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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01R
管理番号 1057820
審判番号 不服2000-18620  
総通号数 30 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-11-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-11-24 
確定日 2002-05-02 
事件の表示 平成 7年特許願第116913号「電子機器」拒絶査定に対する審判事件[平成 8年11月29日出願公開、特開平 8-313590]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【1】手続の経緯・本願発明
本願は、平成7年5月16日の出願であって、その請求項1〜3に係る発明は、特許法第17条の2の規定によって平成12年5月11日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1〜3に記載されたとおりのものと認められるところ、その特許請求の範囲の請求項1には次の通り記載されている(以下『本願発明』という。)。
「【請求項1】 各機能に対応した動作を行わせるための外部装置から供給される、キー操作に対応した検査データを解読する解読手段と、前記解読手段で解読した検査データに基づいて動作させる制御手段と、前記制御手段の制御による動作結果を表示する表示手段と、前記外部装置からの前記検査データを供給する検査データ出力端子を備えた搬送パレットに載せ置いた際に前記検査データ出力端子と接合する検査用データ入力端子とを備え、各機能に対応した前記動作が自動検査可能であることを特徴とする電子機器。」
なお、本願については、平成12年12月25日付けで手続補正がなされているが、該補正は平成14年2月26日付け補正の却下の決定により却下された。
【2】引用刊行物記載の発明
請求項1に対して、原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に国内において頒布された特開平1-288929号公報(以下『引用例』という。)には、「ターミナル装置検査方式」(発明の名称)が記載され、図面とともに以下の記載がある。
「従来この種のターミナル装置検査方式は、検査員が被検査ターミナル装置のキーボードを操作してキーコードを被試験ターミナル装置に入力し、被試験ターミナル装置の動作の正常性をディスプレー上で確認していた。」(第1頁右下欄第7〜11行)、
「第1図において、本実施例のターミナル装置の検査方式は、ディスプレー(以下DSPと記す)2と被試験ターミナル主装置1とからなる被試験ターミナル装置と、これにインタフェースケーブル11で接続された試験機6とから成って構成し、被試験ターミナル主装置1はDSP2を制御するディスプレー制御回路(以下DPCと記す)4と、分離型のキーボード(以下KYと記す)12とインタフェースするキーボードインタフェース回路(以下KINFと記す)5と、DPC4,KINF5を制御する制御部(以下CTLと記す)3とを有し、試験機6はKINF5にインタフェースするインタフェース回路(以下INFと記す)9と、試験プログラム及びキーコードを記憶しているメモリ(以下MEと記す)8と、INF9、ME8を制御しスイッチ(以下SWと記す)10の起動によってME8からの試験プログラムとキーコードを読出してINF9、インタフェースケーヅル11を介してKINF5に送出して試験するCTL7とを有して構成している。」(第2頁右上欄第5行〜左下欄第4行)、
「試験機6のSW10をオンにすると、CTL7はME8に格納されている試験プログラムに従って動作を開始し、ME8から読出したキーコードをKINF5へINF9を経由してインタフェースケーブル11を介して送出する。
被試験ターミナル装置1側では、CTL3がKINF5で受信したキーコードによって被試験ターミナル主装置1内部を試験し、内部状態をDPC4を経由してDSP2に表示させる」(第2頁左下欄第9〜17行)、
「以上説明したように本発明は、被試験ターミナル装置の付属のキーボードを使わず、このキーボードのインターフェイスに試験機を接続し、この試験機から検査操作者がキーボードを打鍵して発するキーコードと同じものを自動的に出力することにより、キー入力操作のための作業が不要になるので、この試験機からのキーコードによってターミナル装置を自動的に動作させることができ、さらに、専門職の人でなくても1人の検査操作者が数台のターミナル装置を同時に検査できるなどの効果がある。」(第2頁右下欄第5〜15行)。
以上の記載を図面を参酌しつつ勘案し、
(1)被試験ターミナル装置はキーボードの操作によって種々の機能に対応した動作を行わせることができるものであること、
(2)「CTL3がKINF5で受信したキーコードによって被試験ターミナル主装置1内部を試験し、内部状態をDPC4を経由してDSP2に表示させる」(第2頁第14〜17行)との記載から、CTL3がキーコードを解読し、かつ、被試験ターミナル主装置1を制御していると解されること、
(3)被試験ターミナル主装置1がキーボード12あるいは試験機6と接続線を介して接続されている以上、その接続操作を容易にするために、被試験ターミナル主装置1側にキーコードを入力するための入力端子を設けることは通例であること、
を考慮すると、引用例1には次の発明が記載されていることになる。
各機能に対応した動作を行わせるための試験機6から供給される、キー操作に対応したキーコードを解読し、該解読したキーコードに基づいて動作させる制御部3と、前記制御部3の試験による内部状態を表示するディスプレー2と、前記試験機6からの前記キーコードを供給する検査用入力端子を備え、各機能に対応した前記動作が自動検査可能である被試験ターミナル主装置1(以下『引用例に記載された発明』という。)。

【3】対比
ここで、上記引用例に記載された発明における「試験機6」、「キーコード」、「キーコードを解読し、該解読したキーコードに基づいて動作させる制御手段3」、「試験による内部状態」、「ディスプレー2」、「検査用入力端子」、「被試験ターミナル主装置1」が、本願発明における「外部装置」、「検査データ」、「検査データを解読する解読手段と、前記解読手段で解読した検査データに基づいて動作させる制御手段」、「制御による動作結果」、「表示手段」、「検査用データ入力端子」、「電子機器」にそれぞれ相当する。
したがって、本願発明と引用例に記載された発明とを比較すると、両者は、「各機能に対応した動作を行わせるための外部装置から供給される、キー操作に対応した検査データを解読する解読手段と、前記解読手段で解読した検査データに基づいて動作させる制御手段と、前記制御手段の制御による動作結果を表示する表示手段と、前記外部装置からの前記検査データを供給する検査用データ入力端子とを備え、各機能に対応した前記動作が自動検査可能である電子機器」である点で一致し、次の点で相違する。
検査用データ入力端子に関し、本願発明では、「外部装置からの前記検査データを供給する検査データ出力端子を備えた搬送パレットに載せ置いた際に前記検査データ出力端子と接合する」構成を有するのに対し、引用例に記載された発明では、上記構成を備えていない点。
【4】当審の判断
電気機器の自動検査装置において、搬送パレットに電気機器を載置した際に、該電気機器を検査データを授受する端子に接続する構成としたものは周知であり(例えば、実願昭61-63417号(実開昭62-174282号)の願書に添付した明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィルム、特開平6-222105号公報参照)、接続を端子同士の接合により行うことはごく普通に採用されている接続構成であるから、該周知技術を引用例に記載された発明に適用して本願発明の構成とすることは、当業者が容易に為し得ることであると認められる。
そして、本願発明による効果も当業者が容易に予測し得る範囲のものに過ぎない。

【5】むすび
したがって、本願の請求項1に係る発明は、引用例に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
上記のとおり、本願の請求項1に係る発明が特許を受けることができないものであるから、本願の請求項2〜3に係る発明について審究するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2002-02-28 
結審通知日 2002-03-05 
審決日 2002-03-19 
出願番号 特願平7-116913
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01R)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 上野 信濱本 禎広  
特許庁審判長 西川 一
特許庁審判官 高橋 泰史
山田 正文
発明の名称 電子機器  
代理人 岩橋 文雄  
代理人 内藤 浩樹  
代理人 坂口 智康  

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