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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  F04C
審判 全部申し立て 1項1号公知  F04C
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  F04C
管理番号 1058038
異議申立番号 異議2001-72133  
総通号数 30 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1996-05-21 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-07-31 
確定日 2002-02-12 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3132631号「内接型オイルポンプロータ」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3132631号の請求項1、2に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第3132631号の請求項1、2に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」、「本件発明2」という。)の出願は、平成6年11月2日に特許出願され、平成12年11月24日にその発明について特許権の設定登録がなされ、その後、異議申立人住友電気工業株式会社(以下、「申立人」という。)より特許異議の申立てがなされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成13年12月17日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
ア.訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1、2の記載について、
「【請求項1】 n個の外歯を有するインナーロータと、(n+1)個の内歯を有するアウターロータとからなる内接型オイルポンプロータにおいて、前記インナーロータの歯数(n:個)と偏心量(e:mm)と歯先円の直径(D:mm)とインナーロータの歯形の創成円の半径(R:mm)とが下記式
0.120≦e・n/(π・D)≦0.140
および
0.20≦n・R/(π・D)≦0.35
を満たすトロコイド歯形をインナーロータ歯形としたことを特徴とする内接型オイルポンプロータ。
【請求項2】 n個の外歯を有するインナーロータと、(n+1)個の内歯を有するアウターロータとからなる内接型オイルポンプロータにおいて、前記インナーロータの歯数(n:個)と偏心量(e:mm)と歯先円の直径(D:mm)とが下記式
0.120≦e・n/(π・D)≦0.140
を満たすトロコイド歯形をインナーロータ歯形とするとともに、前記インナーロータの歯数(n)が8以上の整数であることを特徴とする内接型オイルポンプロータ。」とあるのを、
「【請求項1】 n個の外歯を有するインナーロータと、(n+1)個の内歯を有するアウターロータとからなる内接型オイルポンプロータにおいて、前記インナーロータの歯数(n:個)と偏心量(e:mm)と歯先円の直径(D:mm)とインナーロータの歯形の創成円の半径(R:mm)とが下記式
0.120≦e・n/(π・D)≦0.140
および
0.20≦n・R/(π・D)≦0.35
を満たし、かつインナーロータの外歯歯形の最小曲率半径が0.1〜2.5mmの範囲内にあるトロコイド歯形をインナーロータ歯形としたことを特徴とする内接型オイルポンプロータ。
【請求項2】 n個の外歯を有するインナーロータと、(n+1)個の内歯を有するアウターロータとからなる内接型オイルポンプロータにおいて、前記インナーロータの歯数(n:個)と偏心量(e:mm)と歯先円の直径(D:mm)とが下記式
0.120≦e・n/(π・D)≦0.140
を満たし、かつインナーロータの外歯歯形の最小曲率半径が0.1〜2.5mmの範囲内にあるトロコイド歯形をインナーロータ歯形とするとともに、前記インナーロータの歯数(n)が8以上の整数であることを特徴とする内接型オイルポンプロータ。」と訂正する。
イ.訂正事項b
明細書の段落【0007】、【0008】、【0040】及び【0041】の記載について、それぞれ、「を満たすトロコイド歯形を」とあるのを、「を満たし、かつインナーロータの外歯歯形の最小曲率半径が0.1〜2.5mmの範囲内にあるトロコイド歯形を」と訂正する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記訂正事項aは、訂正前の請求項1、2に記載された発明の構成に欠くことができない事項である「インナーロータのトロコイド歯形」について、願書に添付した明細書の段落【0013】の記載「本発明者は、前記最小曲率半径rの値が0.1mm以下になると、面圧応力が事実上無限大に達し、どのような材質でロータを製作しようとも耐久性能の低下をきたすという事象を見出だしたのである。前記最小曲率半径rの値が2.5mmを越えると歯形がなだらかになりすぎ、噛み合いの効率が低下しインナーロータ3の外歯歯形とアウターロータ2の内歯歯形とのすべり率が増大し、かえって耐久性能が低下する。」に基づいて、その外歯歯形の最小曲率半径を具体的に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当するものであって、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
上記訂正事項bは、上記訂正事項aの訂正に伴い、発明の詳細な説明の記載の整合を図るものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

(3)むすび
したがって、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書及び第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議の申立てについての判断
(1)申立ての理由の概要
申立人は、甲第1号証及び甲第2号証を提出し、本件発明1及び2は甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、よって、その特許は特許法第113条第2号の規定により取り消すべきものである旨、主張している。

(2)本件発明
上記「2.訂正の適否についての判断」で示したように、上記訂正が認められるから、本件発明1、2は、平成13年12月17日付けの訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1、2に記載されたとおりのものと認められる。(上記2.(1)ア.を参照。)

(3)引用例
申立人の提出した甲第1号証(特願昭56-169732号の平成1年7月24日付けの手続補正書(当審で通知した取消しの理由で引用した引用文献1)、以下、「引用例1」という。)には、以下の事項が記載されている。
(イ)「エンジンのクランクシャフト、又は、ミッション主軸等の駆動軸によって直結的に駆動され、該駆動軸に取り付けられたインナーローター歯車と、その外側に配置されたアウターローター歯車より成り、該インナーローター歯車は少くとも8枚の歯を有し、これに対しアウターローター歯車は、インナーローター歯車より1枚だけ枚数の多い歯を有し、該インナーローター歯車は、直径Aの基礎円と、該基礎円に転接する直径Bの転円と該転円Bとの比率が0.35〜0.5となる離心量eを有し、転円Bとの比率が0.5〜3.0となる直径Cの軌跡円によって決定されるクレセントのないトロコイド曲線により形成される歯形を有し、該インナーローター歯車が離心量eと同じ量だけ偏心した状態でかみ合うアウターローター歯車と相対回転でき(中略)るオイルポンプ。」(全文訂正明細書1頁5行〜2頁18行)
(ロ)「インナーローターのトロコイド曲線諸元(中略)φA:基本円径、φB:転円径、φC:軌跡円径、e:離心量である。そして、該離心量eと転円径φBとの比離心率feを0.35〜0.5とし、軌跡円径φCと転円径φBの比軌跡円率fcを0.5〜3.0とする。」(全文訂正明細書8頁3〜8行)
(ハ)「この発明によるオイルポンプの実施例(中略)の諸元は次の通りである。 インナーローター歯車の歯数 8個 インナーローターの大径a 56.296φ±0.03(中略)離心量e 3.128」(全文訂正明細書14頁14行〜15頁4行)
(ニ)「この発明の効果を各論的にまとめると、(中略)高速回転条件下においても、キャビテーション現象を著しく削減し、ポンプハウジングやトロコイド歯車のチッピングを抑制し、キャビテーションによる振動を低下させてオイルタべット等の影響を減少させることが出来るようにした効果があり、(中略)インナーローター歯車とアウターローター歯車の双方共に滑かなローター曲線を具備し、且つ、各々の歯圧が充分使用に耐えることが出来るようにした効果が得られたものである。」(全文訂正明細書22頁12行〜24頁8行)
これらの記載事項からみて、引用例1には、「n個の外歯を有するインナーローターと、(n+1)個の内歯を有するアウターローターとからなる内接型オイルポンプローターにおいて、前記インナーローターの歯数が8個以上、軌跡円径φCと転円径φBの比軌跡円率fcが0.5〜3.0、離心量eと転円径φBとの比離心率が0.35〜0.5、インナーローターの大径が56.296φ±0.03、離心量eが3.128であって、トロコイド歯形をインナーローター歯形とした内接型オイルポンプローター。」の発明が記載されているものと認められる。

また、申立人の提出した甲第2号証(特開昭58-70014号公報(当審で通知した取消しの理由で引用した引用文献2)、以下、「引用例2」という。)には、以下の事項が記載されている。
(ホ)「次に図によつて本発明のオイルポンプの実施態様を説明する。(中略)インナーの歯数が8枚以上であるトロコイド曲線(中略)をインナー歯形として使用する。 第3図はトロコイド曲線諸元の説明図であり、(中略)φB:転円径、φC:軸跡円径、e:離心量である。(中略)この離心量eと転円径φBの比を0.35〜0.5とし、軌跡円径φCと転円径φBの比は0.5〜3.0とする。(中略)アウター歯数はインナー歯数より1枚多い」(2頁左上欄16行〜右上欄9行の記載を3頁右下欄11〜19行の記載により補正したもの)
(ヘ)「第5図は本発明によるオイルポンプの実施例の正面図であり、この場合の諸元は次の通りである。 インナー歯数 8個 インナー大径 a φ56.296±0.03(中略)離心量 e 3.128」(2頁右上欄20行〜左下欄7行の記載を4頁左上欄9〜13行の記載により補正したもの)
これらの記載事項及び図面の記載からみて、引用例2には、「n個の外歯を有するインナーと、(n+1)個の内歯を有するアウターとからなる内接型オイルポンプロータにおいて、前記インナーの歯数が8個以上、軌跡円径φCと転円径φBの比が0.5〜3.0、離心量eと転円径φBの比が0.35〜0.5、インナー大径がφ56.296±0.03、離心量eが3.128であって、トロコイド歯形をインナー歯形とした内接型オイルポンプロータ。」の発明が記載されているものと認められる。

(4)対比・判断
a.本件発明1について
本件発明1と引用例1に記載された発明とを対比すると、その技術的意義からみて、後者の「ローター」は前者の「ロータ」に相当するものと認められるから、両者は、「n個の外歯を有するインナーロータと、(n+1)個の内歯を有するアウターロータとからなる内接型オイルポンプロータにおいて、トロコイド歯形をインナーロータ歯形とした内接型オイルポンプロータ。」の点で一致し、下記の点で相違するものと認められる。
<相違点1>
インナーロータのトロコイド歯形について、前者は、「前記インナーロータの歯数(n:個)と偏心量(e:mm)と歯先円の直径(D:mm)とが下記式 0.120≦e・n/(π・D)≦0.140 を満たし」ているものであるのに対し、後者では、このような関係式については直接示すものがなく不明である点。
<相違点2>
インナーロータのトロコイド歯形について、前者は、「前記インナーロータの歯数(n:個)と歯先円の直径(D:mm)とインナーロータの歯形の創成円の半径(R:mm)とが下記式 0.20≦n・R/(π・D)≦0.35 を満たし」ているものであるのに対し、後者では、このような関係式については直接示すものがなく不明である点。
<相違点3>
インナーロータのトロコイド歯形について、前者は、「インナーロータの外歯歯形の最小曲率半径が0.1〜2.5mmの範囲内にある」ものであるのに対し、後者では、インナーロータの外歯歯形の最小曲率半径の値は不明である点。

また、本件発明1と引用例2に記載された発明とを対比すると、その技術的意義からみて、後者の「インナー」は前者の「インナーロータ」に、後者の「アウター」は前者の「アウターロータ」に、相当するものと認められるから、両者は、「n個の外歯を有するインナーロータと、(n+1)個の内歯を有するアウターロータとからなる内接型オイルポンプロータにおいて、トロコイド歯形をインナーロータ歯形とした内接型オイルポンプロータ。」の点で一致し、上記相違点1ないし3の点で相違するものと認められる。

次に、上記相違点1ないし3について検討する。
相違点1及び2については、確かに引用例1及び2には、トロコイド歯形に係る上記関係式については記載がないが、引用例1及び2に開示されたオイルポンプの実施例の諸元である「インナーローター歯数が8、軌跡円径φCと転円径φBの比が0.5〜3.0、離心量eと転円径φBとの比が0.35〜0.5、インナーローターの大径が56.296φ±0.03、離心量eが3.128」という数値をトロコイド歯形に係る上記関係式に代入した計算値を求めると、相違点2についての計算値は、0.20以上0.35以下のものも含んで(実際の計算値としては、例えば、特許異議申立書においては0.236という値が、特許異議意見書においては0.071〜0.607という値が、それぞれ示されている。)おり、引用例1及び2に記載された発明も、相違点2に係る構成を実質的に備えているものと認められる。また、相違点1についての計算値は0.141であり、上記相違点1に係る関係式を満たさないが、引用例1及び2に記載された発明は、高速回転時のポンプ耐久性能や噛合面圧応力の適正化という、本件発明1と同様の課題を解決する技術である(上記摘記事項(ニ)を参照)から、当業者がこの課題に対応して通常の創作能力を発揮する場合に、上記オイルポンプ実施例の離心量eの値を、離心量eと転円径φBとの比が0.35〜0.5の範囲にあることを用いて適宜選択し、引用例1及び2に記載された発明を相違点1に係る上記関係式を満たす構成にすることは、当業者が容易になし得るものと認められる。よって、相違点1にについては、引用例1及び2に記載された発明が備えているとはいえないにしても、引用例1及び2に記載された発明から当業者が容易に想到し得たものとはいえる。
しかし、相違点3については、引用例1及び2には、インナーロータの外歯歯形の最小曲率半径の値についての記載も、そのような半径値の範囲を示唆する記載も格別認められない。また、本件発明1は、このように最小曲率半径の範囲を限定したことにより、「最小曲率半径rの値が0.1mm以下になると、面圧応力が事実上無限大に達し、どのような材質でロータを製作しようとも耐久性能の低下をきたす」及び「最小曲率半径rの値が2.5mmを越えると歯形がなだらかになりすぎ、噛み合いの効率が低下しインナーロータ3の外歯歯形とアウターロータ2の内歯歯形とのすべり率が増大し、かえって耐久性能が低下する」という明細書に記載された効果を奏するものと認められる。よって、相違点3に係る構成が、引用例1及び2に記載された発明から容易に想到することができたとする根拠も見いだせない。
したがって、本件発明1は、引用例1に記載された発明であるということはできず、また、引用例2に記載された発明であるとも、引用例1及び2に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものともいうことはできない。

b.本件発明2について
本件発明2と引用例1に記載された発明とを対比すると、その技術的意義からみて、後者の「ローター」は前者の「ロータ」に相当するものと認められるから、両者は、「n個の外歯を有するインナーロータと、(n+1)個の内歯を有するアウターロータとからなる内接型オイルポンプロータにおいて、トロコイド歯形をインナーロータ歯形とするとともに、前記インナーロータの歯数(n)が8以上の正数である内接型オイルポンプロータ。」の点で一致し、上記相違点1及び3の点で相違するものと認められる。
また、本件発明2と引用例2に記載された発明とを対比すると、その技術的意義からみて、後者の「インナー」は前者の「インナーロータ」に、後者の「アウター」は前者の「アウターロータ」に、相当するものと認められるから、両者は、「n個の外歯を有するインナーロータと、(n+1)個の内歯を有するアウターロータとからなる内接型オイルポンプロータにおいて、トロコイド歯形をインナーロータ歯形とするとともに、前記インナーロータの歯数(n)が8以上の正数である内接型オイルポンプロータ。」の点で一致し、上記相違点1及び3の点で相違するものと認められる。
そうであるから、上記「a.本件発明1について」で説示したのと同様の理由により、相違点3については、引用例1及び2には記載されておらず、示唆する記載も格別認められない。また、相違点3に係る構成が、引用例1及び2に記載された発明から容易に想到することができたとする根拠も見いだせない。
したがって、本件発明2は、引用例1に記載された発明であるということはできず、また、引用例2に記載された発明であるとも、引用例1及び2に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものともいうことはできない。

(5)むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由によっては、本件発明1、2についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものであるとは認めることができない。
また、他に、本件発明1、2についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものであると認めるべき理由を発見しない。
したがって、本件発明1、2についての特許を取り消すことはできない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
内接型オイルポンプロータ
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 n個の外歯を有するインナーロータと、(n+1)個の内歯を有するアウターロータとからなる内接型オイルポンプロータにおいて、
前記インナーロータの歯数(n:個)と偏心量(e:mm)と歯先円の直径(D:mm)とインナーロータの歯形の創成円の半径(R:mm)とが下記式
0.120≦e・n/(π・D)≦0.140
および
0.20≦n・R/(π・D)≦0.35
を満たし、
かつインナーロータの外歯歯形の最小曲率半径が0.1〜2.5mmの範囲内にあるトロコイド歯形をインナーロータ歯形としたことを特徴とする内接型オイルポンプロータ。
【請求項2】 n個の外歯を有するインナーロータと、(n+1)個の内歯を有するアウターロータとからなる内接型オイルポンプロータにおいて、
前記インナーロータの歯数(n:個)と偏心量(e:mm)と歯先円の直径(D:mm)とが下記式
0.120≦e・n/(π・D)≦0.140
を満たし、
かつインナーロータの外歯歯形の最小曲率半径が0.1〜2.5mmの範囲内にあるトロコイド歯形をインナーロータ歯形とするとともに、
前記インナーロータの歯数(n)が8以上の整数であることを特徴とする内接型オイルポンプロータ。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は内接型オイルポンプロータに関し、特に噛合歯数が適切で面圧応力の小さい内接型オイルポンプロータに関する。
【0002】
【従来の技術】
内接型オイルポンプ用のギヤとしてトロコイド歯形を有するトロコイドロータがその効率の良さや製作し易さなどの利点を持つため広く普及している。
【0003】
図6に示すようにこの内接型オイルポンプ11は、ケーシング12のロータ室12A内においてアウターロータ13にインナーロータ14が偏心状態で内接して組み付けられたものである。アウターロータ13は内周に円弧歯に形成した内歯部13Aを有し、一方インナーロータ14は外周にトロコイド歯に形成した外歯部14Aを有し、複数の空隙部を形成して歯合している。内歯部13A及び外歯部14Aの数は、インナーロータ14の方が1つ少なくなっている。そして、前記アウターロータ13は、ケーシング12のロータ室12A内に回転自在に嵌合されている。また前記インナーロータ14は、その中心部に中心孔14Bを有し、この中心孔14Bに駆動軸15が嵌合されている。さらに前記ケーシング12のロータ室12Aには両ロータ13,14の中心軸を挟んで両側に吸入口16と吐出口17とが形成されている。そして、使用時には、駆動軸15を介してインナーロータ14が回転運動し、それに伴い内歯部13Aと外歯部14Aとの噛合によりアウターロータ13も同方向へ回転し、それぞれの空隙部の容積がアウターロータ13及びインナーロータ14が一回転する間に大小に変化し吸入口16でオイルを吸入し、吐出口17でオイルを吐き出すというものである。
【0004】
このような内接型オイルポンプに使用される従来トロコイドロータの一例を図3に示す。このトロコイドロータ1は、10個の内歯2Aを有するアウターロータ2に9個の外歯3Aを有するインナーロータ3が偏心状態で内接して組み付けられたものである。前記アウターロータ2とインナーロータ3とは、複数の空隙部たる輸送ルームVを形成して歯合している。また前記インナーロータ3は、その中心部に中心孔3Bを有する。なおSはインナーロータ3とアウターロータ2との噛合点であり、Tはインナーロータ3とアウターロータ2との噛合トルクの伝達角度である。このインナーロータ3は歯先円の直径(D)が70.00mmで、偏心量(e)が3.50mmで、インナーロータ3の歯形の創成円の半径(R)が8.55mmで、インナーロータ外歯歯形の最小曲率半径rが0.04mmとなっている。
【0005】
【発明が解決しようとする問題点】
上記図3及び図6に示すような従来のトロコイドロータ1では、高速回転・高負荷運転領域で使用されるとインナーロータ3とアウターロータ2との噛み合いにおいて、しばしばその噛合歯数が少なすぎたり噛合の面圧応力が大きすぎたりするため、ポンプの耐久性能が低下したり騒音が発生したりするという問題点があった。しかもこれらの噛合歯数および噛合の面圧応力を両方とも適正化するのは極めて困難であった。
【0006】
本発明は上記問題点に基づいて成されたものであり、噛合歯数が適切で面圧応力の小さい内接型オイルポンプロータを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1の内接型オイルポンプロータは、n個の外歯を有するインナーロータと、(n+1)個の内歯を有するアウターロータとからなる内接型オイルポンプロータにおいて、前記インナーロータの歯数(n:個)と偏心量(e:mm)と歯先円の直径(D:mm)とインナーロータの歯形の創成円の半径(R:mm)とが下記式0.120≦e・n/(π・D)≦0.140
および0.20≦n・R/(π・D)≦0.35を満たし、かつインナーロータの外歯歯形の最小曲率半径が0.1〜2.5mmの範囲内にあるトロコイド歯形をインナーロータ歯形としたものである。
【0008】
また請求項2の内接型オイルポンプロータは、n個の外歯を有するインナーロータと、(n+1)個の内歯を有するアウターロータとからなる内接型オイルポンプロータにおいて、前記インナーロータの歯数(n:個)と偏心量(e:mm)と歯先円の直径(D:mm)とが下記式0.120≦e・n/(π・D)≦0.140を満たし、かつインナーロータの外歯歯形の最小曲率半径が0.1〜2.5mmの範囲内にあるトロコイド歯形をインナーロータ歯形とするとともに、前記インナーロータの歯数(n)が8以上の整数であるものである。
【0009】
【0010】
【作用】
本発明の請求項1の構成ではインナーロータの歯数(n:個)と偏心量(e:mm)と歯先円の直径(D:mm)とが下記式
0.120≦e・n/(π・D)≦0.140
を満たすトロコイド歯形をインナーロータ歯形としているで、噛合歯数及び面圧応力が適正であり、このため得られる内接型オイルポンプロータ耐久性能の低下が少なく、また騒音が小さくなっている。これは前記式の範囲内とすることによりインナーロータの外歯歯形の最小曲率半径rを0.1以上にすることができるためである。これとともに、前記インナーロータの歯数(n:個)と偏心量(e:mm)とインナーロータの歯形の創成円の半径(R:mm)とが下記式
0.20≦n・R/(π・D)≦0.35
を満たすトロコイド歯形をインナーロータ歯形としているので、内接型オイルポンプロータの耐久性能が一層向上している。
【0011】
また請求項2の構成では、インナーロータの歯数(n:個)と偏心量(e:mm)と歯先円の直径(D:mm)とが下記式
0.120≦e・n/(π・D)≦0.140
を満たすトロコイド歯形をインナーロータ歯形としているで、噛合歯数及び面圧応力が適正であり、このため得られる内接型オイルポンプロータ耐久性能の低下が少なく、また騒音が小さくなっている。これは前記式の範囲内とすることによりインナーロータの外歯歯形の最小曲率半径rを0.1以上にすることができるためである。これとともに、前記インナーロータの歯数(n)が8以上の整数であるので、推定噛合歯数の値を2.0以上とすることができ、内接型オイルポンプロータの耐久性能及び低騒音性をさらに向上させることができる。
【0012】
【0013】
【実施例】
以下、添付図面を参照して本発明を詳述する。図1に示すように内接型オイルポンプロータ1は、11個の内歯2Aを有するアウターロータ2に10個の外歯3Aを有するインナーロータ3が偏心状態で内接して組み付けられたものである。前記アウターロータ2とインナーロータ3とは、複数の空隙部たる輸送ルームVを形成して歯合している。また前記インナーロータ3は、その中心部に中心孔3Bを有する。なお、Sはインナーロータ3とアウターロータ2との噛合点であり、rはインナーロータ外歯歯形の最小曲率半径である。前記内接型オイルポンプロータ1においては、インナーロータ3とアウターロータ2との噛合トルクが伝達されると考えられる角度範囲Tは約45°となっている。このような内接型オイルポンプロータ1において、インナーロータ3の外歯3Aの歯数(n:個)と、偏心量(e:mm)と、歯先円の直径(D:mm)とは下記式
0.120≦e・n/(π・D)≦0.140
を満たす歯形を有する。前記式値(以下βという)が0.120未満では、推定噛合歯数が少なくなり、ポンプの耐久性能が低下するばかりか、騒音が大きくなる。一方βの値が0.140を越えると、インナーロータ外歯歯形の最小曲率半径rの値が極小となり、インナーロータ3とアウターロータ2の噛合において、その部位の面圧応力が極度に高くなり、ポンプの耐久性能が低下するばかりか、騒音が大きくなる。なお、前記最小曲率半径rの値とは、インナーロータ3の歯形の創成円の半径Rを通常の使用範囲である0.15≦(n・R)/(π・D)≦0.45を満たす範囲に仮定した場合における内歯3Aの歯形の最小曲率半径のことである。そして本発明者は、前記最小曲率半径rの値が0.1mm以下になると、面圧応力が事実上無限大に達し、どのような材質でロータを製作しようとも耐久性能の低下をきたすという事象を見出だしたのである。前記最小曲率半径rの値が2.5mmを越えると歯形がなだらかになりすぎ、噛み合いの効率が低下しインナーロータ3の外歯歯形とアウターロータ2の内歯歯形とのすべり率が増大し、かえって耐久性能が低下する。
【0014】
また噛合歯数はトルクの確実な伝達のためその最大値は2.0(個)以上であるのが好ましい。したがって、インナーロータ3の外歯3Aの歯数(n)は8個以上であるのが好ましい。
【0015】
また前記βの値が同一であっても、インナーロータの歯形の創成円の半径(R)によっても耐久性能は大きく影響される。したがって、前記インナーロータの歯数(n:個)と偏心量(e:mm)とインナーロータ創成円の半径(R:mm)とが下記式
0.20≦n・R/(π・D)≦0.35を満たす歯形を有するのが好ましい。前記式値(以下γという)が0.35を越えるとインナーロータの歯形の創成円の半径Rが比較的大きくなるため、前記最小曲率半径rの計算値が相対的に小さくなり、ポンプの耐久性能が低下し、騒音が大きくなる方向に向かう。一方前記γの値が0.20未満では、創成円の半径(R)が小さくなり過ぎるため、最小曲率半径rの計算値を大きくすることはできるが、今度はアウターロータ2の円弧歯の大きさが相対的に小さくなるため強度が低下し、もって耐久性能を低下させる恐れを生じさせる。
【0016】
前記内接型オイルポンプロータ1は、前記図6に示す内接型オイルポンプに組み込んで使用することができる。
【0017】
上述したような本発明の内接型オイルポンプロータ1は、前記βの値が0.120〜0.140の範囲内にあるので、噛合歯数が適切で面圧応力の小さいトロコイド曲線を創成するのが容易である。特にγの値を0.35〜0.20の範囲内とすることにより、耐久性能により優れた内接型オイルポンプロータとすることができる。さらに本発明のトロコイドロータ1では、インナーロータ3の外歯3Aの歯数(n)を8個以上とすることにより、噛合歯数を2.0以上とすることができ、トルクの伝達効率が良好である。
【0018】
以下の具体的実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
【0019】
実施例1
偏心量(e)1.50mm、歯先円の直径(D)36.20mm、歯数(n)8〜11個、インナーロータ創成円の半径(R)を0.15≦n・R/(π・D)≦0.45を満たす範囲内としてインナーロータ(No.1〜4)をそれぞれ設計した。このインナーロータの歯数(n)、偏心量(e)及び歯先円の直径(D)を表1に示す。そして各インナーロータの歯数(n:個)と偏心量(e:mm)と歯先円の直径(D:mm)とインナーロータ創成円の半径(R:mm)の値からβ(e・n/(п・D))を算出した。また、最小曲率半径rの範囲と推定噛合数を計算した。結果を表2に示す。このNo.3のインナーロータに相当するものを用いた内接型オイルポンプロータを図2に示す。なお、図2に示すインナーロータにおけるrの値の実測値は0.95mmであった。
【0020】
【表1】

【0021】
【表2】

【0022】
表2から明らかなように同じ偏心量(e)及び歯先円の直径(D)を有するインナーロータであっても歯数の相違によりβの値が相違し、このβの値が0.120〜0.140の範囲内にあるNo.3のインナーロータは、最小曲率半径rの範囲が0.1〜2.5の範囲内であり、推定噛合歯数が2.25個以下であった。これに対しβの値が0.120未満であるNo.1及び2のインナーロータでは、最小曲率半径rの範囲が2.5mmを越えるものであり、また6の値が0.140を越えるNo.4のインナーロータは最小曲率半径rの範囲が0.1mm未満であった。
【0023】
実施例2
偏心量(e)3.50mm、歯先円の直径(D)70.00mm、歯数(n)6〜9個、インナーロータ創成円の半径(R)を0.15≦n・R/(π・D)≦0.45を満たす範囲内としてインナーロータ(No.5〜8)をそれぞれ設計した。このインナーロータの歯数(n)、偏心量(e)及び歯先円の直径(D)を表3に示す。また各インナーロータの歯数(n:個)と偏心量(e:mm)と歯先円の直径(D:mm)とインナーロータ創成円の半径(R:mm)の値からβ(e・n/(π・D))を算出した。また、最小曲率半径rの範囲と推定噛合数を計算した。結果を表4に示す。この、No.8のインナーロータに相当するものを用いた内接型オイルポンプロータ(従来例)を図3に示す。図3のインナーロータにおけるrの値の実測値は0.04であった。
【0024】
【表3】

【0025】
【表4】

【0026】
表4から明らかなように同じ偏心量(e)及び歯先円の直径(D)を有するインナーロータであっても歯数の相違によりβの値が相違し、このβの値が0.120〜0.140の範囲内にあるNo.7のインナーロータは、最小曲率半径rの範囲が0.1〜2.5mmの範囲内であり、推定噛合歯数が2.0個以下であった。これに対しβの値が0.120未満であるNo.5及び6のインナーロータでは、最小曲率半径rの範囲が2.5mmを越えるものであり、またβの値が0.140を越えるNo.8のインナーロータは最小曲率半径rの範囲が0.1mm未満であった。
【0027】
実施例3
偏心量(e)2.50mm、歯先円の直径(D)80.00mm、歯数(n)11〜15個、インナーロータ創成円の半径(R)を0.15n・R/(п・D)0.45を満たす範囲内としてインナーロータ(No.9〜13)をそれぞれ設計した。このインナーロータの歯数(n)、偏心量(e)及び歯先円の直径(D)を表5に示す。また各インナーロータの歯数(n:個)と偏心量(e:mm)と歯先円の直径(D:mm)とインナーロータ創成円の半径(R:mm)の値からβ(e・n/(π・D))を算出した。また、最小曲率半径rの範囲と推定噛合数を計算した。結果を表6に示す。
【0028】
【表5】

【0029】
【表6】

【0030】
表6から明らかなように同じ偏心量(e)及び歯先円の直径(D)を有するインナーロータであっても歯数の相違によりβの値が相違し、このβの値が0.120〜0.140の範囲内にあるNo.11及びNo.12のインナーロータは、最小曲率半径rの範囲が0.1〜2.5mmの範囲内であり、推定噛合歯数が2.75個以下及び2.88個以下であった。これに対しβの値が0.120未満であるNo.9及び10のインナーロータでは、最小曲率半径rの範囲が2.5mmを越えるものであり、またβの値が0.140を越えるNo.13のインナーロータは最小曲率半径rの範囲が0.1mm未満であった。
【0031】
実施例4
偏心量(e)3.715mm、歯先円の直径(D)59.00mm、歯数(n)4〜7個、インナーロータ創成円の半径(R)を0.15≦n・R/(π・D)≦0.45を満たす範囲内としてインナーロータ(No.14〜17)をそれぞれ設計した。このインナーロータの歯数(n)、偏心量(e)及び歯先円の直径(D)を表7に示す。また各インナーロータの歯数(n:個)と偏心量(e:mm)と歯先円の直径(D:mm)とインナーロータ創成円の半径(R:mm)の値からβ(e・n/(π・D))とを算出した。また、最小曲率半径rの範囲と推定噛合数を計算した。結果を表8に示す。
【0032】
【表7】

【0033】
【表8】

【0034】
表8から明らかなように歯数が8個以下であるNo.14〜17のインナーロータは、推定噛合歯数が2.0個未満であった。これは歯数が少ないことに起因するものである。
【0035】
実施例5
偏心量(e)1.50mm、歯先円の直径(D)36.20mm、歯数(n)10個、インナーロータ創成円の半径(R)4.55mmとして、前記No.3のインナーロータに相当する図2に示すインナーロータと、インナーロータ創成円の半径(R)が相違する以外ほぼ同じ諸元のインナーロータ(No.18)を製造した。このインナーロータの歯数(n)、偏心量(e)、歯先円の直径(D)及びインナーロータ創成円の半径(R)を表9に示す。またこのインナーロータの歯数(n:個)と偏心量(e:mm)と歯先円の直径(D:mm)とインナーロータ創成円の半径(R:mm)の値からβ(e・n/(π・D))と、γ(n・R/(π・D))を算出した。また、最小曲率半径rの範囲と推定噛合数を計算した。結果を図2に示すインナーロータの結果とともに表10に示す。このNo.18のインナーロータを用いた内接型オイルポンプロータを図4に示す。なお図4のインナーロータにおけるrの値の実測値は0.53mmであった。
【0036】
実施例6
偏心量(e)1.50mm、歯先円の直径(D)36.20mm、歯数(n)10個、インナーロータ創成円の半径(R)4.55mmとして前記No.3のインナーロータに相当する図2に示すインナーロータと、インナーロータ創成円の半径(R)が相違する以外ほぼ同じ諸元のインナーロータ(No.19)を製造した。このインナーロータの歯数(n)、偏心量(e)、歯先円の直径(D)及びインナーロータ創成円の半径(R)を表9に示す。またこのインナーロータの歯数(n:個)と偏心量(e:mm)と歯先円の直径(D:mm)とインナーロータ創成円の半径(R:mm)との値からβ(e・n/(π・D))と、γ(n・R/(π・D))を算出した。また、最小曲率半径rの範囲と推定噛合数を計算した。結果を図2に示すインナーロータの結果とともに表10に示す。この、No.19のインナーロータを用いた内接型オイルポンプロータを図5に示す。
【0037】
【表9】

【0038】
【表10】

【0039】
表10から明らかなようにインナーロータ創成円の半径(R)以外ほぼ同様の諸元を有するインナーロータであっても、γの値の計算値は大きく相違し、特にγの値が0.20〜0.35の範囲内であるNo.3のインナーロータのrの値が良好であり、かつ推定噛合歯数が2.25個以下であった。
【0040】
【発明の効果】
本発明の請求項1の内接型オイルポンプロータは、n個の外歯を有するインナーロータと、(n+1)個の内歯を有するアウターロータとからなる内接型オイルポンプロータにおいて、前記インナーロータの歯数(n:個)と偏心量(e:mm)と歯先円の直径(D:mm)とインナーロータの歯形の創成円の半径(R:mm)とが下記式
0.120≦e・n/(π・D)≦0.140
および
0.20≦n・R/(π・D)≦0.35
を満たし、かつインナーロータの外歯歯形の最小曲率半径が0.1〜2.5mmの範囲内にあるトロコイド歯形をインナーロータ歯形としたものであるので、噛合歯数及び面圧応力が適正であり、このため得られる内接型オイルポンプロータ耐久性能の低下が少なく、また騒音が小さくなっている。
【0041】
また請求項2の内接型オイルポンプロータは、n個の外歯を有するインナーロータと、(n+1)個の内歯を有するアウターロータとからなる内接型オイルポンプロータにおいて、前記インナーロータの歯数(n:個)と偏心量(e:mm)と歯先円の直径(D:mm)とが下記式
0.120≦e・n/(π・D)≦0.140
を満たし、かつインナーロータの外歯歯形の最小曲率半径が0.1〜2.5mmの範囲内にあるトロコイド歯形をインナーロータ歯形とするとともに、前記インナーロータの歯数(n)が8以上の整数であるものであるものであるので、噛合歯数及び面圧応力が適正であり、このため得られる内接型オイルポンプロータ耐久性能の低下が少なく、また騒音が小さくなっている。
【0042】
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の第1実施例による内接型オイルポンプロータを示す平面図である。
【図2】
No.3の内接型オイルポンプロータを示す平面図である。
【図3】
No.8の内接型オイルポンプロータを示す平面図である。
【図4】
No.18の内接型オイルポンプロータを示す平面図である。
【図5】
No. 19の内接型オイルポンプロータを示す平面図である。
【図6】
内接型オイルポンプを示す概略図である。
【符号の説明】
1 内接型オイルポンプロータ
2 アウターロータ
2A 内歯
3 インナーロータ
3A 外歯
 
訂正の要旨 訂正の要旨
ア.訂正事項a
特許第3132631号発明の明細書中の特許請求の範囲の請求項1及び2について、
「【請求項1】 n個の外歯を有するインナーロータと、(n+1)個の内歯を有するアウターロータとからなる内接型オイルポンプロータにおいて、前記インナーロータの歯数(n:個)と偏心量(e:mm)と歯先円の直径(D:mm)とインナーロータの歯形の創成円の半径(R:mm)とが下記式
0.120≦e・n/(π・D)≦0.140
および
0.20≦n・R/(π・D)≦0.35
を満たすトロコイド歯形をインナーロータ歯形としたことを特徴とする内接型オイルポンプロータ。
【請求項2】 n個の外歯を有するインナーロータと、(n+1)個の内歯を有するアウターロータとからなる内接型オイルポンプロータにおいて、前記インナーロータの歯数(n:個)と偏心量(e:mm)と歯先円の直径(D:mm)とが下記式
0.120≦e・n/(π・D)≦0.140
を満たすトロコイド歯形をインナーロータ歯形とするとともに、前記インナーロータの歯数(n)が8以上の整数であることを特徴とする内接型オイルポンプロータ。」を、特許請求の範囲の減縮を目的として、
「【請求項1】 n個の外歯を有するインナーロータと、(n+1)個の内歯を有するアウターロータとからなる内接型オイルポンプロータにおいて、前記インナーロータの歯数(n:個)と偏心量(e:mm)と歯先円の直径(D:mm)とインナーロータの歯形の創成円の半径(R:mm)とが下記式
0.120≦e・n/(π・D)≦0.140
および
0.20≦n・R/(π・D)≦0.35
を満たし、かつインナーロータの外歯歯形の最小曲率半径が0.1〜2.5mmの範囲内にあるトロコイド歯形をインナーロータ歯形としたことを特徴とする内接型オイルポンプロータ。
【請求項2】 n個の外歯を有するインナーロータと、(n+1)個の内歯を有するアウターロータとからなる内接型オイルポンプロータにおいて、前記インナーロータの歯数(n:個)と偏心量(e:mm)と歯先円の直径(D:mm)とが下記式
0.120≦e・n/(π・D)≦0.140
を満たし、かつインナーロータの外歯歯形の最小曲率半径が0.1〜2.5mmの範囲内にあるトロコイド歯形をインナーロータ歯形とするとともに、前記インナーロータの歯数(n)が8以上の整数であることを特徴とする内接型オイルポンプロータ。」と訂正する。
イ.訂正事項b
特許第3132631号発明の明細書の発明の詳細な説明の段落【0007】、【0008】、【0040】及び【0041】の記載について、それぞれ、「を満たすトロコイド歯形を」を、明りょうでない記載の釈明を目的として、「を満たし、かつインナーロータの外歯歯形の最小曲率半径が0.1〜2.5mmの範囲内にあるトロコイド歯形を」と訂正する。
異議決定日 2002-01-23 
出願番号 特願平6-270004
審決分類 P 1 651・ 121- YA (F04C)
P 1 651・ 113- YA (F04C)
P 1 651・ 111- YA (F04C)
最終処分 維持  
特許庁審判長 舟木 進
特許庁審判官 飯塚 直樹
栗田 雅弘
登録日 2000-11-24 
登録番号 特許第3132631号(P3132631)
権利者 三菱マテリアル株式会社
発明の名称 内接型オイルポンプロータ  
代理人 中野 稔  
代理人 牛木 護  
代理人 牛木 護  
代理人 上代 哲司  

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