(OSiMeH)0.75/(OSiMeR)0.25(式中、RはMe、C6H13、またはC12H23である)を有する化合物の混合物である。
【0040】
低粘度油を水及び界面活性剤と均質化して、約30重量%の固形分を含有する水中油形非イオン性乳濁液を生産する。乳濁液のpHが中性付近にあるかぎり、SiHの加水分解は無視できる。支持体に適用すると、水が蒸発して低粘度油を残し、それが拡散及び浸透する。コンクリートのように支持体がアルカリ性である場合、このアルカリ性が加水分解/縮合反応を触媒する。特に、SiHが支持体中の湿分及び水酸基と反応してSiOH+H2を生成する。SiOHが縮合してシロキサン+H2Oを生成する。シリコーンオイルは多官能性であるので、完全な加水分解/縮合により樹脂構造が形成される。この樹脂は疎水性が高く、支持体を防水性にする。
【0041】
例4
300gの(OSiMeH)4及び105gの1-ヘキセンの溶液を、この2種の化合物を1リットル容のボトル中に計量し、そして内容物を1分間攪はんすることにより調製した。この溶液100gを、還流コンデンサー及び加熱マントルを備えた1リットル容の丸底フラスコ中に入れた。8メッシュ0.5%Pt/C(各々0.2mgPt)2片をフラスコに添加し、そして混合物を加熱して沸騰させた。溶液の残りを500ml容の滴下ロートに注ぎ込み、そのロートを還流コンデンサーの上部開口部付近に配置した。フラスコ中の混合物が沸騰し始めると、滴下ロートからの溶液が還流コンデンサーを通ってゆっくりと添加された。新鮮な溶液を、フラスコ中の穏やかな還流を維持するような速度で混合物に添加した。滴下ロート中の溶液の添加は約30分を必要とした。すべての溶液を添加し終えたら、フラスコ中の混合物をさらに20分間還流加熱し、その後室温に冷却し、そして珪藻土を通過させて濾過した。FTIR分析により、SiHの存在及びオレフィンの不在が示された。
【0042】
この生成物300gに、非イオン性界面活性剤TERGITOL TMN-6(商標)6g及び蒸留水694gを加えた。混合物を30分間攪はんし、そしてGaulin実験室ホモジナイザーを用いて均質化して約30重量%の固形分を有する水中油形乳濁液を生産した。同じ手順を用いて、オレフィン1モル及び(OSiMeH)41モルを使用して(OSiMeH)4を部分的に1-ドデセンと反応させ、そして生成物を均質化して30%固形分乳濁液を得た。上述の手順を用いて(OSiMeH)4をもまた乳化して30%固形分乳濁液を生産した。3種類の乳濁液それぞれ200gを水で希釈して、15重量%の固形分を有する乳濁液を生産した。固形分15%乳濁液及び固形分30%乳濁液を用いて、3”×5”×1”コンクリートブロックを処理し、そしてそのブロックの撥水性を、National Cooperative Highway Research Program Report 244,Transportation Research Board,December,1981,D.W.Pfeiffer & M.J.Scali;Wiss,Janney,Elstner & Associatesに記述されている方法に従い試験した。試験結果を表I及びIIに示す。
【0043】
非イオン性界面活性剤が例4に示されるが、他の種類の界面活性剤を本発明に従い使用することは可能である。このように、本発明の乳濁液を、非イオン性、カチオン性、または両性界面活性剤及びそれらの混合物と共に配合することができる。本乳濁液はまた、ポリグリコール(その代表例は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、これらの混合物及びコポリマーである)のような凍結融解組成物のような添加物を含有することも可能である。本発明の乳濁液を調製するための他の技術が適用可能であり、例えば、1986年11月4日発行の米国特許第4,620,878号に記述されている。前記4,620,878号特許にはまた、使用可能な他の適当な界面活性剤の詳細についても記述されている。乳化技術及び界面活性剤について、以下の特許、すなわち、1985年2月26日発行米国特許第4,501,619号、1986年12月23日発行米国特許第4,631,273号、及び1989年6月27日発行米国特許第4,842,766号、を参照することができる。例4の非イオン性界面活性剤は、11.7のHLB値を有するエトキシレート化トリメチルノナノールであり、そしてUnion Carbide Corporation,Industrial Chemicals Division,Danbury,Connecticutの商標及び製品である。
【0044】

【0045】

【0046】
本発明の別の実施態様及び以下の例において、珪素に結合した水素を、ヒドロキシルアミン触媒を使用したアルコールとの反応によりアルコキシ基で置換する。反応は容易に進行し、そして使用した触媒量により制御できる。好ましい触媒量はシロキサン重量に対して0.25%である。この反応において、SiHがヒドロキシルアミンと反応してO-アミノオキシシロキサン及び水素を生成する。アルコールがアミノオキシシロキサンと反応してアルコキシシロキサン及び水素を生成する。この処理を、すべてのSiHが消費されるまで繰り返す。この反応由来の生成物である低粘度油は、平均量論式;(OSiMeOR)0.75/(OSiMeC6H13)0.25(式中、RはMe、Et、またはイソプロピルである)を有する化合物の混合物である。この乳濁液は、加水分解性である珪素に結合したアルコキシ基を含有するが、加水分解は4ヶ月経過後でも起こらなかった。その理由は、珪素原子1個当たりアルコキシ基が1個だけしか存在しないためであると考えられる。より不安定であるアルコキシシラン類の乳濁液は、珪素原子1個当たり本組成物よりも多くのアルコキシ基を有する。さらに、本乳濁液のpHは中性であり、このことが加水分解安定性に寄与する。
【0047】
例5
例4由来の濾過後の生成物を、還流コンデンサー、マグネチックスターラー、及び加熱マントルを備えた2リットル容の丸底フラスコに移した。無水エタノール230gをフラスコに加え、そしてその混合物が溶液になるまでフラスコを旋回して混合物を攪はんした。N,N-ジエチルヒドロキシルアミン1gを加え、そしてフラスコを旋回してアミンを混合した。顕著な泡立ちにより示されるように、アミンの添加とともに反応が開始した。コンデンサーを配置して、攪はんを開始した。反応由来の熱が蓄積し続けるので、加熱マントルの電源は最初は切ったままにしておいた。約4時間後、反応由来の熱がおさまったので、加熱マントルの電源を入れてフラスコ内部を穏やかな還流状態にした。おびただしい泡立ちが6時間反応に起こり、そして8時間後に停止した。過剰のアルコールはロータリーエバポレーターを用いて除去した。生成物のFTIR分析により、SiHの不在が示された。この生成物300gに、非イオン性界面活性剤TERGITOL TMN-6(商標)4g及び蒸留水669gを加えた。混合物を30分間攪はんし、そしてGaulin実験室ホモジナイザーを用いて均質化し、固形分約30重量%を含有する水中油形乳濁液を調製した。この乳濁液を使用して、小さい2”×2”×2”のコンクリートブロックを処理し、そしてこれらのブロックの撥水性を例4に従って試験した。
【0048】
例6
化学式(OSiMeH)n(式中、n=4,5、及び6である)のメチル水素シクロシロキサン混合物を、例5に記述した手順に従いエタノール及びN,N-ジエチルヒドロキシルアミンを用いることによりエトキシレート化して(OSiMeOEt)n(式中、n=4,5、及び6である)を調製した。生成物は低粘度の油状であり、そして水及び界面活性剤で均質化して、固形分30重量%を含有する非イオン性乳濁液を調製した。この材料を、上述の手順を用いてコンクリートブロックに関して試験した。表IIIに、例5及び6で行われた試験の結果を示す。この本発明の別の実施態様は、副生成物としての水素発生が望ましくない場合に有用である。
【0049】

【0050】
本発明の本質的特徴及び概念から実質的に逸脱することなく、ここで記述した化合物、組成物、構造、及び方法について多くの他の変更及び改質が可能であることは明らかである。従って、ここで記述した本発明の態様が、例示のみを目的とし、添付の請求の範囲に定義した本発明の範囲を限定するものではないことを明確に理解すべきである。
 
訂正の要旨 訂正の要旨
1.訂正事項は次のとおりである。
(1)訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1中の「並びに直鎖のメチル水素‐メチルアルキルシ・・・・成る群より選択されるシロキサンコポリマー」を、
「及び下記一般式:
(OSiRH)d(OSIRR’)。
(上式中、Rは1〜3個の炭素原子を有するアルキル基であり;R’はアルキル基(CH2)cRであり;cは1〜17の値を有する整数であり;dは3〜10の値を有する整数であり;そしてeは0〜7の値を有する整数である)
で表されるシロキサンコポリマー」と訂正する。
(2)訂正事項b
特許請求の範囲の請求項1中の「多孔質支持体処理用」を、「細積造多孔質支持体処理用」と訂正する。
(3)訂正事項c
特許請求の範囲の請求項2および請求項3を特許請求の範囲の減縮を目的として削除する。
(4)訂正事項d
発明の名称を「細積造多孔質支持体処理用の溌水性組成物」に訂正する。
(5)訂正事項e
明細書段落【0001】中の「細積造用溌水性シロキサン及びシロキサンコポリマー組成物に関する。より詳細には、本発明は、多孔質支持体を処理するための、直鎖メチル水素‐メチルアルキルシロキサンまたはメチル水素‐メチルアルキルシクロシロキサンのようなコポリマーを含有する乳濁液である溌水性組成物]を、
「細積造多孔質支持体を処理するための溌水性組成物」と訂正する。
(6)訂正事項f
明細書段落【0018】の記載を、
「本発明の組積造多孔質支持体処理用溌水性組成物は、水、少なくとも1種の界面活性剤、及び下記一般式:
(OSiRH)d(OSiRR’)e
(上式中、Rは1〜3個の炭素原子を有するアルキル基であり;R’はアルキル基(CH2)cRであり;cは1〜17の値を有する整数であり;dは3〜10の値を有する整数であり;そしてeは0〜7の値を有する整数である)
で表されるシロキサンコポリマーを含有する乳濁液を含んで成る。」に訂正する
(7)訂正事項g
明細書段落【0019】および【0020】の記載を削除する。
(8)訂正事項h
明細書段落【0021】中の「整数aが3または4の値を有し;整数bが2または3の値を有し;」を削除する。
異議決定日 2002-01-24 
出願番号 特願平3-208034
審決分類 P 1 651・ 531- YA (C08L)
P 1 651・ 121- YA (C08L)
P 1 651・ 113- YA (C08L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 原田 隆興  
特許庁審判長 谷口 浩行
特許庁審判官 柿沢 紀世雄
村上 騎見高
登録日 2000-07-28 
登録番号 特許第3092728号(P3092728)
権利者 ダウ・コ-ニング・コ-ポレ-ション
発明の名称 組積造多孔質支持体処理用の撥水性組成物  
代理人 戸田 利雄  
代理人 石田 敬  
代理人 戸田 利雄  
代理人 西山 雅也  
代理人 西山 雅也  
代理人 石田 敬  
代理人 西川 裕子  
代理人 小島 隆司  
代理人 青木 朗  
代理人 青木 朗  

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