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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F01K |
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管理番号 | 1058954 |
審判番号 | 審判1999-19401 |
総通号数 | 31 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1999-01-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1999-12-09 |
確定日 | 2002-05-14 |
事件の表示 | 平成 9年特許願第176946号「ガスタービン装置」拒絶査定に対する審判事件[平成11年 1月26日出願公開、特開平11- 22417]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成9年7月2日の出願であって、その請求項1ないし2に係る発明は、願書に最初に添付した明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし2に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。 「ガスタービン、ガスタービン外衣、および配管ラックを設けたガスタービン装置において、地上に設置された前記ガスタービンを包囲して設けられたケーシングの外周囲と間隙を設けて配設されるとともに、側壁と前記ケーシングの側部との間に前記配管ラックを設置するようにした前記ガスタービン外衣と、前記ケーシングの側部に沿って保守、点検を行うための歩廊を上部に設置するようにした前記配管ラックとを設けたことを特徴とするガスタービン装置。」 なお、平成11年12月28日付けの手続補正は、却下された。 2.引用例 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された特開昭62-91607号公報(昭和62年4月27日出願公開、以下「引用例」という。)には、次のとおり記載されている。 「建屋1はコンクリート基礎2の上に建てられ、その建屋1の略中央にタービン3およびタービン発電機4が収納される。このタービン3およびタービン発電機4の高さは、その下部に設けられる復水器7によって略一義的に定められる。 建屋1内にはタービン3およびタービン発電機4を囲む水平な機器設置フロア8が設けられている。この機器設置フロア8は第5図に示すように複数の細径な支柱9によって支持されている。そして機器設置フロア8上にはタービン3に連結した湿分分離器10が配置され、その湿分分離器10を覆う上カバー11と、これと同一高さのフロア8′とによって面一に形成されるオペレーションフロア8′aが機器設置フロア8上に一体的に設けられている。」(3頁左上欄9行-右上欄3行) この記載及び第1図の記載からみて、引用例には、「タービン3、建屋1、および湿分分離器10を設けたタービン装置において、タービン3の外周囲と間隙を設けて配設されるとともに、建屋1の側壁とタービン3の側部との間に湿分分離器10を配置するようにした建屋1と、タービン3の側部に沿ってオペレーションフロア8′aを湿分分離器10を覆う上カバー11に設けたタービン装置」の発明が記載されているものと認められる。 3.対比 本願発明と引用例に記載された発明とを対比すると、後者の「建屋1」、「湿分分離器10」、「オペレーションフロア8′a」は、それらの機能からみてそれぞれ、前者の「タービン外衣」、「配管」、「保守、点検を行うための歩廊」に相当する。 また、後者において、「湿分分離器10」を囲む「上カバー11」、「支柱9」及び「フロア8」により形成される空間部分は、湿分分離器10を配置する場所であるから、前者の配管の設置場所である「配管ラック」に相当するものと認められる。そして、上記空間部分は建屋1の側壁とタービン3の側部との間に存在し、上記空間部分を覆う上カバー11にオペレーションフロア8′aが設置されている。 そうすると両者は、「タービン、タービン外衣、および配管ラックを設けたタービン装置において、前記タービンの外周囲と間隙を設けて配設されるとともに、側壁と前記ケーシングの側部との間に前記配管ラックを配置するようにしたタービン外衣と、前記ケーシングの側部に沿って保守、点検を行うための歩廊を上部に設置するようにした前記配管ラックとを設けたタービン装置」である点で一致し、次の(1)及び(2)の点で相違する。 (1)タービンの種類について、前者が「ガスタービン」であるのに対し、後者が「蒸気タービン」である点、 (2)タービンのケーシングについて、前者が「地上に設置されたタービンを包囲して設けられたケーシング」を有するのに対し、後者ではケーシングについて不明である点。 4.当審の判断 上記相違点(1)及び(2)について検討する。 相違点(1)について、本願発明と引用例に記載された発明とは、両者ともに発電用タービンの建物への配置構成に係る技術であって同一の技術分野に属するものであるから、引用例に記載された発明をガスタービンに用いて本願発明のように構成することは、当業者が容易になし得るものと認める。 相違点(2)について、タービンを包囲して設けられたケーシングによりタービンを基準面に設置するという技術的事項は周知であり(例えば、特開平9-133026号公報、特開平6-26364号公報等を参照。)、また、タービンを地上に設置することも従来周知の技術的事項である(例えば、特開平7-279686号公報の【従来の技術】の記載等を参照。)ことを併せて考慮すれば、引用例に記載された発明のタービンについて「地上に設置されたガスタービンを包囲して設けられたケーシング」を有するように構成することも、当業者が容易に想到し得るものと認められる。 そして、本願発明が奏する効果も、引用例に記載された発明及び上記周知の技術的事項から、当業者が予測可能な程度のものであって、格別なものとはいえない。 5.むすび したがって、本願発明は、引用例に記載された発明及び上記周知の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2001-06-12 |
結審通知日 | 2001-06-22 |
審決日 | 2001-07-03 |
出願番号 | 特願平9-176946 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(F01K)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 田澤 英昭、亀田 貴志 |
特許庁審判長 |
西川 恵雄 |
特許庁審判官 |
栗田 雅弘 氏原 康宏 |
発明の名称 | ガスタービン装置 |
代理人 | 石川 晃 |
代理人 | 石川 新 |